復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

61 / 74
レイブンが乗っている重装甲型ゴドスじゃありません。

※ヒロイン大虐殺注意。


おぞましい光景

 ツェルベルスが戦域からの脱出に成功した後、同じく脱出に成功していたマリは、追ってこないか後方を確認した。

 

「ふぅ・・・追ってこない・・・」

 

 傭兵部隊が追ってこないことを確認したマリは、そのまま合流地点へと向かおうとするが、エネルギーがそこまで向かえるほど残っていない。地図を出し、補給が出来る場所を探す。

 

「もう、こんな時に・・・」

 

 この惑星の地図を見ながら、マリは自分の居る位置を長い時間掛けてようやく割り出し、近くに町があるかどうかを探し始める。どんな町なのかを調べようとしたが、このライガー・ゼロイェーガーにそんな便利な機能は搭載されてなどいなかった。

 

「自分の目で確かめるしかないのね・・・」

 

 仕方なく、マリは自分で確かめに向かった。

 そんな彼女が乗る濃い青色の外装なライオン型大型ゾイドの後を、傭兵部隊が保有するMS、ジムのエース仕様タイプのジム・スナイパーカスタムが監視していた。その高性能機乗る迷彩服を着たパイロットは、自分の上官にマリを撃つかどうかを問う。

 

「隊長、撃ちますか?」

 

『いや、放っておけ。運が良ければ、あの”町”の住民が八つ裂きにしてくれる』

 

「そんなに上手く行く物かね・・・こちらハイエナ、帰投します」

 

 上官に聞こえないように、受信マイクを口から離して小声でぼやいた後、報告してから機体を動かし、自分の隊が居る方向へと戻る。先程まで、傭兵部隊の監視対象であったマリは、何処からか現れるかも知れない敵に警戒しながら、操縦桿を握っていた。

 暫く進んでいると、灰色の軍服を着た死体が吊されているのが目に入る。カメラをズームしてよく見れば、先の砦と同じ百合帝国残党軍を着た兵士の死体だった。

 吊されてから、先の砦が放棄されたのと同じく、数十年は経っているだろう。死体が吊されている周囲には、腐敗した死体が幾つか転がっている。装備品はそのままで、金属部分が錆び付き始めている。

 殺された理由は、腐った死体がバラバラになっていることで予想できる。数十年前、ここで敗残兵達が敵らしき者達と殺し合い、負けて無惨に殺された事実だ。

 

「哀れな物ね・・・」

 

 朽ちていく敗戦国の兵士達の物言わぬ死体をモニターから見て、マリは哀れみの欠片もない言葉を掛け、その場を通り過ぎた。

 それから数百メートル進んだところで、霧が立ち籠め、不気味さが出始める。

 先程の敗残兵の死体とは違う別の腐乱死体を多数目撃する。着ているのは軍服でもなく、地味な女性物の平服を着た死体であった。直ぐにカメラをそちらに向け、良く観察する。

 

「ここらの住民は、先住民には情け容赦ないのね・・・」

 

 掘られた壕の中に大量の死体が折り重なっているのを見て、この辺りに住む住民が血も涙もない冷酷な人間と表する。中には幼い少女や赤ん坊の死体まであったことで、マリはやや住民に対して怒りを覚え始めていた。進む度に虐殺や民族浄化の後が見られ、さらにマリの怒りを掻き立てる。

 既にマリのイェーガーの周りには、古戦場の戦車に戦闘機、その他諸々の兵器群の残骸や、酷く損壊して腐り果てて性別が判断しない死体で溢れかえっていた。まるでこの世の物とは思えないほどの光景だ。それをここまで放棄するとは、惑星政府がどれほど地方に対して何の支援もしていないことが分かる。

 

「嫌な光景・・・疫病が流行ったらどうする気なの・・・ん、味方・・・?」

 

 地獄にも思えるほどの光景を目にして吐き気を覚える。そんな時にマリは、レーダーに味方の機影が北西に確認されたので、操縦桿を動かし、そちらに向かってみる。

 レーダーの位置に沿って近付いていくと、味方と思われる物体が見えた。更に近付けば、正体は銃弾を受けた民間用の大型トレーラーであり、護衛にはジムⅡが二機付いている。直ぐに通信でその大型トレーラーに味方かどうかを問う。

