似て非なるもの 作:裏方さん
すみません、更新、また遅くなりました。
(やばい、だんだん遅くなっていく。)
今回から秋物語編の始まりです。
最初は高校最後の文化祭。
今回も読みにくいと思いますが、最後まで読んでいただけたら
ありがたいです。
ではよろしくお願いします。
文化祭編① 起
”プシュ~”
ま、まだ人乗せるの?
勢いよく開いた電車のドアの向こう側には通勤のおじ様達がいっぱい。
うへ~暑苦しそ~
あ、いや、おじ様達だから暑苦しそ~っていうわけじゃないからね。
自称、おじ様達のアイドル、このわたしがそんなこと思うはずがない・・・・少ししか。
そういえば、印刷所の社長さんとこ、しばらく顔出してないや。
文化祭の件もあるから今度行って来ないと。
”ぎゅ~”
ぐはぁ~、そ、そんなこと考えてる場合じゃない。
もう無理、お、押さないで~
は、今また誰かお尻触ったろ!
「すみません、お客様もう少し中の方にお詰め下さい。」
い、いやもう無理だって。
駅員さん、そんなに押し込むんじゃない。
くそ、し、失敗した。
今日から新学期。
ちょっと混むかもと思って一本早めの電車にしたのに、めっちゃ混んでるじゃんか。
ちゃんと降りられるようにドアの近くにいたのに、いつの間にか連結部の壁のとこまで。
このままじゃ目の前の壁にめり込んじゃうって。
”トン”
え? な、なに後ろから腕が壁に。
さっきの痴漢やろうじゃない?
くそ~顔の横に腕って、腕と壁で囲い込んで逃げられなくするつもりか!
痴漢やろうめ、どんな顔してるのか見てやる。
怖がって振り向かないとでも思っってんだろ。
この野郎!
「いいかげんにし あっ!」
「おう、腕、大丈夫か?」
「後ろにいたの比企谷君だったの。」
「あ、ああ。
なんとかお前を見つけたんでな、やっとここまで移動できたわ。
それよりできるだけ腕と壁でスペース作ったけど、これ以上のスペースの確保は無理だ。
すまんが、後は自分で腕に負担掛からないように気をつけてくれ。」
「う、うん。 ありがと。
あ、でも今日は自転車じゃないの?」
「ん、あ、えっと、そうだ、学校に取りに行くの忘れたんだ。
それで、ほらお前が昨日この電車で行くって言ってたんでな。」
「そうなんだ。
えっと、ありがと。」
「お、おう。」
う~ん、確かにスペース作ってくれてありがたいんだけど・・・・・なんか恥ずかしい。
この距離で後ろにずっと立ってられるのも。
えっと、汗の臭いとか嗅がれていないよね。
あ、そ、そうだ。
「うんしょ、うんしょっと。」
「いやお前何してんの? この狭い中で動かれるときついんだが。」
「まぁまぁ。」
ふふふ、ちょっと我慢しなさい。
”ぐぃぐぃ”
よ、よしあとちょっとで。
「お、おい?」
「じゃ~ん、これでよしっと。
はい、方向転換終了。
へへ、これで壁ドン完成だね。」
「ば、ばっか、なに、言ってんだ。」
「へへ、顔、真っ赤。」
「お、お前もだろ。」
はっ、しまった。
壁ドンなんて言ったら、変に意識しちゃった。
冷静になれば、すぐ目の前に比企谷君の顔が。
顔の距離近すぎてめっちゃやばい。
やばいやばいやばい、もっと恥ずかしくなった。
な、なんか会話して誤魔化さないと。
え~と、え~と。
「あ、あの、改めまして。 おはよ、比企谷君。」
「お、おう、おはようさん。」
「あ、あの、本日はお日柄もよく 」
「は、はぁ?」
”ガタン”
「おわぁっ!」
は、はっ、今の揺れでわたしの顔の横に比企谷君の顔が。
よ、横向いたら比企谷君のほっぺに、チ、チュ~しちゃう。
・・・・・しちゃおうかなあ、朝チュ~。
