似て非なるもの 作:裏方さん
林間学校中編、思ってたより長くなってしまい、その続きです。
前回、ガハマさんに気持ち打ち明けたオリヒロですが、
今回、またしてもグダグダ展開になる気配が。
なかなか、進展せずすみません。
最後まで読んでいただけたらありがたいです。
う~痛い、痛いよ~。
あ、ほら赤くなってる。
結衣ちゃんのチョップ強力だよ。
コツ掴むの早すぎ。
しばらく結衣ちゃんには逆らわないようにしないと。
さてと、もう後片付け終わったかなぁ~
あ、まだいた。
”タッタッタッ”
「お疲れ様!」
「三ヶ木さん、お疲れ様。 もうこっちの片付けは終わったよ。
比企谷、そっちはどうだ。」
「おう、こっちも終わった。」
「みんなありがと。
あ、本牧君、よかったらこれどうぞ。」
「ん? あ、チョコ。 ありがとう。」
「は、はい、比企谷君も。」
「おう。 ありがとな。」
「う、うん。
あ、義輝君もどうぞ。」
「ぬお、わ、我もいいのか。」
「あったりまえじゃん。
みんな、ありがとさまでした。」
「・・・・・お、おい。 俺は。」
「へ? もう無いよ。」
「お、俺にないのか。 ガーン。」
「ガーンって声で言うんじゃない。
へへ、冗談だよ、いつもいっぱいありがとね、稲村君。」
「え、あ、お、おう。」
「それじゃみんなログハウスまでもどろうか。
自習の準備しないといけないからね。
今日は三ヶ木さんも自習に参加するんだよ。」
「うへ~。」
はあ、何の勉強しようかなぁ。
家庭科じゃだめだよね。
うう、仕方ない、数学しようかなぁ。
最近さ、稲村君のおかげで、数学結構得意になってきたんだよね。
一人公式神経衰弱しようっと。
「お、いたいた。
お~い、三ヶ木。 ちょっといいか?」
「え、広川先生、な~に?」
「すまん、ちょっと食堂のおばちゃんとこに行って来てくれないか?
広川がお願いしたものっていえばわかるからもらってきてくれ。」
「え~、広川先生、人使い荒いよ~
あ、そうだ、わたし自習しないと、残念だなぁ~、行ってあげたいのに。
う~ん、すっごく残念。」
「今度また新作のケーキ、食わせてやるから。」
「ケーキ? ほんと? やった~了解っす。
じゃ、ちょっと行ってくるであります。」
「おう、急いでな。」
”タッタッタッ”
・
・
・
「ん、あれは戸塚ジュニアじゃねえか。
一人でなにしてるんだ。」
”スタスタスタ”
「どうしたんだ。 一人か?
まぁ、よかったら、ほれチョコでも食うか?」
「え、あ、お、お兄さん。 ありがとうございます。」
「おま、な、泣いてたのか? なんだ、どうした。」
「え、あ、な、何でもないです。」
「そ、そうか。 」
”もぐもぐ”
「ぐ、ぐはっー」
「え、お、お兄さん?」
「な、なんだこれは! げ、ワサビ味。」
「え、でも結構おいしいですよ。」
「え、マジ?」
「はい、結構好きです。」
「好き? お、俺も好きだ。」
・
・
・
”ガラガラ”
「男子は全員揃っているようだな。
今から持ち物検査をする。
各自、自分の荷物をここに出してくれたまえ。」
「はぁ、先生、今頃になって持ち物検査ってどうしたんですか?」
「うむ。 実はな、小学生で、まぁ、その、ス、スケベな本を持ってきた子がいたんだ。
それで明日の朝食後、急遽一斉に持ち物検査をすることになってな。
君達も例外ではないから、何事もなきよう事前にチェックする。」
”ガサガサ”
「う~、やっぱり真面目ですね副会長。
平塚先生、勉強道具以外なにもありません。
ちぇっ。」
「・・・・ん? ちょっと待て!
