似て非なるもの   作:裏方さん

42 / 79
はぁ、また遅れてしまった。

ほんとに、週刊誌の先生ってすごい。

あ、すみません、今回も見に来ていただいてありがとうございます。

今回はvs奉仕部(というほどでもありませんが)

よろしくお願いします。


奉仕部と生徒会

”ズキッ”

 

まだ痛い、やっぱこの前走ったのがいけなかったのかなぁ。

安静にしなさいって言われたのに全然守れてないや。

こりゃ長引くかなぁ。

 

「三ヶ木!」

 

ん? 今の声はたしか、えっとどこだ?

 

「ここだ。 ほらこっち。」

 

「あ、稲村君、へ、待っててくれたの?」

 

「ああ、高校まで送るから後ろ乗れ。」

 

「うん、ありがと。 はっ、待てよ、い、いくらなの。」

 

「いや、お金とらないって。

 

 まだ、足痛いんだろう。」

 

「うん。 じゃぁ、お願いします。

 

 うんしょっと。」

 

「しっかり掴まってろよ。」

 

「了解! 稲村君、出発しんこ~、なすのおし 」

 

「それ、まずいからやめろ。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

ん~、稲村君、来てくれて助かった。

あ、ちゃんと段差避けてくれてるんだ。

へぇ~感心感心。

 

「なぁ、三ヶ木。」

 

「ん?」

 

「お前太ったろ。」

 

げ、そうなんだ、最近クレープの試作ばっかりやってたから。

ちょっとお腹周りやばいかも。

どうしよう、夏近いのに。

 

「・・・・・・・・・やっぱり、わかる?」

 

「いや、適当に言っただけだが。」

 

”ベシ”

 

「いたぁ。」

 

「くそ、少しでも気を許したわたしが馬鹿だった。」

 

「ははは。 まぁ、話は変わるけどさ、ちゃんと勉強してるか?」

 

「はぁ、なに? し、してるわよ・・・たぶん。」

 

「そうか。 進学しないからっといっても、ちゃんと勉強はしておけよ。

 

 絶対自分のためになるから。」

 

「う、うん、そうだね。 もう赤点取りたくないもんね。

 

 それはそうと、稲村君はもう志望校決めてるの?」

 

「ああ、俺は千葉工大だ。 あ、みんなには内緒だぞ。 二人だけの秘密だ。」

 

「え、秘密? わたし口軽いよ。」

 

「おい。 まぁ、いいけどさ。

 

 あ~あ、夏休みはずっと塾通いだ。」

 

「ね、塾ってどんなの? 学校の授業みたいなの?」

 

「三ヶ木、塾行ったことないのか?」

 

「うん。 だからどんなのかなぁ~って思って。」

 

「そっか。 なぁ、今度見に来ないか? 

 

 見学は無料だから。」

 

「え、無料? でも塾行かないんだよ?」

 

「まぁ、ほら、知っておいても損はないだろう。

 

 そうだ、その時、帰りにコーヒーでも奢ってやるよ。」

 

「ほんと? め、珍しい。

 

 じゃあ、行ってみようかなぁ。」

 

「ああ、じゃあ都合のいい日、連絡な。」

 

「うん。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

"どさっ”

 

「これで最後か?」

 

「えっと、そうだね、それで最後だ。

 

 広川先生、お待たせしました。」

 

「もう積み残しはないか?」

 

「はい。」

 

「じゃあ、三ヶ木、後でな。」

 

「え?」

 

「稲村、一緒に乗って行ったらどうだ?」

 

「先生、軽トラって三人は無理でしょう?」

 

「いや、これ軽トラじゃないから。

 

 まぁ、ちょっと狭いかもしれんが三人乗りだぞ。」

 

「稲村君、一緒に行こ。

 

 自転車、荷台に乗るじゃん?」

 

「ああ、じゃ、お願いします。」

 

 

     ・

 

”キュルキュルキュル”

 

「きゃっ。」

 

”ギュ~”

 

「あ、ごめん稲村君。

 

 広川先生、も、もう少し安全運転で。」

 

