似て非なるもの 作:裏方さん
いつもありがとうございます。
ほんと、寒くなりましたが、お体気を付けてください。
4月といえば・・・そう、会長様の誕生日。
いえ、それもありますが三年生にとってはそろそろ進路を。
それでは、よろしくお願いします。
”バサ”
「稲村先輩、予算ご苦労様でした。
これで行きましょう♡。
・・・んで、なにをしたんですか! 美佳先輩。」
「え、な、なにもしてませんよ。」
「・・・・・」
「あの~、会長??」
な、なにそのジト目。
やば、み、みんなフォローし、 な、なに目逸らさないで~
「はけ。」
「いえ、わたしは、な、なにも…」
「ほほう、はかないんですね? わかりました。 書記ちゃん!」
”がし”
え、な、なに? 書記ちゃん、いきなり。
「はかないのなら。」
”ごきごき”
え、指ならして、な、なにされるの?
顔はやめて。 わたし女優だから・・・
”こちょこちょ、こちょこちょ”
「ひぇ~、や、やめて、会長~、こ、こちょばい。
きゃははははは。」
「さッさと、はきなさい。」
「あははは、いや~、やめて。 わ、わかりました、は、はきます。」
あ、あんた、なにすんのよ。
だ、男子もいるんだからね。
ほ、ほら、本牧君まで口開けて固まってるじゃん。
「まったく、世話焼かせないでください」
「あ、あのう、わたし、一応上級生なんですけど・・・」
「え~、だって誕生日、わたしと一カ月しか変わらないじゃないですか~」
「そ、そだけど。」
「んで、なにをしたんですか?」
「ほんと、経費の削減の方法を話しただけです。
古いボールの使い方とか、シャトルの選び方とか。」
「ほんとですか? 例の三ヶ木レポート使って変なことしてません?」
「はい。
・・・あ、あのう、会長の生写真は使いました。」
厚木には利かなかったけど、他の奴にはそこそこ。
やっぱ、人気あんだよね、ジャリっ娘って。
たしか、去年の人気投票、一年生で唯一の上位組だもんね。
「げ、やっぱりそんなことしてたんですか。
で、どんな写真使ったんです。」
「はい、これと同じやつ使いました。」
「う、これ使ったんですか。
これじゃ、わたしの魅力伝わらないじゃないですか。
まったく。」
”がさがさ”
な、なに探してるの?
「はい、今度からこれを使ってください。」
「え?」
「え? い、いろはちゃん、写真いいの。」
「ほら、これだったら、わたしの魅力伝わるじゃないですか~
変な写真使われるよりましです。
わかりましたか、美佳先輩。」
「あ、は、はい。 写真、使わせていただきます。」
でもこの娘、なんで、こんな写真もって歩いてんの?
この横ピース、めっちゃあざとい。・・・今度やってみようかなぁ。
「まったく美佳先輩は。
あれだけ勝手なことはだめって言っても治らないんですから。
病気です、病気。」
「・・・すみません。」
「じゃあ、稲村先輩、ん?
な、なに赤くなってんですか。」
「百合百合。 い、いや、別になにも。」
「そ、そうですか? まあいいですけど。
来週の部費折衝会までに準備お願いしますね。
よろしくです。」
「うん、わかった。」
「じゃあ、今日はお開きってことで。」
「ご苦労様でした。」
「あ、いろはちゃん、どこ行くの?」
「え、あっ、ちょっと奉仕部さんに用事があるので。
それではです♡」
”ガラガラ”
「え~と、いった?」
「うん、いないね。」
「じゃあ、みんな、来週の月曜日ってことで。」
「あ、書記ちゃん、今度は私がケーキ作ってくるね。」
「え、いいんですか?」
「うん、この前作ってもらったからお返し。」
「はい、じゃお願いします。」
・
「なぁ、三ヶ木、大岡から聞いたけど、今度から俺も一緒に行くから。」
「え~、いいよ。 それよりさ、わたし大勢の前で話するのちょっと苦手なんだ。
だから、その時はお願いね。」
これは、わたしの仕事。
だって、土下座とか、みんながいたらやりづらいこともあるから。
「あ、そうだ、今度の土曜日、空いてないか?」
「え、なに、なんかよう?」
「ああ、会長のプレゼントだけど、何がいいかわからなくて、
一緒に選んでくれないか?」
「へ~、わたしには数学パズルだったのに。 ぷん!」
「いや、悪かったって。 でも面白かったろ。」
「全部答え書いてあったじゃん!」
「いや、それはサービスってことで。」
「まったく、で、どこいけばいいの?」
「え、いいのか。 じゃ、じゃあさ、ららぽに十時でどうだ。」
「えっと、ららぽに十時っと。
ねぇ、当然、バイト代でるんでしょうね?」
「バイト代? わ、わかった。 特別だ、コーヒー奢ってやる。」
「え~、コーヒーだけ?
