復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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昨日言ったとおり、絶望回。

?「ゼツボー的な状況だぜ!」


勝てない奴。

 一方、連邦宇宙軍と宇宙海軍の連合艦隊は、左右に展開していた艦隊の壊滅を知る。

 

「こうもあっさりと予定が狂うとは・・・」

 

「残存兵士の証言に寄れば、敵は捕虜を取らず、放置してこちらへ向かっているそうです」

 

「クソォ、我々宇宙海軍も舐められた物だ。宇宙軍第28艦隊のクラフト提督に通達しろ。我が第7機動艦隊は当初の予定通り、第一次攻撃隊を敵艦隊攻撃に向ける。その間に貴官の艦隊に防衛を任せる」

 

「はっ!」

 

 予定が狂いも狂って少し焦るボムは、自分の予定表通り第一次攻撃隊を発艦させることにした。

 ちなみに機動艦隊とは通常の艦隊とは違い、艦載機を搭載する空母が主力の艦隊である。機動艦隊は大日本帝国海軍の航空艦隊を母体とし、創設された。言うなれば艦載機で敵艦隊にそれなりの被害を与える事を目的として編成された機体を目的地まで運ぶ艦隊だ。

 正規空母や軽空母から続々と対艦装備の航空機や艦載機が発進していき、偵察機から随時報告されるデリアの遠征艦隊の位置を聞き取りつつ、目標へと飛んでいく。数十万以上の艦載機が編成を組んで飛んでいくのを眺めていたメンは、第一次攻撃隊が一機も帰ってこないことを悟った。

 

「(敵の提督はかなりのやり手だ。可哀想だが、彼等は誰一人として帰ってこないだろう。もし私が指揮官であれば、彼等は無駄死にはしなかっただろうか?)」

 

 今の自分に第一次攻撃隊を救う権限がないことを悔やみながら、メンは参謀専用の席へ座り、艦隊戦の時を待った。攻撃に向かった第一次攻撃隊は偵察機からの情報得つつ、目的地へと急ぐ。

 

『敵艦隊二万四千九百九十四隻、依然として進路を変えず』

 

「なんだあいつ等、俺達を迎え撃つ気か?こいつは楽だ、第二次攻撃隊がトドメを刺したら一杯やろうぜ、みんな」

 

『ありがたいです、隊長。私も一杯頂きます』

 

「勝利に祝って乾杯だ!ハッハッハッ」

 

 前を飛ぶ隊長機は、戦闘が終われば一杯酒をくみ酌み交わすという約束を部下達にして陽気に笑うが、偵察機のパイロットの悲鳴を聞いて警戒する。

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

「どうした!?応答しろ、ガーゴイル4!クソォ、敵にやられちまったか!各機、散会しろ!遠距離ビームかレーザー、対空ミサイルのどっちかが来るぞ!!」

 

 切り替えた隊長は、直ぐに部下達に的確の指示を出す。指示通り部下達は散会し、射程距離に敵艦隊を捉える為に個別で接近を試みた。

 

 

 

「もう敵の襲来かよ!」

 

 競合師団の母艦であるオリフラームに敵部隊襲来の警報が鳴り響き、VF-25Aのコクピットでサンドイッチを食していた柿崎は慌ててサンドイッチを平らげる。各員のパイロット達も食していた物を平らげ、自機のコクピットへと乗り込んだ。簡要珈琲を口に含んだザシャも、機体のキャノピーを閉め、出撃を待つ。

 既に海軍の第一次攻撃隊は艦隊の接近に成功し、何隻かの艦艇に被害をもたらしていた。軽空母の飛行甲板の上では、ジムⅡ、ジムⅢ、VB-6ケーニッヒモンスターが襲来する攻撃機やMS、ハーディガンに対し、艦載機を堕とされないよう対空射撃に参加している。

 

『敵機襲来、対空要員は直ちに所定の位置に着け!繰り返す!』

 

「態と許したの?なにやってるんだか」

 

 コクピットの中で敵機襲来の報告を聞いたマリは、ハンバーガーを食べながら愚痴る。直ぐに出撃しようとするマリであったが、背中に装着しているパックは変わった物だった。

 このストライクパックの一種であるガンバレルストライカーであり、見た目は小型のMAがMSの背中に張り付いているように見える。そのストライクパックについて、マリは戦闘指揮所(CIC)に居るノエルに聞いた。

 

「ねぇ、後ろに付いてるの、なに?」

 

『あぁ、アレは陛下が空間認識能力を持っていると言うことでブラウンシュバイク提督がストライクと共に配備したオールレンジ攻撃用ストライクパックです。四基の有線式ガンバレルが・・・』

 

「説明は良いわ。兎に角漫画やアニメみたいな攻撃が出来るってことでしょ?まずは攻撃してる連中で試すわ」

 

『あっ、ちょっと、まっ・・・』

 

 ノエルが説明を始める前に、マリは通信を切る。射出機に両足を固定すると、電子パネルのカウントが0になるのを待つ。ハンバーガーを食べ終えたときにはカウントは0になっており、射出機がレールを勢いよく進んでいた。

 宇宙へと放出されると、フェイズシフト装甲を発動させ、攻撃隊の迎撃へと向かった。

 

「試してみようかしら?」

 

 早速ガンバレルシステムを試すことにした。複数の敵をロックオンしてからトリガーボタンを押すと、背中の四基のガンバレルが有線を伸ばしながら敵機へ向けて飛んでいく。標的にされた敵機は避けきることが出来ずに撃墜され、他の標的も次々と撃墜される。

 

