似て非なるもの   作:裏方さん

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見に来ていただいてありがとうございます。

更新遅くなりすみません。
(次週、試験なので、また遅くなるかもです。)

夏物語 夏まっさかり編 最終話です。

またしても(特に後半)セリフばかりですみません。
大変読みにくいとは思いますが、最後までお付き合いいただけたら
ありがたいです。

また、今回、めちゃ長くなってしまい申し訳ありません。
2話に分けようかと思ったのですが・・・・

ご辛抱いただけたらありがたいです。
ではよろしくお願いいたします。


夏まっさかり -花火大会 後編-

「ただいま。」

 

「おかえり美佳。 海楽しかったか?」

 

「うん、楽しかったよ。

 

 とうちゃん今日早かったんだ。

 

 良かった、一緒にご飯食べれるね。

 

 いま作るからちょっと待ってて。」

 

「おう。 

 

 あ、そうだ、ちょっと前になんといったかなぁ~

 

 藤なんとかさんって、ほら同じように眼鏡しててもお前と違ってかわいい娘。

 

 そのお前と違ってかわいい娘がこれ持ってきたぞ。」

 

「おい、実の娘のことをそこまで貶めたいのか、まぁほんとだからいいけど。

 

 で、なんか言ってた?」

 

「まだ帰ってないって言ったら、メモ書いてったぞ。

 

 あ、これも渡してくれって。」

 

「え、USB?

 

 ありがと。 ちょっと荷物置いてくる。」

 

”スー”

 

書記ちゃん来てたのか。

あっぶなかった。

あんなとこ見られてたら大変だったよ。

あ、そんなことより、書記ちゃん、なんの用事だったんだろうね。

えっと、メモメモっと

 

”ペラ”

 

『三ヶ木先輩、こんにちは。

 会いたかったんですけど、お留守なのでメモ書きますね。

 

 このUSBには、生徒会の記録を保存しています。

 わたし、林間学校の写真整理しながらこれ見てて思ったんです。

 生徒会には三ヶ木先輩が必要だって。

 

 あの、わたしもう一度、いろはちゃんと話をするつもりです。

 えっとうまく話せるかわからないけど。

 でもわたしは、

 

 ”生徒会、みんな一緒がいいです。”

 

 また、連絡しますね。

                         藤沢 』

 

書記ちゃん、ありがと。

無くしてみてほんとにわかった。

そこがわたしにとって、何にも代えられない特別な場所だったんだって。

わたしも、わたしもみんなと一緒にいたい。

・・・・・・・もどりたい、あの場所に。

 

     ・

     ・

     ・

 

「お兄ちゃんいるの~、ご飯だよ。」

 

”ガチャ”

 

「えっ、どうしたの? 電気もつけないで。」

 

「あ、ああ、ちょっとな。」

 

”どっか”

 

「ふ~ん。

 

 そんで、なにがあったのお兄ちゃん。 小町に話てみそ。」

 

「あ、い、いやなんでもない。」

 

「お兄ちゃん。」

 

「小町・・・・・笑うなよ、絶対だぞ。

 

 あのな、人を好きになるってどういうことなんだろう。」

 

「げ、あっはははは、なに言ってんだこの人。

 

 なにいきなりその質問。」

 

「お、おい、笑うなって言っただろ。」

 

「ごめんなさい。

 

 だ、だってお兄ちゃんがマジな顔で言うから。

 

 あ、今日、何かあったんだね。」

 

「いや、何もない。 

 

 ちょっと小説読んでてだな。」

 

「小説? まぁいいけど。

 

 ね、お兄ちゃん、人を嫌いになるには理由があると思うんだ。

 

 信用できないとか、軽蔑したりとか、危害を加えられたとか。

 

 あ、それとややこしいとか、屁理屈ばっかり言うとか、面倒くさいとか、ロリコンとか。

 

 それとマッ缶ばっかり飲んでるとか。」

 

「おい、最後のほう、全部俺じゃないか。

 

 そ、そっか、俺は小町に嫌われてるのか・・・・お兄ちゃん辛い、もう立ち直れない。」

 

「い、いや冗談だから。

 

 これだけ長く一緒に過ごしてるんだもん、小町はそれほど嫌いじゃないよ。

 

 でもねお兄ちゃん、人を好きになるのに理由はいらないんだよ。

 

 必要なのは理由じゃなくて、その人とずっと一緒にいたいって、

 

 ずっと会っていたいって気持ちだよ。

 

 それでね、その人と二人で一緒に歩んでいきたいって思ったら、それにはもう好きって

 

 ことだよお兄ちゃん。

 

 そんな人、なかなか出会えないよ。」

 

「小町、お前すごいな。

 

 はっ! 小町まさか、だ、誰かそんな奴いるのか。

 

 教えろ、教えるんだ!

 

 お兄ちゃんが今すぐ抹殺してやる。」

 

「あー、そこはうまくいくよう見守ってやるとかでしょ、この馬鹿兄は。

 

 まぁ、雑誌の恋愛相談コーナーにそう書いてあった。」

 

「そ、そうか。」

 

「お兄ちゃん、自分の気持ちに正直が一番。

 

 好きと思ったら好きなんだよ。

 

 これはBy小町だよ。」

 

「お前の簡単だな。」

 

「それでいいだよ、お兄ちゃん。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ゴクゴク”

 

ふ~、やっぱりお風呂あがりの牛乳は最高だね。

どれどれ、鏡、鏡っと。

へへ、毎日成長してるね、うんうん。

目標、結衣ちゃん!

なんてね。絶対無理だ。 

あ、でもほ、ほらギュって寄せたら。

お、おう。

・・・・・わたし何やってんだろ。

 

さてっ馬鹿やってないで、勉強する前に書記ちゃんのUSB、見せてもらおっと。

うんしょっと

 

”カチカチ”

 

うわ、懐かしい。

これクリパの時の写真。

生徒会の初めての大きなイベントだったよね。

なんかみんな初々しい。

あっ、ほ、ほら見てみ、ちゃんとわたし受付してたの映ってるじゃん。

あのバカ、いなかったって。

ほら、このかわいいトナカイさんが、わ・た・し。

ちゃんと気が付けってんだ、わたしずっと見つめてたのに。

 

”カチ”

 

これは、んっと、あっマラソン大会の後の表彰式だ。

わたしは救護テントにいたから映ってないや。

あっ、ここ。

ほら、この後ろのほう横切ってるの比企谷君だ。

へへ、この後、文化祭の時以来、やっと話できたんだ。

でもさ、あのバカ、完璧にわたしのこと忘れていやがって。

あんだけ文化祭でラブラブだったのに。

え、ラブラブじゃないって、だって一緒に椅子とか運んだんだもん。

あん時からわたしは・・・・・

 

まぁまぁ、わたしも髪切って眼鏡かけたからね。

だって、あいつが海老名さんみたいなのタイプだと思ったから。

・・・・・仕方ない、許してあげる。

 

”カチ”

 

あ、これフリペの時のだ。

みんなで出来上がったの印刷所に取りに行ったんだよね。

その時の写真だ。

あ、あのバカ拗ねてる。

そうだ、コラムのペンネームめっちゃ嫌がってたもんな。

えへへ、でも君は絶対M男だよ。 ぐふふ。

 

”カチ”

 

