復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers 作:ダス・ライヒ
叛乱軍に占拠された惑星アスターへと向かう軽空母アスラの
全長20mで特徴的な角と顎が付いたMS、マリがシミュレーションで動かしていた
この特徴的な可変MSを見たラディスラオは自分のエリート意識の余り、自分の為に用意された機体だと誤認する。
「こ、この機体は俺のために配備された物か?!」
近くで作業していた整備兵を捕まえ、興奮しながら問う。
「ち、違いますよ・・・!あの機体は、シャトルに乗ってきた情報部のあの・・・」
「なんだとぉ!?」
自分の物ではないと知るや、ラディスラオは整備兵を殴り付けた。
「何故だ!何故俺は選ばれないんだ!?俺はA小隊の隊長だぞ!!」
「ひっ!?す、すみません!」
殴り付けてられて倒れ込んだ整備兵は殺されるかと思って恐怖し、怒るラディスラオを置いてその場から逃走した。怒りをぶちまけたラディスラオはZガンダムの搭乗者を知るため、近場にいた下士官を捕まえ、胸倉を掴みながら問う。
「おい!あの機体の搭乗者は誰だ?」
「た、確か、上層部のアップルビー少佐の・・・ヴァセレート上級大尉だったはずです・・・多分、移住区にいるかも・・・」
「そうか、なら俺の機体を整備しに行け」
掴んだ手を離し、移住区へと向かう。ラディスラオは移住区にマリが居ると思ったが、生憎と彼女は食堂で珈琲を飲んでいた。
「ふぅ・・・いつ着くのかしら?」
一口飲んだコーヒーカップを机に置き、壁に掛けられた時計を見る。近くに灰皿を置いて、煙草とライターを取り出し、一服しようとした途端、なんらかの資料に目を通しているザシャを見付けた。
「なに見てるのかな?」
吸ってから吐いた後、ザシャの元へ寄り添う。煙草と香水の臭いで気付いたザシャは直ぐに振り替える。
「敵に拿捕された要塞や防衛用設備の配置ですけど・・・」
「そう。この大きいのと小さいのって?」
ザシャが見ている資料は偵察情報で、詳細な敵配置が記された図だ。身体を寄せて聞いてくるマリに、ザシャは正確に答える。
「大きいのが要塞で、小さいのが防衛設備です」
「へぇ~、こんなの見て楽しい?」
「命が掛かってますから・・・」
慣れない相手に答えるザシャに、マリは配置図を見ながら次の質問をする。
「全部覚えたの?」
「はい、覚えました。アスターのも。なにか?」
「私も覚えられるけどさ。私はつまんないけど」
小首を傾げるザシャに、マリは隣にあった椅子に座りながら告げる。
「人間って言うのは、意識下でもの凄い量の情報を無意識に処理ものなんです。だから、つまり・・・ちゃんと理解してるし、覚えてるんです」
そう言ってザシャは微笑むのだが、彼女と同じく才能に溢れたマリは理解した物の、余りつまらなさそうだった。
「地図を眺めているのは楽しいことですよ。その土地の天候と気候帯、地域性、動植物の分布を理解して、標高を思い描けば、どんな場所でも大抵は想像できます。そう言ったことを考慮し、頭に叩き込めば飛ぶときに応用できますので」
「もっと女の子らしい趣味とか無いの?あんた。私なんかも覚えられるけど、見ててなんかストレス溜まるだけだし」
簡単に言うザシャに対し、マリも簡単にできることだが、彼女は軍人でも飛行士でも無い上、地図などに一切興味を示さない。
「友達とかさ、あのでっぱいと声の小さいロリっ娘、あの態度悪いの三人以外他に居ないわけ?それと他に趣味とか無いの?」
「そ、それは・・・」
無神経に聞いてくるマリに、ザシャは返答に困る。彼女はその有り余る才能で苦労していた。
幼い頃から外部と切り離され、寄宿学校(ボーディングスクール)で猛勉強し、彼女は大学を十代で飛び級する。
生まれの土地で名門の大学に進学した年若い少女であった彼女は、看護師になる為の勉強を続けていた。