「わーお、凄いじゃない!」

 

 ガンバレルのオールレンジ攻撃の威力を知ったマリは、次の敵機群を標的に捉える。それを五回ほど繰り返していると、物に出来るようになった。慣れた手付きで複数の敵を標的に捉え、マークした敵機を一気に数十機以上を撃墜する。

 

「な、なんだ・・・あの攻撃は!?」

 

 マリが乗っているガンバレルストライカーのオールレンジ攻撃で次々と堕とされる友軍機を見た海軍のパイロットは、視線を彼女の機体に寄せてしまう。注意力が散漫した為、柿崎に撃墜される。

 

「いただき!」

 

 避けることもなく撃墜され、ようやく敵機を撃墜することが出来た柿崎は大いに喜ぶ。

 

「これでようやく一機だ。よーし、次へ・・・あら?」

 

 そう意気込んでいた柿崎であったが、敵攻撃隊はマリ、ザシャ、エルミーヌ小隊、元ヴァンキッシャー隊の面々、他の部隊によって撃墜され、壊滅した後だった。攻撃隊を退けた柿崎を除くマリ達は即座に母艦へ戻り、補給を受ける。艦隊は確かに損害を負ったが、少々な程で戦闘には全く致傷はない。

 即刻機動艦隊の第二次攻撃隊が来る前に、連合艦隊へ向けて前進した。真っ正面から挑んできたデリアの遠征艦隊に対し、ボムは相手が無謀に挑んできたと思い、迎撃態勢を取らせる。

 

「敵艦隊接近!」

 

「馬鹿目、我々は七千隻の差があるんだぞ!第二次攻撃隊を直ぐに発艦させて返り討ちにしてやれ!!」

 

 舐められていると思って指示を出すボムであったが、五十代の女性宇宙軍将官であるクラフト提督に止められる。

 

『お待ちなさい。我々より少ない数で正面から向き合うとは、何か策がある証拠だわ。ここは慎重に・・・』

 

「それでは駄目だ!惑星アヌビスの住民は早期に戦闘が終わることを望んでいる。ここは我が軍の心強さを見せ、速攻で数と物量で圧すべきだ!」

 

 熟練の宇宙軍女性提督からの提案を無視したボムは、力押しの先制攻撃に出た。各艦艇が一斉射撃を行ってから艦載機を発艦させ、敵艦隊にぶつける。だが、こんな事でデリアを倒せるはずもなく、強力な反撃を受け、返り討ちに遭ってしまう。

 

「ば、馬鹿な!?数で優っているのは我々だぞ!!」

 

 一気に千隻以上の味方の艦艇を沈められたボムは、予想しなかった反撃で動揺を覚える。さらには攻撃に向かった第二次攻撃隊も先のマクロスキャノンやローエングリーンなどの強力な攻撃で全滅し、機動艦隊の防空戦力が大幅に低下する。

 

「第二次攻撃隊、強力なエネルギー砲により消滅!」

 

「敵攻撃隊、接近!」

 

「空母アダムスカ、ヨス、ウルサン、ハートマン撃沈!」

 

「クソォ・・・!何故だ!?敵は真正面から挑んでいるのに、何故我が連合艦隊が負けているのだ!」

 

 次から次へと来る報告に、ボムは刻々と悪化する状況に苛立ち、敵に向けて怒鳴り散らしていた。その原因は敵を侮って攻めた自分の命令であるが、本人はまだ気付いてはいない。未だに気付かぬまま、彼は悪戯に損害を出すような指示を出し続けた。

 

『ソールリーダーより各航空団へ。各員、損害に構わず前進せよ。繰り返す、損害に構わず前進せよ』

 

「無茶苦茶な指示だな・・・俺達を殺す気か?」

 

 大佐クラスの女性パイロットからの指示に、柿崎は不安に思う。対艦装備の攻撃隊を護衛する味方機の集団の中にいたマリは、遠くの方で敵機の集団が来ていることをモニターで確認する。

 

『11時及び一時方向から敵迎撃部隊の展開を確認。攻撃機を死守せよ!』

 

 隊長機からの指示が出ると、マリは攻撃機目掛けて突っ込んでくる多数の対空ミサイルを捕捉し、ガンバレルを放った。飛んできたミサイルの全ては全方位から来る攻撃で次々と撃ち落とされ、物の数秒で全滅した。次に宇宙軍艦隊の大多数の迎撃機が押し寄せてくる。

 

『敵機多数!』

 

『散会、散会!』

 

 通信機から味方機の声が聞こえ、機動兵器同士がぶつかり合う乱戦状態へと突入する。マリのストライクガンダムにも三機のジェガンが襲い掛かってきた。ビームライフルで瞬時に一機目を撃破し、コンマ台で二機目を撃破、三機目もライフルで撃墜した。

 一気にMS一個小隊程を宇宙のデブリに変えたマリだが、敵の戦力は海軍の機動艦隊を含めてまだまだ上回っており、叩いても出て来る。

 

「前とは違って結構多いわね」

 

 レーダーに映る多数の赤い点に、マリは思う存分暴れられると思い、ガンバレルを展開して、多数の敵機を撃ち落とす。ザシャ達競合師団の方にも大多数の敵機が襲来し、雨のようなビームやミサイル、その他諸々を浴びせてくる。何機かは被弾するが、実戦慣れした彼等はそれらの攻撃をかいくぐり、敵機に食らい付く。

 Gキャノンの間近に接近したタン色のVF-25Aはシールドから出したコンバットナイフでコクピットに突き刺し、パイロットを殺す。融合路が停止した敵機を突き放してからファイター形態に変形して、他の僚機と共に集まっている敵機に襲い掛かる。

