似て非なるもの   作:裏方さん

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いつもありがとうございます。

今回も文化祭編です。

12巻が出るまでと思っていたのですが、

すみません。

もうすこしお付き合いください。






文実

「はぁ~」

 

ね、眠れないよ。 

なんなんだろう、すごく胸が痛い。

すごくなんか不安で不安で・・・・イラつく。

こんなの初めてだ。

げ、もう三時だよ。

 

・・・・・くっそ眠れない。

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

”ガラガラ”

 

「あの~、すみません。」

 

「おや、どうしたの? もう授業は始まってるわよ。」

 

「あの、なんだか変なんです。

 

 胸がギュ~って締め付けられて、それで不安になったりイラついたり。

 

 結局、昨日は一睡もできなかったんです。」

 

「そ、そう。 どれちょっとみせてみて。

 

 そうね、ちょっと脈が早いかな。

 

 めまいとかしびれとかないの?」

 

「はい、ないです。 

 

 先生、わたしなんかの病気でしょうか?」

 

「ねぇ、いつ頃から自覚症状があるの?」

 

「昨日の夕方ぐらいからです、帰りの電車の中で急に。」

 

”トントン”

 

「あ、はいどうぞ。 

 

 おやおや、静ちゃんのとこの子だね。」

 

「なんか風邪っぽくて。」

 

え、あ、この声、比企谷君。

は、恥ずかしい。 え、でもなんで恥ずかしいんだろう?

後ろ振りかえろうかなぁ。 で、でもなんて声かければいいの

『おはよう』 ちがう、今何時だと思ってんの。

えっと、『元気?』 いや違うだろう。

元気ならここに来ないよ。

えっと、えっと・・・・

 

え、風邪っぽい? あ、もしかして昨日、ほんとは傘持ってなかったんじゃ。

 

「どうする、ここで休んでいくかい?」

 

「あ、じゃあ。」

 

”シャー”

 

「奥のベッドね。」

 

「うっす。」

 

”シャー”

 

え、比企谷君奥のベッドに?

なんか聞かれたら恥ずかしい。

どうしょう、教室に戻ろうかなぁ。

 

「え、どうしたの、大丈夫? なんかモジモジしてるけど。」

 

「いえ、あの、そ、その~別になんでも・・・ないです。」

 

”ちら”

 

はぁ、何でそこにいるんだよ。

 

”ちら”

 

気になるじゃん。

 

「ね、顔、真っ赤だよ。

 

 どれ、脈は・・・・な、なに、すごく早い。

 

 それにさっきからちらちらって。

 

 はっは~、そういことか。」

 

「せ、先生、やっぱりわたし変。

 

 心臓いたい、足も震えだしたし。 なんか悪い病気じゃないですか?」

 

「そうね、これは不治の病だね。」

 

「え、不治の病? せ、先生、わたし、死にたくないです。

 

 まだ、いっぱいやりたいことある。

 

 ど、どうしたらいいんですか?」

 

「う~ん、この病気じゃ死ぬことはないけど、ちょっと厄介な病気かな。」

 

「厄介? どうしょう。 わたしの家お金無いから入院とかはできないし。」

 

「この病気にね、すっごく効果があかもしれない治療があるの。

 

 タダだから、一度試してみる?」

 

「タダ? お、お願いします。」

 

「その代わり、ちょっと勇気がいるけど。

 

 頑張ってみる?」

 

「はい、お願いします。

 

 でも、あの~痛くないですか?」

 

「う~ん、失敗するとすっごく胸が痛くなるかな。

 

 今の何倍も。」

 

「え、今の何倍もって、わたし死んじゃうじゃないですか。」

 

「でもね、成功したらもしかしたらすごく幸せな気持ちになるかもよ。」

 

「あの~すみません、 先生なに言ってるのかわからなくて。

 

 つまりどうすればいいんでしょう?」

 

「よし、じゃあ治療初めるよ。

 

 さ、こっちに来て。」

 

”シャー”

 

へ、先生、ここ比企谷君いるんだよ?

