復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers 作:ダス・ライヒ
これ、前にやったような・・・
マリが惑星アヌビスへと落下した頃、それを追うザシャは必死でダルマ同様となったストライクとこの星に落ちた筈の部下達を探していた。キャノピーから目視で確認し、見付からなければVF-25Aのカメラをフルに活用して発見を試みる。だが、謎のバリアに包まれたストライクは発見できない。
それどころか、この惑星の現地軍のスクランブル二機が後ろから追ってくる。
『そこの国籍不明機!こちらはアヌビス地上軍航空部隊のスクランブルだ。お前は不法にこの惑星の領空に侵入している。大人しく宇宙へ戻るか、ここの空港で着陸し、手続きを済ませろ』
スクランブルのパイロットからの勧告が来るが、ザシャは無視して探索を続ける。返答が無いと判断したパイロットは本性を現し、VF-25Aメサイアを照準に捉える。両翼のワルキューレ所属を表すマークが最初から見えており、勧告するなど毛頭なく、撃墜することが目的だった。
『まぁ、ヴァルハラ軍所属機だからな。撃墜すれば給料が上がる。悪く思うな、入ってきたお前がいけないんだ。ダルゴ8、どっちが撃墜するか勝負だ!!』
回線を開きっぱなしでそう告げた後、二機のスクランブル機は空対空ミサイルを撃ってきた。近すぎても遠すぎでもない距離であったため、命中は確実であったが、警告音が鳴った直後から、ザシャは回避行動を取っていた。
『なに!避けただと!?』
「落ち着け、ダルゴ8。奴は恐らく勘の良い奴だ。機体の傷を見るからにして、もう長くは止めないはずだ!」
パイロットは僚機を落ち着かせると、逃げるザシャ機をしつこく追い回し始める。時には機銃を撃ったが、これも容易に回避され、後ろを取られて僚機を撃墜される。
『う、後ろに!うわぁぁぁぁ!!』
「クソッ、こちらダルゴ5!増援を請う!場所はポイントY-65・・・グワァァ!!」
応援を呼ぶ前に、バトロイド形態に変形したVF-25のパンチを胴体に受け、撃墜される。
「時間掛かっちゃった・・・次が来る前に探さないと・・・!」
探査を続行すべく、ファイター形態となる。前から迎撃機が三機ほど編隊を組んでやって来たが、ザシャの敵ではなく、容易に二機を機首に内蔵されている二門の高速機関砲で撃墜する。
散会して攻撃を免れた敵機が居たが、直ぐにガンポッドの射程に捉えられ、トリガーを引かれて撃墜された。こうして、幾度となく敵機と交戦しながらザシャはマリと三人の部下の探査を続けた。
一方、ザシャが探すマリのダルマ同様のストライクガンダムはと言うと、荒れ地の現地軍基地の近くに落下した為、駆け付けてきた部隊に発見され、トレーラーで運ばれていた。
当然、落下中にパイロットであるマリは気絶しており、爆発した計器の破片が体中のあちこちに刺さってはいたが、軽傷程度の傷であった。
「コクピットは開けないのですか?」
「基地に着いてからだ!パイロットが自爆するかもしれん」
トレーラーの運転席で運転する部下が上司に問うと、上司はそう返す。数十分ほどで基地に到着し、中心部にある床から天上まで60mはある整備場まで運ばれる。運転手はトレーラーを丁度中央に停車させ、上司と共に下車すると、整備兵を呼ぶ。
何名かの工具を持った整備兵が集まり、コクピットへよじ上って、へこんだハッチを開けようと、隙間に差し込む。何かあった場合に備え、銃を持った兵士も同行する。
「ヴァルハラ軍だからな。一体どんな美人が乗っているんだ?」
「もしかしたら男かもしれないぜ?まぁ、開けてみないとな」