 

「よし、やった!てっ、うわぁぁぁ!?」

 

 一機を撃墜した柿崎であったが、ファイター形態のままジェノアスⅡに取り付かれ、ビームサーベルで刺される寸前だ。そんな彼は叫び声を上げて死を覚悟する柿崎であったが、小隊長になったエッカルト・アンシュッツ准尉が乗る青色のVF-25Fに救われる。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

『敵を墜としたと思って油断するな!敵はまだ居る!!』

 

「済みません!以降気を付けます!!」

 

 通信用のモニターに映る青年からの注意に、柿崎は謝罪して周囲に気を配ることを心懸ける。

 

「ゴールドカンパニーリーダーより各機へ。あのヒヨコマークを包囲しろ!奴は弟の敵だ!!」

 

 連邦軍の中隊長機は、弟の仇を取るために部下達にザシャのVF-25Aを包囲するよう指示した。直ぐに部下達はザシャ機を包囲して一斉射撃を掛けようとするが、彼女は包囲網を突き抜け、機体をバトロイド形態に変形させ、背中を向ける中隊分の敵機を全て捕捉し、マイクロミサイルを発射する。

 

「なにぃ!?しまっ・・・!」

 

 中隊長が言い終える前に、マイクロミサイルを受けて撃墜され、残る部下達もミサイルにやられるか、ガンポッドで撃墜される。

 

「な、何て奴だ!本当にあんなマークを付けてる奴なのか!?」

 

 ザシャの攻撃から脱出したパイロットは、鬼神のような強さを持つパイロットが、愛らしいヒヨコのマークを付けていることが信じられないでいる。そのパイロットは千鶴機の接近に気付かず、ガンポッドで撃墜される。

 

「敵機撃破」

 

『凄い!これで五機目ですよ!エースですよ!千鶴ちゃん!!』

 

「そんなに騒がなくても良い」

 

『すすす済みません!』

 

 無駄にテンションの高いチェリーに一言告げると、怒られてもいないに彼女は勝手に慌てて謝りだした。この合間にペトラは一気に三機以上をマイクロミサイルで撃墜していた。

 

「これで七機目、隊長の方は二十機ばかりは墜としてるけど」

 

『凄いですね隊長。下手すればトップクラスになっちゃうくらいです』

 

『でも、風来坊の金髪巨乳の人が、隊長に匹敵するほどの撃墜数を稼いでいる・・・』

 

「本当にそうね。初の実戦でヤバイくらい撃墜しまくってるし」

 

 戦闘中にマリの事で話題になっていると、コルベットが二隻ほど前に出て来た。

 

「なにやってるの!?コルベットが来たから直ぐに散会して!」

 

『あっ、了解!』

 

『キューケン3、了解」

 

『キューケン4、了解!』

 

 ザシャからの注意に、部下達は直ぐに散会し、コルベットを同時攻撃して撃沈させた。

 

「格闘戦は得意中の得意だ!やったるでぇ!」

 

 連邦宇宙海軍の軽空母に取り付いた柿崎は、シールドから出したコンバットナイフを振り回しながら、砲台代わりになっている対艦無反動砲を装着したダガーLに斬り掛かった。二門ある砲身の一本を切り落とし、最後は同隊に突き刺して蹴り離す。蹴り離された敵機は爆発、それを見た柿崎は大いに喜ぶ。

 

「おっしゃー!やったでぇ!」

 

 見事敵機を撃墜した柿崎であったが、後ろから敵機の攻撃を受けて甲板に倒れる。彼を後ろから攻撃した敵機は、ジョン機のガンポッド攻撃によって撃墜された。ハンガーから出て来る敵を全て破壊したジョンは、通信で柿崎が無事かどうかを問う。

 

『大丈夫か、デカ男』

 

「イテテ、余所見しちゃいましたけど、大丈夫であります!曹長殿!」

 

 モニターに映し出されたジョンに対し、柿崎は敬礼しながら答える。その後戦闘はデリア率いる遠征艦隊が優勢となり、宇宙軍と宇宙海軍の連合艦隊は悪戯に犠牲者を増やした。

 

「なんてこと・・・!各艦、応戦しながらアヌビスの衛星軌道上まで後退しなさい!」

 

 第43艦隊提督は、これ以上の損害を出さぬ為に自分等の後方にある惑星アヌビスまでの後退を命じる。この指示に対して副官が異議を唱えた。

 

「提督、惑星アヌビスの衛星軌道上の戦闘は控えた方が・・・!」

 

「こんな時にそんなことを言っている場合か!死にたくなかったら直ぐに指示を実行しなさい!」

 

「あっ、はっ!!」

 

 直ぐに部下達は老練な女性提督からの指示を実行に移す。ボムの第7機動艦隊もそれに釣られて後退を始めた。

 

「宇宙軍第43艦隊、応戦を続けながらアヌビスへと後退しております!」

 

「クソォ・・・!自分だけ逃げるつもりか?!宇宙軍の艦隊と共に後退せよ!」

 

「アイアイサー!」

 

 連合艦隊は後退しながら応戦を続けるが、損害は増えるばかりで、対して変わらない。デリアは更なる追い打ちを掛けようと、追ってくる。

 

「惑星から援護射撃をしてもらうつもりか?各艦艇前進!撃滅せよ!!」

 

 席から立ち上がって指示を飛ばすデリアに従い、各艦艇は前進を始める。マリの母艦であるバルキュリャがある女性のみで編成されたロデリオン分艦隊も長を務めるピーチは、席から立ち上がって叫んでいた。

