後継者達と世界の運命   作:AZΣ

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お久しぶりです!いやー、喰種の方に人気が出て来てとても嬉しいですよ、こっちも見て頂けると嬉しいですが……こちらも少しずつ頑張ります!


第三章 天界
第1話-天に住まう者達との邂逅


「ラティス」

 

俺達を魔法で浮かべているべリアルが、突然声を掛けてきた。

 

「何だ?」

 

「少し動かないで下さい、やる事があるので」

 

やる事? 一体何を……

 

俺が考えているとベリアルは俺の前にしゃがみ、魔力を集中させ始めた。

 

すると俺の右足の傷口から、彼の魔力が流れ込み、足の中の不快感が薄れていった。そして、そこからさらに義足を作ってくれた。

 

そして、同じように、暁達の怪我にも魔力を流し込んで、傷を防いでくれた。

 

「これでよし……歩けますか?」

 

彼の肩を借りながら、少し動いてみた。……どうやら歩くぐらいは出来そうだ。

 

「ありがとう、何とか歩けそうだ。暁達の怪我の応急措置まで……

ルシファーの闇も消えたのか?」

 

「あくまで短時間ですが、抑えています。しかし、消すまでは私の力では出来ません。天界に行けば消えていくはずです」

 

「すまないな、何から何まで……」

 

「いいえ、私に出来る事をしたまでで……後は神に任せるしかありませんから」

 

「神がいるのか? てっきりおとぎ話の中だけかと思っていたのだが……」

 

俺がこう言うとベリアルはとても可笑しそうな顔をした。何故笑うのかと俺が不思議に思っていると、彼は笑いながら答えた。

 

「はははははは………悪魔がいるのですから、神だっていますよ!ははは……」

 

「そ、そうか? これから本当に、その神の世界に行くのか……」

 

緊張はするが、ルシファーを倒さなければ、碧愛を救わなくてはならない。そのためなら、奴の情報は何でも欲しい。

 

歩けるようになった俺は、ベリアルとともに、次元の狭間を抜けた。

 

狭間を抜けると、ここの景色の輝きのあまり、目が(くら)んだが、しばらく経つと景色がはっきりと見えてきた。するとベリアルが言った。

 

「私は彼女達を治療が出来るところに運んで来ます」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

俺は彼の好意に素直に甘え、彼女達を運んでもらう事にした。

 

本当は自分で彼女達を運んであげたかったが、このボロボロの状態では出来ない事は自分でも分かっていた。彼女達の無事を祈りつつ、俺はこの景色を眺める事にした。

 

色とりどりの花々。光輝く羽を持った妖精達。それぞれから放たれる光は正に一つの宝石のように完成されたものだった。

 

「綺麗だな……こんな景色があるとは……」

 

碧愛を救った後、この美しい景色を見せてあげたい。勿論、エルや、ティア、暁、影葉にも。

 

影葉は闇を操るから嫌がるかもな、それでもこの景色を見たら、皆、目を輝かせて喜んでくれるんじゃないだろうか……

 

「君がラティス君ですね?」

 

「え?」

 

俺が正面に顔を向けると、金色の髪と瞳をした端正な顔立ちをした男が立っていた。

 

明らかに天使だ。身体には、髪と同じ金色の鎧を纏っており、頭には天使の象徴である輪、背中にも純白の翼が生えている。

 

そして、腰には目立たないが、確かに力を感じる剣を携えていた。

 

「ここの景色は良いものです。初めて来た方には、喜んで頂けると思っています」

 

「ああ……こんな美しい景色を見たのは初めてだ。

 

っと、自己紹介が遅れてすまない、俺はラティスだ、よろしく」

 

「はい。私はミカエル。ここは天界。我等が(しゅ)の座する場所で……

 

「うおらぁぁぁぁ!死ねやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

な、ウリエル……!」

 

 

俺は突然殴りかかってきた、紅蓮の腕に、反応が遅れて殴られ、そのまま吹き飛んだ。頬が数秒間、焼けるように痛かったが、すぐに収まった。

 

