復讐者の世界周り Weltdrehung des Rächers   作:ダス・ライヒ

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また組織設定に追加しねぇと・・・

それと使い回しが・・・


安全確保

 屋敷の門の前で待つ白い軍服を着て軍帽を被った男が右手に手紙を持って、待っていた。

 白シャツとズボンという簡素な服装に着替え終えたマリが屋敷の玄関から出て来て、門の前で待つ将校から手紙を受け取る。手紙を渡した将校は、マリに向かって左手を挙げて、ローマ式とは違う逆の敬礼をしてから名乗る。

 

「第14番護衛隊所属、郵便係のダカラム・ザラートです。そちらの手紙を届けに参りました!」

 

 敬礼を終えたダカラムは直立不動状態になる。マリと一緒に出て来たメイドがトレーに水の入ったコップを将校に差し出した。

 

「ご苦労様です、ザラート郵便係様。規定により、ここへの男性の出入りは禁止されており、飲み物しか出せませんが・・・」

 

「嫌々、構いません!では、メイド長殿、本官はこれにて失礼いたします!」

 

 将校は敬礼してから、元来た道を戻っていった。メイド長と呼ばれた人物の名はグローナ・マクスウェル。マリが隠居先にしている屋敷で働くメイド達の長を務めるにはいかせん若すぎるが、マリと 同じく何百年も生きており、彼女がまだ”人間だった頃”から仕えている。170㎝ほどの長身であり、それなりの美貌を持ち、腰まで伸びた鬱金色(うこんいろ)の髪が風で(なび)いていた。

 

「フォールド王国?それにモルコッチから・・・?」

 

 手紙を読んでいたマリは差出人のモルコッチとい人物の名を見て、あることを思い出した。

 

「どうしましょうこのコップ・・・飲んじゃおうかな・・・?あれ、お嬢様、どうされたので?」

 

 手紙の符も開けずに差出人の名を見ていたマリは、グローナからの質問に答えた。

 

「昔のセフレ」

 

「昔のセフレって・・・その方と肉体関係で!?もしや脅迫の文章では・・・?」

 

 屋敷に戻るマリに自分の推測を告げるグローナであったが、無視された。数分後、マリはルリと共に食事室で朝食を取りながら手紙の符を開けて中身を確認した。

 反対側に座るルリも、マリが見ている手紙に書かれた文章を見ようとしたが、身長が足りずに見られない。机に上って無理にでも見ようとしたルリであったが、隣にいたメイドに肩を掴まれて、強制的に席へ戻された。

 

「駄目ですよ、ルリお嬢様。作法に詳しい貴女であろう者が、お行儀が悪い」

 

「だって気になっちゃうんだもん」

 

「そんなに気にするなら後で見せてあげるわよ」

 

 マリは手紙を読みながら、我慢できないルリにこう返した。ちなみに彼女が読んでいる手紙の内容はこうだ。

 

 親愛なる元偉大な神聖なる女帝と女性の救世主であられるマリ・ヴァセレート様へ。

 

 最後に会ったのはいつ頃でしょうか?貴女はご自分で生んだ子供達と愛を寄せる自身と同じ美しき少女と永久的に生き続け、初めて私と会った時から容姿など変わっていませんね。

 貴女とは20年以上の付き合いでしょう。元の職場であった木綿工場の帰り道、売春街で酔った貴女を見付けて私の自宅に連れ帰った時から付き合いが始まりましたね。それから貴女は一階の労働者にしか過ぎない私を政治の世界へと導きました。

 政治学校の卒業から今までの生活が一変し、私の支持率が恐ろしいほど上がり、見事国の首相まで上り詰めました。そして貴女の少し暴力的な帝国の女帝をしてらっしゃる一番下の小さな娘さんからこのフォールドを王制にし、言われてから15年でフォールド王国を建国しました。それから毎日頭を悩める日々が続いてます。