女の子ってさ、出かけるのにいろいろ準備するんだよ。
それなのにコーヒーだけ?
わたし的にコーヒーよりパフエ食べたいなぁ~」
「わ、わかったよ。パフエ奢ってやる。」
「やったー、言ってみるもんだね。」
「おまえ、なんか変なやつにもついて行きそうで怖い。」
「ばっか。 だれにでも奢ってなんて言わないよ。」
「そ、そうか、そうなのか。」
”ぶ~、ぶ~”
え、魔王さんのほうの雪ノ下さん?
「は、はい。」
「ひゃっはろー 三ヶ木ちゃん。
三ヶ木ちゃんの大嫌いな陽乃だよ。」
「いや、その、嫌いじゃないですよ。
・・・めぐねぇさえ独り占めしなければ。」
「あはは。全く変わらないね。
あのさ、お話があるんだけれど、今日時間ある?」
「え、あ、はい、大丈夫ですけど。」
「じゃあ、学校、迎えに行こうか?」
「いえ、確かいまは雪乃さんのマンションでよかったんですよね。」
「そうだよ。 え、場所わかるの?」
「はい、以前、教えてもらったことがありますから。」
「それじゃ、待ってるね。」
「はい。」
はぁ、魔王から呼び出しだよ。
まぁ、話の内容は想像つくけどね。
「だれから? なんか顔色悪いけど。」
「魔王から呼び出し。」
「へ?」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「はい、どなた。」
「あ、三ヶ木です。
あの~、陽乃さん、いらっしゃいますか?」
「え、三ヶ木さん? まってて今解除するから。
迎えにいくわ。」
「あ、いいよ。 大丈夫だよ部屋まで行くね。」
・
・
・
”ピンポーン”
「いらっしゃい、三ヶ木さん。」
「おじゃま、ふぇ~、な、なにこの広い部屋。 わたしの家の三倍はある。」
「おおげさよ。
適当に座ってて、いま紅茶淹れるから。」
「うん、ありがとう。」
「いらっしゃい、三ヶ木ちゃん。」
「あ、お邪魔してます。
あの、わたし陽乃さんのこと、きらいではないですよ。」
「え~、うっそ~
だってスキー合宿の時、大きらいって言われたよ。」
「うそ? 全く覚えてない。」
「まあ、三ヶ木ちゃん、だいぶ飲んでたけど。」
「え、三ヶ木さん、あなたお酒飲んでたの。」
「あ、あれは、陽乃さんが・・・」
「え、何のことかな?
それにさ、三ヶ木ちゃん、酔っぱらって
急に脱ぎだしたから、大変だったんだよ。」
「え、わ、わたし何をしたの?」
「姉さん、からかうのはおよしなさい。
三ヶ木さん、うそよ。
はい、どうぞ。」
”カチャ”
「あ、ありがとう。」
「ははは、わかっちゃった? さっすが雪乃ちゃん。
お姉ちゃんのことよくわかってるね。」
う、うそだったのね、あ~よかった。
あの時、知らないうちにベッドにいたから。
「早速本題だよ、三ヶ木ちゃん。
そろそろ学校のほうでも進路相談あるんじゃない?