い、一色。 何でお前が検査してるんだ。
いやその前に、なんで女子がここにいるんだ。」
「え、決まってるじゃないですか。 お仕事です、お・し・ご・と。
だから仕方なくですよ、仕方なく。」
「いや、仕事って何でそんな嬉しそうな顔してんだ。
絶対、楽しんでるだろう、お前。
雪ノ下、お前はなんでいるんだ。」
「部員の管理をするのは私の役目よ。
今から部員が不祥事を仕出かすから、管理者としてその尻ぬぐいしないといけないじゃない。
まったく、これは私の管理不十分ということになるのかしら。」
「なに、その俺が何か変なもの持ってきてるって前提。
俺何も仕出かさないから。
なぁ、由比ヶ浜や書記ちゃんはなんでいるんだ?」
「あ、あはは、だって何か気になるじゃん。 ね、藤沢さん。」
「は、はい。」
「女子のチェックの時は男子いなかっただろう。 不公平だ。」
「先輩、うっさいです。 そんなに女子の持ち物みたいんですか?」
「そうだ。 俺達にお前らの持ち物見せてからにしろ。」
「比企谷君、いいからさっさとあなたのものを見せなさい。」
「・・・・・雪ノ下、今のもう一回言ってもらっていいか?」
「え? あなたのものを見せなさい?」
「先輩、最低です。」
・
・
・
”ガラガラ”
「広川先生、頼まれたもの持ってきたよ。
あ~重たかった。 ケーキ2個は貰わないとですよ~」
って、あれいないや? どこ行ったんだろう。
もう急いで持ってきてくれっていったから、頑張って持ってきたのに。
まぁいいや、暇だし少しここで待ってよっと。
へへ、自習さぼりだね。
うんしょっと。
”どさ”
ふ~、疲れた。
うひゃ~、先生の机の上ぐちゃぐちゃ。
まったく、少しは片付けろって。
まぁ、待ってる間、ちょっと整理してあげよっか。
”がさがさ”
「ふん、ふん、ふ~ん、ケーキ、ケーキ♬ ショートにモンブラン、チーズにティラミス♬」
ん、なんだこの本?
”ペラ、ペラ”
げ、げげげ、なにこれ ふぇ~すごいエッチ。
おお!
ひ、広川先生、あんな顔してこんな本読んでんだ、以外。
やっぱ男だねって、うわ~大胆なポーズ。
ふむふむ、男子ってこんな感じのがいいのか。
ちょっとマジやせないと。
・
・
・
ふむふむ。
お、おお、これは。
ぐふ、ぐふ、ぐふふふ。
うそ~すご。
”ガラガラ”
「お、三ヶ木ご苦労さん。 すまんちょっとトイレにいってた。」
「は、」
”ガタ”
「え、いや、なに? なんで後ずさりしてんの?」
「広川先生のけだもの。」
「はぁ?」
「け・だ・も・の。」
「な、なに言ってんだ三ヶ木。」
「こんなエッチな本見てて何喜んでんだ。 このスケベ、変態、エロ親父。」
「・・・・・お前、鼻血でてるぞ。
ほれティッシュ。
なんだ、これ見てたんのか。
これは俺の本じゃないぞ、まったく。
それに親父じゃねぇ、まだ若いから。
あんな、これは小学生が持ってきたんだとよ。
だから他の先生は今その件で緊急会議とかやっててな。
なんでも明日の朝食後に全員の持ち物検査するんだってさ。」
「え、広川先生のじゃないの?」
「当たり前だ。 俺はあか俺のケロッピーちゃん一筋だ。」
「お、おい、それって胸を張って言うことじゃない!」
まったく、これがなかったらいい男なんだけどな~
ケロッピーか、平塚先生に教えてあげようかな。
あ、でも、もし
『仕方がない、お前のためにコスプレしたぞ、
ケロケロ、しずちゃんと呼んで。』
ってことになったら、うへ~、だ、だめだ怖い。
三十路のケロッピー。
「広川先生、じゃあ、もう行くね。
なんか頭痛くなってきたから。」
