復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers 作:ダス・ライヒ
戦闘シーンです。ガンダム無双の始まり!
地上で先端が開かれた頃、宇宙にいる連邦宇宙軍の艦隊は半数を失うほどの損害を被り、指揮系統に混乱が見られた。再編成を行おうとしたところで、第二次攻撃である爆薬を搭載した無人のシャトルやHLV、サラミス級巡洋艦、再突入型駆逐艦による特攻により、被害がますます拡大し、地上からの予想だにしない敵からの反撃に混乱状態に陥っていた。
更に、トドメと言わんばかりに強行型のマクロス級のツェルベルスが大気圏を抜けて宇宙へと上がってくる。
「敵大型艦艇接近!」
「おのれぇ・・・!全艦艦載機を出せ!たった一隻に我が艦隊がやられれば笑い話だぞ!!」
衛星軌道上に展開する艦隊の提督はツェルベルスの報を聞き、面子を保つために艦載機を持つ傘下の艦艇に、全ての艦載機を出すよう指示を出す。指示に応じた艦載機を持つ艦艇と空母類は、直ちに艦載機を発艦させる。まだ再編成は終わって居ない所為で、艦載機の展開が遅れる。
だが、それでも数百機ほどが宇宙空間へと発艦した。ツェルベルスも艦載機の発艦を始めた。MSはフル装備であり、バルキリーは全機スーパーパックかアーマードパック装備で、最終手段に取っておいた反応弾も装備している。
発艦の最中、残存競合混成部隊の指揮官であるシャロン・ロード大尉は、エッカルト・アンシュッツ、ツチラト・アビーク、ジョン・ボイスの三名が居ないことに気付いた。
「ケイヒル伍長、アンシュッツ准尉とボイス曹長、アビーク軍曹の三名は何処へ消えた?まさか、逃げ出したんじゃないだろうな」
『いえ、それが・・・』
「なんだ、言ってみろ」
通信用モニターに移るケイヒル伍長と呼ばれる人物が口籠もる姿を見て、何かを隠していると思い、正直に話すように告げる。
『はっ、三名は地上でテーゼナー中尉と共に残りました』
「馬鹿共目・・・この状況では点数なぞ関係ないぞ」
呆れた言葉を述べ、頭を抱えるシャロン。その数秒後、管制官から発艦の許可を告げる通信が入る。
『競合混成部隊の発艦を許可します。十秒後に発艦してください』
「了解した。総員、暴れ回るぞ!!」
『了解!!』
数秒後、シャロンが率いる全機装備付きの残存競合混成部隊のVF-25メサイア系統とVF-171EXナイトメアプラスが、他の混成部隊と共にツェルベルスから発艦した。周囲に展開する敵艦載機であるMSやAT、ハーディガンが早速彼女等に攻撃を加えてくる。
敵の数は多く、放たれる攻撃はまるで雨のようだが、混成部隊はそれを回避して直ぐに反撃に移る。残党狩りに向かった敵艦隊の艦載機は返り討ちに遭い、追い返されてコルベット艦と護衛艦まで撃沈されるほどになり、被害がますます拡大する。焦りに焦った敵艦隊の提督は、追い返そうと艦砲射撃を命じるが、混乱している所為で指示が伝わらない。
この隙に、ツェルベルスの少女のような外見の女性艦長であるシグヤが反応弾発射を搭載している全機に許可する。
「混乱しているようね。全機、反応弾発射!一気に敵艦隊に大打撃を与えるわよ!」
『イェッサー!』
「全機、反応弾発射!」
シグヤの指示で、ブリッジに居る管制官とオペレーターが担当の部隊に反応弾発射の命令を伝える。展開している部隊と直掩隊にも命令が伝達され、搭載している機体は反応弾の安全装置を解除し、トリガーに指を掛け、敵艦が密集している箇所へ照準を合わせれば、トリガーを引いて反応弾を発射する。
発射された反応弾は、対空弾幕を張る中央の敵戦艦に向けて飛んでいき、船体に命中した。戦艦は一撃で撃沈し、周りにいた艦載機は反応弾の爆発に呑まれ、消し炭になっていく。特に大型ミサイル型の威力は凄まじく、爆風の余波でコルベット艦が複数纏めて撃沈するほどであった。
この威力を見た連邦宇宙軍の将校の一人は「核を使用しているのでは無いのか」と声に出し始める。
「本当に核兵器じゃないのか!?」
目に見える味方の艦艇が次々と爆発に呑まれて撃沈されるのを見て思ったことを声にすれば、自分が居る艦艇にも反応弾が命中し、爆発の光に呑まれる。
それからのツェルベルスは、周りを囲む敵艦艇に向けて取っておいた反応弾を殆ど使い、敵艦隊を全滅に追い込むほどの被害を与えた。だが、ここは敵地であり、敵の増援は直ぐに来る。
『敵増援を確認!さ、更に増加中!!』
「クッ、旗艦を潰せば止まるかと思ったが、やはり連邦は底なしの物量を持っているか」
敵艦隊の残存機を片付けたシャロンは、オペレーターから伝えられる報を聞き、周囲のレーダーを見て口にする。レーダーを広範囲にすれば、自分等が居たエリアを囲むかの如く敵が湧いてくる。その数は千機を超える程で、艦艇でも百隻近くは出ている。
反応弾を使えば敵艦百隻と敵機千機を駆逐できるが、先程の半数程度に減って混乱した七千五百隻の敵艦隊に壊滅的打撃を与えるのに殆ど使い切ってしまい、あと一回が限界だ。それに敵艦隊の残存艦までいる。不利な状況は依然として変わらない。
ここで宇宙に上がった自分等だけで逃げ出せば、地上に残っているマリとザシャ達が衛星軌道上からの艦砲射撃を受け、焼き払われる。
そう思ったシャロンは、大軍で向かってくる敵機動兵器の元へ自身が乗るVF-25Sアーマードパックをファイター形態に変形させ、敵陣へ突撃した。
一方の先に先端が開かれた惑星パクスの空では、対空気化弾による敵の爆撃隊の迎撃が行われていた。レーダーを見れば、発射された数十発以上が随伴機の機動兵器に迎撃され、半数程度しか届いてないことが分かる。だが、何十発かは敵編隊に届き、数十機以上の撃墜に成功した。それと同時に敵随伴機の攻撃が来る。