いやだ、恥ずかしい。

もしかして治療してるときって、胸とか見られちゃうじゃない?

 

”ガラガラ”

 

「せ、先生? あのどちらへ?」

 

「それじゃ、治療、頑張ってね。」

 

な、なに、治療ってなに? わけわかんない。

 

「ぐぅ~」

 

は、あ、比企谷君。

うへへへ、良く寝てるね。

 

     ・

     ・

     ・

 

比企谷君、あ、あのさ、昨日、ありがとうね。

資料探してくれたり、カッパも。

もしかしてカッパ貸してくれたから、風邪ひいたんじゃない?

傘持ってるて言ってたけどほんと?

 

熱とかないのかなぁ。

 

”きょろきょろ”

 

だ、誰もいないよね。

う~、熱ありそうだね、いや絶対あるよ。

あ、あのさ、熱あるか心配だからだよ。

心配だから、その・・・

 

”ぴた”

 

はぁ、熱はなさそうだね、よかった。

なんだろう、こうやって比企谷君の額に手を当ててるとなんかすっごく落ち着く。 

ずっとこうしていたいなぁ。

この時間が永遠ならいいのに。

 

だって、おちつ・・・・く・・ん・だ。

 

”すー、すー”

 

「むにゃむにゃ、比企谷君。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「おやおや、静かだと思ったら。

 

 いいねぇ若いって。

 

 次の休み時間まで寝かしておいてあげるね。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「みんなご苦労様。

 

 今日は第一回の文実、よろしくね。

 

 副会長、資料は大丈夫?」

 

「会長、チェック済みです。」

 

「うん。 それじゃ、各担当もう一回言っておくね。

 

 副会長は物品管理、美麻は保健衛生・・・・

 

 美佳は、宣伝広報ね。」

 

「「了解です。」」

 

「よし、それじゃ、みんな頑張ろう。 お~」

 

「「お~」」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

ん? あ、比企谷君、文実なんだ。

へ~、こういうのやるほうなんだ。

 

比企谷君、宣伝広報やらないかなぁ。

そうしたらいろいろ話できるじゃん。

 

「三ヶ木ちゃん、三ヶ木ちゃん。」

 

「は、あ、はい。 庶務先輩。」

 

「そっちのほう資料配ってね。」

 

「は、は~い。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃ、誰か立候補いますか?」

 

う~ん、予想通りだ、誰も立候補いない。

なかなか、わたしやりますって言い難いよね。

よっぽどの意識高い系?ぐらいだよね。

 

「誰かいませんかー?」

 

めぐねぇ、困ってるよ~。

くそ、実行委員の名前さえわかっていたら、どんな手を使っても調整しておくのに。

ごめんなさい、めぐねぇ。

 

「お、お前、雪ノ下の妹か?」

 

え、あ、そうだ。

比企谷君が気になってて気が付かなったけど、あの綺麗な女子、雪ノ下雪乃さんだ。

はぁ、やっぱり、いつみても綺麗だねぇ。

うらやましい、うっとりしちゃうよ。

なんかず~と眺めていたいな。

 

「実行委員として善処します。」

 

雪ノ下さんが実行委員長すると、雪ノ下さんが・・・・・陽乃さんが顔出してきそう。

いやだなぁ だっていっつもあの人、めぐねぇ独占しちゃうんだもん。

 

くそ~、今度ははっきり言ってやるんだ。

めぐねぇを独り占めするな!って。

い、言ってやるんだからね、自信ないけど。 

・・・・・いつかきっかけがあれば。

だって、苦手なんだもん。

 

「えーっと、どう?」

 

めぐねぇ、雪ノ下さんじっと見てる。

雪ノ下さんに実行委員長やってもらいたいんだ。

こんなことなら、なんか策を講じておくべきだった。

 

ん? あ、雪ノ下さんちょっと反応した。

なんか見つめられて気まずそう。

これいけるよ、いける。

ほら頑張れめぐねぇ。

よしわたしも協力しよう。

 

”ジー”

 

「あの・・・」

 

お、とうとう雪ノ下さん、陥落?

