復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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ムスカ「投稿日が終戦記念日とは上出来じゃないか!」

※前編では戦いません。それと若干の差別描画とエロ描画に注意。


レッヒャーVSシュヴァルツ・ランツェンライター 前編

「報告します。ワルキューレの侵攻部隊が勢力外の東と西の二手に分かれ、北を目指しております」

 

 所変わり、西の星系群で陣を構える統合連邦軍戦国ワールド方面軍総司令部にある司令室にて、部下からの報告を受けた。マリ達の第9遠征軍の動きは連邦軍によって監視されていたらしい。

 

「威力偵察の甲斐があったな。本部にいる幹部と参謀を会議室へ集めろ!」

 

「はっ!」

 

 司令官からの指示で、部下は敬礼してから司令室を出て行った。直ちに本部の会議室に幹部と参謀が集められた。質の良い将官用の軍服を着た全員が集まったのを確認すると、司令官は会議を始める。

 

「全員揃ったな?では、始めよう」

 

「例の敵大船団が二手に分かれたと聞きましたが?」

 

 白髪の年配の男が問うと、司令官は頷く。

 

「うむ。何を考えているか分からんが、”精神異常者共”は我が勢力圏内の西と、同盟軍の勢力圏内の東に分かれて”時空帝国”が支配している北を目指している」

 

 精神異常者共とはワルキューレの将兵達のことを示し、時空帝国は時空管理局を示している。科学も医療も凄まじく発達し、障害者達を殆ど見たこともない彼等からすればそう見えているのだ。

 

「その蔑称は、些かやり過ぎでは・・・?」

 

「そんな物は知らん。あんな奴等を軍属に加える奴等の気が知らん」

 

 どうやら戦国ワールド方面軍司令官はかなりの偏見の持ち主のようだ。幹部の一人からの注意を無視し、司令官は続ける。

 

「さて、東に行った奴らは同盟軍の連中に任せるとして、我々は前線部隊の後方を素通りする奴等を叩く。補給部隊を襲われてはたまらんからな。討伐部隊は、宇宙艦隊司令官」

 

 左手の席に座る宇宙艦隊司令官に視線を向け、代わりに説明するよう顎を少し動かして指示する。宇宙艦隊司令官は席から立ち上がり、左手に持った書類を読み上げる。

 

「はっ、近くにいる宇宙軍第11遊撃艦隊と大口径の砲塔を持つ戦艦十八隻と護衛艦二十隻、軽空母五隻で編成された艦隊が敵侵攻部隊の標的にされる可能性の高い宇宙軍の最前線基地であるバースステーションへ急行中です。第11遊撃艦隊は連戦で疲れ切っており、今すぐ向かうことが出来ませんが、補給と補充を終え次第、急行させる予定です」

 

 言い終えた宇宙艦隊司令官は席に座り、司令官は頷き、対応戦力増加を進言する。

 

「そうか・・・攻勢用に取ってある宇宙軍と宇宙海軍から二個ずつ艦隊も動員しよう」

 

「それもそうですな。火消しの第11遊撃艦隊数とは言え、敵の数は多い。戦力を多くして勝敗を上げるしかないでしょう」

 

 幹部が納得した後、司令官は宇宙軍参謀に作戦の説明を告げる。

 

「参謀、作戦を」

 

「はっ」

 

 次に宇宙軍の参謀が立ち上がり、テーブルの中央にあるホログラムを起動させ、作戦の説明を始めた。ホログラムには、第1分隊の船団が中央に映し出され、その周りを包囲する形で連邦軍の艦隊が映し出されている。

 

 まず第11遊撃艦隊が、前線基地であるバースステーションの防衛部隊や艦隊と共に、ステーションを攻撃するのであろう遠征艦隊を迎撃する。交戦している間に、前線から引き抜かれた一個艦隊と、後方から来た攻勢の為に温存された戦力が第1分隊を包囲し、数の多さを生かした波状攻撃で押し潰す。幾度となく、領内に侵攻してきた敵対勢力に対しての連邦軍の包囲殲滅作戦だ。

 敵が自分の思惑通り動かなくても、それも考慮しての策も打ってある。殲滅戦と言うより戦術に近いのだが、敵がいつもと同じような行動を取るとは限らず、常に臨機応変に対応できる作戦を練らなければならない。

 

「いつもの包囲殲滅戦術か・・・敵が予想通り動けば、こちらが圧勝なのだがな」

 

 作戦の内容を聞いた司令官は、皮肉った口振りをする。それに対し、参謀は苦笑いしながら答える。

 

「そうなれば良いのですが。もし、失敗した場合は、四個艦隊で先頭の二万五千の遠征艦隊を包囲し殲滅。側面から攻勢用の部隊をぶつけます」

 