「ああ。 助かった、ありがとうな三ヶ木。」
「うん、ケーキ2個ね。」
「・・・・・・わかった。」
あの本持ってきたのってあの子達だね。
オリエンテーリングの時、ワイワイ騒いでいたもん。
そっか、みつかっちゃったのか。
あ、明日持ち物検査って言ってた。
チロロチョコ、没収されちゃうかな。
・
・
・
「なぁ~んだ、結局何もないじゃないですか。
あれだけ拒否してたのに、期待して損しました。」
「お前何期待してたの?」
「いや、ほら、いろいろあるじゃないですか~」
「あきれた。 参考書とか問題集とか勉強するための類、本当に持ってきてなかったのね。」
「俺の参考書はラノベだ。」
「なんですかそれ。 はぁ、もういいです、先輩あっち行っててください。」
「ほら次、えっと材木さん。」
「材木? いや我は天下の文豪初軍、」
「それいいですから。
うわ~、キモ、なんですかこれ。」
「あ、いや、それは、アニメのヒロインイラスト集・・・・
しょ、小説の参考にとかで、やましいことは。」
「もういいです。 林間学校終わるまで没収です。」
「ひでぶ~」
「はい次、稲村先輩、お願いします。
あれ? 稲村先輩?」
”ガサッ”
「は、はい、こ、これです。」
「稲村先輩、いま何か隠しましたね。」
「え、、いや、な、なにも隠してしてないから。」
「結衣先輩、書記ちゃん。」
「「あ、はい」」
”ギュ”
「え、なにするのかなぁ。 腕、離してくれないかなぁ。」
”サッ”
「あ、か、会長。」
「げ、小学生の女の子の写真。 稲村先輩、犯罪です。」
「い、いや違う。 よ、よく見てくれ、それ三ヶ木だ。
三ヶ木と妹さんだ。」
「え? ん~ そう言われるとそのような、でも違うような気も。」
「そうね、どうしても眼鏡の印象もあるし、判断つきかねるわね。」
”ごそごそ”
「雪ノ下、眼鏡取った時の画像ならあるぞ。 ほら、このスマホ見てみろ。」
「え、そうね確かにこの写真の子は三ヶ木さんね。」
「だ、だろ、雪ノ下さん。 会長も由比ヶ浜さんもよく見てくれ。」
「どれどれ、あ、本当だ美佳っちだ。
え、あ、ヒッキー、こっちのスマホの子は彩ちゃん・・・じゃないよね。
ヒッキー、この美佳っちの眼鏡してる子って、彩ちゃんの妹さん?」
「いや違う、この子は天使だ。 見ろ純真無垢なこの可愛らしさを。
俺には背中に羽が見える。
くっそ、な、なんでこれで男なんだ。」
「ヒッキー・・・・」
「ん、比企谷、この子のこと知ってるのか?」
「え、あ、今日、野外炊飯の準備をしているとき、材料の運搬とかいろいろ手伝って
くれたんですよ。」
「そうか。 なぁ比企谷、スケベな本、持ってきたのはこの子だそうだ。」
「はぁ? なに言ってんすか先生。
俺スケベな本を見てたやつら知ってますけど、甘草塚じゃないですよ。」
「甘草塚というのかその子。
君は本を持ってきた子達を知ってるのかね。」
「ええ、材料を運んでる時に4、5人の小学生が読んでるのを見ましたよ。」
「そうか。 だがな比企谷。
この子は自分が持ってきたと認めているそうだ。」
「そんなわけないでしょう。」
「なぜそんなことが言い切れるんだね。」
「決まってるじゃないですか 天使がそんな本を読むわけがない。」
「比企谷。」
・
ひぇ~、遅くなった。
結衣ちゃんから女子全員男子の部屋にいるよってメールあったけど、
男子の部屋でなにしてるのかなぁ。
は、もしかしてあんなことやこんなことを。
いや~うらやま、いや、いやらしい。
・・・・・ま、そんなことないか。
さて馬鹿言ってないで、わたしも中に入ろうっと。
「・・・違うんだ。」
ん?
