似て非なるもの   作:裏方さん

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見にきていただき、ありがとうございます。

時期がずれてすみません。

今回は七夕編です。

最後まで辛抱いただき、お付き合いいただけたらありがたいです。

では、お願いします。




七夕 わたしの願い

「こんにちわ~、 おじちゃん、今年もお願いします。」

 

「ああ、待ってたよ。

 

 どれでも好きなの持っていきな。」

 

「うん、あ、あのね、今年ちょっと多めにもらってもいい?」

 

「ん? 今年はどうしたんだい?」

 

「あ、うん。

 

 あのね、生徒会のみんなと一緒に作ることになって。」

 

「そうかい。 いいよ、好きなだけ持っていきな。」

 

「うん、ありがと。

 

 ほら稲村君、いくよ。」

 

「はぁ、はぁ、ち、ちょっと休ませて。

 

 あ、すみません、総武高生徒会の稲村です。

 

 すみません、よろしくお願いします。」

 

「おや、美佳ちゃんの彼氏かい?」

 

「ち、違うから。

 

 ただの運送屋だから。」

 

「おい、運送屋って。

 

 まぁ、たしかに学校からここまで誰かさんを運んできたけど。

 

 あ~、ちょ~重かった。」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ~」

 

「そ、そんな重たくないっし。

 

 いい、選んでくるからそこで休んでて。」

 

「ああ、そうしておく。」

 

えっと、どの笹がいいかなぁ。

飾りとかいっぱいつけたいし。

あ、これがいいかも。

 

『おねえちゃん。』

 

え? 

うそ、み、美紀? ど、どこ? 

 

”きょろきょろ”

 

ふぅ~、いるわけないじゃん。

で、でも、もしかしてどこか・・・・・・・って。

馬鹿だね、わたし。

どうかしてるね。

さ、笹選ぼうっと。

どれにしようかなぁ~

 

     ・

 

『美紀、手洗った? はい、おやつ。』

 

『いたらきま~す。』

 

”ぱくぱく”

 

『あんね、おねえちゃん、今日、保育所でたなぼたした。』

 

『棚ぼた?』

 

『うん、とっても面白かったよ。 

 

 そんでね、先生にもじもじ教えてもらったの。』

 

”ぱくぱく”

 

『う~ん、棚ぼた? モジモジ?』

 

『あ、そんで、お願いごとをかけたよ。 えらい?』

 

『お願い? ああ、七夕さんか。 へぇ~どんなお願いこと書いたの?』

 

『うん、これだよ。』

 

『え、持ってきちゃったの? 笹の枝につけなくちゃいけないんだよ。』

 

”ぱくぱく”

 

『うん、おねえちゃんに見せたかったの。

 

 先生、もじもじ上手って褒めてくれたから。』

 

『そう。』

 

えっと、なんて書いたのかなぁ。

う~んわからん、さっぱり読めん。

あ、反対か。

 

”おねえちゃん、だいすき”

 

え、これお願いじゃないじゃん。

へへ、美紀のバカ。

 

『美紀、これお願いじゃないよ。』

 

『うん?』

 

『まぁいいか。 はい、おねえちゃんのおやつもあげる。』

 

『うん!』

 

『あ、そうだ美紀、おうちでも七夕さんつくろっか。 』

 

『うん、つくる。』

 

『よし、おやつ食べたら笹探しにいこ。』

 

『うん。』

 

”ぱくぱく”

 

     ・

 

美紀、今年もきたよ。

もう何年目だろう。

でも、なかなかお願い聞いてもらえないや。

でも、今年はかなえてもらえるかなぁ。

 

     ・

 

「稲村君っていったかな?」

 

「あ、はい。」

 

「麦茶でも飲むかい?」

 

「あ、いたただきます。」

 

”ごくごく”

 

「ぷはぁ、冷たくておいしい。

 

 あ、そういえば、さっき今年もっていってたけど、

 

 三ヶ木、毎年おじさんとこに笹の枝を頂きに来るんですか?」

 

「ああ、そうだよ。

 

 始めてきたのは確か小学生か幼稚園のときぐらいだったかな。

 

 もう十一年ぐらいになると思うが。」

 

「え、そんなに?」

 

「はじめて来た時はかわいかったよ。 こんなぐらいの背だったかなぁ。

 

 『おじちゃん、七夕するから笹ください。』

 

 ってオドオドしながらね。」

 

「へ~。」

 

「あ、そうだ、美佳ちゃんの後ろに妹さん隠れててな。

 

 なんかおねえちゃんって感じだったな。」

 

「え、三ヶ木に妹いたんですか?」

 

「あれ、知らなかったのかい?