「いつもの数の多さで圧倒か。それと、中央星系群の群雄割拠に同盟軍がここ最近首を突っ込んでいるのだが。時空帝国が精神異常者共の勢力内のど真ん中で暴れ回ったことが原因か?」

 

 参謀の予備の案を聞いた後、司令官は同盟軍の動向について情報参謀に問う。

 

「はい。無視して構わない存在である時空帝国でも些か強力です。いきなり遙か後方である”ヴァルハラ軍”の領内に二百五十隻以上にも及ぶ大艦隊が現れましたからね。貧弱な中央星系国家群の兵力を十分に殲滅できます。彼等も中央に突然現れ、暴れ回れたら困りますからね」

 

 ヴァルハラ軍とは、通常のワルキューレの連邦・同盟双方の呼び名である。

 

「それもそうだな。頭が中世以下な魔法使い共にこちらの飼い犬にも敷地で暴れ回れたら困る。もし現れたりでもしたら、北に大攻勢だ」

 

 司令官が放った報復案に、全員が頷いた後、次の話題へ移る。

 

「後、テロ集団”X”の連中はどうしているか?」

 

 テロ集団Xとは、組織のことである。

 

「ここ最近、動きが活発です。我が軍を問わず、同盟軍やヴァルハラ軍、中央星系国家群を含め、無差別にテロや海賊行為を行っております」

 

 情報参謀から聞いた答えで、司令官は肘を机に付けながら事が落ち着いた後の対策案を口にする。

 

「相変わらず訳の分からん連中だ・・・それが他の植民世界でも行われているから厄介だな。事が落ち着いたら片付けるか。では、解散」

 

 司令官が解散を命じると、一同は立ち上がり、敬礼してから会議室を出た。

 その頃、方面軍司令部から火消しとして頼られている第11遊撃艦隊は、次元空間にて、管理局の次元航行艦から勧告を受けていた。

 

「アプト提督、時空帝国の次元艦艇が即刻当空域から退去せよと通告が」

 

 黒く塗装された艦艇で編成された第11遊撃艦隊旗艦戦艦シュプリンガーのブリッジにて、機器を操る通信員が中央に立つ大柄な男に報告する。

 この男こそ、第11遊撃艦隊通称”黒槍騎兵隊(シュヴァルツ・ランツェンライター)”提督フリッツ・アプト宇宙軍中将だ。

 

「こう返答しろ。”俺のケツを舐めろ”とな」

 

「はっ、”俺のケツを舐めろ”」

 

「提督、彼等にそれが通じるかどうか分かりませんぞ?」

 

「通じなければ相手は怒るもんだ。それにここは俺達の敷地内だぞ」

 

 副官の男の問いにそう告げたフリッツは、管理局の次元航行艦が居る方向へと視線を向けた。フリッツの言ったとおり、次元航行艦はアルカンシェルと呼ばれる大量破壊兵器を起動しようとする。これは紛れもなく下品な返答で怒りを表している証拠だ。

 

「どうやら意味も分からなかったらしいな、魔法使い共。全艦に通達、相手は標的艦だ。どちらがここの主か思い知らせてやれ!」

 

「はっ!砲雷長、砲撃戦開始!」

 

『はっ!砲撃戦用意!!』

 

 誰がここの領主か分からせるため、フリッツは艦長に攻撃を命じた。管理局の次元航行艦を射程距離に捉えている駆逐艦、巡洋艦、戦艦は砲身を標的に向ける。次元航行艦は艦隊の大半を消し去るほどのアルカンシェルがあるが、チャージに時間が掛かる。

 その点黒槍騎兵隊の主砲には、それだけのチャージは一切掛からない。凄まじい数の強力なビームやレーザーが一斉に放たれ、一直線に次元航行艦へと飛んでいく。集中砲火を浴びた次元航行艦は瞬く間に次元空間の塵と化した。

 

「ふん、そう言う強力でチャージが必要な兵器は予めチャージをしておく物だ」

 

 落ちていく残骸を見て、フリッツは返事も出来ない相手に対して吐き捨てた。次元航行艦を一隻塵へ変えた黒槍騎兵隊は次元空間から宇宙空間へ出て連邦領内へ戻ろうとしたが、通達が入った。

 

「提督、方面軍司令部より打電。補給と修復、損失した補充を受け次第、至急、ヴァルハラ軍の攻撃目標にされた前線のバースステーションへ向かえとのことです」

 

「なにぃ!我々に過労死しろと言うのか!?度重なる転戦で兵員はクタクタで、休息が必要なのだぞ!」

 