 

「そこ、応答しなさい。合い言葉は確か・・・」

 

『サンダーとフラッシュですよ』

 

「あぁ、そうだった」

 

『もぅ、このまま撃っちゃう所でしたよ・・・』

 

 合い言葉を忘れたマリに、トレーラーに乗る女性は注意してから返答した。二機のジムⅡはビームライフルの銃口を上にし、トレーラーの上にいる歩哨達も銃を下げ、マリのライガー・ゼロイェーガーを見た。

 トレーラーまで近付き、機体を格納庫へ入れると、直接責任者の顔を確認するため、機体から降りる。格納庫内に居る整備員はどれも少女ばかりで、大人など自分以外居なかった。

その少女達の中には、先程砦にいたカチヤ・フンメルの姿があったのだ。マリの姿を見たカチヤは、直ぐに近付いてくる。

 

「生還したのですね、少佐殿!」

 

「えぇ。アンタの付け足した装備、役に立ったわよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 近付いてきた少女整備員に付け足された装備が役に立ったと褒めた後、カチヤは頭を下げて感謝した。トレーラーの運転室へ入れば、頭に包帯を巻いた黒髪の女性士官がマリを見るなり敬礼する。

 その女性士官は頭の包帯のみならず、所々に血が滲んだ包帯を巻き付け、左手の指が千切れ掛かり、それを包帯で固定している。実に痛々しい姿だ。早速彼女はマリに向けて報告を始めた。

 

「この中で一番階級の高い羽瀬川早紀少尉です。徴発したトレーラーで数十人の兵・下士官と共に砦から命辛々脱出してきました!」

 

「そんなの良いから、ここら辺に敵は居ないか索敵した?」

 

 堅苦しく報告する羽瀬川に、マリは索敵したのかを問う。

 

「はい。索敵しましたが、敵は確認できませんでした!」

 

「そう。じゃあ、この近くに町があるけどさ、どうなっているか調べてくれないかしら?」

 

「はい。直ちに掛かります」

 

 向かう先の町の情報が欲しかったマリは、羽瀬川に町についての繊細な情報を探らせた。しかし、彼女は自分ではせず、ヘッドフォンを付けた少女兵士にやらせていた。

 

「情報、出ました」

 

 少女兵士からの報告に、マリは少女の近くに寄り添い、画面に映るデータを確認する。羽瀬川も近付き、共にデータを見る。余り自分達を絶対に歓迎などしない住民が住む町のようだ。

 

「うわぁ・・・人身売買までやってるなんて・・・結構ヤバイ町じゃないですか・・・」

 

「思った通り、酷い連中が住んでるわ。あの町」

 

 余り宜しくない情報ばかりで、羽瀬川は引き、マリは思った通りの者達が住む町だと確証する。そんな時に、外から歩哨の怒鳴り声上がった。

 

『止まれ!』

 

「っ!?」

 

「貴方達は持ち場を離れないで!」

 

 外の怒鳴り声を聞いて、マリが外へ出て行った後、羽瀬川は部下に持ち場から離れないように告げてから外へ出る。目に見えた光景は、ふらつきながらトレーラーに向かってくる少女の姿であった。

 双眼鏡で良く少女の姿を確認すれば、白い服に所々赤い染みが付き、目から生気が失われている。両足に足枷の後と、右肩の辺りが銃弾らしき物で抉れていることから、奴隷商人から逃げてきた”商品”だった少女と思われる。少女の無惨な姿を見たマリは、歩哨に銃を下げるよう大きな声で告げる。

 

「全員、銃を降ろしなさい!」

 

「で、ですが」

 

「殺すわよ!」

 

「ひっ・・・!」

 

 剣幕の凄い表情で将兵に怒鳴った後、トレーラーから降りると、奴隷だった少女の元へと走って向かう。そのまま少女を抱き抱えながらトレーラーに戻り、衛生兵に治療するよう命令する。

 

「この()、治療して」

 

「えっ?我々を殲滅する為の罠という可能性が・・・」

 

