似て非なるもの 作:裏方さん
前話でオリヒロが材木座とデート(?)
同じ時、八幡は一線を・・・
まぁ、予想された通りかと
すみません。 今回もグタグタ展開ですがよろしくお願いします。
アロマランプ
これ三ヶ木からもらったんだ。
この暖かいあかりと香りでなんか落ち着くというか、気持ちがやわらかくなって、
いつのまにか寝いってしまう。
おかげでこの前のテストはさんざんな出来だった。
・・・そういえば、あいつといるときも、なんか自然でいられてすごく楽だった。
隣にいるのが当たり前のように思ってた。
だから、俺は踏み込んじゃいけないとこまで踏み込んでしまったんだろうか。
そういえば、まだ謝っていなかったな。
謝らないと、 あやま ら な
・・・あ~、だめだ。 思考力が働かん、眠い。
ぐ~
‐‐‐‐‐‐‐‐
〝ピンポーン”
「は~い!」
”ガチャ”
「あ、結衣さん、どうしたんですか?」
「小町ちゃん、やっはろー。
あのね、今日、ヒッキーと一緒に勉強する約束してたんだけど。
えへへ、ヒッキーいるかなぁ?」
「え、うそ。
ちょ、ちょっと待っててください。
お兄ちゃ~ん、起きて!」
”ドッドッドッ”
「たはは、寝てたんだ。」
「お兄ちゃん! ほら、はやく着替えて。
結衣さん待ってるよ。
うわー、何で小町の前で脱ぐかなぁ~
もう、隅っこで着替えて。
え、これ、はぁ~お兄ちゃんだもんね。」
「あっ、小町、朝メシ。」
「めし無し。」
”ドタドタドタ!
「ご、ごめんなさい結衣さん。
あの~、しばらくリビングで待っててください。
さ、ささ、遠慮なさらず。」
「ありがとう 小町ちゃん。」
・
・
・
「ふぁ~、本当に来たのなお前。」
「ひど! ちゃんと朝もメールしたし。」
「すみません、結衣さん。 うちの愚兄が・・・
あの~、コーヒーでよかったですか?」
”カチャ”
「あ、ありがとう。」
・
「さて、なにからするんだ、現国か?」
「ちょっと待って、お兄ちゃん。
小町は今からここで録画しておいたドラマを観るのです。
お勉強はお兄ちゃんのお部屋でやってください。」
な、なに言うの、この娘は。
うわ~、その笑顔なに?
いや、その目怖いんですけど。
最近お前、一色さんと付き合ってない?
「いや、さすがに俺の部屋は 」
「ね、結衣さん。」
「うん、ヒッキーの部屋行きたいなぁ。」
げぇ、こいつら結託しやがった。
まずい、ベッドの下には・・・
「おお、これは結衣さん、小町が誘っておきながらですが大胆。」
「小町ちゃん!」
「さ、ささ、こっちですよ結衣さん。 どうぞどうぞ。」
いや、ちょっと待って小町ちゃん。
先行かないで、お兄ちゃんに少し時間を。
「お、おい勝手に俺の部屋に 」
”ガチャ”
「それではです。
あ、お兄ちゃん、ちょっとちょっと。」
「おい小町、お前なんてことを。」
「プリキラ―のフィギュアは小町が預かってるから。
お兄ちゃん、しっかりね。」
へ、み、見られたのね。
はぁ、しっかり勉強するか。
「へぇ~、ヒッキーの部屋、割と片付いてるね。」
「あたりまえだ、俺は専業主婦希望だからなって、おい由比ヶ浜!」
な、なにこの娘、いきなりベッドの下見ないで。
あっぶな~、小町様様だ。
・・・あの~由比ヶ浜さん、あなたスカートなの忘れてない?
ちょ、ちょっと見えそうなんだが、見ちゃおうかな。
「う~ん、ヒッキー、ベッドの下何もないね。」
「お前は俺のかぁちゃんか。
当たり前だ、何かあるはずがない。
俺を誰だと思っているんだ。」
「ん? ヒッキーはヒッキーじゃない。
あ、あれ、アロマランプ、どうしたの?」
「いや、この前、三ヶ木から旅行のお土産ってもらったんだ。」
「あ~、城廻先輩達と行ったって時のやつ?
