似て非なるもの   作:裏方さん

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見に来ていただいてありがとうございます。

すみません。
投稿、大変遅くなりました。

中編書いてるうちにすごく長くなってしまって。
上、下になってしまいました。

相変わらず、セリフばかりで申し訳ありません。
最後まで読んでいただけたらありがたいです。




夏のはじまり -林間学校 中編(上)-

「・・・比企谷君。」

 

ん? 三ヶ木どうしたんだ、そんな思い詰めた顔して。

何か話があるのか?

え、お、おい、シャツに手をかけて何をする気だ。

 

”ばさ”

 

「み、三ヶ木、なに服脱いでるんだ。」

 

ば、ばっか、俺は昨日で一年分の我慢を使い果たしてるんだ。

お前に気付かれないように、寝たふりするの大変だったんだからな。

こ、これ以上は本当にやばいからやめろって。

 

「お、おい、み、三ヶ木、や、やめ 」

 

「比企谷君、召し上がって♡」

 

ぶはぁ~、お、おい、ちょっと待て。

し、下着姿で、め、召し上がれって。

え、これってつまりあれってことだよな。

な、なに、とうとう俺も。

 

い、いや、まて、こういうものはそこに至るまでの童貞が。

童貞? いや道程だ。

 

「比企谷君♡」

 

「お、落ち着け三ヶ木。

 

 こ、こういうものはだな。 その、なんだ、手順というものがあってだな。」

 

「もう、待てない。 来てくれないのなら、こっちから行くもん。」

 

”どさ”

 

「み、三ヶ木。」

 

「へへ、もう逃げられないよ。」

 

え、う、馬乗り?

そんな姿で馬乗りされると、そ、そのなにとなにが当たって。

え、顔、そんなに顔近づけてきて。

はっ、ちゅ~なの、ちゅ~しちゃうの。

 

「み、三ヶ木ちょっと待てって、早まるな。」

 

”ずっしり”

 

ん、おも。 こいつなんか急に重たくなってきた。

重い、うそ、つ、潰れそうだ。

胸が苦しい。

 

「み、三ヶ木、お前太っただろう。」

 

「ふふふ。」

 

「へ?」

 

「八幡! 我だ。 ちゅ~」

 

「ぐへぇ、材木座、何でお前が。 や、やめろ! 」

 

”バサ”

 

は、ゆ、夢か、なんていう夢を。

昨日は頭もげるし、二日続けてなんていう夢を見るんだ。

 

”ス~、ス~”

 

ざ、材木座、てめえ、人の眠りを妨げておいて幸せそうに寝てるんじゃねぇ。

 

”ポカ”

 

「う、う~ん、はちま~ん。 そこはだめ~」

 

は、な、なんだ、なにがそこはだめなんだ。

お前の夢の中でなにしてんの俺。

うげぇ、想像しただけで悍ましい。

海老名さんでもこれは引くぞ。

 

”ゆさゆさ”

 

「げ、起きろ、おい材木座起きろ! どんな夢見てやがる。」

 

「う~ん、は、八幡。・・・・・・おはよ。」

 

”ボカ”

 

「は、恥じらうんじゃない!」

 

     ・

     ・

     ・

 

くそ、なんという寝起きだ。

まったく、材木座の野郎、人の夢の中に勝手に入ってきやがって。

 

『比企谷君♡』

 

材木座が出てこなかったら・・・・・出てこなかったら俺と三ヶ木はあの後。

つまり、俺はそれを望んでるのだろうか。

はぁ~

 

”ドン”

 

「きゃっ」

 

「あ、わりぃ、ちょっと考え事してって、おわっ三ヶ木。」

 

え、う、うそ、なんでお前夢の中と同じ服装してるんだ。

もしかして、これって正夢。

そ、そうか正夢なのか。

だとしたら、

 

「比企谷君。」

 

や、やっぱりそうだ。 

と、とうとう俺もその時が。

だが、こんなところで人が来たら。

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ、な、なんで。」

 

「なんでじゃない。 なによ、いきなりぶつかってきたと思ったら、おわっ三ヶ木って。」

 

「あ、い、いや あれ? ・・・・・・・・すまん、おはようさん。」

 

「え、あ、う、うん、おはよ。

 

 今から食事?」

 

「ああ、三ヶ木はもう済んだのか? 早いな。」

 

「うん、ミーティングまでにね、林間学校の分担表を修正して持って行かないと。」

 

「おう、そうか。 ご苦労さん。」

 

「ありがと。 じゃあね。」

 

”スタスタ”

 

「あのね、昨日、ありがとう。 暖かかった、えへ。」

 

”タッタッタッ”

 

ば、ばっか。

すれ違いになんてことを言うんだ。

俺もお前の感触思い出しちまうだろうが。

暖かくて、柔らかくて。

何言ってんだ俺。 はぁ~。

 

”ポン”

 

「ヒッキー、おは げっ」

 

「おい、なんだおはげって。」 

 

まぁ、確かに前髪のあたりは少し気になっているが、だ、大丈夫だよね。

親父も大丈夫だし、遺伝的な要因ははないはずだ。

はぁっ、まてよ。 確か爺さんが・・・・

 

「おはげ? あ、いや~違う違う。

 

 えっとね、ヒッキー顔キモかったから。

 

 なんか鼻の下がびろ~んって。」

 

「・・・」

 

「あ、朝ごはん、今からだよね。

 

 あのさ、一緒に食べよ。」

 

「ん、いや俺は一人で食べたい。」

 

どうしてリア充どもは一緒に食べたがるんだ。

ご飯というものは、作る者と食する者の真剣勝負なんだ。

一口一口、味を噛みしめて、作り手の技量を推し量るものだ。

喋りながらご飯を食べるなんてことは、作り手に対して失礼だろう。

 

