似て非なるもの 作:裏方さん
スキー合宿も終わっていよいよ卒業生を送る会も本番に。
でも、そんな生徒会に・・・
オリヒロにも危機が。
では、よろしくお願いします。
「三ヶ木、授業が終わったら職員室へ来い!」
「へぇ? あっ、はい」
えっ、な、なに。
入生田先生、なんかすんごく怒ってらっしゃる。
なにがばれたんだろう。
あのことかな? いや、あれは誰にも見られてないはず。
だって、授業中、無性にチロロ食べたくなったんだもん。
それとも、授業中に生徒会の資料書いてたの見つかってた?
あっ、わかった。
この前、トイレの後に手を洗わなかったからって、
おい、小学生か。
まぁ、今はとにかくまじめに授業受けとこ。
・
・
・
”ガラガラ”
「失礼します。」
あっ、平塚先生。
今日もきれいだなぁ~
わたしもあんな風になりたいなぁ~
・・・ おい広川、仕事しろ仕事。
なにマンガ読んでんだ。
難しそうな顔してもバレバレだっての。
”ボコ”
ほら、平塚先生に殴られた。
「ん、三ヶ木どうした?
何か生徒会の用事か?」
「あっ、平塚先生。
今日はちょっと・・・」
「おい、三ヶ木」
「は、はい」
なんだろう。
なにがばれたんだろう?
すんごいしかめっ面だよ。
元々から怖いのに。
「そこ、座れ」
「はい」
”ひらひら”
「なんだこれは」
げっ、これは先週の数学の小テスト。
「この点数はなんだ。
それになんで二問目の回答を、三問目の回答欄に
書いているんだ。
答えも解き方も間違ってるけど。
それに最後の証明問題、”・・・かもしれない”ってなんだ。
なにがかもしれないんだ」
「そ、それは・・・」
だって、あの小テストの前の昼休み、あいつにいきなり手繋がれて、
校舎内を連れまわされたんだもん。
それに、あいつ自分の上着をわたしに掛けてくれてて・・・
だからわたし、・・・・かもしれないって。
「す、すみません。
ちょっと、答えに自信がなくて。
正解じゃないかもしれないと思ったもので」
「お前、最近、すこし浮ついていないか?
次の期末考査、成績次第ではわかってるな。
生徒会だからって容赦しないぞ」
「はい、すみません」
・
・
・
”ガラガラ”
「はぁ~」
特別棟へ向かう廊下に響き渡る、わたしのため息。
手に握りしめられた一枚の紙。
そう、これがわたしの現実なんだなぁ。
「どうしよう」
数学って苦手だもん。
だってあんな公式とかって、日常生活で使うときある?
まったく。
”スタスタ”
ん?
ほんと禍々しいね。
この黄色と黒色のデザイン。
なかなか他の飲み物と入れ替わらないってことは、
やっぱ、ここで買う人いるんだね。
それとも、あいつ一人の力とか?
まったく、こうなったのも全てあいつのせい。
あいつがほんと、すけこましだから。
・・・こんな辛い時は、この馬鹿げたほど甘いコーヒーだよね?
