復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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イメージBGM
トランスフォーマー・ザ・ムービー『AutobotDeception Battle』

https://www.youtube.com/watch?v=eUTnAlYxGj8

次元ビーコンとは。

次元転送装置を組み込んだ中型の電子機器。
普通のビーコンより次元転送装置を組み込んだ御陰で大型化しているが、重さは持ち運べるくらい軽いので、楽に形態は可能。
砲弾型の次元ビーコンも存在する。
次元航行技術を有するどの勢力でも使用されており、形状は勢力によって違う。


ヴィラン

 同盟軍の大軍が迫る中、マリを含めたIS学園守備隊は迎え撃つために立ち向かった。

 自身が乗るVF-1Jアーマードパックの限界高度まで飛び、大規模な敵航空機部隊を見て驚きの声を上げる。

 

「ちょっと、なによこの数!?」

 

 そう言いながらも、手に持った強化型のガンポッドを目の前から来る敵に向けて撃ち込む。

 狙ったのはカブトムシ型のゾイドであるサイカーチスだ。戦闘ヘリなので、戦闘機タイプとは違って鈍足なので狙いやすい。それに強化型のガンポッドの火力は凄まじく、狙った敵機を細切れにした。

 

「次!」

 

 誤射しないように敵機の密集している箇所へ向け、高火力なガンポッドを撃ち込む。

 数機ほどが細切れとなったが、流石に散会されてしまう。

 直ぐに纏めて始末しようとミサイルを撃とうとしたが、もっと密集している箇所に撃ち込んだ方が効果的だと思い、発射ボタンから指を離す。

 数機ほど撃ち落とした後、大多数の敵機が居る方向へ向かい、目に映る敵機を限界まで全てロックオンする。

 ミサイル残弾全ての敵機をロックオンし終えればボタンの蓋を開け、親指で押し込んだ。

 アーマーに付いている全てのミサイルポッドから全ての小型ミサイルが一斉に発射される。

 標的にされた全ての敵機に向けてミサイルが飛び、何発か命中して航空機や機動兵器も含める数機以上の敵機が火を噴きながら地面へと落ちていった。

 残ったロケット弾に関しては、陸戦兵器を搭載している降下艇に撃ち込んで撃墜した。

 数機以上を撃墜したところで重たいアーマードパックを分離し、身軽になってから機体をファイター形態に変形させ、標的に入った敵機を手当たり次第撃墜する。

 

「こんなだけやったのに、まだ減らないなんて・・・」

 

 衰えずに攻撃を続ける同盟軍の兵器群をキャノピーから見て呟いた後、前に見える敵機を撃墜した。

 しかし、十機や二十機を潰しても敵はまだまだ湯水のように湧いて出て来る。

 そればかりかバトルシティの迎撃が追い付かず、本島に敵部隊の上陸を許し、更にはIS学園上空に侵入を許してしまった。

 

『各機に通達します! 敵部隊が上陸! 更にIS学園に敵部隊が空挺降下!! 至急迎撃に向かってください!!』

 

「ちょっと、なにやってんのよ!」

 

 オペレーターからの緊急連絡に、マリは通信映像に向けて怒鳴り散らした。

 その間に他の航空部隊がIS学園防衛に回る。遠くから見える辺り、かなりの数の敵が学園の方へ降下したようだ。地上の守備隊は、上陸してきた敵陸上へ威力の迎撃に追われている。

 数機以上を撃墜した後、全速力でIS学園防衛へと回った。

 

 

 

「外はどうなってる?」

 

 IS学園地下の第一避難壕にて、職員や生徒らと共に避難していた織村千冬が目の前に立っているインカムを付けた女性守備隊将校に聞いた。

 

「現在、襲撃部隊と交戦中です。戦闘が終わり次第、残敵排除などの安全確保の後、外へ出られます」

 

「前に同じ事を言ったが、それほど我々に見られたら不味い物なのか? カヤ・オーベルシュタイン養護教諭の姿も見えないが?」

 

