似て非なるもの   作:裏方さん

16 / 79
す、すみません。

投稿、めっちゃ遅くなりました。

この年末なんやかんやで・・・・

卒業生を送る会まであとすこし。

生徒会は一丸に・・・・なれるかな。

では、よろしくお願いします。


それぞれの想い

”じゃら”

 

ふぅ~、お財布の中は百円玉が5枚と・・・

 

冬の寒さが懐に直撃だね。

う~ん、どうしょうかなぁ。

で、でもさ、あいつ、ほんと美味しそうに飲むんだよね。

あの顔みてたら、なんか幸せになるんだ。

重症だね、吹っ切れたと思ってたのに。

 

・・・・・ よ、よし、しゃないか。

 

会長が世話になってるから。

うん、会長が世話になってるからだよ、なんか悪い?

え~と、100円玉と・・

 

”ガチャ”

 

ん、なに、人が買おうとしてるのに、割り込み?

し、しっつれいな奴って、えっ。

 

「ミルクティーでいいか?」

 

げ、比企谷君。

ミ、ミルクティーって、わたしに?

 

「えっ? お、おごってくれるの?」

 

「まぁな。

 いつもご馳走になってるからな。

 たまにはだ。

 いらんのならいいが」

 

「ミルクティー頂戴、絶対頂戴。

 くれ!」

 

「お、おう」

 

へへへ、奢ってもらった。

比企谷君に奢ってもらった。

 

”ガタン”

 

「ほれ」

 

「うん、ありがとう。

 じゃあ、比企谷君の分」

 

”ガチャ”

 

「いや、それじゃ奢った意味ないだろう」

 

「うううん、だってうれしいんだもん」

 

「そ、そうか」

 

「そうなのだ。 

 はい、比企谷君にはマッ缶」

 

「おう、すまない。

 今から生徒会か?」

 

「うん、今からだよ。

 もしかして呼び出し?」

 

「ああ、呼び出しだ。

 なんでも書き直しだそうだ」

 

やっぱり。

世の中、マッ缶ほど甘くないのだよ。

だって、めぐねぇでさえ、去年は三回も書き直しだったんだから。

・・・って、あんたが書いてどうすんの。

 

     ・

     ・

     ・

 

「・・・そうか、小町さん合格してるといいね」

 

「小町なら絶対合格だ。 

 ただ、その後がな」

 

「ん、その後って?」

 

「いや、小町可愛いだろ。 

 入学したら、絶対男どもに人気が出るからな」

 

「・・・・・し、心配だね」

 

ほんと、妹さん大好きなんだね。

戸塚君とどっちが好きか聞いてみようかな。

へへ、なにいってんだか。

 

なんかね、いつもと同じ廊下なのに、

なんだろう、違う廊下をあるいているみたい。

あっ、もう生徒会室ついちゃう。

比企谷君、歩くの早いよ。

なんか、もっと会話したいな。

 

”ドン”

 

「いたっ、なに? 急に立ち止まんないでよ」

 

「あのな、三ヶ木。

 なんで、俺、着信拒否になってるんだ。

 すまん、なんか理由があるんだろう。

 教えてくれないか?」

 

え、だって・・・わたし結衣ちゃん大事だもん。

わたしのほんと数少ない友人。

わたしは、あの二人みたいに頑張れないもん。

そんなに強くない。

それに、いま着信拒否解除したら、わたし・・・・・

わたし、本気になっちゃうよ!

そんで、はっきり比企谷君にふられて。

そしたら、もう、あなたの顔みれなくなって・・・・

だから、

 

「だって、比企谷君のこと嫌いだもん。

 エッチだから」

 

「や、やっぱりそうか」

 

「冗談だよ。

 あんね、なんか間違って設定しちゃったみたいでさ、

 解除の仕方わかんないんだよ。

 こんどの休みにでも、時間をみてショップにいってくるね」

 

「あ、ああ。

 そうだったのか」

 

「うん、そうだよ。 

 なに? 気にしてくれてたんだ」

 

「まぁ、そのなんだ、やっぱり少しな」

 

えへへ、そっか。

それだけで十分だよ。

ごめんね、やっぱ着信拒否だよ。

わたしは、まだふられたくない。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「チース」

 

「ご苦労様です」

 