その甘さでわたしを癒して。
”ガタ”
「よっ、お疲れ」
「あっ、稲村君。
今から?」
「今からだ。
なに、お前それ飲むの?」
「えっ、あの・・・そんな訳ないじゃん。
押し間違えたの」
「ふ~ん、まぁいいけど。
行くか」
「うん」
”ガラガラ”
「お疲れ様! ってまだ誰も来てないか」
「うん。
でも鍵は開いてたのに」
うんしょっと。
さて荷物を置いたら、お仕事お仕事。
「稲村君、いま紅茶淹れるけど、どう?」
「あぁ、ありがとう」
「ルン、ルン、ルン♬」
ん、なんか痛い視線が・・・
「あ、あの~稲村君。
なにか?」
「いや、そうやってるとこ見ると、
お前も女子だったんだなって」
”ベシ”
「いって~」
ふん。
どうせ会長や書記ちゃんと比べられたら。
くそ、毒でも入れたろか。
・・・・あ、そうだ、稲村君って確か数学得意だったよね。
会計は伊達じゃないっていってたし。
「はい、どうぞ。
どこからどう見ても女子の淹れた紅茶です」
「・・・すみません」
「あ、あのさ稲村君」
「ん、どうした。
大丈夫だ、飲めるぞ、この女子の淹れてくれた紅茶」
「ありがとう。
じゃなくて、あのさ少し数学教えてくれてもいい?」
「ん、どうした」
「誰にも言わないでね、絶対よ」
”ぱさ”
「うへぇ、なにこの点数。
お前、マジやばいぞ」
「う、うん、だからお願い。
数学、教えて。
生徒会役員の追試第一号はヤダ」
「まったく、どうすればこんな点数とれるんだ。
しかも、”かもしれない”ってなんだ。
ほら、教科書出してみろ」
・
・
・
「ほらここ、ここがだな・・・」
「うん。 あっ、そうか」
・
・
・
「と、解けた。
ねぇ、あってるでしょ?」
「うん、あってる。
な、難しくないだろう」
「うん、でも稲村君の教え方が上手なのかも。
すっごくわかりやすい」
「そ、そうか。
ごほん。
あのな三ヶ木、数学ってのは恋愛と違ってな、
解き方さえ間違わなければ、必ず正しい答えに
たどり着くんだ」
「へぇ~、稲村君、かっこいい」
「な、なんだよ。
・・・最近、俺も分かったんだ」
「少し見直した。
いい男だねあんた」
「おい、もう教えてやらない」
「いや~、冗談だよ。
見捨てないでお願い、えへ♡」
「きも!」
「ひどい。
・・・・で、でさ、どっち?」
「ん? 何がだ」
「会長と書記ちゃん、どっち狙ってんの?」
「ぶふぁ! な、なにいってんだ。
お前には関係のないことだ。
そんなことより、お前のほうこそどうなんだ」
「ん、どうって?」
「先週の月曜日、比企谷を連れて体育館の裏に行ったろ。
なんか、二人して思い詰めた顔して。
告ったのか?」
「あ~、あれ。
あれはそんなんじゃないよ。
あんね、絶対秘密だよ。
ちょっと耳かして」
「うん?」
「ふぅ~」
「おい、三ヶ木」
”ボコ”
「いった~ 女子に手を出すなんて。
最低だよ。
実はさ、あんとき体育館に戸塚君がいてさ。
比企谷君は戸塚君の・・・」
・
・
・
「うそ、それやばくないか?
へぇ~、比企谷はそっち系か。
こわ~
それで由比ヶ浜さんや会長に対してあんな感じなんだ。
やっと解が出た」
「結衣先輩とわたしがなんです?」
「げぇ、会長」
「いや、何でもない。
なぁ三ヶ木」
「稲村君が、お二人の電話番号教えろってしつこいんです」
「稲村先輩・・・・・・キモ」
「いや、違う。違うよ会長。
三ヶ木、もう勉強教えてやらないから」
「ご、ごめんなさい。
冗談だよ、見捨てないで~」
「前々から思ってたんですけど、
お二人って、仲いいんですね。
やっぱりつきあ 」
「ない! 絶対ない。
厳密にない」
おい、稲村、前よりも否定するの早いじゃない。
しかも、今回は厳密付きだし。
厳密って・・・
まぁ、いいけど。
”ガラガラ”
「ご苦労様」
「お疲れ様です」
また同伴出勤?
相変わらず仲いいね。 このバカップル!
「ちっ」
えっ、稲村君、いま”ちっ”って言った?
・・・う~ん、空耳?