 突然現れた少女を、自分達を殲滅するための罠かもしれないと主張する衛生兵に対し、マリは彼女の胸倉を掴み、恐ろしい眼力で告げた。

 

「・・・良いからさっさっとやりなさい、この雌豚・・・!」

 

「はっ、はい・・・!」

 

 彼女の青い瞳から凄まじい殺気を感じた衛生兵は、震えながら変死をした後、直ぐさま少女の治療を始めた。着ている汚れた衣服を脱がせ、死人のように白い肌の少女を全裸にする。抉れた肩をアルコールで消毒し、止血剤を撒く。血が止まれば、治療用の糸と針で傷口を縫い合わせる。

 治療が施される間、少女の身体にある幾つもの傷を見て、マリの表情が固まった。

 乳房が痛く腫れ、身体中至る所に痣や鞭で打たれた傷がある。生気の方に目をやれば、ここに来るまで少女が無理な性行為を強いられていた事が一目で分かる。これを見たマリの堪忍袋の緒が切れた。

 

「ち、治療完了しました・・・次は・・・性器の治療ですか・・・?」

 

「やっといて・・・」

 

「わ、分かりました・・・!」

 

 失禁して怯えながら報告する衛生兵に、追加の治療を頼み込むと、マリは更衣室へ向かい、自分のサイズにあった砦から回収されたと思われる迷彩服を袋から取り出す。今着ている衣服と着替えると、勝手に装備を持ち出し、町へと向かおうとする。

 彼女の目的は町の殲滅である。理由は簡単、町ぐるみで人身売買を行っているからだ。

 

「ちょ、ちょっと少佐殿!何処へ行かれるのですか!?あそこには、重武装の自警団が居て、ゴドス数機が配備され・・・な、なんでも・・・無いです・・・」

 

 羽瀬川がマリを静止の声を掛けるが、振り返った彼女の殺気に満ちた表情が恐ろしく、止めようとするならば殺される予感がして、そのまま行かせてしまった。

 

「まっ、待ってください!貴方は・・・あっ・・・あぁ・・・!」

 

 次にカチヤが止めに入ったが、睨まれた途端に恐ろしい殺気を感じ、足腰が立たなくなり、尻餅をついて失禁までして怯え始める。他の歩哨達も、トレーラーから出て来たマリに目を合わせないように避け、彼女の前から次々と離れていく。誰もマリを止めることなく、町に行かせたのだ。

 この時、マリが無断で持って行った装備は、サプレッサー付き並びホログラムサイト付きC8カービン一挺にカールグスタフM2一つ、消音器付きシグP226自動拳銃一挺、その他専用弾倉と予備弾、手榴弾が四つ、トレンチナイフ一本だ。動きが鈍くなる重装備であるが、相手は羽瀬川が言っていた自警団、つまり正規訓練を受けていないとされる民兵なので、不測の事態が起きない限り大丈夫であろう。

 マリは堂々と町の正面から向かっていく。当然ながら自警団の自警団員が、武装した彼女を見るなり銃を向け、警告してくる。

 

『そこの骨董品で武装した女!直ぐに立ち去れ!!』

 

 堂々と正面からやって来たマリに対し、この世界における軍隊の払い下げである自動小銃を突き付ける。服装は統一されておらず、ただ平服の上から個人装備を身に着けているである。

 近付いてくる数名と、見張り台に立つ自警団員の人数を数え、標的に捉える。今持っている騎兵銃(カービン)の安全装置を外し、素早く構え、手近な自警団員の頭を撃った。

 

「撃ってきた!」

 

 一人が撃たれたので、直ぐに仲間達に反撃するよう告げる自警団員であったが、他の者達と共に物の数秒で撃ち殺される。残りの者達は、銃を撃とうと構えるも、撃つ前に眉間を撃ち抜かれ、全員が物言わぬ死体と化した。撃ち殺した人数は二十七名。残弾は後三発。後三人は殺せる。

 瞬間移動で正面出入り口近くの建物に上がり、双眼鏡を使って正確な自警団の戦力を確認する。ツーマンセルで辺りを巡回する自警団員が幾つか居たが、テクニカルなどは確認できていない。倉庫の方を見ると、羽瀬川が言ったとおりゴドスが数機ほど見えていた。

