では、どうぞ!
「漸く会えましたね……ルシファー」
「べリアル……」
この時、俺はダーインスレイブが折れたため、正気に戻っていたが、今、目の前にいる二人の間に渦巻く空気を感じれば、恐らくたじろぐだろう。
「ルシファー、貴方は昔と全く変わっていませんね。自分の息子を愚物と言い捨てた挙げ句殺すとは……彼に愛はなかったのですか?」
べリアルがルシファーに問い掛ける。するとルシファーは鼻でそれを嗤い、言った。
「愛?そのようなものが一体何の役に立つと言うのだ?奴は我の
所詮奴はその程度の脆弱な存在だったという事だ。
それとも貴様は使えぬ物をいつまでも大事に持っていると言うのか?」
俺はルシファーの言葉に耳を疑った。パイモンは確かに、自分だけの力では出来る事は少なかった。だが、あの万物を操る事が出来る奴の魔法は凄まじい。
あの使い方に賛同は出来なかったが、俺にはその恐ろしさが良く分かっていた。
そして、そんなパイモンを始めとした候補者達、アリトン、アスモデウス、ベルゼブブ、オリエンス、アスタロト、アマイモン、マゴト……彼等全員を一度負けただけで使えないと判断し、殺したルシファーの思考は俺には理解出来なかった。
「そして、今はそのような
べリアル、再び我に手を貸せ。神を……奴を滅ぼす準備は整っている。後は邪魔な天使どもを蹴散らす者がいれば良いのだ……」
「お断りします。
確かに昔は悪行の限りを尽くし、皆から忌み嫌われた私です。貴方を
そして、貴方の側を離れてすぐに捕らえられ、数千年の時を次元の狭間で過ごして分かったのです。
自分がなんと愚かだったのか。
自分がなんと
そしてもうそんな愚かな、人に不幸だけを振り撒く事はしないと誓ったのです!」
べリアルがそう言い終わった瞬間、ルシファーの全身から再び光が発せられた。
「貴様も弱くなったか……
ルシファーの光が集約され、べリアルの方に向いた。しかし、べリアルはその光の方向から逃げない。その光に当たれば、一瞬で消えてしまうと言うのに。
「べリアル、逃げろ!!!」
俺がそう言うと、彼はこちらを向き、笑った。
「大丈夫。見ていて下さい」
次の瞬間、彼の周りに薄い膜のような透明なバリアが形成された。そのバリアにルシファーの光が触れると、その光は瞬時に消え去った。
しかし、彼の顔が
その時、この場にいる三人の目が碧愛の方に向いた。すると三人の目に、己の目を疑うような光景が飛び込んできた。
パイモンによって傷つけられたはずの碧愛の首の傷が凄まじい速度で再生しているのだ。
既に渇いているはずの彼女の血も、みるみる内に赤黒い傷口に吸い込まれていき、やがて傷は跡形もなく、完璧に消えた。
「ふ……くははははは!!!漸く……漸く見つけたぞ…この娘が『ラファエル』の生まれ変わり……これで奴を滅ぼす道がまた一つ楽になった……」
俺はルシファーの言った言葉を信じる事が出来なかった。碧愛は人間のはずなのだから。
「ラファエル……そんなはずがない!彼女は……碧愛は人間だ!」
しかし、ルシファーは俺の言葉など全く気にも止めずに、碧愛の元へと歩いていった。そして意識のない彼女の身体を魔法で浮かべた。
「この娘は貰っていくぞ。礼を言おう、よくぞこの娘を我の元へ連れてきた。これで神が玉座を譲る日が近くなった。
その働きに褒美として貴族の地位と土地を与えよう。名を名乗れ」
「そんなものは要らない! 碧愛を返せぇぇぇ!!!」
俺は碧愛を取り戻そうと、デュランダルをルシファーに向けて飛び掛かっていった。しかし、ダーインスレイブを使った事で、身体が限界をはるかに超え、言う事を聞かなかった。
「ふむ、我に歯向かう愚か者か、貴様も。そうか……ならば!」
ルシファーの手が眩く輝き、俺の右足を瞬時に切り裂いた。
「追って来れぬように足を切断してやろう。光栄に思うが良い、平民如きが王の為に、自らの足を差し出せると言うのだから」
俺の右足を見ると、その傷口から赤黒い血が絶えず流れ出し、自分の周辺をその色で染めていた。
そしてさらにその傷口から、何かが侵入して来るような強烈な不快感が俺を
「うわああああああ!!! うぐっああああああ!」
「ラティス! 落ち着きなさい! ルシファー、彼に何を!」
「くはははははははは!
そしてべリアル、貴様も老いたものだな、我の力を完全に防げぬまで衰えたか。殺し損ねたが、まあ、これも些事。
さらばだ、べリアル。そして……
そしてルシファーと碧愛は光に包まれ、目を開けると跡形もなく消えていた。
「ぐうぅ……くそぉ! また……俺は仲間を……碧愛を守れなかった……! ……くそぉ!!!」
俺が悔しさのあまり叫んでいるとべリアルが、俺に言った。
「悔しがっている時間は残念ながらありません。すぐに君と、君の仲間達を安全な場所で治療しなければ」
「碧愛を……助けないと……!」
俺がこう言うと、べリアルは首を横に振る。
「今の君では万に一つも勝ち目はありません。そして、ルシファーは彼女を生け
俺はべリアルの意見に言い返す事が出来なかった。そしてべリアルは一つの鍵を取り出し、空へ掲げた。すると、白い大きな門が出現した。その門は
「さあ、行きましょう」
「どこへ……?」
俺が問うと、戦いが終わって初めて、べリアルは笑みを浮かべ、そしてこう言った。
「『天界』。神や天使達が住まう楽園です」
そう言い終わるとべリアルは、動けない俺、暁、影葉、ティア、エルを魔法で浮かべ、門の向こうへと進んでいった……
どうでしょうか?あまり良い作品ではないでしょうが私の趣味が沢山詰まっています。
今回も読んで頂きありがとうございました!感想や御指摘があればよろしくお願いします。