似て非なるもの   作:裏方さん

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今回もありがとうございます。

スキー合宿も終わっていよいよ卒業生を送る会も本番に。

でも、そんな生徒会に・・・

オリヒロにも危機が。

では、よろしくお願いします。


横恋慕

「三ヶ木、授業が終わったら職員室へ来い!」

 

「へぇ? あっ、はい」

 

えっ、な、なに。

入生田先生、なんかすんごく怒ってらっしゃる。

なにがばれたんだろう。

あのことかな? いや、あれは誰にも見られてないはず。

だって、授業中、無性にチロロ食べたくなったんだもん。

それとも、授業中に生徒会の資料書いてたの見つかってた?

あっ、わかった。 

この前、トイレの後に手を洗わなかったからって、

おい、小学生か。

まぁ、今はとにかくまじめに授業受けとこ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「失礼します。」

 

あっ、平塚先生。

今日もきれいだなぁ~

わたしもあんな風になりたいなぁ~

 

・・・ おい広川、仕事しろ仕事。

なにマンガ読んでんだ。

難しそうな顔してもバレバレだっての。

 

”ボコ” 

 

ほら、平塚先生に殴られた。

 

「ん、三ヶ木どうした?

 何か生徒会の用事か?」

 

「あっ、平塚先生。

 今日はちょっと・・・」

 

「おい、三ヶ木」

 

「は、はい」

 

なんだろう。

なにがばれたんだろう?

すんごいしかめっ面だよ。

元々から怖いのに。

 

「そこ、座れ」

 

「はい」

 

”ひらひら”

 

「なんだこれは」

 

げっ、これは先週の数学の小テスト。

 

「この点数はなんだ。

 それになんで二問目の回答を、三問目の回答欄に

 書いているんだ。

 答えも解き方も間違ってるけど。

 それに最後の証明問題、”・・・かもしれない”ってなんだ。

 なにがかもしれないんだ」

 

「そ、それは・・・」

 

だって、あの小テストの前の昼休み、あいつにいきなり手繋がれて、

校舎内を連れまわされたんだもん。

それに、あいつ自分の上着をわたしに掛けてくれてて・・・

だからわたし、・・・・かもしれないって。

 

「す、すみません。

 ちょっと、答えに自信がなくて。

 正解じゃないかもしれないと思ったもので」

 

「お前、最近、すこし浮ついていないか?

 次の期末考査、成績次第ではわかってるな。

 生徒会だからって容赦しないぞ」

 

「はい、すみません」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「はぁ~」

 

特別棟へ向かう廊下に響き渡る、わたしのため息。

手に握りしめられた一枚の紙。

そう、これがわたしの現実なんだなぁ。

 

「どうしよう」

 

数学って苦手だもん。

だってあんな公式とかって、日常生活で使うときある?

まったく。

 

”スタスタ”

 

ん?

ほんと禍々しいね。

この黄色と黒色のデザイン。

なかなか他の飲み物と入れ替わらないってことは、

やっぱ、ここで買う人いるんだね。

それとも、あいつ一人の力とか?

まったく、こうなったのも全てあいつのせい。

あいつがほんと、すけこましだから。

・・・こんな辛い時は、この馬鹿げたほど甘いコーヒーだよね?

その甘さでわたしを癒して。

 

”ガタ”

 

「よっ、お疲れ」

 

「あっ、稲村君。

 今から?」

 

「今からだ。

 なに、お前それ飲むの?」

 

「えっ、あの・・・そんな訳ないじゃん。

 押し間違えたの」

 

「ふ~ん、まぁいいけど。

 行くか」

 

「うん」

 

”ガラガラ”

 

「お疲れ様! ってまだ誰も来てないか」

 

「うん。

 でも鍵は開いてたのに」

 

うんしょっと。

さて荷物を置いたら、お仕事お仕事。

 

「稲村君、いま紅茶淹れるけど、どう?」

 

「あぁ、ありがとう」

 

「ルン、ルン、ルン♬」

 

ん、なんか痛い視線が・・・

 

「あ、あの~稲村君。

 なにか?」

 

「いや、そうやってるとこ見ると、

 お前も女子だったんだなって」

 

”ベシ”

 

「いって~」

 