 

「あれを奪えば町の住民を皆殺しに出来そう・・・」

 

 倉庫に収められているゴドスを見てそう呟くと、奴隷商人が居そうな辺りを探す。人集りが多い場所を見れば、直ぐに奴隷市場が分かった。

 瞬間移動で建物の屋根を伝って、敵に発見されずに奴隷市場まで辿り着いた。ダーク・ビジョンで囚われている人数を確認すれば、台の上に手枷や足枷で美しい若い女性の奴隷が監視付きで立たされ、客達を盛り上げるためか、司会者が奴隷の紹介をまるで商品を紹介のように行っている。

 

「メガミ人・・・?」

 

 司会者の紹介を耳にしたマリは、スリリングでC8カービンを吊し、カールグスタフM2を客達が密集している箇所に構えた。この人を物として買う行為は、マリにとっては許してはならない物である。何故なら彼女は幼少期の頃、性奴隷として過ごした事があるからだ。

 安全装置を外し、照準を人集りが多い場所へ向けると、引き金を引いた。発射された多目的ロケット弾頭は放射線を描きながら人集りの多い場所へ飛び、丁度そこにいた気付いた一人に着弾。当たった男は周りの人間も巻き込んで木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

「う、うわぁぁぁっ!!」

 

「イテぇ、痛いよ・・・!ママ・・・!」

 

「メガミ人の盗賊の襲撃だ!奴隷を奪い返しに来たんだ!!」

 

 血煙が上がり、呻き声と悲鳴が聞こえる中、マリはライフルの消音器を外し、目に見える人間を一人一人と撃ち始めた。弾切れを起こせば、直ぐに新しい弾倉に取り替え、装填して再び逃げ惑う人々に撃つ。撃たれた人間の銃創はどれも急所であり、確実に即死する箇所であった。

 

「ぎゃっ!?」

 

 忽ち何十人もの人間が物言わぬ死体と成り果てる。殺された彼等には、護身用の武器しか無く、何の罪も無さそうだが、奴隷を買いに来る時点で積荷値するため、マリのターゲットに加えられているのだ。

 

「はまっ!?」

 

 司会者の頭部にも風穴が開けられた後、マリは建物から飛び降り、瞬間移動で自分を殺しに来た自警団員達を殺し始める。遮蔽物に身を隠し、銃を撃つために頭を出す敵を一人ずつ撃ち殺していく。四方八方から自警団員達が出て来るが、一発も撃つ事無く死体に成り果てる。

 先程の台に乗せられた競売に掛けられていたメガミ人は、震え上がって、そのまま台の上で両膝を付き、頭を抱えていた。

 今自分が隠れている箇所に砲火が集中している為、何処か移動できる場所を探す。左手の民家が空いていると確認し、手榴弾の即席トラップを仕掛け、民家まで瞬間移動で移動した。敵はマリが移動したことを知らず、ずっと先程まで隠れていた場所をずっと撃ち続けている。

 手榴弾が投擲される前に、民家の窓を割って屋内に侵入し、敵が確認に来るまでやり過ごすことにする。だが、民家の家主達がそれを許すわけが無く、侵入者であるマリに向けて包丁や防犯用の武器で襲い掛かってきた。

 

「死ねぇ!余所者が!!」

 

 年配の主婦が未来の防犯用の武器で殴り掛かってきたが、あっさりと避けられてしまい、トレンチナイフで喉を切られて自分の血で窒息死する。次に老婆が散弾銃を撃とうとしているが、抜かれたP226で頭部を撃たれ、床に倒れ込む。

 

「このアマ、よくも!殺してやる!」

 

 亭主と主婦の息子であろう十代後半の青年が拳銃を持ち出し、仇を取りに来るも、あっさりと頭を撃たれて死んだ。まだ民家に誰か隠れていないか、マリは民家の探索を始める。案の定、敵はまだ残っており、背後から工具で襲い掛かってきた。

 殺意の波動を発動し、相手の戦意を削ぐ。振り返って敵の正体を確かめてみると、若い女性が失禁しながらマリを見るなりクシャクシャな顔で泣きじゃくり、命乞いをしていた。

 