 

 あ、ちょっと待ってな。」

 

「へ~、妹がいるなんて一言も言わなかったからな。」

 

「ほら、これだ。 これはその時に撮った写真。

 

 あんまり可愛かったもんでな。

 

 その美佳ちゃんの後ろに隠れてる子が妹さんだな。」

 

「へへ、ちっさ。 あいつこんなにかわいかったんだ。」

 

「そうだよ、あの頃はずっとニコニコしててね。

 

 あ、でも妹さんと一緒だったのはその時だけだったね。

 

 それからはずっと美佳ちゃんだけだな。」

 

     ・

 

よし、この笹でいいかなぁっと。

あとは選んだ笹を切って持って帰ろっと。

え~と、稲村君はっと。

なんだ、あの二人こっち見てニヤニヤして。

 

”スタスタスタ”

 

「お~い、のこぎり村君、出番だよ~。」

 

「おい、お前、雪ノ下さんの影響受けすぎだろ、なんだのこぎり村って。」

 

「ねぇ、何見てたの? 」

 

「な、なんでもない、ほら行くぞ。」

 

「う、うん。」

 

何見てたんだろう?

おじさん、すぐ片付けちゃったし。

は! この慌てようはスケベなやつだ、絶対。

だって、とうちゃんもそうだったし。

 

”べし”

 

「ぐはぁ、な、なんだいきなり。」

 

「このスケベ。」

 

「はぁ?」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラガラ”

 

「うぃーす、あれ、今日三ヶ木いないのか?」

 

「あ、先輩、ちょうど今呼びに行こうと思ってたとこなんですよ~。

 

 はい、こっちです。

 

 ここに座ってください。」

 

「え、あ、おい。」

 

”ドサ”

 

「はい、これ先輩の分で~す。 えへ♡」

 

「いや、えへってそんなあざといのいいから。

 

 なに、これ? 俺の割り当て分なの?」

 

「先輩、わりと手先器用じゃないですか~。

 

 この通りに折ってくださいね。

 

 ではよろしくです。」

 

「お、おい、これ何枚あるんだ。

 

 しかも結構手間かかるやつじゃねえか。

 

 一色、お前は何を作ってんだ。」

 

「ずばり、短冊です。」

 

「おい。」

 

「あ、先輩、短冊、馬鹿にしてません?

 

 短冊って一番重要じゃないですか。

 

 出来次第で願い事かなうかどうか決まってしまうんですよ。」

 

「いや、そんなので決まるのか。

 

 まぁ、いい。 なぁ、今日は三ヶ木いないのか?」

 

「え、なんですか、さっきから美佳先輩、美佳先輩って。

 

 美佳先輩なら、稲村先輩とデートです。」

 

「えっ!」

 

「なんですか、めっちゃ動揺してません?」

 

「い、いや、ど、動揺なんてしていない。」

 

「まぁまぁ会長、それくらいで。

 

 比企谷、なんか三ヶ木さんに用事があったのか?

 

 いま、稲村と笹の枝を取りに行ってるんだ。

 

 もう少しで帰ってくると思うけど。」

 

「あ、そ、そうか。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ギコ、ギコ”

 

「ほれ、三ヶ木。」

 

「あ、うん。」

 

さすが男子だね。

やっぱこういう時って頼りになる。

手際いいし。

普段、数学オタクだからどうかと思ったけど、すこし見直した。

 

「もう切り出すやつないのか?」

 

「うん、これだけ切れば十分だよ。 あと学校まで待って帰らないといけないし。」

 

「そうか。」

 

     ・

 

「それじゃ、おじちゃん、これ頂くね。」

 

「ああ、美佳ちゃん、気を付けて帰りなよ。」

 

「うん、じゃあ、待たね。」

 

「ああ、またおいで。

 

 あ、稲村君、ちょっと。」

 

「え、あ、はいはい。」

 

”スタスタ”

 

「稲村君、この写真、持っていくかい?」

 

「え、いいんですか?」

 

「ああ、まだいっぱいあるからね。

 

 それより、これからも美佳ちゃんと仲良くしてやってくれないか。

 

 あの子、いい子だから。」

 

「え、あったりまえじゃないですか。

 

 俺、あいつのこと、結構好きですよ。」

 

ん、なんだ?

