復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

72 / 74
「このチャンスをずっと待っていたんだ!!」


私は養護教諭

 クーデター派と組織の襲撃より翌朝、マリの偽造教師免許が完成した。直ぐに襲撃された基地に居るマリに報告される。

 

『お嬢様、昨日頼まれた教師免許偽造、完成しました!』

 

「ありがとう、京香ちゃん。これで学園に潜入できるわ」

 

『どうも致しまして。養護教諭で良かったですか?』

 

「えぇ、もちろん。養護教諭で良いわよ」

 

 偽造免許を作った京香に礼を言った後、彼女から確認があったので、マリが良いと答えれば、彼女は何かを企んでいるかのような笑みを浮かべる。

 

『フッフッフ、これは楽しみですわ・・・』

 

「? まぁ、良いけど。それじゃ免許ありがとね」

 

『はい、潜入任務、頑張ってください』

 

 マリは京香の企みを放っておくことにして、もう一度礼を言ってから通信を切った。

 

 

 

 マリがIS学園に侵入するための手段を手に入れた頃、彼女が居る世界とは違う異世界の薄暗い空間にて、二本の角が特徴的な兜を被り、杖を持った白人の男が水晶玉に映る映像を見ていた。

 その映像に映っていたのは、IS学園の極秘区画であった。

 

「フム、例の天才博士が作ったISコアか・・・」

 

 極秘区画に貯蔵されているコアを見て、奪取する作を思い付く。

 

「このコア、我の魔の力で生みの親より最大限にまで高めてやろうではないか」

 

 不敵な笑みを浮かべ、ISの生みの親である篠ノ之束(しのの・たばね)より更に強烈なコアを作ってやろうと口にする。次に映るISの模擬戦闘の映像を見て、IS学園にある全てのISの奪取も目論む。

 

「生みの親が作り出した新作のみならず、学園が保有する全てのISを奪取し、我が兵力とするのも悪くないな。だが・・・」

 

 次に映るワルキューレと日本国防軍の合同のIS学園の守備隊の映像を見た男は、不機嫌な表情を浮かべる。

 

「この学園を守る兵力が鬱陶しいな。とてもではないが、我が集めた手勢でも対処は出来なかろう。おっと、同盟軍が居たな・・・あ奴等に守備隊の相手をしてもらおうか」

 

 不機嫌な表情から一遍、同盟軍に偽の情報を流してIS学園を攻撃させようと言う案を思い付き、再び悪巧みの笑みを浮かべる。

 

「さて、早速実行に移すとしよう」

 

 男は水晶玉から離れ、出入り口へと足を運び、その部屋を後にした。

 直ぐ様同盟軍に男の偽の情報が流され、同盟軍の大規模な部隊が、ISが存在する世界へと進軍を開始した。

 偽の情報ではあるが、同盟軍としても研究用にISは鹵獲したいので、これほどの戦力を派遣した訳だ。

 無論、同盟軍にとっては大した数ではないが、標的にされたワルキューレやフォル・モーントからすれば恐ろしい敵の数である。

 そしてIS奪取を企み、同盟軍に囮として使うべく、偽の情報を流した男の名はロキ。

 元は生まれ故郷である神の国「アスガード」の支配を企んでいたが、義理の兄であり宿敵であるマイティ・ソーとの争いに敗れ、異世界に追い遣られた。

 しかしロキはめげず、今度は全ての世界の支配を目論んでおり、密かに世界支配のための兵力を集め、様々な勢力とコンタクトを取っていた。その一環として、IS学園が狙われたわけである。

 邪神となったロキがIS学園を狙っているとは、マリは知るよしもなく、外国人養護教諭としてIS学園に潜入するのであった。

 

 

 

 その頃、カヤ・オーベルシュタインと言う偽名と外国人養護教諭としての身分を得てIS学園に忍び込んだマリは、学園の女子生徒達の話題となっていた。

 保健室の出入り口前にはマリことカヤと言う名の新人外国人教諭の噂を耳にした女子生徒等が集まり、部屋の中を覗いている。

 

「ねぇ、あの人が?」

 

「そうだよ、足長いね」

 

「モデルさんみたい・・・」

 