『各機散会!残った爆撃機を迎撃せよ!一機も通すな!!』
『了解!』
通信機から聞こえる指揮官の死守命令で、ザシャの小隊の前にいた中隊が敵から来る攻撃で散会し、各自敵機の迎撃を開始する。一気に数機以上の敵機が撃墜され、火を噴きながら地面へと墜落していく。
「各機散会!」
『了解(した)!』
ザシャも散会を指示し、敵航空機やMS、飛行ゾイド、ハーディガンの迎撃を始める。ニコラは数機以上の敵機を撃墜すれば自分が乗るVF-25Gをバトロイド形態に変形させ、スナイパーライフルで爆撃機を狙撃し、次々と撃墜する。瞬く間に数十機以上の爆撃機が撃墜され、気付いた随伴機がニコラ機へ襲い掛かったが、彼女の前には全く歯が立たず、返り討ちにされてしまう。
「フン、連邦目。所詮は数ばかりか」
火を噴きながら墜落するヘビーガンを見てそう吐き捨てると、ビームシールドを張ってビームライフルを撃ちながら向かってくるジェムズガン三機を瞬時にバルキリーサイズのスナイパーライフルで早撃ちし、全滅させる。
ザシャも向かってくる敵機を撃墜し続け、三分足らずでニコラの倍の撃墜数を稼いだ。チェリー、千鶴、ペトラの三人も三機一隊でザシャとニコラほどではない物の、十機以上を撃墜に成功する。
「やるな!だが、私も負けん!」
自分の好敵手と勝手に決めたザシャが自分より遙かに敵機を撃墜し続けているので、対抗心を燃やしたニコラは、次から次へと出て来る敵機を撃墜し続けた。
数では遙かに凌ぐ連邦軍であるが、ザシャ達とパクス軍の空戦部隊の一人一人がエース級であるため、五機撃墜のエースが少ない連邦軍のパイロット達はカモ同然となる。爆撃機も攻撃機も防衛ラインを一機も抜ける事が出来ず、一方的に駆られてしまう。空で戦う連邦軍のパイロット達を指揮する指揮官は、司令部に撤退の許可を求め始める。
「敵の一機一機が強すぎる!このままでは全滅してしまう!撤退の許可を求める!!」
『ならん!増援を送る、損害に構わずなんとしても突破しろ。以上!』
「クソッ!数だけ送ったところで、損害が拡大するだけだぞ!」
指揮官機に乗り込む指揮官は、司令部からの自分等を捨て駒にするような返答に苛立ち、近くにある壁に拳を叩き付ける。
空の攻勢で爆撃機が全く突破できない中、地上では爆撃による脅威排除を待たず、攻勢が開始された。備えていた偽の陣地を雨のような砲撃と数で叩き潰し、第一次防衛ラインまで接近する。マリが居る本物の防衛ラインにも砲撃の雨が注いだ。
「来る・・・わよね・・・?」
モニターから見える雨のような砲弾を見てマリはZEUSが助けに来ると思ったが、自分が死のうとしている所でも来なかったので、両肩、両腕、両足のミサイルを発射し、自分の場所だけ来る砲弾やロケット弾、ミサイルを迎撃する。結果は成功。見事砲撃からの回避に成功した。
物の数秒で自分の着弾地を避けるかの如く、辺りをまるで更地にするかの如く砲弾が地上へ降り注ぎ、凄まじい爆煙が辺りに広まった。砲撃が終わる頃には爆煙で全く辺りが見えなくなり、砲撃で地面の茂みは全て吹き飛ばされ、穴だらけになる。
その後に、軍靴を慣らせるかの如く、MSや陸戦ゾイド、ハーディガンの足音と、ATのローラー音、戦車の走行音、歩兵の足音がここまで響いてくる。数は第一陣でも一万は超え、歩兵や戦車は百万以上だろう。
圧倒的数の敵の大軍を迎撃すべく、塹壕から出て来たパクス軍の歩兵はそれぞれの配置に着き、MSも塹壕から武器の銃口を出し、迎撃準備を整える。マリのストライクガンダムは塹壕に入らず、ただ立ったままだ。
敵からの狙撃を受けそうだが、覆い隠すほどの砲撃の爆煙で助けられている。無かったら今頃多数の狙撃兵による狙撃で蜂の巣にされていたであろう。防衛に当たる全部隊が迎撃準備を済ませると、煙が晴れ、接近してくる敵の第一陣が見えた。
「嘘・・・こんな数・・・異常じゃない・・・!」
カメラに映る敵の大軍勢を見て、マリは絶望の声を上げる。
一面を埋め尽くすほどの数のドートレスとストライクダガーが見え、後ろには多数のゴジュラスが見える。それらの前方には、ATと高速戦用ゾイドの大軍が向かってくる。これと戦うには、同等の戦力が必要であるが、ここは敵地であり、呼ぶにしても来るまでに余程の時間が掛かる。
諦めて身構えている事にすると、敵の先鋒と斥候が地雷原に突入し、前に出すぎた数機ほどが地雷にはまったのを見て足を止め、工兵隊の地雷除去機を呼んで地雷の排除を始めた。敵がそうしている間に、狙撃銃を持つ機動兵器が妨害を行う。
「こんな数、地雷でも排除しきれないわよ」
狙撃で潰される地雷除去機を見て、マリは呟く。確かにこの異常な数の敵を排除するには、一千万単位の地雷が必要である。地雷を排除する地雷除去機がある程度撃墜されれば、残った地雷除去機は撤退を始める。
敵の狙撃を受けながら地雷を撤去するのは犠牲を増やすと判断してか、ライフルやバルカン砲、ミサイルを使っての強硬手段に打って出る。地雷の爆発が巻き起こり、爆煙が上がる中、大多数のコマンドウルフが出て来た。この光景を例えるならば、狼が群れをなして、大挙して獲物に襲い掛かる物だろう。
その後ろからは、多数のシールドライガーとアロザウラー、フル装備のスコープドックが続いてくる。
多数の機動兵器が人海戦術の如く押し寄せる中、パクス軍の防御砲火が開始された。榴弾砲やパンツァーベルファーによる砲撃で突撃した機動兵器は砲撃に晒され、ゾイドは断末魔を上げて機能を停止し、残骸となる。ATは装甲が脆く、意図も容易く砲撃で吹き飛ばされ、瞬く間に鉄屑へと変わり果てた。
防御砲火が続けられるが、連邦軍は損害に構わず前進し、遂にマリのストライクガンダムの射程距離にまで向かってきた。直ぐに彼女は、ストライクガンダムが両手に持つビームマシンガンを敵へ向けて掃射する。