 私が三十路手前で貴女は私に永久的な若さと美しさをくれると言いましたが、あの時の私は断りました。

 あれから20年経って、徐々に老けていく自分の顔を鏡で見て、今更ながら後悔しています。貴女の神に等しい能力なら、私をあの時の私まで若返らせる事が出来ますが、なんだか心の奥底で今の自分が気に入ってるようなので、断らせていただきます。

 

 昔話はさて置き、今我が国はピンチです。

 周辺国の新聞で書かれているとおり、我が国防軍の関係者によるクーデターが噂されています。

 私は純粋な平和主義者であり、ある者は私のことを偽善者と呼びますが、そんなことは一切気にしておりません。その所為か、私を一国の王にしてくれた政治学校では軍事関係の事は同級生と比べて少し成績が最悪でした。担任の先生が完璧主義者であれば、私は留年か退学されていた事でしょう。

 この招待状を出したのは、フォールド王国を遙かに巨大な大帝国の元女帝であった貴女からアドバイスを貰うためです。出来るなら私が貴女が居る宮殿に赴きたいのですが、いつ、私から玉座を奪い取ろうとする輩が居て、私が居ない間に平和なフォールド王国が無くなるのではないのかと心配でならないのです。

 失礼ながら貴女にこの王国まで足を運んで貰うことになりました。誠に申し訳ありません。

 心配ならば、マリ様専属の親衛隊を大勢連れてきて貰って構いません。もちろん貴女が愛を寄せるルリ様もお連れしましても構いません。親愛なる貴女のご到着を待っています。

               フォールド王国初代国王 モルコッチ・ローカストより。

 

 読み終えたマリは近場にいたグローナを呼び出し、フォールド王国へ行くと告げる。

 

「そう言えば、今日の予定は無かったよね?」

 

「はい、予定表には何も書いておりませんが・・・」

 

「今日はフォールド王国へ行くわよ」

 

「え、本気で行くのですか?あの内戦寸前のあの国へ」

 

 現状がやや不安定なフォールド王国へ行くと言ったマリに、グローナは真意なのか聞いた。

 

「ねぇ、見せてよ。その手紙」

 

 声を掛けたルリに、マリは手紙もとい招待状を彼女に向けて軽く投げた。飛ばされた招待状を満足に受け取ることが出来ず、額に当たった後で、ようやく受け取ることに成功する。

 招待状を読んでいるルリを他所に、マリとグローナは再開した。

 

「行くわよ、本気で」

 

「ですが・・・現在中央大陸には巨大な新興宗教団体、ムガル教団の武装蜂起が相次いでおり、それに乗じてマリアーゼ様のインペリウムの傀儡政権に対しての不満やクールラント連邦、ワルキューレの駐留軍に対する武装組織のゲリラ的攻撃も相次いでおりますし、さらには現地軍のクーデターも噂されていており、治安が乱れてとても危険な場所です。ただでさえ、ローカスト王政の平和主義国家に対する軍や右翼系組織の反発も強いですし・・・護衛総隊長様に頼んで、全護衛17番隊と全近衛兵師団の投入、それと全ての直属の騎士団に出撃を命じて、大陸の治安が安定されるまで待った方が・・・」

 

「それじゃあ、早くて二週間くらいの時間が掛かっちゃうじゃない。直ぐに出動できるヒメユリかクロユリ、あんた等メイド部隊で十分よ」

 

 グローナはマリが今も抱えている全戦力の投入を進言したが、マリは「直属の二騎士団と護衛部隊のみで十分」と答えた。

だが、グローナは食い下がらない。

 

「でも、用心で居ていた方が良いですよ。この前なんて十万くらいの大軍に囲まれちゃって、騎士団に死傷者が沢山出ちゃったし・・・」

 

「そうね・・・ワルキューレに部隊増勢を頼んで、護衛隊のその手に詳しい奴でも送って、中央大陸を落ち着かせようかしら?」

 

「ありがとうございます!では、早速エンゲラート様に頼んできますね!」

 