ハッチを開けようとする整備兵や銃を持つ兵士達の表情は、何か良からぬ事を考えている物だった。大方中にいる者が女だとすれば、犯し尽くして恵み物にする根端だ。無論、戦場での女性兵士の性的暴行は当然のことであり、酷い言い方だが、彼等は戦場における当然のことを行っていることにしか過ぎない。
中にいるのが男と分かれば、散々痛め付けて殺すまでだろう。隙間からバールの先端が挟まれ、開かれようとする中、気絶していたマリが目覚めた。
「うぅ・・・」
目を覚ますと、隙間から光が差し込んでいるのが見え、未だに回復していない視力で隙間へ視線を集中させる。バールの先端が見えると共に、回復した聴力から多数の男の声が聞こえ、ハッチをこじ開けて自分を引き摺り出そうとしているのが分かる。更に耳を澄ませ、ダーク・ビジョンを発動して人数を確認する。
『おい、今度のヴァルハラ兵は上物か?』
『多分な、こいつは高級機だ。乗っているのはかなりのエリートだろうぜ』
『エリートの女か。楽しみだな、これから身体の隅々まで身体検査を!へへへ!』
『将校に献上するのも忘れんなよ。それと連邦軍の憲兵様の接待にも使うからな』
「(引き摺り出して輪姦するつもり!?敵地に落ちちゃったの?兎に角ここから脱出して、戻らないと!)」
外にいる兵士達が自分を輪姦するのが目的と分かったマリは、まだ無事であったサバイバルキットを取り出し、中からドイツの短機関銃H&K MP5A5と同国で同社の自動拳銃H&K USPを取り出す。拳銃に消音器を取り付け、マガジンを抜いて弾を確認した後、再び差し込み、外にいる全員をマークする。
次に短機関銃の残数を確認とサバイバルナイフを取り付け、異常がないと分かれば差し込んでスリリングとバックを身体に巻いた。もちろん、中での行動の音は外に聞こえており、変だと思った整備兵がバールに力を込め始めた。
『何か聞こえたぞ』
『生きてるぞ!早く開けて抑え付けろ!』
開けるスピードが増す中、マリはUSPの安全装置を外し、開けて顔を覗こうとする兵士の顔に向けて撃つ準備をした。
「よし、開いたぞ!」
外から整備兵の大きな声が聞こえる中、顔に強烈な光が差し当たり、瞳を一瞬閉じてしまう。目を開いた瞬間に舌舐めずり、引き摺り出そうとする整備兵の顔が見えた。即座に照準を整備兵の顔に合わせ、引き金を引いた。
撃たれた整備兵はマリが銃を持っていることには気付かず、9㎜パラベラム弾を顔面に受け、貫通した弾丸が後頭部から飛び抜けると、彼女は瞬間移動で空中まで移動した。
「撃たれたぞ!」
スローモーションで下にいる兵士の声が聞こえる中、マリはマークした敵兵に全て撃ち込む。放たれた弾丸は精確に急所を撃ち抜き、機体へよじ上っていた十五人以上が床へと倒れる。残っている人数は、今持っている銃の安全装置を外して撃とうとするが、マリに殺意の波動を発動され、怯んで地面に倒れ込んでしまう。
再装填を終えた彼女に倒れ込んだ兵士や整備兵達は、体勢を立て直す前に次々と撃ち殺され、大型整備場にいた兵士達は全滅した。
「集団レイプなんて考えるかからよ」
そう物言わぬ死体に吐き捨てると、直ぐさまマリは使える道具を探し始める。ここが整備場であった為か、人を銃ほどの大きな音を立てずに殺せる道具は揃っていた。投げナイフ代わりにドライバーを数本取り、レンチを一本接近専用の武器とする。
それから兵士の死体から無線機や手榴弾を入手して、整備場を出る。基地内部の道路には巡回車が走っているが、助手席に座る兵士はやる気がない。歩哨でも同様であり、欠伸をしながら巡回ルートを歩いているだけだ。
正確な基地の地図を知るため、マリは近くに歩いている警備兵を捕まえて聞くことにした。拳銃をホルスターに仕舞い、ナイフを取り出し、背中を向けて歩いているところを羽交い締めにしてナイフを首元に突き付ける。
