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では、第十二話、スタートです!
少女はしばらく黙っていたがやがて口を開いた。
「貴方何者? 人間でも精霊でもないわよね?」
「……良く分かったな、それで、俺は一体どうすればいいんだ?」
「まず、武器になりそうな物を全部地面に置いて。後、能力も使わないで」
まぁ、当然か……彼女にとっての俺は、いきなり来たが、今まで見た事もない不気味な奴なのだろうから。
「分かった」
次の瞬間、俺はまた闇に包まれた。やはり何も見えない、碧愛達もそれは同じだろう……
「アハハハハハハハ!!」
……ん? 何故笑い声が聞こえるんだ? 碧愛達も何も見えないはずなのに……まさか少女と意気投合でもしたのか?
「ねぇ、ラティスのも消してあげてよ」
碧愛の声でそう聞こえた。すると少女は首を横に大きく振り、こう言った。
「嫌よ!こいつ、得体が知れないもの!」
まぁ、予想通りか……俺が納得している間にも、彼女は続けて言う。
「貴女達とは遊びたかったからいいけど、こいつは……こいつは嫌!」
……何か妙だ。俺は彼女にはまだ何も話していない。それなのに何故、俺の正体がこの世界の者ではないと分かったんだ?
「何故、俺が人間じゃないと分かったんだ?姿はしっかりと人間のはずだが…?」
すると少女は、俺の闇を少しずつ消しながら、ゆっくりと歩いてきた。だが、彼女の目や表情が、今の俺の目にも分かる程に、敵意が剥き出しにしている。
「この世界の生物の力には一定の流れがあるの。多分、他の世界があるとしても、この法則は大して変わらないと思う。
例えば人間だと、当然だけも心臓から全身に血液と力を、精霊とかは心臓の代わりに
それなのにこいつは、何故だか分からないけど、心臓と核の両方があって、全身から中心に向かって力が流れてるの」
これだけの事を理解している彼女を、どうやら見かけ通りに判断するのは無礼なようだ。
しかしこの少女は、俺を見て一瞬でそれを見抜いた。彼女の観察力には感服する。しかし、俺は皆とは力の流れが逆なのか……心当たりがない訳でもないが。
少女に言われて思い出したが、俺はこの世界に来てすぐの頃は、身体が妙に重く、呼吸も苦しかった……
しかし以前、マゴトがこちらの世界に来た時には、奴は普通に活動していた。あの後、青年にアドバイスをもらったのだから。
成る程……俺がこの世界に適応するのに時間が掛かったのは、俺の体質のせいでもあるのか。単に空気中の魔力の濃度の違いだけではなく。
この体質は、向こうにいた時に初めて行った身体検査の時に知った。俺のこの身体は、魔界でもかなり珍しいケースの様で、他には誰もいなかった。
しかし俺は、この体質だからなのか、皆とは違って魔法を全ての属性で十全に使う事が出来る。だが俺は、皆とは今更ながらに考えてみれば、魔法の使い方が違っていたのだ。
皆は自分の魔力を身体の中に放出する事で魔法を行使している。しかし俺は、皆とは逆に自分の周りに満ちていた大気中の魔力を吸収して、魔法を行使する。
そのため俺は、皆とは違ってエネルギー切れがないため、高威力の魔法を連続して放つ事が出来たのだ。
しかし、この世界ではそれがものの見事にデメリットになってしまっていた。
しかし俺は、自分の体質の事は誰にも話した事はないのだ。向こうに残してきてしまった、自分の家族にすらも。
故にこの少女の力に柄にもなく驚いてしまったのだ。
しかもこの少女は、自身の能力である闇で敵の視覚を封じて、相手力の流れを読んで、その
敵に回すのは実に惜しい……こんな才能を持った者達と真っ向勝負など、正直な所、考えたくもない。
そんな事を考えていたのだが、気付くと皆に周りから顔を覗き込まれていた。
「おい皆、どうしたんだ?」
すると碧愛が皆を代表するように声を上げる。
「だって、影葉ちゃんの話を聞いてから急に黙り込むから……」
他の皆がうんうんと頷く。どうやら俺は、人から向けられる感情に鈍感な所がある事を、今学んだ。
「そうか……それは悪かった。それで、影葉というのは誰だ?」
「私の名前。
と少女は相変わらずこちらを睨みながら名乗った。
「そうか、俺の名はラティスだ。よろしくな、影葉」
影葉は睨む力を一層強くしたが、とりあえず俺は影葉に自らの事情を話した。
「ふ~ん……で、その元の世界とやらに戻る方法は決まってるの?」