折角砲撃を抜けてきた敵機は、ビームの雨により前進を阻まれ、撃破される。遂に地上でも戦闘の火ぶたが切って落とされた。
砲撃が終われば、敵機動兵器の大軍が煙の中から現れ、大挙して防衛ラインに押し寄せてくる。マリは大量の敵機に対し、搭載されたミサイルを全て撃ち込んだ。
「吹っ飛べぇぇぇ!!」
そう叫んだ後にミサイルを全弾発射すれば、不要となったポッドを強制パージ、機体を軽くさせた。発射された大量のミサイルは無数の敵の何体かに命中し、平地に転がる残骸を増やした。防御態勢を取る味方機の射程距離に入ってきたため、パクス軍も防衛戦を始める。
「フォイヤー!!」
この指揮官からの怒号と共に、塹壕に身を隠した機動兵器や歩兵が射撃を開始した。機動兵器のみならず、PAK対戦車砲シリーズを対MS用に改造した対機動兵器用砲が火を噴き、歩兵の対物火器も群がってくる大多数の敵に放たれる。この雨のような阻止弾幕に、連邦軍機は次々と機銃を浴びた歩兵のように倒れていき、巨体の残骸を増やす。
数分ほどで百機以上の機動兵器がパクス軍による防衛陣地の前で撃破され、歩兵の遮蔽物となる残骸を増やしてしまう。
「ビームマシンガンが・・・!」
大多数の敵機の前に立つマリは、無理に撃ち続けた所為で、両方ともビームマシンガンの銃身が焼けて撃てなくなってしまった。直ぐに両方捨て、右手にシュベルトゲーベル、左手にアグニと持ち替え、ライフルを撃ちながら突っ込んでくる機動兵器の大群へ向かった。
「はぁぁぁぁ!!」
まずはアグニを発射して多数の敵機を破壊し、接近してシュベルトゲーベルで薙ぎ払う。
マリのストライクガンダムの周りでは爆発した敵機の部品が飛び交い、地面には両断された頭や腕、足が転がる。あっと言う間に包囲されてしまうが、マリはこれが狙いであり、より多くの敵機を潰すには効率が良かった。直ぐに右手の対艦刀を振り回し、周りの敵機を纏めて斬る。
敵機は射撃武器で攻撃して近付けさせまいとするが、マリも射撃武器を使って反撃し、撃墜数を増やしていく。接近戦を試みる敵機も居たが、近付いたところで彼女に敵うはずもなく、真二つにされるか、右肩のバルカン砲で蜂の巣にされてしまう。
左肩のビームブーメランを取り、投げて数機以上を撃破して戻すと、左腕のロケットアンカーをゴジュラスに撃ち込み、敵機の包囲から脱出する。集中砲火を浴びるが、エールの機動性を使って回避し、敵にゴジュラスを撃墜させれば、地上に群がる敵機にアグニを撃ち込んで一掃した後、地面に降りたって敵を撃破し続ける。
目に見える敵機を撃破していると、次々とやられていく味方機を見て、敵の戦意が下がり始めたのか、マリのストライクガンダムを見るなり後退り始めた。
「ば、化け物だ・・・!う、うわぁぁぁぁ!!!」
『ま、待て!逃げるな!!』
塊の中にいた一機のストライクダガーが、マリの余りの強さに恐怖し、上官からの静止の声も聞かずに機体ごと逃亡する。それを見た他のパイロット達も命欲しさに続々と戦場から逃げ出し始め、第一陣が瓦解し始める。
「ま、待つんだ!お前達、逃げるんじゃない!クソ、被害は甚大だ!ここは撤退だ!全機退け!体勢を立て直し、第二陣と共に突撃を再開する!」
敵前線指揮官も味方機が次々とスクラップに変わっていくのを見て怖じ気付いたのか、防衛ラインを攻撃中の指揮下の歩兵や戦車部隊にも撤退命令を出し、逃げるように撤退する。他の敵部隊は後退りながらの攻撃もせず、負傷した戦友を連れて一目散に本陣へと敵に背中を見せて逃げ戻っていった。
「撤退した・・・?」
自分のストライクガンダムに攻撃することなく逃げる多数の敵機を見て、マリは口にする。塹壕に居たパクス軍の将兵達は、逃げる敵兵達を見て歓喜するが、指揮官に大喝され、静まり返る。
『総員直ちに自動砲塔を配置し、持てる限りの装備を持って第二次防衛ラインまで後退。そこで補給を受け、敵の第二陣に備えよ。敵が態勢を整えて再び攻勢に転じる前に迅速にやれ!以上!』
指揮官が拡声器で指示を飛ばせば、指揮下の将兵達は指示に従い、自動砲塔を設置し終えると、持てるだけの装備を持って第二防衛ラインまで下がり始めた。マリもこの指示に従い、第二防衛ラインまで下がる。
空の方でも、甚大的な被害に敵は体勢を立て直すため、撤退を開始したようだ。撤退する敵機を見て、地上の将兵と同じようにチェリーが歓喜する。
「やったー!隊長、敵は撤退を始めましたよ!」
『チェリー、こいつ等は体勢を立て直すために撤退しただけよ』
『今度はもっと増えて押し寄せてくる・・・』
『二人の言うとおりだよ。敵が体勢を立て直す前に、早く補給を済ませないと』
「うぅ~、ごめんなさいですぅ!」
『プフッ、可愛い奴だなお前は。では、先に補給に行かせて貰うぞ』
ザシャと千鶴にペトラからの注意を受けたチェリーは全員に謝る。これを聞いていたニコラは吹き出し、機体をファイター形態に変形させ、先に補給へと向かった。その後をザシャ達も続く。
「さぁ、私達も行きましょう」
『了解!』
彼女達も機体をファイター形態に変形させ、補給に向かう。
数十分後には全部隊の補給は終わり、第二次防衛戦をいつでも行えるほどであった。マリも補給が終わり、機体を塹壕の前まで進める。地上に残るあの三人が口を開き始めた。
「おっ、また虐殺姫様が前に出てるぞ」
ガトリングガンを持ったドム・トローペンに乗るツチラトがマリに渾名を付けて第一声を放った。ちなみに、彼が乗っている機体は余った物を分けて貰った物である。
「まだ殺したり無いんだろう。全く、迷惑な女だぜ」