「な、なんだお前は・・・!?」
「大きな声を出すな。基地の見取り図がある場所を知りたい」
「それなら、この先の休憩室にある・・・!喋ったから、うぐっ!?」
「ありがと」
見取り図のある場所を知った後、マリは警備兵の喉にナイフを突き刺し、数秒後に窒息死した彼を他の警備兵から目の届かない場所へと捨てた。警備兵が言っていた休憩所へ忍び込むと、複数の男の話し声が聞こえてきた。何か役に立つ情報かもしれないので、盗み聞きする。
「なぁ、女まみれの軍隊が使ってる銃って、数百年も前の物だよな?」
「そうだな。なんでビーム兵器やレーザーを主力にしてるのに、あんな古い銃を使うか分からん。何処に保管したか分かるか?」
「保管庫だろ。多分、誰かがあの銃をマニア辺りにでも売るために盗み出すだろうぜ」
「だろうな。どうせ、ここの警備主任は買収されちまってるから、意味はねぇさ」
盗み聞きを終えると、ダーク・ビジョンを発動して正確な人数を数えた。監視カメラが一台、立っているのが四人、座っているのが三人、シャワールームには、煙草で一服している半裸の男と、裸体の女性が二人ほど横たわっているのが見える。
これが彼女の怒りを誘ったのか、隠れている場所から飛び出し、まずはカメラを破壊、空かさずライフルを手にしようとした兵士達を、反撃を与える間もなく全員撃ち殺した。
『なんだ?』
倒れ込んだ死体の音を聞いて、シャワールームに居た男が拳銃を持って出て来た。
「誰だ!?」
マリの姿を見るなり、拳銃を向けて安全装置を外したが、瞬間移動で一気に間近まで接近され、フォイアー・キックを受け、全身に炎を纏わせ、呻き声を上げながら壁に叩き付けられて死亡する。
シャワールームへと入ると、全身に白い体液が付着した全裸の若い女性の死体が二つほど転がっていた。痣も幾つか残っており、何十人もの男にかなり強引、それも無理矢理犯されたらしく、股間から血が出ている。
近くに捨てられている宇宙軍の乗員用の勤務服の中に紛れ込んでいた金属の認識票から、ワルキューレ所属の兵士と分かる。口から血が流れ出ていることから、ショックの余り舌を噛み千切って自決したようだ。
「許さない・・・!」
敵に捕らわれた若くて美しい女性兵士の末路を見てマリは銃を握る手に力を込め、怒りを露わにする。怒りは倒れている女性兵士にこのような屈辱を与えた兵士たちでは無く、自分をレイプしようとする敵兵達に対してである。
恐らくこの二人だけでなく、基地の捕虜を拘束する施設でも、同等の光景を見ることになるだろう。そう思ったマリは消音器付きの拳銃をホルスターに仕舞って、レンチを持った。
「一人残らず殺してやる・・・!」
ブツブツと呟くように殺意を露わにし、警備兵の背後から接近し、レンチを頭に向けて振りかざす。ヘルメットを被っていたため、それほどのダメージは無かったが、もう一度力を込めて振り下ろせば警備兵の頭は血を吹き出しながら変形した。無論、頭が変形して生きているわけでもなく、警備兵はその場に倒れ込む。
物言わぬ死体となった警備兵から端末を盗ると、基地の全体図を表示させる。ちなみに、この基地の将兵達が持つ銃はID登録された者以外は引き金が引けない仕組みのハイテク銃だ。先程マリが音の響かない場所で試し撃ちして見たが、引き金が堅く、撃てなかった。
新しい銃を入手するには、押収品保管庫へ行かなくてはならない。端末から選択した地図で確認した後、無線機も死体から拝借して行動を再開した。出会す警備兵は全て静かに始末して監視カメラに映らないような位置に置く。
確認しに来た兵士も全て殺し、巡回の車両も無力化する。
「ここね」