あたしもおみくじの綿棒もらったけど、ヒッキーにはアロマランプ?」
「あいつのセンスは俺にもよくわからん。
ほれ、もういいか、勉強始めるぞ。」
「う、うん。」
な、なにその嫌そうな顔。
君、今日勉強しに来たんだよね、たしか。
・
・
・
「ここは?」
「これはだな、主人公の気持ちの表現になるんだが・・・・」
・
「え、そうなるの。
なんかすごいひねくれた表現だね。」
「まあな。」
「さすがヒッキー。」
・・・それ褒めてるんだよね。
・
・
・
「お兄ちゃ~ん、小町ちょっと出かけてくるね~
結衣さんごゆっくり。
・・・あつ、お兄ちゃん頑張ってね。」
「お、おい小町!」
いや、なにを頑張るんだ。
べ、勉強だよね、勉強。
・
・
・
「ふぁ~、結構頑張った。」
ゆ、由比ヶ浜さん。
そうやって背伸びするとその自己主張しているものが
ますます自己主張して、
はっ、なにその目。
「お、お前、いまのわざとだろ。」
「え、何のことかな。 あ~、ヒッキーやらしい。」
くっそ、さっさと勉強しろ。
だけど、自然と目が・・・・・・
恐るべし、万乳引力。
・
・
・
”ぐぅ~”
「あ、あははは、ごめん。」
「おう、もうこんな時間か。
ちょっと待ってろ。」
「へ?」
”ガチャ”
「へへ、チャンス。
ちょっとつけてみたかったんだ。」
”カチ”
「ふあ~、いい香り。
落ち着くね~」
・
・
・
”ガチャ”
「おーい、由比ヶ浜、メシだって、おい。」
なに、お前ベッドで寝てるの。
この香りは、あ、あいつこれつけたのか。
おそるべし、アロマの力。
は! こ、これはパ・・・・
いや、み、見てはいけない。
俺は理性の塊。
・・・・・のはずだよね。
「お、おい由比ヶ浜。」
「う~ん、ヒッキー、むにゃむにゃ、そんなとこ駄目だよ。」
はぁ、なに、どんな夢見てんの?
まったく、由比ヶ浜といい、三ヶ木といい、俺の前で平気で寝るけど
俺って警戒感無し?
しかたない、ここは少し教育してやらねばならない。
お年頃の男子、しかも二人っきりの部屋で寝込むとどうなるか。
これは由比ヶ浜のためだ。
由比ヶ浜のためだからね。
う~、やわらかそうな唇。
”そ~”
『比企谷君。』
・・・・・何でお前が。
そんな悲しい顔するなよ。
「うん? あ、ヒッキー。 え?」
「あ、い、いやすまん。
ほら、ご、ゴミがあって 」
「・・・いいよ、ヒッキー。」
え、いいって、お前何で目を閉じて。
「ゆ、由比ヶ浜、いいのか。」
「うん。」
「由比ヶ浜。」
「お兄ちゃん、ただいま!」
”タッタツタッ”
こ、小町・・・・
”ガチャ”
「お兄ちゃん、アイス・・・・
は! ご、ごめんなさい。
お邪魔しました。
ご、ごゆっくり。」
「いや、いいから。
ほ、ほれ由比ヶ浜、昼飯できてるぞ。」
「う、うん。」
・
・
・
「うわ、パスタだ。
これヒッキー作ったの? 美味しそう。」
「まぁ、あるもので作ったんだ。 味は保証しねぇ。
ほら、小町も食べろ。」
「お兄ちゃん、ごめんなさい。」
「いや、いいから。」
「えへへ、頂きま~す。」
「美味しい。 ヒッキーといい、美佳っちといい、本当にお料理上手だね。」
「ん、三ヶ木の料理食ったことあるのか?」
「うん、ちょっと前にね、美佳っちの家で女子会したんだよ。
急だったんだけど、美佳っち、家にあるものでって作ってくれたんだ。
なんだったけ、あ、そうそう小麦粉のピザとスティック春巻き。
美味しかったよ。」
「えっと、三ヶ木さんって、あ、あの義理チョコさん?」
「まぁ、あいつ、主婦力すごそうだもんな。」
「だって主婦してんじゃん。
すっごい頑張ってるよ。
小学校のころから食事作って、洗濯して、掃除とかもしてるっていうし。
この前もチラシ見ながら悩んでた。」
そうだな、そうなんだ。
あいつはそうやっていままで暮らしてきたんだ。
親子二人だけで。
おれはそんなことも考えずにあいつの大切なとこに・・・
「ん、どうしたのヒッキー?」
「ん、いや、なんでもない。
さ、食ったら続きやるぞ。」
「え~やっぱり。
あ、ヒッキー、ちょっと待った。」
”ス~”
ん、お前何を。
「ほら、ケチャップついてたよ。」
「お、おう。」
”ぱく”
「お、お前・・・」
「え?」
「あ、あの~、後は小町やっておくね。
ささ、続きはお兄ちゃんお部屋で。」
・
・
・
「え~、結衣さん晩御飯食べていかないんですか?