 

「撃て!逃がすな!敵を全て殲滅しろ!!提督からの指示だ!!」

 

「この人、煩い・・・」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ・・・なにも・・・」

 

「では、早く敵を追い掛けて叩きのめせ。我が分艦隊は他とは違って成果を殆ど上げてないのだぞ」

 

 隣に立っている副官の若い女性が小声で呟いたが、ピーチは突然落ち着いて自分等が殆ど成果を上げていない事を気にし始める。

 

「他より先に我々が一番乗りだ、巻き返していくぞ。各艦良いな?」

 

『はっ!』

 

「よし、全艦前進!敵艦隊が停止したら、めいいっぱい強力なのをお見舞いしてやれ!」

 

 返答を聞いたピーチは意気込み、手を翳して指示を飛ばした。ロデリオン分艦隊の攻撃が激しさを増し、連合艦隊は更なる損害を出す。惑星アヌビス衛星軌道上まで後退した連合艦隊は惑星軍からの援護射撃を受けたが、遠征艦隊を追い払うことは出来なかった。

 

「小賢しい。払い下げの旧式兵器がなんだというのだ。宇宙軍の旗艦に集中砲火だ」

 

 デリアが命じれば、宇宙軍艦隊旗艦が居そうな場所へと砲身が向けられ、集中的な砲撃が始まった。標的にされた旗艦を守ろうと装甲の厚い艦艇が盾となるが、余りにも強力な攻撃で沈み、提督が乗る旗艦は沈められてしまう。

 

「第43艦隊旗艦アスガルド撃沈!」

 

「友軍艦隊の指揮系統が崩壊!混乱しております!!」

 

「戦線が崩壊しております!このままでは危険です!」

 

「なんたることだ!作戦が台無しではないか!」

 

 友軍艦隊の混乱により、戦線も崩壊して作戦続行が不可能となり、ボムは机を叩いて苛立つ。

 

「レーザー砲、当艦に来ます!」

 

「回避しろ!」

 

「間に合いません!」

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 さらに悪いことに、彼が乗る旗艦呉にも強力なレーザー砲が擦り、船体を大きく揺らす。その衝撃は凄まじく、ブリッジクルー達はバランスを崩して床に叩き付けられ、負傷する。特に提督であるボムは他のクルーとは違って強く頭を打ち、意識が朦朧してまともに指揮が取られないほどの重傷だった。

 

「て、提督!大丈夫でありますか?!」

 

「う、うぅ・・・そうか・・・ヴァルハラ軍の艦隊には強力な、強力な兵器を持つ艦艇・・・それに恐ろしい才能の提督が・・・私では、敵わない・・・」

 

「提督!船医と医療班はまだか?!早く来させろ!!それと戦線の維持を!」

 

 朦朧した口調で敵の提督が自分より遙か上を行く指揮官と語る中、副官はボムを看護する。船医と医療班が来ると、真先に重傷の者達からの応急処置を始め、ボムのその一人なので直ぐさま出血している頭部の傷口に止血剤を塗られた後、包帯を巻かれた。応急処置が完了すれば担架に乗せられ、他の重傷者と共に医務室まで運ばれる。

 軽傷な者達は影響がないほどであった為、適切な応急処置を受けて戦線復帰した。だが、指揮官が不在となり、副官も腕の骨を折るほどの重傷であった為、艦隊を指揮する提督代理は居なかった。このままでは艦隊の士気崩壊速度は増し、いずれは混乱状態になって敵から一方的になぶり殺しにされるのは目に見えている。

 そこで軽く突き指した程度のメンが士官帽を被り直して提督の席に立つ。

 

「何故参謀の貴様がそこに立つんだ?」

 

 提督代理を務めようとする艦長が問うが、メンは謝罪してから自分が適切だと答える。

 

「失礼だと思いますが、艦長。ここは一つ私に任せて貴方はこの艦を生き残らせるのに努めて下さい。絶対に私が貴方を無事に家族のお顔を見せられるよう努力します」

 

「な、何を言って居るんだ・・・貴様は・・・!?」

 

 理解が出来なかった艦長はまた問うが、メンが口を動かさずにウィンクして「信じて」と告げてきたため、彼に任せることにした。

 

「わ、分かった・・・本当に俺達は助かるんだな?」

 

「えぇ。必ず貴方のご家族に生きて会わせます」

 

 そのメンの言葉を信じて、艦長は艦隊の指揮権を彼に委ねた。艦隊の指揮艦となったメンは受話器を取り、この戦場で戦う全ての艦艇に告げる。

 

「全艦に告ぐ、こちらは宇宙海軍第7機動艦隊参謀メン・ロン中佐だ。ただいま本艦がこの連合艦隊の指揮を執る。全員生き残りたければどうか軍の違いや階級の有無を問わず私の指示に従ってくれ。死体袋に入らずとも恋人や家族に会える。これは敵に勝利する物では無く、我々が生き残るための戦いだ。どうか協力して欲しい」

 

 余りにも無茶苦茶な頼みだが、当の本人はそれを承知の上だ。

 

「(こりゃあ、後で軍法会議物だな・・・強制除隊されても退職金は出るかな?)」

 

 心の中でそう呟いていると、通信機から返答が返ってきた。

 

『こちらは分艦隊のアプル・ジャガン准将、これより貴官の指揮下に入る!』

 

『我々宇宙軍も協力する!こんな事抜かす奴の指揮下なら生き残れそうだ!』

 