なんだ、比企谷君、なに叫んでんだ。
「だから、違うんだ。
俺は、別のやつらが読んでるとこを目撃してる。」
「だがな、比企谷。 君の話では実際何の本を見てたのか確認したわけではないのだろう。
それではあのスケベな本を、甘草塚といったかな、その子が持ってきたんじゃないって
いう証拠にはならないんだ。
その子が既に自分の本だと認めている以上、それを覆すには何か確実な証拠がいるんだ。
君もわかっているのだろう。」
スケベな本? あ~、あの本か。
あれ甘草塚君が持ってきたってことになってるの?
だってあれ、あの子達が持ってきたんじゃ。
でも確かに平塚先生の言う通り、わたしもはっきり確認したわけじゃない。
だから今となっては証拠にならないかもしれない。
こんなことになるんなら、あの時注意しておけばよかった。
今となっては遅いよね。
・・・・・・・・そっか、甘草塚君は自分のって認めちゃったんだ。
一度認めちゃうとずっと何かある度にいっつも疑われるんだ。
わたしもそうだった、広川先生に出会うまで。
そう、広川先生が助け出してくれるまで。
あんな先生、そういないよ。
「なぁ、雪ノ下。」
「だめよ。 これは私達の役割じゃない。」
「だがな、このままでは甘草塚が冤罪になってしまうんだ。」
「平塚先生の言う通りよ。
確かな証拠がない以上、あなたの不確かな証言だけではどうにもならない。」
「・・・」
「それにあなたの言葉を信じてないわけじゃないけど、私達はその子のことを全く知らない。
比企谷君。あなたも今日知り合ったばかりの子のこと、どこまで知っているつもりなのかしら。」
「先輩、わたしも反対です。
雪ノ下先輩の言う通り、この件に関してわたし達にはあまりにも情報がありません。
万一、その子が本当に持ってきたということになれば、先輩の言う他の子達を冤罪に
してしまうことになるかもです。
もしそうなった場合のことを考えたら、生徒会としてもそんな危険を侵すことは
出来ないですよ。」
「・・・・・そ、そうか。」
「そうよ。」
「・・・」
「ヒッキー。」
「まぁ、そうだな。 確かに証拠もないしな。
お前らの言う通り、俺も甘草塚のことよく知ってるわけじゃない。
わかった、この話はこれまでにしよう。
すまなかった。」
「わかってくれればいいわ。
あなたの気持ちはわかるけど、やはりここは先生方に任せましょう。
平塚先生、今一度、事実を確認して頂くことはできないでしょうか?」
「うむ、私ももう一度小学校の先生方に聞いてみよう。」
うん、そうだよ。
確かに雪ノ下さんや会長の言ってることが正しい、正解だ。
冷たいけど、これは小学校の問題。
わたし達が深く関わるべき問題じゃない。
小学校の先生方に任せるという判断は正解だ。
でも、でもひとつ違うよ。
わたしにはわかる。
だから、わたし・・・・・仕方ないよね、馬鹿だもん。
”タッタッタッ”
・
・
・
「ヒッキー、ここの要約ってこれでいいかなぁ?
ね、ちゃんと聞いてる?」
「・・・」
「ね、ヒッキー。」
「・・・ 」
”ベシ”
「ぐはぁ、な、なんだ? い、いまの由比ヶ浜か?