父も母もそろそろ帰ってくると思いますし。
ぜひご挨拶を。」
「い、あははは。
あ、明日も勉強会だから今日は帰るね。」
「ち、残念。」
「小町ちゃん、いま地が。」
「え、いや~あははは。
そ、そうだ、結衣さん、今度はお泊りで来て下さい。
小町大歓迎しますよ。」
「ありがとう、小町ちゃん、じゃあ、今度はお泊りセット持ってくるね。」
「はい、是非是非。
兄はいつでも暇ですから。」
ね、ねぇ君たち、なに勝手に決めてるの。
いや、日曜の午前中はやめてね。
「じゃ、行ってらっしゃい、お兄ちゃん。」
へ?
「ちゃんと駅まで送らないと、家に入れてあげないからね。」
「お、おう。」
・
・
・
「ねぇ、ヒッキー。」
「なんだ。」
「ヒッキー、最近美佳っちのこと避けてない?」
「い、いや、そんなことない。」
「そ、そう。
・・・あのね、美佳っち、優しい娘だよ。
だから、仲良くしてあげてね。」
「・・・」
「あははは、あたし何言ってんだろう。
ヒッキー、送ってくれてありがとう。」
「おう、じゃあ、気を付けてな。」
”だき”
お、おい由比ヶ浜、こんな人ごみの中でお前。
他の生徒に見られるとまずい。
「お、おい。」
「ヒッキー、あたしは、あたしはヒッキーのこと好きだよ。
どこにも行かないでね。」
「ゆ、由比ヶ浜。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「う~ん。」
は、何時だ。 やば、九時半じゃねぇか。
だめだ、やっぱこのアロマランプ、マジやばいわ。
いや、昨日はそれだけじゃなかったけど。
‐‐‐‐‐‐‐‐
「やっはろー、ゆきのん。」
「おはよう、由比ヶ浜さん。」
「あれ? ヒッキーまだ来てないの。」
「ええ、もう時間なのだけど。」
・
・
・
「由比ヶ浜さん、あの男はほっておいて、先に図書館に行きましょう。」
「あはは、ちょっと待ってね。
今電話してみるね、あ!」
「す、すまん、寝過ごした。」
「あら、重役出勤ね。
私たちを散々待たせるなんていい度胸してるわね、寝起き谷君。」
「いや、悪い。」
「ヒッキー、最近よく寝坊するね。 やっぱあのアロマランプ?」
「お、おう。」
「アロマランプ?」
「ああ、三ヶ木からもらったんだが、すごく心が安らいでな。
つい寝過ごしちまう。」
「あら、そのまま永眠してもよくてよ。」
「・・・・・」
「あははは、ま、まぁそれぐらいで、さぁ、行こ。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「なぁ、雪ノ下、ここの訳はこれで合ってるか?」
「そうね、この英文は”fall between two stools”と訳するのが正解ではないかしら。」
「そ、そうなのか?」
「そうよ、あなたのことだから間違いないわ。」
「・・・」
「もう、ゆきのんもヒッキーも、あたしだっているんだからね。
あたしもヒッキーの隣に行く。
ヒッキー、席横にずれて。」
「いや、お前がくるといろいろと狭いんだが。」
「あら、今の言葉、少し引っかかるのだけど。」
「いや、あまり意味はねえぞって、由比ヶ浜強引な・・・」
”ぐいぐい”
「だめ、ヒッキー横にずれて。」
せまっ、ほら肘とかその柔らかいものに当たるだろうが。
まぁ、いいけど。
・
・
・
「ヒッキー、ここはどうなるの?」
「おい、俺に数学を聞くな。」
「じゃ、ゆきのん。」
「由比ヶ浜、お前、雪ノ下の横にいけ。
だから、俺の前に体出すな。」
「へへへ。」
「お前、わかってやってるだろ。」
・
・
・
「すまん、すこし休憩してくるわ。」
ふう、少しのぼせたか。
まったく、集中できん、いろいろあって。
ま、まぁなんだ、悪くはないが。
少し頭冷やすか。
・
・
・
”す~”
ん、マッ缶?