押収品保管庫へ辿り着き、内部へ入ると、一人の兵士がワルキューレ宇宙軍の落ちてきた残骸から押収した銃器を眺めていた。入って来たマリには気付かなかったらしく、その上ヘルメットまで被っていなかったため、レンチで思いっ切り殴られ、即死した。
マリはイギリスのボルトアクション式狙撃銃L96A1を取ろうとしたが、厳重に保管されている弓に目を向ける。
「これは・・・?」
この弓に見覚えがあったのか、レンチでガラスを割った後、弓を手に取る。
「
手にとって確認しながら、マリは昔存在した百合帝国軍の武器の一種と判断する。
対戦車弓とは、対戦車用の榴弾を鏃に付けた矢を弓で引いて放つ原始的な弓矢である。当初は対戦車戦を予想し、陸軍兵器開発省によって開発されたが、矢を戦車に向けて放つと言う中世期の様な攻撃方法だったため、不採用となった。
長年倉庫で試作品が眠っていたが、連邦軍の本土侵攻が始まったため、試作品を引っ張り出し、小火器生産ラインに乗せて専用の矢と共に大量生産され、制式採用された。
普通の木の矢や繊維強化プラスチックで出来た矢、金属の矢を引くことも出来る。この消音器に頼ることもなく、敵を無力化できる原始的な武器を手に入れたマリは狙撃銃よりも弓を取り、幾つかの矢も回収して外へ出た。
早速試し撃ちするため、目に映った敵兵を標的とする。照準器を覗き、力を込めて弓を引き、矢を射た。放たれた矢は銃弾の如く敵兵に向かって飛んでいき、身体に突き刺さった。
「結構飛ぶのね」
少し力が強すぎたのか、刺さった衝撃で敵兵が吹き飛んだ。強力な武器を手に入れた彼女は全ての敵兵の殲滅と情報収集のため、情報収集施設へと向かう。途中、出会す警備兵や将兵に対しては、普通に射た矢とレンチを食らわせ、始末していく。
監視カメラを避けながら死んだ警備兵からセキュリティカードを取り、情報保管室へのセキュリティを解除して、中へ忍び込んだ。基地情報を選択し、どのデータが保存されているかを確認する。搬入された兵器、巡回ルート、捕虜の数、回収した敵の兵器類、その他諸々などを調べ上げる。
「これって・・・!」
更に調べ上げていく内に、衝撃的な物を見てしまった。その衝撃的な物とは、ボロボロの神聖百合帝国の国旗が映った写真である。
百合帝国崩壊後、ワルキューレの支配を拒んだ一部のメガミ人達は、余っている異世界転送装置を使って別世界へ行くか、低い宇宙技術で建造された移住性の低い移民船に乗って遙か彼方の宇宙へと旅立っていった。
このボロボロの国旗は、女だけの種族メガミ人の開拓者達が後から来た人間の開拓者と戦って敗北した末路だろう。調べれば調べるほど、アヌビスの先住者達であるメガミ人はかなり酷い弾圧を受け、高い技術力を持つ人間達に蹂躙されている様子だ。
更に詳しく調べようかと思ったが、流石に気付かれたのか、警報が鳴り響き、通路から怒号と走る足音が聞こえてくる。
『侵入者だ!』
『味方が死んでるぞ!!』
声が聞こえた後に、天上から無人のタレットが飛び出し、銃身をマリに向けるなり撃ってくる。直ぐに回避して、全てのタレットをMP5の単発で破壊する。破片が地面に落ちると、丁度六人ほど警備兵や兵士達がマリを見付けるなり叫ぶ。
「居たぞ!撃てぇ!!」
見付けるなり警告もせず、撃ってきた。遮蔽物に隠れ、短機関銃や散弾銃、騎兵銃を撃ってくる敵兵達に撃ち返す。三人ほど秒単位で撃ち殺すと、遮蔽物に隠れて手榴弾を投げ込んできた。
「グレネード!」
彼女が居るところへ手榴弾が投げ込まれたが、投げ返すには十分すぎる程の時間があった為、直ぐに敵兵達の所へ投げ返した。悲鳴が聞こえたときには、爆発音と肉が避ける音が聞こえ、腕が飛んでくる。