どう、気持ち決まったかな。
わたしはこれでも三ヶ木ちゃんのことかってるんだよ。
わたしの力になってほしいな。」
「あ、あの わたし・・・」
「まぁ、今日返事をしなさいとは言わない。
でもね、三ヶ木ちゃん、夢を見るのはいいことだけど、
そろそろ、現実をみなきゃいけない時期だよ。
悪いこと言わない。雪ノ下建設(うち)に入りなさい。」
・
・
・
「はい、固いお話はここまで。
ね、雪乃ちゃんの手料理でも食べていかない?」
「姉さん、今日は姉さんの当番の日よ。」
「え、わたし、雪乃ちゃんの手料理食べたいな~」
「だめよ。」
「ひどーい、どう、三ヶ木ちゃんも食べていく?」
「いいえ、わたし、とうちゃんのご飯つくらないといけないから。」
「そう、じゃよく考えておいてね。」
「はい、では失礼します。」
「三ヶ木さん、送っていくわ。」
「う、うん。」
・
・
・
「三ヶ木さん、ごめんなさい、姉さんが勝手なこと言って。
気にしないで。」
「でも、そうだね、陽乃さんのいうとおり現実みなくちゃね。」
進学か・・・
うちには、そんなお金ないもんね。
答えは決まってるんだよ。
へへ、なに悩んでるんだろうね。
雪ノ下建設に入れるなんて、ホント贅沢だよ。
お給料もいっぱいもらえそうだし。
そしたら、美味しいものいっぱい食べて、いっぱいおしゃれして
そして、とうちゃん、とうちゃんにも無理させなくて済むもん。
・・・・で、でも わたし、わたしは
「三ヶ木さん、大丈夫?」
「あ、ごめん、ちょっと考えてて。
じゃあね、雪ノ下さん。」
「ねぇ、三ヶ木さん。
よかったら今度の土曜日、由比ヶ浜さん泊りに来るんだけど、あなたも来ない?」
ちなみに姉さんはいないわ。」
「え、いいの?」
「当たり前でしょう。
わたしはあなたのことを、と、友達と思ってるんだけど。」
「ありがとう、雪ノ下さん。
あ、あのさ、今度の日曜日って会長の誕生日なんだ。
んで、月曜日に誕生会するんだけれど、
ケーキのつくりかた、教えてもらってもいい?」
「え、そう、一色さんの誕生日なの。
ええ、いいわ。 一緒に作りましょう。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「先週、連絡した通り、明日から進路相談を行う。
まぁ、今はまだ意思を確認するだけだが、
親御さんとはよく話をしておくように。
わかったな、ちゃんと話をしておくんだぞ。」
な、なんよ、二回も言わなくてもわかるわよ。
しかも、わたしのこと睨んでいわなくてもいいじゃん。
・・・今日、とうちゃん、早かったっけ。
‐‐‐‐‐‐‐‐
”とんとん”
「おう、どうした美佳? 石鹸ならまだあるぞ。」
「あ、あのさ、とうちゃん、背中ながそうか。」
「お、ど、どうした。 なんかあったか?」
「いや、なんもないけど、あのさ、たまには・・・ね。」
「そうか、じゃ頼む。」
「うん。」
”ごしごし“
とうちゃんの背中、こんな小さかったっけ?
は、とうちゃん、結構白髪が増えたな。 よし。
”ぷち”
ん?
”ぷち、ぷち”
ん、ん?
”ぷち、ぷち、ブチ!”
「いったぁ、おい、最後のそれ、白髪じゃないだろう。」
「え、あ~、ごめん。」
「あいたたた。・・・・それでどうした、なんかあるんだろう?