「冷たいけどいい?」
え、三ヶ木、何でお前がここにいる?
「み、三ヶ木?」
「あら、とうとう本当に目が腐ったのかしら。」
「は、あ、雪ノ下。」
「ねぇ、どうかしたのかしら?
あまり集中できてなさそうだけど。」
「いや、お前、それは由比ヶ浜のせいだ。」
「あ、そう。
でも他にも理由があるんじゃない?」
な、なに、雪ノ下さん、もしかしてエスパー?
ははは。
『俺の女に手を出すな!』
『悪いけどもう話しかけないでくれる? 迷惑なの。』
そ、そうなのか、三ヶ木お前あいつともう・・・
だめだ、考えないようにしてるんだが。
だからつい、あのアロマランプ使っちまう。
はぁ、どうしたんだろうな、いやどうしたいんだろう俺は。
「な、なぁ、雪ノ下。
少しだけ話を聞いてもらっていいか?」
「ええ、少しだけならいいわ。」
「あのな、 」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「うそつき、長かったわ。」
「いや、すまん。」
「比企谷君、彼女は少なくとも、なにも意味なく人を罵倒するようなことはしないわ。」
「ああ、お前と違ってな。」
「な、何か言ったかしら。
まったくこの男は。
あなたからの情報だけでは、なぜ彼女がそんなことを言ったのかわからない。
だけど、これは何の根拠もないんだけど、なにか裏があると思うの。」
「そ、そうか。」
「あ~ 遅いと思ったら二人でなにしてるんだし。」
「ちょうどいいわ、由比ヶ浜さん。」
「へ?」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「・・・ということなんだけど、由比ヶ浜さん、あなたはどう思う。」
「・・・そっか、そんなことがあったの。
なんでヒッキー、そんな大事なこと言わなかったし。」
「・・・」
「ヒッキー、ヒッキーは美佳っちがそんなこと平気で言うような娘だと思う?
そんなの、わざとに決まってんじゃん。
無理してヒッキーに嫌われようとしてるのバレバレじゃん。」
「な、なんでそんなこと。
俺があいつの進路のことで余計なこと言ったからか?」
「うううん、違うと思う。
ヒッキーの気持ちは美佳っちわかってた。
多分原因はあたし。」
「なにか言ったのかしら?」
「うん、この前、実力テストあったじゃん。
ヒッキー国語めっちゃ悪かったって言ったとき、美佳っちの様子おかしかった。
進路の件もそうだけど、誕生日の件とかヒッキーと美佳っちいろいろあったから。
たぶんね、それで美佳っち、成績下がったの全部自分のせいって感じになったんだと思う。」
「いや、お前何でそんないろいろと知ってるんだ。」
「だって、美佳っちに聞いたもん。」
「だだ漏れなのね。」
「ヒッキー、誕生日の件、ほんとひどいからね。
なんで誕生日にあんなこと言うし、夏休みまでって。」
「そ、そんなことまで。
あ、すまん、やっぱ俺行くわ。」
「待ちなさい。
あの娘がそこまで言ったんだから、今行っても無駄よ。」
「そ、そうか、どうすればいいんだ。」
「そうね、次の実力テスト、国語だけでいいから学年トップを取ってみなさい。」
「いや無理だろう。
お前と葉山以上ってことだろうが。」
「当たり前でしょう、私も全力でお相手するわ。
それでもトップを取りなさい。」
「そうか。」
「そうよ、それしかないわ。」
「わかった。 俺、先に戻ってるわ。
雪ノ下、お前もう少し休んでろ。」
「そうね、少しくらいハンデをあげる。」
”スタスタ”
「由比ヶ浜さん、あなた良かったのかしら?」
「あたしね、負けないよ美佳っちにも・・・ゆきのんにも。
でも、二人ともあたしの大切な親友だから。
うん、だからこれでいいの。
ゆきのんは?」
「私もよ。」
「ゆきのん。」
”だき”
「仕方ないわね。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「はぁ、はぁ、う~、頑張れ、頑張れ美佳。
君なら出来る。」
あと、10mだよ。
”ギ~コ、ギ~コ”
「や、やったー」
へへへ、やったぜ、この坂クリヤーだ。
ふ~、やっぱり大分体力落ちてる。
こんな坂ごときに手こずるとは。
でもさ、大分遠くまで来たね。
これでダイエットばっちし。
すこしは体重減ったかなぁ。
よ、よし、もうひと漕ぎするぞ!