「え~、いいじゃん。 ほら行くよ。」

 

”ぎゅ”

 

「お、おい、腕に抱き着くな、歩き難いだろう。」

 

そんなに腕に抱き着かれたら、ほ、ほらその柔らかいものが。

 

”にこ”

 

何その笑顔。 は、わかってて押し当てやがったな。

はぁ、まったく・・・・・まぁ今日は試合放棄でいいか。

 

「ヒッキー、行こ。」

 

「ああ。」

 

     ・

 

「うわ~美味しい。 あ、それでねヒッキー 」

 

「由比ヶ浜、メシを食うか喋るかどちらかにしろ。」

 

「え~、お喋りながら食べたほうが絶対美味しいんだけど。

 

 あ、それでヒッキー、昨日さ自習のとき途中からいなかったじゃん。

 

 どこ行ってたの?」

 

「え、あ、まぁ、ちょ、ちょっとな。

 

 ほ、ほら材木座の小説もどき、読まないといけなかったからな。

 

 静かなところで読んでた。」

 

「ふ~ん、探したけど、どこにもいなかったんだけどな~

 

 じゃあさ、今日の自習の時間、現代文教えてくれない?」

 

「現代文なら平塚先生がいるだろう。」

 

「あのね、あたしヒッキーに教えてもらいたい。 だめかなぁ。」

 

”ドクン、ドクン”

 

は、な、なんだこ、この胸の動悸は。

そ、その上目遣い、反則だろうが。

そんな目で見つめらたら、断れねえじゃねえか。

由比ヶ浜の場合、これが自然だから始末が悪い。

一色みたいにあざとければ対処できるんだが。

く、くそー、仕方ねえな。

 

「ヒッキー、だめ?」

 

「わ、わかった。 だが少しだけだ。

 

 俺はあの小説もどきを添削しなければいけないからな。」

 

「やったー、ありがとう、ヒッキー♬」

 

”だき”

 

いや、お、お前だき付くな。

や、やめてくれ。 只でも昨日からのダメージで、俺の理性の耐久力はつきかけてるんだ。

このままではやばい。

何か話題で気をそらさないと。

話題、話題、話題、女子との話題・・・・・ハードル高すぎんだろ。

は、そ、そうだ。

 

「そ、そうだ由比ヶ浜、お前大学どこ狙ってんだ。」

 

「え、そ、そだね。 あたし・・・・あ、ヒッキーはどうするの?」

 

「俺は一応、早応大を狙ってるが。」

 

「じゃあ、あたしもそこにする。」

 

「・・・・・進学、あきらめてるのか。」

 

「え、あきらめてないよ。 だってヒッキーと同じ大学行きたいかなぁって。」

 

「由比ヶ浜、現実から逃げるな。 絶対無理だ。」

 

「で、でも総武高、受ける時もそう言われた。 だからもしかしたら。」

 

「もう一度言う、あ・き・ら・め・ろ。

 

 あのな、由比ヶ浜、大学というのは自分が将来なりたい姿、それを実現するために行くものだ。

 

 もう少し真面目に自分の将来を考えろ。」

 

「じゃ、じゃあヒッキーは将来何になりたいの?」

 

「専業主夫だ!」

 

「専業主夫になるため早応大行くんだ!」

 

「おう、専業主夫になるためには、それなりの収入のある相手を見つける必要がある。

 

 一流の企業に就職する女子に出会うため早応大に行くんだ。」

 

「だから、あたしも早応大に行きたいんじゃん。

 

 あたし頑張るんだからね。

 

 じゃ、じゃあさ、もし受かったら一つお願い聞いてもらうからね。」

 

「お、おい、マジ受ける気か。」

 

「うん、マジ。 約束だからね、絶対聞いてもらうからね。

 

 あ、ゆきのん、やっはろ―。

 

 こっちこっち。」

 

「由比ヶ浜さん、あんまり大きな声で呼ばないで。

 

 他の人もいるのよ、恥ずかしい。」

 

「あはは、ごめん。」

 

「おう、おはようさん。」

 

「え、あなたは誰? あまり知らない人に話しかけてもらいたくないのだけど。」

 

「おい。」

 

「ふふ、冗談よ。 お早う、比企谷君。」

 

由比ヶ浜、雪ノ下。

こいつらとこうしていられるのも、もう半年ちょっとなんだな。

 

俺はこいつらとのこともちゃんと整理しないといけないんだ。

こいつらは、いや三ヶ木もだが自分の気持ちを伝えてくれた。

いくら俺でもその気持ちを疑うことはない。

俺はその気持ちにちゃんと向かい合わないといけない。

来年のバレンタインの時にって言ってくれたけど。

次の花火大会までに、三ヶ木に返事するまでに、俺は・・・・・

 

「比企谷君、どうしたの。

 

 ず~とぶつぶつ言ってて、全然ご飯食べてないんだけど。」

 

「あ、いや、何でもない。」

 

「あのさ、あたし達、掃除とかあるから先行くね。」

 

「お、おう。 またな。」

 

”ゾクゾク”

 

はっ、な、なに、急に悪寒が。

昨日、雨に当たってたから風邪でも。

いや、ち、違う。

後ろの席からなにか黒いオーラのようなものが。

嫌な予感がする。

 

”そ~”

 

はっ!