 方面軍司令部から来た指令に、フリッツは怒りの声を上げた。彼等黒槍騎兵隊は度重なる転戦で疲れ切っており、将兵等の披露もかなり蓄積していた。

 

「手元に残っている余剰戦力を差し向ければ良いではないか!なんでわざわざ連戦を終えた我々を向ける?」

 

「おそらく、攻勢の為に無駄な損害は出したくないのでしょう」

 

 不満げなフリッツに、参謀が方面軍司令部の考えを伝える。この答えを聞いたフリッツは、大きく舌打ちをした後、方面軍司令部に対しての不満を漏らす。

 

「俺に殴られたことを未だに根に持っているのか」

 

「補給部隊並び整備部隊がランデブーポイントを示していますが?」

 

「分かった。直ぐに行くと伝えろ」

 

「はっ」

 

 通信士の知らせに、フリッツは直ぐに指示を出した。

 

 

 

 一方、前線基地であるバースステーションに向かうはずの第9遠征軍の第1分隊であったが、攻撃するのは別の宇宙艦隊である。これで方面軍司令部の予想が大いに狂ったことになる。宇宙揚陸艦バルキュリャのブリッジでマリは、第1分隊とは違う別の艦隊が艦載機を発進させる別の艦隊を見てノエルに問う。

 

「ねぇ、私達は攻撃しないの?」

 

「弾薬とエネルギーを節約するためです。あの艦隊のその為に攻撃してます」

 

「そう、手伝おうかしら?」

 

「勝手なことはしないで下さい。それと、服を着てください」

 

 ノエルは顔を赤らめながらマリを注意した。その彼女の服装は、スポーツブラにスパッツという完全なる下着姿だ。ブリッジ内に居る全員が呆れ返るか、顔を赤らめている。

 

「いいじゃない。この船は女の子しかいないからさ」

 

「規律が乱れるから駄目です。男性の方が乗艦してくる可能性があるんですから・・・自覚を持ってください」

 

「はい、は~い。軍服着てきますよ~」

 

 生返事をしてからマリはブリッジを出た。通路を歩けば、行く先々で出会う乗員達がマリの滑降を見れば、顔を赤らめ、冷めた表情をしている。自室へ辿り着くと、クローゼットの中にある宇宙軍用の軍服を取り出し、それを身に着ける。

 軍服は黒い船内勤務服であり、上着の両襟と両肩には少佐の階級章が付けられており、下は膝を覆うくらいのスカートだった。部屋を出たところで、マリは戦況を確認すべく、待機室まで向かう。行き先々で出会う船員達の服装はマリと同じく黒の勤務服だが、違いはズボンが何名かが居る。

 何名かは勤務服を改造しており、ミニスカートの者も居た。途中、豊満な胸を見せ付けるために大胆に開け、色白な太腿を見せびらかすようにミニスカートを履いた色気を漂わせるエメラルドグリーンの瞳を持つ茶髪の美人船医が現れた。

 

「ハロー、少佐殿。ここで一回イッておきますぅ?」

 

 妖艶な笑みを浮かべつつ、マリを誘おうとしている。足を止めたマリは、美人船医の言い分でも聞こうと立ち止まる。

 

「この艦は男の方が居なくて・・・それにメガミ人も居ないし・・・前の艦で問題起こしちゃったから嫌われているのかしら?」

 

 どうやら美人船医は性欲の強い異性愛者のようで、女性しか居ないバリキュリャに配属されたことが不満なようだ。その為か、性別は女性しか居ない物の、一万に一人当たり男性器に似た生殖器を持つメガミ人を探していた。

 

「貴方・・・そんなに美人な所を見ると、メガミ人?ちょっと”生えてる”か見せてくれない?」

 

 美人船医はマリにメガミ人の希に生えている生殖器があるかどうか確認すべく、彼女のスカートのファスナーに手を伸ばす。同性愛者のマリであるが、この場で下着を脱がされるのは嫌なのか、彼女の手を払った。

 

「ちょっと!ここで脱がすつもり!?」

 

「良いじゃなですか。周りのことがどうでも良いくらい気持ちよくさせますよ」

 

「そんな気分じゃないの!」

 

 しつこく迫ってくる美人船医に対し、マリは押し倒す。床に尻餅をついて倒れ込んだ美人船医はマリを睨み付けてくるが、押し倒した彼女は再び格納庫へ向かった。

 格納庫の待機室へ着くと、様々な年齢の整備兵達が上のモニターを見て、バースステーションにおける戦況を確認していた。整備兵達の中に士官や防空要員のパイロットまで混じっていたが、マリは気にすることはしなかった。