えっとこれはバレンタインのだ。

へぇ~、みんな楽しそうだね。

ここにはわたしいないや。

でもね、ポスター貼ってる時、試作のチョコ持ってきてくれたんだ。

わざわざ、落ち込んでるわたしを探してくれて。

へんなとこ気が利くんだ・・・・・うううん違う、優しいんだよあいつ。

そう誰にでも。

 

”カチ”

 

あ、これみんなでスキー教室のお土産、食べてるとこだ。

思い出した、痛かったなぁ~ほっぺ。

あのジャリっ娘め、思いっきり引っ叩いて。

・・・でもうれしかった、なんか急にジャリっ娘のことが身近に感じられて。

 

はっ、そうだ、あいつ絶対見たよね。

湯気がなんかとか言ってたけど、絶対見た。

くそ~、あのスケベにわたしの全てを。

まぁ、まぁ~わたしも見ちゃ・・・・・・・・

ばか~

 

”カチ”

 

卒業生を送る会か、あ、書記ちゃんばっかし。

だれ、だれこれ撮ってるの。

・・・・本牧、ちゃんと仕事してたんだろうな。

あ、このステージの横、あいつ何してたんだこんなとこで。

うん? 何か笑ってる。

おい、それわたしのドアップが映ってるとこじゃん。

お前、笑いすぎだろうが。

ふん。

 

”カチ”

 

送る会の次は、やっぱ卒業式。

あ、めぐねぇ。 えへへ、やっぱかわいいなぁ。

お盆に帰ってくるっていってたね。

あ、そうだ、めぐねぇ、あいつとの仲、勘違いしたままなんだ。

まさか、誕生日の時のあの場面、見られてるとは思ってなかったもん。

なんかいろいろ聞かれそう。

陽乃さんとの飲み会、やめようかなぁ。

 

”カチ”

 

げ、何でこんな写真まで。

これ生徒総会の時の写真じゃん。

稲村君とふたりで頬に真っ赤な紅葉つけてる。

 

この時あいつに家に送ってもらって・・・

あ、あいつにパンツ部屋干ししてるの見られたんだ。

うへぇ~恥ずかしい。

ん、ちょっと待てよ。

 

”ガサガサ”

 

やっぱりない、ない。・・・・・おい! パンツ返せー。

くそ、お気に入りだったのに。

 

”カチ”

 

あ、これ新聞載ったやつだ。

クレープ売り上げ勝負か、やっぱ完全体の奉仕部には勝てないや。

くそ、あいつ何で鼻の下伸ばしてんだ。

まぁ、会長可愛いもんね。 

反対側はゆきのんと結衣ちゃんだし。

わたしも横に座りたかったなぁ。

 

”カチ”

 

林間学校。

これ千葉村に着いたときに撮ったんだよね。

うわぁ、稲村君もわたしも顔色悪~

 

・・・・・この時は、こんなことになるなんて思ってなかった。

やり直したいなぁ、この時に戻って。

そしたら、そしたらわたし蛍なんて川辺なんて絶対行かないのに。

あいつにあんなこと言わないのに。

そしたら、そしたらこんなことに。

 

 

あれ、おかしいな、こ、これ生徒会の記録なのに。

比企谷君のことばかり思い出しちゃうよ。

こんなにたくさんの時間、過ごせていたんだ。

いっぱいいっぱい思い出ありがと、比企谷君。

それと、今日はごめんね。

一緒に映画にいく約束だったのに。

 

あのね、わたしね、わたし・・・・・もう決めたんだ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”スー”

 

「お~い、美佳、まだ起きてるのか?

 

 ん、なんだパソコン見ながら寝ちまったのか。

 

 どれ、うんしょっと。

 

 お~、結構重たくなったなこいつ。」

 

”どさ”

 

「ん、なんだこいつ泣いてたのか。」

 

「・・・がや君。」

 

「がや君? 確かテニス小僧って刈宿とか言ったんじゃねぇのか?」

 

「・・・めんね。」

 

「・・・・・まぁ、いろいろあるんだよな。

 

 ほら、風邪引くなよ。」

 

”バサ”

 

「おやすみ、美佳。

 

 いつもありがとうな。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カタ”

 

「・・・・・よかった、まだ有った。」

 

”ゴクゴクゴク”

 

「ふ~、もう朝か。」

 

”ゴクゴクゴク”

 

「あれから何回も計算してしつくして、出した答えを消去して、やっぱりこれしか残らない。

 

 ・・・・・・・俺は、三ヶ木美佳が好きらしい。

 

 これが解なんだ。

 

 だったら、俺が選択できる答えは限られている。

 

 その中で最適な答えを選べばいいんだ。

 

 そしてそれは決まっている。」

 

”ゴクゴク”

 

「なんかこのマッ缶、苦くないか。 

 

 それとも、もうこの甘さに慣れちまったか。

 

 ふぅ~、さて寝る前に。」

 

”カチカチ”

 

「はい、もしもし。」

 

「あ、すまない、まだ寝てたか?」

 

「うううん、いまランニング中だよ。」

 

「ランニング?」

 

「うん、体なまらないように朝のランニング。

 

 で、どうしたの?」

 

「あ、ああ、ちょっと頼みがあるんだ。」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ご馳走さん。」

 

「お粗末様でした。 あ、洗濯干すの終わったら一緒に洗うから流しに浸けといてね。」

 

「ああ。

 

 な、なぁ美佳。」

 

「うん?」

 

「お前何か悩み事あるのか? 」

 

「悩み事?」

 

「あ、ほ、ほら、例えば、れ、れ、恋愛事とかな。」

 

「え、あ・・・・でもいいよ。」

 

「こう見えてもとうちゃんは学生の頃はモテモテだったんだぞ。

 

 だから悩み事があったら。」

 

「チ、チ、チ、うそだね。

 

 かあちゃんに聞いたことあるもん。

 

 文化祭かなんかのダンスパーティでさ、とうちゃんずっと踊ってもらえる相手いなくてさ。

 

 一人で体育館の隅っこにいたって。」

 

「あ、いや、そ、それはだな。」

 

「そんで可愛そうだから、同じ学級委員のよしみでかあちゃんが声かけてあげたって。」

 

「いや、そ、そ、そうだけど。」

 

「へへ、ありがとねとうちゃん、でも大丈夫だよ自分でなんとかできる。」

 

「そ、そうか。 でもちゃんと相談しろよ。」

 

「うん。 あ、そ、それよりとうちゃん時間。」

 

「え? あ、やば! じゃあな、行ってくる。」

 

”ガチャ”

 

「うん、行ってらっしゃい。 今日も早く帰ってきてね。」

 

「おう。」

 

”タッタッタッ”

 

へへ、とうちゃんありがと。

知ってる? その話って続きがあるんだよ。

 

かあちゃんはずっととうちゃんが好きだったんだって。

だからとうちゃんが学級委員になったとき、かあちゃんも学級委員に立候補したんだって。

でもなかなかとうちゃんとの仲、進展できなくて。

だから最後の文化祭のダンスパーティで、かあちゃん勇気振り絞って

とうちゃんを誘ったんだって。

でもこれかあちゃんと美佳の秘密の約束だから教えてあげないよ~。

 

さてと、さっさと洗濯物干しちゃってさ、今日は買い物行かなくちゃ。

お弁当作ったら、冷蔵庫空っぽだよって、え?