 

「あ、あの~、い、一色さん、いつからその席に。」

 

「先輩が結衣先輩とラブラブで食堂に入ってくる前からいましたよ。」

 

「み、見てらっしゃいました?」

 

「先輩、受験生なのにお盛んなんですね。

 

 そんなに活力にあふれてるのなら、今日はいっぱい働いてもらいますからね。

 

 行こう、書記ちゃん。」

 

”ガタ”

 

「え、あ、うん。 それじゃ比企谷先輩。」

 

”プンスカ、プンスカ”

 

なんか一色、すげ~機嫌悪くない?

なんか変なこと言ってなかった。

いやだなぁ~、働きたくないなぁ~。

・・・・・まぁ、早いとこ飯食っておくか。

げ、トマト。

 

 

     ・

     ・

     ・

 

「あ、会長、これ林間学校の役割分担、修正したやつです。

 

 遅くなってごめんなさい。

 

 これでよろしかったら、コピーしてきますね。

 

 あ、それと昨日オリエンテーリングの下見して気になるとこがあったんですけど、

 

 始まる前にコーンとかロープとか、張ってきてもいいですか?」

 

”バッ”

 

「え?」

 

「分担表の提出、遅いんじゃないんですか。」

 

「あ、ごめんなさい。 でも引っ手繰らなくても。」

 

「あと、コーンとかロープとかそんなことは、オリエンテーリング担当の

 

 副会長に言ってください。

 

 それと、これ、コピーはわたしがやりますので結構です。」

 

「会長? わ、わかりました。

 

 さっきの本牧君に相談してみますね。

 

 あ、あと、コピーお願いします。」

 

     ・

     ・

     ・

 

やばい、遅くなっちまった。

だから、なんでオムレツにミニトマトが入ってんだ。

しかも、サラダにミニじゃないトマトまでたっぷりと。

それにあの食堂のおばちゃん、お残しは許しまへんでって

激高するし。

ここはどっかの忍者学校かよ。

三ヶ木がいてくれたら、食ってもらうんだけどな。

 

”ガラガラ”

 

「悪い、遅くなったって、あれ本牧、まだ始まってなかったのか。」

 

「ああ、資料のコピーがまだなんだ。」

 

「え、コピーって三ヶ木はそこにいるが。」

 

”ガラガラ”

 

「すみませ~ん、コピー機の調子悪くて遅くなりました。

 

 えっと、今日もよろしくです。

 

 み、いえ、書記ちゃん、これ配って。」

 

「あ、はい。」

 

「それでは早速始めますね。

 

 今日はオリエンテーリングと野外炊飯のお手伝いです。

 

 まずオリエンテーリングですが、同行班は、副会長、稲村先輩、結衣先輩

 

 ・・・・・美佳先輩でお願いします。」

 

「え? わたし、昼食準備班になってたはずだけど。」 

 

「えっと昼食準備のほうは、わたしと他の方でお願いしますね。

 

 あとは、その後の野外炊飯ですが、ここに書いてある内容の分担で準備お願いしますね。」

 

「よし、この後、昼食準備班はロビーのところに集まってくれ。 

 

 私の車に弁当とか皿とか運びたいのでな。

 

 それとオリエンテーリングの同行班は、集いの広場のほうへ行ってくれたまえ。

 

 そこにいる先生の指示に従って準備を頼む。

 

 では以上だ。」

 

「じゃあ、稲村、由比ヶ浜さん、三ヶ木さん、すまないが集いの広場のほうに移動しょう。」

 

「おう。」

 

「じゃあね、ゆきのん。」

 

「・・・やっぱ、なんか避けられてるのかなぁ。

 

 分担表遅かったから怒ってるのかも。

 

 ミーティングの直前になっちゃたもん。

 

 調整とかできなかったからわたしが勝手に決めたみたいだもんね。

 

 うん、あとで謝ろう。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はい、男子のみなさん、これの搬入よろしくです。」

 

な、なんだこの段ボールのヤマは。

これを俺と材木座の二人で運ぶの。

ま、マジか~

男子少なすぎない? 

 

「ちょっと待て一色、これ俺と材木座だけで運ぶのか?」

 

「はぁ? あの、もしかしてか弱い女子にも運べというんですか。

 

 最低です。」

 

「え、あい、いや、しかしだな。 せめて本牧か稲村かどっちかこっちに回してくれないか。」

 

「却下です。

 

 先輩、いろいろお盛んなようですから、これぐらい平気なんじゃないんですか?」

 

「いや、これ全部は無理だろう。」

 

「比企谷、ほれ男手連れてきたぞ。」

 

「いててて、し、静ちゃん、耳引っ張るのやめて。

 

 お、俺先輩だからね、一応。」

 

「まったくなにが先輩だ。 目を離すとすぐさぼるのは全然変わらないな。

 

 ほら、弁当運ぶの手伝いたまえ。」

 

「いや、俺肉体労働不向きだから。

 

 俺より、しず、平塚先生のほうが向いて 」

 

”ボキボキ”

 

「ほ、ほう、か弱い私に運べというのかね。」

 

「か、か弱い? くくくく、は、腹が、腹がい、いたい~」

 

「撃滅のセカンドブリット。」

 

「ぐはぁ。」

 

「さっさと運べ、馬鹿者が。」

 

「うへぇ~、お、お、おい比企谷、材木座行くぞ。」

 

”スタスタスタ”

 

「平塚先生、広川先生が先輩ということは大学がご一緒だったのですか?」

 

「ああ。 雪ノ下、年は一つ上だが、卒業した年は同じだぞ。

 

 まぁ、ついでだが同じサークルに入ってたんだ。」

 

「へぇ~、どんなんだったんですか広川先生。」

 

「まぁ、始めはなんだこいつはって感じでな。

 

 キャンプとか言っても何も準備とかしないで食うだけだし。

 