「グラビアアイドルじゃないの? 胸大きいし」

 

 出入り口からマリの体付きを見て、自分の思ったことを口に漏らす。

 そんな声を耳に入れつつ、マリことカヤはタブレットの画面に表示された学校保健に関する情報に目を通していた。尤も、本来マリがこの学園で行うべき事は情報収集だが、彼女は単に年頃な15~18歳の少女等と話したいだけである。無論、ノエルが欲しがる情報は入手するつもりだ。

 女子生徒らの視線を多く感じながら初日の研修を終えたマリは、用意された教師用の宿舎へと向かった。

 彼女が宿舎へと続く街道を進む中、新任外国人養護教諭の噂を耳にした女子生徒等と、学園の守備を担当する日本国防軍の女性のみで編成された部隊の将兵等も来ていた。

 殆どは学園周辺の警備をしているか待機しているかだが、非番の隊員なのだろうか、学園内の女子生徒等と同じ目線をマリに送っている。

 そんな視線を感じながら宿舎の自室へ辿り着いたマリは、帰るなり書類を纏め、それが終わればIS学園に関しての報告書を纏め上げた。

 

「今回は、公開されている情報のみと・・・ふう、終わった・・・」

 

 手に入れた情報と言えば世間に公開されている物ばかりであった為、特に報告書に書くことはなく、あっさりと終わる。

 報告書を纏め終えたマリは特にすることもなく、床につくための一連の行事をしてから夢の世界へと旅だった。

 

 

 

 翌日、研修二日目のマリは、偶然にも時の人である織村一夏(おりむら・いちか)と遭遇した。

 

「あっ、オリムー、あの人だよ。例の新人外国人養護教諭」

 

「へぇ、あの人が・・・」

 

 一夏の隣にいる袖が異様に長い制服を着たクラスメイトらしい女子生徒が、マリを指差すなり彼に告げた。それに反応してか、一夏はマリの方へ視線を向ける。それはなんとも珍しそうな異国の人間を見る目であった。

 

「(この朴念仁みたいなのがあの織村千冬の弟? 間違いじゃないの?)」

 

 内心そう思いつつ、マリは一夏に近付いた。

 これに一夏は、自分より背丈が1㎝程高い白人女性を見て驚いたのか、緊張しながら挨拶する。

 

「こ、こんにちは・・・! ハロー、ナイスミーチュー・・・」

 

 つたない英語で挨拶する一夏に対し、マリは本当に目の前にいる少年が「本当は少女ではないか」と言う疑念を抱き、喉元と股間に視線を向けた。

 

「な、なんですか・・・?」

 

 突然自分の身体を見始めた白衣を着た白人女性に、一夏は緊張しながら問うが、マリは男と分かったのか、彼には分からないドイツ語で言ってからその場を立ち去った。

 

「な~んだ、男か。女の子だった良かったのに」

 

「はぁ? あの、ちょっと・・・」

 

 ドイツ語で言って自分の前から去っていった外国人女性に対し、一夏は訳を聞こうと呼び止めようとしたが、マリは彼の言葉を一切聞かず、保健室へと向かっていく。

 

「なんだよ、俺になんか付いてあったか?」

 

 自分が男か女かどうか調べられた事も気付かず、首を傾げていた。

 そんな時に一夏の幼馴染みであり、ISの開発者である束の妹である篠ノ之箒(しののの・ほうき)が彼の元へ来る。

 

「一夏、どうした? そんな所で」

 

「あぁ、箒。今さっきな、外国人の養護教諭が俺の身体をなんかジロジロ見てて・・・」

 

「身体を、ジロジロ・・・!?」

 

 一夏が言った事を、箒は間違った解釈をした。どうやらマリが一夏を狙っていると勘違いしたようだ。直ぐに一夏に問い詰める。

 

「一夏・・・お前、また・・・」

 

「いや、してないぞ。でっ、なんの事なんだ?」

 

「お前という奴は・・・!」

 

「お、おい! 一体なんの事なんだ!?」

 

 勘違いしている箒は、そのまま感情に任せて一夏の腹に向けて強烈な蹴りを食らわせた。

 蹴られた一夏の悲鳴を耳に入れたマリは、廊下の方でその一部始終を見ていた。

 