「お、おう。」

 

”キュルキュルキュル”

 

「うぉっ。」

 

”ギュ~”

 

「あ、すまん三ヶ木。」

 

「う、うううん。 せ、狭いからね。

 

 き、気にしてないよ。」

 

”キュルキュルキュル”

 

「ひぇ~。」

 

”ギュ~、ギュ~”

 

「い、稲村君、ご、ごめんね。

 

 ひ、広川先生、もしかして運転久しぶり?」

 

「あ、ああ、大学以来。」

 

「せ、広川先生、と、止めて、降ろして~」

 

”キュルキュルキュル”

 

「うわぁ~」

 

”ギュ~”

 

「す、すまん、三ヶ木。」

 

「だ、大丈夫だから。 き、気にしてないから。」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

”ばたん”

 

はぁ、やっと着いた。

うぇ~なんか酔ったみたい。

げ、稲村君、固まってる。 あっ 

 

「ね、ねぇ、稲村君、大丈夫? 

 

 あのさ、鼻血出てるよ。 はいティッシュ。」

 

「え、あ、す、すまん。」

 

「さ、先に荷物運んでるね。」

 

「あ、ああ。 ごめん、今行くから。」

 

「稲村、ちょっといいか?」

 

「へ? あ、はい。」

 

「三ヶ木からいろいろ聞いてる。

 

 いつも悪いな、またあいつがなにか仕出かしそうだったら、叱ってやってくれないか?」

 

「え、あ、わかってます。 

 

 まぁ、俺は俺なりのやり方であいつと向き合っていきます。」

 

「すまんな。 あいつはすぐ一人で暴走しちまうからな。」

 

「わかってます。 あ、でも先生には負けるかと。」

 

「す、すまん。」

 

「お~い、なにしてんの? 行くよ~」

 

「あ、いま行く。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あ、おはようございます。

 

 今日はよろしくお願いします。」

 

「ああ、おはよう。

 

 えっと三ヶ木さんだっけ?

 

 今日はよろしくね。」

 

「はい。」

 

「あ、でも、本当にテントの位置、あれでよかったのかい?」

 

「ええ、ご無理言ってすみませんでした。」

 

「いいよ、クレープの差し入れ貰ったし。

 

 あれ、美味しかったよ。

 

 じゃあ、頑張ってね。」

 

「は~い。」

 

「三ヶ木、お前テントの位置ってなにしたんだ?」

 

「行けばわかるって。 さ、ちゃっちゃっと運んじゃうよ。」

 

     ・

 

「げ、三ヶ木、これマズイって。」

 

「こんでいいんだよ。」

 

「いや、だめだろう、ステージ挟んで隣同士って、嫌でも張り合うことになるって。」

 

「迷ったんだけど、はっきり言ってさ、奉仕部さんとこやばいじゃん。

 

 そりゃ雪ノ下さんが作ったクレープなら絶対美味しいけど、

 

 今日は二人だけだからね。」

 

「だったら、なおさら。」

 

「だから最悪の場合、わたし奉仕部のフォローに入るね。

 

 そのためにも見えるとこにいてほしかったの。」

 

「でもそれじゃ会長が黙ってないし、それに奉仕部さんも素直に受け入れないだろう。」

 

「そうだろうね。 でもさ、こんなの嫌だからさ。」

 

「・・・、まぁ、そうだな。 奉仕部さんにはいつも世話になってたし。

 

 だけど三ヶ木。」

 

”ゴン”

 

「いったぁ。」

 

「だから、一人で勝ってに動くな、相談しろ。

 

 まぁ、その時は協力するから、こっちは任せとけ。」

 

「う、うん。 へへ、稲村君ならそう言ってくれると思ってた。」

 

「さっさと運ぶぞ。  ほら、あそこ、本牧が待ってるぞ。」

 

「あ、いた。 お~い、本牧君。」

 

     ・

     ・

     ・

 

よしっと、準備は完了っと。

後は焼き始めるだけ。

それにしても、会長と書記ちゃん、遅いね。

 

”ボン、ボン”

 