「それについてはお話しできません。戦闘が終わるまでここに居てください」

 

 同じ返答をされたのか、千冬は真相を確かめようと再度将校に問うが、答えずに彼女等に避難所にいるよう告げる。

 無論、学園内に敵の侵入を許しており、学園に回された戦力が敵歩兵部隊と戦闘中であるが、千冬等が居る地下の避難壕は厚い壁に覆われているため、銃声一発すら聞こえてこない。

 また同じ回答をしてくるかと思って、千冬は防護扉の方へ視線を向けた。

 彼女の身体能力ならなんとか突破できそうだが、相手が女性兵士とはいえ、完全武装の兵士数名を相手するには骨が折れる。

 そんな矢先、将校が右耳に付けているインカムに手を当て、驚いた表情を見せ、声に出した。

 

「第二避難壕が!?」

 

「第二避難壕がどうしました?」

 

「いえ、何も・・・」

 

 千冬の隣に立つ山田摩耶(やまだ・まや)は、将校が出してしまった声を聞いてしまい、そこに避難している職員と生徒の安否を気にして問うが、将校は誤魔化す。

 千冬はそれを逃さず、自分等に聞こえないような小声で何か指示を出しているのを観察しつつ、終わったのを見計らって問う。

 

「随分と慌てていたようだが、第二避難壕で何があった? あそこにも生徒と職員が避難しているんだぞ」

 

「そうですよ! 一夏さん達は大丈夫なんですか!?」

 

「いえ、ちょっとしたトラブルがあっただけです。直ぐに解決します」

 

 千冬が聞けば、摩耶は心配して、第二避難壕に避難している千冬の弟である織村一夏(おりむら・いちか)や、ISの開発者である篠ノ之束(しののの・たばね)の妹の篠ノ之箒(しののの・ほうき)を始めとした各国代表候補生達が無事なのかをもう一度問う。

 

「本当に大丈夫なの? あそこには私の友達が避難してんのよ」

 

「生徒である私の妹がそこに避難しているんです。本当に大丈夫なんですか?」

 

「本当のこと教えてよ、何が起きてんの? ねぇ!」

 

 摩耶が声を大にして問うたので、他の職員や生徒らに伝染してしまい、将校の周囲に集まってきた。

 

「み、皆様、お、落ち着いてください!」

 

 これは将校でもお手上げなのか、下士官に天上へ向けて銃を撃つよう命ずる。

 なるべく跳弾させぬように、毛布に向けてP226自動拳銃を撃ち込み、生徒や職員等を黙らせた。

 

「キャッ!」

 

「貴様等、なんのつもりだ!?」

 

 銃声では臆さない千冬は、銃を撃った守備隊の将兵等に向けて怒鳴る。

 だが、彼女等は千冬等に銃口を向け、大人しく静かにしているよう告げる。

 

「失礼を。機密保持のため、このような手段に出ました。第二避難壕に関しては我々にはお任せを。もう一度先程の様な行動を取られるなら、こちらにもそれなりの対処を行います」

 

「クッ・・・」

 

 将校が告げれば、守備隊の将兵等を刺激したくない千冬は大人しく下がった。

 

 

 

 その頃の敵の襲撃を受けている第二避難壕では、地面に空いた穴から同盟軍の傘下勢力のコヴナント、キメラ、ローカストの主力歩兵が現れ、守備隊将兵等と銃撃戦となっていた。

 守備隊側には歩兵にとっては脅威とも言える12.7㎜重機関銃を四門も搭載しているM16対空自走砲が一両ほどあり、圧倒的に見えたが、敵はそれを上回るほどの数であった。

 幾ら毎分1200発を誇るMG3汎用機関銃があっても、グンタイアリの如く穴から湧いて出て来る。

 

「き、キリがない!」

 

「どんだけ出て来るのよ!?」

 