そうか空耳だよね。
どうもスキー合宿から空耳が多くて。
「それじゃ、さっそく始めましょ。
あっ、その前に。
美佳先輩、ほれほれ」
ん? なにその手は。
はいはい、わかってますよ。
いま出します。
”がさがさ”
「はい、会長」
「うん、はい皆さん、これわたし達からのお土産で~す。
おひとり一箱づつどうぞ」
「うわぁ、三ヶ木先輩ありがとうございます」
「ありがとう。三ヶ木さん」
「三ヶ木、サンキュ」
「はぁ! な、なんですか。
これはわたし達二人からですよ」
「いや、だってなぁ」
「あぁ、そうだよな」
「あの、いろはちゃん。
ほら、昨日、三ヶ木先輩からメールで」
『書記ちゃん、あんね、いまお土産屋さんの試食食べまくり中。
味見最高だね~、タダだもん。
そんでね、美味しそうなクッキー見つけたんだけど買って帰るね。
あ、でもなにかアレルギーとかあった?』
「・・・・美佳先輩」
「あっ・・・その~、あっ、会長も後からお金だしてくれましたから。
五百円」
「五百円? 会長」
「いろはちゃん、五百円はちょっと・・・」
「三ヶ木、お前不憫だな」
「な、なんですか! いろいろとあったんです。
・・・・もう、始めますよ」
ーーーーーーーー
「それでは、各自、スケジュールに沿って
早速、準備お願いします。
期末考査も近いので、前倒しでよろしくで~す」
じゃあ、わたしも早速、先生方の出し物確認してこよっと。
あつ、その前に。
「本牧君、稲村君、これ各部長の連絡先ね。
それと各部長の趣味や好みも記載しておいたから」
「み、三ヶ木さん、なんで趣味まで知ってるんだ?」
ふふふ、ジゃジャジャーン。 ”三ヶ木レポート”
この手帳には、生徒会に入ってからこの約一年半の情報収集の
成果が書いてあるの。
ぼっち力をいかして気付かれないよう、みんなの会話を
収集してまとめたのよ。
一応、多方向からの情報と、できる範囲内で実際に確認して
いるから、かなり正確よ。
「美佳先輩これなんですか~」
「ひゃ~、か、返して」
「なになに、三ヶ木レポートって。
どれどれ・・・・」
「あ、あの~会長、手帳を」
「稲村君、数字オタク。
いつも数字パズルばっかりやっている。
キモ!」
「おい、三ヶ木。
お前、俺のことキモって思ってたのか」
「本牧君、すっごい保守人。
優柔不断でちょ~頼りない。
追記・・・でもね、最近すこし頼りがいがでてきた。
少し期待」
「なんだろう、三ヶ木さん喜んでいいのか?」
「へぇ~、よく観察してますね。
うん? 一色いろは・・・・・」
”ボキボキ”
えっ、シャーペン折れてるよ。
か、会長。 げ、目、目がマジだ。
「美佳先輩、書いてある内容はさておき、
なんですか、スリーサイズまで書いてあるじゃないですか!
しかもなんですか、この横のわたしの勝ちって」
「わたしの目測値です。
会長のは最新版に更新しました」
「なんですか、まったくもう。
あっ、書記ちゃんのも書いてある」
「どれ見せて。
え~、三ヶ木先輩、何でサイズを知ってるんですか?」
「えっ、書記ちゃん合ってるの?
