ベル君が月山さんみたいになるのは間違えてるだろ。   作:くるしみまし

9 / 11
赤評価がついてる・・・。
お気に入りが150人近くに増えてる・・・。

あ、有難うございます。プレッシャーに負けず頑張ります。


謝罪 ミアハ・ファミリア編

僕ことベル・クラネルはとある理由で神様からかくまってもらうためにミアハ・ファミリアに逃げ込んだ。

 

 

 

『ミアハ・ファミリア』

僕たちのヘスティア・ファミリアに負けじとも劣らない弱小ファミリアであり、お互い懇意の関係にある。

 

ここの主神のミアハ様と神様は友好関係にあり、僕もポーションなどのアイテムを買いに、よく来ていてお世話になっている。

 

なので、いきなり駆け込んできた僕をミアハ様も、ミアハ・ファミリア唯一の団員ナァーザ・エリスイスさんも快く引き入れてくれた。

 

 

何もおかしいところは無かった・・・・はずだったんだけど。

 

 

 

 

「ベルくんのアホぉ!? 早くナァーザ君から離れて!!」

神様が絶叫し。

 

 

「ほほう・・! ベルはいつの間にあんな大胆なことをするようになったんだ?」

ミアハ様が感嘆し。

 

 

そして僕は

 

 

「フフッ・・・震えていて可愛いね。」

 

「あう・・・え、え? 君本当にベルくん?」

 

ナァーザさんを口説いていた。

 

 

なんでこうなったのかというと、時は10分程前に遡る・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はギルドから飛び出た後、ステータスが向上したおかげか以前まで10分以上かかった道をわずか5分足らずで走り抜ける

 

なんか今日走ってばっかだな僕・・・・

 

ミアハ・ファミリアの前に着くと一度息を整えてから扉を開ける。

中に入るとミアハ様とナァーザさんが楽しげに話しており、ミアハ様の手には赤い液体の入った試験官が握られている。

 

「こんにちは。いきなり失礼してすみませんミアハ様、ナァーザさん。」

 

とりあえず失礼のないようしっかり挨拶をしておく。

 

すぐに返事は帰ってこず、ミアハ様とナァーザさんは一度二人で目を合わせ何故か含みのある笑みを浮かべる。

 

「おお! ベルではないか体はもう良いのか?」

 

「あ、はい。まだ痛みはしますけど問題はありません・・・ご迷惑をおかけしました。」

 

「ハハハッ!迷惑などではない、うちの数少ない常連だ。逃す手はあるまい!」

 

ミアハ様は男の僕でも見惚れてしまいそうな笑顔を浮かべる、口ではあんなことを言っていたが間違いなく建前だ。

 

恐らくミアハ様の性格ならば僕が見ず知らずの他人でも同じように治療していただろう・・・なぜなら、いつも女の子の冒険者を見るたびポーションなどを配りナァーザさんに文句を言われているくらいだ。

 

ミアハ様はいつも通りの屈託のない笑顔でこちらを見ているが・・・いつもと違うものが一つ

 

 

 

(ニコニコ)

 

ナァーザさんまでこちらを笑顔で見ている。

そらもうニコニコとかいう効果音が聞こえてもおかしくないくらいな笑顔で。

 

いやいやどう考えてもおかしい。

 

ナァーザさんのキャラは無口、無表情、インドアというキャラのはずだと記憶している・・・間違えても

 

(ニッコニッコ)

 

(あんな満面の笑顔でこっちを見ているはずがないぃいい!)

 

怖い怖い怖い!ナァーザさんはもともとすごく美人だから「あ、可愛い」とか最初思ったけど、あそこまで笑顔だともはや怖い!

 

な、何か企んでるのかな?

 

い、いや。仮にも恩人を疑うなんて止めよう。きっと僕が無事だったのを喜んでくれているんだろう!

 

「ところでベルよ。まだ体は痛むと言ったな?」

 

ミアハ様は僕が怯えていることも知らず、話しかけてくる。

 

「あ・・はい、でも激しく動かない限りはそこまで痛みはしません。」

 

「そうか、ならこれを飲むと良いぞ!」

 

そう言うとミアハ様は、先ほどから手に持っていた赤い液体の入った試験官を突き出してくる。

 

「これは・・・?」

 

「それは私とミアハ様で作った新薬だよ」

 

「うむ、効能としては基本的には痛み止めだ。痛み止めの薬自体は既にあるのだが、それを低予算かつ液状にしたのがこれでな。つい先ほど完成したんだ。」

 

どうやら新作の薬だったようだ。

 

「それはすごいですね! それをくれるんですか?」

 

「ああ! 俺たちはベルに早く治って欲しいという100%善意からの行動だ!」

 