・・・・・・お弁当

こ、これって、お弁当だよね。

 

”ガチャ”

 

「とうちゃ~ん、待って、お弁当、お弁当忘れてるって!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はいよ、美佳ちゃん牛肩ロース300g、700円だ、負けとくよ。」

 

「おじちゃん、おじちゃんてよく見たら、ほら大河ドラマ出てたあの人、

 

 各々方、抜かりなくって人、あの人にそっくりだね。」

 

「え? そ、そうかい。」

 

「やっぱカッコいいっと思ってたんだ。 ね、モテるんでしょ。」

 

「そ、そりゃな、若い時はこの商店街で一番モテたからな。

 

 よ、よし、ちょっとおまけしちゃおうかな~」

 

「やった!」

 

「美佳ちゃんには負けるよ、ほら600円でいいよ。」

 

「ありがと、おじちゃん。 おじちゃん大好き。」

 

「お、おう。 内のには内緒だぞ。」

 

「あんた、何が内緒だって!」

 

「あ、おじちゃん、おばちゃんまたね~」

 

「あんたちょっと来な。 あ、美佳ちゃんまたおいでね。」

 

「うん。」

 

へへ、やった。 今日も負けてもらった。

あ、でもおじちゃん大丈夫かなぁ。

ごめんね、おじちゃん。

今度、肩でも揉んであげるね。

 

「三ヶ木、お前すげぇな。」

 

「へ? あ、い、稲村君。 見てたの?」

 

「ああ。バッチリ。」

 

「だ、だってさ、我が家の家計を預かる身としては、これぐらいしないと厳しいんだよ。

 

 そ、それよりどうしたの? 

 

 稲村君の家この近くだったけ?」

 

「あ、い、いやちょ、ちょっと買い物にな。」

 

「あ~、もしかして舞ちゃんへのプレゼント? 

 

 いや~この色男。 憎いね~」

 

「馬鹿、違う。 絶対違うからな。」

 

「そ、そんなムキにならなくても。 冗談だから冗談。」

 

「まったく、俺の気持ち知ってるだろうが。

 

 ほら、これ買ってきたんだ。」

 

「へ? あ、紅茶。」

 

「お前に聞いてた店に行ってきたんだ。

 

 銘柄ってこれでよかったんだろ。」

 

「どれどれ何買ってきたんだ?

 

 えっとダージリンだね、これでいいよ。

 

 そっか、稲村君が紅茶淹れることになったんだね。

 

 ・・・・・・あ、あのさ、頑張ってね。」

 

紅茶、稲村君が淹れるんだ。

そっか、文化祭に向けて生徒会も動き始めるんだ。

それなのにわたしはそこには行けない。

どんどん、あの場所が遠くなっていく気がする。

わたし、もう必要ないのか。

 

「・・・・・な、なぁ三ヶ木、あんな、今度紅茶の淹れ方教えてくれないか?」

 

「え?」

 

「やっぱりうまく淹れられないんだ、お前みたいに。

 

 だから、今度生徒会室に教えに来てくれ。」

 

「で、でもわたしもう生徒会じゃ。」

 

「総武高の生徒までやめたわけじゃないんだろ。

 

 だったら生徒会室、来ても全然問題ないよな。」

 

「稲村君。」

 

「それに会長の選挙の時の公約だろ、開かれた生徒会にするって。

 

 だから生徒が生徒会室に来ても文句はないはずだ。

 

 ということで、三ヶ木頼むわ。」

 

「う、うん。

 

 仕方ないな~、そこまで言われたら教えてあげてもいいよ。

 

 か、感謝しなさいよ、そ、それと厳しいからね。

 

 ・・・・・・・・・・・・・あとね、あのね、ありがと稲村君。」

 

”ペコ”

 

「あ、ああ、お前いないとさみしいからな。

 

 それと来週から文化祭実行委員会の準備あるんだけど、

 

 俺、お前の分までやらされるから大変なんだ。

 

 手伝ってくれ。」

 

「う、うん。

 

 でも表立ってはできないよ。

 

 裏で稲村君を手伝うぐらいだよ。」

 

「ああ、頼むな。」

 

ありがと、稲村君。

うれしい、少しでも必要とされたらそれだけで。

よ、よし、裏の汚い仕事はわたしが引き受けるよ。

任せなさい。

こういうこともあろうかと、三ヶ木レポートはいつも更新してるからね。

やっぱりそういうのはわたしのお仕事。

 

「あ、だけど変なことすんなよ。

 

 裏といってもコピーとかだからな!

 

 絶対三ヶ木レポートとかいうの使うようなことはするなよ。」

 

「う、は、はい。」

 

ち、くそ、読まれてた。

折角逐次更新してるのに。

えっと、あ、そうだ、そんなことより。

 

「あのね去年の文実ね、各クラスの実行委員の提出が遅くて大変だったんだ。」

 

「そ、そうなのか?」

 

「うん、だからほんとはねめぐね・・・城廻先輩は、ゆきの・・・雪ノ下さんに

 

 実行委員長やってほしかったようだけど、事前調整できなくてね。

 

 結局、さがみん・・・相模さんに。」

 

「面倒くさいから、俺との会話はめぐねぇとゆきのんとかでいいぞ、それでわかるから。 

 

 去年、なんか文実ごたごたして大変だったんだってな。」

 

「うん、だから今年はね、なるべく早く学級の実行委員提出してもらって、

 

 誰にやってもらうか事前に会長と調整したいなって思ってたの。

 

 あっ!」

 

「ん、どうした?」

 

「今年の実行委員長どうすんだろうね?」

 

「え、いや、いま事前に調整とか言ってなかったっけ?」

 

「あ、いや、ほら今年の生徒会会長は2年生だから。」

 

「あっ!」

 

「やるかなぁ。」

 

「やらないだろ。 生徒会だって文実のフォローとか大変だろ。」

 

「うん、でもほら割と目立つの好きだから。

 

 それに人気投票の件もあるし。」

 

「・・・・そうだな。」

 

”ブ~、ブ~”

 

「あ、わたしだ。 えっと誰から? あ、」

 

”ブ~、ブ~”

 

「三ヶ木、出ないのか?」

 

「・・・・・」

 

「あ、俺あっち行ってるわ。」

 

”スタスタスタ”

 

「ごめんね。 あの、もしもし?」

 

「あ、俺だが。」

 

「あ、うん。 どうしたの比企谷君。

 

 あ、昨日はごめんね。」

 

「いや、昨日のことはいい。

 

 それよりな、あのな、明日デートしないか。」

 

「デート・・・・・・・ん? えー、デ、デート!」

 

な、なんで、どうして、え、な、なに、ウソ、え、だって。

え、明日地球終わっちゃうの?

は、お、落ち着け。

”スー、ハー、スー、ハー”

き、聞き間違いでないよね。

 

「どうなんだ。」

 

「あ、う、うん、いいよ。 する、する、デートする。

 

 よ、よろしくお願いいたします。」

 

「そうか。 じゃあ明日十時に千葉駅な。」

 

「うん♡」

 

なんで、どうして、デートって比企谷君、なんで?