また二人でこそこそと。

あ、おじちゃん、なんか写真みたいなの渡した。

 

稲村君ニヤニヤして。

も、もしかしてまたしてもエッチな写真。

まったく男ってやつは。

 

「お~い、運送屋君、いくよ~。」

 

「ああ、じゃあ、失礼します。」

 

「ああ、気を付けてな。」

 

”べし”

 

「ぐはぁ、またしても。

 

 な、なんだいきなり。」

 

「このどスケベ。」

 

「はぁ~?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ほれ、俺の分、ここに置いておくぞ。」

 

「あ、はい、ご苦労様です。」

 

「なぁ、一色、生徒会で七夕するのか?」

 

「え、ああ、これですか。

 

 えっとですね、昨日、美佳先輩が今日と明日、生徒会休みますっていうから

 

 どうしたんですかって、問い詰めたんですよ。

 

 ほら、えっとあのテニス部の子と最近仲いいっていうから。

 

 もしかしたらデートですかって。」

 

「テニス部? ああ、刈宿か。」

 

「あ、そうそう、その刈宿君。

 

 で、問い詰めて吐かせたら、子供のころに通っていた保育所で

 

 七夕の飾り付けをするっていうですよ~。

 

 ですから、どうせならみんなで行きましょうってことになって。」

 

「それで飾りを作ってるのか。」

 

「そうなんです。

 

 ですから、はいこれ先輩の分です。」

 

「いや、も、もういいから。

 

 今日は帰るわ。」

 

「え~、先輩、ひどいです。」

 

「じゃあな。」

 

”ガラガラ”

 

「うぉっぷ。」

 

ん? なんか当たった?

えっと、

 

”ガサガサ”

 

あ、比企谷君。

 

「ごめんなさい、比企谷君、来てたの? 大丈夫?」

 

「あ、ああ、大丈夫だ。

 

 ちょっとお前に用事があってな。」

 

”バサァ”

 

「うぉっぷ。」

 

「ただいまって、あ、比企谷すまん。」

 

「あ、ああ、だ、大丈夫だ。」

 

「そうか。 あ、三ヶ木、ちょっと。」

 

「ん?」

 

「ほれ、笹の葉が付いてたぞ。」

 

「あ、ありがと、稲村君。

 

 あ、稲村君も付いてるよ。」

 

「お、サンキュ。

 

 さぁ、さっさとこれ中に入れよう。」

 

「頭から葉っぱだらけって、お二人でなにしてきたんですか?

 

 は、まさかいやらしいこととか。」

 

「いや、な、なにもしてないから。」

 

「三ヶ木先輩、そんな人じゃないと思ってたのに。」

 

「しょ、書記ちゃん、なにもないから。」

 

まったく、なんてことを言うんだこのジャリっ娘め。

何もしてないからね。

え、書記ちゃんそんな目で見るのやめて~。

 

ほんと、笹の枝を持って自転車の後ろに乗ってただけだから。

た、大変だったんだからね。

こいつ、重たい重たいって言うし。

 

まぁ、でも面白かった。

そうだ、学校まで乗っけてもらったご褒美しなくちゃ。

何かご馳走してあげよ。

 

「会長、葉っぱ丸まっちゃうといけないんで、ちょっと水汲んできますね。

 

 ほれ、稲村君行くよ。」

 

「お前、人使い荒くないか?」

 

「いいから、来い。」

 

”ぐぃ”

 

「うへぇ~。 お前シャツ引っ張るな。」

 

”ガラガラ”

 

「ほれ、行くよ。」

 

”スタスタスタ”

 

「一色、今日は帰るわ。」

 

「え、そうですか。

 

 あ、先輩、夏休みの林間学校の件、よろしくです。」

 

「げ、やっぱ、マジなのか。」

 

「げって何ですか、げって。

 

 あったりまえじゃないですか。 先輩暇でしょうから。」

 

「いや、俺受験生なんだが。」

 

「ちゃんと考えてますよ。

 

 生徒会も三人、受験生いますから。

 

 それに、先輩、こんなかわいい後輩とお泊りなんてもう二度無いかもですよ、えへ♡」

 

「いや、それはいらん。 絶対、こき使われるだけだから。

 

 まぁ、いいわ、また詳しいことは連絡してくれ。

 

 じゃあな。」 

 

「はい、先輩、お願いしますね。」

 

     ・

 

”ガタン”

 

「はい、コーラー」

 

「おう、サンキュー。 じゃあ、お前の分、あ!」

 

”ガチャン”

 

「へへ、残念でした。

 

 今日はわたしの奢りだよ。」

 

「どうした、珍しいな。」

 

「なんでもない。  まぁ、ちょっと楽しかったから。」

 

「そうか。」

 

いつも一人で笹の枝切って、一人で家まで運んでたんだ。

なんか、いろんな人からジロジロ見られて。

 