『中佐が代理提督なのは納得出来んが仕方がない。ここは貴官に賭けてみるのも悪くない』

 

『俺達を生き残らせてくれるんだな?!分かった、お前に協力する!一刻も早くこの戦闘を終わらせて家族に会わせてくれ!』

 

 通信機から聞こえてくる当の本人も予想もしなかった答えに、メンはホッと一息を付く。

 

「あぁ、良かった・・・まさか本当に信じてくれるとは思わなかったよ・・・」

 

「お前・・・まさか・・・」

 

「えぇ。正直自信がなかったんです。これで従って貰えなかったら、我々は今頃宇宙の藻屑です」

 

 そんな自信の無かった答えに艦長は顔を真青となり、元の席へ戻る。視線を戻したメンは、早速指示を出し、連合艦隊の混乱状態を収拾した。連携が全く取れていなかった連合艦隊が、突然動きが良くなって連携を取り始めたので、デリアは驚く。

 

「敵の動きが変わった・・・?」

 

「強力な兵装を持つ艦艇が主に狙われております!」

 

「マクロス級雷が中破しました!同時にマクロスキャノン損壊!後退を要請しています!」

 

「バルトシーク分艦隊の損害が上昇!」

 

「どうやら、代理の指揮官はかなり優秀な者のようですな」

 

 次々と来る損害報告に副官はメンがかなり優秀な指揮官だと察する。それまでに優勢だったデリアの艦隊はメンが指揮官となった連合艦隊に巻き返されていく。徐々に巻き返されていき、膠着状態へと突入する。

 この状況はデリアにとっては当初の予定を崩され、面白くなかった。舌打ちしてから次の指示を出す。

 

「チッ、右翼の分艦隊を敵の後方に回り込ませろ」

 

 指示通り右翼にいる幾つかの分艦隊が敵艦隊の後方へ回ろうとするが、惑星からの長距離攻撃を受けて戻る。

 

「駄目です!惑星からの長距離レーザーを受け、回り込めません!」

 

「敵艦隊、陣形を変えながら攻撃しています!」

 

「一定時間が経てば陣形を変える。敵は勝つ気が無いみたいですな」

 

「消耗戦を狙い、我々が退くのを待っているのか・・・!」

 

 メンが勝つ気がないと分かった副官が口にすれば、デリアは消耗戦をやらされていると分かる。状況を変えようと、マリが前に出ようとしたが、メンの即座に打ち立てた対策法で阻まれる。

 

「凄い弾幕・・・!これじゃあ進めないじゃないの!」

 

 多数の空母や軽空母、護衛艦、コルベットの対空砲や対空ミサイルの雨で、マリは回避するのに精一杯だ。ザシャも同様の対策法であり、弾幕の壁に阻まれて前進が困難であった。

 

『隊長、進めません!味方の損害も増えています!!』

 

「指揮官が替わってる・・・!」

 

 残っている敵艦載機からの攻撃を避けながらザシャは指揮官が替わったことに気付いた。ワルキューレの攻撃部隊も損害が拡大して前進が困難であり、母艦の方へ後退し始めていた。

 

『こちらハービンガーリーダー、これ以上の前進は困難!撤退する!!』

 

 艦艇の弾幕で阻まれた攻撃部隊は自分等の母艦へと撤退する。競合師団の者達はと言うと、戦果を上げようと無理にでも前進したが、帰って損害を増やすばかりであるので、諦めて後退し始める。マリも無理があると思って後退することにした。

 

「今のままでは無理ね・・・大人しく退きましょうか・・・」

 

 後ろへ下がって弾幕を抜け出したマリは、母艦があるバリキュリャの方へと戻り始めた。彼女に対しての攻撃は遠ざかっていく内に減っていき、十分な距離まで離れると、弾丸の一発も飛んでこなくなった。ザシャも十分に戦果は稼いだため、後退する味方機の後へ続く。

 

「例のストライクとヒヨコマークの二機、後退を確認しました!」

 

「ふぅ、打撃者はベンチへ帰り、ヒヨコは親鳥の元へ帰ったか・・・」

 

 強すぎる二機の撤退の報告に、メンは額の汗を拭う。このまま事が順調に運べば、敵は撤退するだろうと思っているメンであったが、その後に地獄を見ようとは思わなかった。

 

「報告します。惑星アヌビスから現地宇宙軍が援軍としてこちらへ接近しております!」

 

『こちらはアヌビス宇宙軍第1艦隊のハフマン提督だ。これより貴官を援護・・・何事だ!?』

 

『敵機接近!これは・・・!?』

 

『一体何が、うわぁぁぁぁ!た、助けてくれぇぇぇぇ!!!』

 

「アヌビス軍の艦隊、反応消失!」

 

「何が起きているんだ・・・!?」

 

 やって来た艦隊が突如と無く全滅したことに、メンは何が起きているか分からないでいる。その正体は彼が調べる必要もなく現れる。

 

「我が艦隊の後方から所属不明の艦隊が接近!ワルキューレ側にも出現しています!」

 

「なんだって!?」

 

 正体はメンの連合艦隊の後ろから現れ、接近してくる。

 

「そこの機体、当宙域は戦闘中である!我が軍の支援なら指揮下に入り、それ以外なら即座にこの場から退去せよ!繰り返す・・・」

 

 ジェガンに乗ったパイロットが戦場へと乱入しようとする所属不明の謎の機体へ勧告するが、返ってきた答えはビームであった。勧告を行う連邦軍機は全て撃墜され、謎の集団は戦場へ乱入し、ワルキューレと連邦軍問わず攻撃し始める。