”ブ~、ブ~”
へ、だれ、あっ、刈宿君?
「ほ~い、三ヶ木だよ。」
「え、か、かわいい。」
「あ、いや、ごめん、ちょっとハイだった。
な、なに? 刈宿君。」
「あ、美佳先輩、突然なんですが、今日晩飯いっしょに食べませんか?」
「ははは、たしかに突然だね。 どした。」
「す、すみません。
あの、いまどこですか? やっぱ学校とか。」
わたしどれだけ学校好きって思われてんの。
家のほうが好きだから。 なんならずっと家にこもりたいぐらい。
「いや、今日、日曜日だから。
いまね、稲毛浅間神社の近くかな。」
「え、何でそんなとこに?
あ、俺、いま稲毛小学校にいるんです。」
「え、なにしてんの?」
「良かったら来ます?
おれのパートナー紹介します。」
「うん、じゃちょっと寄ってみるね。」
えっと、ナビナビっと。
パートナー紹介するって言ってたね。
どんな子かな?
なんか無口な子って言ってたけど。
・
・
・
ふっ、ついた。
えっと、どこにいるんだろう?
「美佳先輩、こっちですよ!」
「あ、練習してたの。」
「はい、あ、紹介します。
俺のベストパートナー壁君です。」
「え、は、はじめまして・・・・って壁じゃん。
そのまんま壁。」
「へへ、俺のパートナー壁君2号です。
どんな球を打っても無言で打ち返してくんすよ。」
「・・・・頭大丈夫?
2号・・・・1号は?」
「え、あ、いや、その。」
「1号はどうしたの?」
「すみません、ノリで2号って。
俺、小っちゃいころから鍵っ子だったから、いつも壁君と練習してたっす。」
「ご両親は?」
「帰り遅いから、暗くなるまでここで。」
「そ、そう。」
「あ、そうだ、美佳先輩、すこしやりませんか?」
「あ、いや、わたし球技苦手かなぁって。」
「大丈夫ですよ。
ただ、ボールを打ち返せばいいです。」
「うん、じゃちっとやってみる。」
「うっす。 いきますよ。」
”ぼ~ん”
”ぽ~ん”
・
「結構うまいじゃないすか。」
「そ、そう?
あ、ごめん。」
「ほい。」
”ぽ~ん”
「え、すご。
そ、そういえば、わたし全然動いてない。」
”ぽ~ん”
「うそ。
ま、まぐれよね、じゃあ、こっちは?」
”ぽ~ん”
「ほい。 へへ、美佳先輩、楽勝っす。」
く、くそ~、後輩の分際で。
ふ~ん、負けないよ、絶対ミスさせてやる。
「えい!」
「ほい。」
”ぽ~ん”
なにこいつ、マジうめ~。
どこに打っても、ちゃんとわたしの右手のとこに返ってくる。
「刈宿君、ホントうまいのね。」
「へへ、余裕っす。」
「それじゃ、これ。」
あ、しまった、ちょっと遠い。
「なんの、ダーっと。」
”ぽ~ん”
うへぇ、また同じとこに。
・
・
・
く、くそー、だ、駄目だ勝てない。
はは、ほんとマジうまいや。
「ちょ、ちょっと休憩しよ。」
「はい。」
「ほんと、うまいのね。わたし一歩も動いてないじゃん。」
「これも壁君のおかげです。」
「2号ね、壁君2号。」
「はい。 っで、今日どうしたんすか?