 マリが言った提案に、グローナは喜び、お辞儀してから食事室を出た。彼女は朝食の席に戻り、食事を再開した。

 一方その頃、マリの護衛17隊総本部の執務室にて、グローナの連絡を受けたエンゲラートと呼ばれる老婆は、マリの屋敷で働くメイド長からの要請を聞いた。

 

「何奴じゃ?」

 

『第9番隊メイド部隊隊長グローナです。部隊派遣要請して良いですか?』

 

「で、派遣先は何処じゃ?」

 

 受話器を首に挟んで、左手でメモを取り出し、右手で老婆とは思えぬほど器用に万年筆の蓋を外し、派遣先を聞く。

 

『中央大陸のフォールド王国です。制圧・殲滅戦の専門家の派遣を願います』

 

「フォールド王国に派遣じゃと?では、安全が確保されるまでマリに、直属の小娘共の陣で待つように申せ」

 

『分かりました。マリお嬢様にはそう告げます』

 

「もう用が済んだな?では、切るぞ」

 

 メモに派遣先を書いた後、受話器を戻し、執務室から出て、エンゲラートは中央を開けるかのように並べるように置かれた通信機器の前に座るカーキ色の軍服を着た集団に告げる。

 

「お前等、マリ様からの任務じゃぞ。4番隊強襲部隊、6番達偵察部隊、7番隊空挺部隊、11番隊コマンド部隊、13番隊駆逐部隊、第1~6近衛兵師団に伝達。フォールド王国へ安全確保の為に派遣を命ずると」

 

 それを耳にしたエンゲラートの配下の通信兵達は一斉に立ち上がって、敬礼した後、命令を宛先の部隊へ伝達した。

 出撃命令を受けた各部隊は秩序が保たれていない中央大陸の旧ムガル帝国の帝都が存在した場所にあるフォールド王国へ向かう為、地形の把握と装備の準備を行い、それが終われば、仕える主君の安全確保の為に輸送船や輸送機に乗って中央大陸へと向かった。

 主君の安全確保の為に向かった制圧部隊が行き先である中央大陸の治安は保たれていない。

 各地でムガル教と呼ばれるこの世界ではとうの昔に滅びた大帝国を再興させようと、武装蜂起を行う巨大なカルト教団、外国や彼等にとって実態の分からない軍事組織の駐留軍に対するゲリラ攻撃やテロ攻撃を行う武装集団、そして今の政権を余りよく思わない各現地軍のタカ派に右翼組織。かつてムガル帝国が存在した中央大陸は、それら今の政権に不満を持つ者やムガルを再興しようとする者達によって混沌の地と化していた。

 そんな地獄へ辿り着いたマリの先兵達は、主君の安全確保の為、早速行動を始めた。先に攻撃するのは第7護衛空挺部隊だ。

 

『こちらロギンネス、目標AZE0に後100メートル。敵警戒ラインに到達、各自対空放火に警戒せよ!』

 

『ホワイト1、目標を視認。サーチライト並び対空砲を確認した。地対空ミサイルは見られない』

 

『よし、ホワイトチーム各機へ。敵拠点にある全ての対空火器を見付け次第撃破せよ!』

 

了解(ラジャー)!』

 

 空挺兵を乗せた複数の輸送機の前を先行する4機のハリアーⅡは、複数の輸送機の真ん中に居る民間機ガルフストームG550をベースにしたイスラエルの早期警戒機G550CAEWから指令を受けた後、攻撃に向かった。

 警報が鳴り響き、直ぐさま対空砲の弾幕が始まったが、全くハリアーⅡには当たらない。敵が使っている対空砲はボフォース40㎜機関砲で、戦後型の70口径長砲身化された現在でも現役な機関砲だが、ハリアーⅡのパイロットがベテランなのか、何かの妨害対策でもしているのか、全く当たらず、25㎜機関砲ポッドの単発で次々と潰されていく。敵拠点各地で火の手が上がる中、なけなしの小火器による対空射撃が行われる。

