似て非なるもの   作:裏方さん

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見に来ていただき、ありがとうございます。

すみません、やってしまいました。
気が付いたら27,000字越え。

長々駄文でめっちゃ読みにくいかと。

あの、文化祭の準備の最終話です。
無理せず読んでいただけたらありがたいです。

では、よろしくお願いいたします。


文化祭編④ 裂

「あの三ヶ木さん、保険所からの資料ってこれで良かった?」

 

「うん、それだよ。 

 あ、模擬店の注意事項の資料作るんだよね。

 えっとこれ去年配布したのあるから参考にして。」

 

「ジミ・・・三ヶ木先輩、去年のオープニングの資料どこでした?」

 

「んと、文化祭のフォルダーの中にオープングのフォルダーあるでしょう。

 委員長、そこ見れます?」

 

「は~い。

 えっとオープニングのフォルダーですね、了解です。

 あ、あとお茶お願いしま~す。」

 

「うぉい!」

 

う~忙しい。

文実も本格的に活動を開始してはや数日。

毎日が忙しいよ~

家に帰ってまでやることがあって。

おかげで最近寝不足ぎみっす。

家事のほうも手抜きしてるし。

あ、でもお料理だけは頑張ってるから。

だってお料理だけは・・・・・

 

「三ヶ木さん、当日の健康状態・身だしなみチェックシート知らない?」

 

「あ、待って、それ作ってあるからいま打ち出すね。」

 

良かった。

昨日家で作っておいたやつだ。

えっと確かこっちフォルダーに保存したから。

あっ、あったあった。

印刷開始っと。

 

"カチャ、カチャ”

 

「三ヶ木さん、来賓予定者の名簿ってもうできてる?」

 

「あ、ごめん。 

 まだなんだ、急いで作るからちょっと待ってて。」

 

「三ヶ木先輩、それわたしのほうで作ってるから大丈夫ですよ。」

 

「う~、書記ちゃんありがと。」

 

しょ、書記ちゃん。

いい娘だね~

いつもフォローしてくれるんだ。

今日も三つ編み、かわいいよ。

で、でもあの日以来、わたしを見る目が少し憐れみを含んでるような気が。

い、いや、気の所為、気の所為っす。

さてと次はこれ、この資料。

よし、三ヶ木美佳行きまーす。

 

「あの~三ヶ木先輩?」

 

「はっ、何でもないです。

 書記ちゃん、今日もかわいいね。」

 

「はぁ?」

 

ふ~、あっぶなかった。

声に出てなかったよね。

さてお仕事お仕事。

えっとこの資料はどこ直すんだっけ。

 

”トントン”

 

え、なに?

ジャリっ娘なに机を小突いてこっち見てるの。

・・・・・はいはい、わかりました。

 

「会長、会長も可愛いです。」

 

「はぁ? 当たり前じゃないですか~」

 

だったらそんな嬉しそうな顔しない。

まったくもう。

 

「あ、それと美佳先輩、紅茶よろしくです。」

 

「んなもんなし、はい麦茶!」

 

まったく、ジャリっ娘め、書記ちゃんの爪の垢を煎じて飲めってんだ。

この忙しいのに。

いつもいつもお茶お茶って。

ってなんやかんや言ってお茶持って行っちゃうんだけどさ。

 

”どさ”

 

ふ~、さ、こ、今度こそ集中集中!

急がないと今日の分終わらないや。

 

「ね、三ヶ木。」

 

「あん!」

 

「あ、ごめん。」

 

あ、さがみん。

しまった、またあの娘達かと。

あ、行っちゃう。

ま、待って。

 

「さ、さがみん、ごめん違うの待って。

 何か用?」

 

「そ、そう?

 あのさ、貸し出し用の机の数が足りないんだけど、体育館倉庫以外にあるとこ知らない?」

 

「えっと、体育館倉庫以外は無いはずだけど。」

 

ん~机、机、どっか他に置いてあったかなぁ~

あ、そういえば、卒業生を送る会の時に使ってそのままだったんじゃ。

 

「もしてかしてステージの裏にも積んであるかも。」

 

「わかった、確認してくる。」

 

「あ、さがみん、わたしも行くね。」

 

「いい、大丈夫。

 そっち忙しそうだから、うちらで見てくる。

 みんなステージ裏見に行くよ。」

 

「は~い。」

 

「さがみん、お願いね。」

 

「いいって、それより」

 

”ぐぃ”

 

え、な、なに?

近い近い、顔近い。

も、もしかして、ち、ちゅ~?