ん、なんか違う?

 

「みんながやりたがらないのなら、うち、やってもいいですけど。」

 

は、はぁ! なに出しゃばってんだ。

あんた雰囲気を読めよ。

もう少しで雪ノ下さん陥落してたのに。

で、誰?

 

「二年F組の相模南です。 こういうの少し興味あったし・・・

 

     ・

 

 ・・・チャンスだと思うんで頑張りたいです。」

 

ち、いらんことを。

えっと、二年F組の相模南っと。

確か三ヶ木レポートにあったよね。

 

”パラパラ”

 

一年の時、体育同じだったんだ。

なんか思い出してきた。

ふむふむ、

そ、そうだ、なんか人を見下してたやつだ。

たしか、由比ヶ浜さんとかとつるんでたけど、なんか嫌な感じだったな。

 

”カキカキ”

 

ふ~ん、実行委員長、相撲さんか、え、相撲?

あ、め、めぐねぇ それ相模さんじゃなくて相撲さん。

 

やば、ど、どうしょう。

でもみんな気が付いてないね。

あとでそ~と、へ、比企谷君笑ってる。

お願い黙っててね。

 

「みんななんとなく決めたかな。それじゃ、相模さんここからよろしくっ。」

 

よ、よし、今のうちに。

 

”ふきふき”

 

実行委員長:相模

 

宣伝広報、有志統制、物品管理、保健衛生、会計監査、記録雑務っと。

さて、ふん、実行委員長、お手並み拝見。

 

「そ、それじゃあ、決めていきます・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

大丈夫かな、まぁ、今日初日だもんね。

これからだ。

 

はぁ~、そんなことより、比企谷君は記録雑務だって。

あ~、雪ノ下さん、なに横に座ってんのよ。

なんだろう、なんかいやな感じ!

こ、こら、もっと離れなさい。

 

あ、そうだ、宣伝広報、宣伝広報。

いまはこっちに集中。

 

「・・・三年の乙舳 朋です。」

 

「それじゃ、自己紹介終わったことだし、担当部長決めよっか。

 

 といっても三年生は三人だけだからどうする?」

 

「俺、やってもいいけど。」

 

「そうか? じゃあ頼むわ。」

 

「おう。 じゃあ早速なんだけどホームページとかポスターとかの製作班と、

 

 掲示班に分けたいんだ。」

 

「あ、俺、製作側にまわるわ、割りそういうの好きだし。」

 

「サンキュ、じゃあ、乙舳さん、掲示班のほう頼むよ。」

 

「あ、は、はい。」

 

「よし、じゃあ、今日はここまでにしておこうか。

 

 早速、明日から頼むね。

 

 それと、あ、生徒会さん? パソコンとか必要なものは生徒会で用意してくれるでいいかな?」

 

「あ、はい。 それじゃあ必要なもの書き出しておいてください。

 

 あ、それと乙舳先輩? これは去年の掲示先リストです。

 

 コピーお渡ししておきますね。」

 

「OKじゃあ、今日はここまで。 ご苦労様でした。」

 

「「ご苦労様。」」

 

ふう、上出来上出来。

宣伝広報の部長さんさっさと決まってよかった。

 

「最初はグー、じゃんけんぽい。」

 

え、な、記録雑務、じゃんけんで決めてるの。

うわー、またなんかやる気のなさそうな人に決まった。

だ、大丈夫かなぁ。

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

えっと比企谷君、確か奉仕部っていう部活に入ってんだよね。

確か特別棟のこの先の教室だ。

雪ノ下さんと同じ部活か。

だから昨日、あんなに親しげだったのかなぁ。

あたたた。

なんかまた胸が痛くなってきた。

 

     ・

     ・

     ・

 

「私としてはあなたが実行委員会にいたほうが意外だけど。」

 

「あ、だよねー。超似合わない。」

 

「おい・・・ 俺は半ば強制なんだよ。・・・・ 」

 