いいかなぁ~、いいよね、こ、これは事故だから事故。
ほら、あの、ラッキースケベとかいうやつ。
たまたま横向いたらそこに頬があっただけだから。
せ~の。
「す、すまん、三ヶ木大丈夫だったか?」
「は、はっ、はい。 ごめんなさい、もうしません、許してください。」
「はぁ? なに謝ってんだ?」
「あ、いえ・・・・・・・・」
朝から何考えてんだわたし。
頭冷やさないと。
・
は、はは、さっきからこの姿勢のまま。
な、なんとか腕のところは、比企谷君頑張ってお腹引っ込めてくれてるから大丈夫だけど。
比企谷君、”く”の字の姿勢続けてるから結構きつそうだよ、ごめんね。
あと、顔はずっとわたしの横にあるんだ。
やばいよ、わたし緊張してなんか変な汗かいてそう。
も、もうやだ。
比企谷君、お願い息止めて。
はぁ、早く駅に着かないかな。
・・・・・でももう少しだけこのままでいたい気も。
う~ん。
”キキ~”
「おわっ。」
「きゃっ」
”ギュ~”
「大丈夫か? 駅着いたみたいだが、もう少し優しく止まれってんだ。
なぁ三ヶ木。」
”ぽわ~ん”
「お、おい、三ヶ木?」
「えへ、えへえへへ、比企谷君がギュ~て抱き着いてきた。」
「・・・・・・・」
”プシュ~”
「お、おい、ドア開いたぞ、降りるぞ。」
「あ、は、はい。」
でも、こんなに中のほうに押し込まれたから、出れるかなぁ。
ぎゅうぎゅう詰めだもん。
腕とか大丈夫かなぁ。
「すみません、降ります。
ちょっとこいつ酔ったみたいなので開けて下さい。」
え、比企谷君、わたし平気だけど・・・・・はっ、酔った、酔ったんだわたし。
え、えっと、
「う、き、気分悪い、吐きそう!」
・
「なぁ、スゲ~混んでんだな、いつもこうなのか?」
”だきっ”
「お、おい馬鹿、お前何やってんだ、腕離せ! 他の奴らに見られるだろう。」
「いや、ちょっと吐きそうだから。」
「え、ほ、本当に酔ったのか?」
「へへへ、冗談、冗談。
あのね、電車の中で必死で腕庇ってくれたから。
だ・か・ら、ご褒美。」
「い、いらん。 これは褒美じゃない罰だ、罰ゲームだ!」
「ば、罰ゲーム?
うっさい! ほら行くよ。」
「だから、腕離せって。
いや、お願いします、離してください。
他の奴らの視線に耐えらえれるほど、俺メンタル強くないから。
み、三ヶ木さん、ゆるして。」
「だめ!」
・
・
・
「つまり、それが君の答えなんだな。」
「はい。
わたし、少しだけ前を向いてみたいです。
自分がなりたい姿に少しでも近づけるよう頑張ってみたいです。
かあちゃんや美紀に、わたし頑張ってるよってそんな姿を見てもらいたい。」
「そう、そこなんだよ三ヶ木。
亡くなられた方に対して我々ができることは、ずっと思い続けることだけじゃないんだ。
その人の分も今この一瞬を精いっぱい生きる、そしてその人の分も頑張って幸せになる。
それも我々生きているものが亡くなられた方の想いに対する答えなんだ。」
「先生、あのね、わたしはかあちゃんのことも美紀のこともこれからもずっと想っていく。
そんで一生懸命努力して、いつかかあちゃんによく頑張ったねって褒めてもらいたい。
それとね、ずっと美紀の自慢のお姉ちゃんでいたい。」
”なでなで”
「ふふ、教え子の成長ほど、教師冥利に尽きることはない。
成長したな、三ヶ木。
よし、そんな三ヶ木に心ばかりの贈り物をあげよう。」
「え、ほんとですか。」
”ガサガサ”
やった、なに貰えんだろう。
チョコかなぁ、チョコがいいなぁ。
でも先生、机の引き出しの中、もう少し整理しようよ。
あ、それラーメン屋のチラシじゃん。
あと飲み屋の割引き?