「こ、殺さないで・・・!お願い・・・!」

 

 命乞いを掛けてくるが、マリは情報を集めるため、胸にナイフを突き付けて尋問する。

 

「ねぇ、この町の奴隷市場はあれだけ?」

 

「あ、あそこだけですぅ・・・!お願いですから殺さないで!」

 

 泣き喚きながら答える女性に、マリは次の質問に移った。

 

「他に奴隷が捉えられている場所は?」

 

「南東にある死体置き場です・・・!これで、殺さないでくれる・・・?」

 

「そう、ありがとう。俺に楽に殺してあげる」

 

 必要な情報を得たマリは、これ以上泣き叫ばれて敵を呼び出されるのを避けるために、女性の額にナイフを突き刺し、一瞬で即死させた。泣き喚いた表情のまま死んだ女性から内皮を引き抜き、裏から外へ出た。丁度その時、自警団員が罠に掛かり、数名を巻き込んで爆発した直後だった。

 向かう途中でゴドスが町中に現れ、マリを捜し回っていたが、彼女はカールグスタフM2の再装填を行ってから頭部のコクピットに照準を向け、引き金を引いた。徹甲弾では無いが、多目的ロケット弾頭は脆い箇所に当たれば、戦車とで撃破できる。発射されたロケット弾はコクピットに命中、頭部が吹き飛んだゴドスは地面に倒れ込んだ。

 

「死ね、メガミ人!」

 

 老人の自警団員がマリを見るなりライフルを撃ったが、一瞬で抜かれたP226で撃ち殺され、他の者達もバタバタと頭を撃たれ、地面に倒れて死体に変わる。再装填を行ってから、マリは死体置き場を目指した。途中で何名かの自警団員や武装した住民と遭遇したが、反撃する間もなく次々とマリに殺される。

 目標の死体置き場に着いたが、敵は管理人だけであり、ダーク・ビジョンであっさりと隠れている場所を発見され、手榴弾を投げ込まれて肉の塊となる。中に入って奴隷が囚われている場所を見付けたが、誰も彼もが既に死んでいるか、死ぬ間際なので解放しても死ぬだけであり、誰しも助かる見込みもなく、連れて行くのは無意味に等しかった。

 

「ごめん」

 

 自分の姿を見て解放者だと思い、手を伸ばしてくる奴隷達に一言謝り、町の地図を手に入れ、外へ出た。周囲警戒もせずに出て行った為、上空から現れたヘリからの攻撃を受けた。マリは直ぐに遮蔽物となる場所へと全力疾走する。

 建物が崩壊する中、マリの近くでロケット弾が着弾し、吹き飛ばされ、破片が彼女の身体に突き刺さる中、掘られた壕の中へ落ちた。壕の中に入っていたのは大量の死体で築き上げられた山であり、殆どがメガミ人だった。

 

「へっ、いや・・・!」

 

 壕の中に落ちたマリは、驚いて立ち上がろうとしたが、ヘリがまだ上空を旋回しており、まともに姿を晒すことが出来ない。身体を死体の血で汚しながら、死体の山の中に入り、敵をやり過ごそうとする。奥へ潜り度に死体の内臓や手が触れ、彼女の耐久心を徐々に削いでいく。

 

「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い・・・」

 

 そうブツブツと小さく呟き、上からは見えない場所まで潜ってそこに身を潜めた。死体は全て裸であり、男女ともの感触が肌の露出した部分に伝わってくる。マリは死体から感じる冷たい感触を感じつつ、人の声やヘリのローター音が無くなるまで堪え忍ぶ。

 

『そっちは見付かったか?』

 

『粉々に吹き飛んでいるんじゃないのか?』

 

『クソ、生きてたらレイプしてやるのによ!』

 

『あれだけの美人だ。きっと死体でもかなりの値が付くぜ!』

 

 周囲を捜索し、自分を捜し回る自警団員達の声や足音が増えてくる。中には自分を性の捌け口や売り飛ばそうと考える者達の声も聞こえ、マリからすれば、今すぐ飛び出て皆殺しにしてやりたいが、相手の数が多すぎ、逆にこちらが殺される可能性が高い。