ザシャの才能に目を付けたワルキューレの能力至上主義者は、ワルキューレの軍学校へ入学させられた。それまでは看護師の資格を取る為に勉強していたというのに、親の名誉欲しさに放り込まれる結果となる。
親に逆らうことなど自分の出身地ではあり得ないことであり、やむなく彼女は軍事訓練を受けることとなった。自分をワルキューレに引き入れた本人と面会した際、本人の口からこう告げられた。
『お前は特別な才能を持っている。そんな自分で身動きの出来ない奴のクソ処理をする職業より、才能で俗人共を従わせるここへ来た方が良い。お前には凡人を遥かに超える才能がある』
そう告げられたザシャは直ぐさま辞表を出したが、上層部は全く応じず、保留となった。
無能なふりをして辺境の場所へ飛ばされるも、自分を引き入れた者に見付かり、ザシャにとっては地獄な競合部隊に配属されて今に至る。そんな彼女には戦友と部下達以外、友人と呼べる者は居なかった。
自分のように小柄な女性軍人は無数に居るも、部下や整備兵以外禄に口など聞いたことがない。
「・・・私にはそんな物はありません」
返答して黙りしたザシャに、マリは席から立ち上がってから溜め息をつく。
「ハァ・・・それ以外の趣味とか持ちなさい。色々あるでしょ?あんたの可愛い部下達に聞きなさいな」
「でも・・・」
「あんたも女の子でしょ?そう言う趣味とか持って良いけど、なんかアレっぽいし。もうちょっと女の子らしいの持ちなさい」
口答えをしようとするザシャの話しも聞かず、マリは珈琲を飲み干し、煙草を灰皿に置いてから食堂を出た。食堂を出たマリに「他の趣味を持て」と言われたザシャは少し悩む。廊下を歩いている最中、彼女を探していたラディスラオと出会した。
「上級大尉殿、あのZガンダムの搭乗者は貴方ですか?」
不敵な笑みを浮かべながらラディスラオは問うが、マリは無視して士官用移住区へ帰ろうとする。
「待ってくださいよ、上級大尉殿。質問に答えてください。それと、稼働時間は?」
「はぁ、四十分くらい?」
溜め息をついてから立ち去ろうとするマリに、ラディスラオは怒り、自分より10㎝程は低い彼女の胸倉を掴む。
「よ、四十分だと!?ふざけるな!四十分如きであの高性能機が預けられる物か!!」
怒り心頭に怒鳴り付けてくるラディスラオに対し、マリは腹に膝蹴りを入れて引き離した。
「うぉ!?貴様ァー!!」
逆上して殴り掛かってくるラディスラオに対し、マリは飛んでくる拳を避け、頭に強力な蹴りを食らわせ、失神させた。廊下に183㎝の鍛え抜かれた男が倒れると、マリは掴まれた部分を直しながら、自分の部屋がある移住区へと帰って、前線に着くまで寝ることにする。
『当艦は目的地であるアスターへ到着した。これより第一戦闘配備に入る。各パイロットは
マリが寝ている間に着いたらしく、知らせのアナウンスが寝ている部屋まで届いてくる。自室を出てみると、廊下ではパイロットスーツや宇宙服などを身に着けた将兵達が慌ただしく動いていた。自分の部屋から出て来た者達まで居る。
「着替えよ・・・」
部屋に戻り、ロッカーに入っていた自分のパイロットスーツを取り出す。
「あのエロスーツよりマシね」
そう呟き、パイロットスーツを身に纏い、ヘルメットを左手に持ちながら部屋を出た。欠伸をしながら廊下を歩き、外の状況を確かめるために窓を覗いた。既に戦闘は開始されており、ここからでは主戦場は傍観できなかったが、流れてくる残骸や流れ弾を見る限り、大規模な戦闘が行われているようだ。
窓から離れてデッキへ向かうと、着く頃にはもうブリーフィングが始まった後だった。ヴァンキッシャー隊の長であるチムーロヴィチ・ボギンスキーが、集まった各小隊長と中隊長に敵の配置図の解説を行っている。
「遅いですよ。皇帝陛下」
「はいはい」