 攻撃を敢行する艦隊の大型宇宙空母から多数の艦載機が発進し、バースステーションへ編隊を組みながら飛んでいく。バースステーションに居る連邦軍は防衛用艦隊が既に発進して迎撃準備が済んでおり、空母や搭載できる艦艇から多数の艦載機が迎え撃とうと出て来る。数秒後には、発艦した両軍の艦載機同士の交戦が始まる。

 

「私達はなんにもしないのかしら?」

 

 モニターに映る戦闘を見ながら、マリはそう呟いた。マリが整備兵やパイロット達と戦闘の様子を見ている頃、ブリッジでは遠征艦隊の提督であるデリア・フォン・ブランシュバイクから直々の司令が来た。

 

「艦長、提督より命令です。バルキュリャは速やかにバースステーション攻撃の支援に向かえとの事です」

 

「えっ、ロデリオン分艦隊総員じゃないの?」

 

「はい、我が艦だけで向かえと・・・」

 

 通信統括を通してきた提督直々からの指令に、オロンピアは戸惑う。

 

「速過ぎる・・・!もうあの人を・・・」

 

 同じくこの場にいたノエルもやや戸惑っていた。オロンピアが迷っていると、艦隊旗艦からの通信が入ってくる。

 

「ブランシュバイク大将、これはどういう事で?」

 

 突然来た通信に、ノエルはモニターに映るデリアに問う。

 

『この指令は貴官等特務艦バリキュリャの乗員の実力を図るための物である。それにちゃんとロデリオン分艦隊指揮官の許可も取ってある。カラマンリス少佐、直ちに命令を執行せよ。拒否する場合は周囲にいる僚艦がその艦を拿捕し、乗員等を拘束する』

 

「しゅ、周囲の僚艦がこちらに砲を向けております!それに揚陸艇を発艦させるような行為も!」

 

「む、無茶苦茶じゃない・・・こんなの・・・!」

 

 拒否権すらない指令にノエルは困惑する。周囲の僚艦は提督の指示を受けてか、砲身をこちらに向け、揚陸艇の発進準備もしていた。戸惑うブリッジクルー達に、デリアはさらに追撃を掛ける。

 

『どうした?直ぐに執行しろ。少佐。後三分で執行しない場合、揚陸艇が強制的にバリキュリャに乗り込んでくるか、僚艦が撃ってくるぞ?刑務所で暮らしたくなければ命令を遂行しろ』

 

 威圧感満載のデリアの指示にオロンピアは暫く俯いた後、命令を遂行した。

 

「90度回頭、本艦はこれよりバースステーション攻撃部隊の支援に向かいます!戦闘ブリッジへ移動!デフコンレベル1発令!」

 

「はっ、90度回頭!」

 

「総員、第一戦闘配備(デフコンレベル1)発令!繰り返す、第一戦闘配備(デフコンレベル1)発令!!」

 

 艦長の指示に航行統括が舵を動かし、船体を戦闘が行われている方向へ向ける。副官は艦内放送を使って戦闘配備をバリキュリャの乗員達に知らせた。放送を聞いた乗員達は戦闘配備につき始める。

 被弾を避ける為か、ブリッジは下へ移動して戦闘指揮所と一体化した。着いたと同時にノエルは京香を含む部下達が居る戦闘指揮所の方へ移動し、席に着く。マリが居る待機室でも、知らせが入り、整備兵とパイロット達は慌ただしく動き始める。

 

『総員戦闘配置!繰り返す、総員戦闘配置!』

 

「防空要員は所定の配置に急いで!」

 

「ダメコン要員は速やかに所定の位置へ!」

 

 アナウンスとサイレンが流れ、士官が指示を飛ばす中、マリは歩きながら状況を眺めていた。

 

「あぁ~、一発しとけば良かったかな?」

 

 先の船医と「情を交わしておけば良かった」と後悔するマリであったが、既に艦内は戦闘態勢に入っている。途中で走っている眼鏡を掛けた三つ編みの整備兵を捕まえ、自分が乗る機体のことを問う。

 

「ねぇ、私の機体は何処?」

 

「あちらです!」

 

 指差した方向には、前進翼の戦闘機が置かれていた。

 

「戦闘機って、ロボットとか置いてないの?」

 

「可変戦闘機VF-19Aエクスカリバーです!多分、バルキュリャが戦闘宙域に着く頃には動かせるようになってるかと!」

 

 そうマリに報告した整備兵は、自分の配置に着くために彼女から離れた。これを聞いたマリは、子供が悪戯を思い出したかのような表情を浮かべ、待機室でパイロットスーツを調達した後、先の美人船医が居た医務室近くの通路へ向かった。