「うう……っ……」

 

俺が目を開けると、目の前に俺を吹き飛ばしたであろう天使が立っていた。

 

頭の輪と背中の翼は一緒だが、彼の目と髪は腕と同じく紅蓮に輝いていた。服は彼の発している熱によって少し黒ずんでいたが、恐らくはローブだろう。

 

「離せ、ミカエル! こいつは悪魔だ! 殺すべきじゃねぇのか!?」

 

「彼は違います!彼は――なのですから……」

 

「ああ? ……! こいつがか……分かった」

 

どうやら納得したようだ……こいつがウリエル……罪人達を裁く天使か……しかしいきなり殴ってくるのは想定外だった。

 

俺が考えていると、ウリエルがこちらへ歩いてきた。

 

「あー……その、勘違いだったみてぇだ。悪かったな」

 

「いや、大丈夫だ。特に怪我はしていないしな」

 

「そ、そうか……おい、ガブリエル!! お前も来い!

こいつを主の御前へ連れていくぞ!」

 

ウリエルが空に向かって叫ぶと、ポロン、ポロンという音が上から聞こえてきた。見上げてみると、一人の女の天使が降りてきた。

 

その天使は深い緑色の髪と目をしていて、やはり、彼女の髪や目と同じような色のローブを着ていた。そして、さっきまで聞こえていた音は、彼女が手に持っていたハープのものだと分かった。

 

「……」

 

彼女は何も(しゃべ)らない。無口なのかと俺が考えていると、彼女は俺の腕を引っ張り、彼女の後ろにある大きな建物の方に身体を向けさせた。

 

「あの建物に……神が……!?」

 

彼女はコクンと頷くと、ミカエルが続けて言う。

 

「それでは行きましょう。主をあまり待たせてはいけませんからね」

 

ミカエルのこの言葉を受けて、ウリエルとガブリエルは背中の翼で飛んで行ったが、俺はまだ歩くので精一杯だ。

 

するとミカエルは俺の気持ちに気付き、肩を貸してくれた。魔力を使おうとすると、思ったよりも回復していて、彼の助けを借りれば、十分に飛べる。

 

どうやら、天界(ここ)は魔界よりも、魔力の回復がしやすいようだ。

 

少しの間飛んでいると、建物の正面に着いた。改めて側で見ると、異常な程に大きい。全貌(ぜんぼう)は誰にも確認が出来ないんじゃないだろうか……

 

入り口らしきところには門はなかったが、何故か入りにくい、厳粛(げんしゅく)な雰囲気があった。

 

「ここに入るのか……」

 

俺が狼狽(うろた)えていると、ミカエルがまたも気を遣ってくれた。

 

「ここは天使達でも中々入る許可の出ない場所であり、また、入りにくい場所でもあります。貴方だけではありませんよ」

 

「ああ、気を遣ってくれてありがとう……」

 

「いえいえ、慣れてますから。さぁ、行きましょう」

 

気を遣うのが慣れている……彼は苦労しているんだろうな……

 

そんな事を考えながら、先導してくれている彼等の後にゆっくりと付いていった。

 

……しばらく歩いているが、一向に神の元へと着かない。中も異常な程に広かったか……

 

そして、門がないのだから、空気が通りやすい造りのはずが、何故かとても暑かった。まるで壁が高熱を発しているような気がする程に。

 

俺の気のせいだろう……そう割り切って、歩を進めようとする。

 

すると前にいるガブリエルが()を止め、手に持っているハープをポロンと一回鳴らした。そして、

 

「主はこの先で貴方を待っている」

 

と、静かだが美しい声が言った。ガブリエルの顔を見ると、とても小さい笑みを浮かべていた。

 

するとミカエルも、俺に声を掛けてきた。

 

「我々はこの先には呼ばれていないため、行く事は出来ません。なので貴方一人で主に会う事になりますが……

 

くれぐれも粗相(そそう)のないようにお願いします」

 