あ、そうか、彼氏とケンカしたのか?」
「いや、いないから。
そんな人いないよ、ほんとだよ。」
「そうか。」
「とうちゃん、あんまり仕事無理しないでね。」
「おう、ありがとう。」
”ばしゃ”
「はい、おわり。 五千円。」
「うへ、やっぱりそうか。」
「えへへ、うそだよ。
いつもありがと、じゃ、先寝るね。
お風呂の掃除お願い。」
「わかった、お休み。」
「うん、おやすみなさい。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
はぁ、沙希ちゃん、進路相談長いな。
沙希ちゃん、まじめだからなぁ、いろいろ聞いてんだろうね。
ん~、たいくつ。
あ、今日雨降ってんだ。 傘もってきたっけ。
”じゃら”
ふ~ん、人魚姫のペンダントか
稲村君、人魚姫の物語、知っててこれ選んだのかな?
人魚姫か~。
「なぜ出会ったんだろう、あなたに♬
いつもそばにいたい、あなたの♬
だからわたしは全てを捨てて薬を飲むの♬
想いを伝えるこの声さえも捨てて♬
ナイフでえぐられるようなこの足の痛みに耐えて
あなたのそばにいるの♬
でもあなたの心は、会えない彼女を思っている。
わかってる。わたしは彼女の代わり♬
でもいいの、あなたのそばにいられるだけでわたしは幸せだから♬
お願い、この幸せが永遠に続きますように♬
決して結ばれないとわかっていても。
微かな、微かな希望に願いを込めて♬」
へへ、即席で歌作っちゃった。
結局、人魚姫って王子様に捨てられちゃうんだよね。
うまいこと言われてさ、利用だけされて。
王子様の心臓、刺しちゃえばよかったのに。
・・・できないよね。 だって愛してたんだもん。
自分が泡になって消えてしまっても、
好きな人の幸せ祈っちゃうよね。
「やっぱ、切ないよ・・・八幡。」
”ガタ”
「へ、あ、あんたいつから、な、なんでそこにいるの!
変態、ストーカー」
「いや、進路相談の順番だから。 ほら、俺F組の次。」
「黙って聞くことないじゃん。」
「まぁ、なんだ、うまかったからな。
その、つい聞き惚れてた。」
「ほ、惚れた? ・・・ごほん、今度だけ許してあげる。」
「いや、なんか知らんが、サンキュ。
お前も次か。」
「そう、沙希ちゃん、結構長そうなんだ。」
「お前はもう決めてんのか、進路?」
「うん。わたしは・・・就職だよ。」
「え、お前、進学しないのか?」
「うん。 うちね、進学できるほど余裕ないよ。
これ以上、とうちゃんに負担かけられない。」
「そうか。奨学金とかは調べたのか?」
「はは、ありがと。 でもわたしそんなに頭良くないし。
結構返していくの大変そうじゃん ・・・いいよ。
まぁ、みんなより先に社会に出て、先輩面してあげるからね。
んでね、いっぱいお給料もらってさ、奢ってあげる。」
「そ、そうか。
・・・ お前、それって、親にはもう話ししたのか?」
「まだだよ。でも、いいの、もう決めたの。」
「あのな、このこと親とは相談しておいたほうがいいぞ。
まぁ、よく言うことだが、子供は親に苦労をかけるものだって。
親もそのほうが嬉しいということもあるそうだ。
子供のためなら苦労も苦労じゃないとか。」
「・・・あんたになにがわかるの。」
「へ、あ、いや、そういうこともあるぞってことだ。」
「あんたもそうなんだね。
あのさ、わたし小さいころから学校から帰っても、ず~と一人だったんだよ。
ひとりで、とうちゃん帰ってくるの待ってんの。
晩御飯? お料理頑張って憶えたよ。
でもね、わたしはとうちゃん帰ってくるの待ってるの。
ひとりで食べたって美味しくないじゃん。
とうちゃんもきっと美味しくないじゃん。
だから一緒に食べたくて、いつもず~と待ってたの。
たまにはそのまま寝ちゃってね。
ほんと、わたしのせいでこんなになっちゃったのに。
それでも、とうちゃんは、わたしのこと嫌いにならないでいてくれるんだ。
わたしのこと大好きって言ってくれる。
あんた、親が子供のため苦労するの当たり前っていったね。
だったらさ、子供は親のため苦労しちゃいけないの。
わたしは、とうちゃんが大好き。
だから、頑張って働いて、とうちゃんを幸せにすんの。
とうちゃんまでいなくなったら、わたし、わたしほんと独りぼっちじゃん。」
「お前のとうちゃん、それで喜ぶのか?