 

『もう少しで降下地点だ!各小隊は装備の確認(チェック)を行え!』

 

 早期警戒機に乗る7番隊隊長グーグリアンの指示により、歩兵一個小隊分が乗っている輸送機の機内にて、搭乗した空挺兵達が装備の確認を始める。

 装備の確認を終えると、上官に向けて報告し、その上官が早期警戒機にいる7番隊隊長に無線機で報告した。

 

「こちらヤーコフ小隊、装備に以上はありません!」

 

『よし、レッドがグリーンになるまで待機だ!』

 

「ラジャー!」

 

 ヤーコフ小隊の長は返答して受話器を戻した後、肩に掛けてあるAKS-74の安全装置を外した。

 

『こちら機長、降下地点まで後僅かだ。後部ハッチを開ける。ライトが緑に光るまで飛び降りるな』

 

 機長からの報告が終われば、後部ハッチが開かれ、外から聞こえる騒音が機内に入ってくる。その時、降下地点まで近付いた証拠であるグリーンライトが光った。

 

「グリーンライトだ!飛び降りろっ!!行け、行け(ダバイ、ダバイ)!!」

 

 小隊長が外の騒音に負けないような声量で命じ、それが耳に入ったAK系統やM16A2のカービンタイプであるM727を持った空挺兵達が、開かれた後部ハッチから次々と飛び降りていく。その数は600以上であり、一個大隊分の人数だ。

 地面に着地した兵士達は周囲警戒をした後、4機のハリアーⅡに襲われている敵拠点に向かう。周囲に銃を向けながら拠点に近付くと、M727を持つ先行した兵士が双眼鏡を取り出し、慌てふためく敵兵達を観察する。

 だが、その兵士は敵兵が着ている服が軍服ではないことを疑問に思う。近付いてきた上官にその事を報告する。

 

「隊長、ここは軍の右派の兵士が居る筈ですが、居るのは武装勢力の民兵だけです」

 

「なんだと?情報ではスルキア国防軍の一個歩兵連隊が陣取ってるはずだぞ。どうなっているんだ?」

 

 部下からの報告に上官は疑問に思ったが、相手が排除すべきリストに入っていた為、攻撃を命じた。降下前に予め分解していた組み立て式の迫撃砲や無反動砲、重機関銃が組み立てられ、攻撃に適した位置に配置され、大隊長からの攻撃を待った。

 上空で暴れ回っていたハリアーⅡが去った後、大隊長は攻撃の合図を送った。

 一斉に重機関銃の銃声が鳴り響き、無反動砲に搭載された榴弾が拠点に向けて放たれた。迫撃砲の攻撃も始まり、拠点に居る民兵達は次々と見るも無惨な死体に変わっていく。重火器の攻撃が終わると、空挺兵達の突撃が開始される。

 僅かに残った民兵達が雑多な銃器で抵抗を試みるが、相手が高度な訓練を受けた兵士である為、立ち向かっても撃ち殺されるのがオチだった。

 周囲に四方が引き千切れた死体や元の姿を想像できないほど酷く損壊した死体が転がっている。ハリアーⅡが取りこぼした機関銃陣地が残っていた為、それを目撃した空挺兵が叫んだ。

 

「機関銃陣地が生きてるぞ!直ぐに何処かへ隠れろ!!」

 

 その叫びの後に、味方の兵士が一人負傷し、全員が今いる場所に伏せて、弾幕から身を隠す。迫撃砲の砲撃が再開され、何発か外れて周囲にいる兵士達が砂を被ったが、一発の砲弾が機関銃陣地の真ん中にピンポイントで命中した。

 命中した砲弾は白燐弾であり、焼夷効果で中にあった弾薬が爆発し、中から全身に炎を纏った民兵達が、悶え苦しみながら出て来る。それを見ていた空挺兵達は、白燐弾は絶対に食らいたくないと思うのであった。

 

「ハリアーのパイロットと、白燐を撃った迫撃砲分隊の奴は戻ったらぶん殴ってやる」

 