だって今まで一度もデートって誘われたことないのに。

一緒に出掛けるのだって理由付けるの大変だったのに。

なんでだろう。

 

・・・・・何かある、なんだ、なんだ。

 

     ・

 

・・・・・そっか。

 

わかった。

明後日、花火大会だからか。

でもさ、それってさちょっと辛いよ。

 

・・・・・・でも、いい。

だって初めて比企谷君がデートしようって誘ってくれたんだもん。

うん、明日、わたし思いっきり楽しむね。

 

「もういいか? 三ヶ木。」

 

「え、あ、ご、ごめん。 

 

 なんかちょっと考えゴトしちゃって。

 

 お待たせ稲村君。」

 

「なんかあったのか? なんかすごく考え込んでたじゃないか。」

 

「うううん、なんもない。 大丈夫だよ。」

 

「そ、そうか。」

 

「うん。」

 

「なぁ、買い物途中なんだろ。

 

 俺、荷物持ってやるよ。」

 

「あ、ありがと稲村君。」

 

「じゃ行くか。」

 

「うん。 よし今日は荷物気にしなくていいからいっぱい買うぞ!」

 

「お、おい。」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

どうかな、ノースリーブにホットパンツって、ちょっと肌見せ過ぎかなぁ。

でもさ、夏だからいいよね。

見よ、この美脚を! な~んちゃって。

へへ、比企谷君の反応楽しみだ。

も、もう来るかなぁ。

 

     ・

 

ん~と、今日どこ連れて行ってくれるんだろう。

比企谷君と行くのなら、どこでもいいんだけど。

なんなら東京わんにゃんショーでもいい。

へへ、はやく来ないかなぁ~

比企谷君や~い。

 

     ・

     ・

     ・

 

「これだけ遅れていけば、あいつでも怒るだろうな。

 

 なんなら怒って帰ってくれるとありがたい。」

 

”スタスタスタ”

 

「ん、やっぱりいないか。

 

 そりゃそうだ。1時間も黙って遅れたんだ、普通怒って帰るか。

 

 よかった、これで 」

 

「比企谷く~ん、ご、ごめん。」

 

”タッタッタッ”

 

「え?」

 

「はぁ、はぁ、ご、ごめん。

 

 ま、迷子の子がいてね、一緒にお母さん探してたら遅くなっちゃって。

 

 ごめんね。」

 

「あ、い、いや、お、俺も今来たところだ。」

 

「うそ!」

 

「おい、うそって。」

 

「だって比企谷君が今来たとこって、いつもだったらスゲ~待ったとかいうのに。」

 

「いや、本当に今来たとこだから。」

 

「ありがと。」

 

「だから・・・・まあいいいか、じゃ行くか。」

 

「うん。」

 

”ぎゅ”

 

「え あ、あれ? 

 

 腕離してくれない? すごく歩き難いんだが。」

 

「だめ。

 

 比企谷君がデートしようって言ったんだから。

 

 これは義務。」

 

「・・・・」

 

よかった。

ほんとに来てくれたんだ。

待ってる間、ずっと不安だったんだ。

だからついうろうろとしちゃって。

よ、よし、今日は楽しむぞ。

あ、でもその前にさ。

 

「あ、あのさ、明日の花火大会だけど、どこで待ち合わせする?

 

 やっぱり千葉駅?」

 

「現地でいいんじゃねえか。 日本庭園側の入り口でどうだ。」

 

「うん、了解。」

 

よし、先行って場所取りしておこ。

トイレ・・・・・遠くないとこがいいかなぁ。

明日なんか来なければいいのに。

できればずっとこのままで。

 

「なぁ、やっぱ歩き難いんだが。」

 

”バッ”

 

「あっ」

 

「ほら行くぞ。」

 

”スタスタスタ”

 

「ちょ、ちょっと待ってよ比企谷君。

 

 義務だからね、義務!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ね、どこいくの?」

 

「あ、腹減ったから、メシ行くぞ。

 

 ほら、あそこだ。」

 

「え、比企谷君、ここって。」

 

「なんだ、文句あるのか? 文句あるのなら 」

 

「へへ、一度行きたかったんだ、吉野家。」

 

「え、う、そ、そっか。 こ、ここでい、いいんだな」

 

「うん。

 

 だって、牛丼つゆだく? なんか美味しそうじゃん。

 

 行こ行こ、お肉お肉♬」

 

「・・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

 

「う~、お腹いっぱい。

 

 こんだけ満足してあのお値段。 ふふふ、余は満足じゃ~。

 

 今度は頭の大盛り? 比企谷君の言ってたので注文してみようっと。」

 

「す、すまん、ちょっとトイレ。」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、うん。」

 

はぁ~美味しかった。

なんていっても席が横並びだったから、なんかいつもより近く感じて。

それにあれだけガツガツ食べてくれるのっていいなぁ。

また料理食べてほしくなっちゃった。

・・・・・・

はぁ~、駄目だ。しっかりしなくちゃ。

今度から一人で来るんだし。

 

     ・

 

「おかしい。 確か戸塚はデートに吉野家は絶対だめって言ってたんだが。」

 

”カシャカシャ”

 

「くそ、つ、次はだな。」

 

      ・

 

”スタスタスタ”

 

「な、あのな、いい加減腕組むのやめない?

 

 ひ、人通りも多くなって来たんだが。」

 

「う~ん、わかった。」

 

”にぎ”

 

「え、いや、あの~三ヶ木さん?」

 

「うん、腕やめて手にした。えへ♡」

 

「うっ・・・・・・お、本屋だ。 ちょっと寄っていくぞ。」

 

「うん。」

 

     ・

 

「え、あ、あの比企谷君、このコーナーって。」

 

「おい、ほら見てみろ三ヶ木、このモデル乳でかい。

 

 いいなぁこの胸、たまらない。 

 

 お前のとは大違いだな。」

 

「ん? どれどれ。」

 

”ぐぃ”

 

「あ、いや、あの三ヶ木さん?

 

 おこら 」

 

「お、おう、確かに。

 

 え? ぷっ、あはははは。

 

 お、お腹痛い。」

 

「え? な、なに? どうした三ヶ木。」

 

「だ、だって、こ、この人、お、男の人だもん。

 

 いわゆるニューハーフ。」

 

「え、そ、そうなのか。 うそ。」

 

「ひー、ひひひひ、比企谷君、たまらないって。

 

 もしかして、そ、そっち系?」 

 

「ば、馬鹿違う。 俺はノーマルだ!

 

 お、おい、そんな目で見るんじゃない。」

 

「あの~、お客様、もう少しお静かに。」

 

「「ご、ごめんなさい。」」

 

     ・

 

あ~苦しかった。

あ、でも比企谷君もやっぱ巨乳が好きなのか。

毎日、頑張って牛乳いっぱい飲んでるんだけど、

なかなか思ったより大きくならないや。

わたしの胸より結衣ちゃんのほうがいいんだろうなぁ~。

 

「す、すまん。 ちょっと。」

 

「え、大丈夫? お腹痛いの?」

 

「あ、いや、大丈夫だ。」

 

”スタスタスタ”

 

「な、なんでだ、あれ間違いなく女性だろ。

 

 く、くそ、つ、次は、あ、そうか、ちょっとハードルが。」

 

     ・

 

「ほんとにお腹大丈夫? 何だったら今日はもう・・・・」

 

「いや、大丈夫だ。 ほら行くぞ。」

 

”スタスタスタ”

 

「う、うん。 あ、待って。」

 

”スカ”

 

「あっ。」

 

「ふふふ、甘い。 もう手は握らせん。」

 

”にぎ”

 

「なら、こっち。」

 

「あっ、お、お前、Tシャツの裾、引っ張るんじゃない。

 

 伸びるだろう。」

 

「じゃ、手。」

 

「ぐ、ほ、ほれ。」

 

 ”にぎ”

 

「ね、次どこ行くの?」

 

「そうだな、お、おい、あそこ行くぞ。

 

 一度いってみたかったんだ。

 

 男だけじゃいけないからな。」

 

「え、でもあそこは。」

 

「いいからいくぞ。」

 

「う、うん。」

 

     ・

 

「うほ~、男と違っていろんなのあるんだな、女の下着って。

 

 おお、これなんてほとんど隠してないだろう。

 

 これって下着の役目果たしてるのか?