ノエルからの注意に、マリは生返事をしながら空いている席に座る。しかし、途中で眠りこけてしまい、ブリーフィングはマリが起きる頃にはもう終わっている後だった。
「起きてください。もうブリーフィング終わっちゃいましたからこれを」
少し機嫌の悪いノエルは起こしたマリに資料を渡し、何処かへ去った。
「何をしている!早く機体へ搭乗しろ!!」
チムーロヴィッチの怒号で、マリは自分のためにわざわざ用意させたZガンダムのコクピットへ入り、シートへ座った。機体を作動させると、全天周囲モニターに外の映像が映し出された。重力装置が切れたのか、専用の宇宙服を着た整備兵達が周囲を舞っている。
持ち込んだ音楽プレイヤーであるウォークマンをスーツ内に忍ばせ、イアフォンを耳の穴へ入れ込む。
「なにもそんなに怒鳴らなくても・・・」
そうぼやきながら、誘導員の指示に従ってカタパルトまで機体を動かす。カタパルトに機体の両足を付けると、通信機でツチラトを呼び出した。
『はい、なんすか?』
目の前の計器用のモニターに、ツチラトの正面が映った映像が映し出される。
「ねぇ、こういう時ってさぁ。どう言うの?」
『そりゃあ・・・行きまーす!とか、出る!とかじゃないすっか?』
「へぇ~、そう。じゃあ」
『それだけで呼んだのかよ・・・』
最後にツチラトの愚痴が聞こえた後、マリは通信を切った。通信機から戦闘オペレーターの声が聞こえてくる。
『それでは、まず第1中隊、どうぞ!』
目の前のモニターに、発進した第1中隊の機体が見えた。続いて第2中隊の機体もカタパルトに着き、次々と発艦していく。
『次は・・・あぁ、新兵さん?取り敢えず、死なないように』
「私だけなんで適当なんだか・・・」
長い髪を一つに縛り、ヘルメットを被ってからバイザーを閉めると、乗った場所がエレベーター式であったのか、上へと上がる。上がった場所は飛行甲板であり、外の状況が確認できる。
「花火みたい・・・」
花火のように、点いたり消えたりする爆発に目を奪われたマリは、オペレーターの声で我に返る。
『新兵さん、
「うん。じゃあ、行ってくる」
『出しゃばらないようにお願いします』
オペレーターに伝えた後、突然ノエルが通信に入ってきたので、一応返しておいた。
「分かってる」
近くにカウントダウンが記された電子看板を見付ける。カウントが0になると、カタパルトは凄まじい勢いでレールに沿って進んだ。強いGが身体を襲うが、機体とパイロットスーツの御陰か、全く痛みを感じなかった。
カタパルトの御陰で一気に先行していたヴァンキッシャー隊に追い付いた。機体を変形させて自動操縦にした後、ノエルから貰った資料に目を通す。
「敵はこちらの五倍?”主力部隊が降下部隊を降ろし終えるまで敵の主力を惹き付けよ”って、囮なの、私ら。まぁ、全部片付けちゃっても問題無いよね」
そう呟いてから資料を仕舞い、左右にある操縦桿を握った。前線へと向かっている間、チムーロヴィッチの通信が入ってくる。
『良く聞け。先程のブリーフィングで言ったとおり、敵の数は膨大だが、何の訓練も受けていないただの烏合の衆だ。数で劣っている我々でも十分生き残れる。第154艦隊の到着まで持ち堪えれば良い』
チムーロヴィッチからの通信が終わると、マリはパイロットスーツの上着を開き、ウォークマンを左手に持ち、曲を選択して、それを再生させた。再生させて前奏が始まると、ウォークマンをパイロットスーツに仕舞い、上着を閉める。耳元で曲が流れる中、ツチラトの声が入ってくる。
『なんだありゃ、動く戦争博物館か?』
『良い物はみんな下級兵士の連中が持ってたんだろ。あいつ等は良い装備を持ちたがるからな』
『あぁ、それもそうか。あいつ等口だけは達者で、役に立たないからな』