辺りに敵兵が居ないことをダーク・ビジョンで確認し、やって来た場所から見ると、四方が吹き飛んだ死体や上半身と下半身が千切れた死体が転がり、辺り一面が血で真っ赤になっていた。
未来の手榴弾は爆発する物が多いらしい。まだ無事な手榴弾を回収して、投げられるかどうかを試すと、敵が持つ銃とは違って投げられた。
「使えるみたい」
二、三個程回収すると、遭遇するタレットと敵兵を排除しながら外へ出た。出た先にはやはり待ち伏せしていたのか、敵兵がバリケード越しから銃を撃ってくる。再装填を終えたMP5で一人ずつ頭を出した敵兵から排除していく。
『こちらシグマ15、被害甚大!応援を頼む!!』
何人も片付けていると、敵が増援を呼んだのか、機銃搭載車が彼女の視線に入った。機銃手は直ぐにマリに向けて機関銃を撃ってきた。今隠れている情報施設の壁が穴だらけになる中、敵兵が続々とマリの居る情報施設の前に集まってくる。
出入り口から出るのは不味いと判断し、裏口から出ることにしたマリであったが、裏口からも人員が手配されており、挟み撃ちにされる。
「絶対に逃がすな!」
士官の声が聞こえ、室内での銃声が更に広がる。室内で十数名ほどが集まっている為、何名かを一気に始末できるので、マリは手榴弾を投げ込む。案の定、狭い室内での手榴弾の効果は拡大し、数十名ほどを殺傷できた。
手足のどちらかを無くすか、腹から内臓を垂れ流している将兵が泣き叫ぶ中、彼女は裏口から出た。敵兵は何名か居たが、瞬間移動でジープまで移動し、運転手諸共自分の周りにいる敵兵を全て排除する。
ジープに乗り込むと、脱出手段であるMSやAT、ゾイド、ハーディガンを格納しているハンガーへと向かった。移動している最中、銃弾は絶えず飛んでくるが、マリのドライビングテクニックが凄いのか、殆ど被弾しない。装甲車などが出て来て機関砲を撃ってくるが、一発も命中しなかった。
ハンドルを必死に切り、銃弾や機関砲を避ける中、ようやく目的地のハンガーが見えてきた。
「もう少しで・・・!」
そう思った矢先、骨のような全高8m程の恐竜型ゾイド、ガリウスが右手から複数現れ、腰部に取り付けられたビーム砲を撃ってくる。そのビームは低出力ながら、威力は高かったのか、爆風に呑まれてジープが横転した。
「キャッ!」
横転したジープから投げされた彼女は、迫ってくるガリウスに向けて対人型兵器用の矢を放つ。矢はガリウスの胴体に当たって爆発し、粉々に吹き飛んだ。これにはパイロット達も驚いたのか、前に出るのを止めて後ろに後退っていくが、大型でそれなりの装甲を持つステゴサウルス型ゾイド、ゴルドスの登場で前進を再開する。
「あんなの無理!」
流石に大型ゾイドを撃破することは不可能なのか、マリは全力でハンガーまで走る。自分等の基地なだけにあってゴルドスは主力である105㎜高速レールガンは撃っては来なかったが、踏み殺そうと迫ってくる。ガリウスもビームを撃ちながら迫ってくるので、ジグザグに動きながら走り続ける。
時には瞬間移動を使って距離を縮めるも、新たな脅威であるスコープドックが現れた。彼女にとっては、機動兵器に乗った状態でのATは、地上戦や宇宙戦は雑魚その物ではあったが、こうして生身で戦うことになると、脅威その物である。ローラーダッシュを行い、金属が削り落ちるような音を立たせ、手に持ったヘビィマシンガンを撃ちながら追い掛けてきた。
「これでも!」
少し立ち止まり、対戦車用の矢を先頭に立つスコープドックへ向けて放つと、胸と頭の部分にあるコクピットの中にいた人間に貫通して刺さったのか、バランスを崩して数回転んだ後、動力源である気化性と引火性の高い燃料とされている液体に火花が引火し、爆発した。後続機はそれを避けながら、マシンガンを撃ってくる。