うっ、痛い所を突かれたものだ……しかし隠しても仕方がないので、正直に答えた。
「実はその方法も探している最中なんだ……」
すると影葉は、顔を怒りで赤く染め、俺に怒鳴ってくる。
「はぁ~!? 戻り方も分からないの!?」
随分な物言いだが、仕方がない。俺は今回が初めての世界なのだから。言い訳にしか聞こえないだろうが。
しかし、こんな事を言うからには、手掛かりは持っているかも知れないので一応聞いてみた。
「もし、戻り方を知っているのならば教えてはくれないだろうか?」
影葉は少し考え込むと、控えめにこう言う。
「自信はないけど……もしかしたらよ? もしかしたら出来るかも……」
「何!? それは本当か!?」
「ちょっ! ちょっと! そんなに騒がないで!」
「ああ、すまん」
…やっと手掛かりを掴んだと思い、ついつい興奮してしまった。すると影葉は呼吸を落ち着けて、再び話し始めた。
「私、良く人間の街に行くの。そこに行くのに闇を通って行くんだ、すぐに目的地に着くし、そこで可愛い服とかを買ったりするんだけど……って話がずれちゃった」
「気にするな、続けてくれ」
「う、うん。それでね、私の能力は夜に高まるの。それを上手く利用して、尚且つ誰かの力を借りれれば……」
影葉はこう言う。確かにその方法なら、もしかしたら魔界に渡る事が出来るかもしれない。
これで皆を……向こうに残してきてしまった皆を救える……そう思った俺は、気付かずに焦っていた。
「よし、試してくれ! 誰の力なら使えそうだ?」
「わっ、分かった。え~と、私は妖怪だから、同じ妖怪の力が使いやすいと思う」
妖怪というと、俺達の中には暁しかいない。申し訳ないが頼むしかない。
「暁、頼めるか?」
すると暁は嬉しそうに笑い、
「良いよ! 協力するって言ったしね! ただし、後でお酒を買って貰おうか?」
と言って、もう一度俺の方に、満面の笑みを送った。俺は頷いて返すが、正直それを買える金があるかも怪しい。この事は黙っていよう。
「始めるわよ」
「いつでも良いよ!」
影葉と暁の声が、静かな夜の平原に響く。影葉が集中し始めると、彼女の前方に闇が集まって来た。
「今よ! 妖力を放出して!」
「了解!」
暁が闇に向かって妖力を放出した。しかし、まだ次元が歪んでいない。
「まだ力が足りないの……?」
影葉が悲しそうに言った。これで……これしきの事で終わらせるものか! あそこには、まだやり残した事がある。
「俺の力も使え!」
俺も今、使える限りの魔力を闇にぶつけた。すると、闇が少しずつだが膨張していく。
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
闇が一瞬、激しく輝くと次元の歪みが発生していた。しかし、徐々にその歪みは範囲を狭めていく。
「時間がないわ! 早く……!」
影葉が次元の歪みを維持しようと耐えている。彼女の負担を少しでも減らせる様に皆には先に向こうへ行ってもらった。
「皆、先に行け!」
「「「分かった!」」」
彼女達が歪みをくぐるのを見届け、俺と影葉が最後に残った。俺が残った理由は影葉を連れて行くためだ。
「影葉!一緒に行こう!」
すると影葉は一瞬、驚いた様な顔をしたが、首を横に振って、拒否の気持ちを示す。
「嫌よ! そんな危なそうな所! それに私が離れたらこの歪みが閉じちゃう……!」
しかし、これで引き下がる俺じゃない。仲間としても必要なのも事実だが、彼女がいなくなって、碧愛達の悲しむ表情を見たくない。
「お前が必要なんだ! 来い!」
「あっ……ちょっ!」
俺は影葉を歪みの中へ、強引に引きずり込んだ。入った時にかなりの負荷が掛かったせいで影葉は気絶していた。
俺も少し動きずらかったが、一度経験していると意外と慣れるものだ。
俺は影葉を抱き上げ、歪みの中を走っていった。歪みの中は薄暗かったが、悪魔の目にはこの位の暗さならば見通す事が出来る。
俺は歪みの中を走りながら、奴の事を考えていた。魔王、ルシファーの事である。
待っていろ……お前の邪悪な遊びもここまでだ……!お前の思い通りにはならない事を、思いしらせてやる。
ここまで戻ってきた理由を改めて振り返り、俺は影葉の身体を離さないように抱き抱え、歪みを抜けていった……
いやー、一章が終わりました!書いてみて改めて自分の作品見てみると意外と書いていなくて自分でとても驚きました。とりあえず、1月までは続けていきたいと思っておりますので、これからも応援を宜しくお願い致します!