ベル君が月山さんみたいになるのは間違えてるだろ。   作:くるしみまし

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今回は話あまり進みません


良質街娘登場回

「ふう・・ウッ、ゴホッゴホ・・・ああ、喉が痛い・・」

 

ベルは喉を摩りながら風呂場から出てくる

 

「やあ、ベルくんお帰り。 そしてお疲れ」

 

ソファにこしかけていたヘスティアが声をかけてくる

 

ヘスティアの「お帰り」に違和感を覚えたが、すぐに自分の先程までの思い出し、何か察してくれたらしい事に気づく

 

「・・・ただいまです。 神様」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ詳しい話しを聞こうか?」

 

「うっ・・・はい」

 

ベルとヘスティアはソファに向かい合って座る

 

先程までベルはどうかしていたし、ヘスティアも気が動転していたため、二人とも一度落ち着き話し合う事にした

 

「まず、ベルくん。 君は自分に起きた出来事についてどこまで理解しているかな?」

 

「・・・実は、それが全くわからないんです・・・僕がアイズさんに助けられた後、僕の中で何かが膨らんで弾けたような気がして、それからは僕じゃない誰かが僕の体を使って話しているような・・・そんな感覚でした」

 

「なるほど・・・・」

 

(ベルくんは当たり前だけど自分に何が起きたかは理解していない、恐らくあの変化はスキル《憧景一途・異常執着》の影響だとは思うけど・・・・)

 

ヘスティアにはどうしても納得いかないことがあった

 

それは

 

(スキルが発現したのはベルくんが気を失っている間、だけどベルくんは帰ってきた時には、すでに様子がおかしかった・・・・だとしたら、あれは一体・・・?)

 

考えれば考えるほどわからなくなっていく

 

(とりあえずこのスキルのことは黙っておこう・・・明らかにレアスキルだ。他の神共がたからないよう僕が管理しておかなければ)

 

ヘスティアはスキルの欄を指で擦り文字を消す

 

「僕にもよく分からないが、特に今は問題ないのだろう? 取り敢えず保留でいいんじゃないかな?」

 

ベルにステータスの書かれた紙を渡す

 

「そうですか・・・分かりました」

 

ベルは煮え切らない表情をしていたが、取り敢えずは納得したようだ

 

「それじゃあ僕は今からダンジョンに行ってきますね」

 

ベルはスクッと立ち上がりダンジョンに行く準備を始める

 

「大丈夫なのかい? 昨日は派手に吹っ飛んでいたけど?」

 

「ハハ・・・まあ、神様に頼りっぱなしにはなりたくないですし。 十分休みましたから大丈夫です」

 

「・・・そうかい」

 

ベルは支度を済ませ玄関に歩いていく

 

「それじゃあ神様、行ってきます」

 

「・・・・ベルくん」

 

玄関から出ようとした時、ヘスティアに声をかけられる

 

「どうしました?」

 

「っ・・・・いや、なんでもない・・いってらっしゃい」

 

「?・・行ってきます」

 

ベルは、なんだったんだろうと呟きながら外に出る

 

足跡は遠ざかっていく

 

「・・・・言えるわけないよ」

 

ベルが行ったのを確認してからヘスティアは呟きを漏らす

 

(「行かないで」・・・なんて)

 

ヘスティアは1人、愛する人が自分から去ってしまわないかという不安に悩まされるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルはダンジョンに向かう途中の街中を歩いていた

 

朝早いが街中は人間以外にもエルフ、ドワーフ、キャットピープル、パルゥムなどがまばらにいた

 

「はぁ・・・」

 

ベルはまだ立ち直れておらずため息を吐く

 

自分の意思ではなかったとはいえ、謎の奇行、神様への無礼な態度、正直全く立ち直れていなかった

 

「あのぅ」

 

「はあ・・・」

 

うつむきとぼとぼ歩いているベルに少女が声をかけるが、ベルには届かない

 

「あのー、そこの冒険者さん?」

 

「はあ〜〜・・・」

 

もう一度声をかけるが聞こえていないようだ

少女は無視され頬を膨らませムッとした顔を作る

 

「はあ〜〜・・「冒険者さんってば!!」うわああ!!?」

 

ベルは突然目の前にエプロン姿の少女が現れかなり驚く

 

「な、なんですか!?」

 

「なんですかじゃないですよ! 話しかけても無視していたのはあなたじゃないですか!?」

 

少女は少し涙目になっている

 

「え!? ウソ! す、すみません! 考え事をしていて聞こえていませんでした!すいませんすいません!」

 

少女は一瞬キョトンとした顔をしたが次は安堵の表情を浮かべる

 

「よかった〜、初対面なのにいきなり嫌われたのかと思いました」

 

「そんなことっ・・・・!」

 

少女がこちらに向け笑みを浮かべる、その姿があまりに可愛かったので息を飲む

 

少女は薄鈍色の髪をポニーテールのような髪型にしており、服装はどこかのお店の制服なのだろうか、エプロンをまとっている

 

とても可愛らしい顔をしており、温和な雰囲気に警戒心を解く

 

「どうされました?」

 

少女はベルの顔を覗き込んでくる

 

「い、いえ! それよりもあなたこそ僕に何か用ですか?」

 

体を大きく仰け反らせながらもずっと気になっていた質問をする

 

「ああ! そうでした、 これ落とされましたよ」

 

少女はそう言うとエプロンのポケットから黒い魔石とみたことのあるハンカチが出てくる

 

「これを落としたのを見たので渡そうと思っキャア!!?」

 