ふん。

どうせ会長や書記ちゃんと比べられたら。

くそ、毒でも入れたろか。

・・・・あ、そうだ、稲村君って確か数学得意だったよね。

会計は伊達じゃないっていってたし。

 

「はい、どうぞ。 

 どこからどう見ても女子の淹れた紅茶です」

 

「・・・すみません」

 

「あ、あのさ稲村君」

 

「ん、どうした。 

 大丈夫だ、飲めるぞ、この女子の淹れてくれた紅茶」

 

「ありがとう。

 じゃなくて、あのさ少し数学教えてくれてもいい?」

 

「ん、どうした」

 

「誰にも言わないでね、絶対よ」

 

”ぱさ”

 

「うへぇ、なにこの点数。

 お前、マジやばいぞ」

 

「う、うん、だからお願い。

 数学、教えて。

 生徒会役員の追試第一号はヤダ」

 

「まったく、どうすればこんな点数とれるんだ。

 しかも、”かもしれない”ってなんだ。

 ほら、教科書出してみろ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ほらここ、ここがだな・・・」

 

「うん。 あっ、そうか」

 

     ・

     ・

     ・

 

「と、解けた。

 ねぇ、あってるでしょ?」

 

「うん、あってる。

 な、難しくないだろう」

 

「うん、でも稲村君の教え方が上手なのかも。

 すっごくわかりやすい」

 

「そ、そうか。 

 ごほん。

 あのな三ヶ木、数学ってのは恋愛と違ってな、

 解き方さえ間違わなければ、必ず正しい答えに

 たどり着くんだ」

 

「へぇ~、稲村君、かっこいい」

 

「な、なんだよ。

 ・・・最近、俺も分かったんだ」

 

「少し見直した。

 いい男だねあんた」

 

「おい、もう教えてやらない」

 

「いや~、冗談だよ。

 見捨てないでお願い、えへ♡」

 

「きも!」

 

「ひどい。

 ・・・・で、でさ、どっち?」

 

「ん? 何がだ」

 

「会長と書記ちゃん、どっち狙ってんの?」

 

「ぶふぁ! な、なにいってんだ。

 お前には関係のないことだ。

 そんなことより、お前のほうこそどうなんだ」

 

「ん、どうって?」

 

「先週の月曜日、比企谷を連れて体育館の裏に行ったろ。

 なんか、二人して思い詰めた顔して。

 告ったのか?」

 

「あ~、あれ。

 あれはそんなんじゃないよ。

 あんね、絶対秘密だよ。

 ちょっと耳かして」

 

「うん?」

 

「ふぅ~」

 

「おい、三ヶ木」

 

”ボコ”

 

「いった~ 女子に手を出すなんて。

 最低だよ。

 実はさ、あんとき体育館に戸塚君がいてさ。

 比企谷君は戸塚君の・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「うそ、それやばくないか? 

 へぇ~、比企谷はそっち系か。

 こわ~

 それで由比ヶ浜さんや会長に対してあんな感じなんだ。

 やっと解が出た」

 

「結衣先輩とわたしがなんです?」

 

「げぇ、会長」

 

「いや、何でもない。

 なぁ三ヶ木」

 

「稲村君が、お二人の電話番号教えろってしつこいんです」

 

「稲村先輩・・・・・・キモ」

 

「いや、違う。違うよ会長。 

 三ヶ木、もう勉強教えてやらないから」

 

「ご、ごめんなさい。

 冗談だよ、見捨てないで~」

 

「前々から思ってたんですけど、

 お二人って、仲いいんですね。

 やっぱりつきあ 」

 

「ない! 絶対ない。

 厳密にない」

 

おい、稲村、前よりも否定するの早いじゃない。

しかも、今回は厳密付きだし。

厳密って・・・

まぁ、いいけど。

 

”ガラガラ”

 

「ご苦労様」

 

「お疲れ様です」

 

また同伴出勤?

相変わらず仲いいね。 このバカップル!

 

「ちっ」

 

えっ、稲村君、いま”ちっ”って言った?

・・・う~ん、空耳? 