「あいつ、朴念仁の癖に女好きだったのね。サイテー」

 

 一夏が制裁を受けているのと勘違いしたマリは、そのまま機嫌を悪くし、プリプリしながら保健室へと再び向かう。幼馴染みの箒には勘違いされ、マリからは勝手にプレイボーイ扱いされる等、卿の一夏の運勢は不運その物だった。

 それから更に一週間、ろくな情報を得られぬままマリの養護教諭としての研修期間が終了し、正式な養護教諭としての活動を学園内で許された。

 これで機密情報の収集を仕入れる事が出来るだろう。

 そう思っていたが、IS学園のセキュリティは少々ながら厳重であった。

 ハッキングにも長けているマリであったが、流石に本職には届かず、壁にぶち当たって跳ねられ、結局場所を特定させないようにする小細工に手を回すのに必死で、壁に穴を打ち開ける事は出来ない。

 結局の所、直に潜入して情報を盗んでくるしかないだろう。

 そのプランを立ち上げ、潜入に使用する装備を調え始めたマリであったが、彼女が用意し始めた瞬間、警報が鳴り始めた。

 

「なに?」

 

 鳴り響いた警報に、マリは宿舎の窓から外を覗いた。

 

「嘘・・・宇宙人の侵略・・・!?」

 

 外に広がっていた光景とは、IS学園に大挙して押し寄せてくる同盟軍の大部隊であった。

 

 

 

 時間はマリが起床してからに遡る。

 同盟軍が最初にこの世界へ訪れたのは、地球付近の宙域であった。

 フォル・モーント所属の哨戒任務中のサラミス改級巡洋艦が、何もない空間から次元の歪みが生じ、そこから同盟軍の宇宙艦隊が出て来る事を察知した。

 

「あ、あれは! 同盟軍の宇宙艦隊だ!!」

 

 サラミス改の艦長はブリッジから見える一万を超える無数の同盟軍の艦艇を見て、直ぐに通信手に通報するよう命じた。

 尚、乗員全ては人間の男性である。

 

「本部に伝達だ! 我、同盟軍艦隊ヲ発見セリ!」

 

「了解!」

 

 通信手が本部へ向けて伝達しているのを確認すれば、敵艦隊が向かっている方向を確認する。

 

「敵進路は・・・地球だと・・・!? 奴等、一体何が目的だ!?」

 

「敵機接近!!」

 

「なに!? 進路は地球だ! 直ぐに伝えろ!!」

 

 レーダー手が敵の戦闘機が自分等の乗る宇宙船に向かっている事を告げれば、艦長は直ぐに通信手に敵艦隊の進路を伝達するよう告げる。

 艦内全区画にサイレンが響き渡る中、向かってくる戦闘機に向けて全方位の対空射撃を行われ、対空砲を撃ち続けながらサラミス改級は味方の地域に艦首を向け、全速力で逃げようとする。だが、相手は逃がすつもりは無く、追撃の手を強めてくる。

 サラミス改級に襲い掛かる戦闘機とは、宇宙同盟参加国家の一つ、ヘルガスト軍の主力宇宙戦闘機だ。数の多さを生かしてサラミス改級を包囲しつつ、ジワジワとなぶり殺しにしている。持って数分と言った所だろう。

 やがてブリッジにミサイルを撃ち込まれれば、サラミス改級は完全に停止し、対艦ミサイルを撃ち込まれてトドメを刺された。

 敵艦隊の旗艦である旗艦級戦艦のブリッジ内にて、本部に通報したサラミス改級を撃沈したとの報告が来る。

 

「敵巡洋艦、撃沈を確認」

 

 略帽を被り、顔面を覆うほどのマスクを着け、ゴーグルを赤く光らせた通信士が提督に知らせる。尤も、同じマスクを身に着けた者はこの艦のそこら中に居り、違いが分かるとすれば、来ている軍服であろう。

彼等が喋った時にエフェクトが掛かってしまうのは、出身の惑星の空気環境が最悪であるからである。

 

「我々の存在は知らされたか?」

 

「どうやら知らされた模様です」

 