 無数の敵と戦う守備隊の兵士等は、余りの数の多さに戦意を失い始める。

 向かってくるのはコヴナントのグラントやジャッカル。キメラのハイブリットやスティールヘッド、ロングレッグ、ラベジャー、そして開発した無人兵器のストーカー。ローカストのドローンにグレネーディア、サイクロップス、ブーマー、グラインダー、モーラー、カンタス等が続々と迫ってくる。

 このままでは突破されるのは時間の問題だろう。

 M16対空自走砲が敵のRPG持ちに撃破されたのを見て、避難壕を守る将兵等は敗北を感じた。だが、援軍は避難壕の中から現れた。それは織村一夏を始めとした専用のISを持った代表候補生達だ。

 我慢しきれなくなったのか、それとも中にいる将校が許可を出したのか、いずれにしても、援軍であることは変わりない。

 

「タァァァ!」

 

 自身の専用IS「白式(びゃくしき)」を駆って、目の前の敵を纏めて主兵装の刀剣の形をした雪片弐型(ゆきひらにがた)で切り裂く。

 血が吹き出るが、この時の一夏は敵を生物とは認識しておらず、無我夢中で見える敵を切り続けた。

 

「なんなんだこいつ等は?」

 

 数体ほど始末したところで、同じく出て来た軍用ISに乗った将校に問う。

 

「私も学園に総攻撃を仕掛けてくる勢力が現れるって聞かされたけど、まさか宇宙人が来るなんて思わなかったわ」

 

 ライフルを撃ちつつ一夏の問いに答える。そんなただシンプルな戦い方をする一夏の白式の背後から、キメラのストーカーが鹵獲用ネット弾を発射しようとする。だが、縦ロールの長い金髪と透き通った碧眼を持つイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットが駆る専用IS「ブルー・ティアーズ」の巨大な特殊レーザーライフルであるスターライトmkⅢを、ストーカーに向ける。

 

「一夏さん! 危ないですわ!!」

 

 一夏に警告してからストーカーに向けてレーザーライフルを撃ち込んだ。

 エネルギーシールドで防御されているはずだが、レーザーの威力は高く、容易に貫通し、守備隊が苦戦したストーカーを易々と破壊した。

 自分の危機を救ってくれたセシリアに対し、一夏は礼を告げる。

 

「ありがとな、セシリア!」

 

「い、いえ、どうも!」

 

 一夏からの礼で顔を赤らめて嬉しがるセシリアであったが、そんな彼女の背後からモーラーが襲い掛かる。

 

「セシリア! あんた戦場のど真ん中で何やってんのよ!?」

 

 そのセシリアの危機を救ったのは、ツインテールで小柄な愛らしい外見を持つ中国の代表候補生、鳳鈴音(ファン・リンイン)が駆る専用IS「甲龍(こうりゅう)」の崩山(ほうざん)だ。

 ちなみに崩山は元の装備である龍咆(りゅうほう)に二門から四門に増設された物だが、赤い炎を纏った弾丸を拡散衝撃砲として発射する。

 これを受けた敵は一溜りも無く肉片と化し、辺りに散らばる。

 

「ISノ操縦者ダ!」

 

「来んじゃないわよ! 気持ち悪い!!」

 

 側面より迫ってきた複数のグラントを容赦なく双天牙月(そうてんがけつ)と呼ばれるISサイズの青龍刀で纏めて切り裂く。

 

(りん)! お前も戦うのか!?」

 

「当たり前でしょ! こういうのはISで戦わないとね!」

 

「その通りだね!」

 

「あぁ、宇宙人相手には容赦はいらんからな!!」

 

 自分の愛称を一夏に言われた鈴音は、彼のほうに視線を向けて答える。

 それに同調してか、フランスの代表候補生であるシャルロット・デュノアや、ドイツの代表候補生で、学生でありながらIS配備特殊部隊「シュヴァルツェ・ハーゼ」の隊長であり、少佐の階級を持つラウラ・ホーデヴィッヒの二人が、自身の専用IS「ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」や「シュヴァルツェア・レーゲン」を駆り、目の前に居る敵を全て自身のISの主兵装で排除する。