あと、なに入ってんのかなぁ~
あ、ほらそこそこ、そこにチョコあった。
「こら三ヶ木、あまり引き出しの中を覗き込むんじゃない。
別にここにはタイムマシーンはないぞ。
お、あった、これだこれ。」
”バサッ”
「え、こ、これ。」
「夏休みの補習授業で使ったプリント集だ。
特別に君のため取って置いたんだ。
来週までに全部やってきたまえ。」
「ら、来週。」
「これから文化祭の準備が本格的になるだろうからな。
それまでに提出したまえ。
あ、それと夏休みの宿題みたいに比企谷に手伝ってもらおうとはするなよ。」
「げ、わかりました?」
「なんだ、君はこの宿題の回答見ていないのかね。
こんなに捻くれた答えを書くのはあいつぐらいしかいないぞ。
至るところであいつの捻くれ感が滲みでている。
例えば、ほれここだ。
この登場人物の心情を述べよってところの回答を読んでみたまえ。」
「あ、はい。えっと。」
不安定な経済環境にあった彼女にとって、ようやく得た安定した収入源である。
これで将来安心だと思った矢先、そんな収入源を何の前触れもなく、
突然失なったことを知った彼女。
いつまでもダンサーで収入を得られるわけでもなく、
ましてやこれからの生活を考えた場合、彼女が絶望で発狂してもおかしくないのである。
専業主夫を志す者としては、このことはまさに身につまされる思いである。
教訓、汝、信じることなかれ。 常に疑うベし。
お、おい、何という内容を。
単に、主人公への怒りとかでいいだろう。
なんだこの教訓って・・・・・・頭いた。
そ、それに、主夫って書いてあるし主夫って。
「・・・・・申し訳ありません。
あいつにはよく言って聞かせて、何とか改心させるよう努力します。」
「いや、宿題は自分でやれ。
努力の方向が違うだろ、努力する方向が。
まったく君たちは。」
・
「失礼しました。」
”ガラガラ”
「はぁ~」
「どうしたいきなりため息か?」
「ひゃっ、あ、稲村君。
うわっびっくりした。 なに? ストーカー?」
「いや違うから。
今から生徒会に行くところだ。
お前も行くんだろう。」
「うん。」
”スタスタスタ”
「なぁ、腕どんな感じだ?」
「あ、うん。 ちょっとまだ痛いかな。」
「そっか、あんまり無理するなよ。
重たい物とか俺が持ってやるからちゃんと言えよ。」
「あ、ありがと。」
「で、どうしたんだ、さっきはため息ついて。」
「え、ああ。
・・・・・あ、あのさ、わたし進学しようと思うの。
それで平塚先生に 」
・
・
・
「そうか、それでそのプリント集か。
ちょっと見せてみろ。」
「ほい。
あのさ、このプリント集を来週までにやらないといけないんだよ。
ひどくない? どうせならチョコのほうがよかったなぁ~」
”パラパラ”
「これ、夏休みの補習でやったプリントだな。」
「稲村君、ちょっと手伝ってくれな 」
「だめだ!
お前、進学することに決めたんだろう、こういうのは自分でやらないと意味がない。
来週までに全部できなくても、やれたところまで提出しろ。」
「ふぁ~い。」
”スタスタスタ“
「・・・・・な、なぁ三ヶ木。
前に言ってたろ、一度俺の行っている塾、見学に来ないかって。」
「え、塾?
そんなこと言ってたっけ? なんかコーヒー奢ってくれるってことは言ってたような。」
「塾のほうは忘れてんのかよ。 まぁ、確かにコーヒー奢るって言ったけどな。
それでどうする?
三ヶ木、進学することに決めたんだろ。
だったら一度見ておいても損ではないと思う。」
「そっか。 うん、そうだね。
わかった、ありがと稲村君。
ちょうど近くに行きたい喫茶店あったんだ。
あのパフェ、すっごく美味しそうだったもん。
んじゃ、パフェよろしくってことで。」
「三ヶ木、あくまでも塾がメインだからな、塾が。
あ、ちょっと待て、パフェじゃない、コーヒーだコーヒー。」
「へへ、ごっつあんです。」
「まったく。
コーヒーだからなコーヒー。 ほら入るぞ。」
”ガラガラ”
「お疲れっす。」
「ご苦労様です。」
「・・・・・」
へ、な、なに、この生徒会室に漂う重い雰囲気。
え、書記ちゃんなに?
あっちあっちって、あっちになにか・・・・・・げっ
”トントントントン”
「稲村先輩、美佳先輩、遅い、遅い、遅い!
お二人で何してたんですか。」
げ、やばい。
頬杖ついて机をトントンって。
これ、会長めっちゃ機嫌悪い時のしぐさじゃん。
ほら、ほっぺめっちゃ膨らませてる。
なにそれ、ちょっとかわいいんだけど。
へへ、ツンツンしたいなぁ。
は、まてよ。
こんな時はいつもなにか面倒を押し付けられるんだ。
えっと、
「ぐすん、会長、わたし早く来たかったんだけど、
稲村君に無理矢理引き留められて、あんなことやこんなことを。」
「はぁ? ば、馬鹿三ヶ木!
