復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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前回のあらすじ。

エイジ「俺の名はアルバトロ・エイジ・アスカ。地の底から蘇った男だ!!」

今回はマリのISが登場。ラウンズみたいなのも登場します。

それと、学園の守護者の作者様から借りた主人公「五十嵐裕也」も登場・・・!
尚、設定は変わってます。


私のIS

「どういう事だ・・・?」

 

 エイジと名乗る青年に対し、千冬は問う。

 マリも興味本位で拳銃を床に置き、煙草を吸いながらエイジの話に耳を傾ける。

 

「言ったとおりだ。あの学園は、ある者達から狙われている」

 

「ある者達?それは一体・・・?」

 

「今の貴方に言っても分かりはしない。それにあそこに駐屯している部隊でも太刀打ちは出来ないだろう」

 

 再び問い掛けてくる千冬に対し、エイジはそう答える。

 それにあることを思い出したのか、千冬はそれを口にする。

 

「まさか、”異世界の類”か・・・!”月の連中”から聞かされていたが、もう突破される寸前とは・・・」

 

 千冬が口にしたことに、エイジは無言で頷く。

 尚、千冬が月の連中こと「フォル・モーント」と関わりがあるようである。

 詳しい話が聞けると思ったが、H&K MP5SD6短機関銃を持った警察の対テロ部隊が割り込み、エイジに銃口を向け、中断させた。

 一方のマリは、疑いを持たせないために近くの銃を蹴飛ばし、人質のフリをする。

 

「動くな!お前もテロリストか?!」

 

「その時は俺達の仲間も学園に居る。俺も来る。その時にまた会おう!」

 

 銃口を向ける隊長から問われるエイジは一切動揺することなく、最後に言いたいことを千冬に伝え、転落防止の策へ向けて走り出した。

 

「ま、待て!動くな!!」

 

 銃を向けて柵に向けて走るエイジを止めようとする隊長と隊員達であったが、彼は対テロ部隊に一発の銃弾を撃たせることなく屋上から飛び降りた。

 

「自殺か・・・?」

 

 一人の隊員がそう呟いた途端、青い人型の10m前後の機体の肩に乗ったエイジが姿を現した。

 

「あ、IS!?」

 

 驚きを隠せず、隊員達はそのISと似ても似付かない機体をISと誤認する。

 おそらく、新型のISと誤認したのだろう。

 エイジは正体不明の機体のコクピットである頭部のキャノピーを開け、それに乗り込み、キャノピーを閉めれば、マリ達が居るデパートの屋上より高く上昇し、機体を戦闘機形態へと変形させた。

 どうやら、彼の愛機となるその機体は可変系機のようだ。

 隊長が無線機で軍に出動要請を掛ける中、愛機に乗ったエイジは何処へと去っていった。

 

「一体なんなんだ・・・?」

 

 あっと言う間に見せない距離まで過ぎ去ったエイジの愛機を見て、千冬はそう呟いた。

 その後、デパートを占拠したテロリスト達は対テロ部隊に逮捕されて事態は収拾。

 翌日、市民達はまるで何事もなかったかのようにいつもの暮らしを再開させた。

 

 

 

「これがIS・・・」

 

 デパート立て籠もり事件から二日後、マリは日本にあるISの試験場へと来ていた。

 当然ながらIS企業の試験場であり、一般人は入れない物だが、マリが入れたのは、フォル・モーントが持たせた特別な許可証があっての事である。

 

「鳥よりも自由に飛び回ってるけど、VTOLとどう違うのかしら?」

 

 マリは近くに立っている女性研究員に、VTOLとISがどう違うのかを問う。

 無論、ISはフォル・モーントでも採用されているが、織村千冬の弟「織村一夏」と言うイレギュラーの存在もあり、余り姿を見ていない。

 偶然に、マリは地球に来るまでIS等、写真か映像、資料でしか見たことがなかったのだ。

 

「はい。VTOLは自由自在に飛行が可能ですが、手足のようには動かせません。ですが、ISは手足のように自由自在に飛行が可能です」

 

 問うに対して答えた研究員に対し、マリはISに興味を抱き、「乗ってみたい」と研究員に告げた。

 