でも、今日は楽しかった。

暑い中、自転車ご苦労様でした。

汗だくで笹の枝切ってくれたり、自転車漕いでくれたり。

少し男らしかった。

 

・・・・・・・・気になる。

絶対気になっちゃう。

だから、へへへ、早く飲め、飲むんだ。

 

”ゴクゴク”

 

「ぷはぁ! 最高。」

 

「飲んだね、もう飲んじゃったからね。」

 

「え? あ、あの~、三ヶ木さん?」

 

「はい、見せて。 おじちゃんからもらったもの。」

 

「え、いや、な、何のことかなぁ~」

 

「おい、わたしの奢ってあげたコーラー飲んだよね。」

 

「あ、はい。 飲みました。」

 

「わかってるだろう、ただより高い物はないって。

 

 ほれ、だしな。」

 

「お、お前・・・・・・・・はい。」

 

え、これってあん時の。

この後、一緒に七夕飾り作ったんだ。

美紀、字かけてうれしかったんだよね。

いっぱい短冊書いて。

全部同じ文字ばっかりで。

 

・・・・・馬鹿、思い出しちゃったじゃん。

 

「お前、妹いるんだな。」

 

「・・・・・・・」

 

”ぽろぽろ”

 

「え、ど、どうした三ヶ木?」

 

「うううううう。」

 

”ダ―”

 

「あ、み、三ヶ木。 」

 

    ・

    ・

    ・

 

”スタスタ”

 

「あ、用事。  まぁ今度でいいか。

 

 なんかいい雰囲気だったからな生徒会。

 

 前から感じてたんだが、一色中心で良くまとまってるんじゃねぇか。

 

 どうりで最近奉仕部に来ないわけだ。

 

 え? さみしいの俺。」

 

”ドン”

 

「いて!」

 

「あ、比企谷君、ご、ごめんなさい。 大丈夫?」

 

「お、おう、大丈夫だが。

 

 生徒会が廊下走ったらだめなんじゃねぇのか。」

 

「う、うん。」

 

「どうした? 目赤いぞ。

 

 何かあったのか?」

 

「え、あ、な、何でもない。

 

 あ、そう、あのね、コーラー飲もうと思ったんだけど、ミルクティーと間違えて

 

 開ける前に思いっ切り振っちゃったの。

 

 そしたら、プシューって。」

 

「それが目に入ったのか?」

 

「う、うん。」

 

げ、我ながらなんていう言い訳だ。

そんなの、誰も信じないよ。

えっと、どうしょう?

嘘だってわかるよね。

 

でも妹の写真見て泣いたなんて、そんなこと知られたくない。

比企谷君に同情の目でみられたくないから。

 

「そうか、気を付けないとな。

 

 俺もマッ缶とコーラーを間違えたことあるからな。」

 

え、うそだ。

あの禍々しいマッ缶とコーラーを間違えるなんてありえないじゃん。

第一、比企谷君、コーラー飲んでるの見たことないし。

 

「ま、まぁ、なにかあるならいつでも相談乗るぞ。

 

 俺でよかったらできる範囲で力なってやる。

 

 できる範囲でな、自慢じゃないが俺はできない範囲のほうが圧倒的に広い。

 

 ・・・・・・それでもよかったらな。」

 

そ、そっか。

えへへ、やっぱわかってたんだ。

まぁ、コーラーが目に入ってなんて嘘バレバレだもんね。

はぁ~、いつもやさしいんだ。

うん、比企谷君と話してたら落ち着いた。

 

「う、うん・・・・ありがと。

 

 あ、そうだ、ねぇ、わたしに何か用だったの?」

 

「あ、いや、忙しそうなんでな。

 

 また今度にしておくわ。」

 

「え、そ、そう。 

 

 あ、じゃあ、後で電話す 」

 

「あー、ヒッキーいた!

 

 話があるっていうからずっと待ってたんだからね。

 

 あ、美佳っち、やっはろー。」

 

「うん、やっはろ―。」

 

「あら、部活さぼり谷君、もう帰ったのかと思ったわ。」

 

「おう、ちょっと一色につかまっててな。 

 

 あ、三ヶ木、悪い、また後で連絡する。」

 

「あ、う、うん。 ・・・・じゃあね。」

 

”スタスタスタ”

 

「実は相談があるんだが。」

 

「うん、ヒッキーなぁに?」

 

「廊下ではなんだから、部室戻りましょう。」

 

「ああ。」

 

「あ、そういえばゆきのん、この前ヒッキーさ~、ゆきのんのことを、」

 

「お、おいやめろ! それは言わない約束だ。」

 

「じっくり聞かせてもらうわ、由比ヶ浜さん。」

 