か、会長、違う、違うから。
勉強の話してただけだから。」
「夫婦漫才はもういいですから。
役員会始めますよ、さっさと座ってください。」
「は、はい。」
ふ~、何とかごまかせたかなぁ。
へへ、稲村君ごめん。
げ、睨んでる。
「それじゃ、早速役員会を始めますね。
そこの見習いさん、議事進めてください。」
「?」
「見習いさん。」
「は、あ、わたし?」
「見習いって、美佳先輩しかいないじゃないですか。
あっ、生徒会中はちゃんと腕章付けてください。
それは戒めですからね。」
「あ、はいはい。」
戒めか。
この腕章って孫悟空の頭の輪みたいなものだったりして。
会長がお経唱えると締め付けられたりするかも。
なんてね。
これはみんなのやさしさ。
わたしとわたしの居たい場所をつないでくれる大事なもの。
・・・・・で、でも文実の時もつけてないといけないのかなぁ。
早く見習い卒業したい。
・
・
・
「ということで文実委員の提出については、既に一週間前倒しでお願い済みです。
昨年は当日になっても決まってないところがあったので。
それで、委員の名簿上がり次第、事前に委員長の選考をしたいのでお願いします。」
「三ヶ木先輩、やっぱり選考するんですか。」
「うん、やっぱり委員長大事だから。
まぁ形式的には文実で決めることになるんだけど根回しをね。
どうせだれも立候補しないから。
去年は本当は雪ノ下さんにやってほしかったんだけど、事前に調整できなくて。」
そう、あとちょっとだったんだよ、根回しができてればいけたと思うんだよな。
だから今年は候補者選んだら、会長達に説得してもらって。
わたしは裏に回ってあの手この手を駆使して既成路線に。
まずは周りから落としていこうではないか。
ぐふふ、そういうことは任せなさい。
「まぁ、本当はそんな面倒くさいことしたくないんですけど。
会議で無駄な時間掛けるのも嫌ですし。
っというわけで、美佳先輩、候補者の説得よろしくです。」
「げ、わ、わたし?
あ、いやそこは会長が。」
「あ~あ、今日はすごく待たされたなぁ~
いや~まさか30分も机と睨めっこすることになるとは思ってもみませんでした。
待ってるのって結構疲れるもんですね、美佳先輩。 えへ♡」
げ、やっぱり誤魔化せてなかった。
はぁ~、まぁ委員長候補が女子かもしれないもんね。
会長、女子には結構敵いるから。
だって男子の前だとやたらあざといって、女子が結構陰口叩いていたりしてるんだ。
あ、そういえば、以前一人でお弁当食べてたの見たことがあるような。
「それに、会長はど~んと構えていないといけないじゃないですか。
まぁ、なんならそこの稲村先輩使っていいですから。」
「お、俺かよ。 しかもそこのって。」
「・・・・・わかりました。
そ、それじゃ、次は各担当の割り振りですが。」
「会計監査は稲村先輩で決まりですね。
あとは、宣伝広報と有志統制、物品管理、保健衛生、記録雑務か。
面倒なので、どれか担当したのあります?」
「あ、有志統制は任せてくれないか。」
「わたしは記録雑務やります。」
「むぅ~、残りは物品管理と宣伝広報。
それじゃ美佳先輩、物品管理よろしくです。」
「え、物品管理? わたし広報のほうが。
ほら去年もやってたから。」
「え~、だって宣伝広報ってテレビに出てたじゃないですか。
今年もテレビに出るんですよね。」
「あ、はい。 一応、既にテレビ局とは交渉済みです。
詳細は後日ってことになってますけど。」
「えっと、それってやっぱり華やかさが必要じゃないですか~
うん、仕方ないですね。
仕方ないです、ここはわたしが宣伝広報やるしかないですね。
っというわけで、美佳先輩、物品管理お願いします。」
ぐ、た、確かに、わたしが出るよりは会長のほうが。
う~納得してしまう自分がつらい。
物品管理か。
まあそういうのわりと好きだからいいか。
「じゃあ、各部門の担当は、
有志統制は副会長、記録雑務、書記ちゃん、会計監査は稲村先輩。
それで宣伝広報がわたしで。
美佳先輩、物品管理と保健衛生よろしくです。」
「はい。・・・・・・・お、おい増えてる、増えてるって。」
「え、気のせいですよ。」
「いや、気のせいじゃないから。
・・・・まぁ、いいですけど。
でもその代わり、会長、実行委員長のフォローをお願いしますね。
去年の反省なんです、よろしくお願いします。」
”ペコ”
「え、あ、はい、了解です。」
「えっと、あとは人気投票についてですが。
4位までは当日のお昼に貼りだしでよろしかったですね。
あと1位から3位はステージで、プロジェクタ―を使って顔写真投影して発表ってことで
よかったですね。」
「そこ、生バンドほしいです。
あとそれと1位はなにかこう華やかな衣装がいいかなぁ。
あ、わたしドレスでいいです。
ほら、あのスカートがパァって広がってて、あとティアラとかも。
なんかゴージャスにしましょう。」
「いや会長、予算の関係もあって 」
「あ、そこは男子の分はしょぼくて結構ですので、その分をっていうことでよろしくです。」
「「・・・・・」」
1位とるの前提!