 

「所属不明機、こちらにも攻撃を加えております!」

 

「まさか・・・例のムガルの残党か!?」

 

 正体が組織の手の者達と気付いたデリアであったが、時既に遅く、味方は襲われ始めていた。

 

「こいつぁ随分凄い膠着状態だな!俺が終わらせてやるぜぇ!!」

 

 赤い粒子を出すガンダムタイプのMSアルケーガンダムに乗ったパイロットは、他の仲間達と共にワルキューレと連邦軍問わず襲い始めた。ファングと呼ばれるオールレンジ攻撃用の兵器で、次々と撃破していく。

 

「フハハハ!死ねぇー!雑魚共ぉ!!」

 

 ヴェイガン製の特別MSに乗り込むパイロットは狂喜の笑みを浮かべながら目に見える敵を手当たり次第に潰す。その動きはまるで獣であり、脱出したパイロットでさえ殲滅の対象だった。

 

「群れることしか知らぬ雑兵共目。このEXAM(エグザム)に選ばれた騎士であるニムバス・シュターゼンが裁いてくれる!!」

 

 青と赤の塗装のEXAMシステム搭載のガンダムタイプのMSに乗り込むプライドの高いパイロットは、この世界では敵わない最新鋭機であるヘビーガン、シャベリンに襲い掛かり、意図も容易く目に見える十数機を全て撃破した。

 

「フン、造作もない。機体の性能に頼りすぎ、群れることで戦うことしか出来ぬ奴等に、蘇ったジオンの騎士である私に敵うはずもない」

 

 撃墜した敵機の残骸を見ながら、ニムバスはそれに向けて吐き捨てる。一方の悪魔のようなガンダムタイプのMSプロヴィデンスガンダムに乗り込む仮面のパイロットは、多数の敵機を背中に付いたオールレンジ攻撃用の兵装を展開させ、同時に撃破する。

 爆発の連鎖が起こる中、何故か宇宙を飛ぶ派手な塗装のF-15Cが突き抜ける。

 

「え、F-15が接近!」

 

「F-15だと!?そんな化石が宇宙で飛ぶ物か!」

 

 接近してくるのがF-15だとは信じられないでいる駆逐艦の艦長だが、目の前に現れたF-15がロボットになった事で自分が信じたとおりだと分かった。

 

「ほら見ろ!奴はロボット・・・」

 

 言い終える前に、変形したロボットの両肩に付いているビーム砲を放たれ、撃沈された。さらにそのロボットは周囲にいた艦載機と艦艇を潰しまくり、爆煙の中で大いに笑い始める。

 

「フハハハ!復活したこのスタースクリーム様がナンバー1だ!!俺様に敵う者など居ない!!トランスフォーム!」

 

 自意識過剰なトランスフォーマーなスタースクリームは、元のF-15に変形してワルキューレの艦隊へと突っ込んだ。バルキリーが迎撃に向かうが、敵うはずもなく次々と撃破されていく。

 マクロス・クォーター級にまで近付くと、弾幕の雨を潜り抜け、クォーター級内部に入り込み、ロボット形態に変形して内部で大暴れし始める。数秒後にはクォーター級は撃沈。スタースクリームは爆発の中を変形して飛び出してくる。

 余りにも凄すぎる五人であったが、さらに凄すぎるのが六人目であった。エジプト神話の冥界の神アヌビスと同じ名を持ち、類似した外見を持つ大型ロボットは、腕組みをしながら両軍から来る攻撃を物ともせず、浮いていた。

 

「なんだあいつは!?」

 

「兎に角撃て!撃ち続けろ!!」

 

 アヌビスに攻撃を加える連邦軍のパイロット達であったが、目の前にいた敵は消える。

 

「ど、何処に!?」

 

「後ろだ!!」

 

「えっ!?」

 

 突如と無く後ろへ現れたアヌビスに貫かれ、隣にいた連邦軍機も撃破された。更にアヌビスは全ての攻撃を先ほどした瞬間移動で回避し、ワルキューレ、連邦軍の双方の機体と艦艇を一気に百隻近くまで沈める。

 

「あ、悪夢だ・・・!」

 

 その様子を見ていたメンは余りの衝撃に悪夢と表した。爆発の連鎖が巻き起こり、戦場が混乱する中、マリとザシャ達は次々と迫り来る無人機の人型兵器と死闘を繰り広げていた。

 

『こ、この機体は・・・!?』

 

「またムガルとか言う連中ね!今度は一体何を・・・」

 

 大量に出て来たスカルガンナーをオールレンジ攻撃で撃破しながら、マリはエルミーヌに答えた。

 スカルガンナーだけで無く、無人可変MSトーラスや、プライネイトディフェンサーと呼ばれる防御システムを搭載し、強力なビーム砲を持った無人MSビルゴが多数投入されており、さらに新しい無人機である自立型無人戦闘機ゴーストX-9まで投入され、被害は拡大しつつある。

 だが、全員がほぼ実戦慣れした競合師団やマリとザシャには敵わなかったらしく、次々と撃ち落とされていた。

 

「ロボット如きが私に敵うと思ってるの?」

 

 ディフェンサーの弱点を突いてビルゴを撃破したマリは、次から次へと来る無人機達を潰しながら吐き捨てる。彼女等と共に数十機以上を撃破していると、ガンバレルストライクと似たオールレンジ攻撃を行うプロヴィデンスガンダムが襲い掛かってくる。

 

「ほぅ、メビウス・ゼロはストライクのパックになったか。あの動きからして、ムウが乗っている訳ではないだろう」

 