ツチラトの言葉を耳にしたジョンが、マリを殺人鬼に表するように口にする。彼もまた、分けて貰った大剣を背負う陸戦型ゲルググに乗り込んでいる。そんな二人を注意するようにエッカルトが口を開く。
「少佐の悪口はそこまでだ。敵は数%程の戦力しか失っていない。全機警戒!大板さんもお願いします!」
『おぅ!お前等、さっきのは序の口だ!今度はえらい数で押し寄せてくるぞ!!』
『了解!』
エッカルトが注意した後、ついてきた光男達に指示を飛ばした。エッカルトが乗る機体はマリのライガー・ゼロであり、パーフェクトストライクと同等に、全ての兵装を載せた全載せであった。ちなみに塗装は統一されている。
光男達は三人ともザクⅡF2型であり、天知と加奈子はノーマルで、光男は角付きでバズーカと両足にミサイルポッドを装備していた。それぞれの配置へ着き、自動砲塔の第一次防衛ラインを抜けてくる敵軍に備えた。
空の方では補給を済ませたザシャ達は防空網に戻り、警戒に当たっていた。そこでVF-171EXに乗り込んだ晃と、VF-19Eエクスカリバーに乗るレイに再会する。キャノピー越しで二人の姿を見付けた為、通信で問う。
「あれ、晃君とレイちゃん?宇宙へは行かなかったの」
『機体は貰いましたが、貴方に拾われた恩もありますので、残ることにしました』
『私もよ。仇を取ってくれたお礼に残るわ。その仇と飛ぶのは嫌な感じだけどね』
『なんだ、チビも残っていたか。宇宙へ言っているかと思ったぞ』
『何を!』
晃が答えた後に、レイが答えれば、彼女の声を聞いたニコラが割り込む。大会で負けたレイをからかえば、怒った彼女がニコラに突っ掛かり始める。
『ここでやるか?まぁ、私が高い確率で勝つが』
『言ったな!アンタなんか、直ぐに堕としてやるんだから!』
「ちょっとストップ!味方同士でやったら駄目だよ。今は敵に備える!」
仲裁に入ったザシャの一声で、素直に二人は口論を止める。
『済まない。今ここで仲間割れをしている暇はないな』
『むぅ、お姉ちゃんの言うことなら仕方ないわ。その代わり、どちらが多くの敵機を撃破するか勝負よ、ニコラ!』
『ほぅ、そうか・・・その勝負引き受けた。だが、勝つのは私だ!』
「もぅ・・・まるで子供みたい・・・」
今度はどちらが多くの敵機を撃墜するかの勝負となり、ザシャは頭を抱える。暫く彼女等のやり取りを聞いていると、敵第二陣の接近を知らせる通信が入る。
『敵第二陣が第一防衛ラインを突破し、第二防衛ラインまで接近中。偵察機からの報告に寄れば、数は第一陣より大規模と思われる。各員は万全のままこれに対応に当たれ。以上』
「各機、防御フォーメーション!」
『了解!』
通信を聞いたザシャは即座に配下の機体に指示を飛ばす。指示を受けた僚機は直ちに配置に着き、第一陣の倍は来る敵機の警戒に当たった。地上でも、先程とは倍の数に膨れ上がった大群が防衛陣地に接近しつつある。
第一防衛ラインと第二防衛ラインの間に置かれた自動砲塔は砲撃で吹き飛ばされ、生き残った砲塔も押し寄せてくる大量の機動兵器の攻撃で粉々に吹き飛ぶ。
地上は無数の足音と走行音。空は無数のエンジン音が近付く中、射程距離に敵の先端を捕らえれば、指示があるまで待機した。
砲撃が終わり、敵が防衛ラインまで接近すれば再び防御砲火が開始され、また先陣を切る敵部隊が砲弾の雨に晒され、被害を受ける。今度はトーチカやミサイルも追加されたので、更に被害を拡大させる。腕や脚、頭などのパーツが吹き飛ぶのが見える中、砲撃を抜けた敵機が姿を現す。
それを見た指揮官は即座に射撃命令を出した。
『撃て!』
怒号が上がったと共に一斉に向かってくる敵機への攻撃が始められ、またも砲撃が辛くも抜けた連邦軍機は容赦ない砲火を浴びせられる。上手く防御陣地を攻撃側が十字砲火の射線上に来るように組み合わさっており、敵は一方的に撃たれ続け、被害を増大させ、スクラップの山を築き始める。歩兵や戦車、ATの後列まで接近すれば、歩兵が持つ小火器や2㎝Flak38、配置された2㎝Flakkvierling38四連装対空機関砲が火を噴いた。
パクス軍よりも遙かに優れる装備を持つ歩兵でも十字砲火に耐えられるはずもなく、次々と肉塊に変えられ、戦車や歩兵戦闘車等はパンツァーファウストやパンツァーシュレック、使い捨て式のRPG18対戦車火器が発射され、廃車となる。
敵の大軍勢がパクス軍の十字砲火に阻まれて屍を積み重ねる中、マリも再び暴れ始めた。今度は第一陣よりも倍近くの敵機がおり、敵は数に任せて自分を押し潰そうと、自分のストライクガンダムに群がってくる。
「幾ら居たってね!」
それに対し、マリはシュベルトゲーベルを振り回して数機纏めて切り裂き、アグニで纏めて撃破する。またも撃破された機体のパーツが周囲に散らばる。
「な、なんて強いんだ!」
『ひ、怯むな!こちらは数が多いんだ!一気に押し潰せ!!』
僅か数秒で十数機ほどの味方機が撃墜されたのを見た連邦のパイロット達は臆してしまうが、指揮官の一声でマリのストライクガンダムを包囲する形で湧いてくる。エッカルト達もこれに負けまいと、塹壕からマリの機体に群がる敵機を撃ち始める。
空では爆撃機のみならず、多数の戦闘機や空戦用機動兵器を増員した大編隊との交戦が行われていた。競争心に湧くレイとニコラは鳥の群れのように集まる敵機の集団に突っ込み、群がる敵機に向けてガンポッドやミサイルを撃ち、撃墜し続ける。
「ちょっと!」
『隊長、上から来る!』
爆発の連鎖を行う二人を静止しようとするザシャであるが、ペトラからの知らせでそれどころではなくなり、上から来る大隊規模の迎撃を行う。三名の部下を連れ、敵の先鋒にガンポッドを浴びせて撃破すれば、直ぐに捕らえた後続の敵機を撃破する。四機ほどで大隊規模の敵機を撤退させれば、多数の随伴機を連れた空中戦艦が彼女等の前に姿を現した。