そうか空耳だよね。

どうもスキー合宿から空耳が多くて。

 

「それじゃ、さっそく始めましょ。

 あっ、その前に。

 美佳先輩、ほれほれ」

 

ん? なにその手は。

はいはい、わかってますよ。

いま出します。

 

”がさがさ”

 

「はい、会長」

 

「うん、はい皆さん、これわたし達からのお土産で~す。

 おひとり一箱づつどうぞ」

 

「うわぁ、三ヶ木先輩ありがとうございます」

 

「ありがとう。三ヶ木さん」

 

「三ヶ木、サンキュ」

 

「はぁ! な、なんですか。

 これはわたし達二人からですよ」

 

「いや、だってなぁ」

 

「あぁ、そうだよな」

 

「あの、いろはちゃん。

 ほら、昨日、三ヶ木先輩からメールで」

 

『書記ちゃん、あんね、いまお土産屋さんの試食食べまくり中。 

 味見最高だね~、タダだもん。

 そんでね、美味しそうなクッキー見つけたんだけど買って帰るね。

 あ、でもなにかアレルギーとかあった?』

 

「・・・・美佳先輩」

 

「あっ・・・その~、あっ、会長も後からお金だしてくれましたから。

 五百円」

 

「五百円? 会長」

 

「いろはちゃん、五百円はちょっと・・・」

 

「三ヶ木、お前不憫だな」

 

「な、なんですか! いろいろとあったんです。

 ・・・・もう、始めますよ」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

「それでは、各自、スケジュールに沿って

 早速、準備お願いします。

 期末考査も近いので、前倒しでよろしくで~す」

 

じゃあ、わたしも早速、先生方の出し物確認してこよっと。

あつ、その前に。

 

「本牧君、稲村君、これ各部長の連絡先ね。

 それと各部長の趣味や好みも記載しておいたから」

 

「み、三ヶ木さん、なんで趣味まで知ってるんだ?」

 

ふふふ、ジゃジャジャーン。 ”三ヶ木レポート”

この手帳には、生徒会に入ってからこの約一年半の情報収集の

成果が書いてあるの。

ぼっち力をいかして気付かれないよう、みんなの会話を

収集してまとめたのよ。

一応、多方向からの情報と、できる範囲内で実際に確認して

いるから、かなり正確よ。

 

「美佳先輩これなんですか~」

 

「ひゃ~、か、返して」

 

「なになに、三ヶ木レポートって。

 どれどれ・・・・」

 

「あ、あの~会長、手帳を」

 

「稲村君、数字オタク。

 いつも数字パズルばっかりやっている。

 キモ!」

 

「おい、三ヶ木。

 お前、俺のことキモって思ってたのか」

 

「本牧君、すっごい保守人。

 優柔不断でちょ~頼りない。

 追記・・・でもね、最近すこし頼りがいがでてきた。

 少し期待」

 

「なんだろう、三ヶ木さん喜んでいいのか?」

 

「へぇ~、よく観察してますね。 

 うん? 一色いろは・・・・・」

 

”ボキボキ”

 

えっ、シャーペン折れてるよ。

か、会長。 げ、目、目がマジだ。

 

「美佳先輩、書いてある内容はさておき、

 なんですか、スリーサイズまで書いてあるじゃないですか!

 しかもなんですか、この横のわたしの勝ちって」

 

「わたしの目測値です。 

 会長のは最新版に更新しました」

 

「なんですか、まったくもう。

 あっ、書記ちゃんのも書いてある」

 

「どれ見せて。

 え~、三ヶ木先輩、何でサイズを知ってるんですか?」

 

「えっ、書記ちゃん合ってるの?

 わたしより・・・

 と、兎に角、わたしの分は誤記ですから、

 修正要請しますって、いぇ、これは没収です」

 

「わ、わたしの努力が~」

 

「書記ちゃん、シュレッダーかけてきて」

 

「はい」

 

物事がスムーズにいくように、いろいろ調べるのって

社会の常識じゃない。

書記ちゃん、持ってかないで~

くそ~ それならば。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ドサ”

 

「はい、会長」

 

「ふぇ~、な、なんですか?」

 

「そろそろまずいでしょう。

 送辞の原稿」

 

ふん、どうよ。

さっきのお返しよ。

さっさと書きなさい。

 

「送辞、あ~送辞の資料ですか。

 そこ置いておいてください」

 

な、なにその余裕。

確かまだ全然手を付けてなかったはずだけど。

 

「会長、ちなみに城廻先輩の時も、

 平塚先生に3回も書き直させられてるのだけど」

 

「大丈夫ですよ~

 え~と、あっ、そろそろですね」

 

「へぇ?」

 