 一人の兵士は悪態付きながら遮蔽物から身を出すと、敵拠点の完全鎮圧に向かった。

 その後、敵拠点は物の数分で鎮圧され、武装勢力の指揮官らしい人物を3人ほど捕虜にし、陥落した敵拠点は後続の現地軍の部隊に任せ、仮拠点にした近くの廃墟にて、尋問を始める。

 

「どうだ。あの拠点にいた民兵組織のリーダーは吐いたか?」

 

 7番隊隊長であるグーグリアンが、尋問官に代わりの部下に問う。

 

「駄目です。元から居た連隊の奴らは行き先も告げずに拠点を明け渡したそうです。装備の殆ども持っていたそうです」

 

「民兵組織は囮か・・・やれやれ、姫様や女共にどやされるな・・・」

 

「はぁ?はぁ・・・」

 

 グーグリアンが放った言葉に部下は理解できなかった。そんな中、もう一人の部下がグーグリアンに連絡に来る。

 

「グーグリアン隊長、6番隊隊長からの通信が入っております」

 

「ん?ローンの奴か。受話器を持ってこい!」

 

 報告を耳にしたグーグリアンは、部下に受話器を持ってくるよう伝えた。通信兵が持ってきた受話器を受け取り、耳に当てながら煙草を咥えた。

 

「ローンか。どうだ、何か出て来たか?」

 

『何も出ないさ・・・襲撃した軍の基地には軍人の一人も居ない、居るのは民兵や新興宗教の狂信者共だけだ。装備もコピー品や密造銃ばかり・・・なにかあるんじゃないのか?』

 

「あるに決まってるだろう、駐屯してるワルキューレの連中にもやらせているが、相手はいずれも兵隊もどきの民兵ばかりだ」

 

 煙草に火を付けて、煙を吸って吐いた後、向こう側の人物に告げた。

 

『そちらも民兵か狂信者相手だったのか?』

 

「そうだよ。永遠の命を貰って、それで姫様の護衛部隊に入ってから、最近はそんな連中の相手ばかりだ。もう軍人と傭兵と()りあったのは10年以上前のことだぞ。俺の兵隊共も手応えのある奴と戦えると喜んでいたが、今はすっかりダウンだ」

 

『俺の所でもだよ。ワルキューレに鞍替えでも・・・あ、それじゃあ姫様に殺されるな・・・では、こちらは引き続き掃討を続ける。そちらも頑張れよ、グーグリアン!』

 

「よし、俺の方でも敵が居なくなるまで掃討を続ける。あばよ、ローン」

 

 受話器を戻した後、短くなった煙草の火を灰皿で消し、立ち上がって指示を出した。

 次の日も中央大陸の反政府組織、武装勢力、テロ組織、極右組織の掃討が続けられた。今日はインペリウムの掃討戦のスペシャリストであるローデアン・ベビン・アーバクロンニーが指揮を取る。

 

「街全体が反政府勢力の拠点になってるな・・・こういう時の場合は爆撃が一番だ」

 

 司令部代わりにされている洋館の一室にて、目の前に広げられた中央大陸に示された街に指を差し、爆撃機の模型を反政府勢力の拠点とされる街の上に置く。

 

「閣下、市民も巻き沿いにするのですか?現地軍はおそらく反対すると思いますが・・・」

 

 副官の男が異を唱えるが、ローデアンは副官の顔を向いてフォールド王国の上に置かれた複数のワルキューレの人形に指を差す。

 

「何の為にワルキューレの部隊があれ程駐留していると思っている?」

 

「閣下は現地軍を戦力外と仰るので?」

 

「その通りだ、連中は今の今まで戦争など知らなかった連中だ。それに何時敵側に寝返るか分からん。皇帝陛下の中央大陸占領計画には苦労させられる。飲むか?」

 

 グラスにワインを注ぎながら副官からの問いに答えた後、副官にワインを進めた。副官もグラスを取って、ローデアンに注いで貰う。

 