わたしより・・・
と、兎に角、わたしの分は誤記ですから、
修正要請しますって、いぇ、これは没収です」
「わ、わたしの努力が~」
「書記ちゃん、シュレッダーかけてきて」
「はい」
物事がスムーズにいくように、いろいろ調べるのって
社会の常識じゃない。
書記ちゃん、持ってかないで~
くそ~ それならば。
・
・
・
”ドサ”
「はい、会長」
「ふぇ~、な、なんですか?」
「そろそろまずいでしょう。
送辞の原稿」
ふん、どうよ。
さっきのお返しよ。
さっさと書きなさい。
「送辞、あ~送辞の資料ですか。
そこ置いておいてください」
な、なにその余裕。
確かまだ全然手を付けてなかったはずだけど。
「会長、ちなみに城廻先輩の時も、
平塚先生に3回も書き直させられてるのだけど」
「大丈夫ですよ~
え~と、あっ、そろそろですね」
「へぇ?」
”ガラガラ”
「チース」
なんで、あんたが来るのよ。
はっ、まさか、また会長が。
げ、その笑顔、やっぱり。
「はぁ~、聞くのも疲れるけど、
比企谷君、何の用でしょうか?」
「いや、あのな、一色から送辞のことで、
相談にのってくれって頼まれてだな」
「先輩、遅いですよ。
ほれ、こっちこっち。」
「と、いうことだ」
あんた、よく奉仕部の二人が許したわね。
はっ、そうか、あの二人余裕あるんだね。
あの三人の関係には誰も入ってこれないって。
まぁ、これで送辞が出来上がるんなら
仕方ないか。
「せんぱ~い、これでどうです~」
おい、近い、近いって会長。
ぐぬぬ。なんだろう、もやもやする。
”とん”
「はい、どうぞ」
「お、おう」
な、なに?また紙コップ見つめて
もう、だめだからね。
そう何回も同じ手はきかないからね。
紅茶で我慢しなさい。
それに、このカバンの中のマッ缶はわたしのだから。
「はぁ~」
もう、わかった、わかったわよ。
ちくしょ~。
なんで知ってんだ、ここにマッ缶があることを。
”ゴン”
「はい、どうぞ」
「お、おう、いつもすまない」
「何で知ってたのよ」
「へぇ?」
「いぇ、その、送辞の件、よろしくお願いします。
絶対、書きあげてね」
「おう。
いや、だがこれは一色が 」
「先輩、よろしくで~す。 えへ♡」
「・・・」
・
・
・
「せんぱ~い、もう少しわたし的なものがあったほうがいいかなぁって」
「いや、お前、少しは自分で 」
「先輩、頑張ってくださいね」
「・・・」
くそ、結局、この二人が気になって職員室にいけない。
もう、くす玉の花作り終わっちゃうじゃん。
「あっ、明日から、本格的に進めるとして、
必要なものの買い出しをしておかないとですね?
ねぇ、先輩」
「あっ、いろはちゃん、わたしも今日は予定大丈夫だよ。
なんなら一緒に 」
「買い出しとか、重たいじゃないですか?
先輩、いつも時間は空いてますよね」
「ダメです! 会長は送辞が書き上がるまで
監禁です」
「えぇ~」
あっぶな~。
少しでも油断すると逃げ出すんだから。
今日こそは仕上げてよ。
わたしのマッ缶、提供しているんだから。
「いろはちゃん、わたしが行ってくるよ」
「じゃあ、藤沢さん、一緒に行こうか」
おい、本牧、公私混同かよ。
全く最近の若い者は・・・
「いや、買い出しだったら、俺が一緒に行こう。
俺、会計だから」
「ん?」
「ん!」
な、なに? いや~、やめて。
二人とも落ち着いて。
ちょ、ちょっと会長、なに楽しんでるんですか。
仲裁しなさい。
「会長」
「わたしは送辞を書いてるとこで~す。
わくわく」
いや、わくわくじゃねぇって。
声に出てるから。
「本牧、お前公私混同すんなよ」
「そんなつもりはないが」
「あ、あの~」
ほら、書記ちゃん困ってるじゃない。
もう、モテる娘はいいわね。
ほっておこうか、うらやましいから
・・・ってそんなわけいかないよね。
え~といらない紙を丸めてっと。
”ぱこぱこ”
「何やってんの二人して、ば~か」
「いや、そ、その」
「・・・」
この場合、買い出しは会計が行くもんだって。
稲村君のほうが正しい。
本牧君のは少し公私混同かな。
まぁ、好きな子が他の男と一緒にって嫌だろうけど。
しゃ~ないな。
「まったく、なにやってんだか。
ほら、稲村君、買い出し行くよ。
書記ちゃんごめん、くす玉仕上げといてくれるかな」
「うん」
・
・
・
なによ、こいつ。
さっきからすごっく機嫌悪いの。
まったく。
「ねぇ、稲村君、二人っきりでお出かけって初めてだね。
もしかして、デートにみえるかなぁ」
「ない。絶対ない! 地球がひっくり返ってもない」
おい、地球ひっくり返っちゃうのかい。
くっそ~、こいつは。
「ほれほれ、女子と二人っきりだよ。
もっと嬉しい顔しなよ、我慢せずに。
なんなら手繋ぐ?」
「いや、だってお前とだからな。
やめとく」
ひど。
・
・
・
「大体こんなもんかな。
三ヶ木、他に必要なものあるか?」
「う~ん、そうだね。 あとチロロチョコ」
「却下。
全くお前は。
あっ・・・」
ん、どした、稲村君。
なに固まってんの?