は、比企谷君いる。

あと雪ノ下さんと、もう一人。

だれだろう、どっかで聞いたような声だね。

う~ん、どうしょう。

返せると思ったんだけどな、このカッパ。

なんだかこの雰囲気って入りにくいや。

・・・・・そ、そうだ、自転車の籠に入れておこう。

ありがとさん。比企谷君。

じゃあ先行ってるね。

 

”スタスタ”

 

「あ、生徒会の人。」

 

「え、ああ、相模さん。」

 

「ね、雪ノ下さん達いる?」

 

「あ、はい、中にいるみたいです。」

 

「あ、そう。 行こ、ゆっこ、遥。」

 

なんだろう、なんか奉仕部に用事かなぁ。

そういえば昨日、めぐねぇと平塚先生となんか話してたけど。

・・・・・まぁ、いいか。

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「スローガン、なにかありませんか?」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

だれも手あがらない。

まぁ、よっぽど意識高い系じゃないと発言しにくいよね

まずいな。このままじゃ決まらないや。

 

”ちら”

 

「ん? どうした三ヶ木。」

 

「副会長、ごめんなさい。」

 

「え?」

 

「は~い。 委員長いいですか?」

「え、あ、ど、どうぞ。」

 

「はい、それじゃ、わたしから順番に行きますね。

 

 えっと、”一期一会、いま最高の仲間たちと出会えて築く総武際!”

 

 ってどうでしょう。」

 

「はい。書記さんお願いします。」

 

”カキカキ”

 

「それじゃ、次、隣の副会長。」

 

「え、あ、ああわかった。 それじゃ・・・・・」

 

ご、ごめんなさい、副会長。

でもこうしないとみんな意見言わないから。

 

「はい、じゃあ次の人」

 

「あ、はい。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃ、多数決を取りますね。どれか一つ手を挙げてください。」

 

     ・

 

「はい、それでは今年のスローガンは、

 

 ”面白い! 面白すぎる! ~潮風の音が聞こえます 総武高校文化祭~

 

 に決定します。」

 

ん~、それなんか聞いたことがあるんだよね。

なんだったっけ。

思い出せないけど、なっか似てたんだよね。

まぁ、決まってよかった。

 

”ぐしゃぐしゃ”

 

ひえ~、な、なに?

はっ、副会長殿。

 

「み・か・げ、お前なぁ。 」

 

「副会長、ごめんなさい。」

 

「はぁ~、いや悪くはない方法だった。

 

 でも先に話しておいてくれると助かる。

 

 いきなりだからなんも浮かばなかった。」

 

「でも、いいと思いますよ

 

 ”FOR ONE PURPOSE! 総武高一つになって” くくく。」

 

「おい、最後のくくくはなんだ。」

 

”ぽか”

 

「いった~い。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「こほん、三ヶ木女子、ちっといいか?」

 

「うん、なんだ義輝君。 今から文実だからあんまし時間なし。」

 

「ぬふ、ならば早速だが、これを読んでもらえぬであろうか?」

 

なにこれ、えっと黒メイド?

ラノベ?そっか小説家になるのが夢だったよね。

でも、今読んでるような時間はないな。

 

「ごめん、いまラノベ? 読んでる時間なくて。」

 

「これは、我のクラスの脚本ではないか。」

 

「え、義輝君が脚本書くんだっけ? どれどれ。」

 

ふむふむ。

 

・・・・・・・・・・・

 

「おい、この時間のないときに。」

 

「へ? な、なにか」

 

「思いっ切りパクリじゃねぇ~か、この野郎。」

 

”ベシ”

 

お、なんかいい感じ。 もう一回。

 

”ベシ”

 

「ぐふぁ! な、なぜ二回も。」

 

「あのな、主人公が貴族の子供で、その子供と契約を結んだ悪魔のメイド。

 

 で、このメイドが主人公の命令でいろんな事件を解決すんだろ。」

 

「ぬほほん、面白そうであろう。 我のオリジナル脚本。」

 

”べし”

 

「書き直し!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「すみません、遅くなりました。」

 

あれ、掲示班はもう行っちゃたのかなぁ。

乙舳先輩だったけ、それと一年生何人かいないね。

 

「あの、すみません。 乙舳先輩はどうしました?」

 

「ああ、掲示班連れて交渉に出掛けたけど。」

 

「あ、そうですか。」

 

えっと、製作班のほうは部長さんもいるし、まぁ、任せておいて大丈夫かなぁ。

 

「部長さん、わたし掲示班の様子を見に行ってきますね。」

 

「了解、気を付けて。」

 

     ・

     ・

     ・

 

昨日の話では学校の近くからって言ってたから、ここらへんだと思うけど。

どこだろう?