「え~本日は総武商店街ふれあい祭りにようこそ。」

 

あ、始まった。 

会長来ないけど始めないと。

 

「ね、本牧君、そろそろ始めよっか。

 

 お客さん来ちゃうとね。」

 

「そ、そうだね。 じゃあ、始めよう。」

 

「うん、本牧君、稲村君、練習した通りの作業の分担でお願いね。」

 

「了解だ、三ヶ木さん。」

 

「ああ。」

 

”スタタタタ”

 

「お待たせです♡」

 

「ごめんなさい、遅くなりました。」

 

え、会長、書記ちゃん、それはメイドさん。

その準備してたの?

わ、わたしのは、ないんだよね。

ひど、わたしも着たかった。

文化祭の時からあこがれてたのに。

で、でも、悔しいけど・・・・

 

「可愛い。」

 

「ああ、そうだな。 かわいい。」

 

「・・・」

 

「お、おい本牧?」

 

「あ、本牧君、何か変かなぁ」

 

「い、いや、沙和、いや、書記ちゃんすごくいい。」

 

「副会長、わ、わたしはどうです?」

 

「え?、あ、いいですね。」

 

「な、すごくいい加減じゃないですか~

 

 もういいです。

 

 さぁみんな、ガンガン作ってくださいね。

 

 書記ちゃん、売りまくるよ~」

 

     ・

     ・

     ・

 

「「いらっしゃいませ。」」

 

「あの、いちごクリーム2つ。」

 

「はい、ご主人様。 

 

 美佳先輩、いちご2つお願いします。」

 

「あ、こっちはチョコクリーム一つ。」

 

「はい、畏まりです、えへ♡」

 

う、やっぱりジャリっ娘、適役だね。

ふ~混んできた。

急がないと間に合わないや。

昨日のうちに生地だけでも準備しておいてよかった。

しっかりなじんでるし。

 

「稲村君、本牧君、焦らないようにね。

 

 いい、丁寧に、品質のグレードを落とさないようにね。

 

 時間は気にしないで、そのために会長達いるんだから。」

 

「「お、おう」」

 

だけど、こっちがこれだけ混んでるってことは奉仕部のほうが。

げ、やっぱそうだ。

奉仕部さんのほうお客さんいないじゃん。

ま、まぁ、販売担当が比企谷君とうちの会長じゃこうなるよね。

 

     ・

 

「比企谷君、しっかり売りなさい。」

 

「いや、売れって客いないから。」

 

「いなければ、呼び込みしなさい。」

 

「俺が呼び込みして客来ると思うか?」

 

「はぁ、仕方ないわ。

 

 あなたが作りなさい

 

 そこにさっき準備した生地あるから、それを使って焼きなさい。」

 

「あ、おう、これか。」

 

     ・

     ・

     ・

 

えっと、なんかお客さん減ったような気が。

あ、奉仕部さんのほう、お客さん並んでる。

 

「なぁ、あっちのクレープ屋のひと、すごく綺麗だぞ。」

 

「え、あ、本当だ。」

 

ん? あ、雪ノ下さんが販売担当に替わったのか。

さすがだね。

はぁ、ここから見てても綺麗だわ~。

げ、ジャリっ娘、機嫌悪そ~。

 

「む~、雪ノ下先輩、さすがですね。

 

 このままじゃまずいですね。

 

 やっぱり水着とかじゃないと。」

 

お、おい、いま水着って言わなかった?

そ、そこまでしなくてもいいって。

ほ、ほら、本牧君、顔青ざめてるし

あ!

 

”ゴン”

 

「いってぇ。」

 

「なに嬉しそうにしてるの。」

 

「え、い、いやしてない・・・・・・・・ごめんなさい、ちょっと期待してました。」

 

「全く、この馬鹿村は。

 

 まって会長、水着って何でそこまでするの?」

 

「だって、この売上げって福祉団体に寄付するじゃないですか~。

 

 ほら、その時、新聞に写真載りますよね。

 

 毎年、会長だけですけど、今年は生徒会役員全員の写真にしたいんですよ。

 

 みんなを載せるんだったら、しょぼい金額では嫌じゃないですか~」

 

「「会長。」」

 

「会長、大丈夫だって。

 

 水着になんかならなくても、客足は戻ってくるって。」

 

「え、なんでそんなことわかるんですか。」

 

「あのさ、雪ノ下さんが、お客様に愛想ふるえると思う?