 ずっと死体の山の中で我慢していると、やる気がなかったのか、敵は捜索を打ち切って死体置き場から離れていく。

 

「今だ・・・!」

 

 敵が居なくなったところで、光が見える箇所を目指して死体の退かしながら上へと目指す。途中で触りたくない”物”や内臓に触れたが、背に腹は代えられない。ようやく死体の山から抜け出すと、周囲を探り、まだ敵が残っていないかを見渡してみる。敵が居ないところで這い上がろうとすると、死体置き場の中から複数の銃声が響いた。

 どうやら死にかけの奴隷達を”処分”している様だ。彼等を処分したと思しき自警団員達が、出入り口から出て来る。

 

『全く、無駄に苦労させやがって』

 

 戦闘の男が悪態をつくと、その後を他の者達が続いていく。彼等はマリが隠れている死体を捨てる壕に目もくれず、ただ黙って死体置き場を後にしようとしていた。直ぐにマリは、何の警戒もしていない彼等の背後に回り込み、一人ずつナイフで首を突き刺し、喉を切り裂き、後頭部に突き刺して殺していく。

 最後の一人を背後から羽交い締めにして、ナイフを突き付け、戦力について尋問を開始する。

 

「あんた等は後何人いるの?それと車両とかは?」

 

「自警団は後五十人くらいだ・・・車両は四台ほど・・・離したから解放・・・」

 

 情報を離した自警団員の喉にナイフを突き刺し、それを引き抜いて鞘に戻した。死体を雑に捨てると、無線機や手榴弾を回収し、ゴドスが保管されている倉庫へと向かった。瞬間移動を駆使して、巡回に戻った自警団員達の目をかいくぐり、また屋根を伝って移動した。

 数分もしないうちに倉庫へ到着し、余っているゴドスがないか確認する。先程の騒ぎで何機かが出撃した所為か、余り残っているようには見えなかったが、三機以上がまだ倉庫の中にあった。

 地上に降り、守衛の団員を消音器付きの拳銃で撃ち殺しつつ、動いていないゴドスの元へ向かう。その時、パイロットと思しき十代後半の少女と遭遇してしまう。直ぐに声を出して仲間を呼ぼうとする少女に、マリは瞬間移動で距離を詰め、少女に覆い被さって首を絞める。

 首を絞められながらも、覆い被さったマリを必死で引き離そうとするが、少女の力では彼女を引き離すことなど出来ない。これ以上時間を掛ければ、敵が来ると思ったマリは、少女の首に親指を強く入れ込み、指を首に突き刺した。

 突き刺した首から血を勢いよく引き出し、少女はあられもない表情をしながら死んだ。少女の血を顔面に浴びた彼女は袖で顔の血を拭い、銃に血が付かないようにして離れる。ただの重りとなったカールグスタフM2を捨てると、マリはゴドスのキャノピーを開け、機体に乗り込んだ。

 キャノピーを閉めて機体を起動させ、操縦桿を握り、ペダルに両足を付けると、ゴドスを前に移動させた。機体の操作マニュアルを確認し、味方と表示されているゴドスを全て敵に変える。

 

「二連装バルカンに二連装対空レーザー砲、ビーム砲二門ね・・・大分扱いやすい機体だから、ここの連中は皆殺しに出来るわね」

 

 武装の確認をした後、マリはゴドスを倉庫の外まで動かし、倉庫に向けてビーム砲を乱射する。中にあったゴドス二機は大破し、爆発物に命中すると、倉庫は盛大に大爆発した。

 

『おい!お前、気でも狂ったか!』

 

 マリが乗っているのを味方と思っている自警団員が乗ったゴドスが、通信を開きながら近付いてくる。そんな男が乗るゴドスの首に照準を合わせ、トリガーを引いた。腰にあるビーム砲が発射され、ゴドスの首が飛ぶ。

 

『味方が撃ってきてるぞ!』

 

『違う!奴は敵だ!!』

 

