虚無の使い魔ウルキオラ   作:零番隊

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第二話 ルイズ

(・・・・・予想以上に力が落ちているな)

 

ウルキオラは近づいてきたルイズを手で振り払った。それだけの動作でルイズは数メートルも吹っ飛んだ。

 

しかし、力を込めたつもりはないとはいえ、本来のウルキオラなら振り払うだけで生身の人間などバラバラになるはずだ。

 

「なっ、何すんのよアンタ!」

 

それなのにルイズは吹っ飛ぶだけで、意識も失っておらず、骨一つ折れていない。

 

それはルイズが日々の爆発のおかげで普通よりタフで頑丈なのも理由だが・・・

 

(それに・・・・さっきのは何だ?)

 

ウルキオラがルイズを振り払ったのは、ルイズに触れられるのを嫌がっただけではない。

 

ルイズが唇を近づけた瞬間に、ウルキオラは本能的に身の危険を感じた。

 

それは恐怖よりは嫌悪に近い感覚。

 

直前の動作からして自分に何か術をかけようとしたのだろう。

 

なにをしようとしたのかは知らないが、不用意に得体の知れない術をかけようとした相手を生かしておく理由もない。

 

しかし、ウルキオラは踏みとどまり考える。

 

(・・・こいつらが黒崎一護の仲間で、俺を治療した可能性もある)

 

井上織姫など、破面を助ける変わった奴もいるので、絶対ないとはいえない。

 

「ちょっと聞いてるの!?返事くらいしなさいよ!」

 

ルイズが額に青筋浮かべている。

 

(・・・まずは、現状を把握するか)

 

ウルキオラはさしあたっての情報源であるルイズに目を向ける。

 

「俺の質問に答えろ、ここはどこだ?」

 

「・・・ここはトリステイン魔法学院よ。そんなことよりご主人様に向かってその口の利き方はやめなさい」

 

「トリステイン?なんだそれは?」

 

「はあ!?トリステインを知らないなんて・・・・どこの田舎ものよ」

 

(・・・駄目だな、今一つ情報が手に入らん)

 

「そんなことはどうでもいいわ。さっさと契約の儀を済ませてこの話は終わりよ」

 

「何なんだ貴様は?」

 

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!あんたのご主人様よ!さっさと契約して私の使い魔になりなさい!」

 

憤慨しているルイズをコルベールが仲裁に入る。

 

「落ち着きなさいミス・ヴァリエール。さて、あなたはこの魔法学院の召喚儀式で呼び出されたのです。使い魔召喚は神聖なる儀式でいかなるルールよりも優先されます。突然で申し訳ありませんが、掟に従って貴方には使い魔になってもらいたいのですが」

 

「なるほど」

 

ようやく少しはまともな情報が入ってきた。

目の前の人間が自分を使い魔にしようとしていたのは理解した。さっきの術は使い魔の契約というやつなのだろう。

 

「断る」

 

「なっ!?アンタ!たかが平民が貴族の使い魔になれるなんて名誉なことないんだから黙って言うこと聞きなさいよ」

 

「だまれ。何故俺が貴様のようなゴミの使い魔になどならなければならない」

 

「ご、ご、ゴミ!?このヴァリエール家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに向かってゴミ!?」

 

これ以上の会話は無駄と判断したウルキオラは周囲に目を向ける。

 

周りには魔法学院の生徒達と、召喚された使い魔達が自分を囲むように並んでいる。

 

(丁度いい。全員そこそこ霊圧を持っている。霊力回復の足しにはなるだろう)

 

本当ならもっと情報を集めてから喰うつもりだったが、せっかく周りに沢山の獲物がいる。この機会を逃すつもりはない。

 

『魂吸』

 

ウルキオラは周囲の生き物の魂を吸い取る。

 

「えっ・・・・?」

 

「うぁ・・・っ!?」

 

「なっ、何が・・・」

 

生徒たちが次々と倒れていき、使い魔たちも苦しみの叫びを上げる。

 

だが、

 

 

 

(何!?)

 

ウルキオラは驚愕した。

生徒たちは顔色を青くしていたり、気絶したりしているが、誰一人死んでいない。

 

ウルキオラは一瞬自分の魂吸に耐えきったのかと錯覚した。

 

ウルキオラが吸い取れた魂は予想以上に少なかった。というより、ウルキオラの体が一定以上の魂を吸収できなかった。

 

霊圧も僅かに回復したが、未だに最下大虚(ギリアン)程度の霊圧しかない。

 

(・・・霊力の消耗とは別に、体に何か異常があるのか?)

 

本来なら塵となったはずの体が元に戻っているのだから全く異常がない方がおかしい。

 

(ともかく、この体については後で詳しく調べる必要があるな)

 

ウルキオラは一旦思考を中断した。

 

自分に対して殺気が向けられている。

 

次の瞬間特大の火球がウルキオラを襲ってきた。それは並みの赤火砲を超える火力でウルキオラを包み込む。

 

「私の生徒に何をした!」

 

怒りの形相を浮かべ、杖を強く握りしめウルキオラのいた場所を睨みつける。

 

コルベールの放った炎によって 発生した煙幕によって姿は見えない。

 

周りの生徒たちはコルベールの攻撃で使い魔は完全に死んだと思った。

 

それはルイズも同じだった。

 

(そ、そんな・・・私の使い魔。召喚したばっかなのに死んじゃった。ってことは私留年!?)

 

しかし、

 

「思ったよりは、強力な攻撃だ」

 

煙幕の向こうから声がした。

 

ウルキオラは変わらずそこに存在している。

 

『炎蛇』と『虚無』

 

『メイジ』と『破面』が対峙する。

 

 

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