あっ、書記ちゃんと本牧君。
ん、書記ちゃん今こっち見た?
「ねぇ、牧人君、これ似合うかなぁ」
「牧人君?・・・・あぁ、すごくよく似合うと思うよ」
「ほんと? 牧人君はこっちが似合うよ」
な、なに、あのアツアツ度。
いつもの2倍は熱いんだけど。
はっ、い、稲村君?
「あ、そうだ。 デジカメのメモリーいるんだよ。
ねぇ、行こう稲村君」
「あぁ、わかった」
あ~ビビった。
何だろう、書記ちゃん絶対気付いてたよね。
あっ!
「ヒッキー、これ可愛くなくない?
ほらほら」
「可愛くなくないって、可愛いのか可愛くないのかどっちだ」
「もう、ヒッキーは。
ど、どう似合う・・・かな?」
「まぁ、似合うと思うぞ。
いいんじゃないか」
「えへへ、じゃあさあ、ホワイトデーにお願いね」
「断る!
断じて断る。
チョコと帽子じゃ、俺の割りが合わん」
「え~、いいじゃん。
折角、ヒッキーが似合うって言ってくれたのに。
・・・・ヒッキー、だめ?」
な、なに結衣ちゃん、その上目遣い。
そんなに言われたら、そりゃ、いちころだよ。
「・・・それまで売れ残ってたらな」
「うん。
もし、なかったら違うのにする」
「チョコと割りが合うやつな」
ね、やっぱり。
わたしも勉強しょうっと
えっと上目遣いで”ダメ”だね。
「・・・・ねぇヒッキー、美佳っちにもちゃんとお返しあげてね」
「あぁ、三ヶ木の分ならもう買ったぞ」
え、わたしの分、準備してくれてるの?
な、なにかな。
結衣ちゃんが帽子なら、わたしは・・・なんでもいいよ。
だって、もう、袖のボタンもらってるもん。
内緒だけど。
「はや。
もう買ったの? で、なに買ったの」
「ふふん、あいつの好きそうなものはわかりやすいからな」
なんだろう? そんなにわたしのことも見てくれてたんだね。
なんかすごい期待。
そうだよね、わたし抱き着かれてるし、
お互いに肌を見せあった仲だし。
「ん~なんか複雑。
で、なに買ったの?」
「バレンタイン限定、絶対義理チロロチョコ詰め合わせセットだ」
お、おい、それって、売れ残ってたやつだろう。
わたしでも買わなかったやつだ。
ははは、結衣ちゃんは帽子で、わたしは売れ残り。
これが現実だよね。
大丈夫、わかってるって。
「な、なんか微妙な感じだね。
・・・・あのさ、ヒッキー。
美佳っちのチョコって本当に義理チョコだと思う?」
「絶対義理チョコだろ。
メモに義理だ義理だって書いてあったぞ」
「で、でもさ。小町ちゃんに写真見せてもらったけど、
あれ絶対手作りだよね。
しかも結構な手間暇かかってたみたいだし」
「義理だ。
その証拠に俺の番号はいまだ着信拒否だ」
「そ、そうなんだ」
そ、そうよ。ぎりチョコよ。
でもね、ぎりはぎりでもギリギリのギリ。
結衣ちゃん、大丈夫だよ。
わ、わたしは応援団だから。義理チョコで十分。
・・・チロロチョコ大好きだから。
「三ヶ木、大丈夫か?」
「へぇ、なんのこと?」
「いや、何でもない。
なぁ、ちょっと喫茶店でもよっていくか?」
「うん」
・
・
・
「コーヒーでいいか?」
「うん」
「すみません、コーヒーを二つ」
・
・
・
げ、空気が重い。
さっきから稲村君、難しい顔して黙りこくってるよ。