 味方であるはずの同じゴドスに攻撃された為、自警団は混乱し、反撃が遅れる。その間にもマリに次々と撃破されていく。テクニカルの武装ではゴドスの装甲は貫けず、踏み潰されるか尻尾のスマッシュアップテイルで叩き潰され、ゴドスが倒れていく中で全滅した。

 ロケットランチャーを撃ってくる敵兵に対しては、手で捕まえて自動小銃を撃ってくる自警団員に投げ付ける。まだ息があったが、踏み潰される。快進撃を続けるマリであったが、パイルバンカーを装備したゴドスが現れ、マリが乗る同機を串刺しにしようと向かってくる。ビーム砲を撃つが、相手は回避しながら接近し、パイルバンカーを突き刺そうとした。

 だが、スマッシュアップテイルで吹き飛ばされ、ビーム砲を数発撃たれて撃破される。コクピットにも命中している為、搭乗者はビームで蒸発したようだ。あれが最後の一体だったのか、自警団員がこれ以上マリに攻撃してくる事は無かった。

 次に目標である町の住民の皆殺しを実行するため、民家や施設に向けてビーム砲を撃ち始める。撃ち込んだ民家は爆発し、全身に火を纏った人間がゆっくりと歩きながら出て来た。民家から飛び出して逃げようとする住民に対しても、容赦なくビーム砲を撃ち込み、殺害する。

 

「た、助けて・・・!」

 

 手足が無くなってもまだ息のあり、呻き声を上げる者が幾人か居たが、マリのゴドスに踏み潰されるか、その場で息絶える。この調子で町から逃げようとする住民を虐殺するマリであったが、ロケットランチャーによる攻撃で被弾した。まだ動けるほどの損傷なので、その正体に向けてビーム砲を撃ち込む。

 撃った正体は年配の女性であり、一瞬で蒸発した後、後ろで我先にと逃げていた住民達に当たり、多数の死傷者を出す。町中で火災が起こり、重傷者の呻き声や人が燃える臭いが充満していたが、まだ彼女の虐殺は終わらない。彼女が町で対した抵抗も出来ない住民を殺しまくっている間に、町長等や人身売買組織の幹部達が町から逃げ出したのだ。

 

「誰も逃がさない・・・!」

 

直ぐに追跡に移り、非武装の車両群に爆発物まで投げ付け、ビーム砲を撃ち始める。投擲された爆発物は車両の真ん中に着弾し、多数の車は大破。生き残った車両は全てビーム砲で破壊される。

 まだ生存者が居たが、彼女は容赦せず、引き金を引いて生存者達を蒸発させた。

 

「皆殺し完了・・・」

 

 町の住民を虐殺したマリはそう呟き、奴隷市場まで機体を進めた。先程の台に立たされたメガミ人は未だに頭を抱えて震えたままであり、マリが乗るゴドスを見るなり更に震え上がり、失禁までしてしまう。そんな彼女に、マリはキャノピーを開けてゴドスから瞬間移動で降り、メガミ人の両肩に手を添え、優しげな表情で安全であることを告げる。

 

「もう大丈夫、恐い奴等はみんな燃やしたから・・・」

 

 それを聞き、顔を上げたメガミ人は、マリの女性らしい優しげな表情で安心感を覚え、立ち直る。そんな彼女に待つように告げたマリは、生き残りが建物の中に潜んでいるかも知れないと予測し、ダーク・ビジョンを発動しながらカービンを構え、中に入った。

 予想通り、少数の生き残りがおり、爆発が止んだところで何人かが外の様子を見ようと自分が居る方向へと向かってきた。直ぐに銃を構え、猟銃を下手に構えながら出て来た男の頭をカービンで吹き飛ばした。

 

「俺達を殺しに来たぞ!!」

 

 銃声を聞いた生き残りの一人が叫べば、残りの者達が悲鳴を上げて奥へと逃げ出していく。勇敢にも立ち向かってくる者達が居たが、皆マリに射殺された。行き止まりに追い込まれた者達は今持っている銃を構え、マリが自分達の前に姿を現すのを待ち構えていた。