「そう言えば、陛下の母であるヴァセレート様が、フォールド王国の女王と会談するのが決まったらしいです」

 

「ご苦労なことだ、わざわざ魔女の鍋の中に入るとは。そのフォールド王国の女王は平和主義者で反戦主義者だそうだな。馬鹿な女だ、完全平和国家など掲げおって。そんな国が存在したら今頃植民地だ。その女の配下の連中が我々の手駒として動いてくれるのは助かるがな」

 

「国民の大半は女王の軍廃止に賛成だそうです。一部の軍関係者や右派陣営から猛反発を受けてますが。うちの言いなりやマスコミが黙らせてます」

 

 それを聞いたローデアンは鼻で笑った後、地図に目を向けた。

 

「フッ、金を掴ませれば楽な物だ。政治の話はさておき、今は目の前にいる客人の脅威を排除すべきだ。爆撃機一個中隊をワルキューレから借りるぞ、機首はB-52だ、無ければB-17でもB-29でも構わん。直ぐに発進して、街の巣を張る蛆虫共の上から爆弾の雨を降らせろ」

 

「分かりました、直ちに掛からせます。まだ、反政府組織は残ってますが?」

 

「それに適した専門の部隊が居るだろう。彼等に排除を任せる」

 

「ハッ。では、失礼いたします」

 

 敬礼した副官は、命令書の作成の為に部屋を出て行った。

 数時間後、ローデアンの指令通り、近場にあるワルキューレの航空基地からB-29一個中隊分が護衛戦闘機を随伴して目標の街に向け出撃。55分後、爆撃隊は目標の街に到着。街中に隠されていた対空砲が上空へ向けて一斉に放たれたが、B-29と随伴戦闘機が射程圏外に飛んでいる為、無駄弾であった。

 彼等の頭上に何百物の爆弾がばらまかれ、街に拠点を築いていた反政府組織は反政府思想に染まっていた街の住民達ごと爆撃を受けた。

 次に11番護衛隊強襲部隊を含めた制圧部隊が空襲を受けたその街に突入し、抵抗する者は全て殺害し、生き残りの者達を一人残らず捕らえる。

 

「これで生き残りは全てです。軍人も元軍人、傭兵すら居りません」

 

 空襲の影響で、瓦礫や焼死体が溢れる広場に捕縛されて集められた民兵や敵性市民をこの作戦の指揮官であるローデアンに告げる士官。副官と共にヘリで現地へ赴いたローデアンは、その士官と共に辺りの参上を見ながら捕縛された捕虜に近付く。歩きながらローデアンは士官に問う。

 

「リーダーは捕らえて吐かせたか?」

 

「いえ、こいつ等も制圧した拠点で捕らえた者達と同じく知らないと申しております」

 

「シラを切ってるんじゃないのか?」

 

 一緒に来ていた副官が、報告する士官に話し掛けた。

 

「はぁ・・・魔術師も呼び寄せて、嘘をついているか調べましたが、どうやら本当のようです」

 

「本当なのか・・・反対勢力は使い捨てるほど戦力が余り余っているという訳か・・・」

 

 副官がその答えに驚いた後、ローデアンは一人の捕らえられていた女性に近付き、顎を掴んで女性の顔を見た。

 

「殺すには惜しい顔付きで、連れて行きたいが、後が怖い。捕虜を全員殺せ」

 

「は・・・?彼等をこの国の正規軍に押し付けるのでは?」

 

 ローデアンの命令に副官は疑問に思うが、彼は女性から離れて答える。

 

「折角連れてきた近衛兵の連中に弾薬を消費して貰わんとな。それに敵性市民には女子供も居る。これが私の優しさだ」

 

「あ、ハッ!直ちに掛からせます!近衛兵!!全員集まれぇ!!」

 