あ、ああ、何でもいいんじゃねえの。」
「ひど。 ちゃんと教えてよ。」
「わ、わかった。 まずその手を下ろせ。
由比ヶ浜、これ字数超えてるじゃねえか。
まず、文章の中で具体例とか説明的な文章があるだろう。
まずはそこを無視してだな、 」
「副会長、美佳先輩知りませんか?」
「あ、さっき広川先生に何か用事頼まれて、食堂までいったみたいだよ。
まだ、広川先生のところかも。」
「あ、そ、そうですか。」
「会長、気になるんですか?」
「べ、別に気になりません。
な、なに言ってるんですか、さっさと勉強してください。」
‐‐‐‐‐‐‐
「さ、それではそろそろ持ち物検査に行きましょうか。」
「そうですね。」
”ガラガラ”
「おはようございます。」
「ああ、おはよう。 どうしたのかね。」
「すみません、俺の本を返してもらいに来ました。
昨日どっかに置き忘れてしまったんですが、なんかここにあるって聞いて。」
「君の本?」
「あ、そ、それ、それ店員の目を気にしながらやっと買えたんです。
苦労したんですよ、返して下さい。」
「ん、ひ、比企谷。」
「平塚先生、これはどういうことですか?」
「あ、いや。」
「どういうことも何も、さっきからいってるようにそれ俺の本なんですよ。」
「君、高校生がこんな本、しかも林間学校に持ってきていいと思うのか。」
「すみません。 つい。」
「先生、確かこの本は甘草塚が持ってきたんじゃ。」
「そ、そうだ。君、なにを言ってるのかね。これは甘草塚という生徒が持ってきたんだ。
本人が認めているんだ。」
「平塚先生、困りますな。」
”ガラガラ”
「おはようございます。」
「おお、甘草塚、いいとこに来た。
この本は君のだな。」
「先生。」
ーーーー 昨日の自習時間 ーーーー
あ、いた。
やっぱり外にいたね。
さっきすれ違った男の子たちが君のこと噂してたもん。
もしかして誰かが意図的に流してるのかも。
これじゃログハウスにいづらいよね。
ほんとは慰めてあげたいけど、ごめんね。
「君、一人?」
「え、あ、お姉さん。」
「やめてくれる、エッチな本を持ってくるようなスケベくんに
お姉さん呼ばわりされたくないわ。」
「え、ち、違うんです。 僕は全然知らないです。」
「でも、君は先生に自分の本だって認めたっていうじゃない。」
「あ、あれは、だってそうしないと先生いつまでも離してくれなくて。
僕のだろう、見た人がいるぞ、って何回も。
僕が違うって言っても全然信じてくれないんだ。」
「それで認めちゃったの。」
「う、うん。」
「ねぇ、知ってる? 明日の朝食の後、全員の持ち物検査するんだって。
みんな思うだろうね
なんで急にって、それで君のこと噂になるの。
君がすごいエッチな本持ってきてたって。
それで、持ち物検査になったんだって」
「そんなわけない。
僕がそんな本持ってきたって誰もわからないでしょ。
先生、名前言うわけないし。」
「じゃあさ、君がそんな本持ってきた犯人って、なんでそういうことになったの?」
「そ、それは、多分、あいつらが。」
「ね、それと一緒だよ。
はい、君はスケベ大王決定だ。」
「・・・」
「それでね、明日のキャンプファイヤー、君はエアーオクラホマ決定だね。
だって女子ってそいうの敏感だから、スケベ大王とは絶対手なんか握ってくれないからね。
そんなのが、これから毎日続くの。」
そうなんだ。
わたしなんか運動会でもずっと手握ってもらえなかった。
なんか貧乏が移るとか言われて。
子供って結構平気でそんな残酷なことするんだよ。
本人は何の罪の意識もなしに。
「い、いやだよ。なんで、僕が何したんだよ。」
「何をしたのじゃない、することをあきらめちゃったからだよ。」
「ぼ、僕やだ、やだよ。
た、助けてお姉さん。」
「わたしには君を助けられない、君を助けられるのは君だけだ。
君はどうする?」
そうなんだ。
今だけ君を助けることはできる。
でも、これからずっとわたしは、ううん、わたし達は君のこと見てて上げられない。
だから、君は君自身で頑張らないといけないんだ。
「ぼ、僕、スケベ大王は嫌だ、先生に言ってくる。
今度は絶対違うって言ってくる。」
「わかった。
それならね・・・」
ーーーー そして今 ーーーー
「先生、僕、やっぱりそんな本持ってきてません。
僕のじゃないです。」
「はぁ、なに言ってんだ甘草塚! お前は昨日自分の本だって認めただろう。」
「怖かったから、でもやっぱり僕のじゃない。 僕のじゃないです。」
「先生、だから言ったでしょう。 それは俺 」
「先生、すみません。 それわたしのです。」
「え、は、はぁ? み、三ヶ木?」
「な、なに言ってるのかね。 これは今この男子生徒が自分のだと。
ひ、平塚先生、どうなってるのかね。」
「あ、それは、比企谷くんがわたしを庇ってるだけですよ。
甘草塚君だっけ、ごめんね君にまで迷惑かけて。
もう帰っていいよ。」
「え、あ、は、はい。」
「あ、待ちたまえ甘草塚。」
「先生、犯人はわたしなので、彼もういいですよね。
ほら行った行った。」
「う、うん。」
”ガラガラ”
「三ヶ木、お前こそ俺を庇って。」
「え、比企谷君、なに、もしかして庇ってくれたんじゃなくてあの本がほしかったの?