「えっ、乗ってみたい?良いですけど・・・適性検査を受けてから・・・」

 

「適性検査?」

 

「はい。ISは女性なら誰しもが乗れるというのは限らないので・・・」

 

「ふむふむ、女なら乗れるって限らないの」

 

 研究員の口から放たれた適性検査と言う言葉で、マリは自分の顎に手を添え、思考を回す。

 数秒ほどで考えが纏まれば、マリは単純明快な事を口にした。

 

「まっ、乗ってみれば分かるでしょ」

 

「はい・・・?」

 

 マリが言った事を理解できてない研究員は疑問を抱き、首を傾げた。

 その数分後、マリはISスーツと呼ばれる操縦者に必要な専用のスーツを身に纏い、適性検査も受けず、量産型で訓練用である日本製IS「打鉄(うちがね)」の前に立っていた。

 スーツはマリの身体のラインを浮かばせる生地が薄く、彼女が歩く度に豊満なバストが揺れ、同姓の研究員達ですら目のやり場を困るくらいの物である。

 研究員達に止められたが、彼女は「受けない」と何度も振り払い、諦めさせた様子だ。

 そんな研究員達が見守る中、マリは打鉄に背中を向け、両手を伸ばした。

 

「う、嘘・・・!未知数なのよ!?」

 

 研究員達が予想の範囲を超える事態が発生した。

 それは、適性検査も受けていないマリがISを纏った途端、彼女等が驚くべき適性数値を叩き出したからである。

 IS適性と呼ばれるランクには、C~Sのランクが存在する。Sは初めにISを動かした千冬か、ヴァルキリーと呼ばれる者達でしか持っていない。

 マリはISを身に纏った途端に、高ランクである「A」の数値を叩き出したと言う訳だ。

 研究員達が驚きの声を出す中、そんな彼女等にお構いなしに、打鉄を身に纏ったマリは早速、開いた天上のゲートから勢いよく飛び出し、空を自由に飛び回る。

 

「これって、本当に欠陥品なの?」

 

 まるで手足のようにISを動かすマリは、自由に空を飛び回りながら通信機でオペレーターに向けて告げる。

 操作方法は既に覚えてしまったようだ。

 

『そんな事はないと思いますが・・・』

 

「でも欠陥品って言えるかも。バルキリーより弱そうだし」

 

『ば、バルキリー?』

 

 物足りない感覚を覚えたマリはISとバルキリーを比べ、後者が優秀と判断する。

 当然ながら、オペレーターは可変戦闘機であるバルキリーなど一切知らず、戸惑いを覚える。

 数分間、慣らしで飛び回った後、訓練用の標的に向け、アサルトライフルで撃ち始める。

 あれ程校則で動いているのに対し、狙いは正確であり、的の中央を確実に撃ち抜いていた。

 もちろん、このような常人離れした技を見せたIS乗りは手に数える程しか居ない。

 次は接近専用の武器であるブレードを出し、標的を確実に切り裂いていく。それも的確に急所を。

 これを見た研究員達と試験官は、驚きの余り声が出せないで居る。

 更に調子に乗ったマリは試験場から飛び出し、近くを飛行していた日本国防空軍機に向かった。

 これには流石にオペレーターから「待った」の言葉が掛かる。

 

『待ってください!009号機!そこには空軍の哨戒飛行中の戦闘機二機が!!』

 

「ちょっと、挨拶に行くだけじゃない」

 

 そう言って通信をOFFにした後、マリは全速力で哨戒中の戦闘機二機に向かった。

 

 

 

「異常なし・・・調子はどうだ、新米?」

 

 一方、マリが近付いてくることを知らない日本国防空軍の戦闘機F/A4「紫電」に乗り込む日本国防空軍IS学園防空戦隊第三大隊大隊長である五十嵐裕也(いがらしゆうや)空軍少佐は新米パイロットである少尉を引き連れ、哨戒任務に当たっていた。

 F/A4「紫電」とは、F3戦闘機の後継機である対IS戦闘を想定した第6世代の戦闘機である。

 戦闘力は対IS戦闘を想定しているだけであって高いが、それを操るパイロットは航空自衛隊からの古株である裕也以外性能頼りであり、空軍の戦闘力は大幅に低下してしまっている。