「楽な仕事にはなりそうも無いな。全艦警戒態勢のまま、目標に接近せよ」

 

 通信士からの知らせに、提督は所属艦全てに警戒態勢を敷くよう命じた。

 小規模の攻撃を数回受けながら地球付近まで接近すると、待ち受けていたフォル・モーントの艦隊と交戦状態に入った。

 

「地球へは絶対に通すな! 絶対に食い止めろ!!」

 

 旗艦である1700mはある超大型空母のブリッジ内にて、提督である大柄で髭面な男が席を立ち上がり、怒号を飛ばす。

 空母の各ハンガーからは、ワルキューレの横流しであるバルキリーのVF-4ライトニングⅢがファイター形態で続々と飛び出していく。他にはMSのバーザムやバーザム改等が発進する。少しでも数を増やすためか、ハイザックや旧型のゲルググ、VF-1バルキリーのアーマードやファストパック、スタンピートパック、マイクロミサイル付きも見られた。

 それでも同盟軍の艦載機の数には届かない。

 少しでも数を減らそうと長距離対空反応ミサイルが数千発ほど発射されるが、何発か迎撃され、同盟軍に対する損害は比較的軽微な物となる。

 十数秒もすれば、双方の艦載機同士が混じり合い、第二次世界大戦の航空戦のような乱戦状態へと突入する。

 小さく光る星しか見えない宇宙空間に、花火のような爆破の連鎖が全周囲に巻き起こった。それに合わせてか、双方の艦隊も艦砲射撃を始め、艦隊戦を始める。フォル・モーント側の艦艇は同盟軍より半数以上しか無く、火力も明らかに差がありすぎるのだ。

 奇跡が起こるはずもなく物量の差で防衛線を突破され、一隻の敵艦を衛星軌道上に侵入されてしまう。

 

「しまった! ビーコンを撃ち込まれる!!」

 

 防衛戦を突破した敵艦は、地球へ向けてビーコンを撃ち込んだ。

 撃ち込んだビーコンはIS学園の近海に撃ち込まれ、海底に突き刺されれば光り出し、近海に時空の歪みを生じさせる。

 電流が走り、何もない空間に巨大な穴が開けば、そこからブラキオサウルス型ゾイドブラキオスや魚型ゾイドのウオディック、カブトムシ型ゾイドのサイカーチス、エイ型ゾイドのシンカー、ドラゴン型ゾイドのレドラー等の大群が解き放たれる。

 更にはグゥンと呼ばれるサブフライトシステムに乗ったMSジンやジェニス、セプテム、飛行用MSディンにオクトエイプス、可変機のガフランやバクト、ゾロ、トムリアット、水中用MSグーンにゾノ等も居た。

 更にはコヴナント軍のバンシー近距離支援機にスピリット降下艇、戦闘機のヴァンパイア、ファントム輸送機、キメラの戦闘機やガンシップに空中戦艦、ローカストの空戦用として運用されている巨大な獣のリーバー、他輸送機や航空機も含めて空を埋め尽くすほど居る。

 海上の方は、地上戦用の機動兵器を満載した上陸艇で埋め尽くされていた。

 その姿はまさに宇宙からの侵略者だ。そんな恐ろしい数の敵軍は、真っ直ぐとIS学園へ向けて進軍してくる。

これに対し、日本国防軍は国家の威信をかけ、黒目黒髪の清楚な美しさを持つヤマトナデシコとも言える若い陸海空軍の女性将官等に率いられた統合部隊「ナデシコ」に、IS学園防衛軍を出動させた。

 合わせて数十隻程度であり、とてもではないが数は少なすぎた。尤も、通常兵器では、大多数の機動兵器で攻めてくる同盟軍相手に勝てるはずもないが。迎え撃つ部隊の中には、五十嵐裕也(いがらし・ゆうや)少佐率いるシューター大隊も含まれていた。

 

「シューターリーダーより各機へ、今度の敵は異星人だ。初の宇宙の外敵との交戦はアメリカでもなく我々だ、気を抜くなよ」

 