「ああ、ご苦労さん。

 三ヶ木、ほらさっさと座れ」

 

「う、うん」

 

「今日の問題だ。

 さぁ、やってみろ」

 

稲村君、問題作ってきてくれたんだ。

よ~し、任せなさい。

 

”カキカキ”

 

「なぁ、稲村、何してんだ?」

 

「ちょっと三ヶ木がやばくてな。

 このままだと追試だ」

 

「へぇ~。

 お前馬鹿だったんだ」

 

「うっさい。 

 数学ならあんたも一緒でしょ」

 

「・・・・・、追試は受けたことがない」

 

「くっそ~」

 

ん~と、この問題は確かこの公式を使って・・・

 

     ・

     ・

     ・

 

で、できた。

ほれ完璧じゃん。

 

「稲村君、できました」

 

「だめ。

 全問間違い」

 

「ん?」

 

「やっぱ、お前この公式を間違えて憶えてたな。

 この前の小テストでも同じ間違いしてたぞ。

 ほら、この公式のここが違うんだ」

 

「へぇ、そこ2乗じゃないの」

 

「いいか三ヶ木、数学はまず公式を正確に憶えろ。

 次に、基本問題をとにかく解きまくれ。

 なんだかんだいってもそれが一番の近道だ」

 

「うん。

 稲村君流に言うと、恋愛と同じで地道な努力が一番の近道って

 ことだね」

 

「ぶふぇ、い、稲村、いつもそんなこと言ってんのか?」

 

「み、三ヶ木!」

 

「ん?」

 

「まぁいい。

 ほれ、みんな来るまでにもう一回やってみろ」

 

「うん」

 

     ・

     ・

     ・

 

「・・・なぁ、三ヶ木」

 

「うん? なんか間違ってた?」

 

「いや、あってるぞ。

 あんな、生徒会ってなんだろうな?」

 

「う~ん、その答えはないと思うよ」

 

「そうか」

 

「うん。

 だって、生徒会役員になったのだって、

 だれかさんに乗せられてなった人や、やりたくてなった人、

 ・・・人の想いに応えたくてなった人。

 みんな、いらんな思いがあると思うもん。

 だから、その答えはいろいろ」

 

「三ヶ木にとっての答えはなんだ?」

 

「・・・あのね、わたし、生徒会が終わっても、高校を卒業しても

 みんなとのつながりをもっていられる関係でいたいなぁって。

 た、例えばね、ピーって笛一つでみんなが集合するような」

 

「三ヶ木、それはないだろう。 笛一つでって。

 えっ、あるの?」

 

「あったんだ、稲村。 

 めぐり先輩が笛を吹くと集まってくんだよ、前の生徒会って」

 

「まじ? 三ヶ木マジか」

 

「ははは。

 いや、何となく呼んでるかなって気がして」

 

「すごい。

 そんな繋がり出来んのかな」

 

「出来ると思うよ。 

 だって、身近にお手本があるじゃん。

 ね、比企谷君」

 

「ん、なんのことだ?」

 

「とても強くてね、他の人は入りこめる隙間がないの。

 完全に出来上がった三人の空間」

 

「そうか。

 ・・・やっぱりそうだったんだな、三ヶ木」

 

「そうなんだよ、へへへ」

 

「おい、比企谷。

 そのマッ缶、少しくれ」

 

「お、おう、いいぞ。

 お前もマッ缶愛好家なのか?

 ほれ」

 

”ごくごく”

 

「・・・やっぱ、このマッ缶苦いな」

 

「ん? 稲村、お前病院行ったほうがいいんじゃないか?」

 

「そうだよ。 稲村君、病院いこ」

 

「いや、いい。

 ・・・甘いから」

 

”ガラガラ”

 

「お疲れ様」

 

「ご苦労様です」

 

「あっ先輩、もう来てたんですか」

 

今日も同伴バカップルかと思ったら、会長も一緒なのね。

 

”とんとん”

 

ん? なに会長机叩いて。

えっ、比企谷君・・・・・えっ、そこの席に座るの。

もうすっかり飼いならされてる。

 

「はい先輩、ここのところの修正よろしくです」

 

「お前、すこしは・・・

 いや、いい。

 はぁ~」

 

「それでは、さっそく準備しましょう。

 まずは、ビデオレターの件ですが、 」

 