いいなぁ、あの雰囲気。

なんか比企谷君、すごく気許してるのわかる。

やっぱ、特別な関係・・・・なんだもんね。

わたしごときが侵してはならない領域。

 

あ、わたしも生徒会戻らなきゃ。

そんで稲村君に謝らないとだね。

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「園長先生、ただいま、今年も来たよ。

 

 あ、電話した通り、今年は生徒会のみんなも来てくれたんだけどよかったですか?」

 

「ああ、美佳ちゃん、今年もお帰り。

 

 うううん、子供たちも喜ぶと思うわ。

 

 生徒会のみなさん、よろしくお願いします。」

 

「あ、生徒会会長の一色です。

 

 こちらこそ、よろしくです。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「は~い、みんな、今日は高校生のおねえちゃん、おにいちゃんが七夕の飾りを持ってきて

 

 くれました。

 

 みんなで飾りつけしましょうね。」

 

「「はぁ~い。」」

 

”わいわい”

 

えっとみんなのとこ、飾り行き渡ったかなぁ。

それとセロテープっと。

 

     ・

 

へぇ~、わりと書記ちゃん、子供に教えるの上手だ。

あ、そうだ、クリパの時も子供にセリフとか教えるの美味かったっていってた。

むむ、ライバル出現かも。

 

えっと、本牧君はへへ手こずってるね。

だめだよ、そこは、ビシっと言わなくちゃね。

 

・・・・・稲村君、なにしてんだ。

飾りつけに没頭して、子供そっちのけじゃん。

 

”ぱこ”

 

「へ?」

 

「へっじゃない、なに飾りつけに夢中になってるの。

 

 それは子供たちがやるの。」

 

「あ、すまん。 つい夢中になって。」

 

まったく。

さて、わたしも入ろうっと。

どこがいいかなぁ。

 

「ねぇ、おねえちゃんも混ぜてくれる?」

 

「うん。」

 

うんしょっと。

ほほ~さすが女の子だね。

可愛くできてる。

 

「上手だね。 あ、はいセロテープ。」

 

「ありがと。」

 

「あ、後でおねえちゃんが短冊にお願い書いてあげるね。」

 

「うん。」

 

”チョン、チョン”

 

え、あ、ジャリっ娘、な、なにその笑顔?

いや、そんなに顔をのぞき込まないで。

わたし相手にあぞとくしなくてもいいから。

・・・・・でも、くそ、やっぱりかわいい。 

 

「美佳先輩、毎年、これやってたんですか? 」

 

「え、あ、うん。」

 

「ふ~ん。」

 

「え、どうして?」

 

「なんか似合ってるなぁって、一瞬思っちゃいました。

 

 あ、一瞬だけですから。」

 

”ブファ”

 

「ひゃい。」

 

げ、見えた。 

以外、黒。 ピンクかと思ってた。

まぁ、内面はやっぱり黒ってこと?

あ、でもちょっと違ったような。

 

「わ~い、パーンツ見えた。」

 

「は、はぁっ?

 

 ち、違います。 これはアンスコって言って。」

 

「パーンツ、パーンツ。」

 

「も、もう、なんなんですか! こら~。」

 

「わ~い。」

 

”ダ―”

 

「だ、大丈夫、いろはちゃん?」

 

「会長、だからジャージだっていったでしょ。」

 

「ス、スカートめくりって、近頃のガキ、いえ子供はどんだけませてるんですか。 もう!」

 

「あ、あれはね、小っちゃい子の好きっていう表現の一つだから。

 

 何とかして会長の気を引きたいの。」

 

「え~、そんなの逆効果じゃないですか。」

 

「あ~、なんでもあの頃の子供って、嫌われるほうが相手にされないほうより嫌なんだって。

 

 だから、気を引こうと思ってね。」

 

「そ、そうなんですか。」

 

そうなんだよ。

相手にされないのが一番つらいんだよ。

だって、いくら頑張っても、いくら想っても・・・・・所詮、わたしは特別になれないもんね。

はぁ、辛いね、辛いや。

 

     ・

     ・

     ・

 

「会長さん、今日はありがとうございます。」

 

「え、あ、いえこちらこそ。

 

 大勢で押しかけてすみませんです。」

 

「いいえ、子供たちみんなよろこんでますよ。」

 

「あの~、美佳先輩っていつも一人で来てたんですか?」

 

「ええ、美佳ちゃんの妹さん、美紀ちゃんて言ったんだけどね、

 

 この保育所に通ってて。

 あ、美佳ちゃんもこの保育所ね。

 

 えっといつだったかな、妹さんと七夕飾り持ってきてね。

 