なんか含みのある言い方だったけどミアハ様が作った薬だ。まさか危険はないだろう。

それにミアハ様はお客さんの体を第一に考えている人だ、僕は何のためらいもなく薬を一口煽る。

 

すると体から痛みがスーッと引いていく。さすがミアハ様だ、薬を作る腕は最高だ。

 

「ありがとうございます。おかげで痛みが引きま・・・した・・・。」

 

急にめまいがする。

 

「あ・・あれ・・・?」

ミアハ様が倒れそうになった僕の肩を支えてくれる。

 

「すまないなベル。この薬、効果は抜群だが少々副作用があってな。」

 

ふ、副作用? 信じられない、ミアハ様がそんな薬を渡すなんて・・・!

 

「勘違いはしないで。体にはなんの害もないから。」

 

ナァーザさんがいつもの薄い笑いを浮かべた顔でそう告げてくる。

 

危険はないと知り、少し安心する。

 

「うむ、体に害はない。その代わり・・・」

 

 

 

目の前の景色が変わる。

 

 

 

確かに僕はミアハ・ファミリアにいたはずなのに、急に目の前が草原に変わる。

 

そしてその草原の真ん中、僕の向かい側に見たことのある後ろ姿が見える。

 

あの姿は・・・見間違えるはずがない。 あの人は・・・彼女は間違いなく

 

 

「少々幻覚作用がある。」

 

 

アイズ・・・ヴァレンタインさん・・・。

 

心の中で彼女の名を呼ぶ。

 

すると、聞こえたのか彼女はこちらを振り向き、まるでこの世のものではないのではないかと疑うほど・・・美しい笑顔を浮かべた。

 

「・・・・・ッ!?」

 

それを見た瞬間、体中に火がついたのではないかと思うほど暑くなり、耳の奥では爆竹のような音をあげながら、鼓動が早くなる。

 

「なんて・・・綺麗な・・・。」

 

思わずそんな言葉が漏れる。

 

自分が暴れだしそうになるのを何とか押さえ込み、アイズさんに、彼女に少しでも近づこうと足に力を込める・・・。

 

 

 

 

しかし、そこで景色が元のミアハ・ファミリアに戻ってしまう。

 

「・・・・今の・・・は。」

 

説明を求め、ミアハ様たちの方を向く。

僕に何が起こったのか把握しているのか、ミアハ様とナァーザがニヤニヤとこちらを見ている。

 

「どうだベル?良い夢は見れたか?」

 

『夢』と聞いて少しだけ残念に思いながら、僕は小さく頷く。

 

ミアハ様が薬の効能について簡単に説明を始める。

 

「この薬を作る際にな、どうしても【サキュバスの髪の毛】というアイテムの粉末が必要になってな。使ってみたのは良いものの試験してみた俺も似たような幻覚を見てな。どうやら自分が今、『最も望んでいる景色』が見えるみたいだ。」

 

最も望んでいる景色・・・なるほど、ならさっきのも理解できる。

 

だけど・・・ならばこそ。

 

「この薬は危険じゃないかい? これだけの効果だ、乱用者が出てもおかしくない。僕は市販で売るのは正直反対だ。」

 

この効果は麻薬のような中毒性を持っている可能性がある。そんな麻薬みたいな薬を、ミアハ様には売って欲しくない。

 

しかしミアハ様は僕のそんな意見を聞いて驚いたような表情を浮かべる。

 

「・・・ベルは、この薬で見た光景をもう一度見たいとは思わないのか?」

 

そんな質問を投げかけてくる。

 

確かに、あの光景は何事にも変えがたい素晴らしいものだった・・・ただし、本物ならね。

 

「触れれない、匂えない、噛めない、抱けない、味わえない・・・そんな偽物に僕は惑わされないよ。」

 

そう言って微笑んでみせる。

 

それを聞きミアハ様はフッと小さく笑う。

 

しかしナァーザはまだ理解できてないようで口を開けている。

 

「どうしたんだい? ナァーザ?」

 

ミアハ様が心配して声をかける。

 

「え、いや、だって・・・。」

 

ナァーザさんは僕を指差す。

 

「口調が急に・・・・。」

 

「「あ」」

 

ミアハ様に目配せをする。

 

ミアハ様はどうしたものかと頭を抱えていた。

ミアハ様は先ほどの態度からして、どうやら僕の事情を知っているようだ。

 

しかし、すぐに言わないところを見るに、どうやら僕にも知らない事情があるようだ。

 

まあ・・・僕はだいたい予想はついてるけど、あっちの僕はわかってないんだろうなぁ。

 