 

「さがみん言うな。」

 

”に~”

 

か、かわいい。

その笑顔、かわいい。

ね、ちゅ~しよう。

 

”ぶるぶる”

 

「ん? 風邪かな。

 なんか今急に悪寒が。

 まあいいや、じゃあ三ヶ木、行ってくる。」

 

「う、う、うん、いってらっしゃいませ。」

 

はぁ~、危なかった。

あやうく道外すとこだった。

あ、それより仕事仕事。

集中しなくちゃ。

 

「三ヶ木先輩、肩凝った~」

 

「あ~、うっさい。」

 

く、くそ、こ、この小娘は!

折角、人が集中して仕事しようと思ってるのに。

いっつも邪魔しやがって。

 

”スタスタスタ”

 

「え? うそ。

 肩もんでくれるんですか?

 あ、ありがとうございま~す。」

 

「あ゛ー、み、美佳先輩こっちもよろしくで~す。」

 

”ブチッ”

 

ぐっ、じゃ、ジャリっ娘まで!

調子に乗りやがってこのクソガキ1号、2号。

ゆ、ゆるさん、ゆるさんぞ~

 

”ボキボキ”

 

「え? あ、あの三ヶ木先輩、や、やっぱりいいかな~

 指ボキボキって、それに、か、顔怖い。」

 

「もともとこんな顔なの。

 気にしないで委員長さん。

 い・つ・も、ご苦労さん!」

 

”ギュ~”

 

「ぎゃ~、い、痛~い。」

 

”プシュ~”

 

ふふふ、まず一人目、抹殺完了。

つぎはジャリっ娘!

 

「会長、お・ま・た・せ。」

 

「あ、あれ~、わたし急に肩軽くなっちゃっいました。

 ほ、ほら、わ~い肩軽いなぁ~

 だから、も、もう肩は 」

 

「遠慮なさらず。

 いまもっと楽にして差し上げます・・・・・ねっ!」

 

”ギュ~”

 

「い、痛い痛い痛い。 み、美佳先輩、ギブ、ギブです。」

 

”プシュ~”

 

フゥ、フゥ、フゥ!

まったく、こいつらは忙しいのにごちゃごちゃと。

し、仕事させろ!

 

”コト”

 

え、あ、ミルクティー。

 

「ご苦労さん、あんまり根詰めるなよ。」

 

「あ、稲村君。 ありがと。

 えっとタダ?」

 

「・・・・・タダだ。」

 

”カチャ”

 

「えへへ、いっただきま~すっす。」

 

”ゴクゴクゴク”

 

「ふぅ~、生き返った。」

 

「なぁ、文化祭も大事だけどちゃんと受験勉強やってるか?」

 

「え、あ~全然ダメ。

 いっつも教科書開いたら寝ちゃう。」

 

「まったく。

 塾で使った模擬試験集あるから持っていってやる。

 結構試験問題のツボ抑えてあったから。」

 

「うん、ありがと。

 いつもすまないね~」

 

「おい、お前お婆ちゃんか。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

ふ~、着いた、やっと、い、家に着いた。

長かった、なんとか一週間終わったよ~

か、身体が重たい。

 

”ドタ”

 

少しだけ横になってもいいかな~

あ、だめ、絶対寝ちゃう。

とうちゃん帰ってくるまでに、ご、ご飯作らなきゃ。

 

つ・く・ら・な・きゃ・・・・・だ・め。

 

「ぐぅ~、ぐぅ~I

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

「美佳ただいま~、 おわぁ! な、なんだ。

 なんでこいつ玄関で寝てるんだ。」

 

「ぐわー、ぐわー」

 

「お、おい、それ年頃の女の子がするイビキか。

 やれやれ、ほら風邪ひくぞ。

 うんしょっと。」

 

     ・

     ・

     ・

 

う~ん、はっ!

し、しまった、わたし寝ちゃったんだ。

今何時?

げ、2、2時か~ 

ん?・・・・・・あれ、ここわたしの部屋だよね。

なんで?

わたしいつの間に部屋まで?

ん~記憶がない。

あ、そんなことより、やばいやばい、晩ご飯つくってない。

と、とうちゃんもう帰ってるよね。

 

”ガタ”

 

ん~この襖、最近開けにくくなってきて。

うんしょっと

 

”スー”

 

”きょろきょろ”

 

「あの~、とうちゃん。」

 

あれ、リビングにいない。

もう寝たのかなぁ?

あ、机の上にサンドウィッチある。

ん、メモ?

 

『もし起きたのなら食べなさい。

 それとあまり無理しないように。

 

 それと話があるから少し時間ないか?