 いっしょに川に流してくださいって。

 

 それからだね、毎年笹の枝と折り紙を持ってきてくれてね。」

 

「え、美佳先輩に妹いたんですか?」

 

「ええ、美佳ちゃん、とても妹の面倒見のいい子でね。

 

 ご両親は共働きだったから、いつも保育所にお迎えに来てて。

 

 明るくて、いつもケラケラ笑ってて、かわいい子だったわ。」

 

「へぇ~。」

 

「それが、あんなことさえなければね。」

 

「あんなこと?」

 

「ええ、お母さんと妹さん、交通事故で亡くなったの。

 

 あっ、会長さん何も聞いてなかった?」

 

「は、はい。」

 

「ご、ごめんね。 事故のこと私から聞いたって美佳ちゃんには内緒ね。

 

 み、みんな~できたかなぁ。」

 

「「はぁ~い。」」

 

     ・

     ・

     ・

 

この笹の枝でいいかなぁ。

うんしょっと。

 

”ぎゅ”

 

今年こそ、お願いが叶いますように。

 

「三ヶ木先輩、短冊を結ぶ紐ってあまってませんか?」

 

「あ、書記ちゃん、入口のほうに置いてあったから、いま取ってくるね。」

 

「あ、お願いします。」

 

     ・

 

「あれ、美佳先輩どこに行ったんだろう?」

 

”ダ―”

 

「あっ、走ったら危ないよ。」

 

”ドン”

 

「うわぁ。」

 

「大丈夫だった?」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「やれやれ、七夕の飾り倒れちゃった。

 

 よいしょっと。」

 

”ひらひら”

 

「ん、あ、短冊。

 

 ・・・え、これって。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はい、みんな、おねえちゃん、おにいちゃんにお礼を言いましょうね。」

 

「「おねえちゃん、おにいちゃん、ありがとう。」」

 

「どういたしまして。

 

 みんなのお願い事がかなうといいですね。えへ♡」

 

「「は~い。」」

 

「園長先生、それじゃ失礼しますです。」

 

「あ、今日は本当にありがとうございました。」

 

”スタスタ”

 

「あ、あの、園長先生、ちょっといいですか?」

 

「え?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「すみませ~ん、お待たせでした。

 

 今日はご苦労様でした。

 

 明日から期末考査が終わるまで、生徒会はお休みです。

 

 期末考査終わったら、林間学校の準備がありますからよろしくです。

 

 それじゃ、解散です。

 

 帰り、気を付けて下さいね。」

 

「稲村、またな。」

 

「また、二人で帰るのかよ。」

 

「あ、ほら、帰る方向たまたまいっしょだから。」

 

「う、うん。 たまたまだよ。」

 

「はいはい。 三ヶ木、一緒に帰るか?」

 

「え~。」

 

「な、なんだよ。」

 

「だって、身の危険が。」

 

「おい!」

 

「あ、美佳先輩、今日は一緒に帰りましょう。」

 

「え、あ、う、うん。」

 

「それではです、稲村先輩。」

 

「あ、は、はい、会長、 じ、じゃあな三ヶ木。」

 

「あ、うん、じゃあね稲村君。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「え~と、アールグレイとチーズケーキを二つお願いします。」

 

「はい、畏まりました。」

 

「あ、わたしはミルクティーが・・・・・よかったんだけど。」

 

「美佳先輩、ここの紅茶美味しいんですよ。」

 

「あ、う、うん。」

 

へぇ~、こんな洒落た喫茶店知ってるんだ。

なんか、ほかのお客さんも落ち着いた感じの人ばっかりだね。

あ、ほら、あの人なんて何とかっていう女優さんみたい。

うひゃ~、とてもわたし一人じゃ入れないや。

 

ジャリっ娘、紅茶とチーズケーキっていったね。

えっといくらなんだろう。

あれ、メニュー無いね、どこだ?

 

「美佳先輩、子供の相手慣れてるんですね。」

 

「えっとね、わたし保育所の保母さんになるのが夢だったから。

 

 あ、職場体験とかも幼稚園に行ったんだ。

 

 ほんとは保育所に行きたかったんだけどね。」

 

「へぇ~、それじゃ大学もそっち系ですか?」

 

「あ、うううん、わたしは進学は・・・・しないから。」

 

「え、なんでですか?」

 

「え、う、うん、うちお金もないし、それにわたしはそんな 」

 

「そんな?」

 

「あれ~、一色ちゃんと三ヶ木ちゃんじゃん。」

 

「あ、陽さん先輩。」

 

「二人で今度はなに企んでるのかな~。」

 

「ひっど~い、なにも企んでないですよ。」

 