今更包み隠しても仕方ないし、とりあえず僕が知っていることを話す事にしよう。

 

「実は、僕はこの間、とある事情があってから二重人格になったんだよ。いつもオドオドしているのがいつもの僕。そして元の性格とほぼ間反対なのが、この僕。何故こうなってしまったのかは僕たちには分からないけど、ミアハ様とヘスティアは何か知っているようだよ。」

 

「へー・・二重人格・・・にわかには信じられないけど、今の君を見たら信じるしかないよ。・・・それはそうと。」

 

ナァーザがギロリとミアハ様を睨みつける。

 

「詳しい説明をしてくださいますよね。ミアハ様?」

 

「う・・・し、しかしだなぁ・・・。」

 

ミアハ様は何か事情があるのか、いいよどんでいる。

 

そんな中

 

 

バンッ!

 

 

と大きな音を立てて入り口の扉が開く。

 

僕らが玄関に目を向けると、そこには。

 

「ベェルゥクゥン!やっと追いついたよ!」

 

とんでもない顔をした神様がいた。

 

(いやああああああああああ!!??)

 

僕の中でもう一人の僕が叫ぶ。

 

ずっと静かにしていたかと思えば急に叫び声をあげて・・ビックリしたじゃないか。

 

(だって、神様が!・・・殺されちゃう!)

 

落ち着け。神は人を殺せない決まりだ。それに彼女は人を殺せるような神じゃない。

 

(うう・・・でも・・・)

 

僕がなんとかしてみるから、黙って待っておいてくれ。

 

とりあえずヘスティアの目を正面から見つめる。

 

一瞬怯んだように見えたが、すぐに睨み返してくる。

 

「さっきエイナくんとしていたことを説明してもらおうじゃないか!」

 

「さっきも言ったじゃないですか。将来の勉強です。」

 

「まだ君にそんなことは早い!」

 

「ですけど神様も僕のハーレムを作る夢を知ってますよね?やはり将来のためには必要かと。」

 

「そのハーレムが早いって言っているんだよ!君はまだ14歳だろう!」

 

「極東では、昔は6歳ごろでも婚約していたらしいですよ?それに比べたら14なんて十分な年だと思いますけれど?」

 

「うっ・・だ、だけど!わざわざエイナくんとしなくても良いじゃないか!」

 

(おお!神様の押しが弱くなってきてる!)

 

ふふ、もう一押ししてみようかな。

 

「だったら・・・神様が教えてくれるんですか?」

 

(何言ってんノォおお!!?)

 

まあまあ。

 

「え!? そ、それは・・・こ、心の準備が・・・」

 

神様は可愛らしくモジモジしだす。

 

「・・・神様が教えてくれないなら良いですよ。それなら・・・」

 

僕はナァーザさんの近くに歩み寄り、そっと頬に触れ、腰に手をまわす。

 

「ナァーザと《勉強》するので。」

 

(なにしてんのほぉおおおお!?!?)

 

僕が心の中で叫んでるけどガン無視。

 

いやー、楽しいなぁ。

 

 

 

 

ここで物語はこの話の序盤に追いつく。

 

「ナァーザ君から早く離れて!」

 

神様の絶叫を聞き流しながら小さくナァーザに耳打ちする。

 

 

「少しだけ話を合わせてくれないか。」

 

「・・・しかないね。高くつくよ。」

 

そう言うとナァーザさんは僕の腰に手を巻きつけてくる。

 

パッとみればナァーザが僕を受け入れたように見えるだろう。

 

神様の様子を伺うと、相当ショックを受けたのか膝をついてしまっている。

 

「うぅ・・・ベルくん。」

 

ついにはポロポロと泣き始めてしまう。

 

(・・・・・・・・ッ!)

 

もう一人の僕が怒ってるのをピリピリと感じる。

 

ああ、わかっているさ。

彼女は泣かして良い神ではない。だから・・・。

 

僕はナァーザさんに「ありがとう」と伝えると、今度はヘスティアの前にしゃがむ。

 

顔をあげた彼女と僕の視線があう、そして僕は触れて傷つけてしまわないようにソッと優しく彼女を胸に抱き寄せた。

 

「ベル・・くん・・・?」

 

「すまない。僕と他の女の子に嫉妬する君の姿が余りも愛らしくて、つい意地悪をしてしまった。本当に傷つけるつもりはなかったんだ。」

 

更に、その綺麗な黒髪をゆっくり1本1本肌で意識しながら丁寧に撫でる。

 

「・・・だからって、僕の眼の前でナァーザ君とイチャコラしなくても・・・僕では物足りないのかい?」

 

僕の胸の中から上目遣いで見上げてくる。

 