 

               とうちゃん♡」

 

・・・・・おい! ハートはやめろハートは。

 

そっか。 とうちゃんが部屋まで運んでくれたんだ、多分。

ありがと、とうちゃん。

 

”ぎゅるる~”

 

ふぇ~サンドウィッチみたら激烈にお腹すいた。

明日はちゃんとご飯つくるからね。

頂きま~す。

 

”パク”

 

美味しい。

とうちゃんありがと、大好き。

 

・・・・・時間ないかっか。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

よし、メイク完了。

今日も可愛いよ美佳ちゃん。

・・・・・だ、だって、わたしには誰も言ってくれないんだもん。

 

さて、んなことしてないで学校行こうっと。

あ、その前にメモメモ。

ん~と、

 

”カキカキ”

 

『とうちゃん、昨日はサンドウィッチありがと。

 美味しかった。

 

 あのね、今日文化祭の準備あるから学校行ってくるね。

 

 朝ごはん、温めて食べてください。

 お昼は酢豚つくったの。

 冷蔵庫にあるから食べて。

 (ごめんね、出来立てじゃなくて。)

 

 夕方には帰る予定です。

 晩ご飯待っててね、一緒に食べよ。

 

                       みか♡』

 

とうちゃん。

・・・・・わたしやっぱり話聞きたくない。

ごめんなさい。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガダン”

 

「えっと、商品はこれだけでよろしかったですか?

 それと校内まで運びますよ?」

 

「んっと、ベニヤと垂木とペンキ、ペンキ。

 えっと全部あります。

 それとここからは台車使って運びますから大丈夫です。」

 

「そうですか。

 それでは失礼します。

 本日はお買い上げありがとうございました。」

 

「あ、はい。

 わたしまで配送車に乗せて頂いて、ありがとうございました。」

 

”ペコ”

 

へへ、感じのいい店員さんだった。

結構イケメンだったし。

おっしいな~もうちょっと目がね~

さてと、材料運んで始めようと。 

台車、台車。

うしっ! 今日が勝負だ頑張るぞ!

 

”タッタッタッ”

 

     ・

 

「ルンルンルン♬」

 

比企谷君、もう起きてるかなぁ。

土曜日だからまだ寝てるかなぁ。

・・・・・声、聞きたいなぁ。

あ、そうだメールしておこ。

 

『三ヶ木です。

 まだ寝てたらごめんね。

 

 あのさ、ちょっとだけ声聞きたい。

 なんちゃって (⌒-⌒)ノ

 時間取れたら電話してね。

                 三ヶ木だよ』

 

これでいいかなぁ。

比企谷君、ラインしないのかなぁ。

だって既読とかでるとなんかうれしいじゃん。

繋がってるって実感できて。

 

・・・この前のこと、まだちゃんと謝ってない。

というか他にもいろいろ話したい。

電話くれるかなぁ~

よし、それじゃ送

 

「ヒッキー、ちゃんと前向いて抑えててよ。」

 

えっ、今の結衣ちゃんの声?

その校舎の角を曲がったとこ?

 

”ダー”

 

「ば、馬鹿、前見れないんだ。

 いろいろあってだな。」

 

「いろいろってなんだし。」

 

「い、いや、前向くとだな。

 スカートの中でうごめくピンクのものが見えてだな。」

 

「え、ピンク? 

 あ! ヒ、ヒッキーのスケベ、変態、最低!」

 

「比企谷君、あなたとうとう犯罪を。」

 

「ま、待て、冤罪だ。 俺は無実だ。

 いや、ちょっと待って雪ノ下さん、スマホから手を放して。」

 

あ、比企谷君いた!

学校にいたんだ。

あれ看板作ってんだね。

そうか、奉仕部のみんなで文化祭の準備してるんだ。

えへへ、ラッキー、比企谷君の顔見れた。

楽しそうだなぁ~

比企谷君、頑張ってね♡

 

で、でも、何やってんだ結衣ちゃんのパンツ覗いて。

そんなに見たかったらわたしに言えばいいのに。

わたしので良かったらいつでも・・・・・・わたしのじゃダメなのかなぁ。

はっ、なに言ってんだ馬鹿! は、恥ずかしい。

 

「だ、大体だな、何でお前ミニスカートなんだ。

 そんなスカートで目の前に座られたら、絶対見ちゃうじゃないか。」

 

「う~、だ、だってこれ可愛いし。」

 

「あら、出歯亀谷くん、開き直りなのかしら。」

 

「男の本能のことを言ってるんだ。

 って、だから待って雪ノ下さん、どこに電話していらっしゃるの。」

 

・・・・・そっか、男の本能か。

よし、今度からわたし比企谷と会う時は必ずミニスカートに決めた!