 空軍だけの話ではなく、陸軍や海軍も元自衛官一斉退役によって低下しているのだ。

 かつての自衛隊より弱体化しつつある国防軍に、どうして裕也が残ったのかは、自衛官時代から続く専守防衛の信念であろう。

 彼はその信念を再軍備化した日本国防軍になっても、忘れることなく持っている。

 退役する前の元自衛官達も持っていたようだが、度重なる戦争や暴挙で政府首脳部に呆れ、国防軍を辞めてしまい、信念は薄れつつある。

 

『だ、大隊長!レーダーに異常な速度で接近する物体が!!』

 

「落ち着け、シューター17。目標を目視しろ」

 

『了解!』

 

 新米を落ち着かせた裕也は、キャノピー越しから目視で接近して来るマリが乗る打鉄を確認しようとする。

 その間にマリが操る打鉄は新米が乗るシューター17の目の前を通り過ぎ、裕也が乗る機体のキャノピーの目の前に数秒間ほど止まった。

 裕也は激突を避けるべく、直ぐに回避しようと操縦桿を動かすが、マリはそれを見て微笑み、手を振ってから彼の機体から高速で離れた。

 

「バカヤロー!!」

 

 過ぎ去っていくマリの打鉄へ向け、裕也は馬鹿にされたと思って腹を立て、中指を立てながら怒鳴り散らした。

 裕也はパニックに陥るシューター17を落ち着かせれば、哨戒飛行を中止して基地へと戻ろうとする。

 

「こちらシューターリーダーよりアルファ1へ。哨戒飛行を中止し、基地へ帰投する。さっきのISでシューター17が目を回した。これ以上任務の続行は不可能だ」

 

 新米のシューター17がこれ以上の任務続行が不可能と判断した裕也は、アルファ1のコールサインを持つ管制官に通信を繋げ、任務中止を要請した。

 要請が通れば、舌打ちして地上へ降りたときのことを考え始め、通信が聞こえない事を良いことに独り言を呟く。

 

「ちっ、地上に降りたら、あの馬鹿女に抗議してやる」

 

 そう自分の考えを口で漏らした後、今にでも墜落を起こしそうなシューター17を引き連れ、基地へと帰投した。

 

 

 

 それから数時間後、ISの性能が気に入ったマリは、フォル・モーントに自分のISを作って欲しいと申す。

 結果は昔の好であるサトコからの許可が出て、マリの専用機が作られる事となった。

 完成は開発中止の試験機をベースとし、更にISの開発者である「篠ノ之束(しのののたばね)」を呼び出すため、時間は掛かるそうだが、早くて二週間程だ。

 それまでマリは変わり果てたこの世界の日本を見るべく、租界周辺を歩き回る。

 そんな彼女の様子を、租界で一番高い建造物の屋上から眺める三人の女性と一人の幼い少女の姿があった。

 

「ねぇねぇ、あれが百合帝国の元女帝さん?絵とは大分違うんだけど」

 

 金髪でグラマラスな体型を持つ、童顔で青い瞳の女性がオペラグラスと呼ばれる双眼鏡でマリを見ながら他の二人に問い掛けた。

 眼鏡を掛けた知的で長身な長い茶髪の女性が、金髪のグラマラスな女性の問いに答える。

 

「マリ・シュタール・ヴァセレート・カイザー、私達メガミ人の国、神聖百合帝国の女帝で全てのメガミ人を総べていた支配者・・・だったけど、数ヶ月前に起こった復活したムガル帝国の襲撃により全てを失い、人間同然となった女・・・今の姿を見ていれば、皇帝時代とは偉く違うことが分かるわ。魔力は全く感じないけど、能力はある程度取り戻してるわ」

 

 問いに答える眼鏡の女性に、金髪のグラマラスな女性は感心する。

 

「ふーん、そうなの。で、実力はどんな感じ?」

 

 次に彼女は、壁に腕組みしながらもたれ掛かっている腰に日本刀を差した和服の黒髪の女性に問う。

 和服の女性も、他の二人と同じく容姿も優れており、大和撫子を体現したかのような容姿を持っていた。

 