 

 例えばさ、”写真いいですか?”とかいわれても、”ここはクレープを売る店よ。

 

 クレープいらないのなら帰って頂戴。”とか言いそうじゃん。

 

 それに、今クレープ作ってるの比企谷くんじゃん。

 

 雪ノ下さんにはかなわないけど、クレープの美味しさじゃ負けないから。

 

 だから、今のままで大丈夫だって。」

 

「そ、そう?」

 

「そう。 それよりさ、ちょっと早いけど、交代でお昼とかとっておこう。

 

 えっとね。」

 

”がさがさ”

 

「はい、おにぎりと漬物だけど、良かったらみんなの分作ってきたから。」

 

「あ、わたしもみんなのお弁当作ってきたよ。」

 

「げ、書記ちゃんまで。 

 

 わ、わたしは、ほ、ほら、あんまり沢山お弁当持ってきて残したらと思って。

 

 だから、我慢して作ってこなかったんですよ。

 

 あ、なんですか、美佳先輩、その目は。

 

 さ、早速ですから、交代で頂きましょう。」

 

「「頂きま~す。 会長、留守番よろしくです。」」

 

「えー、な、なんでですか、みんなして。」

 

 

     ・

     ・

     ・

 

 

”がやがや”

 

「なぁ、雪ノ下、生地なくなりそうだから、ちょっと作るわ。」

 

「ええ。 できるわよね。」

 

「まぁ、やってみる。」

 

     ・

 

「すみません、写真いいですか?」

 

「お断り。  ここはクレープを売ってるの。

 

 クレープいらないのなら帰っていただけるかしら。」

 

「え、あ、じゃあ、バナナクレープ一つください。」

 

「比企谷君、バナナクレープ一つ。」

 

「お、おう。」

 

「はい、どうぞ。」

 

「あ、はい。」

 

”ぱく”

 

「げ、なんか粉っぽい、生地焦げてるし。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あ、あっちのクレープ、なんか美味しくないって。」

 

「え、本当?」

 

「なんか焦げてたり、破けてたり、それに待ってる時間チョー長いんだって。

 

 あ、それと、店の人綺麗だけど、愛想悪いって」

 

     ・

     ・

     ・

 

「すみません。 チョコクリーム二つお願いします。」

 

「はい、畏まりです。 ありがとうございます、えへ♡」

 

「か、かわいい~、ね、ねぇ、写真いい?」

 

「え~、いいですよ。 でも可愛くとってくださいね。」

 

「は、はい。」

 

げ、やば、チョー忙しい。

やっぱり客足戻ってきたね。

生地はいっぱい準備してあるから大丈夫っと。

あっ、奉仕部さんのほうは・・・・やっぱりね。

悪いけど、今の奉仕部さんにこの生徒会が負けるはずがない。

 

だって今日はピースが足りないんだ。

だから絶対生徒会が負けることはないんだ。

だけどこのままじゃ、あっちやばいよね。

 

「ねぇ、稲村君。」

 

「ああ、わかってる。 行って来いよ。」

 

「ごめんね。」

 

「会長に見つかったら何とかごまかしとくわ。

 

 え~と、大きいほうとか。」

 

”べし”

 

「いたっ、じょ、冗談だって。」

 

「馬鹿者。 まぁ、ありがと。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「まったく、あれだけ練習したのになぜこうなるのかしら。」

 

「いや、あれだけお客が並んでたら、さすがに焦るだろう。

 

 それに、時間つなぐのはお前の役目だろう。

 

 写真ぐらい撮らせてもいいんじゃないか。」

 

「あら、私たちはクレープを売ってるのよ。」

 

「いや、しかしだなぁ。」

 