 

 なぁ、これお前一度・・・・・・・・・・」

 

「え?」

 

「お、おおおおい、お前なに下着付けてんだ。」

 

「服の上からだからいいじゃん。」

 

「そ、そうだがって、お、おい、パンツまで。」

 

「ど、どう、似合う?」

 

「い、いや、いいと思うぞ。 そのスケスケ感がなんとも。

 

 は、ばか、それは試着室でやれ。」

 

「比企谷君のスケベ~。 えへへへ、ありがと。」

 

”ぬぎぬぎ”

 

「あ、そうだ、ひ・き・た・に・君、わたしのパンツ持っていったよね。」

 

「え? あ゛ー、す、すまん、すぐ返すから。 」

 

「変なシミとかつけてない?」 

 

「い、いや、大丈夫だ・・・・・・多分。」

 

「ふぅ~、まあいいや、あのパンツあげる。

 

 わたしのお気に入りだったんだからね、大事にしてね。

 

 あ、でも絶対、他の人に見せたら嫌だよ。」

 

「あ、いや・・・・・・・・・・・わかった。」

 

「よろしい。 じゃ、これ買ってくるね。」

 

「え、それ買うの?」

 

”スタスタスタ”

 

「お、おかしい。 戸塚への聞き方がおかしかったのか?

 

 いや普通に考えてデートに下着売り場って、絶対ありえないんじゃないのか。

 

 なぜだ、なぜなんだ。

 

 くそ、もう最後しかないじゃないか。

 

 念のため、戸塚にもう一度確認しておくか。」

 

”カシャカシャ”

 

「もしもし」

 

「あ、俺だけど、今どこだ?」

 

「うん、もうちょっとで着くよ。

 

 で、でもどういうことなの八幡。」

 

「後で必ず説明する。

 

 すまんが頼む。」

 

「う、うん。」

 

     ・

 

へへ、買っちゃった。

だって、ドッキリさせてやろうと思ったんだけど、比企谷君、いいっていうから。

・・・・・・・馬鹿だね、買っても見せることなんてないのに。

まぁいいや、記念にとっておこ。

わたしの宝物だ。

 

”スタスタスタ”

 

「お待たせ。」

 

「あれ、買ったのか?」

 

「うん、買ってきた、えへ♡。

 

 ちょ、ちょっと恥ずかしかった。

 

 あ、見たい?」

 

「ば、ばっか。 い、行くぞ。」

 

「あ、う、うん。 行こ♡」

 

     ・

     ・

     ・

 

えっと、今度はどこ行くんだろう。

だって、なんだか繁華街から離れていくような。

そ、それになんかピンクのネオンのホテルが並んでるんだけど。

気、気のせいかなぁ。

 

「ね、ねぇ、比企谷君、ここってさ。」

 

「どうした行くぞ。」

 

「う、うん。」

 

多分ここは近道かなんかなんだ・・・・・おそらく。

 

”きょろきょろ”

 

ん? なんか探してるのかなぁ。

でもここラブホ以外に何もないと思うけど。

 

「何か探してるの? わたしも探すよ」

 

「い、いやいい。」

 

”ブ~、ブ~”

 

「ん、もしもし。」

 

え、誰と電話してんだろう。

いやだなぁ、早くここから出たいなぁ。

だって、さっきからすれ違う人、みんなカップルばっかりなんだもん。

チラチラこっち見ていくし。

 

「おい、三ヶ木。」

 

「あ、は、はい。」

 

「お、おい、ここ入るぞ。」

 

「え?」

 

はぁ? な、なにいってんだ、こいつ。

ば、ばか、ここラブホだぞ、ラブホ。

あ、頭どうかしたんじゃない。

 

「あ、あのね、こ、ここって、ラ、ラブホだよね。」

 

「おう、なんか問題あるか?」

 

「あるあるあるある。

 

 ラブホだよ、何でそう平気でさらっと。

 

 あ、ト、トイレ、トイレだね。

 

 あ~びっくりした。」

 

「違うだろ。

 

 ラブホに入ってやることといったら決まってるだろ。」

 

「・・・・・・・」

 

「ほらいくぞ。」

 

”ぐぃ”

 

うそ。

ほ、本気なの?

だってわたしは明日、あなたに振られんだよ。

それなのに。

違う。 

比企谷君はそんな人じゃない。

じゃ、もしかして振られないの?

付き合ってくれるってことなの。

 

「どうした。」

 

「いいの、比企谷君?」

 

「はぁ? なにがだ。」

 

「わたしでいいの?」

 

「・・・・・・・ああん、なに言ってんだ。

 

 お前、俺のこと好きなんだろ。

 

 だったらいいだろ、付き合うとか関係なくて、や、やらせろよ。」

 

「・・・・・・・」

 

「ははぁ~ん、そっかお前もあれなんだろ。

 

 なんか口先だけで気のあるようなこと言って、本当はそんな気は全然無いんだろ。

 

 好きなんだったら、や、やらせろよ。」

 

「・・・・・・・」

 

「な~んだ、駄目なのか。

 

 やっぱりお前も 」

 

「いいよ。」

 

「え?」

 

「前にも言ったじゃん。

 

 わたし比企谷君がほしいのなら・・・・・・・・・・・・・あげる。 いこ。」

 

”ぐぃ”

 

「え、ちょ、」

 

口先だけじゃないよ。

あの時も、ほんとに覚悟してたんだから。

理性がとか魅力がとかなんだかんだ言ったけど、もしそうなったらいいって覚悟してたんだ。

そうじゃないと、誰もいない家に入れたりしない。

うん、付き合えなくてもいい。

比企谷君が望んでくれるなら。

 

「さぁ、いくよ。

 

 あのさ、わたし決心したから。

 

 でも・・・・やさしくしてね。 は、初めてだから。」

 

「三ヶ木、お前。」

 

「・・・・・こ、これでも恥ずかしいの頑張ってんだから。

 

 早く行こ。」

 

「いや、ちょっと待てって、決心早くない?

 

 お前もう少し自分を大事にしろ。

 

 軽々しく、こんなとこ行くんじゃない。

 

 初めてだったら尚更だろうが。」

 

「え?」

 

「比企谷!てめぇ何してんだ!」

 

”ダ―”

 

「てめぇ、手離せ。 み、美佳さんをどこ連れこもうってしてんだ!」

 

”バッ”

 

「ふっ。」

 

え、刈宿君?

何で君がここにいるの?

ひ、比企谷君もなんか今笑った?

 

「なんだ、あんときの一年坊じゃないか。 お前、何か用か?」

 

「なんか用かじゃねぇ、美佳さんになにやってんだ。」

 

「何やってるって、俺たち今日デートしてるんだ。

 

 なぁ、三ヶ木。」

 

”だき”

 

「ひゃい。」

 

「その二人がラブホに入ってやることっていったら決まってんだろう。」

 

「てめぇ!」

 

「ガキは邪魔すんなよ、折角今からお楽しみだってのによ。」

 

え、なんかよくわからない。

比企谷君、自分から誘っておいたくせに自分を大事にしろって。

それなのに今また違うことを。

なんで?