 通路でもアナウンスやサイレンも聞こえ、こちらも慌ただしく乗員達が行き交えしている。性欲が強い美人船医を探していると、不満げに所定の位置へ着こうとする彼女を発見した。

 

「砲兵は砲座へ急げぇ!」

 

「あらぁ~、戦闘配置ぃ?捕縛でもされたら、連邦軍の捕虜にかしらぁ?」

 

 短機関銃を抱えながら怒号を飛ばす士官の近くに居たよからぬ事を呟く女医の肩を掴む。

 

「なに?あぁ、あんたさっきの!ちょっと、なにすんのよ!」

 

 振り返った女医はマリの顔を見るや、先程の文句を付けてやろうかと思っていたが、彼女は人気のない場所へ連れ込む。走りながら移動している乗員達が一人も来ない場所まで女医を連れ込むと、マリは彼女の開いた胸元を肌いた。たわわに実った乳房が豪快に揺れ、露わとなり、マリに壁に押し付けられる。

 

「ちょ、あんた・・・こんな一大事の時に何を考えて・・・!?キャッ・・・!」

 

 女医は襲おうとするマリに対し、抵抗しようとするが、彼女に乳房を舐められ、声を出してしまう。

 

「ちょっと、こんな所で・・・する・・・あぁ!」

 

 空いている手でマリを離そうとするが、マリに組み伏せられる。

 

「これが欲しかったんでしょ?さっきの発情ブリはどうしたの?雌豚」

 

「いやっ、ちょっと・・・!まっ・・・!」

 

 罵倒してからマリは乳房への刺激を再開する。乳房だけではなく、首筋まで舐め、女医から抵抗の意思を奪っていく。

 

「大きいわね・・・それにここもあそこも結構良い具合に良いし。どれだけ男と遊んできたのかしら?」

 

「きゃっ・・・!」

 

 自分を引き離さないと確認したマリは、両手で女医の色気を漂わせる身体のあちこちを撫でますように触り始める。マリの触り心地が器用であるため、堪らずに声を上げる。

 

「時間掛けてる暇ないや。ねぇ、出撃前に一発したいだけど、やらせてくれる?」

 

 スカートを脱ぎ、マリは妖艶な笑みを浮かべ、自分のショーツを見せ付けながら女医に性交渉を望む。途中で中断されては不満なので、女医はマリの望みを受け入れた。

 数十分後、移動した医務室で性行為を終えて満足したマリは脱ぎ捨てた肌着や下着は身に着けず、そのままパイロットスーツを着込み、部屋を出た。

 

「一回イクのに時間掛かっちゃった!急がなきゃ!」

 

 彼女が出て行った医務室のベッドの上には、艶やかな肌を輝かせる息を荒げる一糸纏わぬ女医の姿があった。走りながらパイロットスーツを着込んだ後、格納庫へと急いだ。

 

「なにしてたんですか!艦載機は発進命令が出てるんです!もうVF-19Aの発進準備は整ってますよ!!」

 

「分かってるわよ!マニュアル、持ってきて!」

 

「はい!」

 

 情を交わしている間に発進準備が既に整っていたようで、整備兵がマリを注意した。

マリはVF-19Aエクスカリバーと呼ばれる可変戦闘機のコクピットへ乗り込み、整備兵が持ってきたマニュアルを受け取って、それを読み始める。心配になった整備兵は、マニュアルを読み込むマリに問う。

 

「VF-19Aの乗り方、分からないですか?」

 

「そうよ。だから説明書を・・・」

 

「そんなんで大丈夫なんですか?もうすぐ発進ですよ」

 

「大丈夫よ。戦闘機なんてみんな同じでしょ?」

 

 マニュアルを途中で読むのを止め、ヘルメットを被ったマリはそう答える。呆れた整備兵はコクピットから離れた。

 

「はぁ~、どうなっても知りませんよ」

 

 整備兵が機体から離れると、マリはキャノピーを閉め、車輪(ホイール)でカタパルトまで機体を進める。カタパルトまで着くと、機体がシャトルに固定され、後ろから噴射防止用の柵が出て来る。熱核反応ターボエンジンのスラスターからが火を噴くと、右手にあるデジタル標識がカウントダウンを始めた。

 その間にマニュアルで発艦の仕方を覚え、操縦桿を握る。カウントダウンが0と表示されると、マリはVF-19をバルキュリャから発艦させた。

 

「あそこに花火みたいに点いたり消えたりしてる方へ向かうのね」

 

 戦闘が行われている方向を見たマリは、そこへ向かった。後方を確認すると、後から発艦したマリが乗っているのと同じVF-19が三機ほど見える。動きがおぼつかない事を察するに、一般兵士用に調整されたF型であろう。