「会長、今日はサッカー部とバスケ部、野球部

 の調整がとれてます」

 

「んじゃぁ、え~と副会長と・・・」

 

「会長、俺と副会長で行ってくるよ」

 

「稲村先輩?」

 

「さぁ行くか副会長」

 

「あぁ、わかった」

 

「あの、わたしも一緒に行くね」

 

「いや、いい。

 大丈夫だ、三ヶ木」

 

”ガラガラ”

 

「じゃあ、こっちは女子しかいないので

 女子会で盛り上がりましょう!」

 

「いや、俺もいるんだが」

 

「げ、先輩、なんでいるんですか。 

 え、変態?」

 

「もう、帰ってもいい?」

 

「さっさと修正しちゃってください。

 もっと、わたしらしくでお願いしますね。 えへ♡」

 

「・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あぁ、三ヶ木さんから連絡もらってるよ。

 じゃ、早速、始めようか」

 

「うん、頼むよ葉山君。

 稲村、カメラどうだ?」

 

「いけるぞ」

 

「みんな、集合~」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ご苦労さん、会長によろしくね」

 

「あぁ、協力ありがとう」

 

「ふぅ、今日の予定分おわったな」

 

「あぁ、このバスケ部が最後だ。

 ・・・・・なぁ本牧」

 

「ん?」

 

「すまなかった。

 ・・・なんかいろいろ」

 

「俺のほうこそ、すまん」

 

「おれさぁ、惚れやすいから。

 あんとき、優しく声かけてもらって勘違いしちまった」

 

「そ、そうか、そうしておこうか」

 

「あぁ、そういうことにしておいてくれ。

 それでな、またちょっと惚れかかっててな」

 

「またか?」

 

「あっ、書記ちゃんじゃないから」

 

「お、おう。

 ・・・そうか頑張れよ」

 

「まだわからない。

 なんせ地球滅亡してないから」

 

「へ?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あっ、これいいじゃないですか。

  美佳先輩、マラソン大会のスライドはこれにしましょう?」

 

「却下!」

 

「えぇ~、何でですか。

 この写真が一番よく映ってるじゃないですか」

 

「だから、それは葉山君がゴールした場面じゃないですか。

 いくら一着だとしても、主役は三年生ですから。 

 三年生の頑張ってるところがよく撮れているのにして下さい」

 

「正直、葉山先輩じゃないと華がないんですよね。

 美佳先輩、そっちの写真だけのやつはなんかありました?」

 

「はい、これどうでしょう?」

 

「あ、結構いいじゃない。

 ほら、いろはちゃん」

 

「はいはい、なんでもいいです。

 それスキャンしておいてください」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あ、球技大会はこれにしましょう。

 ほら、葉山先輩がゴール決めてるとこ」

 

「却下! 会長同じことを言わせないでください」

 

あんた、比企谷君もいるんだから、もう葉山君ネタはやめときなよ。

そんなんしてると、ほんとに手遅れになっちゃうよ。

少なくとも結衣ちゃんや雪ノ下さんは素直に告ったんだよ。

あんたどうすんの。

・・・ほんとにどうすんの?

 

「葉山先輩が映ってるだけで、女子生徒票は手がたいんですよ。

 はっ、もしかして美佳先輩、葉山先輩にときめかないなんて

 やっぱあっち系ですか?」

 

いや、違うから。 

そりゃ、葉山君は格好いいし、ほんといい人と思うけど。

好みは個人個人で違うから。

あっ、この写真は・・・

 

「ねぇ、書記ちゃん、これでいく?」

 

「うん、いいじゃない。

 三年生がんばってるし」

 

なつかしいなぁ。

これ確かはじめて前生徒会の役員がそろった時の写真だね。

記念にって撮ったんだよね。

へへ、みんな若いねぇ。 

って一年ちょっとしかたってないのに。

 

「美佳先輩」

 

この後、みんなでどんな生徒会にしようかって話したんだよね。

楽しかったな~

 

「美佳先輩」

 

あっ、そうか。

卒業式が終わったら、みんなバラバラになっちゃうんだね。

めぐねぇも遠く行っちゃうんだ。

もう、簡単にあえないね、さみしいな。

ほんとにさみしい。

 

”バン”

 

「美佳先輩!」

 

「はっ、あ、なに会長?」

 

「何じゃないです! 