 それにあの通り、目を離すとすぐさぼるしな。

 

 はじめは最低だなと思ってたんだ。

 

 でもな、教育実習でな、ちょっとやらかしてな。

 

 まぁ、やらかした理由を聞いてからか、ちょっといいかなぁって。

 

 は、な、なにを言わせるんだ君たちは。」

 

「いえ、ご自分からいろいろと。」

 

「平塚先生、で、広川先生はなにやらかしたんですか?」

 

「いや、こればかりは内緒だ。

 

 ・・・・・・まぁ、不思議な縁というものもあるんだな。

 

 まさかその子が私の教え子になるとはな。」

 

「え、先生?」

 

「あ、い、いやなんでもない、さぁ調理器具とか運ぶぞ。

 

 できるだけ軽いやつをな。

 

 私達、か弱いからな。」

 

「「・・・」」

 

     ・

 

「ご苦労さま。 それじゃ悪いがこれ各チェックポイントに貼ってきて下さい。

 

 あと、生徒の並ぶ位置の白線、引き直してくれるかなぁ。

 

 昨日の雨で消えてしまってね。」

 

「はい、わかりました。

 

 それじゃ、稲村、由比ヶ浜さん、悪いが白線引き頼めるか。

 

 俺と三ヶ木さんでこのなぞなぞをチェックポイントに貼ってくるから。」

 

「うん、いいよ。 白線引き任せておいて。」

 

「なぁ、それなら俺と三ヶ木で行こうか?」

 

「いや、二人で山行かせたら、三ヶ木さんの身が危険だから。」

 

「お、おい、本牧。」

 

「はは、冗談だ冗談。 すまん、頼めるか?」

 

「うん? まぁ、わかった。こっちは任せとけ。」

 

「うん、任せた。 それじゃ三ヶ木さん行こうか。」

 

「え、あ、うん。」

 

     ・

 

「ねぇ、三ヶ木さん。 会長と何かあったのかい?」

 

「う~ん、わからないんだけど、多分、林間学校の分担表の提出が遅かったからかなぁ。

 

 ちゃんと蚊取り線香、部屋では消してたし。」

 

「それぐらいのこと会長は何とも思わないよ。

 

 う~ん、昨日の夕食までは普通だっただろう。

 

 昨日、勉強会の時に何かあったんじゃないのかい?

 

 ずっと三ヶ木さんがいないって、会長心配していたみたいだし。」

 

「勉強会の時? わたしはオリエンテーリングの下見してたから。

 

 ・・・・・あっ。」

 

「なにか心当たりがありそう?

 

 なんなら僕から会長に聞いてみようか?」

 

「うううん、自分で聞いてみる。 ごめんね本牧君、心配かけて。」

 

「いや、いいんだ。

 

 いつも三ヶ木さんにはお世話になっているからね。

 

 だから、なんかあったら力になるから、絶対相談してね。」

 

「うん。 本牧君、やさしいね。 書記ちゃんが惚れるわけだ。」

 

「ば、な、なに言ってんだ三ヶ木さん。

 

 ほ、ほら、さっさと終わらせよう。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ザワザワ”

 

うへぇ、去年もそうだったが、これだけの小学生の群れをみると、

ドン引きだな。

この騒々しさには圧倒されえるわ。 すげぇ、うっさい。

は、あ、あれは伝説の・・・・・

 

”シ~ン”

 

「はい、みんなが静かになるまで、三分かかりました。」

 

で、でた。 去年に引き続き、このセリフを聞くことになろうとは。

確か、去年も三分だったような。

定番とはいえ、これだけ続いているということは、効果はあるんだろう。

 

「では、最後に皆さんのお手伝いをしてくれるお姉さん、お兄さんを紹介します。

 

 まずは、挨拶をしましょう。 よろしくお願いします。」

 

「「よろしくお願いします。」」

 

「皆さん、こんにちは。

 

 総武高、生徒会会長の一色です。

 

 三日間の短い間ですが、皆さんと楽しい思い出を作りたいと思います。

 

 皆さん、仲良くしてくださいね。

 

 では、よろしくです。 えへ♡」

 

「かわいい~」

 

「一色さんだって。」

 

「わたし総武高に行こうかなぇ。」

 

「あ、わたしも。」

 

おいおい、去年の葉山より人気あるんじゃねえか。

げ、なに引率の先生まで、なに浮ついてるんだ。

まぁ、外見はあいつはかわいいからな。

中身はさて置き。

やっぱ、こういう場は似合ってる。

 

「はい、静かに。

 

 それではオリエンテーリングを始めます。

 

 ちゃんと班毎でまとまって行動するように。

 

 それではスタートです。」

 

”ガヤガヤ”

 

「それでは、副会長、オリエンテーリングよろしくお願いしますね。」

 

「了解だ、会長。」

 

「あ、会長。 あの~」

 

「さぁ、昼食準備班の行きますよ。 集まってくださ~い。」

 

やぱりあの二人おかしい。

コピーの件もそうだが

今も故意に三ヶ木との接触を避けてるみたいだ。

何かあったのか?