 戦闘宙域まで近付くと、早速連邦宇宙軍から歓迎を受けた。

 ラウンドムーバーと呼ばれる十二基の小型バーニアを装備したATM-09-STスコープドック数機が、ヘビィマシンガンをマリのVF-19へ向けて撃ってきた。

 

「あの小さい奴ね・・・余裕!」

 

 ガトリングガンポッドで進行方向にいる敵機を蜂の巣にした。スコープドックの集団の中を抜けた後、バトロイドと呼ばれるロボット形態に変形し、全機を手に持ったガンポッドで一掃する。爆発したのは七機であり、先程の一機を含めれば八機となる。数秒足らずで八機も撃墜したマリであったが、休む暇もなく、連邦軍の敵機が次々と襲ってくる。

 

「今度は大きいのが・・・」

 

 ビーム攻撃を避けつつ、敵機がRGM-89ジェガンJ型と分かる。三機編隊で襲ってくるジェガンに対し、ガンポッドを牽制用に数十発撃ってからファイター形態に変形して一気に懐まで入る。

 懐に入れば、三機は直ぐにバルカン砲を撃ったり、ビームサーベルを抜いたりするが、ピンポイントバリアと呼ばれるバリアを右手の拳に溜め込み、バルカン砲を撃ってくるジェガンに叩き付けた。

 コクピットに叩き付けた為、爆発は起こらず、やられた敵機は機能を停止して宇宙に放流していた。残りの二機がビームサーベルで斬り付けてくるが、マリは余裕で避け、持っている右腕を蹴り付け、サーベルを奪って両機とも逆に切り裂く。爆発する前にファイター形態で離脱し、乱戦状態の中を突っ切りながら、バースステーションへと向かう。

 途中、何機かの敵機が襲ってきたが、ガンポッドで堕とせる敵機だけに撃って、突破を図ろうとする。戦闘機や人型兵器、駆逐艦、巡洋艦同士による乱戦状態の中を突っ切ると、今度はバースステーション防衛艦隊が立ちはだかる。主な艦艇は戦艦に護衛艦、正規空母に軽空母であり、駆逐艦や巡洋艦の類は全て最前線に出ているようだ。

 

「凄い数ね・・・突破しがいがあるわ・・・!」

 

 そう意気込むと、ファイター形態で迎撃に来た戦闘機やハーディガン、MS、ATを避けながら、敵艦隊へ突っ込んだ。艦砲射撃を行う艦隊から多数の迎撃用のミサイルが発射される。迎撃に来た敵機は直ぐさま離れようとするが、離れるのが遅すぎて巻き込まれてしまう。

 

「どんだけミサイルを撃ってくるのよ!」

 

 後ろから来る無数のミサイルが追い掛けてくるのを見たマリは回避すべく、フレアを使うが、フレアの量を遙かに上回るミサイルで無駄になる。仕方なく、自分が興味を抱いたマニュアルに載っていた高速移動で起動しながらの回避で、ミサイルから逃げ切ることにした。高速で複雑な機動をしながら回避しているので、凄まじいGがマリの身体を襲った。

 

「これ・・・!結構キツい・・・!」

 

 凄まじいGに耐えながら、マリはキリがないほど追ってくるミサイルを避け続けた。艦隊まで近付くと、大多数の艦艇が対空砲による弾幕を張ってくる。対空弾の雨の中を、マリはミサイルを避けながらお構いなしに突っ込む。

 通り過ぎた戦艦のブリッジからその様子を見た艦長は「正気か!?」と叫ぶ。対空砲を撃ちまくる大艦隊の中を駆け抜けつつ、ホーミングミサイルに追われながら、彼女は旗艦と思われる全長1000m級の大型戦艦のブリッジへ目掛けて飛んだ。

 

「敵機、来襲!!」

 

「撃ち落とせぇ!!」

 

 艦長が叫び、旗艦の対空砲の弾幕が厚くなるが、マリのエクスカリバーは恐るべき機動力で避ける。

 

「来ます!!」

 

「うわぁぁぁ!?総員退避!!」

 

「た、助けてくれぇー!!」

 

 ブリッジに向かってくる敵機を見た艦長は退避を命じた。提督は一目散に逃げようとする。だが、マリはブリッジへ激突する瞬間にガウォークと呼ばれるファイターとバトロイドの中間形態に変形して衝突をギリギリ避け、再びファイター形態に変形し、バースステーションを目指す。

 

「ミサイル接近!!」

 

「もう間に合わん!!」

 

 当然ながら、彼女をしつこく追い回していたミサイルは旗艦のブリッジへ続々と命中した。残ったミサイルは艦首や船体に当たり、旗艦を撃沈させた。

 

「ヒュー、本当に上手く行くなんて・・・」

 