”ガラガラ”

 

「チース」

 

なんで、あんたが来るのよ。

はっ、まさか、また会長が。

げ、その笑顔、やっぱり。

 

「はぁ~、聞くのも疲れるけど、

 比企谷君、何の用でしょうか?」

 

「いや、あのな、一色から送辞のことで、

 相談にのってくれって頼まれてだな」

 

「先輩、遅いですよ。

 ほれ、こっちこっち。」

 

「と、いうことだ」

 

あんた、よく奉仕部の二人が許したわね。

はっ、そうか、あの二人余裕あるんだね。

あの三人の関係には誰も入ってこれないって。

まぁ、これで送辞が出来上がるんなら

仕方ないか。

 

「せんぱ~い、これでどうです~」

 

おい、近い、近いって会長。

ぐぬぬ。なんだろう、もやもやする。

 

”とん”

 

「はい、どうぞ」

 

「お、おう」

 

な、なに?また紙コップ見つめて

もう、だめだからね。

そう何回も同じ手はきかないからね。

紅茶で我慢しなさい。

それに、このカバンの中のマッ缶はわたしのだから。

 

「はぁ~」

 

もう、わかった、わかったわよ。

ちくしょ~。

なんで知ってんだ、ここにマッ缶があることを。

 

”ゴン”

 

「はい、どうぞ」

 

「お、おう、いつもすまない」

 

「何で知ってたのよ」

 

「へぇ?」

 

「いぇ、その、送辞の件、よろしくお願いします。

 絶対、書きあげてね」

 

「おう。

 いや、だがこれは一色が 」

 

「先輩、よろしくで~す。 えへ♡」

 

「・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「せんぱ~い、もう少しわたし的なものがあったほうがいいかなぁって」

 

「いや、お前、少しは自分で 」

 

「先輩、頑張ってくださいね」

 

「・・・」

 

くそ、結局、この二人が気になって職員室にいけない。

もう、くす玉の花作り終わっちゃうじゃん。

 

「あっ、明日から、本格的に進めるとして、

 必要なものの買い出しをしておかないとですね?

 ねぇ、先輩」

 

「あっ、いろはちゃん、わたしも今日は予定大丈夫だよ。

 なんなら一緒に 」

 

「買い出しとか、重たいじゃないですか?

 先輩、いつも時間は空いてますよね」

 

「ダメです! 会長は送辞が書き上がるまで

 監禁です」

 

「えぇ~」

 

あっぶな~。

少しでも油断すると逃げ出すんだから。

今日こそは仕上げてよ。

わたしのマッ缶、提供しているんだから。

 

「いろはちゃん、わたしが行ってくるよ」

 

「じゃあ、藤沢さん、一緒に行こうか」

 

おい、本牧、公私混同かよ。

全く最近の若い者は・・・

 

「いや、買い出しだったら、俺が一緒に行こう。

 俺、会計だから」

 

「ん?」

 

「ん!」

 

な、なに? いや~、やめて。

二人とも落ち着いて。

ちょ、ちょっと会長、なに楽しんでるんですか。

仲裁しなさい。

 

「会長」

 

「わたしは送辞を書いてるとこで~す。

 わくわく」

 

いや、わくわくじゃねぇって。

声に出てるから。

 

「本牧、お前公私混同すんなよ」

 

「そんなつもりはないが」

 

「あ、あの~」

 

ほら、書記ちゃん困ってるじゃない。

もう、モテる娘はいいわね。

ほっておこうか、うらやましいから

・・・ってそんなわけいかないよね。

え~といらない紙を丸めてっと。

 

”ぱこぱこ”

 

「何やってんの二人して、ば~か」

 

「いや、そ、その」

 

「・・・」

 

この場合、買い出しは会計が行くもんだって。

稲村君のほうが正しい。

本牧君のは少し公私混同かな。

まぁ、好きな子が他の男と一緒にって嫌だろうけど。

しゃ~ないな。

 

「まったく、なにやってんだか。

 ほら、稲村君、買い出し行くよ。

 書記ちゃんごめん、くす玉仕上げといてくれるかな」

 

「うん」

 

     ・

     ・

     ・

 

なによ、こいつ。

さっきからすごっく機嫌悪いの。

まったく。

 

「ねぇ、稲村君、二人っきりでお出かけって初めてだね。

 もしかして、デートにみえるかなぁ」

 