えっとリストの順からいっておそらく・・・

 

あ、いたいた。

あれ? 乙舳先輩一人しかいない?

え、声ちっさー。

なにいってんだろう?

あ、あきらめちゃった。

 

”スタスタ”

 

「ご苦労さまです。 あの、乙舳先輩一人ですか?」

 

「うううん、遅くなっちゃったから、先に一年生の子は返したの。」

 

「あ、そうですか。 で、今日どうでした?」

 

「あ、ごめんね。 時間帯が悪かったのかな。

 

 あんまりお店の人に話聞いてもらえなくて。

 

 あの、あのね、まだ1件だけ・・・」

 

げ、今日一日まわって、い、1件。

何やってんだこの人は

さっき見てたけど、声小さいし、あきらめ早いし。

だめだこりゃ。

 

 

『三ヶ木、人はみな自分と同じだと思っちゃいけないよ。』

 

はっ、そうだ。 

わたし何様だ、えっらそー。

あんとき副会長に教えてもらったじゃん。

 

     ・

 

くっそ、あの先輩、絶対、これいじめだからね。

 

『三ヶ木じゃないか?

 

 こんなとこでなにしてるんだ?』

 

『あ、副会長。 な、何でもないです。』

 

『なんだ、また泣いてたのか。

 

 ほれ、涙拭け。 こんどはなにして三増に怒られたんだ。』

 

『副会長、わたしあの人キライです。

 

 だって、部費折衝会の申請の締め切りを7時って書いたんですよ。

 

 7時ていったら普通午後7時じゃないですか。

 

 それなのに、19時て書かないとダメだから全部回収してこいっていうんですよ。

 

 そんなの誰が間違うんですか?』

 

『三ヶ木、今日俺はいつもの通り六時に起きた。

 

 さて起きてから何をしたかわかるか』

 

『へ、あ、あの~、ト、トイレとか?』

 

だって、ふつうトイレだよね。 だってとうちゃんの後、臭くて30分は入れないんだよ。

先に入らないと学校遅れちゃうもん。

 

『ブー、ハズレ。 起きたら眼鏡の手入れをしてました、20分間。』

 

『はぁー、副会長、20分も何やってんですか!』

 

『いやなぁ、これは俺のルーチンだ。 ねじ外したり、レンズ磨いたり20分なんて

 

 あっという間だ。』

 

『そんなもん、わからないじゃないですか』

 

『そ、そういうことだ。 

 

 いいか、ちょっと強引だがな。 人ってもんはそんなもんだ。

  

 その人にはその人の経験から得た基準がある。

 

 自分がそうだからと言って自分の基準で判断したら駄目だ。』

 

『う、うん。』

 

『それに三増だが、俺たちと話してる時、いつもお前のことばっかだぞ。』

 

『う、またわたしの悪口を。』

 

『逆だ。あいつどんだけ三ヶ木のこと好きなんだってぐらいだぞ。

 

 あ、やば、このこと三増には内緒だからな! 絶対言うなよ俺まだ死にたくない。』

 

『うそ。 ・・・・み、三増先輩~』

 

『あ、ちょ、ちょっと待って、今のこと言ったら駄目だからな。 お~い。』

 

     ・

 

そうだ、何でも自分の基準で判断しちゃいけない

わたしはわたし。乙舳先輩は乙舳先輩。

こんなこと、あんまりやったことないんだろうなぁ。

それでも、一人で頑張ってやってるんだ。

 

よし!