 シャルロットはラファールのアサルトカノン「ガルム」、ラウラはシュヴァルツェアの両肩に二門装備された「パンツァー・カノニーア」。

 どれもが敵歩兵に取っては脅威その物であり、彼女等の攻撃を受けた同盟軍の主力歩兵等は、忽ち無惨な形へと変貌する。

 

「ハァァァ!!」

 

 続いてシャルロットはラファールのシールドの裏に搭載されたパイルバンカーを、エネルギーシールドを張るストーカーに打ち込み、シールドを貫通させ、本隊を破壊した。

 

「纏めて片付ける!」

 

 ラウラも負けていられないのか、周囲にいる敵歩兵の集団をワイヤーブレードで切り裂く。

 そのまま彼女等は、一夏と将校と共に周囲にいる敵の掃討を続けた。

 

「テ、撤退ダ!」

 

「逃ゲロ!」

 

「IS強スギル!」

 

 一夏、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラが駆る第三世代専用ISの活躍の御陰で第二避難壕に迫ってきた敵は撤退を始める。

 

「あんた等凄いわね! うち来る?」

 

「いや、俺等学生だし、入る気ありませんって」

 

 その活躍ぶりは「たかが学生」と舐めていた将校も舌を巻くほどであり、一夏達をワルキューレに勧誘しようとしていた。

 無論、彼等は入るつもりもなく、断りの言葉を告げる。

 当然のことながら部外者でしかも民間人な一夏等に戦わせたのか、バトルシティの戦闘指揮所の司令官よりお叱りの通信が来る。

 

『中佐! 貴方は一体何を考えているの!? 民間人、それにIS学園の生徒を戦わせるなんて・・・!』

 

「それは反省しています! でもあれ程の敵兵力で対抗できるのはISのみだと思いますが・・・」

 

 言い訳をする中佐に対し、今は処罰している暇はないと思ってか、司令官は彼女に指示を出した。

 

『まぁ、処罰は戦闘後にしておきます。貴方は学生等と共に学園に侵入した敵歩兵と通常兵器、ウォーカーやドローンの撃破に努めなさい』

 

「え、機動兵器の対処は・・・?」

 

『それは増援にやって来るAS(アーム・スレイブ)と戦術機装備の第9機甲空挺旅団に対処して貰うわ。貴方は今言った兵器の対処に入りなさい。以上』

 

 司令官は中佐からの異議を聞かず、指示を伝えれば通信を切り、自分の仕事へ戻った。

 指示を聞いた中佐は一夏等の方へ向き、先程の司令官の指示を告げる。

 

「取り敢えず、でかいロボットの類は無視して私達は宇宙人や戦車、航空機、小さいのとかの排除に当たるわよ」

 

 先程の自分と同様に、一夏が異議を唱えた。

 

「おい! 俺達はあのロボットとか戦わないのかよ! あいつ等は俺達が戦わないと!」

 

「一夏様の言うとおりですわ! ああ言う未知の兵器の対処は、私達IS操縦者の仕事ですわ!」

 

「そうだよ。僕達がやらなくて誰がやるの?」

 

「なんで張り合いのない通常兵器の相手をしなきゃいけないのよ!」

 

「幾ら守備隊でもあれではやられるぞ!」

 

 一夏が異議を唱えれば、セシリアやシャルロット等が続き、同盟軍の機動兵器群と戦おうとする。

 これに対して中佐は、尤もな答えで返した。

 

「あんた等学生でしょうが! ISに乗って調子こくんじゃないわよ! 私達IS乗りには役割があるのよ! ここであんた等が戦っていられるのは私の御陰でしょ! 死にたく中ったら私の言うこと聞きなさい!!」

 

「あ、わ、分かりました・・・」

 

 凄い気迫で告げた御陰か、一夏等は中佐の指示に従い、歩兵と通常兵器の対処へ回った。

 彼女等がそうしている間に、マリはIS学園上空へと遅れて到着した。

 その前に彼女はキャノピーから見える敵が上陸してくる地点に視線を向け、学園守備隊の迎撃を受けるおぞましい数の敵を見て声を上げる。

 