それにお前のせいでこんなになっちゃったって、なにがあったんだ?」
「なんで、言わなきゃいけないの! もういいよ。」
“ガラガラ”
「ん、比企谷? あ、三ヶ木、ごめん、お待たせ。」
「あんたは、あんただけは違うと思ってたのに。
わかってくれてると思ってたのに。
だって、何にも替えられない価値って言ってくれたから。
・・・・他の人と変わらないんだね。
もういいや。」
”ガタ! ダダダ”
「み、三ヶ木?
比企谷、あんた何したんだ。」
「いや、わからん。」
「何したのさ。なにもないわけないじゃん」
「いや、おれはただ 」
・
・
・
「ふう、そっか、やっぱ、あんたが謝んな。」
「・・・そうか。」
「あんたは、三ヶ木のことを思って言った。
でもさ、人にはやっぱり触れられてほしくないとこもあるじゃん。
あんたも、中学校のこととかあんまり触れられたくないだろう?
あ、あんたMだから、違うか。」
「ちが、おれはノーマルだ。」
「まぁ、とにかく、あんたも三ヶ木も悪くない。
どっちも悪くないよ。
だけど、あんたは男だ、ここはあんたが謝んな。」
「ああ、そうだな。 わかった。」
「だけど珍しいね、あんたが他人のそんなことまで干渉するのって。」
「そ、そうか。 なんかわからんが、ついほっとけなくてな。」
「ふ~ん、そうなんだ。
まぁ、このことは雪ノ下や由比ヶ浜には黙っててやるから、さっさと謝んなよ。
あたしからも言っておいてやるからさ。」
「すまん、だがなんで雪ノ下や由比ヶ浜が関係してくるんだ。」
「はぁ~ まあ、いいけどさ。」
・
・
・
”ダダダ”
ぐすん。 はぁ、どうしてだろう。
そんなムキにならなくても、やり過ごせたはずなのに。
どうして、あいつといるとわたしは、わたしは・・・
ううう、馬鹿だね、ほんと馬鹿だ・・・もうどうでもいいや、帰る。
”ギュ”
へ、腕? なに、だれ? あっ。
「三ヶ木、かわいい女の子が、そんな顔して走ってるんじゃない。
ちょっとこい、俺が魔法かけてやる。」
「な、なにを言ってんの広川先生、魔法って」
「いいからこい。」
・
「いいの? ほんとにいいの先生。」
「ああ。お前なら。」
「知らないよ、後悔しても遅いからね。」
「おれの辞書に後悔なんて言葉はない。」
「ほ、ほんとだね。わたし真剣だよ。」
「ああ、きっとお前を幸せにしてやる。」
・
・
・
「うっま!」
「だろう。」
「なんておいしいの。このケーキ
ん~、ほんと幸せ。」
「ははは、やっとこの味にたどり着いたんだ。
苦労したんだぞ。」
「先生って何もの?」
「まあな、大学のころは授業そっちのけでケーキ屋でバイトしてたからな。
マジ、パティシエになろうと思ってた。」
「ふぇ~、このイチゴのクリームが何とも美味しい。」
「どうだ、結果は合格か。
お前の判定厳しいからな。」
「・・・・」
「ど、どうした、後悔しないから感想を言え。」
「・・・・聞かないの?」
「ん、なにをだ。」
「・・・何があったか。」
「言いたくないことは言わなくていい。
そんな時は、だまって美味しいものをいっぱい食べて、
笑ってればいいんだ。
それで、言いたくなったら、俺はここにいるから
いつでも聞いてやる。」
「先生、ありがとう。
先生ってほんとに・・・
あのね、わたしいつも思い出すんだ。
あの日のこと。」
「ん? あの日って」
「あの日だよ」
・・・
『どうしたの愛菜ちゃん。』
『わ、わたしのノートが・・・』
『ひど~い、だれ愛菜ちゃんのノート、こんなボロボロにしたの?』
『男子でしょ。』
『ち、ちがうぞ。』
『じゃ、だれよ。』