会長やるき満々だ。
でも、ゆきのんいるから。
2年連続一位だもんね。今年も最有力候補だもん。
んと、生バンドは当日の出演予定のバンドに頼むとして、あとは衣装か。
そういえば会長、よく海外ドラマ観てたっけ。
おい、仕事しろって思ったけど夢中で見てた。
あんなのに憧れてるんだろうなぁ。
ぐふふ、かわいい。
「な、なんですか美佳先輩、ニヤニヤしてなんか気持ち悪いです。
あ、それとあと結果発表だけじゃしょぼいじゃないですか。
えっと、過去の文化祭の資料見ていたんですけど、何年か前までは文化祭で
ダンスパーティみたいなのやってたみたいなんですよ。
ほら、ここ、ここのページ。」
”パサッ”
「へぇ~、昔はこんなのやってたんだ。
この資料、三ヶ木さんが準備してくれてたんだ。」
「みんな楽しそうだね、いろはちゃん。」
「ん? あ、お、おい三ヶ木、これお父さんじゃないか?
ほら、なんか面影ある。
すごく綺麗な人と踊ってるぞ。」
「え、どこ? 気が付かなかった。」
「ほらこの隅のほうで踊ってるの。」
「ほんとだ。
あっ! これ一緒に踊ってるのかあちゃんだ。
学生頃の写真、アルバムでみたことあるから。」
「へぇ~、この人が美佳先輩のお母さん。
なるほど、なるほど。」
え、な、なに?
会長、なに人の顔じろじろと。
なんかついてる?
は、なにそのにやけた顔。
「あ、あの~なにか?」
「美佳先輩、やっぱりお父さん似なんですね。」
「・・・・・」
ほっとけ。 気にしてんだそこは。
小っちゃいころからよく言われたんだよ、美佳ちゃんお父さん似ねって。
その度、どれだけ傷ついたことか。
くそ、もう少しかあちゃんに似てたら、わたしの人生も。
「わたし考えてたんですけど、人気投票の結果発表とダンスパーティを
組み合わせちゃいましょう。」
「いろはちゃん、面白そうだけど、それ準備とか人と予算とかどうするの?」
「もちろん人気投票は生徒会でやります。
だってそこの見習いさんがそう宣言しちゃったじゃないですか。」
「す、すみません。
でも会長、実際にそこまでやろうとすると生徒会だけじゃ。」
「ごほん、そこは有志を募集します。
ほ、ほらそういう部活あったじゃないですか。
なんか困ったときのお助け部みたいな。」
いやいやお助け部って。
まぁそれ、あの部のことだろうけど。
会長、なんかうれしそう。
はぁ、あんまり頼りたくないけど、ここは仕方ないか。
「あ、そうだ結果発表の後、チークダンスしましょう。
えっとそれで1位の人は踊れる相手を指名できるってどうですか。
もち、指名された方の拒否権は無しってことで。」
「「チ、チーク!」」
「いろはちゃん、チークダンスってあのチーク?」
「えっと、会長、あんまり個人的なご希望は。」
「な、何ですか美佳先輩。
ち、違いますよ。
ほ、ほらそのほうがなんか盛り上がりそうじゃないですか。」
「・・・・・」
チークはさすがにちょっと無理だよ。
さすがに先生もそこまでは黙ってないって。
で、でもできるなら一度踊ってみたい。
だって、あと半年後には卒業。
卒業したら東京行っちゃうんだ比企谷君。
そしたら離れ離れになって、いつか・・・・・
はぁ~、一位になりたいなぁ。
「まぁ、そこはダメもとでってことで。
あ、もうこんな時間。
それじゃ今日はここまでっていうことで。
わたしちょっと用事がありますのでお先です、では。」
”シュパッ”
げ、いつもの敬礼。
な、なにそのにこやかな笑顔。
は、この笑顔は何か企んでる時の笑顔。
なんかいやな悪寒が、いや予感が。
「あ、忘れてました。
えっと、今月はあいさつ運動強化月間ですので。
みなさん、毎週月、金曜日の朝は全員校門前集合ってことでよろしくです。 えへ♡」
「「は、はぁ?」」
”ガラガラ”
い、いや、そんな月間いつ決まったの?