そういえば、一色今日は朝から機嫌悪かったな。

 

「スト谷君、なに一色さんを見つめてるのかしら。 

 

「ばっか、見つめてねぇって。」

 

「あら、そう? それなら昼食準備班は駐車場集合よ。」

 

「お、おう。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃ、二人一組で行こう。

 

 由比ヶ浜さん、すまないが俺と一緒に頼みます。」

 

「うん。いいよ」

 

「稲村、三ヶ木さん、俺たち先に出るから、列の後方から頼む。」

 

「おう、任せとけ。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「なぁ、三ヶ木、チェックポイントこの辺か?」

 

「うん、そこの道を曲がったとこ。」

 

「「きゃー」」

 

「どうした?」

 

「ね、どうしたの?」

 

「あ、お兄さん、お姉さん、チェックポイントのとこ。」

 

「あー蛙じゃん。」

 

”ひょい”

 

「はい、どうぞ。」

 

「お姉さんすご~い。 気持ち悪くないの?」

 

「三ヶ木、お前、蛙平気なのか?」

 

「え~かわいいじゃん。 ゲコゲコって。」

 

「そ、そうか。」

 

「え、なに?」

 

「いや、ふつう蛙平気な女子っていないから。」

 

「きゃ~、蛙こわ~い。」

 

「お前わざとっぽい。」

 

「へへ。」

 

”もさもさ”

 

「お、ちょっと待った。」

 

「ん? どうしたの稲村君。」

 

「ほれ、みろ三ヶ木、クワガタだ。」

 

「げ、く、クワガタ! いやー」

 

”ダー”

 

「お、おい、三ヶ木。」

 

     ・

 

「はぁ、はぁ、はぁ、あ~怖かった。

 

 クワガタは嫌いだ。

 

 何であんなものこの世の中にいるんだ。」

 

”ガヤガヤ”

 

「ん? なんだ。 あの男の子達何してるんだ?」

 

「なぁ、お前持ってきた?」

 

「ああ、ばっちりだ、ほらすげぇぞ。」

 

「お、おい、高校生いるっぞ。」

 

「オリエンテ―リング終わってからゆっくり見ようぜ。」

 

”スタスタスタ”

 

「まぁ、男の子だもんね。

 

 そういう年頃だ。 お姉さんは見ないふりっと。」

 

「はぁ、はぁ、あ、いた。

 

 三ヶ木、蛙平気なのにクワガタ駄目なんかよ。」

 

「うっさい。」

 

「ほほう、俺にそういう態度とるんだ。

 

 ほれ。」

 

「ぎゃー、やだー。」

 

「ほれ、ほれ。 へへ、なんか気持ちいい。」

 

”ぶちっ”

 

「・・・・・」

 

「えっ?」

 

”ブン、ブン。”

 

「お、おい、や、やめろ、三ヶ木。

 

 み、三ヶ木さん、コーンを振り回したら危ないよ。

 

 な、な、コーンそこにおけ。」

 

「・・・・・」

 

”ボコッ”

 

「ぐはぁ。」

 

”ボコッ、ボコッ、ボコッ”

 

「いた、いたた、わ、悪かった、み、三ヶ木。」

 

「・・・・・」

 

「ひぇー」

 

”ダー”

 

     ・

     ・

     ・

 

「あ、本牧君、稲村君達来たよ。

 

 おーい、昼食いくよ・・・・・え?」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

「・・・・・」

 

”トボ、トボ、トボ”

 

「・・・・・」

 

「お、おい、稲村? ど、どうした?」

 

「美佳っち、ど、どうしたの?」

 

「だって、馬鹿村が。」

 

「・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はい、これでいいわよ、稲村君。

 

 まったく、三ヶ木さんらしくもない。」

 

「だってゆきのん、稲村が。」

 

「それやめなさい。」

 

「ぬははは、三ヶ木女子はクワガタ恐怖症なのだ。

 

 小っちゃい頃にクワガタに低い鼻を挟まれ、ぷ、ぷぷぷ。」

 

「おい、義輝君、あれ、君のクワガタだったよね。

 

 それに鼻、低くて悪かったね。」

 

”ボキボキ”

 

「い、いや、も、もう時効で、それに三ヶ木女子がもっと近くで見せてって 」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

「よしなさい、三ヶ木さん。」

 

「だって、めっちゃ痛かったんだよ。 義輝君、横で笑ってるだけだったし。

 

 ほら、結衣ちゃん、ここその時の痕が残ってる。」

 

「え、あ、本当だ。 中二最低。」

 

「おい、お前ら早く席について弁当食べちまえ。

 

 後が片付かん。 なんか知らんが俺の仕事らしいからな。」

 

「あら、比企谷君、ようやく天職が見つかったのかしら。」

 

「ばっか、俺の天職は専業主夫だ。」

 

「すまない比企谷、いま食べるよ。」

 

     ・

 

「えっと、どこで食べよっかなぁ。

 

 あ、会長ここ良いですか?」

 

”ガタ”

 

「へ?」

 

「副会長、今日のこの後の予定確認したいのですが、食べながらいいですか?」

 

「あ、は、はい会長、ここどうぞ。」

 

「・・・・」

 

なんだ、何かあったのかこいつら。

なんか一色が三ヶ木を避けてるみたいだが。

こいつらの間がうまくいかないと、仕事がスムーズに回らない。

仕方ない、ちょっと。

ん、本牧、いいのか?

 

「あ、三ヶ木さん、会長がこの後の予定確認するっていうから、

 

 こっち座ってくれないか?

 

 書記ちゃん、ごめん、一つ席ズレてくれない?」

 

「うん、いいよ。」

 

「さ、三ヶ木さんも座って。」

 

「うん。」

 

本牧、お前も何か感じてたんだな。

ここは生徒会に任せるか。

げ、一色の奴、まだ膨れてる。

本当、なにがあったの?