ジョンの答えにツチラトは納得する。ちなみに、彼等が乗っている機体はVF-19エクスカリバーと言う可変戦闘機の一種だ。通常のパイロットでは乗りこなせないが、彼等は特別であり、乗りこなせる。隊長機はAかSで、隊員機はEかFである。
全機戦闘機状態へ変形しており、前線へと向かっている。数分もすれば前線へ到着し、様々な敵機がこちらへ向けて攻撃してきた。
『各機散会!出来る限り敵を落とし続けろ!』
『了解!』
通信機からチムーロヴィッチの指示が飛んできた後、各員は散会して群がる敵機に襲い掛かった。
宇宙専用装備を身に着けた全長4m程の
「あのちっこいのは蹴りで潰せそう」
そう考えたマリは機体を人型に戻し、スコープドックに蹴りを入れて破壊した。次に同型が三機も襲ってきたが、頭部バルカンで蜂の巣にして撃墜する。装甲の薄いATでは、60口径のバルカン砲に耐えられるはずもなく、三機とも爆散した。
「腸をぶちまけろ!」
爆散するATへ向けてその台詞を吐くと、VF-1バルキリーと呼ばれるVF-19よりも古い可変戦闘機が複数現れ、こちらへ向けて主兵装であるガンポッドを撃ちまくってきた。
『な、なんだこいつ等、装備も酷い上に腕も酷いぞ!』
ジョンの通信が耳に入ってきた。彼の言うとおり、余りにも酷い動きをしており、射撃も全く当たって居らず、同士討ちをする敵機が居るほどだった。
ビームライフルで適当に撃つと、勝手に当たって命中して他の味方を巻き込んで大破した。後ろから攻撃が来たが、これも容易に避けられ、攻撃してきた戦闘型のポッドであるボールはビームライフルで潰される。
「なんか、もう全部やっつけられる気がしてきた」
余りの弱さにマリは敵を全滅させられる気がしてならなかった。A小隊のラディスラオ達は敵中に突っ込み、次々と敵機を堕としているようだ。C小隊の長であるエルミーヌの暴れぶりも凄まじく、敵機が向かう度に破壊されていた。
「あっちも大暴れね」
ザシャやツチラト、ジョンを含めた第2中隊も、第1中隊に負けないほど敵機を次々と敵機を堕としている。敵機が多く群がっている方向へ向き、カメラを拡大して艦艇や機動兵器がゾロゾロしていることを確認した。
「私も!」
スラスターを噴かし、敵陣のど真ん中へと突っ込んだ。敵からの総攻撃が来るが、マリの人の領域とは思えないほどの操縦技術で回避される。敵機が迎撃のために次々と向かってくるが、ビームライフルを当てられて次々と堕とされていく。
「なんだあいつは!?」
「と、止めろ!」
敵艦のブリッジに艦長達は主砲などの一斉射撃を行うが、乗員の大半が訓練不足の素人であり、全く当たらなかった。だが、下手な鉄砲でも数撃てば当たるので、ビームやミサイル、砲弾の弾幕が激しくなってくる。
流石に避けきれなくなってきたので、左手にビームサーベルを取り出し、それを前方に投げた。サーベル本体に向けてビームライフルを発射し、ビームを拡散させて攻撃を防ぎ、突っ込んでくる敵機をも堕とした。
「ビーム・コンフィーズ!」
それを行ってから、マリは敵艦隊のど真ん中に突っ込み、対空弾幕を避けながら急所にビームを撃ち込んで次々と敵艦を沈めた。
「本当に稼働時間三十分かよ・・・主人公補正すげぇーな・・・」
近場で戦闘をしていたツチラトは、敵機や敵艦を次々と堕としていくマリを見て呟いた。そんな彼に、敵機が四機ほど襲い掛かってくる。
「わ、我々には神が
この通信はツチラトを初めとした周囲にいた者達に聞こえていた。通信を聞いたラディスラオは大いに笑い、敵を愚弄した。
『ハッハッハッ!神が憑いているだと?貴様等ゴミ共に神は憑きなどしない!俺達のようなエリートに神は憑くのだ!!』
「こいつの言い方にはむかつくが、その通りだ。神様は主人公みたいな奴にしか憑かない。非情だよな!」