もしかして夏休み中?
聞いてないよ、朝はいろいろ忙しいんだ。
「あのさ、本牧君、稲村君。
あいさつ運動強化月間って知ってた?」
「いや、今初めて聞いたよ。」
「ああ、俺も。」
「三ヶ木先輩、もしかしてほら人気投票あるから。」
「「あっ」」
・
・
・
”テクテクテク”
んっと、比企谷君、もう帰ったかなぁ。
自転車自転車っと。
”キョロキョロ”
やっぱり無いか、もう帰ったんだ。
わたしの帰ろうかなぁ。
でも、まぁちょっと一休み、久しぶりの学校でちょっと疲れた。
えっと自販機っと、ん~なに飲もうかなぁ。
・
”ゴクゴクゴク”
ふぅ~、やっぱミルクティーだね、うまい!
”ゴクゴク”
・・・・・文化祭か。
いよいよリベンジだね。
前の生徒会活動の中で唯一の心残り。
みんな卒業しちゃったけど、わたしはリベンジできるチャンスをもらえた。
みんなの分も頑張らないと。
優秀すぎるNo.2っか。
組織の強さはNo.2によって決まるって何かで読んだことある。
確かNo.2に求められるもの、まずトップの考えを理解して、トップが何を
したいのかちゃんと部下に伝えられること。
次にトップの目の及ばないところ、至らないところをフォローできること、
そんでNo.2はトップより目立たない、でしゃばらないこと。
つまり、No.2は会長を影で支える存在じゃないといけないってことだったよね。
あ、ゆきのんが悪かったっていうんじゃないよ。
ゆきのんは優秀すぎるんだ。
なんでもてきぱきと処理しちゃう。
でもそれはNo.2としての優秀さじゃない。
やっぱりトップになるべきだったんだと思う。
それじゃなきゃ、No.2になんかなっちゃいけない。
そんなNo.2と比較されるトップがかわいそうだよ。
で、でもそれをさせてしまったのが生徒会なんだ。
さがみん、始めはそれなりに頑張ってたんだ。
でもわたしたちがうまくフォローできなかったから、知らないうちに奉仕部に相談に行ってて。
んで、いつの間にかゆきのんが副実行委員長って決まってた。
それからだね、組織がうまくいかなくなったのは。
だから今年は、今年こそはちゃんと生徒会が委員長をフォローできるようにしないと。
優秀なNo.2はいらない。
そんな人なかなかいないから。
だったらみんなで委員長を支える組織にしないと。
”カキカキ”
文実組織改革案㊙っと。
・
ふむ、こんな感じかな。
実行委員長の下に各部長さんからなる部長連絡会を設けて、定期的な進行状況の確認や
連絡・調整なんかはこの連絡会で話して決めてっと。
あとは委員長直属の機関として生徒会があってと。
まぁ、生徒会役員は各部会に割り振られてるから、裏の情報も入手できるだろうし。
文実全員集まるのはスローガンとか決める時だけでいいよね。
わざわざ定例ミーティングなんかで作業の時間割くの勿体無いし。
それにこの人数なら密接に連携とってできるはず。
ふ~できた、これでいいかなぁ。
よし、一度比企谷君に相談してみようっと。
”ゴクゴクゴク”
ん~、でもさ、さがみん、どこで奉仕部なんて知ったんだろう。
奉仕部の存在なんてあんまり知ってる人っていなかったと思うけど。
それに個人的に雪ノ下さんに伝手があった感じじゃないし。
”スッ”
「あっ」
「なに書いてるんですか、ジミ子先輩。」
「舞ちゃん、それ返しなさい!」
「なになに、文実組織改革案?