 仮面のパイロットは生前のことを思い出し、ドラグーンシステムでマリのストライクの周辺に居た敵機を全て撃ち落とす。大量のビームの中をマリは必死に射線を予想しながら回避する。

 

「やるな。ムウ、いや、キラ・ヤマト以上か・・・いつまで持つかな?」

 

 さらにビットの量を増やし、仮面のパイロットはマリを追い詰める。

 

「あっ、助けないと・・・!」

 

 まともに反撃できず、一方的に追い詰められているマリを助けようと、ザシャは向かおうとするが、ニムバスに邪魔をされる。

 

「ヒヨコのノーズアートだと・・・!?ふざけた事を!このニムバス・シュターゼンが直々に裁いてくれる!」

 

 ザシャのVF-25Aの機首に、トレードマークであるヒヨコが描かれていることに腹を立てたニムバスが、そんな理由を付けて襲ってきた。直ぐにミサイルやビームを回避しながら、バトロイドに変形して反撃に移る。この間に双方の艦艇は沈められるか、損傷して惑星アヌビスの引力から脱出できなくなり、大気圏突入する艦艇が増えている。

 

「おっと、そのヒヨコちゃんは俺の(もん)だ!」

 

 アルケーガンダムに乗り込むパイロットが、ニムバスからの攻撃から必死に逃げているザシャ機の攻撃に参加する。

 

『アリーアル・サーシェス、この不届き者は私が制裁を下している最中なのだぞ!騎士の狩りを邪魔するでない!!』

 

「相変わらずうるせぇ騎士様だ。獲物は早い物勝ちだろうがよ!」

 

 通信を開いて離れるように告げるニムバスに対し、サーシェスは後ろからトランザムで追ってくるジンクスⅢ三機を瞬時にファングで撃墜した。

 

「雑魚が!トランザムなんか使ってんじゃねぇ!」

 

 爆散する敵機へ向けてそう吐き捨てると、ザシャの機体に狙いを定めた。だが、新たな乱入者によって邪魔される。警告音が響き、直ぐにサーシェスはこの場から離れた。

 彼を襲った正体は通り過ぎ、アルケーガンダムとブルーディスティニー二号機をガンポッドで引き離す。

 

『ヒャッホォーーィ!大丈夫だったかい?お嬢ちゃん』

 

「えっ、だ、誰・・・!?」

 

 突然通信に入り込み、モニターに映るパイロットスーツを着込み、騎士の兜のようなヘルメットを付けた二十代前半の男がザシャの無事を問う。当然ながらザシャはこの男は知らず、戸惑いを覚える。

 

『おぉ、いきなりじゃ悪かったな。お嬢ちゃん。俺はイサム・ダイソンって言うんだ。今度の予定は空いてるかい?』

 

「はっ、はぁ・・・?」

 

 自分を口説いてくるイサムという男に、ザシャは更なる戸惑いを覚え、思考が混乱した。

 そんなイサムが乗っているのは、VF-19の試作機であるYF-19だ。正式採用機とは違って乗っているパイロットの事など余り考慮されていないので、採用機より速度は上だ。口説きはニムバスやサーシェスに邪魔され、二人と交戦状態に入る。

 

「おい!人が折角美人を口説いてんのに、なんで邪魔しやがるんだ?!」

 

『黙れ!貴様のような下賤な奴はジオンの騎士として生かしてはおけん!!ここで裁いてくれよう!!』

 

『折角のヒヨコ狩りを邪魔されたんだ!ぶっ殺してやるぜ!イサム・ダイソン!!』

 

「上等だ!二人纏めて叩き潰して、ヒヨコの嬢ちゃんにアピールしてやるぜ!!」

 

 こうして、イサム・ダイソンとニムバスにサーシェスとの激闘が始まった。一方のザシャは、何が起きているのか分からないで居る。戦場へ乱入したのは組織だけでなく、ZEUSも乱入してきた。

 

「イサムの奴、独断専行しすぎだ!スカルリーダーより各機へ、ワルキューレと連邦軍には手を出すな!撃ってきても知らん振りだ!行くぞ!!」

 

 旧式のバルキリーであるVF-1Sロイ・フォッカー・スペシャルに乗り込む豪快な男なパイロットは各ZEUSのパイロット達に告げ、交戦状態へと入った。早速彼はスタースクリームに襲われている柿崎を救う。

 

「おい柿崎、お前も蘇ったのか?!」

 

 どうやら柿崎を知っているらしく、彼に問うが、この男は同姓同名で同じ容姿を持つ別人である。

 

『えっ?俺、あんたなんて知らないよ!』

 

「なんだ、ただのそっくりさんか!そんじゃぁ、生き残れよ!」

 

 一度バトロイド形態に変形し、同じ形態のVF-25の肩を叩くと、ファイター形態に変形して、スタースクリームを追った。

 

「何だったんだ、あのおっさん」

 

 柿崎が先程のパイロットの事を言った途端、後ろから撃ってきたトーラスの攻撃を受け、惑星アヌビスへと大気圏へと突入してしまう。

 

「うわぁぁぁぁ!!誰か助けてくれぇー!!」

 

『柿崎ぃぃぃぃ!!!』

 

 直ぐに上官と部下が助けに入ろうとするが、多数の無人機の攻撃を受けて同じく惑星へ落ちていった。その様子はスタースクリームと高速戦闘を行うVF-1Sに乗る男が見ていた。

 

「やられちまったか・・・!クソッタレ目!」

 