「あ、そうそう、三ヶ木ちゃん、はいこれ。

 

 8月に会社説明会あるからその資料ね。

 

 この前、家の近くまで行ったんだよ~。

 

 ちょっと渡せなかったけどね。

 

 あ、それと入社試験は9月だからよろしくね。」

 

「え、あ、はい。」

 

「三ヶ木ちゃんの場合、わたしの特別枠だから試験とか別にいいんだけど。

 

 一応、建前的に必要らしいから。」

 

「・・・・・はい。」

 

「あのさ、三ヶ木ちゃん、わたし君に期待しているから。

 

 それじゃ、よろしくね。

 

 あ、そうだ、三ヶ木ちゃん、この前、公園で比企谷君と抱き合ってたでしょう。

 

 だめだよ、比企谷君は雪乃ちゃんのものだから。」

 

「げ、あ、いや、あれはそんなんじゃなくて。」

 

「そう? まぁいいか。 じゃあね。」

 

     ・

 

”とんとんとんとん”

 

く、空気が重い。

くそ、あの大魔王め、なんて爆弾落としていくんだ。

ほ、ほら、じゃ、ジャリっ娘、頬杖してめっちゃにらんでるじゃん。

さっきから机をとんとんって。

ど、どうしょう。

えっと、何か会話を。

 

「美佳先輩、どういうことですか?」

 

「え、あの、ぐ、偶然、比企谷君に学校の帰りに電車であって、そんでちょっと。」

 

「そのことじゃなくて。

 

 本当に進学しないんですね、なんでですか。

 

 それに陽さんの家の会社に入社するって、さっきも保母さんになるのが夢だって

 

 言ったじゃないですか。」

 

「え、ま、まぁ。」

 

「ぶっちゃけ、お金なんて奨学金とか学費免除とか何とかなるんじゃないんですか?

 

 本当の理由は違うんですよね。」

 

「・・・・・・いえ、そ、それだけだから。」

 

「はぁ~、まったく。

 

 これ、美佳先輩のですね、落ちてましたから。」

 

「え、この短冊。」

 

「馬鹿じゃないですか、夢や希望あきらめても死んだ人は帰ってきませんよ。

 

 それに、なんですか謝らせてくださいって。

 

 そんなのだれも望んじゃいませんって。

 

 聞きましたよ、わき見運転が原因だっていうじゃないですか。

 

 なんで美佳先輩がずっと責任感じていないといけないんですか。」

 

”ガタ”

 

「うっさい!! 

 

 なんにも知らないくせに、好き勝手言って!

 

 わたしは、わたしはただ・・・・・」

 

”ざわざわ”

 

「あ。」

 

「まだまだですね美佳先輩。

 

 わたしがなぜこの喫茶店を選んだか気が付かなかった様ですね。

 

 こんな落ち着いた喫茶店で、そんな大声出したら駄目ですよ。」

 

「か、帰る。」

 

「紅茶とチーズケーキの代金置いてかないですか?

 

 それに、ここのチーズケーキ、千葉県一美味しいんですよ。」

 

「あれ、レシートは?」

 

”ひらひら”

 

「いくらなの?」

 

「さぁ?」

 

「ぐ、卑怯者。」

 

「卑怯者でいいです。

 

 美佳先輩、座ってください。

 

 なにも知らないくせにって当たり前じゃないですか。

 

 わたしは城廻先輩じゃありませんから。

 

 美佳先輩がなにも話してくれなかったら、知りようがないじゃないですか。

 

 でも、だからこそ、だからこそ言えるんです。

 

 美佳先輩はわたしの大切な、とっても大切な仲間なんですから。

 

 嫌われても言わないといけないんです。」

 

「聞きたくない、絶対聞かない。」

 

「いいです。 これはわたしの独り言です。

 

 何があったかわかりませんが、もし亡くなられた方のことを気にして、

 

 それで進学をあきらめるって思ってるのならそれはただの自己満足です。

 

 そんなことしても亡くなられた方は絶対喜びません。」

 

「う、うるさい。」

 

「亡くなられた方は、美佳先輩が頑張って自分の夢をかなえて幸せになってくれることを

 

 望んでるんじゃないですか。

 

 いつまでもいつまでも自分を責めてばっかりで、そんな美佳先輩をみて悲しんでると

 

 思います。」

 

「・・・・・」

 

”ガタッ”

 

「よいしょっと。」

 

”だき”

 

「美佳先輩、そんなに自分を責めないでください。

 

 もう何年もおなじ短冊書いているそうじゃないですか。

 

 美佳先輩の気持ち、お二人に絶対届いてますよ。

 