美佳先輩の家ってここら辺でしたっけ? 」
「うううん。 最近運動不足だったし、ちょっとダイエットかねてね。」
「へぇ~、でも別にダイエットするほどでもなさそうですけど?
あ、もしかして脱いだらすごいってやつ。
ぼん、ぼん、ど~んって。」
”ベシ”
「うへ、美佳先輩、最近容赦ないっす。」
いや、あんた、ぼん、ぼん、ど~んって、ひど!
ちょっとぼん、ふつう、ど~んだからね。
「へへ。」
はぁ、こいつの笑顔いいよね。
まあ、いいか
「あははは、パワーアップしてるから。
あ、そうだ、ちょっと待てって。」
「ん?」
”がさがさ”
「はい、いろはす。 さっきそこで買ったけど、温くなっちゃったかな?」
「あ、サンキュっす。 でもいろはすって、大丈夫? 確か会長さんが。」
「ふふん、いつもいじられてるから、その仕返し。」
”ごくごく”
「へへへ、じゃ、俺もっす。」
”ごくごく”
「ぷふぁ。
あ、そうだ、美佳先輩、大学どこ行くんすか?」
「へ、なんで?」
「いや、俺も一緒の大学にしょうかなぁって。」
「・・・わたしは大学行かないよ。
卒業したら働くつもり。」
「そうすか。
じゃあ、職場の近くの大学にすっかなぁ。」
おい、あんたそれストーカーかよ。
はは、もっとまじめに考えな。
でも。
「ねぇ、・・・・なぜ大学行かないのかって聞かないの?」
「なんで?」
「あ、そ、そだね、べつに関係ないよね。」
「違いますよ。 メッチャ関係あります。
そりゃ、一緒の大学行けたらなぁって思ったし。
ただ、俺は美佳先輩のことだから、一所懸命考えての答えだと思うから。
だから、俺は美佳先輩の考えを尊重するっす。」
「あ、ありがと。」
「あ、でも希望ならひとつあるかなぁ。」
「ん、希望?」
「はい、自分のやりたい仕事、目指してください。」
「自分のやりたい仕事。」
「へへ、偉そうなこと言ってすみません。
でも、自分がやりたいと思うことなら、べつに4年後でも今でも関係ないと思いますし、
俺は全力で応援します。
でも、自分がやりたくない仕事を選ぶんなら、俺、応援できないっす。」
「う、うん。 ・・・・えへへ、どっちが先輩かわからないね。
刈宿君、ありがと。」
「へへへ。
あ、あの美佳先輩。」
「うん?」
「この前の奴、大丈夫ですか?
ほらあの校門の前にいた奴、ストーカーなら俺が 」
「違うの!」
「へっ?」
「あ、ごめん、ごめんね。
・・・比企谷君は、そんな人じゃないの。」
「そ、そうすか。」
「あ、もうこんな時間、ごめんね、わたし帰らなきゃ。
晩ご飯作らないと。」
「あ、それなら俺送りますよ。」
「えっ、で、でもここから遠いよ。」
「よっと。」
”ベンベン”
「ほれ、美佳先輩、乗った乗った。
あ、これって。」
「ん、な、なに?」
「美佳先輩、”ママちゃり8号”って書いてある。」
「あ、いや、そ、それは・・・・」
「7号はどこ行ったんすか。」
「ごめんなさい。 ノリです、乗り物だけに。」
「ぷっ、ほ、ほら、美佳先輩、乗ってください。」
「ありがと、よっと。」
「いいすっか、しっかり俺に掴まって下さいね。」
「うん。」
”ぎゅっ”
「うへ~、サービスありがとっす。」
うわぁ、刈宿君、腹筋すごい。
やっぱ、おとこだね~♬
すこしだけ
”さわさわ”
「み、美佳先輩、それやめて~、漕げないっす。」
・
・
・
ん、これってVサイン?