 

「乙舳先輩、もう1件行きましょう。」

 

「え、ふふふ、なんかサラリーマンさんみたい。」

 

「え、あ、ははは。 よし今日は思いっ切り飲むぞ!」

 

「ふふふ、了解。 いきましよう三ヶ木さん。」

 

「うん。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

うへぇ、あっち~。

今日は、夕方になっても熱いや。

くっそ、女子の敵だね。こんだけ太陽の光浴びてると、シミになっちゃうよ。

 

「今日特に熱いね。 みんな何か飲む?」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「わたし、いろはすで。」

 

「あ、三ヶ木さんは?」

 

「わたしもいいんですか?

 

 ありがとうございます。 じゃ、ミルクティお願いします。」

 

「うん。」

 

「熱いけど、みんなもう少し頑張ろうね。」

 

「「はい。」」

 

乙舳先輩、やっさしー、ミルクティ奢ってくれたし。

ほんといいひとだなぁ、ミルクティ奢ってくれたし。

いやぁ、頑張ってるよ、ミルクティ奢ってくれたし。

ちが~う! まったくどんだけタダに弱いんだわたし。

 

乙舳先輩、今日はほんと声大きくなってたし。

一年の子たちも結構いい子みたいだし。

初日に断られたとこもOKもらってこれたし。

あとはこれからだね。

 

「ね、文実、やってみてどう?」

 

「え、どうって、ん~、あの思ってたより掲示班? 面白です。 なっ。」

 

「うん、初めはお店の人もなかなか話聞いてくれなくて、やだなぁ~って思ってたんですけど。

 

 最近、話聞いてもらえるようになって、それでOKて言われたときはやった!て感じで。 」

 

「あ、それにほら、この前のあのパン屋さん。」

 

「あ、そうそう。この前お願いにいったパン屋さんに帰り寄ったんですよ。

 

 そしたらあんパンおまけしてくれました。

 

 なんか頑張れって。」

 

「あのパン屋さん、総武高のOBさんだったんだよな。」

 

「そうそう」

 

「え、どこのパン屋さん? 昨日いたっとこ?」

 

「三ヶ木先輩、目がマジです。」

 

「だって、わたしもあんパンほしい。」

 

「あははは、あ、それとなんか今まで学校に来るまで見てきたはずなんだけど、

 

 なんか、風景が違って見えます。 お店の人声かけてくれるし。」

 

「あ、俺も声かけられた。」

 

うんうん、よかった。

これも乙舳先輩の人柄だね。

頼りなさそうなのは今も変わらないんだけど、やさしいもんね。

 

「あ、でも俺、テレビ局行ってみたい。」

 

「テレビ局?」

 

「ほら、生徒会長さん言ってたじゃないですか、テレビに出れるかもって。」

 

「ああ、そうだ、夕方のお店とか紹介してるやつ、あれ出てみたいね。」

 

「う~ん、でもあれって申し込みとか応募してたかな。」

 

「そうか、残念、わたしスカウトされるかもって思ってたのに。」

 

「むりむり。」

 

「ひど~い」

 

良かった。みんな楽しんでくれる。

それにどんどんみんな積極的になってるし。

なんかうれしい。

よし、がんばるぞ。

ちょっと予定より遅れてるけど、この調子なら挽回できる。

 

「頑張るぞー おー」

 

「え、三ヶ木先輩、いきなりなでんすか?」

 

「え、いや、ここは”おー”って言って。 さみしいから。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「いっつもの鬼の三増先輩がいうんですよ。」

 

「そう、三ヶ木さんも大変ね。」

 

「わかってくれます、乙舳先輩。」

 

こうやって乙舳先輩と話をするようになって

何日目だろう。

結構、先輩からも話しかけてくれるようになった。

一年生の子たちも、毎日頑張ってくれてるし。

なんかいい文化祭になりそう。

 

”ガラガラ”

 

「ご苦労様です。」

 

「お疲れ様。」

 

あ、もうみんな集まってるね。

えっと時間は午後4時、ギリギリセーフだ。

 