「数日前、少数の元軍人と多数の素人の集団によって租界近くのデパートが占拠された事件がある。私もその噂を聞きつけ、駆け付けたが、織村千冬とその我らが元女帝、そしてイレギュラーの手によって既に制圧済みであった」

 

 少し話を止めて目を瞑った後、また口を動かし始める。

 

「少し顔を拝見したが、あの女帝一人でもデパートを占拠したテロリストを制圧は可能だ。その制圧に掛かる時間は、九分と言ったくらいだろう。機動兵器や生身でも、我々と渡り合えるほどだ」

 

 マリの実力が自分達以上と言えば、眼鏡の女性は掛けている眼鏡に手を当てて掛け直し、口を開いた。

 

「九分・・・あのデパートの広さと人数の計算の範囲ね・・・”三銃士”のあの疾風迅雷の()なら、三分で制圧するわ」

 

「あぁ、分かるわ。あの娘早いもんね。私、早過ぎて二回くらいしか捕まえた事無いわ・・・」

 

 眼鏡の女性が三銃士と呼ばれるその一人「疾風迅雷の娘」の事を言えば、グラマラスな女性が何か思い出し、頬に手を当てながら言い、残り二人が無言で頷く。

 ここで、銀色の髪を持ち、西洋人形のような外見を持つ幼い少女がようやく口を開いた。

 少女が持つその手には、端末が握られている。

 

「記録・・・」

 

「あら、また記録?」

 

「マメだね~」

 

 少女が放った「記録」と言う言葉に、金髪の女性と眼鏡の女性が目を向ける。

 

「戦争で死んだお母さん(ムッター)が言ってた、色々覚えなさいって。だから私は記憶する」

 

 そう二人の仲間に答えた後、端末にマリの事を記入し、記憶する。

 引き続き彼女達はマリの様子を見ていたが、持っている携帯からアラームが鳴り始める。

 

「リーダーからかしら?」

 

 グラマラスな女性が携帯を取り、連絡に出た。

 

「はいは~い、誰ですか?”ノイン・リッター”の二番手、ツヴァイですよ~」

 

 陽気に連絡に出たツヴァイと呼ばれる女性は、髪を上げて耳に携帯を当てる。

 

『私だ、ツヴァイ。貴様、任務はどうした?』

 

「あっ、アインス。任務?終わったわよ」

 

 アインスと呼ばれる連絡相手はツヴァイの陽気さに応じず、彼女の任務が終わったかを問う。

 ツヴァイはアインスに出された任務を終えたことを伝える。

 

『またか・・・そんな暇があるなら早く報告したらどうだ?皆ちゃんと任務を終えれば出している。それに騎士階級の連中がまた煩いぞ』

 

「はーい、ごめんなさい。次からはちゃんと報告しま~す」

 

 注意されたツヴァイは、面倒臭そうに搬送の言葉を適当に述べた。

 

『ふざけるな。それだから周りから言われるのだ!全く、自分が平民出なのが分かっているのか・・・では、私はアニメを鑑賞する。次からは選ばれた騎士としての自覚を持つのだぞ。分かったな?』

 

「はいはい、畏まりました。平民出の騎士、ハンナ・アスマン。次からはこのような失態は犯しません」

 

 アインスからの注意をしつこいと感じ取ったツヴァイことハンナ・アスマンは、生返事をした。

 そんな彼女の生返事に、アインスは怒りを表したが、アニメを優先して電話を切った。

 して、彼女達「ノイン・リッター」とは、フォル・モーント内で選ばれた尤も実力が高く、優秀な騎士達の事である。ノイン・リッターより上なのが、三人の強者に絞られた三銃士である。

 リッターはドイツ語で騎士なので、第三身分である騎士の階級が多いが、中にはツヴァイ平民出や貴族出身も居り、優秀で実力が高ければ、身分は問わない。

 人間であろうと、実力と優秀さを誇れば、ノイン・リッターになれるのだ。

 

 

 