「うわぁ、何よあの数・・・あんなのと戦えっての」

 

 守備隊の機関銃陣地やトーチカ、沿岸砲、ジムⅢや不知火、デストロイヤー等の機動兵器の掃射で次々と海の藻屑とかしていくが、湧いて出て来るように迫る同盟軍の機動兵器群を見たマリは、戦意を失うような言葉を漏らす。

 そんな彼女のVF-1Jに、複数の近距離支援機「バンシー」の弾幕が浴びせられる。

 

「キャッ! 邪魔よ!!」

 

 少し被弾して機体が揺れたのか、マリは悲鳴を上げ、機体をバトロイド形態に変形させ、自分の機体を攻撃した複数のバンシーに向けて強力なガンポッドを浴びせた。

 当然の如く、戦闘機の攻撃を受ければ一溜まりもないバンシーの装甲では、ガンポッドの掃射を耐えられるはずもなく、細切れとなって爆散する。

 次にマリは対空射撃を行うベロキプトル型ゾイドである「レブラプター」数機に向けて降下し、ガンポッドを撃ち込んで数機ほど細切れにした。

 最後の一体が、レブラプターの接近戦の強さを生かしてマリのVF-1Jに斬り掛かったが、あっさりと避けられ、コクピットである頭部を吹き飛ばされ、地面に倒れる。

 

『後ろ!』

 

 誰かからの知らせにマリは操縦桿を即座に動かし、ガンポッドを左脇の下に入れ込み、背後から迫る敵に撃ち込んだ。

 背後の方へカメラを向ければ、そこにはイグアノドン型の小型ゾイドである「イグアン」が居り、脆い装甲のためか、上半身が引き千切れており、上半身が地面に倒れれば、バランスを失った下半身も倒れる。

 自分の危機を知らせてくれた相手に、マリはお礼を告げる。

 

「ありがとう。御陰で死なずに済んだわ」

 

『どうも致しまして』

 

 彼女に知らせてくれたのは、武御雷(たけみかづち)を有する戦術猟兵隊の隊長機であった。多数の敵機と巨大生物と交戦してきたのか、機体に返り血がこびり付いている。通信を繋いだマリは、戦術猟兵隊の隊長にどのような戦況なのかを問う。

 

「通信聞いて駆け付けたけど、学園はどうなってんの?」

 

『そこら中敵だらけよ。うちの隊も何機が損傷して、バトルシティに撤退してるわ。あんたの方はどうなってるの?』

 

「えーと、こっちは・・・まぁ、私以外基地に行っちゃったかな?」

 

『そう。もうすぐ援軍が来るから、少しは楽になりそうね』

 

 戦術猟兵隊隊長がマリにそちらもどうなっているのかを聞いてきたので、何処の部隊にも属していないマリは適当に誤魔化す。

 隊長が「援軍が来る」と聞いてか、上空の方へカメラを向け、援軍が来るかどうかを確認した。

 言った通り、援軍を載せた数十機のAn-22超大型輸送機C-5大型輸送機がバルキリーのVF-171の護衛を受けながら現れた。

 その大型輸送機群の貨物室のハッチが開けば、輸送されていた”援軍”を一斉に地上へ降ろした。その数はまさに雨のよう。降ろされたのは専用落下傘装備のASのM9ガーンズバックや戦術機の不知火数百機ほどだ。

 地面へ着陸すれば、直ぐに落下傘を外して守備隊の救援に向かう。

 これで戦闘は終わるだろう。

 そう思った矢先、同盟軍にも増援が現れた。

 

『各員へ通達! 東よりゴリアテ数機が出現! 更にアリーナに敵次元ビーコンを確認! 直ちに対処をお願いします!!』

 

「一遍に二つも!?」

 

『どっち共やるしかないようね。ゴリアテの方は私達が対処するから、アンタはアリーナの方に!』

 