 出撃前に相手が宇宙人と知って笑っていた裕也であるが、いざ未知の敵との戦闘となれば緊張し、笑い事で済まさないようにして、部下達に告げる。

 裕也の戦友である荒井亮太(あらい・りょうた)も笑っていたが、彼も他のパイロット達と同様に不安を覚え、トリガーに指を掛け、射程距離に敵機が収まるのを待つ。

 そんな緊迫したパイロット達が乗るF/A4「紫電」、F3戦闘機、F2戦闘機、海軍の壱式艦上戦闘機、弐式艦上戦闘機の大編隊の前から、同盟軍参加国家の航空機群が先制攻撃を仕掛けてきた。

 迎え撃つ彼等が想像したとおり、ビームやレーザーなどの攻撃だ。

 

『来た!』

 

『全機、エネミーエンゲージ! FOX(フォックス)3! FOX(フォックス)3!!』

 

 部隊指揮官からミサイル発射命令が出され、直ぐにミサイルが同盟軍の航空機群に向けて発射される。

 放たれたミサイルは、未知の存在である対異星人用に備えた高火力を有する対空ミサイルであり、その火力はフリゲート艦を大破寸前に陥らせるほどの物であった。

 突っ込んでくる多数の敵機は直ぐに散会したが、何機はミサイルに当たって木っ端微塵に吹き飛ぶ。数秒後には敵機と乱戦状態に至り、双方の航空機がハエの如く海へと落ちていく。

 

「クソッ、味方機が!」

 

 海軍の艦上戦闘機が小隊単位で撃ち落とされたのを見て裕也は叫んだ。この間にも味方と敵の戦闘機は火を噴きながら海に落ちていく。その光景はまさしく、彼が経験した三年前の内戦における同じ国の戦闘機同士による航空戦のようだ。

 裕也が乗るF/A4「紫電」戦闘機が機関砲等で敵機を堕とし続ける中、後ろからコヴナントのヴァンパイア戦闘機が急襲を仕掛けてきた。

 搭載されているプラズマガンを受けて撃墜されるかと思ったが、戦友である亮太に救われる。

 

『大丈夫か?! シューターリーダー!』

 

「あぁ、助かった。借りが出来たな」

 

 戦友に礼を言ってから、敵機への攻撃を続けた。

 海の方でも交戦が行われており、日本国防海軍による同盟軍の海上戦力に向けての過剰なまでの攻撃が行われていた。

 

「全艦、ミサイル複数同時発射(サルボー)!!」

 

 旗艦からの指示で、オート・メナーラ127㎜艦載砲のみならず、スタンダードミサイルも同時発射される。こうまでしなければ敵の数は減らせない。無論、敵の数は想定外に言えるほどの数であるが。

 凄まじい一斉射で同盟軍の上陸艇や海上にいる機動兵器群が海中にいる機動兵器群諸共海の藻屑と化していくが、まるで湯水のように湧いてくるかの如く、爆煙の中から続々と敵部隊が出て来る。

 

「全然減ってない!?」

 

 戦地より尤も離れた東京にある陸海空軍統合指揮所に居る海軍の黒髪で若くて美しい女性将官は、レーダーに映る敵部隊の数が全く減っていないことに驚きの声を上げた。

 陸軍と空軍の黒髪黒目の美女達も同様、驚愕名表情を浮かべている。

 

「敵、尚も増加中! これ以上は対処不能!」

 

「敵人型に恐竜型、魚類型の兵器の攻撃により第4艦隊と傘下の航空隊壊滅状態! 撤退の指示を請うております!」

 

「空軍の第5航空軍の損害、尚も増加中! いずれは戦闘不能に陥ります!!」

 

 次から次へと来る損害報告に若い女性将官等は動揺を覚え、思考を混乱させていく。

 その報告に対し、一人の女性将官は撤退を許可しない答えを出す。

 

「撤退? ふざけた事を! 我々に撤退はない! 最後まで戦え!」

 

 狂気じみた台詞を吐くが、彼女を除いて他の若い将官等も含め、誰もその答えに賛同しない。

 映像では今も、日本国防軍全軍がやられ続けている。前線の将兵等の悲鳴も聞こえており、耳を塞ぐ女性オペレーターの姿もある。裕也の部隊も、前線に到着した敵機動兵器群の攻撃を受け、苦戦している。