なんすかこれ?」
・
・
・
「ふ~ん、そんなことがあったんですか。
でもそれって結局のところ、単なるコミュ障ってことじゃないですか。
委員長と副委員長がしっかりコミニケーションとってればよかっただけじゃないですか。」
「そ、そうなんだけど。
ま、まぁゆきのんだから。」
「で、この組織案だと生徒会は実行委員長直轄ということになりますね。」
だったら、実行委員長は生徒会の上司。」
「え、まぁそういうことになるね、形式的には。」
「つまり、稲村先輩もジミ子先輩も部下・・・・・うふふふ。」
「は、はぁ? な、なにその笑顔。」
「何でもない何でもないですよ。」
”ブ~、ブ~”
「あ、はいはい、三ヶ木だよ。」
「あ、俺、稲村。」
「ああ、どうしたの? なんならそこの稲村君。」
「おい。 ちぇ、まあいいや。
あのな塾の件だけど、明日の9時に千葉駅前でいいか?」
「あ、うん、了解! じゃあ、明日よろしくね。」
「ああ、じゃあ明日な。」
”カシャ”
「今の稲村先輩ですか?」
「あ、う、うん。
明日の土曜日に稲村君と塾に行く約束してたから。」
「へー、稲村先輩とデート。
デートしちゃうんだ、ジミ子先輩。
ふ・た・ま・た。 うわ~魔性の女って本当にいたんだ。」
あ、しまった、舞ちゃん稲村君のこと。
やばっ!
ほ、ほら目つきがこわ~
「ち、違う、デートじゃないから。
塾の見学に連れて行ってもらうだけだから。
断じてデートなんかじゃないよ。」
「女子の敵。」
「いや、ほんと違うから。
あ、そうだ。 よかったら、舞ちゃんも一緒に来ない?」
「はぁっ? なんでわたしが行かないといけないんですか!
わたし、もう帰ります。」
「あ、わたしももう帰るところなんだ、舞ちゃん一緒に帰ろ。」
「お断り。」
「そんなこと言わないで、一緒に帰ろ。」
「いやです。」
「舞ちゃんってば。」
「もう、しつこい!」
「舞ちゃん。」
「・・・・・すぐそこまでですよ。」
「うん。」
ーーーーーーーー
”ウイーン”
は、はぁ、疲れた。
なんだあの教室の雰囲気は。
あの教室にいるだけでなにかすごい疲労感が。
まるでエナジードレインされたかのような。
あれが受験生というものなのか。
無駄口一つたたかないで、必死というかすごく気合が入ってるっていうか。
なんかもうピリピリしてて。
ふぅ~、建物の外に一歩出た時の解放感、半端ない。
自由がこんなにも素晴らしいものだということを改めて実感したよ。
でもさ、みんな必死に勉強してるんだ、わたしもちゃんと勉強しないとやばい。
「どうだ、受験生の雰囲気わかったか?
学校とは全然違うだろ。
あれが俺たちの戦うライバルの姿だ。」
「う、うん。」
「わかったら、ちゃんとプリント自分でやれよ。」
「わたしが甘かった。
学校の雰囲気とは全然違うや。
よし、頑張らないとね。」
「わかったんならよかった。
連れてきたかいがあった。
それじゃ、ほら喫茶店行くぞ。」
「え、あ、パフェだパフェ。」
「お、おい、コーヒーだからな、奢るのコーヒーだから。」
「けち、女子と一緒にお茶できるんだけら、パフエぐらい奢りなさい。」
「断る。」
・
・
・
「ん~、美味しかった。
前から一度ここのフルーツパフェ食べたかったんだ。
ご馳走様でした。」
「・・・・・」
「もう、期限直してよ。
いいじゃん、パフエぐらい。」
「・・・・・お前、俺の分の代金払うなよ。」
「え、あ、そっち。
でも、わたしそっちのほうが好きなんだもん。
お互いに奢りあったほうがやっぱりいいじゃん。
でも、稲村君、イチゴショートケーキが好きなんだね、意外だ。」
「なんでだ。 ケーキといえばまずイチゴショートだろ。
イチゴショートこそ基本中の基本。
何事も基本が大事。それが俺の基本だ。
全く、お前が代金払うっていうのならコーヒーだけにしたのに。
それより今日は今から・・・・
えっ!」
「ん? どうしたの。」
「あ、あれ、お父さんじゃないか?」
「あ、うそ、なんで。」
「一緒に腕組んでる女の人、お前知ってるのか?」
「う、うううん、知らない。」
なに? 誰あの人?
それに今日お仕事って言ってたのに。
とうちゃん、何でそんなにうれしそうに笑ってんだ。
あ、女の人も笑ってる。
な、なんだその距離感、近すぎるんだろう。
腕なんて組むんじゃない。
か、かあちゃんかわいそうだろう。
でも、どこに行くんだ。
え? そこ焼き肉屋。
二人で焼き肉食べるってそんな関係なの?