「それでは、定例ミーティング始めます。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「そうですか、いい感じですね。」

 

「いいえ。 少し遅い。」

 

は、雪ノ下さん。

そうだ確か副委員長になったって言ってたっけ。

 

「文化祭は三週間後。 来客がスケジュール調整する時間を考慮すればこの時点

 

 で既に完了していないといけないはずです。 

 

 掲示箇所の交渉、ホームページへのアップは既にすんでますか?」

 

な、なんだと。 今頑張ってるじゃん。

すげーえらそう。

 

「急いでください。 

 

 社会人はともかく、受験志望の中学生やその保護者はホームぺージを結構こまめに

 

 チェックしてますから。」

 

くっそ、好き勝手いいやがって

あ、ほら一年の子たち、下向いてるじゃん。

なんか申し訳なさそうに。

 

     ・

     ・

     ・

 

おい、さっから我慢して聞いてたら、なんだこいつ言いたい放題じゃん。

なんかマジむかつく。

それになに、委員長のこと無視してんじゃん。

そんなに仕切りたいのなら、お前が委員長やればよかったんじゃん。

 

わたしこいつのことはゆるせない。

 

”がた”

 

「ちょっと、雪ノ 」

 

”ぎゅ”

 

へ、あ、乙舳先輩

 

「座って、ね? それと後でちょっといい?」

 

「う、うん。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あのさ、三ヶ木さん、今度の土曜日時間ないかな?」

 

「え、う~ん、大丈夫、空けます。」

 

「あ、ありがとう。 あのね、一年生の子たち、昨日も頑張ってたんだよ。」

 

「そうだと思います。」

 

「今日、雪ノ下さんに遅いって言われたのは、私の段取りとか説明とかが悪かった

 

 からだと思うの。

 

 だからね、一年生の子たちの頑張りになにか報いたくて、私、テレビ局に行って

 

 みようと思うの。」

 

「でも、まずは出れるかもだけど、文化祭までに間に合うかどうか。」

 

「うん、でも行ってみたい。 ごめんね無理言ってるのわかってんだけど。」

 

「了解! 行きましょう乙舳先輩。 だめもとです。」

 

「うん、ありがとう三ヶ木さん。 あ、それと、朋でいいよ。」

 

「あ、あのう、朋先輩。」

 

「はい、三ヶ木さんお願いします。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「いやぁ、さすが雪ノ下さんだね。なんかすごかったね。」

 

「いつもの定例会とは違って、なんか中身が濃かった。」

 

「そうだな、雪ノ下さん次期生徒会長にいいんじゃないか?」

 

”バン”

 

「え、 ど、どうした三ヶ木」

 

「べ・つ・に。」

 

「美佳、美佳はどう思った。 雪ノ下さん、すごいと思った?」

 

「美麻先輩、ごめんなさい、わたしはあの人が生徒会長なんて絶対嫌です。

 

 少なくともあの人と一緒に生徒会はしたくないです。」

 

「どうしてそう思ったんだい。」

 

「美麻先輩、あんな責めるような言い方はないです。

 

 この前、一緒に掲示班やってる一年生の子たちが言ってくれたんですよ。

 

 掲示班面白いって。

 

 始めはお願いにいっても話を聞いてくれなかったのに、ようやく話聞いてくれる

 

 ようになって。

 

 それでOKもらえた時は”やったーっ”て思ったって。

 

 でも、あの子達、今日すっごくがっかりして帰っていったんですよ。

 

 わたしは絶対あの人のやり方間違ってると思います。

 

 城廻先輩は、あんな言い方絶対しないです。必ずまずは褒めてくれるもん。」

 

”なせなぜ”

 

へ、み、美麻先輩、なにを、なぜ頭を。

ぶ、不気味だ。

 

「なにキョドってるの。

 

 あのね、美佳、雪ノ下さんにもいいところはあると思うんだ。

 

 もうすこし様子見てみようか。」

 

「はい。 美麻先輩が言うのなら。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

やばいな。やっぱ一年の子たち、今日元気なかったよ。

どうしょう、何とかしなくちゃね。

 

”ガラガラ”

 

「ただいま戻りました。」

 

「ああ、ご苦労様。」

 

ん、記録雑務、比企谷君だけ?