ベルはハンカチを見るや否や2mほどの距離を一瞬でつめ、ハンカチを持った手を勢いよくとる

 

「ありがとうございます! 僕としたことがあの人から預かったハンカチを落としてしまうなんて・・・本当にありがとうございます!」

 

ベルは少女から受け取ったハンカチを胸の前に大事そうに抱える

 

「・・・フフッ・・大切なものなんですね?」

 

少女は最初は仰天していたが、ベルの喜びようを見て釣られて笑う

 

ベルも笑顔に釣られ一緒に笑いあう

 

「それじゃあ僕はそろそろ行かないと」

 

「ダンジョンに行かれるんですか?」

 

少女はベルの装備をチラッと見て今からダンジョンに行く事を察したのだろう

 

「はい・・・でも、朝食べ忘れたので今からどこかで食べてから行こうと思ってたんですよ」

 

少女はそれを聞くと顔をパアッと明るくさせ、手を叩く

 

「それでしたら、私が働かせていただいてるお店にサンドイッチが置いてあるので持ってきますよ!」

 

「ええ! 悪いですよ、ハンカチ拾ってもらった上にそんな・・・」

 

「いえいえ、気になさらないでください。 その代わりと言ってはなんですが・・・探索が終わってからでも私のお店に来ていただいたらいいなぁと」

 

少女は少し上目遣いでおねだりするように言ってくる

 

「・・・わかりました、お言葉に甘えさせていただきます

 

そんな仕草で言われたら断れるはずもなく、少女の鮮やかな集客術に苦笑いを浮かべながらも了承する

 

「ええと・・・」

 

感謝を伝えようとしたが名前が分からずいいよどむ

 

「私の名前はシル・フローヴァです。 貴方は?」

 

ベルの様子を察しシルと名乗ってくれる

 

「ベル・クラネルです。 レベル1ですが冒険者です」

 

「それじゃあベルさん、そこで待っていてください。 今とってきますので」

 

シルさんはそう言うと『豊穣の女主人』という名前の酒場に入っていく

 

 

 

 

 

(お金大丈夫かな・・・?)

 

待っている間ベルは少し不安になりハンカチをポーチの中にしまい、財布を取り出そうとする

 

すると

 

ドンッと大柄のフードを被った男性がぶつかる

 

「うわ!」

 

体格の小さいベルはぶつかった衝撃で尻餅をつく

 

男はチラッとこちらを向いたかと思うとすぐさま走り出す

 

「なんだったんだ?」

 

ベルは疑問を口にするが、すぐさま異変に気付く

 

(ポーチが・・・・ない!?)

 

もしやと思いさっきぶつかった男を見ると、手には自分が持っていたポーチを男が持っていた

 

実はこの大通りでは最近スリが多発していたのだが、今回はベルが標的になったようだ

 

周りの人たちは男を追ったりせず、ただベルに同情の視線を送るだけだった

 

しかし

 

今のベルにはそんなことは関係なかった

 

(ポーチを取られた! あのポーチの中には・・・!)

 

そう今のベルにとっては財布やアイテムなどはどうでもよく、ただ一つ、自分の命よりも大切なものがポーチの中にあった

 

「・・・返せ」

 

いつかの体の中で何かが膨らむような感覚をベルはまた覚える

 

「それは・・・そのハンカチは・・・!」

 

そして男の方角をまっすぐ向くと同時にベルの中で何かが弾ける

 

 

「 僕 の だ ぞ ッ ! ? 」

 

 

ベルは吠えると同時に勢いよく通路のタイルを踏み砕きながら猛進する

 

ものの数秒もかからず追いついたベルは男のうなじに蹴りを食らわせる

 

「グエェッ!?」

 

男はけられた衝撃で軽く地面をバウンドしながら転がっていく

 

しかし男もすぐさま体制を立て直し懐から大きめのダガーを取り出す

 

「このクソチビがぁ!!」

 

男はダガーをベルに向け突き出す・・・はずだったが

 

「邪魔だぁ!?」

 

ベルは刃が向いた瞬間男の鳩尾に凄まじい蹴りを食らわせる

 

「ウゲェ!!?」

 

男は軽く吹き飛ばされ何度か痙攣した後、動かなくなる

 

だがベルは男には目もくれず、男が落とした自分のポーチを拾い上げ中身を確認する

 

「・・・ちゃんとある」

 

ハンカチが無傷の状態であるのを確認すると今度は熱が逃げていくような感覚を覚える

 

「よかった〜・・・あ! しまった大丈夫ですか!? ああ、白目むいてる!?帰ってこーい!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うそ・・・・」

 

シルは目の前で起きたことを信じられずにいた

 

さっきまで話していた急変したことも大いにあるが、それよりもベルがあの男を倒したということが問題なのだ

 

シルは仕事の関係上多くの冒険者を見てきたことから、その人の装備、立ち振る舞いなどからレベルを判断できるようになっていた

 

先ほどベルに倒された男は間違いなくレベル2の冒険者のものだった

 

そうレベル1の冒険者がレベル2の冒険者に勝ってしまったそこが問題なのだ

 

レベル1とレベル2はまさに格が違い、本来絶対にレベル1、それも見た感じ冒険者になってそこまで月日の立っていないだろうベルが勝てる訳ない相手だったのだが、結構的にベルの圧勝だった

 

 

「何者なの・・・ベルさん?」

 

シルの気持ちなんか知る訳もなく、問題のベルは必死に男に呼びかけを行った

 

 




月山さんの気持ち悪さを表現するために色々考えたりするんですけどこれがまた難しいんですよね
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