 まったく、なんですかその写真、見せてください」

 

「いぇ、これは、」

 

「いいから、えぃ!」

 

”ビり!”

 

「み、美佳先輩が手を離さないから、破れたじゃないですか!」

 

「・・・・」

 

「美佳先輩?」

 

「・・・・」

 

「なんですか。

 ヘ、返事をしてください!」

 

「・・・・帰る」

 

「へ、なんですか?」

 

「今日はもう帰ります!」

 

”ガラガラ”

 

「えっ、なんで?」

 

「三ヶ木先輩、待って」

 

「書記ちゃん、すまん追いかけてくれるか」

 

「は、はい」

 

「な、なんですか、写真一枚破れたぐらいで」

 

「一色、それって前生徒会の写真じゃないか?

 ちょっと見せてみろ」

 

「そうみたいですね。 

 でも美佳先輩、前生徒会のことになると変ですよ。

 写真一枚破れたぐらいで」

 

「一色、よりによって、めぐり先輩と三ヶ木の間で破れてる。

 これが原因じゃないか?」

 

「それこそ、変ですよ。

 ほんとに城廻先輩のことになると美佳先輩は変です。

 それに、いつもいつも前生徒会のことばっかり考えてて。

 そんなに過去のことばっかり思ってるような人は、

 はっきり言って目障りですよ」

 

「一色、少し落ち着けって」

 

「だってそうじゃないですか。

 どんなに頑張っても、

 過去のいい思い出にはかなわないじゃないですか」

 

「一色、あのな 」

 

「もういいですよ、先輩。

 美佳先輩は、もう城廻先輩に引き取ってもらいます。

 もともと、城廻先輩が連れてきたんですから無理矢理に」

 

「なぁ、ちょっと聞いてくれ。

 確かに一色の言う通り、過去のいい思い出は年月を経るにつれ

 美化されるからな。

 だけどな、これからの時間は必ず過去の思い出の上に

 積み重ねられていくんだ。

 だから、相手の過去をもう少し理解してやることから

 考えてみたらどうだ。

 まぁ、それになんだ、これからの思い出もいつかいい過去の思い出に

 なるんじゃないか。 

 いま、こうして一色と話してる瞬間もな」

 

「な、なんですか先輩。

 もしかしてこれからも二人でいい思い出作っていこうって口説いてません?

 残念ながらそんなことは、もっとまともなデートに連れてってからにして

 ください、ごめんなさい。

 あっ、先輩にいい思い出なんてないから、わかんないじゃないですか。

 危うく騙されるとこでしたよ」

 

「ぐ、過去を思い出せば、もっともっと暗くなる・・・」

 

「先輩冗談ですよ、そんなに落ち込まないでください。

 それに、わたしと出会ってからの楽しい思い出があるじゃないですか」

 

「・・・・・・」

 

「なんで、もっと落ち込んでるんですか。

 まったく・・・わかりました、先輩に免じてもう少し我慢してあげます」

 

「いや、だから、今日のことは一応謝っとけって」

 

「なんでですか、お断りします。 

 だって美佳先輩が手を離さなかったから、

 破れたんじゃないですか。

 わたしが破ったわけじゃないですよ、ぷい!」

 

「一色・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「三ヶ木先輩、待ってください」

 

「ごめん 書記ちゃん。

 今日ちょっと用事があったの思い出しちゃって。

 ・・・ごめんね。

 あ、あしたは元にもどってるから。

 今日はごめんね」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「会長、今日の分のビデオレター、無事終了しました。

 あれ、書記と三ヶ木さんは?」

 

「今日は、ちょっと早く終わるそうだ。

 なぁ、一色」

 

「はい・・・送辞も書き終わったみたいですし、

 今日はちょっと早いけど終わりましょ」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

会長、早く来ないかな。

昨日、大人げなかったから、

はやく謝らないとね。

 

”ガラガラ”

 

「か、なんだ稲村君か、お疲れ様」

 

「なんだってなんだよ。

 まあいいけど、ご苦労さん」

 

「稲村君、今日もよろしくお願いします」

 

「ああ、ほれ、これやってみろ」

 

「任せなさい。

 今日のわたしはちょっと違うよ」

 

”カキカキ”

 