 その命令に副官は従い、周りに居た将校にマリの近衛兵達を集めてくるよう指示を出す。

 数分もしない内に黒い軍服に身を包んだ女性兵士がHKG41を持った広場に集まってきた。まだ残っている大きな建築物の壁に並べられた敵性市民や民兵達の前に一列で並んだ後、手に握る突撃銃の安全装置を外した。

 

「構え!」

 

 近衛兵の士官の怒号で銃口を市民や民兵等に向ける近衛兵達、引き金に指を掛け、将校の合図を待つ。

 

「撃て!」

 

 将校の指示で一斉に銃声が鳴り響き、並べられた者達が一斉に堅い道路に倒れた。

 

「よし、次だ。そこへ並べ!」

 

 装甲車の上に立つ将校の命令で、次に銃殺刑に並べられる人々が、処刑場に並べさせられた。その二日後、中央大陸の治安が回復し、マリ達が居る屋敷に報告が入った。

 

「報告です。中央大陸の安全は確保したと」

 

「そう。じゃあ、行く準備を・・・」

 

 メイドからの知らせで出かける準備をしようとするマリであったが、門が強引に開けられる音が耳に入り、そちらの方へ振り返る。

 

「あ、ヤリマン・・・!」

 

「シューベリア様ですか・・・?」

 

 庭の方を見てみると、大きめの鞄を持った帽子を被った桃色の髪を持つ女性が、その特徴的な大きい胸を揺らしながら玄関に向かっていることが分かった。

 門はやって来た門兵に締められ、その女性、シューベリアが玄関のドアを開けて屋敷に入る。マリは頭を抱えながら、シューベリアを迎えに行った。

 

「あ、マリちゃん。ただいま~!」

 

 階段から下りてきたマリを見るなりシューベリアはルリを抱き締めながら、彼女に視線を向けた。

 そのマリよりも大きな胸には抱き締められたルリの顔が押し付けられており、苦しそうだ。直ぐにマリはシューベリアからルリを取り返し、抱き抱えて彼女に視線を向ける。

 

「そんなに警戒すること無いじゃない、まだ誘っても居ないのに。なんだかごたごたしてるようだけど、何処かに出かけるの?」

 

「あんたみたいなド腐れビッチには関係ないの!」

 

「もう・・・ツンデレなんだから・・・昨日は少しヤリすぎたから、僕はもう休むね~」

 

 ルリを抱えながら警戒するマリに笑顔で答えた後、シューベリアは彼女等を避けて階段を上がった。マリにとって少々な危険人物が去った後、ルリを降ろした。

 

「絶対何十人の男とやってるわ・・・」

 

「魔族だから妊娠しないのが奇跡的だね」

 

 ルリが言った言葉は本当だ。シューベリアは魔族で、しかも魔王の娘なのである。

 その出会いは、マリがまだ人間だった頃で、魔王城突入時であり、彼女が勇者一向に犯されたいと生まれ付きある性癖で興奮して、自分の部屋で待っていた所、偶然にも同姓であるマリが部屋を訪れ、彼女に必死で願って寝屋を共にした。

 それ以降、しつこくマリについていき、人間を止めた後でも金魚の糞のようについてきた。途中でマリが他の女性と性行為をしている所を目撃し、構って貰いたくて男と性行為したが、彼女は相手にしなかった為、娼婦になった時もあった。

 たまにマリが相手されない時は、経験の無さそうな男女や修羅場を潜り抜けた者を探して、街に赴いて手当たり次第に誘惑している。

 

「あの腐れビッチが寝ている間に済ませるわよ」

 

「私は別に連れて行っても良いと思うけどな・・・」

 

「馬鹿、あんな奴連れてったら不味いことになるでしょうが!」

 

「え、そうなの?じゃ、着替えてくるね」

 

 そんなシューベリアに気付かれないように、マリとルリは出掛ける準備を速やかに進めた。




次はカオスになると思います。

なんか、主人公がアレだし・・・そう言う作品だからコメントも来ないから殆ど見てないんじゃ・・・

感想、お持ちしております。

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