「ない。絶対ない! 地球がひっくり返ってもない」

 

おい、地球ひっくり返っちゃうのかい。

くっそ~、こいつは。

 

「ほれほれ、女子と二人っきりだよ。

 もっと嬉しい顔しなよ、我慢せずに。

 なんなら手繋ぐ?」

 

「いや、だってお前とだからな。

 やめとく」

 

ひど。

 

     ・

     ・

     ・

 

「大体こんなもんかな。

 三ヶ木、他に必要なものあるか?」

 

「う~ん、そうだね。 あとチロロチョコ」

 

「却下。

 全くお前は。

 あっ・・・」

 

ん、どした、稲村君。

なに固まってんの?

あっ、書記ちゃんと本牧君。

ん、書記ちゃん今こっち見た?

 

「ねぇ、牧人君、これ似合うかなぁ」

 

「牧人君?・・・・あぁ、すごくよく似合うと思うよ」

 

「ほんと? 牧人君はこっちが似合うよ」

 

な、なに、あのアツアツ度。

いつもの2倍は熱いんだけど。

はっ、い、稲村君?

 

「あ、そうだ。 デジカメのメモリーいるんだよ。

 ねぇ、行こう稲村君」

 

「あぁ、わかった」

 

あ~ビビった。

何だろう、書記ちゃん絶対気付いてたよね。

あっ!

 

「ヒッキー、これ可愛くなくない? 

 ほらほら」

 

「可愛くなくないって、可愛いのか可愛くないのかどっちだ」

 

「もう、ヒッキーは。

 ど、どう似合う・・・かな?」

 

「まぁ、似合うと思うぞ。

 いいんじゃないか」

 

「えへへ、じゃあさあ、ホワイトデーにお願いね」

 

「断る!

 断じて断る。

 チョコと帽子じゃ、俺の割りが合わん」

 

「え~、いいじゃん。

 折角、ヒッキーが似合うって言ってくれたのに。

 ・・・・ヒッキー、だめ?」

 

な、なに結衣ちゃん、その上目遣い。

そんなに言われたら、そりゃ、いちころだよ。

 

「・・・それまで売れ残ってたらな」

 

「うん。

 もし、なかったら違うのにする」

 

「チョコと割りが合うやつな」

 

ね、やっぱり。

わたしも勉強しょうっと

えっと上目遣いで”ダメ”だね。

 

「・・・・ねぇヒッキー、美佳っちにもちゃんとお返しあげてね」

 

「あぁ、三ヶ木の分ならもう買ったぞ」

 

え、わたしの分、準備してくれてるの?

な、なにかな。

結衣ちゃんが帽子なら、わたしは・・・なんでもいいよ。

だって、もう、袖のボタンもらってるもん。

内緒だけど。

 

「はや。

 もう買ったの? で、なに買ったの」

 

「ふふん、あいつの好きそうなものはわかりやすいからな」

 

なんだろう? そんなにわたしのことも見てくれてたんだね。

なんかすごい期待。

そうだよね、わたし抱き着かれてるし、

お互いに肌を見せあった仲だし。

 

「ん~なんか複雑。

 で、なに買ったの?」

 

「バレンタイン限定、絶対義理チロロチョコ詰め合わせセットだ」

 

お、おい、それって、売れ残ってたやつだろう。

わたしでも買わなかったやつだ。

ははは、結衣ちゃんは帽子で、わたしは売れ残り。

これが現実だよね。

大丈夫、わかってるって。

 

「な、なんか微妙な感じだね。

 ・・・・あのさ、ヒッキー。

 美佳っちのチョコって本当に義理チョコだと思う?」

 

「絶対義理チョコだろ。

 メモに義理だ義理だって書いてあったぞ」

 

「で、でもさ。小町ちゃんに写真見せてもらったけど、

 あれ絶対手作りだよね。

 しかも結構な手間暇かかってたみたいだし」

 

「義理だ。

 その証拠に俺の番号はいまだ着信拒否だ」

 

「そ、そうなんだ」

 

そ、そうよ。ぎりチョコよ。

でもね、ぎりはぎりでもギリギリのギリ。

結衣ちゃん、大丈夫だよ。

わ、わたしは応援団だから。義理チョコで十分。

・・・チロロチョコ大好きだから。

 