 だから、少しだけ、少しだけでいいですから、自分を許してください。」

 

「会長。」

 

はぁ~、ジャり、うううん、会長いい匂い。

それに、あったかい。

あ、会長の心臓の音、すごく早い。

・・・・・ありがとう、こんなわたしなんかにここまで。

 

わかってるんだ、わかってるんだよ、会長。

こんなの自己満足だって。

会長の言うこと正しいよ。

わたしもわかってる、こんなことしても何にもならないって。

 

でも、でもこうでもしないと、わたしおかしくなっちゃうんだ。

 

わたしは保母さんになりたい。

でも美紀も絶対なりたいものができたはずなんだ。

かあちゃんも、もっともっとやりたいことがあったはずなんだ。

とうちゃんも、かあちゃんともっと一緒にいたかったはずなんだ。

 

わたしがすべて奪っちゃったの。

だからわたしが、わたしだけが夢を見ちゃいけない。

 

・・・・・会長、ありがとう。

わたし、会長のこと好きだよ。

だから

 

”ぎゅ”

 

「え、美佳先輩?」

 

「ありがとう。

 

 でもわたしはこれでいいの。」

 

「美佳先輩。 

 

 わかりました、美佳先輩の人生は美佳先輩しか決められませんから。

 

 でも、辛いときはわたしに頼ってください、話してくださいね。」

 

「う、うん。」

 

「まったく、仕方ないですね。 わたしの庶務ちゃんは。」

 

「うん。」

 

「ご、ごほん。 あ、あの~、紅茶よろしいですか?」

 

「・・・ あ、は、はい。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

げ、今のウェイターさん、絶対誤解してる。

わたし百合百合じゃないからね。

まぁ、少しはいいかもって思うけど、いえ、ないない。

わたしは正常、ノーマルだから~

え、あ、周りのお客さん、みんな変な目で見てる。

ち、違うから~。

 

「美佳先輩の所為ですからね。」

 

「いや、会長から抱き着いて。」

 

「いいえ、美佳先輩がギュって。

 

 どうするんですか、ほら、みんな変な目で見てるじゃないですか~」

 

「と、とりあえず、ケーキ食べよ。」

 

「はい。」

 

「うっま~。」

 

「でしょう、千葉一美味しいんですって。

 

 あ、そんなことより、美佳先輩は稲村先輩とか、かり何とか君とかいるのに、

 

 先輩にまで手だしてるんですか?

 

 公園で抱き合ってたってどういうことなんですか?

 

 ちゃんとした説明を要求します。」

 

「いや、ち、違うから。 ほんとだから。

 

 あ、あの、ちょっとよろけたところを助けてもらっただけだから。」

 

「本当ですか?」

 

「ほ、ほんとです。」

 

「まぁ、いいんですけど。

 

 わたし的にあのお二人に比べたら、美佳先輩なんて全然敵じゃありませんし。」

 

「ひど。 で、でもわたしのほうがスタイル良いし。」

 

「はぁ? いつのこといってるんですか?

 

 わたしのほうが若いですから、どんどん成長してますよ。

 

 それにお肌もピチピチですし。」

 

「誕生日、一ヵ月しか変わらないじゃん。」

 

「その一ヵ月の差が大きんです。

 

 わかりました、それなら今度の林間学校で勝負しましょう。」

 

「え、勝負って?」

 

「ずばり水着勝負です。

 

 今度の林間学校って、川で遊べるそうじゃないですか。

 

 生徒会でだれが一番スタイルいいか、水着で勝負しましょう。」

 

「え、え~

 

 だ、だってわたし水着ってスクール水着しか。」

 

「ふふふ、ちなみにわたしはバッチリセクシーなやつですから。」

 

「ひ、卑怯もの~」

 

 

 

 

‐‐‐‐‐‐‐

 

 

 

 

「園長先生、ただいま!」

 

「あ、美佳ちゃん、おかえり。

 

 今日はどうしたの? なにか忘れ物?」

 

「あのね、この短冊つけてもいい?」

 

「短冊? いいわよ、どうぞ。」

 

「うん。」

 

うんしょっと。

 

”ぎゅ”

 

これでよし。

今年こそ、お願いが神様に届きますように。

 

さて、帰ろうっと。

 

晩ご飯、何にしようかなぁ~

 

・ ・ ・ ・ ・

 

『生徒会のみんなと、いつまでも一緒にいられますように。

 

                         みか』




最後まで、ご辛抱ありがとうございます。

次回、いよいよ夏休み突入。

投稿、不定期となり申し訳ありませんが、

また読んでいただけたらありがたいです。
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