向かってくる敵機へ向けて、大腿部ビームカノンを撃ち込んで、向かってきた敵機を全て堕とした。ザシャの方は変形もせずに次々と来る攻撃を回避し、敵機や敵艦を的確に沈めている。操縦センスはマリの方が化け物じみているが、それに負けないほどであり、単なるド素人集団の中で良い動きをする老兵が乗った敵機をも堕とした。
「ろ、老兵が乗ったザクが破壊されたぞ!」
「奴は俺達の手には負えない!」
捕虜収容所から志願した捕虜になるまでは現役のパイロットな者達ですら、ザシャには遠く及ばなかった。ましてや、自分等に神が憑いていると考えている下級兵士や市民軍等には、彼女に敵うはずもない。マリからしてみれば、敵は単なる雑魚集団にしか過ぎなかった。
「はいだらー!」
敵陣の中で次々と来る敵機や敵艦を堕とし続け、自分の周囲でスクラップ場を築いていた。ザシャを除くヴァンキッシャー隊や他の部隊は損傷して後退しているにも関わらず、マリだけは異様なほど撃墜数を稼いでいる。
「本当に人間が乗っているのか・・・?」
左手と右足を紛失したVF-19に乗ったチムーロヴィッチは、鬼神の如く強すぎるマリの戦いぶりを見て、人が乗っているかどうか疑う。実際、彼女はチムーロヴィッチが思った通り、既に人間ではない。ヴァンキッシャー隊が損傷のために殆ど後退した後、増援の味方艦隊が前線に到着した。
『こちらは第154艦隊提督澁谷だ。この戦線は我々が引き継ぐ、まだ戦闘可能な部隊以外は後退して宜しい』
「ふぅ・・・疲れた。後は勝手に後続の艦隊がやってくれそうだし。休憩しようかな」
通信機から女性の声が流れてきたので、三十隻編成の敵二個艦隊と多数の機動兵器や迎撃機、防衛設備を破壊し尽くしたマリは、機体を変形させて母艦である軽空母アスラへ帰投した。
彼女が乗ったZガンダムが立ち去った後には、大量のデブリと化した敵機と敵艦が宙を舞っていた。帰る最中、多数の味方の艦載機が残った敵の排除へ向かっているのが見える。母艦に辿り着くと、作業員達が現れ、補給作業を開始する。
作業員達や整備兵達が補給作業を行う中、ノエルからの通信が入ってくる。
『無事にご帰還できて良かったです。このままこちらに戻ってきても良いですよ。もうヴァンキッシャー隊も死傷者も居ませんが、機体は損傷してますし、それに今来た艦隊の戦力で十分だと思います。もう純分だと思うのですが』
「えっ?まだまだやるつもりだけど」
ノエルの請いを蹴ったマリはヘルメットのバイザーを開いて、ストロー付きのドリンクを口に含んだ。
『まだやるつもりなんですか・・・被弾も殆どしてないテーゼナー少尉の方は披露で戦線離脱ですよ』
モニターに疲労困憊のザシャの映像が映し出され、マリに戦線離脱を勧める。だが、次なる敵が現れる。
『艦長、新たな敵影を多数確認。後方からです!』
『敵影が多数?同盟軍の艦隊が防衛線を突破してきたか!本部へ連絡しろ!』
『こ、これは、忘れてください!』
「あら、さっきのよりもマシなのが来たようね」
ノエルがブリッジに居るため、中のやり取りがマリの耳に届いてしまった。これを聞いた不敵な笑みを浮かべ、補給作業がいつ終わるのかを問う。
「補給はいつ終わるの?」
『はっ、後二分で終わります』
「そう言うわけ。なんかさぁ、全部やっつけられる気がするの。それに力が沸いてくるし」
『ハァ、貴方には負けますよ・・・痛い目を見ても知りませんよ』
溜め息をついたノエルからの通信が切れると、整備班長からの通信が入る。
『上級大尉、ハイパー・メガ・ランチャーを持って行ってください。これなら、同盟軍の戦艦も急所に当てれば沈められます』
整備班長の通信が終わった後、近くに大型の携帯式ビーム砲が飛んできた。それを手に取り、補給作業が終わったのを確認し、現れた同盟軍の艦隊の迎撃に向かう部隊に加わる。ヴァンキッシャー隊の誰もついてこず、迎撃に向かったのは補給を終えたばかりの先程共闘していた部隊の機体ばかりだ。