「三ヶ木、大丈夫か?」

 

「へぇ、なんのこと?」

 

「いや、何でもない。  

 なぁ、ちょっと喫茶店でもよっていくか?」

 

「うん」

 

     ・

     ・

     ・

 

「コーヒーでいいか?」

 

「うん」

 

「すみません、コーヒーを二つ」

 

     ・

     ・

     ・

 

げ、空気が重い。

さっきから稲村君、難しい顔して黙りこくってるよ。

何とかしなくちゃだね。

 

「あ、あんね、なんかごめんね稲村君」

 

「ん? あ~、さっきのことか。

 大丈夫だ、俺のほうは気にするな。

 わかってたんだ。

 あのな、この前の土曜日、書記と映画に行ったんだ」

 

「えっ、ふたりで?」

 

「あぁ ふたりで。

 それでな、なんか感じで分かった。

 ああ、これは違うなぁって。

 なんか、無理してるのわかったんだ。

 ほら、書記って生徒会の雰囲気とか気にするだろう。

 だから、付き合ってくれたんだなぁって」

 

・・・稲村君。

 

スキー合宿いってた時にそんなことがあったんだね。

大丈夫かなぁ。

 

仕方ない、ここはわたしが一肌脱ごう。

え~脱いじゃうの。 また脱ぐの。

違うって、なんだかほっとけないじゃん。

・・・多分、わたし、自分のこと重ねてるのかなぁ。

 

「あ、あんね 稲村君。

 わたしでよかったら、書記ちゃんの代わりにならないと思うけど、

 しばらく付き合ってあげようか?」

 

「げ、三ヶ木、俺のこと好きなのか?

 ってバカ。

 無理すんな、大丈夫だよ。

 それに、お前こそ大丈夫か?」

 

「へぇ? 何のことかなぁ~」

 

「ふっ、まあいいさ。

 ・・・・・それにさ、

 もし、なんかの間違いでお前と付き合うなら、

 書記の代わりとしてでなく、俺はちゃんと誠心誠意、

 お前だけに向きあうつもりだ。

 ・・・そんな時が来たら、

 お前には、お前だからかもしれんが、

 俺だけをみていてほしいと思う。

 だから、偽物とわかっていてお前とは付き合えない。

 まぁ、そんなときは地球が滅亡するぐらい無いけど」

 

「地球滅亡しちゃうの!

 それ複雑なんだけど。

 まぁいいわ」

 

稲村君、少し見直したよ。

ちょっといい男だね。

 

「・・・・・今はな」

 

「へぇ? なんか言った」

 

「いや、そろそろ帰るか」

 

「うん」

 

「じゃあ、350円」

 

「はぁ?」

 

「はぁじゃねぇ、コーヒー代」

 

「稲村君、普通、男の人が奢ってくれるんじゃないの?」

 

「何で奢らなならん」

 

「セコ! じょ、女子と喫茶店トークできたんだから、

 稲村君、おごりなさい」

 

「断る! 絶対嫌だ」

 

そ、そうだ、こんな時は。

 

「・・・稲村く~ん、だめ?」

 

ど、どうよこの上目遣い。

完璧だろ、ほれいちころだろ。

 

「絶対、断る」

 

「げぇ・・・ケ、ケチ!」

 

くしょ~。 あと500円しかないじゃない。

さっきの言葉やっぱなし、いい男じゃない。

ケチは嫌い。

 

「いや、ケチじゃないぞ。

 消費税分はおごってやる」

「・・・・・ありがとうございます」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ただいま!」

 

って、とうちゃん残業だよね。

ほんと、毎日ご苦労様。

よし、腕によりをかけて美味しいもの作るからね。

って、その前に、

 

”ごそごそ”

 

ふふふ、会長甘いよ。

これが裏三ヶ木レポート。

このUSBのほうが本物だよ~。

え~と、稲村君っと。

 

追記

 

ほんとはやさしいやつ。

すこしいい男だね♡

・・・でも、めっちゃくちゃケチ!

コーヒーぐらいおごれよ~




最後までありがとうございました。

生徒会の貴重なメンバーの稲村君。

原作でも稲村君の活躍があまりなくて・・・

卒業生を送る会に向け、結束できるかな。

※最近、なかなか、八幡編が書けなく、

 オリヒロ編ばっかりに。

 なんとかしなければ。

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