『三ヶ木じゃね?』
『愛菜ちゃん家、金持ちだから、あいつがやったんじゃね。』
『あ、おれ三ヶ木が愛菜ちゃんの机の近くにいたの見た。』
『違うよ。 わたしじゃないよ。』
『おまえだろ、謝れよ。』
『そうだ、そうだ』
『違うって。』
『『うそつき。』』
”ガラガラ”
『ん、どうした、ほら授業はじまるぞ、席に着け。』
『先生、三ヶ木が愛菜ちゃんのノート破りました。』
『違うもん。 わたしじゃない。』
『うそつけ、みんな見てたんだぞ!』
『違うもん。』
なんで、いつもわたし。 わたしなにもしてないよ。
『三ヶ木、早く謝れ。』
『せ、先生、わたしじゃない。』
『まだそんなこと言ってんのか!』
『違うってのに。』
『ん?』
『違うっていってんじゃん。』
『なんだ、その口の利き方は!
やっぱり、親に来てもらうか。』
とうちゃんに? とうちゃん知ったら心配しちゃう。
『・・・わ、わたしが 』
『は~い、先生、僕も犯人見ました。』
『はぁ? ひ、広川君なにを 』
『いえ、僕も犯人見ました。 先生が真鶴君のノート破るとこ見ました。』
『何を言うんだ君は。』
『あれ、先生、子供の言うことと大人の言うこと、どっち信じるんですか?』
『ふざけてるのかね。』
『ふざけてるのはどっちですか。』
『な、なに。』
『ちょっと真鶴君、ノート見せてくれるかなぁ。』
『はい。』
『ふむ。 おい、三ヶ木、お前のズックかせ。』
『え、におい嗅ぐの? 変態。』
『ばか、ホラ早く。』
『はい。』
『ほら、見てください。
どう見てもノートに残ってるズックの跡って、
三ヶ木のよりでかいですよ。
三ヶ木は割と身体小さいほうだから。
これは、男の子だな。
おそらく、昼休み男の子がケンカかプロレスでもして遊んでたんだろう。』
『あ、先生、昼休み、隣のクラスの子が来て、追い駆けっこしてました。』
『そうか。 多分その時に気付かず踏んでしまったんじゃないか。
なぁ、みんな、推測や思い込みで人を判断するな。
お前たちは、暴力をふるったんだぞ、一番最低の言葉の暴力。
いいか、言葉の暴力は一生その人の傷となってず~と残るんだ。
そのことをよく考えるんだ、わかったな。』
『はい。』
『あ、先生すみませ~ん、授業邪魔しました。』
『ひ、広川君、あとで話がある。』
『は~い。』
・・・
「先生、ありがとね。
でもあの後の実習、大変だったんじゃない?」
「もう忘れた お前もいい加減忘れろ。」
「忘れないもん。 わたし先生のこと大好きだよ。」
「ばっか。 そんなこといってもこのケーキは俺の分だ。
絶対やらない。」
「へへへ、残念。」
「そう、お前には笑顔が似合ってるよ。」
「先生、ありがと。 元気の魔法掛かっちゃった。
あのね、わたし進路相談だったから戻るね。」
「おう、いつでもまた来い。」
「うん。」
・
・
・
”ガラガラ”
「失礼します。
平塚先生、遅れてすみません。」
「やっと来たか、もういいのか。」
「はい、お騒がせしました。」
「うむ、それで進路についてお父さんとは話をしたのかね。」
「・・・」
「君は。」
「平塚先生。
・・・・わたしは雪ノ下建設を受けます。」
「ふむ、そうか、陽乃か。
・・・・・決意は固そうだな。
だが、君は優しすぎる。
その優しさが君を苦しめなければいいんだが。」
「わたし、結構、汚いですよ。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「三ヶ木、おまたせ。」
「もう、お・そ・い、
ずっと待ってたんだからね。」
「え、まだ五分前だけど。」
「え、あ、そ、そう?