あくまで自分の本だって言うのならさ、本の内容言ってみ。
そうね、今回の特集は何?」
「え、あ、あのな、そうだ人妻の奴だ。」
「残念でした。 先生確認してください。
特集は、ひと夏の経験、ビーチのビッチゲット大作戦です。」
「はぁ、な、なにその見出し。
そんな特集があるわけないだろうが。」
「ふむ、確かにビーチのビッチゲット大作戦だ。」
「うそ。」
比企谷君、ごめんね。
わたしは全部わかってるから。
あの本見ちゃったし、それに君の考えそうなことも。
この場合さ、確実な証拠も無い状態で、仮にわたし達の証言であの子達を先生方が問い詰めたら、
あの子達は甘草塚君のことを逆恨みするからね。
証拠があれば言い逃れできないから観念するかもだけど。
林間学校中はわたしたちの目が届いても、学校に戻ったら間違いなくいじめられるよね。
比企谷君だったらそんなことになるのわかってるから、絶対こうすると思った。
わたし知ってるんだ。
君は誰にでも優しいってこと。
だから今回も絶対放っておかない。
そう、誰にでも優しいんだよ。
文化祭の時も修学旅行の時も、それにわたしの時も。
だからわたしは、わたしはそんなあなたが好きだから・・・・・・守りたい。
「惜しかったね、比企谷君。 ちなみに人妻はグラビアだよ。
確か近所の奥様って見出しで、わたしは2番目のショートカットの奥様がいいかなぁって。
先生はどの奥様が好みですか?」
「私は1番目のロングのって、何を言ってんだ君は。
確かに本の内容は間違いない、この本はこの女子が持ってきたようだ。」
「はい、それはわたしの本です。」
「君はこんな如何わしい本を見ていいと思ってるのかね。」
「すみません。
林間学校来る前に家の掃除してた時にその本を見つけてしまって。
え、男の人ってこんなの読んでるのって思ってつい。
あの、先生方もこんな本読むんですか?」
「あ、い、いや、読むはずがないじゃないか。 ね、ねぇ。」
「そ、そうだ。」
「よかった。
もしかして男の人ってみんなこんなの読んでるのかと思って幻滅しちゃってました。
あ、それでとうちゃんが急に帰ってきたから、慌ててバッグに入れちゃって、
そのまま持ってきちゃいました。
そしたらどこかで落としたらしく、本当にお騒がせしてすみませんでした。」
「そ、そうなのか。」
「まぁ、女子がこんな本持ってるわけもないか。」
「君駄目だよ、気を付けないと。」
はぁ、よかった。
何とか収まりそうだ。
げ、平塚先生、思いっきり睨んでる。
で、でも平塚先生ならわかってくれるよね。
「今一度聞く。
三ヶ木、これはお前の本で間違いないのだな。」
「はい、平塚先生。わたしので間違いないです。
ご迷惑をお掛けいたしすみません。」
「そうか。」
「いや、違うって平塚先生それは 」
”ペコ”
「先生方、わが校の生徒が大変ご迷惑をお掛けいたしました。
本当に申し訳ない。
三ヶ木美佳! 林間学校にこんな如何わしい本を持ってきたこと、
またそれにより小学生に多大な悪影響を与えたこと。
これを見逃すわけにはいかない。
したがって、只今より謹慎を命ずる。
今日はこの教員控室から一歩も出ず、反省文を提出するように。
先生方、学校へ戻り次第、この生徒の親を交えて話し合いを行います。
林間学校の間はここで謹慎処分としますので、