 

     ・

     ・

     ・

 

「うんしょっと。」

 

”ドサ”

 

「ふ~、結構重たかった。」

 

「三ヶ木さん、この材料はこちらでよろしいでしょうか?」

 

「・・・・・わかった、ごめんなさい。

 

 稲村君、もう期限直してよ。」

 

「へへ、冗談だ。 俺のほうこそな。

 

 それより、これで材料終わりか?」

 

「うん、あと比企谷君が持ってくる分で最後だよ。」

 

     ・

 

重たい、暑い、今日は朝から肉体労働ばっかりだ。

くっそ、俺の分だけなんかじゃがいもの量多くないか

いや、絶対多い、俺が言うんだから間違いない。

 

”ころ”

 

ん? しまった、ジャガイモ落ちた。

拾わないとな。

 

”ころ、ころ”

 

おわ~これ、そこに穴開いてんじゃねえか。

ま、まじか。

げ、あっちにも落ちてるじゃねえか。

くそ、どこで破れたんだ。

引き返すか。

 

「あの~、すみません、ジャガイモ落ちてました。」

 

”にこ”

 

え、と、戸塚?

い、いや戸塚にしては小さすぎる。

この林間学校に来ている小学生か

でも、なにこの子、すげーかわいい。

まるで天使だ

え、なに? もしかして俺ロリだったの。

 

「あの~、お兄さん?」

 

「あ、す、すまん。 ありがとう。」

 

「あ、僕この落ちてたやつ持っていきます。」

 

「お、おう。 頼めるか。」

 

「うん。」

 

な、なんて謙虚な、この笑顔、まさしく天使。

戸塚、そうだ戸塚ジュニアと呼ぼう。

お、俺が17だろ、この子が小学6年ってことは12

だ、大丈夫だよな。

俺はこの子のためなら働ける。

お兄さん、道を踏み外しても・・・・ぼ、僕?

 

「あ、俺は比企谷 八幡。 男だ。

 

 君は?」

 

「僕、甘草塚 颯 です えっと、あの~、男です。」

 

やっぱり、お、男なのね。

はぁ、戸塚といいこの子といい、天使は両性具有というが。

 

「はぁ~」

 

「え、お兄さん、どうしたの?」

 

     ・

 

”ガヤガヤ”

 

「な、すげ~だろう。」

 

ん? なにしてんだあいつら。

 

”ぐいぐい”

 

「ん?」

 

「あ、あの子達にはあまり関わらないほうがいいよ。

 

 お兄さん、行こう。」

 

「ん? そうなのか。」

 

まぁ、今は戸塚ジュニアと一緒だからな。

ここで何か言ってこの天使に害があるといけない。

ここは見過ごしてやるか。

 

”スタスタスタ”

 

「おい、あれ甘草塚じゃね。」

 

「またいい子ぶってるじゃん。」

 

「いま見てたんじゃねえか。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「お~い、三ヶ木、これどこに置いておけばいいんだ。」

 

「あ、比企谷君、ご苦労様。

 

 え、と、戸塚君、ど、どうしたのこんなに小っちゃくなっちゃって。」

 

「あの~」

 

「はぁ、わかった、ピラフね、ピラフに小さくなれって願い事されたのね。」

 

「え、ピラフ? いえ、ぼ、僕は 」

 

”ぽこ”

 

「あいた。」

 

「・・・・お前、途中で気付いたんだろう。

 

 いきなりピラフって言われてもわからないだろうが。」

 

「えへへへ、でも似てるね。

 

 戸塚君、小っちゃいころこんな感じだったんだろうね。」

 

「あの~、お兄さん。」

 

「お、すまん。三ヶ木、ここでよかったか?」

 

「うん、そこおいておいて」

 

「お兄さん戸塚さんてどんな人なんですか?」

 

「戸塚は人じゃない、天使だ。 この世に舞い降りた天使なんだ。」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ。」

 

「ごめんね。 このお兄ちゃん、あれだから。

 

 あのさ戸塚君ってさ、わたしたちの同級生で、テニス部の部長さんだったの。」

 

「すげーかわいいんだぞ。」

 

”ベシ、ベシ”

 

「ぐはぁ。」

 

「あのね、確かに外見はかわいいんだけどさ、わたしなんか足元にも及ばないぐらい。

 

 でもね、すっごく努力家で頼りがいのある男子だよ。

 

 このお兄さんと違って。」

 

「へぇ、そうなんですか。

 

 あ、このお野菜、班の数ごとに分けていけばいいんですよね

 

 ぼく時間あるから手伝います。」

 

「え、ほんとありがと。」

 

「うん、任せておいてくださいお姉さん。」

 

「お姉さん、えへへへ。」

 

なんだ三ヶ木急にデレデレになった。

は、そうかこいつお姉さんていう言葉に弱いのか。

よし、そうとわかったら。

 

「お姉さん、僕疲れたから向こうで休んでくるね。」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ。」

 

「なんのつもりだお前。」

 

「え、い、いや、あの~お姉さん?」

 

「誰がお姉さんだ、働け、うりゃ!」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ。」

 

「まったく、少しはあの子を見習いなさい。

 

 いい子だね、あの子。」

 

「いててて、あ、ああ、そうだな。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「お~、これ、やばいよな。」

 

「お、おう。」

 

「おい、お前ら何見てんだ。」

 

「あ、」

 

「なんだこれは。

 

 これは、誰が持ってきたんだ。」

 

「あ、あの~この本はここにあったんです。」

 

「嘘をつきなさい。」

 

「あ、俺、甘草塚がここらへんにいたの見ました。」

 

「ん? 甘草塚が。」

 

「あ、おれもあいつが持ってたの見ました。」

 

「俺も。」

 

「そうなんですよ、先生。」

 

「あいつが持ってきてここに置いたの俺が拾ったんです。」

 

「これは甘草塚が持ってきたというのか?」

 

「そうです。」

 

「俺も見ました。」

 

「ふむ。 わかった。

 