それになんで刈宿君がこんなラブホ街にいるの?

あ、あれ戸塚君。

ラブホ街に戸塚君と刈宿君が二人でいるって・・・

え、うそ、二人ってそんな関係?

いや、前々からちょっと怪しいなって思ってたんだけど。

んなわけない!

 

戸塚君たちがいるのは偶然じゃなく必然。

そして比企谷君の今日の行動。

そこから導かれることは。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くそ、そういうこと、そういうことかよ。

 

わたしをそんな風に思ってたのかよ。

ひど、ひどいよ。

わたしそんな女じゃない。

 

「ね、ねぇ、比企谷君。」

 

「あ、お、おう。」

 

”バシ!”

 

「ぐっ、いて。」

 

「なんでなの、なんでこんなことするの?

 

 わたし、付きまとわない、そんな嫌な女じゃない。

 

 ちゃんとあきらめて近寄らないようにするもん。」

 

「はぁ? 付きまとう?」

 

「わたし比企谷君に振られるって知ってる、この前聞いちゃったから。

 

 だから今日は、最後に、最後だからいっぱい楽しもうと思ってただけなのに。

 

 こんなことしなくても、わたし大丈夫だよ、もう付きまとわないよ。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・比企谷君のバカ、大嫌い。」

 

”ダ-”

 

「み、三ヶ木、違う、俺はそんな風に思っていない。

 

 俺は、俺はただ・・・・・・・」

 

     ・

 

バカバカバカ。

わたしが比企谷君のこと嫌いになれるわけないじゃん。

無理に決まってんじゃん。

そんなのできれば、できればこんなに苦しい想いなんてしていない。

大丈夫だよ、こんなことして無理に嫌われようとしなくても。

わたしは、わたしはね、ちゃんと受け入れるつもりだったんだよ。

今日の思い出を力にして。

 

「み、美佳さん! 美佳さん待って。」

 

「来ないで。

 

 今、だれとも話したくない、一人になりたいの。

 

 だから、来ないで。

 

 お願い。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ふ~、俺振られたよな。

 

 これでいい、これでいいんだ三ヶ木。

 

 お前が俺なんかに振られるってことは絶対あってはいけないんだ。

 

 お前は俺ごときが振っていい女の子じゃない。

 

 だから振られるのは、お前じゃない。 

 

 それは俺の役目だ。」 

 

”ピタ”

 

「ひゃ! つ、冷た。」

 

「ご苦労様。 はいマッ缶。

 

 そういうことだったの八幡。」

 

「と、戸塚。」

 

「電話の八幡の様子が変だったから何かあったとは思ってたんだ。

 

 そんなこと思ってたんだ。」

 

「はぁ? 何のことだ。」

 

「もういいよ。 今の聞こえてたから。」

 

「・・・・・」

 

「さ、飲もう。

 

 ぼくマッ缶って初めて飲むんだ。」

 

”ゴクゴク”

 

「うわ~あま~い。」

 

「そ、そうか。」

 

「今ならね、八幡がマッ缶が好きな理由、少しだけわかった気がする。

 

 でもね八幡、今のは間違ってる。」 

 

「は? いやなにも間違ってないだろ。」

 

「間違ってる。

 

 八幡、八幡は逃げてるだけだよ。」

 

「い、いや 俺は 」

 

「八幡、ちゃんと付き合えない理由を話して振ってあげるってことも優しさだよ。

 

 そうじゃないと始められないこともあると思うよ。」

 

「・・・・」

 

「八幡。 八幡の想い、ちゃんと三ヶ木さんに話してあげて。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

「あ、お兄ちゃんおかえり。」

 

「・・・・・あ、ああ。」

 

「ん、どうしたん? 何か悪い物拾って食べた?」

 

「おい。

 

 あ、小町、もう寝るから、晩ご飯いらない。」

 

「え? ま、まだ7時前だよ。」

 

「ああ。」

 

     ・

 

「おれは間違ったのか。

 

 いや、間違ってない。これが一番の最適な方法だったんだ。

 

 ほ、本当はもっと早い段階で振られるはずだったんだ。

 

 俺は間違ってない。

 

 に、逃げてなんかない。」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

『わたし比企谷君がほしいのなら・・・・・あげる。 いこ。』

 

「ば、ばっか。 何でお前はそんなに俺なんかのこと。

 

 まったく馬鹿げてるだろう。」

 

『わたし、付きまとわない、そんな嫌な女じゃない。』

 

「あったりまえだ。 お前はそんな奴じゃない。

 

 俺が一番知ってる。

 

 ・・・・・・そんなこと思わせちまったのか俺。

 

 やっぱり俺が間違ってたのか。」

 

『明日の花火大会だけど、どこで待ち合わせする?』

 

「ばかだな、俺。」

 

”ガチャ”

 

     ・

     ・

     ・

 

”トントン”

 

「おはよ~ お兄ちゃん、起きてる? 朝ごはんだよ食べるでしょ。

 

 あのさ、雨すごいね、今日、花火大会中止かなぁ。」

 

”ガチャ”

 

「ん、お、お兄ちゃん?  あれ、どこいったん?」

 

     ・

     ・

     ・ 

 

”ピンポ~ン”

 

「お~い。  誰だこんな早く。」

 

”ガチャ”

 

「お早うございます、お父さん。

 

 朝早くすみません。」

 

「帰れ。」

 

「い、いや、ちょっと待って。」

 

「お前にお父さん呼ばれる筋合いはねえ。」

 

「あ、すみません。

 

 あの、美佳さんお願いできませんか。」

 

「ああ、ちょっと待ってな。」

 

     ・

 

「すまないな、今誰とも会いたくないそうだ。」

 

「お父さん、すみません。 失礼します。」

 

「お、おい。 靴ぐらい脱げ。」

 

「あっ す、すみません。」

 

”トントン”

 

「美佳さん、俺っす。失礼します。」

 

”ぐい”

 

「だめ!」

 

「み、美佳さん、襖開けてください。」

 

「だめ、絶対いや。」

 

「な、なんでですか。

 

 開けますよ。」

 

「だめ、部屋の中パンツ干してあんの。

 

 それにわたしいま、恰好が・・・・・・寝起きだから。」

 

「え、あっ! す、すみません。」

 

「・・・・・なんのよう。」

 

「美佳さん、電話出てくれないから来たっす。

 

 言ったでしょ、電話出てくれなかったら自転車吹っ飛ばしてくるって。

 

 まぁ、いいっす。

 

 はい、これ。」

 

”ストン”

 

「え、これって?」

 

「今日の花火大会の特別有料席のチケットっす。

 

 俺、美佳さんと花火大会行きたくてバイトしてたっす。

 

 一緒に行ってくれませんか?」

 

「え、このためにバイト。

 

 だ、だって今日大雨じゃん。

 

 絶対花火大会、中止だよ。」

 

「じゃあ、こうしましよう。

 

 もし花火大会が中止にならなかったら、俺夕方迎えに来ます。

 

 いいっすね、約束ですよ。

 

 じゃ、俺帰ります。」

 

「え、ちょ、ちょっと。」

 

「あ、お父さん、いきなりすみませんでした。

 

 失礼します。」

 

”ガチャ”

 

「おう。気付けてな。

 