「あっ、ちょっと! もう!」

 

 オペレーターからの緊急連絡に、マリは驚きの声を上げれば隊長はゴリアテの対処に向かうと告げ、マリにアリーナの対処を命じ、彼女の話しも聞かずにゴリアテの方へ向かった。

 話しも聞かずに向かった隊長にマリは腹を立てつつ、敵の増援を異界から呼び寄せる次元ビーコンがあるアリーナへと向かう。

 機体をガウォーク形態に変形させて上昇し、アリーナの方へ機種を向け、ファイター形態に変形させようとしたが、側面より現れた巨体の四本脚を持つ、全長91mのゴリアテと呼ばれるキメラの巨大兵器が海中から現れ、マリが乗るVF-1Jに向けて巨大なミサイルランチャーを掃射した。

 

「嘘・・・!?」

 

 避ける暇もなく、マリのVF-1Jは撃墜された。

 だが、これで死ぬような女ではなく、ミサイルが当たる直前に脱出ポッドで脱出しており、地面へと落下していた。

 直ぐにキャノピーをこじ開けてポッドから飛び出し、待機状態である自身の専用IS「クウァエダム・デア」を起動させ、パイロットスーツから露出度と身体のラインが露わなISスーツに替わり、全身に装備を身に纏った。

 

「さぁ、第二ラウンド、行くわよ!」

 

 クウァエダム・デアを纏ったマリはそう意気込み、自分のVF-1Jを撃墜したゴリアテに接近した。

 直ぐさま迎撃のミサイルが向かってくるが、マリにとっては止まって見えており、避けながら接近し、各所へ向けて手にしているビームライフルを撃ち込む。

 ロケットやミサイルなどを防ぐほどの重装甲であるが、ビーム対策は行っていなかったのか装甲が剥がれ出し、直ぐに同じ箇所に向けてビームを撃ち込まれ、大破した。

 

「なにこれ、木偶の坊じゃない」

 

 脅威とも思えるゴリアテが、自分にとっては大した相手でもなかったので、そう吐き捨ててアリーナへ向かう。

 途中、地上と上空から機動兵器群がマリのクウァエダム・デアに向かってくるが、彼女が放ったビットのオールレンジ攻撃を受け、敵機の集団は瞬く間に全滅する。

 爆煙の中を突っ切り、マリはアリーナへと飛んだ。

 途中、IS学園最強と評され、生徒会長である更識楯無(さらしき・たてなし)が、自身の専用IS「ミステリアス・レディ」で交戦している姿が見えた。

 その強さは最強と評される程であり、自身のISが持つ水を自由自在に扱って次々と敵歩兵を溺死させている。

 戦闘車両の類に対しては、機関部に水を入り込ませて内部から大破させていた。

 全て撃破したのを確認すれば楯無は両手を腰に付け、周囲に転がる見たこともない兵器の残骸と生物の死骸を見て、不思議に思う。

 

「大方片付けたけど、こいつ等何かしら? 宇宙からの侵略者? こいつ等に関しての情報が分かると良いけど・・・本家に連絡できないし・・・」

 

 裏工作に通じているのか、学園に攻撃を仕掛けてきた同盟軍の正体を知ろうと本部とされている「本部」に連絡を取ろうとしたが、機密漏洩対策で張られたジャマーで連絡が取れなくなっており、頭を傾げている。

 そんな彼女に気付いたマリは楯無の元へ近付き、声を掛ける。

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

「私も学園の危機と聞いて迎撃に参加させていただきました! なにかご用ですか?」

 

 マリに気付いた楯無は冷静に対処し、通信端末類などを直ぐに切って彼女の方向へ振り向き、先程のことを誤魔化した。

 勘が鋭いマリなら気付くかもしれないが、先程のことは上空に飛んでいて聞こえてなかったのか、楯無はどのような用なのかを問う。

 

「まぁ、なんか生徒だけじゃ駄目かと思って加勢に来たけど、この分だと無理みたいね」

 