様々な脅威に見舞われながら、ようやくハンガーまで後少しという所であったが、幸運は長続きせず、目の前で流れ弾が着弾して爆発し、飛んできた破片が左目に刺さり、その衝撃で堅いアスファルトの上に倒れる。
「があぁぁぁ!!目がぁ・・・!」
余りの激痛で叫び、破片が刺さった左目を抑えながら悶え苦しむ。痛みをこらえながら立ち上がると、周囲は完全に包囲されていた。左手にはガリウスにゴルドス、右手には装甲車、前後にはATに装甲車、周りは銃を持った敵兵、空には戦闘ヘリ、八方塞がりでもはや絶体絶命だ。
抑える手から流れる血を感じながら、これから周りにいる兵士達に輪姦されると予感し、される前に腰にある拳銃で自決しようかと考えた。
「どうする?殺す前に
「こんな良い体付きの美人を殺すのは勿体ねぇ、やっちまおう」
自分を性欲のはけ口として見る兵士達の声を聞けば、敵に悟られぬよう、腰に手を伸ばす。もうすぐUSPに手が届こうとした瞬間、思わぬ助けが現れた。
「な、なんだ!?」
大きな音をした後、兵士が音のした方向へと振り向く。釣られてまだ見える右目で見てみると、白い外装のライオン型大型ゾイドが居た。その白いゾイドは元々この基地に搬入された物なのか、周りにいた将兵達は驚きの声を上げる。
「か、勝手に動いているぞ!?」
「ライガー・ゼロのパイロットは誰か?!」
ライガー・ゼロと呼ばれるライオン型大型ゾイドを見た兵士達は慌てふためき、乗っている者は誰かと問う。管制塔からもライガー・ゼロのパイロットが乗っているかどうかの確認の通信が腰に付けていた無線機から流れていたが、白いゾイドからの返答はない。
全長24m、全高8.3mの大型ゾイドは、砲身を向けるガリウス達に襲い掛かる。
無論、旧式で化石同然なガリウスでは歯が立つわけでもなく、振り払い一撃でバラバラになり、数秒足らずで全機がスクラップへと変わる。次にマシンガンを撃ってくるATに目を付け、胸部にある二連装ショックキャノンを連続で撃ち、スコープドックと装甲車を一掃する。
「な、何て奴だ・・・!あの女のことは後回しだ!各機、暴走したライガー・ゼロを破壊しろ!!」
もうマリに構っている暇はないのか、彼女を包囲していた敵部隊がライガー・ゼロへと集中した。早期に破壊しようと考えたのか、戦車、小型ゾイドのゴドスやカノントータス、中型ゾイドのコマンドウルフ、MSのドートレスやストライクダガーまで増員して来る。
ゴルドスに乗るパイロットも、次々とやられる味方の装甲車や戦闘ヘリを見て、基地の被害に構わず、強力なレールガンを撃とうとするも、近すぎて撃てず、レーザークローの一振りで倒れる。
彼 女の周りにいた兵士達は、踏み潰されるかと思い、全員がその場から逃走していた。周囲の敵を一掃したライガー・ゼロはマリの元へ近付き、腰を低くしてコクピットのハッチを自ら開く。
「私に、乗れと言うの?」
左目から血を流しているマリは、ライガー・ゼロに問う。ライガー・ゼロはライオンの様な鳴き声で返答する。
「分かったわ!お前に乗って、基地を徹底的に破壊してやるわ!」
そう意気込んでライガー・ゼロに乗り込むと、コクピットのハッチを閉め、痛む左目の破片を抜いてから応急処置を施し、操縦桿を握った。
「さぁ、行くわよ!」
まずはビーム砲を撃ちながら向かってくるコマンドウルフに接近して、レーザークローで斬り掛かり、一撃で左足を吹き飛ばす。トドメに左足でコクピットを踏み潰し、パイロットを殺した。二体目はレーザーファングで噛み千切り、首を逃げまどう兵士達に向けて吐き捨てる。
何名かを吹き飛ばした後、ショックキャノンを撃ち込んで大勢を殺す。こちらに向けて撃ってくる装甲車や戦車も破壊し、周囲に存在する建造物も徹底的に破壊する。