「ふ~ん、へ~」

 

「な、なに? さっきからうっさい。

 なんか間違ってる?」

 

「いや、すまない」 

 

     ・

     ・

     ・

「ほれ、できた。

 はい、稲村先生、お願いします」

 

「うん、全問正解だ」

 

「へへへ、昨日、頑張って勉強したんだもん」

 

「三ヶ木、 ほれ、満点のご褒美にこれやるよ」

 

「え、これ何?」

 

「塾でもらったやつだ。

 二年に習った公式と例題とかがまとめてある。

 参考になるぞ」

 

「いいの、これ大事なんじゃない?」

 

「問題ない。

 その内容はもう完璧だ」

 

「すご」

 

”ガラガラ”

 

会長、じゃなかった。

いつもの同伴バカップルか。

 

「お疲れさま」

 

「あっ三ヶ木先輩、ご苦労様です」

 

「うん、書記ちゃんも」

 

「今日、会長は平塚先生のところへ送辞もっていってからだから

 遅れるって」

 

会長遅れるのか。

一番で謝ろうと思ったのに。

早く来ないかな。

 

「それじゃ、待っててもあれだからさっそく始めよう」

 

「おう、副会長、ビデオレターいこうか」

 

「ああ、いこう。 三ヶ木さん今日はどこだっけ」

 

「えっ、ん、なに?」

 

「あ、いや、ビデオレター今日どこ行こうかなぁって」

 

「あ、ごめんなさい。

 今日は美術部と書道部、卓球部さんをお願いします」

 

「了解。

 それじゃ行ってきます」

 

”ガラガラ”

 

さて、わたしたちも始めなくちゃね。

昨日の続きっと。

 

”ブ~、ブ~”

 

ん?

 

「はい三ヶ木です。

 あ、はいはい、ありがとうございます。

 はい、では早速伺いますのでお願いします」

 

”ガサガサ”

 

え~と、確かもう一台はここにあったよね。

あ、あった。

 

「三ヶ木先輩?」

 

「あ、書記ちゃん。

 いまね、海浜総合に転任された上町先生の予定がとれたので、

 ビデオレター頂きに行ってきますね」

 

「えっ、あ、はい。

 あ、三ヶ木先輩、わたしもいっしょに 」

 

「ひとりで大丈夫だよ、書記ちゃん。

 ほら、生徒会室にだれもいないの良くないじゃん。

 それより、スライドショーの続き、お願いしてもいい?」

 

「はい、気を付けてくださいね」

 

「うん、あ、そんでもし遅くなりそうだったら直帰するね」

 

”ガラガラ”

 

「えっと、たしか牧人君に番号教えてもらってたはず」

 

     ・

     ・

     ・

 

えへへ、昨日、とうちゃんにお小遣いを前借りしておいてよかった。

自分の分のケーキも買っちゃったよ。

ふふふ、とうちゃんは娘に弱いのだ。

ちょっとお酌してあげただけなのに。

わたしも悪よのう。

あ、そうそう、そんなことしてる暇なかった。

電車きちゃうね。

えっと、パスどこだったけ。

 

”ドン”

 

あっ。

ひどいなあのおっさん。

謝れよもう。

 

「ほれ、パス落ちたぞ」

 

「あ、ありがとうございま・・・って比企谷君!」

 

「ほら、ビデオと三脚貸してみろ」

 

「いい、大丈夫だよ」

 

「いいから。

 で、どこいくんだ」

 

「うん、あのね、海浜高校に。

 転任された上町先生のビデオレターを頂きにいくの」

 

「そうか」

 

「あの、比企谷君?」

 

「おれもラノベの新刊を買いに行こうと思ってな。

 ついでだから途中まで送っていく」

 

     ・

     ・

     ・

 

なによ、途中までって海浜高校に着いちゃったじゃない。

まったく・・・・・参るよね。

 

「比企谷君、大丈夫、重くない?」

 

「ん? なにがだ。

 あ、お前か?」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

ぶ、ぶれいなやつ。

 

「あれ~、 比企谷じゃん」

 

「お、おう」

 

「なに? また新しい彼女?」

 

「いや、ちがう、そんなんじゃない。

 それに俺は彼女がいたことがない」

 

また? なにまたって。

この人だれだったけ、たしかクリパの時にいたね。

ほんと、あんたの周りかわいい娘ばっかりだね。

 

「あはは、なにそれウケる。

 今日は一色ちゃんじゃないんだ」

 

「いや、一色も彼女ではない」

 

「こんにちは。

 私、折本かおり、比企谷の元カノで~す」

 

え! ひ、比企谷君の元カノ?