『敵空中戦艦確認。他には多数の随伴機も確認・・・!』
「空中戦艦も・・・私が撃沈させるから、貴方達は護衛機をお願い!」
『了解!』
千鶴からの知らせに空中戦艦の存在を知ったザシャは、対空砲火の薄い真下からの攻撃を行うことにし、続々と来る敵機の攻撃を避けながら空中戦艦の真下まで到達すれば、機体の両足を展開させ、逆噴射で急ブレーキを掛け、真下からの奇襲に出る。
流石に空中戦艦の随伴機に見付かり、通報されて対空砲火に晒されるが、彼女が乗るVF-25Fアーマードパックは、当たることなく旋回式ビーム砲の砲身を空中戦艦の中央に合わせ、ザシャは引き金を引いた。戦艦を沈めるほどの火力を持つビームが発射され、空中戦艦の船体に命中すれば、上面まで貫通し、敵空中戦艦を撃墜することに成功した。
空中戦艦は火を噴きながら地面へと落下し始め、数十秒後には彼女等の前から姿を消す。脅威を排除したと思って少しばかりザシャは油断し、真下から来るダガーLの攻撃を受けそうになったが、晃に助けられた。直ぐに謝罪の言葉を告げる。
「あっ、晃君。ごめん!」
『気を付けてください。まだ敵機は居ます』
「これからは気を付けるよ」
横についた晃のVF-171EXから通信を聞けば、直ぐに返答して、交戦中の部下の元へ飛ぶ。
地上では連邦軍の第三陣が投入され、飽和攻撃が開始されていた。
飽和攻撃とは、攻撃側が攻撃を仕掛ける際、防御側の処理能力の限界を超えた物量で攻める攻撃である。この戦場で投入された連邦軍の数はパクス軍の迎撃能力を遙かに凌いだ数であり、飽和攻撃を行うことなど造作もない。敵に休む暇もなく攻撃を与える波状攻撃だって可能だ。
遂に十字砲火は物量で圧しきられ、味方機の残骸を乗り越えて来る連邦軍機が、塹壕にまで達してくる。迎撃能力の限界を超えるほどの敵機が来たため、パクス軍は後退を始める。
「もう駄目だ!こんな数の敵は迎撃しきれんぞ!!」
泉の如く湧いて出て来る敵機を迎撃する光男は、後退を始める。天知と加奈子も撃ちながらの後退を始めていた。エッカルト達も後退りながらの迎撃を行う。
「クソッ、これが正規戦ならな!間違いなくエース部隊行きだぜ、全く!」
『無駄口叩いてないで、早く最終防衛ラインまで後退するぞ!』
「ちっ、マジで来んのかよ!」
ジョンが押し寄せてくる敵機を纏めて撃墜した後、これが正規の戦闘なら自分がエース部隊へ行ける程の撃墜数を稼いでいるので、それを口にするが、ツチラトに言われ、一向に来ないZEUSの悪口を言った後、彼と共に最終防衛ラインまで後退する。
「よし、後は自力でなんとかなるだろう」
エッカルトは後退する友軍機の援護を行った後、数機の敵を纏めて撃破してから撤退の列に合流した。この撤退の最中、少なからずパクス軍の被害が出ていた。本来なら、自動砲塔や地雷などを仕掛けて敵の侵攻を遅らせるのだが、押し寄せてくる敵はその暇すら待ってはくれなかった。
敵の大軍の中にいたマリは、撤退していく味方機や歩兵部隊を見て、群がる敵機を薙ぎ払ってから撤退する味方機へと向かう。
「ちょっと!待ってよ!!」
敵機を払い除けつつ、最終防衛ラインまで自力で向かうマリ。右肩の対艦ミサイルを発射して目の前に立ち塞がるゴジュラスMkⅡ量産型を撃破した。それから全弾を使って強行突破し、両肩の装備と左腕の装備を外して機体を軽くさせ、強引に敵中を突破した。
アグニは撃ちすぎて銃身が焼けて使い物にならなくなり、シュベルトゲーベルは敵を斬りすぎて折れてしまい、これも使い物にならなくなる。エールのビームサーベルを二本とも抜き、最終防衛ラインに迫る敵機を斬りながら敵の目的地へと向かう。
空の方でも尋常ではない数の敵航空機に押され、空軍の被害が拡大し、後退を強いられる。
「もう、こんな数!相手に出来るわけ無いでしょうが!」
夥しい数の敵機に向けてガンポッドを撃ち続けるレイは、目の前の空を埋め尽くすほどの敵機を見て吐き捨てる。VF-25Gに乗るニコラも、勝負所ではないと判断してか、レイのバトロイド形態のVF-19Eの肩に手を置いて「勝負はお預け」と伝える。
「もう勝負所ではないな。これからは生き残るための戦いだ、直ぐに後退しよう」
『悔しいけど、自分の命が欲しい。分かった。撤退するわ』
レイからの返答を聞いた後、ニコラは彼女のVF-19Eと同様に機体をファイター形態に変形させ、最終防衛ラインまで後退した。ザシャ達もある程度の敵機を排除すれば、同様に最終防衛ラインまで友軍機と共に後退を開始する。
ここまでにマリとザシャの撃破数と撃墜数はかの有名なルーデルやハルトマンを軽く超えていたが、敵を迎撃するのに必死で数えている暇はなかったので、記録などされなかった。だが、この非公式の記録は全知全能の神、ゼウスによって蘇ったルーデルやハルトマンに追い抜かれる事となる。
最終防衛ラインにまで達すると、先程あれだけ居たパクス軍の数は見る限り減っており、歩兵の数でも一万は減っている。最終防衛ラインには、アーマードパックを装備したVF-1バルキリーとVF-11サンダーボルトが数十機以上も居るが、迫り来る圧倒的物量の連邦軍には敵わないだろう。
そんな絶望的な状況の中で、彼女達はZEUSを待ちながら戦い続ける。
砲弾がある限りの防御砲火が続けられる中、押し寄せる敵は第二防衛ラインと最終防衛ラインの間にある深い堀へと続々と落ちてしまう。砲撃から逃れるのに夢中で気付かなかったのだろう。続々と堀の中へと落ちていき、気が付いた敵が止まれば、堀へと落下する連鎖が止まる。
第一防衛ラインの前にも深い堀があったが、狙撃で逃げ帰った強行偵察部隊に発見され、砲撃で埋められるか、飛び越えられるか、架橋を立てられるなりして破られた。無論、これは無人の陣地や偽の陣地同様、時間稼ぎにしかならない。