『各員、これ以上基地を破壊させるな!売り飛ばす予定のライガー・ゼロを破壊しても構わん。撃て!』
基地の管制塔からの指示が聞こえ、ドートレスとストライクダガーが遠慮なしにマシンガンやビームライフルを撃ってくる。ライガー・ゼロの機動力を使い、マリは攻撃を回避しつつ手近なドートレスに接近し、クローでコクピットをえぐり取る。
コクピットの胸部を抉られたドートレスが倒れると、即座にビームを撃ち続けるストライクダガーに覆い被さり、レーザーファングで腹部を噛み千切った。残りの敵機はパイロットが怯えているのか、機関銃やビームを乱射するが、全くマリのライガー・ゼロに当たることもなく、次々と撃破された。
十数機以上の敵機が撃墜されたが、基地に多数配備された兵器の数は未だに残っており、基地司令官は惜しまなく投入する。
「どれだけ居ようが・・・!」
向かってくる数十機のゴドスに向け、マリはショックキャノンを撃ちながら吐き捨てる。標的にされたゴドスは次々と倒れていき、最後の一体は首を跳ねとばされる。両肩にガトリング砲を付けた全高8m程の手足の短いハーディガンや、基地の自動砲塔などが出て来たが、話にもならず、潰されるだけだった。
周辺の敵を排除すると、増援が来る前に捕虜収容所へと向かう。道中、絶えず装甲車や戦闘ヘリ、自動砲塔が出て来るが、体当たりする程度で潰せるので、容易に突破できる。敵歩兵が携帯式対機動兵器ミサイルを持ち込んできたが、ライガー・ゼロには効かず、踏み潰されるか、ショックキャノンを撃たれて挽肉へ変わる。
捕虜収容所へ辿り着くと、歩兵が携帯式ミサイルやロケットランチャーで歓迎してくる。右足で振り払い、挽肉へと変えてからコクピットを開け、ダーク・ビジョンで捕虜を確認した。
「全員・・・死んでる・・・?」
ダーク・ビジョンで捕虜収容所内部を確認したマリは、全裸になって死んでいるワルキューレの将兵達を見て呟いた。散々犯され尽くした後、敵兵が居なくなったところで舌を噛み千切るか、壁に頭を何度も自分で叩き付けて自決したようだ。さらに怒りがこみ上げた彼女はコクピットを閉め、基地中で暴れ始める。
増援が現れ、マリのライガー・ゼロに攻撃するも容易に回避されて瞬く間に全滅する。数十分後には、基地の至る所で火災が発生し、堅い道路やアスファルトの上は兵士の死屍累々だった。建造物と管制塔も倒され、ハンガーも破壊尽くされている。
周囲に死んでいる兵士と同様、立ち向かった兵器群の残骸が死屍累々のような有様だ。ライガー・ゼロの白い外装は敵兵の返り血で所々紅く染まっている。
「来るな!来るなぁー!!」
錯乱したパイロットが乗るハーディガンが手に持った機関砲を撃ちまくるも、瞬時に接近され、コクピットの部分を食い千切られる。
「ヒィィィ!!や、止めろ!止せ!!」
まだ生きているパイロットは必死の命乞いをするが、マリに通じるはずもなく噛み砕かれ、肉片と化した。周囲に飛び散った血が付着する中、最後に残しておいた司令施設まで歩み寄る。
あのハーディガンが最後の一機だったのか、ライガー・ゼロ以外の機動兵器の反応は見られず、通常兵器の反応すら見られない。そんな時に、敵基地司令官からの通信が入ってくる。
『こちらはゴルド基地の司令官だ・・・!これ以上の破壊は止めて、我々と交渉しよう・・・!一体何が欲しいんだ?金か?それともダイヤか?ダイヤならそこらにあるぞ、金も一緒だ。ほら、どうだ?欲しいだろう。ん?』
「・・・待ってて、今貰いに行くから」
この通信に対し、マリは暫しの沈黙の後、返答した。
『そ、そうか・・・!直ぐに用意する、お前が着く頃には用意は済んでいるはずだ!』