 それから二週間後、遂にマリのISが完成した。

 限りがあるISコア数の中で、専用機を持つ者は特別扱いされることが多い。

 あの男で唯一ISを動かせることが出来る少年、織村一夏も自分専用のIS「白式(びゃくしき)」を持っている。

 マリも記録映像を見て、過小評価していた一夏でも専用機を持っているので、「自分も与えられるべき」と考えたようだ。して、彼女の専用ISの名は、「クウァエダム・デア」。ラテン語で永遠の女神の意味だ。

 待機状態と呼ばれるISを量子化して、いつでも展開が可能な形は、幸運(グリュック)と刻まれた指輪である。

 それを指に填めたマリは、早速試験場で待ちに待った自分の専用ISを身に纏う。

 忽ちマリの周りを量子が包み込み、身に着けている衣服がISスーツへと替わり、頭部以外の全てにパーツ類が身に着けられる。

 数秒後、クウァエダム・デアを装着した彼女の姿があった。

 直ぐさまマリは、試験場にある射撃目標まで飛び、量子から主兵装であるビームライフルを実体化させ、それをマニュピュレータで取り、均等に並べられた的を撃つ。

 銃口から高熱で強力なビームが発射され、的へと放射線を描きながら飛んでいく。狙いは正確であり、的はビームに当てられて消滅した。これを見たマリは、ビームライフルの威力の高さに驚きの声を上げ、感心する。

 

「凄い威力・・・まるでモビルスーツみたい」

 

 乗ったことがあるZガンダムやガンダムMkⅡのビームライフルの威力と比べる。

 次に別の兵装を選ぶため、自分の視線の前に現れた画面に次の兵装を選ぶ。

 選んだのはバズーカであり、実弾かビームかが選択が可能であった。彼女がどちらを選ぶとすれば、両方であろう。迷わず彼女は実弾とビームの両方を選んだ。

 試射する為、やりがいがある的を探し、それを見付ければ直ぐにバズーカを実体化させた。

 

「結構ごついわね。それじゃ・・・どーん!」

 

 左手に持っているバズーカを見て感想を述べた後、バズーカを大型の標的へ向け発射した。

 少しの反動とバズーカ背面の排出口からガスが吹き出し、方向からロケットが発射され、標的へ向かって飛んでいき、命中する。威力は絶大であり、的が木っ端微塵に吹き飛んだ。

 これを見たマリは口笛を吹き、次にバズーカの弾種をビームに切り替え、同じような大きさの的を撃った。

 

「やっぱビームはやばいわね」

 

 高熱でドロドロに溶けた大型の標的を見て、その威力でビーム兵器の怖さを知ったマリ。

 次に、ライフルとバズーカを量子化させて仕舞い、スナイパーライフルを実体化させる。

 狙撃の前に、マリは標準兵装である両腰に付いている20㎜機関砲二門の試し撃ちを行う。

 MG151機関砲に似た二門の20㎜機関砲が標的に向けて発射され、命中した20㎜弾が的を粉々にしていく。

 火力と命中率の高さを気に入ったマリは、次にマニュピュレータに握られたスナイパーライフルの試し撃ちを行う。

 的にするのは800mにある戦車用の標的だ。遠い的を狙撃するためにマリはスナイパーライフルを構え、ライフル上部に装着されているスコープを覗いた。

 いつも狙撃を行うように、風力と気温、重力を脳内で計算し、左眼を瞑って右眼でスコープを覗き、ブレを抑えるために息を止める。

 照準が合えば、マリは直ぐにでも引き金を引き、スナイパーライフルを撃った。

 スナイパーライフルの弾頭は特殊な轍甲弾であり、凄まじい速度で的へ向けて飛んでいく。

 数秒後、発射された弾は薄い的の中央に命中。貫通して地面に突き刺さった。精度の高さを見たマリはライフルを量子化させ、マニュピュレータで拍手を行う。

 

「これも凄いわね。生身でも使ってみたいわ」

 

 ライフルの威力と精度の高さに感激したマリは、そう感想を述べた。

 今度は接近専用の武器であるビームサーベルと標準兵装である左腕に装着しているパイルバンカーを使うことにする。

 まずはビームサーベルを使うことにして、両足に付いてあるビームサーベルを抜き、近くの的を切り裂く。切れ味は中々の物であり、マリは直ぐに気に入る。

 