 いや、待てお父さんじゃねえ。」

 

”ガラ”

 

「ちょ、ちょっと待って刈宿君、わたしまだ返事して・・・

 

 あれ?」

 

「もう行っちまったぞ。」

 

「もう、とうちゃん止めてよ。」

 

”ガチャ”

 

「え!」

 

”ザザザー”

 

「あいつ、この大雨の中、自転車を漕いで来たんだよ。

 

 なぁ、美佳、あいつ真剣だぞ。

 

 真剣な想いには、真心で答えなきゃいけない。

 

 わかったな。」

 

「う、うん。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「おお、すごい事故だったんだなぁ。」

 

”スー”

 

「と、とうちゃん。」

 

「え? み、美緒、美緒じゃないか。」

 

”だき”

 

「ぐわ、や、やめろ、ぐ、ぐるし~。

 

 この変態親父、娘に何すんだ!」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ、あ、み 美佳。

 

 お、俺は何を。」

 

「まったく。この馬鹿親父。

 

 で、とうちゃん。 浴衣どうかなぁ。」

 

「おう、すごく似合ってるぞ。

 

 マジで美緒かと思った。

 

 そっか、花火大会いくんだな。」

 

「うん。 もうすこしで着くって電話あった。」

 

「そうか今日で美佳も大人になるのか。」

 

「ならんわ!」

 

”ピンポ~ン”

 

「あ、じゃ、じゃ行ってくるね。

 

 ちゃんとご飯食べてね。

 

 野菜残しちゃだめだよ。」

 

「おう、わかったわかった、早く行ってこい。」

 

”ガチャ”

 

「とうちゃん、行ってきます。」

 

「おう。」

 

「刈宿君、お待たせ。 行こ。」

 

「うっす。

 

 あ、ゆ、浴衣。

 

 美佳さん、浴衣すっごく似合うっす。」

 

「そ、そうかなぁ。

 

 でも刈宿君も似合ってるよ浴衣。」

 

「そ、そうすか。

 

 なんか落ち着かないっす。」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、なんかすごい交通事故あったってニュースで言ってたね。」

 

「そ、そっすね。

 

 あの大雨が原因らしいけど、結構、怪我人出たって言ってたっす。」

 

「やっぱ電車だね。」

 

「うっす。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「うわ、屋台だ。ね、ね、なにする。」

 

「え、美佳先輩テンション高いっす。」

 

「よし、まずは金魚すくいだね。

 

 刈宿君、勝負だ。」

 

「はぁ? いきなり金魚っすか。」

 

     ・

 

「くそーあの出目金、こ、今度こそ。

 

 おじちゃんもう一回。」

 

「あいよ。」

 

     ・

 

”ペロ”

 

「ぐはぁ、まただ。」

 

「美佳さん、追いかけすぎですよ。

 

 おじさん1回お願いします。」

 

「あいよ。」

 

「え~と、こいつだな。」

 

”スパ”

 

「ふぇー、すご、刈宿君。 一発で。」

 

「はい、どうぞ。」

 

「ありがと。 大事に育てるね。」

 

”がさがさ”

 

「ん?」

 

「どうしたの刈宿君?」

 

「あ、いやなんでも。」

 

     ・

 

「はい、美佳さん。リンゴ飴。」

 

「あ、ありがと。

 

 うわ~美味しい、わたしリンゴ飴大好き。

 

 はい、刈宿君ご要望のチョコバナナ。」

 

「うっす。 ありがとっす。」

 

「屋台も人一杯だね。」

 

「そっすね。 行列すごいっす。」

 

「あ、すこしチョコバナナもらっていい?」

 

「え、いいす。どうぞ。」

 

”ぱく”

 

「あ、こっちも美味しい。

 

 はい、刈宿君もどうぞ。」

 

「え、いいっすか。」

 

”ぱく”

 

「どう? おいしい?」

 

「う、うっす、美味しいっす。 いろいろと。」

 

「うん。」

 

”がさがさ”

 

「あっ、やっぱり。」

 

「え、どうしたの?」

 

「あ、なんでもないっす。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「すごいね、刈宿君、射的も得意だったんだ。」

 

「子供のころはずっとほしい景品が取れなくていろいろ研究したっす。」

 

「イレギュラーヘッドのグッズありがとね。」

 

「あ、でもそれバッタもんです。」

 

「いいの、大事にするね。」

 

「うっす。

 

 あ、すみません、ちょっとトイレいいすか。」

 

「うん、ここで待ってるね。」

 

「美佳さん、ナンパ気を付けてくださいっす。」

 

「あはは、大丈夫だよ、わたしなんかに声かける物好きいないって」

 

「そんなことないっす! すぐ戻りますから。」

 

「うん。」

 

”タッタッタッ”

 

     ・

     ・

     ・

 

「あーすっきりした。

 

 さ、さっさと戻らなくちゃ。」

 

「お母ちゃん、あの人変、ずぶぬれだよ。」

 

「し、目を合わせたらだめよ。」

 

「へ、あ、あいつ・・・・・なんで、なにしてるんだ。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「美佳さん、待たせてすみません。」

 

「あ、う、ううん、大丈夫だよ。」

 

「ナンパされませんでした?」

 

「大丈夫だって。」

 

「そろそろ花火始まるっす。」

 

「そだね、じゃ行こ。」

 

「うっす。」

 

     ・

 

「ここっすよ、この席っす。」

 

「ありがと、刈宿君。」

 

”パサ”

 

「へへ、うっす。 さぁ座りましょう美佳さん。」

 

「あ、ハンカチいいの? ありがと。」

 

”ひゅるる~ん、どーん”

 

「ひゃ、」

 

”だき”

 

「びっくりした。

 

 近いから、お、お腹に響くね。 すごい迫力。」

 

「そうっすね。うなじの威力、予想以上っす。」

 

「え? ばか花火見ろ!」

 

「うっす。」

 

「あ、うわー、ほらほら、空いっぱい花火。すごくきれい。」

 

「ほんとっすね。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「・・・・・」

 

「ん、どうかした?

 

 花火、見ないの?」

 

「花火より、美佳さんほうがずっと綺麗っす。」

 

「ば、馬鹿、な、なに言ってるの。

 

 そんなわけないじゃん。 わたしなんか、わたしなんか。」

 

「ほんとっす。 美佳さんすごく綺麗っす。

 

 俺、美佳さんと花火見れてすごく幸せっす。」

 

「大げさだよ、刈宿君。」

 

「み、美佳さん、・・・・・答え聞かせてもらっていいっすか。」

 

「・・・・・」

 

「昨日、なにがあったのか俺まだ理解できてないっす。

 

 でも俺、どんな答えでもしっかり受け止めるっす。

 

 だから、大丈夫っす、美佳さんの気持ち聞かせてください。」

 

「うん。

 

 ・・・・・・・わたしね、昨日、あの後考えた。

 

 あのね、ほんとは今日、この花火大会で比企谷君に振られる予定だったんだ。

 

 だから昨日、ほんとは思いっ切り比企谷君とデート楽しんで、

 

 最後の、最後の楽しい思い出にして。

 

 そして今日できっぱりあきらめようって思ってたの。

 

 だのにさ、折角最後に思いっきり楽しもうと思ったのに、あいつわたしに嫌われようとして。

 

 もう最悪じゃん。

 

 でもわかったの。

 

 あれってね、わたしに付きまとわれたくないとかじゃなくてさ。

 