基地司令官からの通信が途切れると、マリはMP5の残弾と矢の残りを確認した。司令施設に到着すると、ライガー・ゼロから降り、弓を持ちながら司令施設へと入る。
「さぁ、用意したぞ。これで見逃して・・・あっ」
基地司令官が用意したダイヤと金塊の山を見せびらかしながら、見逃して貰おうとしたが、それに対する彼女の返答は爆弾矢だった。腹に突き刺さった矢を見て数秒後に、基地司令官は爆発して肉片と化す。
「貰いに来たわよ。お前達の命」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
基地中の人間を皆殺しにしようとする女の発言を聞いた将兵達は、悲鳴を上げて死の恐怖を感じて今持っている銃を向けて引き金を引く。多数の銃弾が放たれる中、マリは瞬間移動して接近し、手近な兵士を弓の前部に付いた刃で斬り殺す。このパンツァー・ボーゲンは接近戦も行えるらしい。
その刃を使って次々と敵兵を斬り殺していき、時には盾にして司令施設に居る敵兵を次々と殺していく。周囲が血で真っ赤に染まる中、マリはMP5を敵が集まっている方向へと掃射し、一気に数名を排除した。
数十分後、司令施設に立て籠もった将兵の殆どが全滅、辺り一面が真っ赤に染まり、外とは余り変わらない光景が広がっている。部屋の隅々に死体から手に入れた手榴弾を投げ込み、残存兵を掃討する。
数時間後、彼女が屋上に辿り着いている頃には基地の生存者は殆ど居ないに等しかった。もうすぐ明けそうな夜明けに向け、空を見上げると、一言空に向けて放つ。
「スッキリした・・・」
小さく呟いた後、背後から銃声が鳴り響き、自分の腹部に血を吹き出しながら穴が開く。銃声がした後ろを振り向いてみると、拳銃を構える一人の血塗れな将校が佇んでいた。
「こ、この化け物目・・・!」
将校がそう吐き捨て第二射の引き金を引こうとした時、拳銃を持つ右手へ向けて矢を放つ。突き刺さった矢は深く突き刺さり、拳銃を手放させる事に成功する。激痛を他所にマリは将校に近付き、まだ未使用の矢を取り出し、それを痛みで悶絶する将校の左目に突き刺す。
「グッ、あぁぁぁぁぁ!!!」
余りの痛さに叫び、必死で抵抗しようとする将校だが、残っている手足を全て拳銃で撃たれ、抵抗のしようもなくなる。悪足掻きでジタバタするが、胸にサバイバルナイフを突き刺され、余りの出血多量で力尽きる。彼女はナイフをそのまま動かして、心臓を取り出そうと肉を切り続ける。
取り出せるほどの穴を開けると、心臓を取り出し、それを高く上げて握り潰した。この残忍な行動は全くの無意味だが、マリからすれば気が晴れたような物だ。
自分の血と返り血で殆ど赤く染まったマリは、ライガー・ゼロのコクピットへと瞬間移動で戻り、ハッチを閉めてから明後日の方向へと歩き出す。マリが去ってからの戦闘が終わった後の基地は、殆ど火災と死体、残骸で埋め尽くされ、完全に壊滅していた。
戦闘終了後、彼女は凄まじい激痛に襲われ、呻き声を上げる。
「がっ、あぁぁ・・・・!無理、しすぎちゃったかな・・・」
溢れ出る腹部から血を抑えながらそう呟やいた。応急処置した目からも血が溢れる中、視界が霞み始める。
「こ、こんな所で死ぬなんて・・・まだ、始まった・・・ばっかり、なのに・・・」
余りの出血多量で意識が遠のいていく中、マリは自分の死期を悟る。
「まだ・・・死ねない・・・」
その一言の後、マリの目の前が真っ暗になる。
それは、丁度朝日が顔を覗かせている時間帯であった。
新武器、と言うか自分で考えた弓矢の一種、対戦車弓がまたしても登場。
でも、誰か先に考えているだろうな・・・
あっ、一応ワルキューレに亜人とか居ます。
~今週の中断メッセージ~
メイトリックス大佐からの一言。
ムエタイX「今日は休め」