わたしなんて焼き肉屋さん連れて行ってもらったことないのに。
いや違う、そんなことじゃなくてつまりそんな関係なの?
「み、三ヶ木。 どうする? 俺たちも焼き肉屋はいるか?」
「うううん、いい。
ごめん、今日はもう帰るね。」
「そ、そっか、家まで送るか?」
「だ、大丈夫。 一人で帰れる。
うううん、一人で帰りたい。 ごめんね。」
「そ、そうか。」
「稲村君、今日もありがと。」
「ああ、また月曜日な。
気をつけて帰れよ。」
「うん。」
「あっ、三ヶ木、やっぱりい、いっしょ 」
「ん?」
「あ、いや、やっぱりイチゴショート美味しかった。」
「うん? じゃあ、また一緒に行こ。
今度わたしも食べてみたいから。」
「あ、ああ。 じゃあな。」
「うん。 じゃあ。」
”トボトボトボ”
「追っかけなくていいんですか? 稲村先輩。」
「え、はぁ? 何でお前がここにいるの?」
「あ、え、えっと、たまたまです。
決して塾とか喫茶店とかついて行ってませんから。
パフェ、美味しそうだったけど。」
「お、おい・・・・ついてきてたんだな。」
「それより、本当にいいんですか一人で帰して。」
「三ヶ木が一人で帰りたいって言ってるからな。」
「・・・本当に押しが弱いんですから。
今世紀最大のチャンスかもしれないのに。」
「はぁ?」
「何でもないですよ。
わたし的にはそのほうがいいですから。
・・・・・あ、あの、稲村先輩。
ぶっちゃけ、稲村先輩は三ヶ木先輩のどこが好きなんですか?」
「は、はぁ?」
「いやだって、そんなに可愛いほうじゃないですし、性格はあんなんですし。
どこかいいとこあります?」
「あるぞ! いいとこいっぱいある。
あいつはすごく家庭的で、頑張り屋で、いろいろ気遣ってくれたり。
あと危なっかしくて、放っておくと何するかわからなくて・・・・・・だから守ってやりたい。
あ、それに一緒にいると楽しいんだ。」
「だから好きなんですね。」
「はっ、い、いや、な、なに言ってんだ。
違うぞ、ほら俺たち生徒会の仲間だから、仲間。」
「もうバレてますから。
まぁいいです。
そうですか、頑張り屋さんで、危なっかしくてか。
ん~」
「お。おい蒔田。」
「三ヶ木先輩に言っちゃおうかなぁ~
俺、守ってやりたい。 きゃ~」
「ば、馬鹿やめろ。」
「じゃあ、わたしもパフェ食べたいです。
三ヶ木先輩と一緒のパフェ。」
「お、おい。」
「ほら行きますよ。」
「い、いや、俺ちょっと用事が。」
「えっとスマホ、スマホ。」
「わ、わかった。 くそ、パフェでもイチゴショートでもなんでも奢ってやる。」
・
・
・
あ、もうこんな時間だ。
とうちゃん遅いなぁ、夕食どうするんだろ。
せっかく作ったのに冷めちゃうよ。
あの人とまだ一緒なのかなぁ。
・・・・・とうちゃん。
え~い、こんな時は!
”カシャカシャ”
いるかな、なにしてるかな。
「おう、俺だ。」
「おう、わたしだ。 ね、今何してたの。」
「あ、い、いや何も。」
「あのさ、ちょっと相談していい?」
「い、今じゃないとダメなのか? あ。あとで 」
「あ、ごめん、何か用事あったんだ。 それじゃ 」
「お兄ちゃん、ご飯だよ~」
あ、今家にいるんだ。
今からご飯なんだ。
「ヒッキー、早く来ないとご飯食べちゃうよ。
すごく美味しそうだよ。」
「えっ」
「あ、いや違うんだ三ヶ木。」
「・・・・・」
「み、三ヶ木聞いているか? 今日はゆき 」
”プツ、プー、プー”
最後までありがとうございます。
ようやく、次話より文実スタートです。
また読んでいただけたらありがたいです。
※今年の冬も我が家に4本足の魔物が。
この魔物の中に引きづり込まれたら、いつの間にか意識が遠ざかって。
す、すみません。
更新遅くなってる言い訳です、ごめんなさい。
次話、更新遅くならないよう、気をつけなければ。