な、なにがぼっちよ、この詐欺師。

 

「いや、ちがう、おい折本」

 

「ははは、ウケる、比企谷マジだ。

 冗談です、比企谷とは同中だよ」

 

「あ、三ヶ木美佳といいます。

 比企谷君とは、あの、え~と、なんだろう?」

 

「おい」

 

「あ、ただの知り合いです」

 

「あはは、ただの知り合いってウケる。

 よろしくね、美佳ちゃん」

 

「あ、はい、よろしくお願いします」

 

な、なに、この人、こんなことでウケるの?

それとも、わたしなんか変なこと言ったかなぁ。

 

「っで、今日は何? 

 なんでうちでデートしてんの」

 

「デート? ち、違います。

 あの上町先生に用事が」

 

「あ、そう、案内しようか?」

 

「いいえ、何回かお伺いしてるので大丈夫です」

 

「ふ~ん。

 じゃ、またね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

ふ~、なんか苦手だなぁ。

いい人っぽいんだけど。

わたしと正反対のような。

げ、戻ってきた。

 

「あ、比企谷、ちょっといい」

 

「ん?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ねぇ、比企谷、あの娘はやめときな。

 あの娘、重いよ。

 恋愛経験なさそうだし」

 

「いや、あいつとはそんな関係じゃない。

 なんというか、やっぱ知り合いか。

 まぁなんだ、いろいろあってな」

 

「比企谷はそう思ってるかもしれないけど、

 あの娘はどう思ってるかな」

 

「どうも思ってないだろう。

 さっきいっただろ、ただの知り合いだって」

 

「あはは、なんかウケる。

 でも、それマジで言ってるんならウケないよ。

 ・・・ほんと、もしその気がないなら、

 あまり、気を持たせるようなことはしないほうがいいよ。

 じゃあね」

 

「お、おう」

 

     ・

     ・

     ・

 

「・・・これから、人生の荒波へ航海を始める君たちが

 もし迷ったり、悩んだりしたときは、総武高校で仲間たちと

 笑い、泣き、励ましあったこの三年間の時間を思い出して

 ください。

 それがあなた達の原点です。

 そして何年か経た後、またみんなが元気で笑いあえるような時を

 願って、卒業するあなた達へのわたしの贈る言葉とします。

 頑張ってね」

 

”カチャ”

 

「はい、ありがとうございました」

 

「なんか緊張しちゃったね。

 うまく話せてたかな?」

 

「ばっちりです、三年生のみんな感動しますよ」

 

「あら、お上手。

 ありがとう」

 

「はい、それでは失礼します」

 

「気を付けてね、それとケーキありがとう」

 

”ガラガラ”

 

ふぅ、やっぱ上町先生、人気あったはずだよ。

美人だし、やさしいし、なんか大人の女の魅力?

そんなあったな。

どこかの少年漫画オタクとは違うね、美人なんだけどな。

さぁ、帰ろう。

 

「お、おい、俺を置いていくな」

 

「えっ、いたの?」

 

「ひど! まぁ、いい。 

 勝手についてきたんだしな、ほれ」

 

えっ、なに、その手?

もしかして、し、仕方ないな。

まぁ、手ぐらいいいか。

 

「あっ、・・・うん」

 

「えっ、いや、手つなぐんじゃね。

 ビデオと三脚」

 

え、手じゃないの?

はずかし~、くそ、この野郎、純真な乙女を

もて遊びやがって。

 

”ベシ!”

 

「うぉっ、な、なんで」

 

「ふん、なんでもない!