 わたしが比企谷君に振られる前に、わたしに比企谷君を振らせようとしていたんだって。

 

 だって、そうじゃないと、急にデートしようなんて言うわけないもん。

 

 付きまとわれるのが嫌だったら、花火大会の時にこれ以上付きまとうなって、

 

 迷惑だってはっきり言えばいいだけだもん。」

 

”ぽろぽろ”

 

「ばかだよ、あいつ。

 

 自分が振られれば、わたしが傷つかないとでも思ってるんだよ。

 

 わたしを傷つけないようにって、また自分を傷つけて。

 

 最後までわたしがそんなことに気が付かないと思ったのかって。

 

 まぁ、わかったの今朝方だけどさ。」

 

「・・・」

 

「ごめんね、刈宿君。

 

 振られるってわかってから、これでも一生懸命、比企谷君のこと忘れよ忘れようとしたんだよ。

 

 でも、でも駄目なの。

 

 忘れられないの。

 

 刈宿君と付き合えば、絶対幸せだろうなぁってわかってる。

 

 でも、でもわたし馬鹿だから、やっぱり比企谷君が好きなの。

 

 ご、ごめんなさい。

 

 ううううう、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」

 

「美佳さん。」

 

”だき”

 

「ごめんね、ごめんね刈宿君。ごめんね。」

 

「も、もう謝んなくてもいいですよ。」

 

「だからね、だから刈宿君、こんな気持ちのままで君と付き合えない。

 

 付き合っちゃいけないんだ。

 

 だからわたし決めたの。」

 

「何を決めたんです? 」

 

「うん、わたしは誰とも付き合わない。」

 

「・・・・」

 

「・・・・・刈宿君?」

 

「・・・・・・誰とも付き合わないっすか。」

 

「うん、決めたの。

 

 誰とも付き合わないって。」

 

「・・・・・美佳さん、こっち向いて。」

 

「うん?」

 

”ビシ”

 

「い、いったー

 

 な、なにすんだ。」

 

「デコピンっす。」

 

「い、いやデコピンわかってるけど。

 

 な、なんで?」

 

「美佳さ、美佳先輩、そんなの美佳先輩らしくないですよ。

 

 あいつのこと忘れられないからもう誰とも付き合わない?

 

 俺を振ったから、俺に悪いから誰とも付き合わない?

 

 なんすかそれ。

 

 俺の知ってる美佳先輩はそんな聞き分けのいい人じゃないっす。

 

 俺の知ってる美佳先輩は、正面から行って駄目だったら、どこか隙間探して

 

 その隙間を無理やりこじ開けて、中に入ってしまう人です。

 

 あ、裏口のカギ壊してでも入ってくるような。」

 

「お、おい。わたしのことそんな風に思ってたのか。」

 

「振られたからって、簡単にあきらめるような人じゃないっすよ。

 

 そんなこと言ってるんなら、もう一発デコピンを。」

 

「いや、やめて~ 痛かったんだからほんとに。」

 

「あいつ、日本庭園のとこの入り口で待ってましたよ。美佳先輩が来るの。

 

 忘れられないなら、忘れる必要ないじゃないっすか。

 

 それこそ美佳先輩らしく、どんな手を使ってでも、あいつを振り向かせてみせてください。

 

 それに、本当はあいつも美佳先輩のこと・・・・・」

 

「え、」

 

「と、とにかく、あいつも馬鹿ですよ。

 

 ずぶぬれになって、あれ、朝から待ってたっすよ。

 

 美佳先輩来るの信じて。」

 

「え、う、うそ。」

 

「ほら、あいつが風邪ひかないうちに行ってあげてください。」

 

「か、刈宿君。」

 

”だき”

 

「み、美佳先輩。」

 

「ありがと、刈宿君。」

 

「いいすよ。

 

 言ったでしょ。俺は美佳先輩のことが大好きだって。

 

 だから、俺は振られても美佳先輩が幸せになるのなら、それで大丈夫っす。

 

 それよりもう簡単にあきらめたらダメっすよ。」

 

”ばっ”

 

「さ、急ぐっす。

 

 花火終わっちゃいますよ。

 

 美佳先輩立って。 はい回れ右。」

 

”クル”

 

「ひゃ。」

 

「ほら、早く行った行った。

 

 おれは一人でゆっくり花火見たいんですから。」

 

「刈宿君。」

 

「あ、一つだけお願いっす。

 

 俺、美佳先輩の笑顔大好きっす。

 

 笑顔の美佳先輩を送らせてください。」

 

「うん。 刈宿君、行ってきます ニコ♡」

 

「行ってらっしゃい、美佳先輩。」

 

”タッタッタッ”

 

「ふぅ~。 で、いつまで覗き見してんすか、お二人さん。」

 

「え、」

 

「あ、ご、ごめんなさい。」

 

「いや~偶然だな。」

 

「金魚すくいの時からいましたよね。」

 

「あ、いや~、つい刈宿君達を見かけちゃったから。」

 

「しかし刈宿、お前いい奴だな、俺とアド交換してくれ。」

 

「はぁ? いやっす。

 

 うっさいから、もうあっち行ってください。」

 

「な、そんなこと言わないでさ。

 

 ほれ、これ俺のアド。」

 

”カシャカシャ”

 

「まったく。」

 

「おう、サンキュ。

 

 ん、もう帰るのか?」

 

「この後一人で花火見れるほど、俺強くないっす。

 

 それに明日から新人戦地区大会っすから帰るっす。

 

 お二人でこの席使ってください。 じゃあ 」

 

”ぎゅ”

 

「え?」

 

「さ、稲村先輩、刈宿君、金魚すくいいくよ。」

 

「え?」

 

「さっき刈宿君すごかったじゃん。

 

 わたしにも出目金とって。」

 

「いや、蒔田先輩、もう俺帰りたいっす。

 

 明日試合が。」

 

「さぁ、いくよ。 」

 

     ・

     ・

     ・

 

比企谷君、まだいてくれるかなぁ。

ずぶぬれって馬鹿だよ。

花火大会、夕方じゃん。

そりゃ待ち合わせの時間言ってなかったけど。

ほんと風邪引いちゃうよ。

あ~もう、浴衣って走りにくい。

 

「あ、みーちゃんだ。 

 

 ね、ねぇ、さーちゃん、みーちゃんいたよ。

 

 ほら道路の向こう側。」

 

「え、けーちゃん、待って。 手離したら駄目って。」

 

”ダー”

 

「みーちゃん。」

 

「え? あ、けーちゃん、来たらだめ、危ない!」

 

「きゃっ」

 

”すてん”

 

「けーちゃん!」

 

”ダ―”

 

「けーちゃん立てる? 早く立ち上がって。」

 

「う、うん。」

 

”ブ、ブー”

 

「あ! け、けーちゃん、ごめん。」

 

”とん”

 

「きゃっ、あ、みーちゃん。」

 

ごめん、怪我しなかったかな?

よ、よし。

はっ!

 

”キキキー”

 

う、うそ。 い、いや、いやー。

 

”ドン!!”




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

特に今回、長文ダラダラですみません。

また八幡フアンの方、すみません。
絶対八幡なら、やらせろなんて言いません。
今回、オリヒロに嫌われるため、使わせてもらいました。(ごめんなさい)

次回、夏物語の最終編 夏の終わり編です。

ちょっと更新遅くなると思いますが、また見て頂けたらありがたいです。
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