あ、やっぱ雰囲気悪くなってた。

ここはやっぱ断られるかもしれないけどさ、いやだもん、こんなの。

 

「あ、あの 」

 

「ヒッキー、ゆきのん、ほら、お客さま待たせてるよ。

 

 いらっしゃいませ。

 

 えっと、なににします?」

 

「あ、あの~、バナナチョコを一つ。」

 

「はい、ありがとうございます。

 

 あ、少し時間がかかるかもしれないんですけどいいですか?」

 

「え、あ、はい。」

 

     ・

 

「へぇ~、すごいんだ。」

 

「そ、そう?」

 

「由比ヶ浜さん、お待たせ。」

 

「あ、はい。 すみません、お待たせしました。」

 

「ありがとう。 あ、楽しかったです。」

 

「ありがとうございます。 また来てくださいね。」

 

「はい。」

 

「もう、ヒッキーもゆきのんも、お客さま待たせて何やってんだ~

 

 ほら、ゆきのんは次の準備して。 

 

 ヒッキーは・・・・・・・えっと、そう雑務担当。」

 

「俺、雑務かよ。 

 

 でも、お前、今日は昼から三浦たちと出かけるんじゃなかったのか?

 

 たしかカラオケ行くとか。」

 

「え、ああ、えへへ、来週に変更。  

 

 だって、あたしだけのけ者は、やっぱりやだ。

 

 あたしも奉仕部だからね。」

 

「そ、そうか。」

 

「そうだ、そうなのだ。」

 

「由比ヶ浜さん、ありがとう。」

 

「ゆきのん、ヒッキー、さぁ、頑張るよ。

 

 でもさ、なんで生徒会と別々なの?」

 

「まぁ、いろいろとあってだなぁ。 なぁ、雪ノ下。」

 

「・・・・・・・」

 

ゆ、結衣ちゃん、さすがだ。

やっぱり結衣ちゃんがいると奉仕部ちがうね。

はぁ~、やっぱりこの三人の間には入り込めないや。

比企谷君が大事にしてるものってこの雰囲気なんだ。

やっぱ、特別なんだね、比企谷君にとって。

 

げ、まてよ、やば、ピースが揃っちゃったじゃん。

 

     ・

     ・

     ・

 

「あれ、三ヶ木、もういいのか?」

 

「あ、う、うん。

 

 やっぱりあの中には入れなかった。」

 

「そ、そうか。

 

 なぁ、三ヶ木。」

 

「うん?」

 

「おかえり。」

 

「え、あ、た、ただいま。」

 

そうだ、わたしには生徒会のみんなが。

ここがわたしの居場所。

わたしにとって特別な場所。

ありがと、稲村君。

 

「むむむ、あれは結衣先輩じゃないですか。」

 

「えっと、なんかお客さん減ったね。」

 

「Tシャツにあの胸は卑怯ですって。

 

 ほら、奉仕部さんのほうのお客様、男の人ばっかりじゃないですか。」

 

「まぁまぁ、会長、次のステージはちびっ子ダンスとキャラクターショーですから。

 

 そこで挽回しましよう。」

 

「ふむ、次は幼児向けのステージが続くんですね。」

 

「ええ。 あ、会長、ほら、ちびっこ向けのハーフサイズ作ってみました。

 

 え、会長、聞いてる?」

 

「・・・・・・・・・・ふむ、書記ちゃん、最終兵器の出番みたいです。」

 

「いろはちゃん、いつでも準備OK。」

 

え、最終兵器?

さっき水着っていってたから、え、もしかして最終兵器っては、はだか?

じゃ、ジャリっ娘、それはだめだって。

 

「会長、も、もっと自分を大事に。 へ?」

 

”がし”

 

え、なに? ジャリっ娘、書記ちゃん、へ、な、なにするの?

 

「行くよ、書記ちゃん。」

 

「はい、いろはちゃん。」

 

”ダー”

 

え、な、なに? どこ連れてかれるの?