戦場に到着すると、叛乱軍とは違う同盟軍の現役の戦闘機や攻撃機、人型兵器が出て来る。やはり正規軍の訓練を受けたパイロット相手では軽い損害では済まなかった。同盟軍のパイロット達の動きを見て、マリは少し褒める。
「さっきの連中より腕も装備は良いのね」
変形した状態で攻撃機をビームで撃墜すると、突っ込んできた重巡洋艦に向けて、ハイパー・メガ・ランチャーを試し撃ちする。強力なビーム砲が急所へ命中すると、重巡洋艦は一撃で沈んだ。
「結構な威力があるのね」
手に入れたビーム砲の威力を知って、敵艦を何隻か沈めた後、向かってくる多数の敵機に、補給の際に取り付けられた小型ロケット弾を一斉に放つ。先程の叛乱軍の殆ど訓練も受けていないパイロット達なら全滅できたが、同盟軍の現役のパイロット達には聞かなかった。
だが、何機か損傷は負わせることに成功し、動きが鈍くなった敵機をビームライフルで仕留めた。敵は動揺することなく、ビーム攻撃を仕掛けてくる。マリはビーム攻撃を巧みに回避し、ライフルで敵機を堕としていく。彼女の操縦センスは現役のパイロット達ですら敵わなかった。
「こいつ、エースか!?」
ザクウォーリアに乗ったパイロットはマリの人間の領域を超えた動きを見て、ワルキューレで名のあるエースパイロットだと勘違いする。無論、彼女はこれが宇宙における初陣であり、MSを動かしたのは三十分程度である。彼が乗った機体はグレネードランチャーを受けて撃墜された。
その後のマリが敵機を堕としていく内に、機体が何かの力を帯びていく。
「なんだろう・・・?力が、高まる・・・」
力を帯びていくことに気が付いたマリは、機体が何かのオーラを纏っている事に気が付いた。やがてオーラは機体全体を包み込み、艦載機のビームや戦艦のビームなどを弾くほどになる。
「び、ビームが効かないぞ!?」
「ならばミサイルを撃て!」
ビーム攻撃が効かなくなったZガンダムに、艦艇や実弾兵器を搭載した艦載機は一斉に撃ち始めるが、チャージされたハイパー・メガ・ランチャーの掃射で数隻ほどの艦艇ごとミサイルを全滅させる。
ビームサーベルを取り出し、ビームを発生させてみると、長大にビームが伸びた。
「こんなのが出来るんだ・・・」
長大に伸びたビームサーベルを見て、マリは縦に振る。ビームを縦に振れば、何隻かが縦に一刀両断され、敵機も両断された。
「これなら・・・こいつら全滅させられる・・・!」
長大に伸びたビームサーベルの威力を見て、同盟軍の艦隊を全滅させられるとマリは判断した。連続でサーベルを振り、敵機や敵艦を纏めて両断し、次々と破壊していく。同盟軍もなんとか反撃しようと思ったが、随伴した味方機諸共撃破された。
サーベルで何十機と何十隻も切り裂いて沈めていくと、かなりの損害を受けた同盟軍の艦隊は撤退を始めた。
「ハァ・・・ハァ・・・これで終わり・・・?」
撤退していく同盟軍の艦隊を見て、マリは戦闘が終了したかレーダーで確認する。見事に黄色と赤色の反応は消えており、通信機から戦闘終了の知らせが聞こえてきた。通信の内容によれば、叛乱軍の残存戦力は武器を捨てるか、白旗を揚げて降伏したようだ。
「ふぅ・・・終わった・・・」
戦闘が終わったことを確認したマリはZガンダムを変形させ、母艦であるアスラへ帰投した。
改めて思うと、Zガンダムはオーバースペック過ぎ。乗っているキレる若者がニュータイプの中で最強な所為だけど。
まぁ、Gジェネでも後の時代の機体より断然強いし。
それとsakuraさん、ザシャちゃんをあんまり活躍させなくてすみません(汗)。
本編の地図の件も入れ込んでしまいました・・・(汗)。
~今回の中断メッセージ~
今回入ったネタ一覧。
アムロ「アムロ、行きまーす!」
クワトロ「クワトロ・バジーナ、百式出る!」
アーチャー「別に倒してしまっても構わんのだろ?」
斗貴子「腸をぶちまけろ!」
ケン「はいだらー!」