も、もしかして刈宿君も。
「刈宿君、それってアニメの。」
「あ、やば、つい声に・・・
へへ、俺、”アカ俺”大好きなんです。
ガキっぽくてすみません。」
「へへ、わたしも大好きなの。」
「へ、美佳先輩、もう一回。」
「あ、わたしもね、大好きなんだ。」
「しまった、録音しておくべきだった。 もう一回だけ。」
”ベシ”
「しつこい。」
こ、こいつは何恥ずかしいこと言わせんだ。
全く油断できん。
「おれ、あ茶子ちゃん好きなんです。
なんか、すごくいじらしいとことか。」
あ茶子ちゃん・・・・う、トラウマが。
はやいとこ直さなくちゃ。
「美佳先輩は好きなキャラとかいます?」
なに、そんな愚問をするとは。
「決まってんじゃん、イレギュラーヘッド!」
「しぶ・・・」
「そ、そう? だってあの大人のやさしさ大好き。」
それといえないけど、・・・あの目ね、なんかゾクゾクしちゃう。
「そうか、大人のやさしさか。 俺頑張るっす。」
「ね、一緒に唄おう。」
「はい。」
‐‐‐‐‐‐‐‐
「あ、そこら辺でいいよ。」
「え、いいすよ、家まで送りますよ。」
「で、でも・・・・」
「あ、すみません。 俺なんかに家知られるの嫌ですよね。」
「ち、ちがう!
あのね、・・・・・・わたしアパートだから、それもちょっとぼろいかな。」
「どこっすか。」
「そ、そこ曲がったとこ。」
いや、刈宿君、なに怒ってるの。
急に黙り込んで。
だって、ホントにぼろいんだよ。
”キ~コ、キ~コ”
「あ、ここなんだ。
ど、どう? ぼろいでしょう。 へへ、これが現実。」
「何号室っすか?」
「202だけど。
”タッタッタッ”
「ちょ、刈宿君、ま、待って。」
”コンコン”
「お~い。」
”ガチャ”
「ん、どなた?」
「あ、お休みのとこすみません。
俺、総武高校一年の刈宿狩也っていいます。
今日は大事なお嬢さんに遅くまでテニスの練習を付き合ってもらって、
ご心配をおかけしすみませんでした。」
「お、おう? いや別に心配してねっけど。」
「ちょっ、ちょっと刈宿君。」
「ああ、美佳を送って来てくれたのか。
ありがとう、まぁ寄ってくか。」
「はい。」
「お、おい、とうちゃん。」
「あ、試合、まだやってたんすね。」
「おう、なんか今日はボカボカ打ちやがってよ。」
「どっち勝ってます?」
「もちマリーンズだ。」
「くっそ ライオンズ負けてんのか。」
「なに、貴様、ライオンズファンか、千葉県民のくせして。」
「これだけは、お父さんでも譲れませんよ。
それで、今日は今から絶対逆転します。」
「なに!