 

「ちょ、ちょっと会長、ど、どこに行くの?」

 

「いいからです。」

 

     ・

     ・

     ・

 

な、なんでこ、こうなった。

 

「あ、鹿ちゃんだ。」

 

「鹿ちゃん。」

 

”わいわい”

 

ち、違うから。

鹿じゃなくてトナカイだから。

なんでトナカイのコスを。

ジャリっ娘、わざわざ学校から持ってきてたの。

く、くそ~、これ暑いんだからね。

だってクリパの時のだもん。

 

「いらっしゃ~い、鹿ムスメのクレープ屋さんだよ。

 

 鹿ムスメがクレープ作るよ。

 

 さ、美佳先輩。」

 

くそ~、このジャリめ、お、覚えてろよ。

え~い、やけくそだ!

 

「し、鹿ちゃんだよ、美味しいクレープ焼いてるよ。

 

 よかったら食べていってね。

 

 ほら、ちびっこサイズもあるからね。」

 

「あ、鹿ちゃんクレープ焼いてる。」

 

「鹿ちゃんかわいい。」

 

「お母さん、一個買って。」

 

「すみません、ちびっこサイズのイチゴ1つください。」

 

「は~い、鹿ちゃん、ちびっこサイズのイチゴ一つお願いします。」

 

「は、はい。」

 

     ・

 

「な、あれ三ヶ木か。」

 

「あ、あの着ぐるみ、ほらクリパ―の時のじゃん。」

 

「暑そうね。」

 

「ダンス終わった子たちでいっぱいだね。

 

 へへ、美佳っち嬉しそう。」

 

「そうね。 三ヶ木さんってああいうの向いてそうね。」

 

「うん。 あのね、美佳っち、保母さんになるのが小さいころからの夢だったんだって。

 

 職場体験の話した時もさ、すっごく嬉しそうだった。」

 

「やっぱり、あいつそうなんだよな。」

 

”わいわい”

 

「でも、あれは反則だろ。 

 

 クレープ買う買わないにしろ、子供ほとんどあっちいったじゃねぇか。」

 

「仕方ないわね。

 

 比企谷君、あなた、ランニングシャツに半ズボンになりなさい。」

 

「お前マジで行ってるのか?

 

 それって、某千葉のゆるキャラだろう。

 

 あれ、かわいくねぇぞ。 この場合、逆効果だ。」

 

     ・

     ・

     ・

 

暑い、暑い、暑いよ~

も、もうすぐキャラクターショーだ。

そ、そこまでは。

で、でもさ、なんか、なんかさ。

 

「は~い、ほらチョコクレープできた。」

 

「うわぁ、鹿ちゃん上手。」

 

「わたしもほしい。」

 

「ちゃんと並んでね。」

 

「「は~い」」

 

へへ、やっぱ小っちゃい子ってかわいい。

職場体験、思い出すな~

あんときもいっぱい遊べてたのしかったなぁ。

わたし、小っちゃい子大好き。

 

あ、あの子、よそ見して走ったら危ないよ。

 

”ずでん”

 

げ、転んだ、大丈夫?

 

「うぇ~ん。」

 

「やば、い、稲村君、あと頼んだ。」

 

「へ、お、おい。」

 

”ダ―”

 

「だ、大丈夫?」

 

「うぇーん、痛いよ。」

 

「どれ、あ、足ちょっと擦りむいたね。 

 

 ほかに痛いとこない?」

 

「うん、うぇ~ん」

 

「男の子がこのくらいで泣いてちゃ駄目だぞ。

 

 ほら、医務室までおんぶしてあげる。」

 

「う、うん。」

 

「うんしょっと。

 

 よし、えらいぞ。 もう少し頑張ってね。」

 

「うん。鹿ねぇちゃん、ありがとう。」

 

いや、トナカイだから

ふぅ~、まぁいいか。

 

「よし、鹿ねぇちゃんにちゃんと掴まっててね。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「鹿ねぇちゃん、バイバイ」

 

「うん、もうよそ見して走ったら駄目だぞ。」

 

「うん。」

 

膝擦りむいただけだった。

やれやれ、たいしたことなくてよかった。

さ、仕事に戻らなきゃ。

 

