転生したら滝本ひふみの彼氏になった件について   作:飛び方を忘れてるカラス

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前回からかなり時間飛びます。


類友

 

 

夏っていうのはどうも好きになれない。

 

理由は単純明快。暑いからだ。だが夏は嫌いと言っても、アメリカや南米あたりに住んでいたら、夏は嫌いとは言わないかもしれない。俺が嫌いなのは()()()()なのだ。

日本の暑さは湿気が辛い。純日本人である俺がそう愚痴をこぼすレベルだ。外人ならもう卒倒しているだろう。

 

さあ話は逸れたが、夏といえば全人類のバケーションである夏休みだ。

冬休みとは比べ物にならないレベルの長い休み。ほぼ1ヶ月だ。

 

ここまで聞けば「夏って最高じゃん!」と思うかもしれない。まあそれを思っているのは十中八九学生だろうよ。

 

我々社会人にとって、夏というのは地獄なのだ。前述した暑さの中を出勤せねばならないのだ。

夏が嫌いな俺からすれば、夏っていうのはこの世からなくなればいいと思っている。サードインパクトが起こってしまえばいいと思っている。

 

「日本の夏よ、滅びろ」

 

「……?」

 

隣で首を傾げてるであろうひふみを見る暇もなく、俺は意識朦朧と歩き続けるだけであった。

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

「………ほぉー、これはレアな…」

 

「………」

 

なんなんだ。

何故こんなところに子供がいる。

身長は涼風ちゃんと同じ…いや少し低いくらいか、の金髪の女の子が社内をうろついていた。年齢は12、3歳くらいか。

 

もしかしたら誰かの子供か?だとしたらもう少しちゃんと管理してくれないと困る。触られて欲しくない物だって中にはある。

 

…一応保護するか。

 

「なあ、君」

 

「?」

 

「名前を教えてくれるかな?」

 

「桜ねね…です」

 

桜?そんな名字の人は俺が知る限りこの会社にはいないな…。となると迷って入ってきたのか。

ここに放置してもダメだし、暇してる葉月さんところに置いていくか。

 

「よーし、ちょっとお兄さんについて来てなー。今保護センターまで送ってあげるから…」

 

「あ、あの!」

 

「ん?なんだい?」

 

勤めて優しく応える。うん、俺らしくなくて吐き気がする。

 

「あ、あおっちを探してるんですけど!」

 

「あおっち?」

 

そんな名前の親御さんなのか。すごいキラキラネームだな。そこまでいくともう何も言えないわ。

 

「私と同じくらいの背の高さで、ちょっと頼りない感じのする…」

 

「……何をしているんですか、桜さん」

 

「なっ!?」

 

「お、アハゴ…」

 

「……」

 

「…じゃなくてうみこ、さん。この子と知り合いなのか?」

 

すごい形相で睨まれたもんだから思わず名前を正してしまった。いや、後者が本名なのだが。

 

「こちらの桜さんはデバックのバイトです。…ですが、行動を見てる限りスパイに見えますが」

 

「す、スパイじゃないよぉ!」

 

「えぇ…」

 

こんな子供っぽいのがデバックの…。

とか思ってるうちにアハゴンが桜ちゃんを引っ張って連れてこうとしてる。

 

「あおっち〜!だすげて〜!」

 

「!?」

 

「お、涼風ちゃん」

 

桜ちゃんの悲鳴に涼風ちゃんが八神の元から飛び出して来た。

…ん?あおっち?涼風青葉?

 

あおっち→あお→青→青葉→涼風青葉

 

「…あ、そういうこと」

 

なるほど、桜ちゃんは涼風ちゃんの友人と。

 

「ちょっと何してんのねねっち!?」

 

「あ゛お゛っ゛ぢ〜!」

 

おお、タメ口の涼風ちゃんなんて新鮮だなー。

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

「…なるほど、涼風さんのお友達でしたか」

 

「ごめんなさい…」

 

「私からもごめんなさい…」

 

そんなこんなで涼風ちゃんが事情を説明してくれた。

 

「まったく、スパイだなんているわけないだろ」

 

「本当だよ。スパイなんてそんな現実味のない…」

 

「そうですか?私は元々スパイとして入社したんですよ」

 

「うそ!」

 

「マジか!」

 

「いやウソですよ」

 

しれっとウソをつくでない。お前だとマジでそれっぽいから一瞬信じちゃったじゃないか。

八神も「あー騙された」って顔でいる。

 

「…しかし、2人ともそっくりだな」

 

「そっくり?」

 

「ああ、主に子供っぽいところが」

 

主にというかそれ以外ないが。

 

「でもあおっちよりも私の方が大人っぽいもんねー」

 

「どこが!社会人の私の方が大人でしょ!」

 

「どっちもどっちだと思うけど…」

 

八神が2人のやりとりを見て呟く。

 

「類友ってやつだろ」

 

「…それ、どういう意味ですか、立花さん?」

 

「……ナンデモアリマセン」

 

おお怖い。今一瞬だが涼風ちゃんの背後から鬼神が現れたかのように見えた。

 

「では、桜さん。あなたは早く作業に戻ってください」

 

「えー。もうちょっと一緒にいたいー!」

 

「言うこと聞きなさいねねっち。私だってまだ仕事なんだから」

 

どちらかと言うと涼風ちゃんの方が少し年上っぽいな。いやほんとに少し。

 

「えー…」

 

「さ、行きますよ桜さん」

 

「ぅー…はい」

 

トボトボとアハゴンに着いて行く桜ちゃんの姿に、ドナドナを歌いたくなった。

 




ねねっちの精神年齢って幾つなんだろ…。
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