ヘスティアから手を離し、大きく両手を広げる。

 

「そんなわけないじゃないか! 僕が料理で言うところの食材なら、ヘスティアは食材を引き立てるSU・PA・I・SUダッ!両方とも料理の上では絶対に欠かせない存在!すなわち絶対的なパートナー!僕にとってヘスティア、君はどんなものにも欠かせないパートナーなんだ!」

 

身振り手振りを加えながら大げさに力説する。

 

「パートナー・・・本当に?」

 

僕はフッと小さく笑い神様の頭に手を置く。

 

「オラリアに来て途方に暮れていた僕を見つけ出してくれたのは貴方だ。そんな貴方を僕が見放すとでも?」

 

そう言うと神様はニカッと笑みを浮かべてくれる。

 

「そうだよね・・・そうだとも!君を疑うような真似をした僕がバカだった!君が僕を見放すはずがないよね、なんたって運命のパートナーなんだから!」

 

よしよし、どうやら上手く怒りは鎮められたみたいだね。

 

これで僕の役目は終わりかな。それじゃあ変わるよ。

 

(・・・うん。ありがとう。)

 

すると今までまるで窓越しで見ているように見えた視界が、いつもの主観の物に戻る。

 

呼びかけてみたけど、彼はいつものように反応してくれなくなる。

 

いつも勝手なんだから・・・まあ、もう慣れちゃいそうだけど。

 

それじゃあ・・・

 

「帰りましょうか神様。」

 

そう言って彼女に手を差し伸べる。

 

「うん。」

 

すると彼女は、神というより一人の女の子として可愛らしい笑顔を浮かべ僕の手をとる。

 

僕は神様の手を握るとミアハ様の方たちを向く。

 

「お騒がせいたしました。僕たちは今日はもう帰ろうと思います。」

 

「いやいや、こちらこそ薬の実験台にするような真似をして悪かったな。ただ効果は保証する。近いうちにダンジョンに潜っても大丈夫だぞ。」

 

僕は一言礼を言い、ミアハ・ファミリアを出る。

 

 

 

 

 

 

 

ファミリアに帰るために暫く街中を歩く。なぜか通り過ぎる人たちの目線が痛いと思ったら、ミアハ,ファミリアを出てからずっと神様と手を繋ぎっぱなしだった。

 

慌てて離そうと思ったが、神様の上機嫌な顔を見てファミリアまでは我慢しよう。

 

あぁ、そういえば

 

「神様はもう一人の僕のことを知っていたんですね?」

 

神様の顔が固まる。

 

そしてダラダラと汗を流し始める。

 

「・・・あのーもしかして、なぜ僕がこうなっているか知ってま「ああ!そういえば!」おわ!」

 

神様は繋いでいた手をいきなり離すと腕時計なんかつけていないのに、まるで腕時計を見るような仕草をする。

 

「僕はこれからバイトだったんだ!いやー、一緒に帰れないのは残念だけどバイトだから仕方ないよね!?それじゃあ僕は行ってくるからーー!」

 

追いかける間もなく、神様は慌てて走って行ってしまった。

 

あの反応・・・間違いなく何か知っているんだろうなぁ。

 

・・・気になる。

 

今から追いかけても仕方ないし、先にファミリアに帰っておいて神様が帰ってきたら聞けば良いか。

 

僕は今日初めてゆったりとした足取りで帰路につくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ミアハ・ファミリアでは

 

「ベルくんたちも行ったことですし、ベルくんについて詳しい説明をして頂きますよ?」

 

「う、うむ。」

 

ナァーザがミアハにヘスティアが来たことによってあやふやになってしまった質問の続きをしていた。

 

ミアハは最初は言い淀んでいたが、結局観念したように語り始める。

 

「・・・あれは【スキル】の効果だよ。感情が高ぶるのに反応して、性格が入れ替わりステータスにも変化が生じる。それがあの二重人格の正体だよ。」

 

「スキル・・・ですか。だけどそんなスキルは聞いたことがありませんね。」

 

「うむ。間違いなくベルが初の発生者のレアスキルだろう。俺は治療の時にベルのステイタスを見てな、ヘスティアに口止めされていたのだ。」

 

「なるほど・・・確かにスキルならおいそれとは言えないですね。」

 

レアスキルが他神に知られたらベルがヘスティア・ファミリアから引き抜かれかねない。

 

「ベルはどこか抜けているからヘスティア様も黙っていたんでしょうね。」

 

「確かに、それもあるだろうな。だが・・・。」

 

先ほどのヘスティアの姿を思い出し

 

「あれはもっと恋する女の子らしい理由だと思うぞ?」

 

そう笑うのだった。

 

 

 

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