「あ、こんなとこにいた。」

 

「へ?」

 

「さ、急いで、何やってたの。」

 

「え? あの~」

 

「ほら、時間ないよ。 すみません、いました。」

 

「?」

 

      ・

 

「ほら、出番です。」

 

”ドン”

 

「でたな、怪人。」

 

「え、あ、あの~わたし、怪人?」

 

「な、なにをとぼけてるんだ。

 

 いくぞ、商店街の平和を守る商店街マンのキックを受けてみろ。

 

 とりゃ。」

 

「きゃっ」

 

”ひょい”

 

あ、あぶな。

なにこの人、いきなりキックって。

 

”ズデーン”

 

「「わははは」」

 

「な、何でかわすの?」

 

「え、だって痛そうだもん。」

 

「ちゃ、ちゃんとやって。 

 

 くそ、よくもよけたな怪人、ほら商店街マンチョップ!」

 

”べし”

 

「いた~い。」

 

     ・

 

「あの~、すみません。 トイレ行ってたら遅くなっちゃって。」

 

「え、あれ? 怪人役の人?」

 

「あ、はい。」

 

「え、じゃあ、あれは?」

 

     ・

 

「よし、とどめだ。 いくぞ商店街マンキックだ。」

 

痛いよ。

あの人本気でぶつんだもん。

やだよ、キックってめっちゃ痛そうじゃん。

 

「鹿ねぇちゃん、がんばって!」

 

え、あ、あの声はさっきの男の子。

 

「鹿ちゃんがんばれ。」

 

「鹿ちゃんをいじめないで。」

 

「鹿ちゃ~ん。」

 

「商店街マンのバカ~」

 

「え、いや、あっち怪人だよ。

 

 俺、ヒーローのはずだけど。」

 

「「鹿ちゃん、鹿ちゃん、鹿ちゃん」」

 

みんな、ありがと。

よ、よし、もう怒ったからね。

よくもさっきから何発も。

 

「いくぞ、偽物ヒーロー、よくもいじめてくれたわね。」

 

「え、ちょ、ちょっとまって。」

 

「もう、ゆるさん。 抹殺のラストブリット!」

 

”ボコ!”

 

「ぐはぁ、いてぇ」

 

”どさ”

 

「「やったー、 鹿ちゃんが勝った」」

 

「正義は必ず勝つ! みんなありがと。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「くくく、三ヶ木、ご苦労さん。」

 

「あ、稲村君、散々だったよ。 」

 

「怪人がヒーローに勝ってしまうなんて前代未聞だぞ。

 

 大丈夫だったのか?」

 

「なんか、来年も出てくれって。 

 

 商店街のゆるキャラにするって。」

 

「へ、出るのか?」

 

「もう勘弁。 それにこのトナカイさんは生徒会のキャラだって断ってきた。」

 

「そ、そうか、残念。」

 

「へ?」

 

「前もいったろ、俺はあのコスプレかわいいっと思ってたから、来年も見たいなぁって。」

 

「かわいい? 馬鹿、もう、汗だくで大変だったんだよ。」

 

「ほれ、ポカリ。 でもやせたんじゃないか?」

 

「え、そそうかな。 へへ、ありがと。」

 

「いや、冗談だ。そんなに簡単にやせるか」

 

「き、貴様。」

 

「ははは、テント戻るか。」

 

「うん、そうだね。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はぁ~」

 

え、ジャリっ娘、なんかすごく落ち込んでる。

えっと、あ、集計してたのか。

で、売上げどうだったのかなぁ。

 

「会長、どうでした?」

 

「美佳先輩、どうしよう。」

 

「え?」

 

「売上げ、材料費の分も出ないんです~」

 

「やっぱりね。」

 

「やばいです、やばいです。 とても寄付どころじゃないですよ。」

 

「ね、いろはちゃん、赤字だった分、みんなで補填しよう。」

 

「そうだね。みんなで割ろう。 おい稲村、計算。」

 

「あ、ああ。」

 

「あの、それ大丈夫だよ。」

 

「「え?」」

 

「美佳先輩、大丈夫ってどういうことですか?」

 

「あれ、言ってなかったっけ。

 

 ほらこの件は厚木の伝達ミスでしょ。

 

 だから平塚先生の前で厚木問い詰めて、学校で材料費は全部持ってもらうことにしたの。」

 

「え、き、聞いてませんよ。

 

 でも、じゃあ、これって売り上げ全部寄付に回せるってことなんですか?