「敵機、堀への落下を確認!爆破!!」
双眼鏡で堀に多数の敵が落ちたのを確認した将校は、直ぐに工兵に堀に設置された爆薬を爆破するよう告げる。工兵が点火装置を引けば、堀に設置された爆薬は爆発し、大多数の敵機を仕留めることに成功した。だが、これも時間稼ぎにしかならず、大軍は堀をバックパックで飛び越えてくる。
直ぐさま防御射撃が開始され、無数に向かってくる敵機への迎撃が行われた。
この間に、マリはストライクガンダムのエールパックをパージし、予備のストライクパックの全ての長所を積み込んだ統合パックであるIWSPを装備するべく、基地へと戻っていた。それを待っていたが如く、整備兵達が即座に取り付け作業に入る。換装は二分で終わり、直ぐにでも出撃が可能であった。
換装作業を終ればモニターに目を通した。映像からは、換装作業が終われば脱出準備に取り掛かる整備兵達の姿が見える。
「もうお終いのようね・・・」
撤収作業を行う整備兵を見て呟いた後、こちらに向けてピースサインをした後に去るカチヤを見て、ほほ笑む。
「さて、早く来なさいよ。ZEUS!」
その後にマリは再び戦線へと戻り、目の前から湧いて出て来る敵の大軍に向けてパックのレールガンや単装砲、シールドのガトリングとビームライフルを撃ちながら高速で接近する。一気に数十機以上がこれにより撃破されるか大破し、接近してきたストライクガンダムが両脇の9.1m対艦刀を抜き、周囲にいる敵を斬り始める。
「斬っても、斬っても出て来るわね!」
敵を一掃しつつ、マリは湧いて出て来る敵にそう吐き捨てながら、目に見える敵を斬るか撃ち続けた。
地上で絶望的な戦闘が行われる中、上空でも絶望的な戦闘が行われていた。地上と同様に、埋め尽くすほどの敵機がおり、パクス空軍の被害が拡大しつつある。それを抑えるためにザシャは奮闘するが、敵は増え続けるばかりだ。
「もう、ミサイルが・・・」
アーマードパックのミサイルの残弾が残り少ないと見て、ザシャは絶望感が篭もった台詞を吐いた。地上からは対空砲やミサイルによる対空砲火が行われているが、数は減ることなく焼け石に水だ。そればかりか連邦軍には余裕があり、遂に第四陣まで投入してくる。
『敵戦力、尚も増大中!』
「まだ来るの・・・!これだけの被害なのに!」
敵戦力増大の通信を受け、ザシャは遂に平常心を失い始める。
その第四陣には、遅れて参加していた元フリッツ・アプト提督と部下達が乗るペガサス級強襲揚陸艦「ネシェル」の姿もあった。どうやら彼等もこの作戦に投入されたそうだ。幸運にも、イクサ人の傭兵部隊とアグレッサー部隊は随伴していない。
それでもマリとザシャ達パクス軍は連邦軍の圧倒的物量には勝てないだろう。
ザシャはZEUSが来ると信じて、次から次へと来る敵を倒しながら部下や仲間を守ることに専念する。マリも生き残るために、無限に湧いて出て来るよう敵を必死に倒し続けた。やがて地上戦艦も投入され、連邦軍の砲兵部隊も前進を始め、最終防衛ライン航法にある宇宙基地を捕らえた。
「配置急げ!味方は支援を待って居るぞ!!」
砲兵将官による指示で、自走砲やロケット砲や地対地ミサイルが配置され始める。重砲代わりと呼べる程の量産型ガンタンクやロングレンジ砲を搭載したゴルドス、大口径ロングレンジキャノンをカノントータス二機分に搭載した物の配置が終わり、直ぐさまパクス軍の砲撃陣地への砲撃が始まる。
恐ろしいほどの砲弾の雨がパクス陸軍の砲撃陣地に降り注ぎ、そこに配置された榴弾砲やロケット砲を砲兵諸共破壊する。これで防御砲火は不可能となった。
「ほ、砲撃陣地壊滅!負傷者多数!!」
「こ、これでは・・・押し潰されてしまう・・・!」
宇宙基地の戦闘指揮所にて、通信士からの報告を聞いた総司令官はモニターに映し出された戦況を表す立体図に、自分等が居る基地を包囲する赤い連邦軍の反応を見て、絶望的な台詞を吐く。このままでは不味いと判断してか、避難民を乗せた難民船を発進させるよう命令を出す。
「管制官、難民船の発進を命じる」
「し、しかし、制空権はこちらには無く、衛星軌道上ではまだ敵が・・・」
「良いから発進だ!民間人だけでも逃がすのだ!」
「や、
制空権でも命令を拒む管制官であるが、総司令官に強く迫られ、返答した後に席へ戻り、インカムを付けて難民船の発進の指示を出し始める。
宇宙基地の発射台が起動し、発射台に載せられた超大型避難船が宇宙へと上げられようとしている。護衛艦も発射台に載せられているが、おそらく敵の空中戦艦か、ネシェルの主砲に撃墜されるだろう。
「おい、俺達の分は残っているだろうな?!」
『俺等の分はちゃんと残してあるぞ!中尉が用意してくれた!』
地上で戦っていたジョンが、宇宙基地から発射台に載せられた避難船の反応を見て、自分等の分は残しているか聞くが、ツチラトが「自分達のもある」と言って落ち着かせる。ザシャ達もこれを受け、直ちに発射を妨害しようとする連邦軍機の迎撃に入る。
『た、たた隊長、避難船が発進します!』
「敵を近付けないで!どうして来ないのよ・・・!少佐はピンチなのに・・・」
一向に来ないZEUSに文句を垂れつつ、ザシャは部下に直ぐに命じ、近付いてくる敵機を数機纏めて撃墜した。これはマリにも見えており、ゴジュラスMkⅡ量産型のロングレンジ砲が避難船に向けられたのを見て、即刻撃破に向かうが、ゴジュラスの強化タイプであるゴジュラス・ギガに阻まれ、向かいようが無くなる。
「もう、こんな時に・・・!」