「はい、何たって私、生徒会長ですから!」

 

「生徒会長? へぇ・・・だからそんなに強いの・それじゃ、私はアリーナに向かうから、頑張ってね!」

 

「は~い! ふぅ、聞かれてない。さぁ、悪い宇宙人をやっつけましょう」

 

 マリが飛び去った後、何も聞かれていないとホッとした楯無は、同盟軍の迎撃へと向かった。

 そしてアリーナへ到着したマリは、次元ビーコンから夥しい数の敵が続々と出て来るのを見て、卒倒しそうになる。

 

「嘘・・・こんな数を相手にしなきゃいけないの・・・?」

 

 彼女が弱音を吐く程に敵の数は壮大であった。

 同盟軍にとっては通常の投入分であるが、マリにとっては異常と取れるほどの数だ。

 MSやゾイド、AT等の機動兵器などの数は少ないが、歩兵や通常兵器の数は凄まじく多い。

 増援を待ってから攻撃しようと決め込んだ時に、都合良くその”増援”が現れた。

 その増援とは、専用IS持ちである一夏達の事である。

 

「なんだよ・・・これ!?」

 

「この数の敵、異常過ぎじゃない!」

 

「あっ、ちょっとあんた達!」

 

 折角鴨が葱を背負ってやって来たので、早速マリは一夏達に声を掛ける。

 凄まじい敵の数を見て戦意を喪失し掛けているときに、目線を黒いバイザーで隠した見知らぬ女性に話し掛けられたので、一夏達はやや動揺を覚える。

 

「な、なんですか?」

 

「あんた等無断で戦ってるんでしょ? これから私が命令するから、命令通り動きなさいよ。拒否権は無しだからね」

 

「なにぃ!? 貴様、私はIS特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼの隊長だぞ!!」

 

「勝てる保証は、あるの?」

 

 プライドのある軍人であるラウラは見知らぬ女に命令されて怒りの声を上げるが、シャルロットはマリの命令に従えば、勝てる保証があると思って問う。

 そんな問いに、彼女は頷いて命令の内容を伝える。

 

「えぇ、勝てるわよ。あんた等の相手は雑魚ばっかりだから。ロボットの方は私に任せなさい。 さぁ、行くわよ!」

 

「ちょっと! お待ち下さい!!」

 

 命令の内容を告げれば、マリはセシリアの声も聞かずに敵の巣窟と化したアリーナへ突っ込み、目の前にいたグラントやハイブリット、ドローンを両腰の機関砲で吹き飛ばし、左手に実体化させたバズーカで次元ビーコンを撃った。

 

「はっ!? シールドしてるなんて! 脳筋風情の分際で!!」

 

 同盟軍のコヴナントやキメラ、ローカストを見下すような台詞を吐き、即座にシールド発生装置を探した。

 探している間にも、同盟軍の歩兵や兵器、次元ビーコンを守るゴリラ型で大型ゾイドのアイアンコングやローカストの生物兵器「ブルマック」、MSのジンにザウート等の妨害が来るが、マリは回避とシールド発生装置の探索を同時に行い、辺りに目を配る。

 

「うぉぉぉ!!」

 

 背後にいる歩兵の大群に対しては一夏等が対処しており、RPGの弾幕が背後から浴びせられる心配はない。

 

「もう! こいつ等しつこい!!」

 

 まどろっこしいと思ってか、マリは次元ビーコンを守る同盟軍の機動兵器群に対して、全火器を使った反撃を行う。

 ビットを全基展開し、右手のビームライフル、左手のバズーカ、両腰の二門の機関砲を使った一斉射撃だ。

 重装甲を持つアイアンコングも耐えきれるはずもなく、他の機動兵器等と共に大破する。

 障害を排除したマリは各所に設置されたヘルファイア・タレットを回避しつつシールド発生装置の探索を続行。高熱のレーザーを避けつつ周囲に目を配っていれば、発生装置と思われる装置を見付けた。

 

「記憶してと」

 