よし、お、おい美佳、ちょっとお茶出してやれ。」
「いま準備してるわよ。」
「こいつにマリーンズの強さ見せつけてやる。」
「はぁ? なんなの二人して。
刈宿君しっかり上がり込んでるし。」
それに、さっき、お父さんって。
”カチャ”
「刈宿君、紅茶でよかった?」
「あ、ありがとうございます。
あ、やった 逆転ホームラン、さすがおかわり君。」
「く、まだだ、試合はゲームセットまでわからない。」
「いや、もう決まりっすよ。」
ん、おさわり君? なんてキャラなの。
まったく、この野球バカ二人は。
でも、とうちゃん、楽しそうだね、へへへ。
・
・
・
”とんとんとん”
「やったー、ライオンズの勝ちだ。」
「くそ~。 おれのマリーンズが。」
「あ、すみません、すっかりお邪魔しちゃいました。
そろそろ帰ります。」
「構わんぞ。 そうだ、晩ご飯食っていったらどうだ。
お~い、美佳!」
「へ、いやそれは悪いです。」
「あ、いいよ。
もう準備してるから、よかったら食べてって。」
「え、いいですか。美佳先輩。」
「うん、残ってもあれだから。
あ、でも時間とか大丈夫? おうちの人心配していない?」
「あ、うちの親、今日も遅いんで、どっか食べに行こうと思ってたんです。」
「ああ、それで電話くれたの。」
「はい、できるなら美佳先輩とって思って。」
「おう、それなら食ってけ。」
「す、すみません、お父さん。」
「おい! お前にお父さん呼ばれる筋合いはない。」
「あ、すみません、三ヶ木さん。」
「ライオンズファンにお父さんとは呼ばせん。
今日からマリーンズファンになれ、それなら許す。」
”ベシ”
「いてっ。」
「とうちゃん、バカ言ってないの。
ほら、ご飯できたよ、こっち座って。」
「うわ、美味しそう。」
「たはは、こんなことならなんか買っておくんだった。
冷蔵庫にあるものでしか作れなかったからごめんね。」
「いや、美味しそうです、頂きま~す。」
「うん、どうぞ。 いっぱい食べてね。」
「うっま~ この竜田揚げめっちゃ美味いっす。」
「おう、美佳は竜田揚げだけは美味い。」
「とうちゃん、それあまりうれしくないんだが。」
「このジャガイモと玉ねぎの味噌汁もうまいっすよ。」
「そう、味の濃さが心配だったんだけどよかった。
あ、鮭のホイル焼きはどう? 焼けてる?」
「美佳先輩、毎日ご飯食べに来ていいですか?」
「いや、いいよ、そんな言わなくても。」
「本当ですよ。
俺、美佳先輩でも、まずいものはまずいって言います。」
「そ、そう? お世辞でもうれしい。」
「・・・で、お前らどこまでいったんだ。 ちゅ~したのか?」
「ぶふぁ、き、貴様なんてことを。」
”ベシ、ベシ”
「いてぇ、これ、親に向かって。」
「親なら少し考えろ。
それに刈宿君はおとう 」
「そうです、お父さん!
これからっす。」
「お前、くそ親父に合わせて調子のるんじゃねぇ。」
「は、はい。 美佳先輩こぇ~す。」
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「本当にご馳走さまでした。」
「駅まで送らなくて大丈夫?」
「大丈夫っす、 美佳先輩に送ってもらったら、俺心配でまた家まで
美佳先輩を送りますよ。」
「ははは、ありがと。」
「・・・美佳先輩、もう、あんなこと言わないでくださいね。」
「へ、あんなこと? 」
「おれ、とってもうらやましかったっす。
いっつもお父さんとあんな感じですか?」
「あんな感じ?」
「はい、お互い冗談言い合ったりとか、なんかめっちゃ温かかったです。」
「ははは、とうちゃんはとうちゃんだから。」
「そんな温かい家庭なのに、ぼろいとかアパートだからって蔑まないでください。
俺、本当にうらやましかったんすから。」
「あ、ありがと。 なんかごめんなさい。」
「ん、わかればよろしい。」
「お、おい。」
「へへ、じゃ帰ります。 また明日。」
「ん、また学校でね。」
「ああ、明日早く来ないかな。
あ、そうだ、美佳先輩、今度は俺に晩ご飯奢らせてください。」
「え、いいよ。」
「ダメです。 なにか食べたいものとか行きたいとこあったら教えてくださいね。」
「・・・うん、あのね、サイゼ。
わたし、サイゼのミラノ風ドリア食べたいな。 」
「サイゼでいいんですか?」
「うん。」
「了解です。 それじゃおやすみなさい。」
「うん、おやすみ。」
・
・
・
”蔑まないでください!”っか。
刈宿君がそんなこというから、少し思い出しちゃったじゃない。
あいつも言ってくれたんだよね、この部屋のこと。
『何にも替えられない価値があるんじゃないのか』
うれしかったなぁ。
はぁ、比企谷君、ちゃんと勉強してるかなぁ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・会いたいな。
長文、最後までありがとうございました。
連載当初思ってたより、各話が長くなってしまいすみません。
八幡とオリヒロ、なんとか関係修復したいのですが・・・
こんな時はやっぱり。
次話、また見て頂けたらありがたいです。
よろしくお願いします。
訂正
すみません。
延長戦・・・ありえない、削除しました。