 

「なぁ由比ヶ浜、お前ジャージとか持ってきてないのか。

 頼むから何か穿いてくれ。」

 

「む~なんだしその言い方、なんか微妙だし。

 じゃいい、アンスコ穿いてくる。」

 

「・・・・・お、おい、初めから穿いてこい。」

 

あ、やば、結衣ちゃんこっち来る。

どっか隠れないと。

ぐぇ~、やっぱ蜘蛛の巣!

 

”テッテッテッ”

 

ふぅ~行った。

危なかった、危うく見つかるとこだった。

ぐわぁ~だけど蜘蛛の巣が。

 

「痛い。」

 

え、今のゆきのん?。

どしたの、怪我でもしたのかなぁ?

 

”そ~”

 

「棘刺さったのか? 雪ノ下、指見せてみろ。」

 

「大丈夫よ、自分で取れるわ。」

 

「いいから。」

 

”にぎ”

 

「あ、あの、比企谷君。」

 

「おう、ちょっと待ってろ。」

 

”ガサガサ”

 

「え、5円玉?」

 

「ああ、これでこう刺さったところを抑えてだな、ギュってやると。

 よし、これなら指でも取れる。」

 

「痛い。」

 

「すまない。

 もう少しだ、もう少しで。」

 

「なるべく痛くしないで・・・くれるかしら。」

 

「お、おう。」

 

”スッ”

 

「ほれ、取れたぞ。」

 

「あ、ありがとう。

 でも、あの、その・・・・近い。」

 

「ん? あっ。」

 

お、お~い、二人とも顔が近い近いよ。

いつまで見つめ合ってんだ。

もう棘取れたんだから離れてもいいじゃん。

・・・・・もう離れてよ。

わたしここで見てるんだよ、比企谷君の馬鹿。

 

”テッテッテッ”

 

あ、結衣ちゃん帰ってきた。

やばいやばい隠れないと。

うぇ~、また蜘蛛の巣。

 

「お待た・・・・あ、あの二人でなにやってんだし。」

 

「いや、こ、これはだな 」

 

「誤解しないで由比ヶ浜さん。

 指に棘が刺さったのを抜いてくれただけよ。」

 

「む~、だって見つめ合ってたし。」

 

「違うわ、睨み合ってたのよ。」

 

「睨み合ってたのかよ。」

 

はぁ、わたし何やってんだろ。

わたしの方こそ出刃亀だ。

・・・・・さぁ、人気投票の準備しなくちゃ。

わたしは忙しい、忙しいんだ。

 

”ダ―”

 

「あ、痛い!

 ヒッキー、あたしも棘刺さっちゃったみたい。」

 

「由比ヶ浜さん、はいとげ抜き。」

 

「ゆ、ゆきのん。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”トントントン”

 

「・・・・・」

 

”トントントン”

 

「・・・・・」

 

”トン”

 

比企谷君、ゆきのんと見つめ合ってた。

なにさ、頬なんか赤くしてさ。

あのまま結衣ちゃん帰ってこなかったら、どうなってたんだろう。

・・・もしかしたら二人は。

 

”トン”

 

なにがそばにいてくれだ!

この浮気者、馬鹿八幡!

 

”ドン!”

 

はぁ、はぁ、はぁ。

 

な、何やってんだわたし。

ほら、釘曲がっちゃったじゃん。

それに浮気者ってなに言ってんだ。

 

わたしが望んだことだ、わたしが望んだことじゃん馬鹿。

奉仕部、比企谷君にとって、とっても大切な場所。

やっと見つけた陽だまり。

 

そんな大切なものだから、それに最後の文化祭だから、

・・・・・思いっきり楽しい想い出つくってほしい。

 

それがわたしの望みなんだ。

・・・・・だからこれでいいんだ、絶対いいんだ、うん間違いないこれが正解なんだ。

 

”トントントン”

 

「・・・・・」

 

”トントン”

 

でも、でもさ、少しだけ寂しい。

少しだけ。

はは、弱くなったねあたしゃ。

昔から一人は慣れてんのに。

さ、気を取り直して、次の垂木垂木っと。

 

”チクッ”

 

「あいた! げ、棘刺さっちゃった。」

 

えっと、ポーチポーチっと。

確か中にピンセットが・・・あったあった。

うんしょっと。

 

”スッ”

 

よし取れた。

 

『ほれ、取れたぞ。』

 

『あ、ありがとう。

 でも、あの、その・・・・近い。』

 

『ん? あっ。』

 

・・・・・ううううう、やっぱり寂しい。

 

     ・

 

「ぐすん、ぐす。」

 

はぁ~、よし一通り泣いたら気がすんだ。

頑張るんだわたし。

急がないと間に合わない。

 

”トントントン”

 

     ・

     ・

     ・

 

”ジリジリ”

 

うぇ~、あっついなぁ。

汗が止まらないや。

わたしもワンピースとか涼しいものにすればよかったかなぁ。

は、なに言ってんだ。

生徒会役員は全生徒の見本。

だから制服が当たり前。

 

で、でももう限界、あっついよ~

えっとあのね、

 

”きょろきょろ”

 

ん、誰もいない。

よし。

 

”脱ぎ脱ぎ”

 

ふぅ~、へへ制服なんて着てられないや。

でもタンクトップ、ちょっと大胆かなぁ。

だってあっついんだもん!