まあいいじゃん、さあ行くよ。」
えへへ、一度やってみたかったんだ。
この前はできなかったから。
稲村君、もう少し遅れて来てもよかったのに。
「三ヶ木、その荷物どうしたんだ。」
「え、お泊りセットだよ」
「お泊りって、今日か。」
「うん、そだよ。」
「いや、俺そんなとこまで。 え、いいのか?」
「はい? なにがいいの?
あのさ、今日、夕方、雪ノ下さん家にお泊りに行くの。」
「は? あ、そう。 雪ノ下さんとこ。
ほれ、荷物もつよ。」
へぇ~、結構優しいじゃん。
この前の時といい、少し見直した。
「え、いいよ。」
「いいから。 今日は俺が付き合ってもらってんだから。」
「うん、ありがと。 じゃ、どこから行こうか?」
「どこから行こう?」
「稲村君、どんなものにしようか少しは考えてきたの?
ほら予算とかも。」
「いや、まったく。」
「・・・」
「ご、ごめん。」
「まぁいいわ。 んじゃ一階から適当に見て回りましょ。」
・
・
・
「あ、三ヶ木これどうだ? かわいくないか?」
「ハンカチ? かわいいけどさ、知ってる?
ハンカチってさ“手切れ”って意味あんだよ。」
・
「これはどうだ。」
「時計? あんた、会長と同じ時を歩んでいきたいの?
会長受け取るかな。 それにちょっと高くない?」
「そ、そんな意味が・・・」
「じゃや、香水とか・・・・」
「会長と親密になりたいの?
やっぱ、あんた会長に未練あんだね。
応援してあげようか?」
「いや、全然無い。
じゃあさ、これ、これならいいだろう。
ほら、アクセサリー」
「それ、独り占めしたいって意味が。
は、そういえば、わたしペンダントもらっちゃった。
も、もしかして稲村君・・・」
「いや、そんな意味あるって知らなかったから。
いまなら・・・ あっ、あれは。」
まぁ、知ってるぐらいなら、わたしに人魚姫なんて選ばないよね。
「なにがいいかなぁ~。
あれ、稲村君どこいった?
・・・・・おい、なにしてんだ。」
「あ、いや、そのガチャガチャがちょっと。 いててて。」
「ほれ、いくよ。」
まったく、男子ってお子ちゃまばっかだね。
高校生のくせしてガンダンのガチャガチャって、あ!
「う~、耳痛かった。 お前もう少し手加減してくれ。 あれ?」
「う、美味しそう。 このオムライスやっばー。
めっちゃ美味そう、思わず生唾が。」
「おい、プレゼントそれにするか。」
「あ、い、いえ、いいですって、いたた。」
「ほれ行くぞ。」
「わかった、わかったから、耳離して~」
「ほれ。」
「も、もう、女子に暴力ふるうって最低だよ。」
”ぐううう”
「は、ご、ごめんなさい。 あんまり美味しそうだったから。」
「まあ、もうお昼だし、なんか食べるか。」
「うん。じゃあ、パフェ食べたい。」
「いや、パフェ奢るのわかってるからその前にだな。」
「うううん、パフェにしておく。
だって夕食、雪ノ下さんの手料理だよ、お腹あけとかなきゃ。」
「わかった、わかった。」
・
・
・
「稲村君もそんな軽いのでよかったの?」
「ああ、おれはいつもお昼は軽めだ。」
「だめだよ、稲村君。 男の子はいっぱい食べなきゃ。」
「そうか。なんかお母さんみたいだな。」
「そう? はい、一口上げるね、あ~ん。」
「あ、いいのか? さ、サンキュ。」
”ぱく”
「ど、どう、ここのパフェ美味しいでしょ。」
「う、うん、美味しいな。 いろんな意味で。」
・
・
・
「じゃあ、いくか。」
「うん、それじゃ、はいこれ。」
“ジャラ”
「え、いや、パフエは奢るって。」