 悪戯に被害が拡大する中、一人のオペレーターが日本国防軍最高司令部総長からの通信があると伝える。

 

「閣下、最高司令部総長より通信です」

 

「はぁ・・・! 繋いで!」

 

 自分等が称える最高司令部総長からの通信があると聞いたこの場の総司令官を務める海軍大将は、この状況を覆す程の策があると思い、直ぐに繋ぐよう命ずる。

 通信は繋がれ、映像には統合指揮所に居る黒髪黒目の美女等よりも美しく、やまとなでしこに相応しい二十代後半の若い女性が映った。

 彼女が身に着けている国防色の軍服の襟章には、大元帥を示す階級章が縫い付けられている。

 だが、統合司令部に居る女性将官等全員が期待した物とは違う命令が下される。

 

『奮闘ご苦労。早速だが、この最高司令部総長、竜宮美弥子(りゅうぐう・みやこ)が命じる。直ぐに軍を退け。後はIS学園守備隊に任せろ』

 

 この最高司令部からの命令に、若い将官等は指示に従う事無く、異議を唱え始める。

 

「どうしてです総長!? ここで退けば我が軍の威信が・・・!」

 

『言い訳は聞きたくない。例え多くの犠牲で勝利を得て威厳を保てたとしても、戦闘後に日本海側の戦力低下を見た大陸が侵攻してくる可能性もある。ここは命令に従い、装備も練度にも優れるIS学園の守備隊に託されよ。命令に背いた場合、貴官を銃殺刑に処すか、他の者達も一緒に”月の者達”の献上品として送り付けるが』

 

「ひ、ヒィィ・・・!!」

 

 月の者達の献上品として送り付ける。

 この最高司令部総長の言葉を聞き、その意味を知っていた若い女性将官等は震え上がり、直ぐに命に従った。

 献上品という意味は、今の日本のスポンサーに当たるフォル・モーントに、性奴隷として月に送られることである。

 日本のならず、世界各国の若くて美しい軍の政界の議員や軍の上級職の軍人、民間の企業幹部、司法関係者、諜報部関係者等が”献上品”として月に構えるフォル・モーントに送られ、それからの所在は掴めていない。

 この事実を知る一同は震え、震える声で全軍に撤退命令を出した。

 

「て、撤退・・・! 全軍撤退せよ! 早くしなさい!!」

 

「りょ、了解! 統合司令部より通達、全軍第3防衛ラインより撤退せよ! 繰り返す、撤退せよ!」

 

 ただならぬ雰囲気と感じ取った女性オペレーター等は、全戦で戦う全部対に命令を伝達した。

 前線で機動兵器との死闘を繰り広げていた裕也はその通信を聞き、IS学園の守備隊に強力で数も多い同盟軍に対処できるかどうか疑問を抱いていた。

 

『全軍、第3防衛ラインより即時撤退せよ! 繰り返す、即時撤退せよ! 後はIS学園守備隊が引き継ぐ!』

 

「IS学園の連中に、こんな超兵器の大軍を相手できるのか?」

 

 裕也が疑問の言葉を口に出せば、それを聞いた亮太が撤退命令を有り難いと思い、通信を入れてくる。

 

『有り難いことだぜ! どっちにしろISをぶつける気だろ。なんせあの学園にはISが数百機ほどあるからな。宇宙人のトンデモ兵器相手は、ISに任せようぜ!』

 

「それもそうだな。シューターリーダーより各機へ! 御上からの命令だ、ずらかるぞ!」

 

 裕也が部下達に撤退の指示を出せば、亮太と同様に最後まで戦うことなく全機が敵との戦闘を止めて基地へと逃げるように撤退し始めた。

 IS学園の盾となっていた陸海空の日本国防軍が撤退し、最終防衛ラインまで同盟軍の大軍勢が迫る中、IS学園の付近に建っている未来都市のような建造物群が、変形を始めた。

 それに合わせてか、その建造物にある戦闘指揮所(CIC)にて、通信士やレーダー手、オペレーター等がそれぞれの持ち場に着き、近付いてくる同盟軍部隊の開設に当たっている。