どうしたんだろう。

 

「あの、他の人はどうしたの?」

 

「あ、今日はみんな帰った。」

 

チャンスだ。 ここは頑張れだよ。

ちょっと手伝って何とかいろいろお話したいなぁ。

 

「あ、あのさ、少し手伝うね。」

 

「いらん。」

 

「へ? いや、そのてつだ 」

 

「いらん。」

 

き、貴様、このわたしが折角手伝ってあげるっていうのに。

こんなことで負けないもん。

 

「いいから貸して。」

 

「いい。 これは記録雑務の仕事だ。

 

 手伝われて広報の仕事まで手伝わされたらかなわん。」

 

「いや、そんなこと言わないから。

 

 あ、あのさ、カッパ貸してくれたお礼だよ、すっごく助かったから。」

 

「そ、そうか。」

 

「うん、だから頂戴。」

 

「すまん頼む。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ね、これで最後?」

 

「ああ、助かったわ三ノ下。」

 

「はぁ 今なんと?」

 

「いや、助かったって三ノ下。」

 

「だれ?」

 

「お前だが。 お前、三ノ下だろ。」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ、なんだいってぇ。」

 

「三ヶ木だよ、み・か・げ。」

 

「いや、ちょっと待て。

 

 ほ、ほら見みろ。 カッパについてたメモに三ノ下って書いてあるだろう。」

 

「どれ、あ、いやこれ自転車の荷台で書いてたから書きにくくて。」

 

「そ、そうか。 まぁ、三ノ下でいいだろ。」

 

「よくな~い。」

 

”ベシベシ”

 

「わ、わかった。 あとな雪ノ下のことだけど。」

 

「え、なに。 なんで雪ノ下さんがでてくるの?」 

 

「いやこの前、お前怒ってたろ。」

 

「だってこの前のあの言い方ないじゃん。

 

 みんな頑張ってんだよ、会社とかじゃないんだよ。

 

 なんか結果ばっかり責められて。

 

 文化祭って、そりゃ結果も大事だけど、その過程のほうが大事じゃない。」

 

「まあな。 今回、奉仕部が依頼受けたのも、本来は相模のフォローだったんだが。

 

 すまん、悪気はないんだ。」

 

え、そんな依頼があったの?

ところで 奉仕部って何する部なんだ?

でもさ、フォローするっていうのならあれじゃ。

・・・なんで比企谷君が謝るの。

 

「比企谷君、もしそんな依頼があったとしたら、フォローになってないよ。

 

 だってどっちが会長かわからないって意見もあったじゃん。

 

 相模さんのやる気がなくならなければいいんだけど。」

 

「あ、その相模だがな、今日・・・いや、いい。」

 

「え、な、なに。」

 

「いや、いい。 何でもない。

 

 それより、本当に助かったわ。 じゃこれ提出してくる。」

 

「うん、ご苦労様。」

 

「おう。」

 

やった。今日はいっぱいお話しできた。

へへへ、今日は最後にいい日だったな。

よし、明日も頑張ろう。

 

”スタスタ”

 

「ほれ、今日の分の記録だ。」

 

「あら、雑務谷くん、まだいたの。存在感がなかったからわからなかったわ。」

 

「まあな、ステルスヒッキーはおれの特技の一つだ。」

 

「ステルス? なにを言ってるのかわからないのだけれど。」

 

「ま、提出したからな、じゃあな。」

 

「比企谷君、遅くまでご苦労様。」

 

”ニコ”

 

「お、おう」

 

な、なに比企谷君、照れて赤くなってんのよ。

あ、ニヤついてる。

き~、やっぱりわたしあの人キライ!

 




今回も最後までありがとうございます。

すみません。

文化祭編、ゆきのんと少し衝突(直接絡んではいませんが)しています。

なんとか第一話に繋がりますようにしなければ。

また次話読んでいただけたらありがたいです。
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