後はわたしに任せていただけないでしょうか。」
「ま、まぁ、平塚先生がそこまで言うのなら。
それに、この子も意図してもってきたのではなさそうだし。
わかりました、あとはしっかり頼みますよ。
二度とこんなことがない様に。」
「はい、申し訳ありません。」
・
・
・
「三ヶ木、なんでお前。」
「ごめんなさい。
だって、男の比企谷君じゃ、洒落ならないじゃん。
それこそ謹慎なんかですまないよ。」
「お前、わかってたのか俺のすること。」
「わかるよ、ずっと比企谷君を見てきたんだよ。」
「だけどお前、俺はこんなこと望んでない。」
「わたしが望んだんだ。」
「お前、 」
「あ、それよりさ、ごめんお願いがあるんだ。
この後のフォローお願いできないかなぁ。
ほら、わたし謹慎の身だから。」
「フォロー?・・・ああわかった。
あいつらには俺から話する。」
「うん、じゃあ。」
「三ヶ木、俺はいま素直にお前に感謝できない、すまん。」
「いいよ感謝されることしてないもん。
これはわたしがわたしの為にやりたくてやったこと。
やりたいと思ってやらないことのほうがすごく後悔するよ。
・・・・・・・・もう、文化祭の時のようなの嫌なんだ。」
「だ、だが。」
「へへへ、これがわたしなんだ。 じゃ、後よろしく!」
「お、おう。」
”ガラガラ”
あ~あ、行っちゃった。
ちょっと怒らせちゃったかなぁ。
で、でもさ、嫌なんだ、もう比企谷君が傷つくの見たくない。
だから、君に嫌われたとしても、今わたし少し幸せなの。
ごめんね、勝手なことしちゃって。
”トントン”
「はっ!」
「もういいかね三ヶ木。
まったくなんて馬鹿なことをしてくれたんだ。」
「う、すみません先生。」
「はぁ~ うちの学校には問題児が二人いたのを忘れてた。
まったく、お前は比企谷と同じだな。そんなやり方しかできないのかね。」
「先生、わたしと比企谷君は違うよ。 全然似てない。」
「ん? わたしには全くそっくりにしか見えないが。」
「違うよ。 比企谷君はみんなに優しいんだ。
頼ってくる人は誰かれ構わず放っておけない。
まったく、何の関係もなかった人にも自分を犠牲にして。
わたしは違う。
わたしはわたしの大切なもののためにしか動かない。」
「それからいうと比企谷は君にとって大切なものということか。」
「うん、とっても大切な・・・・・・
だ、だからさ、前にも言ったでしょ、わたしは汚いって。」
「まったく君は。
三ヶ木、筆記用具持ってきてやるが、他に必要なものはないか?」
「必要なものはないです。
ただ、先生、とうちゃんに言うのだけは勘弁して貰えませんか?
お願いします。」
「三ヶ木、だめだな。 小学校の先生方と約束したんでな。」
「先生。」
「あきらめろ。 君は、君達はか。
自分を簡単に傷つけて、そんな君達をみて誰も悲しむ人がいないと思っているのかね。
それをわからせるために、このことはお父さんに話しさせてもらう。」
「先生、お願いやめて。」
「それでな、最後にこういうつもりだ。
あなたのお嬢さんは私の自慢の生徒ですってな。」
最後まで辛抱いただきありがたいです。
いよいよ次話は林間学校最終編。
今回ちょっとずれが生じた八幡とオリヒロ、修復できるかなぁ。
あ、会長との間も。
すみません。
また見に来ていただけたらありがたいです。