 司令官の女性将官が席へ着く頃には、変形していた未来都市のような建造物群は大砲や対空砲、ロケット砲にミサイル、レーザー砲やプラズマ砲で固められている要塞へと姿を変えていた。

 この要塞の名は「バトルシティ」。ワルキューレの重要拠点防衛用施設の一種である。見た感じは要塞であり、敵側からは要塞の一種と認識されている。

 変形した為か、砲塔のみならず、あちらこちらに戦車や軍艦に戦闘機が出られるハンガーも現れ、そこからIS学園守備隊の機甲部隊と海上部隊、航空部隊が発進し、防衛戦構築を始める。

 

「IS学園守備隊、最終防衛ラインに展開中!」

 

「MS隊、バルキリー隊、デストロイド隊、戦術機隊、ナイトメア隊出撃準備中!」

 

「出撃準備が終わった隊から出しなさい! 敵は待ってくれないわよ!!」

 

 オペレーターからの報告に、司令官は直ぐにでも出すように告げる。

 それと同時に学園の教職員及び生徒の避難完了と、学園に近い本土の住民の避難完了が知らされた。

 

「学園教職員及び生徒の避難が完了! 周辺住民の避難も完了済みです!」

 

「これで被害は周辺の建造物とこの付近のみとなるわね。IS学園にシールドバリアー展開! 対空警戒並び、付近の友軍基地より支援要請を!」

 

 報告を聞いた司令官が的確な指示を出した後、出撃準備中のワルキューレが保有する機動兵器部隊の準備が完了した。

 まずは大気圏内兼大気圏外用スーパーパック付きのVF-11Cサンダーボルトがハンガーや空母から続々と発進し、防衛ラインに展開し始める。大多数の敵に備えてか、アーマードパック付きのVF-11Cも発進し、防衛ラインに展開する。VB-6ケーニッヒモンスターの展開も行われていた。

 次は可変系MSのZプラスやムラサメ、空戦用装備のM1アストレイの発進も行われ、IS学園とバトルシティ上空に展開し始める。

 地上からはM16対空自走砲等の戦闘車両やAH-64アパッチ・ロングボウ等と共に、戦術機のF-15Jや不知火、デストロイドのシャイアンⅡ、モンスター、MSのジムⅢやガンキャノンディテクター、ガンタンクⅡ、ナイトメアのグラスゴーとサザーランドも出撃し、防衛ライン展開に向かった。

 歩兵部隊等は、機動兵器部隊よりも先に出動して、敵が上陸すると思われる場所に陣地を構築し、敵が来る方向へと銃口を向けている。

 最後の出番となったのは、戦術機の武御雷を有する部隊である。

 これに乗り込む彼女等は出撃前に円陣を組み、掛け声を上げて気合いを入れる。

 

「これが初の出撃よ! 全員準備は良い?」

 

 隊長が同じく円陣を組んでいる自分と同じ衛士強化装備を身に着けた十六人の部下に問えば、全員が気合いの入った言葉で返す。

 

『もちろん! どんな相手でも負ける気は無し!!』

 

「それじゃあ気合い入れていくわよ! 戦術猟兵隊出動!!」

 

了解(コピー)!』

 

 全員の返答を聞いた隊長が出動命令を出せば、円陣を解散して自分の機体に乗り込み始め、全員乗ったのを確認すれば、専用のハンガーから出撃して担当地区へと展開した。

 

「私も出撃しないとね」

 

 同盟軍の強襲と聞き、避難命令を無視してバトルシティに来ていたマリは、身分証明書を見せて格納庫へと入り、即時に騎士の甲冑のようなパイロットスーツを身に着け、アーマードパック付きVF-1Jに乗り込んだ。

 そのまま歩いてハンガーから飛び出し、恐ろしい数の敵機が見える方向へと視線を向けた。




前半ラブコメ、後半は戦争物という・・・

ラブコメ書いたこと無いから結構苦労したわいな。

それと戦術猟兵隊、出身地クンタラ説。

前書きのトビアの台詞、あれはこの二次元創作を書いてからずっとやろうかと思っていた物です。
連載弐年目にしてやっと到着したぜ・・・!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。