 自分に背中を見せるスタースクリームに向け、悔しい思いを載せたミサイルを撃ち込む。ミサイルは見事命中し、スタースクリームは傷を負い、戦場から逃走した。

 

「く、クソっ!覚えてやがれ!!」

 

「ケッ、何処にでも行きな!ロボット野郎!」

 

 逃げるスタースクリームに吐き捨てると、彼は主戦場へと向かった。一方的に追い詰められていたマリにもZEUSの助けは来た。助けに来たのは金色の塗装が特徴的なアカツキと呼ばれるオーブ製の高性能MSだ。

 プロヴィデンスと同じドラグーンシステムを搭載した宇宙戦闘装備シラヌイを装備したアカツキは、早速プロヴィデンスに迫る。

 

「クルーゼ!貴様も生き返ったか!」

 

「フン、貴様も蘇ったか、ムウ。ここであの時の決着を再開するのも悪くないな!!」

 

 仮面のパイロットはマリを放置し、アカツキとの戦闘状態へと入った。

 

「一体何が起きてるのよ・・・!?」

 

 マリの思考は完全に混乱状態であった。組織の次はZEUSが乱入し、更に戦場を混乱させていた。先程ZEUSが介入するまでの間に交戦状態であったワルキューレと連邦との戦闘は中止され、ただ生き残りを賭けて組織の無人機と戦っている。

 そんな彼女に、ヴェイガン製のMSクロノスに乗ったパイロットデジル・ガレットが襲い掛かる。

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

 胸部に内蔵された高出力のビームキャノン、ビームバスターを発射し、周囲にいた敵機ごとマリのストライクを攻撃する。近くに居た数機以上の味方機が墜とされ、マリが乗るストライクも回避が間に合わず、左腕と左ガンバレルユニット二基を失う。

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

 衝撃が来てマリは悲鳴を上げるが、デジルは容赦なく攻撃を加える。クロノスガンを撃ちながら接近し、ストライクガンダムの両足を潰し、更にビームサーベルを頭部に突き刺す。アーマードシュナイドを抜こうとした右腕も潰し、なぶり殺しを始める。

 

「そら、そらぁ、そらぁ!!」

 

 一方的になぶり殺しをするデジルは、ビームサーベルを仕舞い、不気味な笑みを浮かべ、ひたすら胴体を殴り続ける。次々と来る衝撃でコクピット内の計器は爆発し、破片がマリの身体に突き刺さる。

 

「クッ・・・!こんな所で私は・・・!」

 

 破損したヘルメットを脱ぎ、マリは背中のガンバレルを使って張り付いているクロノスを破壊しようとしたが、デジルはそれを回避し、最後に残った攻撃手段であるガンバレルを全て破壊されてしまった。

 

「嘘ぉ・・・!?」

 

 攻撃手段を失ったマリは絶望する。必死に助けようとするZEUSの面子であったが、彼等には強敵が付いており、とても向かえる状況ではなかった。だが、彼女を助ける者が現れた。

 それはザシャであり、ストライクガンダムに張り付いているクロノスを引き剥がそうと、ガンポッドを撃ちまくる。

 

「チッ、邪魔をするなぁー!!」

 

 邪魔されたことに怒りを露わにしたデジルは、マリのストライクに蹴りを入れ、惑星アヌビスへと墜とした。

 

「おっと!」

 

 勢いよく落下するストライクに、戦闘中のイサムはある物を放って、突入の熱で溶けてしまわないようにする。一方のデジルと交戦中なザシャはアーマードパックをパージして爆煙で煙幕を張り、ファイター形態になってマリの救出に向かう。

 

「このぉ・・・逃がすか!!」

 

 しつこくデジルが狙ってくるが、ザシャはその攻撃を回避しつつ、大気圏の中を落ちていくストライクガンダムの回収へと向かう。そんな時に自分の部下である三人がこの場へと入ってきた。

 

『隊長!』

 

「駄目、来ちゃ駄目!」

 

 警告を行うザシャであったが、三人の部下はデジルの標的にされ、一気に撃墜されてしまった。

 

「そ、そんな・・・!」

 

 ショックを受けたザシャは手が止まってしまい、そのまま惑星へと落ちていく。次に標的をザシャに定めようとしたデジルであったが、入ってきた通信で撤退を命じられる。

 

『デジル・ガレット大尉、当初の目標は達成された。即時帰投せよ』

 

「んだと・・・?まだ終わってねぇぞ!」

 

『これ以上の追撃は不要だ。後はあの星の連中に任せれば良い。即時帰投せよ。命令に応じぬ場合は、貴官の機体を爆破する』

 

「ちっ、分かったよ。戻れば良いんだろ!戻れば!」

 

 モニターに映る顔に傷を負った金髪碧眼の男の指示に従ったデジルは、ブースターをフルにして大気圏から抜け出し、突如と無く現れた大型空母へと帰投した。他の組織の機体も母艦へと帰投し、全ての機体を収容した大型空母は、一瞬光ってから何処かへと消え去った。

 こうして、アヌビス衛星軌道上に残ったのは多大な損害を受けたワルキューレの遠征艦隊と連邦軍の連合艦隊、損害が皆無のZEUS、浮遊する双方の残骸だけであった。




相変わらず凄い超展開・・・

そしてようやく多重クロスらしい事が出来た・・・まぁ、スパロボだけどね。
ちなみにディンゴも駆け付けてるよ!やったねノウマン!これでジェフティと戦えるよ!

それとイサムの放ったアレは、バリアでございます。なんともご都合主義的。

今週の中断メッセージはお休みでございます。はい。
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