 

 し、心配して損したじゃないですか~」

 

「す、すみません。

 

 あ、余った材料は広川先生が預かるそうなので。」

 

その代わり、平塚先生に個人的に条件付けられたけどね。

 

『この件は、確かに教師側の伝達ミスだ、

 

 しかしな、三ヶ木、この行事は決まっていたのだろう。

 

 確認を怠っていた生徒会にも責任があるんじゃないか。』

 

『そ、そうですけど、でもこのままじゃ多分、寄付なんて。』

 

『ふむ、そうだな。 ではこうしよう、材料費のかかった分は学校側でもとう。

 

 その代わり君にはだな 』

 

はぁ、あの条件、気が重いや。

まぁ、今は考えないようにしようっと。

 

「あ、三ヶ木先輩、だとしたら奉仕部さんの分もですか?」

 

「うん。 ちゃんと比企谷君に伝えてあるよ。」

 

「あ、いろはちゃん、奉仕部っていえば勝負はどう?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「一色さん、なにか大きなこと言ってなかったかしら。」

 

「ぐ、結衣先輩、反則です。」

 

「え、あたし?」

 

「だって、Tシャツにその胸、男の人みんなそっち行っちゃったじゃないですか。」

 

「あら、そこの鹿なんとかさんはどうかしら?

 

 なにかすごく子供に人気だったみたいだけど。」

 

「ガキ、いえ、子供と大人じゃ、購入単価が違いますよ。」

 

「まぁ、それぐらいにしとけって。

 

 それにこっちも由比ヶ浜が来てくれなかったら、やばかったんだから。」

 

「まぁ、そうね。

 

 じゃあ、一色さん、これ今日の売上げよ。」

 

「え、これは?」

 

「福祉団体へ寄付するのでしょ。

 

 もともとこの活動は生徒会の活動だから。

 

 私たちは自主的に協力しただけ。」

 

「雪ノ下先輩。」

 

「さ、いろはちゃん、後片付けは一緒にしよう。」

 

「はい、結衣先輩。 じゃあ、みんなよろしくです。」

 

     

 

 

‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「はい、皆さん、新聞に乗せる写真撮りますので、集まってください。」

 

「先輩、先輩はこっちです。」

 

「いや、俺は端でいいって。」

 

「ダメです、わたしの横です。」

 

「なんでだよ。」

 

「決まってるじゃないですか~、わたしが引き立つからです。」

 

「おま、はぁ~、まぁいいわ。」

 

「スケベ谷君、鼻の下伸ばすのやめなさい。」

 

「いや、伸びてねぇって。」

 

「ヒッキー、後で話があるから。」

 

「はは、比企谷、モテるんだな。」

 

「本牧、お前に言われたくない。」

 

”がやがや”

 

「なぁ、三ヶ木、お前は隣行かなくていいのか?」

 

「うん、わたしは端っこが好きだよ。」

 

「そうか、じゃあ、今日は俺の横で我慢しろ。」

 

「うん、今日だけ我慢してあげる。」

 

「ああ、我慢しろ。」

 

「みなさん、もういいですか?」

 

「あ、すみません。」

 

撮りますよ、はい、チーズ!

 

”カシャ”

 

「あ、カメラマンさん、見せてもらっていいですか? えへ。」

 

「あ、どうぞ、会長さん。」

 

「・・・・・・先輩、やっぱりキモいです。」

 

「おい!」




最後までありがとうございました。

最近原作を読む時間がなくて、原作の感じがうすれてきたような。

(もともとですけど)

Blu-ray 早送りで確認したいかと。

第4章もそろそろ終盤。

また見て頂けたらありがたいです。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。