「分かった。よく覚えておくよ、ここまで案内してくれてありがとう」

 

するとミカエルは首を横に振り、こう言った。

 

「いいえ、最初は私だけで案内をしようと思ったのですが……ガブリエルが来るとは思いませんでした。

 

彼女に気に入られたようですよ?」

 

「ははは。天使に気に入られる悪魔なんている訳がないと思っていたんだが……」

 

 

俺の言葉を聞いたミカエルは、(かす)かだが確かに笑みを浮かべ、去っていった。そして、ウリエルともそれに続いて飛び去った。ガブリエルは俺に一言、

 

「主は貴方に、真実を伝えられるでしょう」

 

と、言い残し、飛び去っていった。

 

真実……誰もが知りたくもあり、誰もが恐れるもの。俺の真実……逃げる訳にはいかない。

 

俺は決心を固めるために、声を出して、

 

「さて……行くか」

 

と、言って再び歩き出した。

 

俺はガブリエル達に示された方向に向かって歩いた。右足が義足なため、早くは歩けないがかなり進んだはずだ。

 

しかし、一向に部屋らしき場所が見えて来ない。どうやら、ミカエル達と別れた所は半分くらいの地点だったらしく、それからもかなり歩いた。

 

やっとの事で扉を見つけたが、その大きさが二~三m程あったので、神はアスモデウス並みに大きいのかと思った。

 

俺が扉の前に立つと、扉は内側にゆっくりと開いた。すると中から、外の景色とは比べ物にならない程の(まばゆ)い光が溢れ出し、俺の目を眩ませた。

 

光が収まると、中に一人の男性が立っていた。

 

その男性は、まるで、普通の人間のように立っていたが、その姿からは、普通の人間には出せるはずのない程に、見る者全てを優しく、時には厳しく包み込むようなオーラが発せられていた。

 

服は真っ白い布を身体に巻きつけただけで、酷く脆そうに見えるが、その身体からは、天界全てを掌握(しょうあく)している事が当たり前に思えるような、想像を超える力を感じた。

 

「貴方が……神ですか?」

 

俺にとってこの時は、今まで生きてきた中で一番緊張した瞬間だろう。俺は膝を床に着け、(ひざまず)いた姿勢で、彼の返事を待った。

 

「まずは頭を上げて。そんな姿勢を取らなくても構わない」

 

彼の声は全ての感情が混ざりあった、不思議な声でそう言った。

 

俺が顔を上げると、彼は笑っていた。まるで愛しい我が子を見るような、そんな顔をしていた。

 

「さて……先代ヤハウェには遠く及ばないけれど、確かに私は神という立場にある。名前だけは多くあるが……やはりこれが一番分かりやすく、私を表していると思う」

 

彼の顔が神と呼ばれるに相応しい厳しさを(はら)んだ顔になり、彼の口から、信じがたい言葉が(つむ)がれる。

 

 

 

――私は神に造られた原初のヒト、アダム――

 

 

 

俺は驚きで暫く動く事が出来なかった。原初のヒト。

 

それは楽園(エデン)を追放された者。善悪の知識の実を食べた、全ての人間達の先祖。とうの昔に死んでいるはずなのに……

 

「貴方が……原初のヒト……!?」

 

「ええ。ルシファーの事を知るには、まずルシファーの過去、堕天使になる前である天使だった頃の事を話さなければならない……それを聞く覚悟があるか?」

 

俺は、迷わずに、はっきりと、答えた。

 

「はい。大切な人を救わなくてはならないのです」

 

碧愛を救うために。この感情だけは揺らがない。絶対に、何があろうとも。

 

彼女を救えたその時に、俺のこの、理解出来ない感情にも答えが出ることを信じて……




グッダグタになってしまったかなととても心配です。ここの話は個人的にはかなり気に入っていて、いつ出せるかをとても楽しみにしていました。
ラティスの気持ち……詳しくどうなるのかを楽しみにこれからもお待ち下さい!
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