「うううん、これは稲村君の分。」
「え?」
「稲村君の分は、わたしの奢り。
だって、わたしだけ奢ってもらうより、お互い奢ったほうがなんかいいじゃん。」
「そ、そうか。」
「そだよ、なんか親密的じゃん。だからはい。 」
「しまった! それならもっと高いのにしておけばよかった。」
「・・・・・おい。」
・
・
・
「あ、かわいい。 ほら、この猫のマスキングテープ。
あ、こっちはワンちゃん。
いいなぁ、わたしこう言うのほしかったな。
ね、これにしとかない。」
「え、こんなのでいいのか?」
「うん、会長ってさぁ、こういうの結構好きだと思うよ。
ほら、この前プレゼントもらった時も結構凝ってたもん。」
「そうか。 でもそれ安くない?」
「ふふふ、あまい! ほれこれ見てみ。」
「げ、三千円。 結構するんだな。」
「ね、ちょうどいい金額でしょ。」
「そうだな、よしこれに決めよう。 じゃ買ってくる。」
・
「ありがとうございました。」
「おまたせ、三ヶ木って、おい何食ってんだ。」
「おう、まったぞ、ひなむらひょん。 どひょーなっちゅ。」
「なつかしい、まったくお前食べながら話すな。 二回目だな。
ほれこれやる。」
「え、わたしに?」
「ああ、まあ今日はありがとう。 それと、誕生日プレゼントだ。」
「え~もう、四月だよ。 それにわたし数学パズルもらったし。」
「す、すまない」
「うっそだよ、ありがとう。 稲村君。」
「ああ。じゃ送ってくよ。」
「うん。」
・
・
・
「ね、ねぇ、最後にあれやらない。」
「ん? あれって。」
「いいから、はやく、はやく。」
・
・
・
「いくよ、はい横ピース! 」
「え~、俺もかよ。」
「そうだよ、ほら早く。」
・
・
・
「へへへ、上出来上出来。 はいこれ稲村君のプリクラ。
今度、メールで送っておくね。」
このネタでコーヒー十杯は固いね。
「サンキュ、もらっておく。
・・・は、お前これ変なことに使うなよ。」
「ばれた。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「じゃあ、ここで。」
「あ、今日はありがとう三ヶ木。」
「うん、楽しかったよ。」
「ああ、俺もだ。」
「じゃあね、また学校で。」
「あ、あのな、三ヶ木。」
「うん?」
「あ、あのさ、よかったら」
「よかったら?」
「よかったら、おれと、つ 」
「やっはろー美佳っち。 あ、稲村君もやっはろー」
「おう、やっはろー結衣ちゃん!」
”だき”
「な、なに、いきなり美佳っちは、もう。」
「えへへへ。
あ、稲村君、なんだったけ。 確か俺がなんとかって。」
「あ、いや、おれと・・・
あっそうだ、おれ、戸塚の生写真ほしいから今度もらってくれないか?」
「げ、あんたまで。 戸塚君、ちょ~恐ろしい。」
「まぁ、さいちゃんかわいいからね。」
「いいよ、今度生写真もらってきてあげる。」
「じ、じゃあな。」
「うん、またね。」
「へへ、美佳っち、デートだったのかなぁ~」
「残念でした。 会長のプレゼント買いに行っただけだよ。」
「そ、そうなんだ。
えっと、ゆきのんの番号は。」
「あ、結衣ちゃん、ちょっといい?」
“ごちょごちょ”
「はい、どなた?」
「ゆきのん、来たよ。」
「いらっしゃい、いまあ 」
「「せ~の、いらっしゃいました。横ピース!」」
「な、仲がいいのね。」
最後までありがとうございました。
今回も文才がなく、だらだらと。
もう少し才能があれば。
次話もお付き合いいただければ幸いです。