咆哮を吐いて威嚇してくるゴジュラス・ギガに苛立ち、レールキャノンを撃ち込む。だが、Eシールドで防がれてしまう。マリはこれが狙いであり、機動力を生かしてストライクガンダムすら意図も容易く捻り潰せるクラッシャークローを避け、コクピットがある頭部に対艦刀を突き刺し、撃破する。機能を停止したゴジュラス・ギガに乗ったままゴジュラスMkⅡ量産型をレールガンで撃墜する。
それと同時に避難船が打ち上げられ、ツェルベルスが居る宇宙を目指して護衛艦と共に上がっていく。念のためのダミーも打ち上げられていた。これを見た方面軍総司令官は、直ちにフリットに撃墜するよう命令する。
『中将、直ぐにあの大型輸送船を撃沈しろ。アレにはテロリストの首謀と大量破壊兵器が乗っている』
「ですが司令官、あれは避難船で非武装です。例え護衛艦が二隻随伴しているとしても、乗っているのは恐らく民間人です。正規の軍人である本官に民間人の攻撃は出来ません。それに今我々と戦っているのは正規軍であり、テロリストではない。お間違いなく」
ネシェルのブリッジにて、中央に立つフリッツ・アプトはモニターに映し出された総司令官の命令を皮肉った言葉を混じらせて断る。命令を拒否したフリッツに対し、総司令官は舌打ちして、苛立ちを吐いてから通信を切る。
『ちっ、馬鹿者が!もういい!他の者にやらせる!』
モニターから彼の映像が消えた後、聞こえていないこと良いことに悪口を言う。
「相変わらず自分のことしか考えない奴だ」
「閣下、幾ら聞こえないとはいえ、壁に耳あり障子に目ありですよ」
「フン、分かっておる」
悪口を言うフリッツに対し、副官が注意すれば、彼は鼻を鳴らして分かったような口答えをする。
腹の虫が治まらない総司令官からの避難船撃墜命令を受けた後方にいる将兵達は、直ぐに宇宙へと上がる避難船に集中砲火を始める。レーザー砲まで動員し、照準を避難船へと向けて掃射する。ダミーは集中砲火を受けて撃墜され、地面へ落ちていく。
全てのダミーが撃墜されれば、今度は護衛艦にまで及び、護衛艦も撃沈されてしまう。残った護衛艦も落ちれば、避難船にも攻撃が及び、空中にいるパクス空軍のMSやバルキリーが身を挺して守る。ザシャ達も空や地上から来る攻撃から避難船を守るべく、奮闘した。
「キャッ!」
左腕のポンポイントバリアで守っていたチェリーであったが、流石にレーザー砲は耐えられず、左腕が爆発する。通信機から聞こえる部下の悲鳴に気を取られたザシャは、警戒を怠って振り返ってしまった。
「チェリーちゃん!はっ!?しまった・・・!」
余所見をした隙に一機のウィンダムが防衛線を抜け、避難船に高速で接近し、ブリッジにビームライフルの銃口を向ける。ニコラが直ちに狙撃銃を向けようとするも、無数の敵機に阻まれる。マリも気付いたが、レールガンの威力では避難船まで沈めてしまう。
もう間に合わない。
そう全員が思ったが、この時に、ザシャの願いが叶った。
突如、ウィンダムのビームライフルが避難船にも当たらないほどの正確な狙撃で破壊された。何が起きたのかと全員がここで考えたが、通信機から知らせと同時にその正体が姿を現した。
それは天使のようで、自由を象徴するような外見を持つガンダムタイプのMSだった。
『アンノウン出現!数は、一機!』
「あれは・・・天使・・・?」
「遅いわよ、クソヒーロー」
マリとザシャがそう吐けば、そのガンダムタイプのMSは、全武装を展開し、群がる連邦軍機に向けて一斉にはなった。正確に全機に命中するが、コクピットはどれも避けられており、武器かそれを持つ手、コクピット以外の場所に当てている。瞬く間に避難船の周りにいた連邦軍機全てを戦闘不能に追い込んだ後、それに乗り込むパイロットは全方位通信で撤退するよう勧告する。
『戦闘に参加する連邦軍に告げます!宇宙基地の地下にはこの惑星を崩壊させるほどの強力な自爆装置が設置されています!メガミ人達にそれを使わせないよう直ちに部隊を撤退させてください!』
「な、何故それを知っている・・・!?」
何処からともなく現れたガンダムタイプのMSに乗る青年が、マリとザシャ達には極秘の自爆装置が仕掛けられている事を知っており、疑問の言葉を吐いた。どうやら、もしもの時に極秘中の極秘にしており、この惑星の全ての生物を巻き込んで自爆するつもりだったそうだ。
『あんた、私達に黙ってそんな事するつもりだったのね。まぁ、来たからもうどおでも良いわ』
思惑がZEUSの青年によって暴露された総司令官は、マリに言われた後、床に膝をついて倒れ込む。だが、連邦軍の総司令官は突然の乱入者に腹を立て、全軍に再び攻撃命令を出す。
「おのれぇ、ふざけやがって!全軍あの天使のクソ野郎に攻撃だ!撃て!!」
冷静さを完全に失った総司令官は、私怨に満ちた命令を出した。直ちに指揮下の部隊は勧告を出したガンダムタイプのMS、名を「フリーダムガンダム」に向けて過剰なまでの一斉射撃を行うが、どの攻撃もまるで来るのが分かっているかの如く回避され、逆に返り討ちにされる。
出て来たのはフリーダムガンダムだけでなく、他のZEUSの面々も地上から現れ、更には惑星場にいるイクサ人までパクス軍とZEUS側に着き、連邦軍と現地軍を攻撃してきた。数は圧倒的な物の、ZEUSとイクサ人は一人一人が強者であるため、雑兵ばかりの将兵達では対処できず、次々とやられていく。
『こちら第153機甲師団、被害拡大中!増援を請う!!』
『こちら第892歩兵師団!もう持ち堪えられない!旅団と連隊がほぼ壊滅状態だ!撤退の許可を求む!!』
「か、閣下!敵は勢いで我々を押し返しています!早急な立て直しを要求します!!」
「ならば宇宙に居る艦隊から艦砲射撃を要請しろ!!」
次から次へと来る壊滅状態を知らせる報告に、総司令官の苛立ちは益々増していった。押している宇宙の存在に気付いた総司令官は、宇宙からの艦砲射撃を命じようとしたが、宇宙にもZEUSが現れたらしく、壊滅状態に陥っていた。一人の将官が額に汗を浸らせながらその事実を知らせる。