 ダーク・ビジョンを発動している彼女にとっては丸見えであり、あっさりと対策法を取られてしまう。立ち向かってきた女の死体を担ぎ上げ、それを生き残り達が銃を向けている場所へ投げ込むと、一斉に銃声が乱発した。けたたましい銃声が奥内に響き渡り、死体が一気に肉塊へと変わる。

 

「やったか!?」

 

 一人が殺したと勘違いした後、マリは持っている手榴弾の安全栓を外し、息のコチたちが居る方向へと投げ込んだ。

 飛んできた手榴弾に驚いた彼等は直ぐに投げ返そうとするが、彼女は次々と手榴弾を投げ込み、彼等を慌てさせる。切羽詰まった生き残り達は我先に逃げようとしたが、最初に投げ込まれた手榴弾が爆発し、続いて他の手榴弾も爆発。誘爆する物もあり、爆発が治まる頃には部屋中血で真っ赤となり、辺りに内臓が散らばるトラウマになるほどの光景へと変わっていた。

 

「終わった・・・」

 

 悪臭が漂う中、マリは囚われている奴隷達の解放へと向かった。

 今の彼女は綺麗な金髪は敵の返り血で赤く染まり、白い肌も返り血で赤く染まっている。着ている迷彩服は所々紅く染まり、全身が赤く染まった御陰で迷彩効果は失われた。ポケットから取り出したハンカチで顔を拭いた後、奴隷達が囚われている区画へと到着した。

 牢越しから見える奴隷全員は、容姿が美しいために全員が性奴隷であり、殆どの者達の目が、長きに渡る望まない性行為の御陰で生気を失っていた。殆どがメガミ人であり、全員が奴隷の証である焼き印を押されている。マリは直ぐに牢の鍵を開け、彼女達を解放したが、余り外へ出る者達が少なかった。

 

「ありがとう・・・ありがとう・・・」

 

 牢から出た者はマリに感謝の言葉を投げかけ、外へと出て行く。

 

「ほら、あんた達も・・・」

 

 牢からでない者達に声を掛けるマリであったが、生きる希望を失っているか、牢を出ようともしなかった。仕方なく「自分が新しい主人だ」と言えば、体罰に対する恐怖感で全員が牢から出て来る。外へ向かうように指示をすれば、全員がそれに応じて外へと向かい始めた。

 彼女等を連れて外へ出ると、ゴドスの無線機の周波数を合わせ、トレーラーを呼び出そうとする。暫く弄くり回していれば、ようやく繋がり、通信士である少女兵士が出る。

 

『あの、誰ですか・・・?』

 

「私よ。直ぐに町に来て。脅威は全て排除したわ。食料庫も無事よ」

 

『えっ、少佐殿ですか!?少尉に報告してきます!』

 

 通信士はマリと分かった後、自分の上官である羽瀬川に報告する。物の数秒で羽瀬川に代わり、マリが無事であったことに驚く。

 

『ぶ、無事でしたか・・・それと本当に町を・・・?』

 

「えぇ、胸糞悪いことを町ぐるみでしてたから皆殺しにしてやったわ。それと解放した奴隷の分のトレーラーもあることだし、敵もここの戦闘を書き付けて来るかも知れないから。なるべく早く来てね」

 

『そ、そんな勝手に』

 

 羽瀬川は訳を問う前に通信を切り、マリは奴隷達を市場に残し、町にあるトレーラーを取りに向かった。辺りは廃墟と化し、道は焼死体や身体の一部がない死体で溢れている。これ程の大虐殺を起こし、町を崩壊させた張本人は一切何も感じしなかった。

 本来なら精神の一つや二つ崩壊してもおかしくないレベルだが、マリの神経は通常の人間とは違い、計り知れない物となっている。幾ら人を殺そうとも何も感じない。世界、国家、都市、町、村、集落を幾ら滅ぼしても、彼女は何とも思わないのだ。

 怪物か悪魔とも思えるマリは、解放した人々を乗せる為のトレーラーがある倉庫まで足を運んだ




町を滅ぼし、オラドゥール村の虐殺を起こした第4SS装甲擲弾兵連隊の第1大隊の指揮官であるアドルフ・ディークマンSS少佐もびっくりな虐殺したヒロイン・・・

こんなヒロイン、大丈夫なんですかね・・・?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。