何とかしなくちゃだね。
「あ、あんね、なんかごめんね稲村君」
「ん? あ~、さっきのことか。
大丈夫だ、俺のほうは気にするな。
わかってたんだ。
あのな、この前の土曜日、書記と映画に行ったんだ」
「えっ、ふたりで?」
「あぁ ふたりで。
それでな、なんか感じで分かった。
ああ、これは違うなぁって。
なんか、無理してるのわかったんだ。
ほら、書記って生徒会の雰囲気とか気にするだろう。
だから、付き合ってくれたんだなぁって」
・・・稲村君。
スキー合宿いってた時にそんなことがあったんだね。
大丈夫かなぁ。
仕方ない、ここはわたしが一肌脱ごう。
え~脱いじゃうの。 また脱ぐの。
違うって、なんだかほっとけないじゃん。
・・・多分、わたし、自分のこと重ねてるのかなぁ。
「あ、あんね 稲村君。
わたしでよかったら、書記ちゃんの代わりにならないと思うけど、
しばらく付き合ってあげようか?」
「げ、三ヶ木、俺のこと好きなのか?
ってバカ。
無理すんな、大丈夫だよ。
それに、お前こそ大丈夫か?」
「へぇ? 何のことかなぁ~」
「ふっ、まあいいさ。
・・・・・それにさ、
もし、なんかの間違いでお前と付き合うなら、
書記の代わりとしてでなく、俺はちゃんと誠心誠意、
お前だけに向きあうつもりだ。
・・・そんな時が来たら、
お前には、お前だからかもしれんが、
俺だけをみていてほしいと思う。
だから、偽物とわかっていてお前とは付き合えない。
まぁ、そんなときは地球が滅亡するぐらい無いけど」
「地球滅亡しちゃうの!
それ複雑なんだけど。
まぁいいわ」
稲村君、少し見直したよ。
ちょっといい男だね。
「・・・・・今はな」
「へぇ? なんか言った」
「いや、そろそろ帰るか」
「うん」
「じゃあ、350円」
「はぁ?」
「はぁじゃねぇ、コーヒー代」
「稲村君、普通、男の人が奢ってくれるんじゃないの?」
「何で奢らなならん」
「セコ! じょ、女子と喫茶店トークできたんだから、
稲村君、おごりなさい」
「断る! 絶対嫌だ」
そ、そうだ、こんな時は。
「・・・稲村く~ん、だめ?」
ど、どうよこの上目遣い。
完璧だろ、ほれいちころだろ。
「絶対、断る」
「げぇ・・・ケ、ケチ!」
くしょ~。 あと500円しかないじゃない。
さっきの言葉やっぱなし、いい男じゃない。
ケチは嫌い。
「いや、ケチじゃないぞ。
消費税分はおごってやる」
「・・・・・ありがとうございます」
・
・
・
「ただいま!」
って、とうちゃん残業だよね。
ほんと、毎日ご苦労様。
よし、腕によりをかけて美味しいもの作るからね。
って、その前に、
”ごそごそ”
ふふふ、会長甘いよ。
これが裏三ヶ木レポート。
このUSBのほうが本物だよ~。
え~と、稲村君っと。
追記
ほんとはやさしいやつ。
すこしいい男だね♡
・・・でも、めっちゃくちゃケチ!
コーヒーぐらいおごれよ~
最後までありがとうございました。
生徒会の貴重なメンバーの稲村君。
原作でも稲村君の活躍があまりなくて・・・
卒業生を送る会に向け、結束できるかな。
※最近、なかなか、八幡編が書けなく、
オリヒロ編ばっかりに。
なんとかしなければ。