 どうやら、当の本人は敵のミサイルで敵の旗艦を沈めるという行為が失敗すると思っていたようだ。防衛艦隊の退いた防衛ラインを突破したマリは、バースステーションへ直行する。

 

「敵可変機に防衛ラインを突破されました!」

 

「旗艦が撃沈したことにより、戦線が混乱しております!」

 

「馬鹿な!たった一機でこの様なのか・・・!」

 

 初老のステーション司令官は次から次へと来る報告に焦りを積もらせる。

 

「わしが司令官の時にこの難攻不落のバースステーションが落ちるというのか!」

 

「防衛艦隊は壊滅状態です!敵攻撃部隊がステーションに接近してきます!!」

 

「防衛艦隊が援軍を求めてきてます!」

 

「こちらに引き下げろ!守備隊と共に迎撃させるんだ!」

 

『もう駄目だ!突破される!!』

 

「可変機、接近!迎撃機が全て撃墜されました!」

 

 落ち着く間もなく次々と来る報告に、司令官は決断を決めた。

 

「クソ・・・!守備隊を出せ!ガチンスキー戦隊のセイバー局地戦闘機隊とMS隊を差し向けてあいつを堕とすんだ!」

 

「し、しかし、たかが一機の可変機に、局地戦闘機とMSを一個中隊も送るのはどうかと・・・」

 

「喧しい!奴はエースだ!!直ぐに実行しろ!もうすぐ増援が来る!」

 

「わ、分かりました・・・守備隊発進!ガチンスキー戦隊は例の可変機を迎撃しろ。他の守備隊は押し寄せてくるヴァルハラ宇宙軍の迎撃だ」

 

 隣に立つ副官の疑問に対し、怒鳴り付けて黙らせ、指示を実行させた。

 UNSCのYSS-1000セイバー局地戦闘機が、専用の発射施設から続々と発進していく。

 連邦軍の可変系MSであるRGE-G2100クランシュ十二機編成中も、他の機体と共にカタパルトから発進する。

 性能は優れているが、ワルキューレのパイロット達とは違って連邦軍のパイロット達はそれなりの練度がなければ可変機構を使いこなす事は出来ない為、主に練度の高いパイロットが乗る。

 護衛艦も出て来て迎撃に向かう中、セイバー局地戦闘機30機とクランシュ隊が配備されているガチンスキー戦隊は、マリのVF-19が飛び回る方向へ向かう。

 

「動きが優れてる・・・あいつ等ともやり合いながら行くしか無いわね」

 

 向かってくる高い練度を誇るガチンスキー戦隊に対し、マリは凄まじい弾幕を浴びせてくるバースステーションへ全速力で向かった。それに合わせ、ガチンスキー戦隊のパイロット達が追ってくる。

 

「しつこいわね・・・!」

 

 後部を確認し、味方の弾幕を器用に回避しながら追ってくるセイバーや戦闘機形態のクランシュを見て、そう吐き捨てた。ステーション本体へガウォーク形態に張り付き、追撃を掛けてくる敵機に反撃する。何機かは撃墜できたが、編隊は散会して、各個射撃で集中させる。

 

「精鋭の類じゃない!もう!」

 

 ガウォーク形態のまま、敵の編隊から壁を走りながら逃げ切ろうとした。外壁から砲塔が現れ、こちらに砲身を向けてきたが、マリは器用に回避し、ガンポッドを浴びせて破壊する。弾薬が切れれば、即座に再装填を行い、追ってくる敵機を撃つ。流石に二度目は通じないのか、避けられてしまう。

 次にガチンスキー戦隊はセイバー局地戦闘機にはミサイル、人型形態に変形させたクランシュにドッズライフルを撃ってきた。凄まじい集中砲火で大爆発が起こり、マリが乗ったVF-19が見えなくなる。

 

「やったか?」

 

 クランシュに乗ったパイロットが呟くと、爆煙の中から弾幕が現れ、呟いたパイロットが乗るクランシュが蜂の巣になって大破する。その隙にファイター形態に変形し、ステーション内部の侵入経路を探す。仕切り直してか、六機減ったガチンスキー戦隊は再び追ってきた。

 

「全くしつこいわね・・・あっ、見っけ!」

 

 偶然にも、十分に入れる侵入口を見付けたマリはガウォーク形態に変形させてそこへ入る。通路に入った物の、ガチンスキー戦隊のセイバー戦闘機は未だに尚追ってくる。MSのクランシュは諦めたようだが、自分等の施設内だというのにお構いなしに撃って来た。

 

「自分の基地だって分かっているのかしら?それならこっちも派手にやっちゃいおう」

 