 いくよ」

 

「お、おう」

 

     ・

     ・

     ・ 

 

「なぁ、三ヶ木、一色のこと許してやってくんないか。

 悪気はなかったと思うんだ」

 

ふ、そういうことだと思った。

あんたは相変わらずだね。

ちょっとからかいたくなっちゃうじゃん。

 

「許してほしい?」

 

「ああ、許してやってくれないか」

 

「じゃあ、わたしもヒッキーって呼んでいい?」

 

な、何を言い出すのわたし。

 

「い、いや、それは勘弁してくれ」

 

「えへへ、冗談だよ。

 許すも何もないよ。

 あのね、四月からめぐ、城廻先輩が東京にいっちゃうんだ。

 あの写真見ててね。

 ついそのことを思い出しちゃって。

 そしたら、写真があんな風になっちゃったから、つい。

 わたしのほうこそ、謝ろうと思ってたんだ」

 

「そうか」

 

「うん、そうだよ」

 

・・・ヒッキー。

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

”ガタン、ゴトン”

 

「ぐふぁ」

 

「だ、大丈夫、比企谷君?」

 

「おう。

 しっかし混んでんな」

 

「うん、仕事帰りの時間帯かもね」

 

”ガタン”

 

「ぐぇっ」

 

うひゃ~二回目の壁ドンだよ。

それも、すんごく、ち、近い。 

ひえ~ 比企谷君の顔が。

わ、わたし化粧おかしくなってない?

馬鹿だね、この状況でなに考えてんの。

あっ、比企谷君、腕がプルプル震えてる。

ごめんね、ありがとう。

 

「比企谷君・・・」

 

「大丈夫だ。

 すまん、嫌だろうが少し我慢してくれ」

 

馬鹿、あんたほんとに馬鹿だね。

嫌なはずないじゃん。

どんだけあんたに助けられてんのよ、今までも今日も。

比企谷君、わたし電車が混んでることより、

あなたとこの距離でいるほうが辛いよ。

このまま、抱き着いてもいい?

 

”ガタン”

 

「きゃっ!」

 

「す、すまん」

 

い、いま、わたし比企谷君の胸のなかに・・・

あっ、心臓の鼓動が聞こえる。

これが比企谷君の心臓の音。

・・・・・・・・・・・・・もうだめ。

比企谷君・・・キスしても・・・いい?

 

「三ヶ木、目にゴミでもはいったのか。

 もう少しで駅だ、我慢してくれ」

 

はっ、わたし何をしょうと。

なんで目瞑ってたんだ

 

「あ、う、うん」

 

”プシュ~”

 

「ふぇ~、ついたね」

 

「あぁ、ひでぇ混み具合だったな。

 大丈夫だったか」

 

「うん、比企谷君のおかげで大丈夫だったよ」

 

「・・・いや、お前じゃない。

 ケーキのほうだ」

 

「はぁ!」

 

「そのケーキ、結構高いんだろう。

 雪ノ下が言ってたぞ」

 

なに? わ、わたしじゃなくて、ケーキが心配だったの。

もう、この男は・・・

あははは、やっぱ比企谷君だね。

 

「はい、比企谷君にあげる」

 

「えっ、いや、それお前のだろう」

 

「いいよ、ビデオ持ってもらったのと今も電車で助けてもらってた

 から、すこしだけどそのお礼」

 

「い、いいのか」

 

「うん、ありがと。

 それじゃ、わたし帰るね」

 

「いや、もう暗いから家まで送るつもりだ」

 

「え、比企谷君、わたしの家までついてきて

 なにをする気?

 まさか、家に上がりこんであんなことやこんなことを」

 

「いや、絶対ないから」

 

「えへへ、冗談よ、ここで大丈夫。

 比企谷君のほうこそ気を付けてね」

 

「おう、ケーキすまない。

 じゃあな」

 

「うん、また明日」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「おい、早くいけよ」

 

「えっ、比企谷君のほうこそ早くいってよ」

 

「いや、お前だろ」

 

「あんただよ」

 

「まったく、そんじゃせ~ので行くぞ」

 

「うん」

 

「せ~の」

 

”スタスタ”

 

比企谷君、ごめんだましちゃった。

気を付けて帰ってね。

バイバイ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

ごめんね、結衣ちゃん。

わたし、やっぱりもう・・・・駄目だ。

 

着信拒否解除。




今回も最後までありがとうございます。

オリヒロに一歩踏み出させてしまいました。

どうしょう、なんか関係ごちゃごちゃしてきちゃいました。

さらに、次話ではあの男が・・・・

※今年もおわりですね。
 
 ありがとうございました。

 来年こそは、締め切り守るぞ。 お~!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。