 とにかくこれは没収だ。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「なぁ、これ俺たちの分の材料だが、ここに置いておけばいいか?」

 

「あ、ご苦労様。」

 

「全員いるかね。」

 

「「はい。」」

 

「それではすまんができるだけ、各自小学生の班にはいって

 

 危なくないか様子を見回ってくれないか。」

 

「え、でも自分達の分は、自分達で作らないといけないじゃないですか。」

 

「ああ、そうだ。 だからできるだけでいい。」

 

「平塚先生、何かあったんですか?」

 

「ああ、ちょっと厄介ごとが起きてな。

 

 先生達の何人かが会議で抜けなくてはならないんだ。

 

 それでその抜けた分、危なくないようにみてほしいんだ。」

 

「わかりました。 それじゃ見廻り班とカレー作る班に手分けしましょう。

 

 あの、カレー作る班は雪ノ下せんぱ 」

 

「あ、あたしがみんなの分作る。

 

 うううん、あたしに作らせて。」

 

「「だめだ!」」

 

「げ、みんなしてひど。」

 

「由比ヶ浜、俺はちゃんとご飯が食べたい。

 

 ただでさえ、今日は肉体労働で腹が減ってるんだ。

 

 晩飯抜きは絶対断る。」

 

「由比ヶ浜さん、料理をしたいのなら、こんど一緒に作りましょう。

 

 だから、今日はね。」

 

「あたし、作りたい。

 

 絶対ちゃんとしたの作るから任せて。 お願い。」

 

「しかしなぁ。」

 

「そ、そうね、やっぱり今日は 」

 

「あ、じゃあ、わたしも一緒に作る。

 

 以前も一緒に作ったことあるし、ね、結衣ちゃん。」

 

「う、うん。」

 

「そう、三ヶ木さんが一緒なら。」

 

「いろはちゃんもみんなもお願い。」

 

「わかりました。 でもちゃんと食べれるものにしてくださいね。

 

 それでは、他の皆さんは小学生の見回りお願いします。」

 

「「了解、会長」」

 

     ・

 

「えっと、ありがとね美佳っち。」

 

「うううん。 でもどうしたの?」

 

「うん。・・・・あのね、あたし、ほら料理って少し苦手じゃん。

 

 本当、ゆきのんとか美佳っちとかうらやましくてさ。

 

 やっぱりね、あたしも手料理食べてほしいなぁって思って、自分なりに練習してたんだ。

 

 で、でもあんまり機会がなくてね。

 

 手料理食べてもらうのって、今日ぐらいしかないかなぁって。

 

 こんなときじゃないと、食べてもらえないじゃん。

 

 ・・・・・あたしね、ヒッキーに手料理食べてほしいの。」

 

「結衣ちゃん。

 

 うん、わかった。じゃあ、わたしはなるべく見てるだけにするからね。

 

 しっかり特訓の成果を見せてね。」

 

「うん、任せて。」

 

”ガタ”

 

「へ?」

 

「あ、い、一応、俺火おこし担当だから。

 

 火は起こしたからな。」

 

「ひ、ヒッキー! いつからそこにいたの?」

 

「さっきからいただろ。

 

 なに気付かなかったのかよ。

 

 ここでパタパタやってたじゃねえか。」

 

は、そ、そうかステルスヒッキーって自動発動するのか。

こんなの聞かされたら、食わないわけ行かないだろうなぁ。

今のうちに胃薬もらってきておこう。

 

「ヒッキー、盗み聞きなんてキモイ、ばか。」

 

「お、おい、ジャガイモ投げるな。大事な食材だろ。

 

 まあいいい、俺も小学生のとこ行くから。

 

 三ヶ木、後頼むわ。 絶対食べれるものにしてくれ。」

 

「え、あ、うん。

 

 あ、これ持って行って。」

 

「ん、ウェットティッシュ?」

 

「顔、真っ黒だから。」

 

「お、おう、サンキュ。」

 

ふぅ~、まぁ、三ヶ木が監視しているなら、何とか食えるだろう。

さてと、どこにはいるかなぁ。

 

そうだ戸塚、戸塚ジュニアのとこにしよう。

えっとどこだ

あ、いた。

うん、やっぱり天使だ。あの子だけなんかオーラ―が違う。

 

え、あれ? 戸塚ジュニア。

ん? なんだ先生に連れられてどこいくんだ?

 

     ・

     ・

     ・

 

「いた!」

 

「ゆ、結衣ちゃん大丈夫? ほ、ほら指だして。」

 

「うん。」

 

「はぁ、よかった。 たいしたことないね。 今、絆創膏貼るから。」

 

「たはは、あたしやっぱ不器用だね。」

 

「よし、OKっと。

 

 それと、はい結衣ちゃん、これ使って。」

 

「え、これってピース?」

 

「うん、横ピースって違~う。

 

 これはピーラー。

 

 あのねニンジンの皮向くのはこれが一番。

 

 ほら、シュルシュルってすっごく楽だよ。」

 

”シュル、シュル”

 

「えへへ、いいではないか、いいではないか。」

 

「み、美佳っちが変だぁ~」

 

「えへへ、はい結衣ちゃんもピーラー。」

 

「え、あ、あたしもやるの。」

 

「うん。」

 

”シュル、シュル”

 

「い、いいではないか、う~、やっぱりやだ~」

 

「あははは。」

 

「もう、美佳っち。」

 

「お料理は楽しくが一番だよ、結衣ちゃん。」

 

「うん。」

 

     ・

 

「よしよし、あとは辛抱強くアクを取りながら煮込むだけだ。

 

 結衣ちゃんもう大丈夫だよね。」

 

”ガサガサ”

 