「そ、それが、う、宇宙にもそれと同様に陥っているらしく。更にはどういう事か、ヴァルハラ軍とメガミ人の武装勢力の連合艦隊も来ております・・・!」
「なんだと・・・!?」
それを聞いた総司令官は、衝撃の余り口が余り動かなかった。この時、チャールドは戦況が悪化したと聞いて姿を消しており、既に戦場から遠く離れた場所に居た。
戦況は絶望的状況であったパクス軍側が押しており、連邦軍は数では優る物の、続々と損害を拡大し、士気が恐ろしいほど低下。混乱状態に陥る寸前であった。
「これなら・・・!」
敵が取り乱し始めたのを見逃さなかったザシャは、直ぐに全ミサイルを統制が乱れ始めた敵の集団へ向けて発射した。敵はミサイルを回避することが出来ず、次々とミサイルに当たって数十機と空中戦艦数隻が一気にザシャ一人に壊滅させられる。
「全機、アタック!一気に巻き返すよ!」
『了解!』
攻勢の時と見た彼女は部下達と共に突撃し、統制の取れなくなった敵に追撃を加えたが、未だに数は多く、包囲されてしまう。逆に返り討ちにされるかと思いきや、上から来たミサイルで自分等を包囲していた敵部隊は壊滅した。
その後に助けた人物がザシャに通信を入れてくる。正体はザシャが良く知る人物であった。
『大丈夫でございますか、ザシャさん!』
「あ、貴方は・・・!?」
助けに来たのはニコラの前に自分を好敵手と勝手に決め付けていたエルミーヌ・レオニー・ド・バルバストルだ。彼女のVF-25Fのみならず、部下であるロアとエロディが乗るVF-25Aが自分達の機体の前にバトロイド形態で現れる。
「なんとか提督を説得して、ここまで来ましたのよ。他にはオロンピア艦長やロデリオン中将も来ていましてよ。まぁ、百合帝国残党は分からないですけどね」
『そ、そんなに沢山・・・!』
『私達見捨てられてなかった!!』
エルミーヌから聞かされた事に、ザシャは見捨てられていなかったことに感動を覚える。部下達はそれを聞き、歓喜の声を上げていた。これで宇宙は安全となり、シャロン達とツェルベルスは無事だろう。
これで心おきなく戦える。
そう思ったエルミーヌ達を加えたザシャ達は、未だに突撃してくる敵部隊への反撃を開始する。まずは脅威であるネシェルへ攻撃に向かう。
「敵機接近!数、七機!!」
「対空レーザー、撃ちまくれ!弾幕を張るのだ!!」
レーダー手からの報告に、直ぐに対空弾幕を張るよう指示を飛ばす。だが、彼女達はそれを容易に避け、ネシェルに被害を与えていき、エンジンを破壊する。エンジンを破壊されたネシェルは地面へと墜落する。
ザシャ達やフリーダムガンダム、反撃に転ずるパクス軍、増援に現れたZEUSとイクサ人の大部隊によって圧倒される中、マリもこの惑星における戦いの決着を付けるべく、敵陣へと突撃した。敵は混乱状態に陥っており、まともな反撃は出来ず、次々とマリのストライクガンダムによって撃ち倒されていた。本陣の盾となろうと、地上戦艦が行く手を遮り始める。
「邪魔だぁぁぁ!!」
進行を遮る地上戦艦のブリッジを手持ちの火器で潰しつつ、総司令官が乗る旗艦である大型地上戦艦がある本陣まで目指す。敵は倍以上に出て来るが、空から来たザシャ達とイクサ人の航空部隊により、薙ぎ倒される。本陣に近付くにつれて弾幕は厚くなるが、彼女を止めることは出来ず、本陣まで近付かれてしまう。
この報告は、直ぐに戦闘指揮所にいる総司令官に告げられる。
「ストライク、本艦に接近!!」
「なにぃ!?」
レーダー手からの報告を聞いた総司令官達は一斉に振り返り、マリが来る方向へ視線を向ける。そのまま彼女は、一斉射撃を旗艦である大型戦艦に食らわせ、戦闘指揮所が見える程までにすると、尻餅をついて倒れる総司令官に照準を向け、腰から抜いたコンバットナイフを投げ付けた。
「いっけぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
マリの叫びと共に投げられた対コンバットナイフは、真っ直ぐ絶叫する総司令官の居る方へと飛んでいき、対象を肉塊に変えた。
それから物の数秒後、指揮権は別の場所で指揮を執っていた大将に代わる。彼は攻撃を続行はせず、撤退命令を出した。
「全軍撤退だ!これ以上の被害は出せん!即刻撤退せよ!!」
これ以上戦ったところで無駄と分かっていたのか、大将は部下達に大声で告げる。
この撤退命令を受けた全軍は待っていたと言わんばかりに、負傷した戦友や損傷した友軍機を担いで全力で逃げるように撤退を始めた。墜落したネシェルから這い出てきたフリッツ達も、搭載機であるジェガンに抱えられて全員撤退の列へと加わる。パクス軍も戦力不足で追撃は不可能と判断してか、逃げる連邦軍と現地軍を見逃した。
かくして、連邦軍至上最も歴史的大敗を喫したパクスにおける戦いは終わった。
無論、大量の物資と五百万という兵員を投入しても勝てず、かなりの損害を出して負けたので、軍の面目が丸つぶれになるために軍事機密となったが。
撤退する敵を追わなかったマリは、宇宙から降下してきたワルキューレと百合帝国残党軍の回収船を見て、生きてこの星から出られると確信した。
スーパー寝取りコーディネーター参戦。
そしてマリとザシャの横取りしようとするキラ様。
キラ様登場専用BGMは、アラスカでのあの格好良い西川兄貴のMeteor -ミーティアです。
次回からは待ちに待ったIS編。でも、息抜きに少し更新が遅れるかも・・・
今回も中断メッセージは無しです。
代わりにイメージEDでも。
https://www.youtube.com/watch?v=Qn0wTfvuo6w