 複数あると思って破壊する前に記憶し、記憶が完了すれば、周囲にある四台のヘルファイア・タレットを全て潰してからビームライフルを撃ち込み、シールド発生装置を破壊した。試しに次元ビーコンへ撃ち込んでみたが、攻撃は防がれている。ヘルファイア・タレットが配置されている場所を目印に、次なるシールド発生装置の破壊に向かう。

 

『ちょっと! まだなの!?』

 

 通信から鈴の悲痛な叫びが聞こえてくるが、マリはそれを無視してタレットの破壊に専念する。

 シールド発生装置を破壊されたことで敵も焦ったのか、上空よりゾロにディン、バクト、レドラ、サイカーチスを数十機ほど増援として送り込んできた。

 地上からは、MSのジンにグーン、ゾノ、ATのフロッガー、ゾイドのモルガにレッドホーン、イグアン、レブラプターを数十機も投入する。

 流石にマリでもこれ程の数は相手には出来ないが、味方の増援も来た。

 

『これより援護を開始する!』

 

 それは先程の救援として駆け付けたASのM9や戦術機の不知火を中心とした機甲空挺部隊だ。随伴の歩兵部隊もおり、一夏達が相手をしている同盟軍の歩兵の大群に強襲を仕掛ける。更にはバルキリー隊による援護もあった為、シールド発生装置の破壊に専念できた。

 

「これで・・・!」

 

 弾幕を避けつつ、最後の一基に向けてビームを放ったところで次元ビーコンを守っていたシールドは消失した。

 これでもかと言うくらいに同盟軍は次元の彼方から増援を送り込んでくるが、海上の敵をある程度片付けた守備隊の部隊もアリーナの方へ回ってきたので、現れて直ぐに潰される。

 誰かが次元ビーコンに攻撃を加えて破壊したところで、同盟軍は撤退を始めた。

 守備隊も追撃を掛けようとするが、敵はろくな反撃もせずに撤退していくので、深追いはせずにその場に留まった。

 

『敵軍の次元ビーコンの破壊を確認! 敵は撤退していきます!』

 

「これで・・・終わったか・・・」

 

「やっと退いてくれた・・・」

 

 オペレーターからの連絡に、守備隊の将兵等はホッと胸を撫で下ろした。

 

「うわぁ・・・やっと終わった・・・」

 

「もう、こんな事は二度としませんのよ・・・」

 

「流石に、特殊部隊の長である私にも・・・キツイ・・・」

 

 一夏達に関してはバテ気味であり、軍人であるラウラですらこの始末であった。

 無論ながら、守備隊の将兵等の何人かも激戦の緊張感から解き放たれて地に膝を付けているが。

 

「あぁ・・・シャワー浴びたい・・・」

 

 マリも長期の戦闘で疲れ気味であり、地面に着地すれば両手を地面に付けて愚痴を漏らした。

 所々に黒煙を上げるバトルシティの戦闘指揮所の方でも、切羽詰まった緊張感に解かれたオペレーターや管制官達が席を立ち上がり、背伸びをしている。

 

「ふぅ・・・終わった・・・」

 

 レーダー手ですら席を立って離れているので、”次なる脅威”が既に来ていることに誰も気付かなかった。

 その次なる脅威とは、ロキが自ら率いるヴィラン達の事である。

 上空からIS学園に迫るロキは学園の防空警備網が緩くなっている隙を逃さず、一気に速度を上げて距離を縮めようとする。

 

「ククク、奴等目、これで終わりと思っているな・・・! それが命取りよ! このロキが秒単位で制圧してくれよう!!」

 

 同盟軍を払い除けて守備隊が油断している事を良いことに、ロキは即座にIS学園を短時間で制圧すると豪語し、IS学園に奇襲を仕掛けようとした。




戦闘のイメージとしてはトランスフォーマー・ザ・ムービーのデストロン軍団によるバトルシティ強襲シーンをイメージにしてます。

次回は、大体こいつの所為の被害者、ロキさんが登場。

お楽しみに!
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