 相手が撃ってくるなら、マリはマイクロミサイルを掃射した。辺りに飛ばされたミサイルは各部に命中し、ステーション内部に被害をもたらす。だが、この程度ではステーションを内部爆発は起こすことは出来ない。

 動力源にミサイルを当てる必要がある。そう考えたマリは、もっと奥まで機体を進める。相変わらず敵機はしつこく追ってくるが、何機か壁に激突して自滅する。

 進む度に道は狭くなっていき、追ってくる相手も壁に激突するか引き返すかしたのか、数は減る。

 

「あれね・・・」

 

 途中で壁をぶち破りながら進むこと数分後、ステーションの動力源まで辿り着いた。

 場所は開けており、ファイター形態でも飛び回れそうな場所だ。ミサイルを撃ち込もうとするが、流石にそこまで甘くないのか、迎撃のMSやATが撃ってくる。攻撃を回避しながら脚部の中型ミサイルを動力源にロックオンする。

 

「しっずめぇぇぇぇ!!」

 

 叫びながら操縦桿のボタンを押すと、脚部から中型ミサイルが一斉に放たれ、動力源に向けて飛んだ。ミサイルは全て動力源に命中し、爆発を起こし始める。

 

「やばっ!」

 

 マリは直ぐにステーションが爆発すると判断し、即座にファイター形態に変形し、元来た道に沿って脱出を行う。ミサイルを避けたと同じく高速で戻っているため、またしても凄まじいGが彼女の身体を襲った。途中に中型ハーディガンや小型ハーディガンが撃ってくるが、高速移動しているVF-19には全く命中しない。

 内部で連続爆発が起こる中、遂に出口が見えた。

 

「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

 叫びながらマリはアクセル全開で内部爆発を起こして崩壊するステーションを脱出した。脱出した後、機体をバトロイド形態に変形させ、大爆発を起こすバースステーションを眺める。

 

「ふぅー、一丁上がり」

 

 崩壊するバースステーションを見ながら、マリは飲料水を飲みながら一息ついた。ステーションを脱出した残存部隊は、続々と自分等の勢力圏内へと退いていく。未だに戦闘は続いているが、治まりつつある。

 

「もう少しで戦闘は終わりかな・・・」

 

 退却する連邦軍の部隊を見て、そう思い込むマリであったが、予想は覆された。連邦軍の勢力圏内から来た強力なビーム砲が、攻撃部隊のフリゲート二隻が同時に撃沈した。さらに強力なビーム砲やレーザーによる攻撃が連続して続き、攻撃部隊に更なる損害を与える。

 

「なにっ・・・!?」

 

 攻撃が来る方向を見ると、そこには1000mにも及ぶ超大型戦艦が十八隻程居た。強力なビームやレーザーを撃っているのは、大口径な巨大な十門はある主砲だった。

 

「はっはっはっ!見たか、ヴァルハラ軍!これが大艦巨砲主義だ!!」

 

 旗艦のブリッジにて、大柄の提督が超大型戦艦による艦砲射撃で沈んでいくワルキューレの艦艇を見て、叫んでいた。超大型戦艦の艦隊は主砲を撃ちながら、攻撃部隊に接近してくる。ワルキューレの艦隊は反撃を試みるが、戦艦の主砲すら弾く超大型戦艦の装甲の厚さを見て、引き越しとなる。

 援軍が現れたためか、防衛艦隊と守備隊の残存兵力が持ち直してきた。

 

「何これ、絶望的なじゃないの!」

 

 これを見たマリは無線機のチャンネルを動かし、情報を得ようとする。

 

『敵超大型戦艦・・・装甲は厚く・・・弱点は・・・ブースター・・・主砲の砲口・・・』

 

「弱点はブースターに砲口ね・・・!」

 

 弱点を得たマリはファイター形態に変形し、超大型戦艦の艦隊へ向かった。

 

「敵機が突っ込んできます!」

 

「馬鹿目、たった一機で我が無敵艦隊に挑むつもりか!大艦巨砲主義の力を見せ付けてやれ!!」

 

 向かってくるマリに対し、提督は迎え撃つ準備を命じた。そして、射程圏内にマリのエクスカリバーが入ると、大口径の巨大な主砲が火を噴いた。




大艦巨砲主義艦隊との戦闘は次回に持ち越し・・・それと第11遊撃艦隊とも・・・

~今回は中断メッセージ~

ただの次回予告。

現れし大艦巨砲主義を象徴した超大型戦艦ドレッドノート級。
果たしてマリは、艦隊を打ち破り、シュヴァルツ・ランツェンライターと交えることが出来るのか?
次回、レッヒャーVSシュヴァルツ・ランツェンライター。
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