「次はこのパイルバンカー。どんな物かしら?」

 

 次にパイルバンカーを試してみる為、近くの標的に向かい、杭を突き刺そうとする。

 左腕に装着された杭は勢い良く的へ向けて発射され、見事的を貫いた。

 中々の威力ではあるが、他の兵装とは違ってマリは物足りなさを感じ始める。

 

「うーん、これはちょっと・・・」

 

 接近して装甲を勢い良く貫通できる物だが、彼女の趣味には合わなさそうだ。

 最後に残っている兵装であるビームビットを選択し、それを展開し始める。

 ビットは浮遊式の児童砲台であり、その数は合わせて六基。クウァエダム・デアの周りに浮遊し、指示を待っている。

 早速マリは何処か適当な場所にある全ての的を照準して、そこへビットを向けさせた。

 数秒後、ビットはジグザグな動きをしながら標的へ向けて飛んでいき、そこにあった的全てをビームで撃ち抜き、戻ってきた。

 

「これ結構使えるわね・・・!」

 

 その威力を見たマリは、ビットの凄さに惚れ込んだ。

 こうして、自分専用のIS「クウァエダム・デア」を気に入ったマリは地上へ降り、待機状態にさせて、元の生身にと戻った。

 ウキウキしながら廊下を歩いている最中、警備任務を受けている二人の日本国防軍の兵士の噂声がマリの耳に入ってくる。

 

「おい、聞いたか。朝鮮半島から戦艦・・・”大和”だか”武蔵”を旗艦にした艦隊がIS学園に向かってるってよ」

 

「戦艦大和か戦艦武蔵だぁ?お前、何時の話ししてんだ?戦艦なんか、ただの金食い虫だろ。なんでIS学園に向かってるんだよ」

 

 それに興味を持ったマリは、二人の兵士の話し声に耳を傾ける。

 

「将校が電話している時に聞いた話なんだがな。どうにもそれが本当らしい・・・確か、四年かそこら前に海底から引っ張り出した戦艦「武蔵」を海軍の上層部が朝鮮半島の軍港に運び出して、現代の技術で復活させようって計画があっただろ?」

 

「あぁ、あったな。三年前のクーデターでどうなったか忘れちまったが」

 

「中止だと思ってただろ?それがよ、クーデターの生き残りがこっそりとその計画を密かに続けていたらしくてな、今まさに差し親衛戦艦大和だか武蔵だかがIS学園本島に向かってるってよ」

 

「おいおい、戦艦なんざ、海に浮かぶデカイ的だぞ。何で骨董品を復活させてそんな金食い虫を復活させる必要があるんだ?」

 

「知るか。昔流行った大艦巨砲主義なんじゃねぇのか?右翼派の海軍将校はそんな主義の奴等が多かったと聞くぜ」

 

「あぁ、あの大砲がデカけりゃ良いって奴か。そんな馬鹿な(もん)良く受け継いできたな。右翼派の海軍将校の頭は帝国時代まで退化してんのか。でっ、上層部の対策は?」

 

「IS学園の防空航空戦隊と攻撃機二個大隊を送るそうだ。海軍からは第3艦隊が対応に当たるらしい」

 

「なら、俺達陸軍の出番は無いな。直ぐにクーデターの残存艦隊は地上から消え去るだろうな。それじゃ、任務に戻ろうぜ」

 

「あぁ、さぼっているのを軍曹に見られたら怒られるしな」

 

 兵士達は会話を終えれば、持ち場へと帰っていく。

 それを耳にしたマリは、クウァエダム・デアの実戦テストに丁度良いと思う。

 

「私のISの実戦テストには丁度良さそうね」

 

 そう独り言で呟いたマリはそれを実行するべく、IS学園に向かっているクーデターの残存艦隊が居るであろう方向の海岸へと走った。




エイジが乗っていたのは、幻のSPT「レイズナーMk2」です。
次回は日本国防海軍のクーデター派の艦隊とやり合う予定。

そして新稲さん、五十嵐の出番が少なくってごめんなさい!
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