「ん? 結衣ちゃん、なにしてるの?」

 

「あった。 えへへ、隠し味にね、このチョコを入れようかなぁって。

 

 この前ね、ママがいれるの見てたんだ。」

 

「待てーい、絶対ダメ。 それチロロのきな粉味じゃん。

 

 あ、こっちはメロン味。」

 

「だって、ママが言ってたよ。 隠し味にチョコ入れるとコクが出るって。

 

 それにヒッキー甘いの好きだし。 あと、あたしはメロン味がイチ押し。」

 

「あのね、それは普通の板チョコとかをいれるの。

 

 きな粉味とかメロン味はだめ。」

 

「え、そ、そうなんだ。」

 

”ガサガサ”

 

「えっと、あ、あったあった。

 

 はい、板チョコ。

 

 わたしも一応持ってきてたんだ。

 

 入れるの少しでいからね。」

 

「うん、了解。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「お、俺から食べるのか。」

 

「当たり前でしょ、毒み谷君。

 

 あなたなら大抵のことでは死なないわ。」

 

「なにそれ、比企谷菌って毒より強いってことなの。」

 

み、三ヶ木大丈夫か?

え、okのサイン? ほ、本当だな、お前味見したんだな。

よ、よし、胃薬は飲んできたし。

 

「分かった、由比ヶ浜頂く。」

 

「うん。」

 

”ぱく”

 

ん、こ、これは。

 

「ど、どう? ヒッキー。」

 

「うまい。 なぜだ、なにが起きたんだ。 こんなわけがない。

 

 は、そうか、三ヶ木か、三ヶ木本当はお前がつくったんだな。」

 

「ヒッキー酷い。」

 

「違うよ。 わたしは見てただけ。

 

 このカレーには結衣ちゃんの想いがたっぷり入ってるから美味しいよ。

 

 ね、比企谷君。」

 

え、い、いやなんか、その言い方、すごく怖いんだが。

なんて答えればいいんだ。

い、胃薬、足りるかなぁ。

だが、マジ美味い。

 

「あら、ほんとうね。 すごく美味しいわ。」

 

「本当だ。」

 

「「頂きま~す。」」

 

”ぱくぱく、ぱくぱく”

 

「良かったね、結衣ちゃん。」

 

「うん、美佳っち。」

 

「なぁ、由比ヶ浜、お代わりあるか?」

 

「うん、ヒッキーいっぱいあるからどんどん食べてね。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「洗い物は男子がするぞ。」

 

「そうだよ、雪ノ下さんも三ヶ木さんも、あとはいいから向こうで休んでて。」

 

「え、ほんと? ラッキーありがと。 さすがも本牧君、いい旦那になるよ。」

 

「み、三ヶ木、俺も手伝うぞ、ほら皿かせ。」

 

「えっ。」

 

”ガチャーン”

 

「馬鹿村!」

 

     ・

 

「美佳っち、今日ありがとうね。」

 

「あ、う、うん。」

 

「えへへ、ヒッキーに美味しいて言われた。

 

 それにお代わりもしてくれたよ。」

 

「よ、よかったね。」

 

「あのさ、また手伝ってもらえるかなぁ。」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ね。」

 

「う、う、うん。」

 

「・・・・」

 

「え、結衣ちゃん?」

 

「本当にいいの、それで。」

 

「い、いい・・・・・・・・・いやだ。

 

 さっき結衣ちゃんの笑顔みて、ほんとうれしかったんだよ。

 

 結衣ちゃんの努力が認められて。

 

 ・・・でも、でも・・・・やっぱり、いやだ!

 

 比企谷君が美味しそうに食べてるとこ見て、ほんとは苦しくて、うらやましくて。」

 

「美佳っち、応援してくれるって言ったじゃん。」

 

「で、でも。」

 

「応援してくれるって言ったよね。」

 

「ご、ごめん 結衣ちゃん。 

 

 わたし応援するって言ってたけど。

 

 でもやっぱりわたしも比企谷君に手料理食べてもらいたい。」

 

「・・・」

 

「ゆ、結衣ちゃん。」

 

「はぁ~、やっと素直な気持ち聞かせてくれた。

 

 意地悪してごめんね、美佳っち。」

 

「え、ゆ、結衣ちゃん?」

 

「もう、特別だとか、わたしなんてとかで自分を誤魔化してたら駄目だよ。

 

 これからはちゃんと自分の気持ちに正直になること。

 

 美佳っち言ってくれたじゃん。

 

 あたしはね、美佳っちのことも大事に思ってる。

 

 大事な人が好きだって気持ち押しつぶしてたら、あたしが一番悲しむんだからね。」

 

「うん。」

 

「よし、でも美佳っち、あたしも負けないからね。」

 

「うん。 結衣ちゃん、ごめん。」

 

”ぽこ”

 

「え?」

 

「あはは、やっぱ美佳っちみたいにうまくできないや。

 

 なんかこう、ベシって感じだよね、ベシって。」

 

「あ、いや、もうちょっと手と指を伸ばして、まっすぐ手刀を振り下ろす感じで。」

 

「いや、いいから。 美佳っち、ごめんはもう禁止だからね。」

 

「うん。 ゆ、結衣ちゃん、これからも友達でいてくれる? 」

 

「い・や・だ!」

 

「えー 」

 

「だって、あたしたち親友じゃん。」

 

「うん。 ごめんね。」

 

”ベシ”

 

「あ、できた。」

 

「ぐはぁ。」




最後までありがとうございます。
やたらセリフばかりとなり、自分の文才のなさを実感してます。
思ったより中編が長くなってしまいました。
次回 中編(下)また見に来ていただけたらありがたいです。
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