それにブ、ブラはしてるから。

ふぅ~、涼しくなった。

よし、再開再開。

 

”トントントン”

 

あ、そういえば去年の体育祭の時もこんな感じだった。

あの時も暑くて暑くて死にそうだった。

でもさ、えへへへ。

 

あのね、もう暑くてほんと限界ってときに比企谷君が来てくれたんだ、わたしを助けに。

大事なとこだからもう一回言うね。

 

”わたしを助けに”

 

うれしかったなぁ。

 

『大丈夫か美佳。

 お前が心配で駆けつけてきた。

 さぁ後は俺に任せて、お前は日陰で休んでいろ。』

 

って、作業替わってくれて。

 

・・・・・お、おい嘘つくな嘘を!

たまたま顔見知りのわたしのとこに来てくれて、

ただ無言で手を差し出されただけだろうが!

 

だ、だって~あの目はそう話しかけてくれたんだもん。

お、おそらく・・・・・多分・・・・・だよね。

へへ、懐かしいな。

 

いま頃、三人で仲良くやってるかなぁ。

・・・・・わたしも比企谷君と一緒にできたら。

は、ダメだダメだ。

集中集中。

集中してないと余計なことばっか考えちゃう。

よ、よし。

 

”ピタッ”

 

「ひゃ~、冷たい!」

 

「三ヶ木何やってんだ。」

 

「え、あ、い、稲村君。」

 

「まったく電話にも出ないし、刈宿に聞いて家にいったらお父さんに学校行ったって言われるし。

 ほれ、ミルクティ―と模擬試験集。」

 

「電話って? あ、ご、ごめん。」

 

げ、あ、そういえば塾の模擬試験がどうだとかいってた。

そっか、家まで行ってくれたんだ。

・・・・・あのアパート見られたんだ、はぁ~

 

「なぁ、これって人気投票のだろ。」

 

「う、うん。」

 

「人気投票の件は奉仕部に協力依頼したんじゃないのか。

 なんで一人でやってんだ。」

 

「あ、その、いや、あのね 」

 

「向こうに奉仕部いたけど、あれ人気投票の準備じゃないよな。

 なんか看板に相談室とか書いてあったし。」

 

「・・・・・」

 

「おい、奉仕部に人気投票のこと依頼してないだろ。」

 

”こく”

 

「やっぱりか。

 なんで依頼しなかったんだ。

 ここで待ってろ、俺が言ってきてやる。」

 

「ま、待って稲村君!

 お願い、お願いだからそれだけはやめて。」

 

「なんでだ?」

 

「わたし、わたしは比企谷君に奉仕部の想い出を作ってもらいたい。

 だって最後の文化祭なんだもん。

 だからお願い、あの三人の邪魔しないで。」

 

「はぁ~、全くお前は。」

 

「だ、だって。」

 

「朝からずっとか?」

 

「う、うん。」

 

「馬鹿だな。

 お前は本当に馬鹿だわ、あ~馬鹿だ。」

 

「うっさい、馬鹿馬鹿言うな!

 自分でもわかってるよ、わたし馬鹿だもん。

 勉強だってそれほどできないし、頭悪いもん。

 だけど、だけどこれがわたしなんだ。」

 

「まったくこの大馬鹿が。

 ・・・・・・・・・・でもな三ヶ木。」

 

「うん?」

 

「俺は、お前のそんなところが大好きなんだ。」

 

「ば、ばっか、なに言ってんだ馬鹿者!」

 

な、なにを真顔で言ってんだこいつは。

全く油断も隙もありゃしない。

でも、でもね・・・・・少しうれしい。

 

「はは、馬鹿と馬鹿同士だな。

 ほれ、金槌と釘貸せ。」

 

「え、」

 

「ほら。」

 

「う、うん。」

 

”トントントン”

 

「へぇ~稲村君上手。」

 

「これぐらい普通だろ。 ほら次。」

 

”トントントン”

 

男の子ってこんなの得意なのかなぁ。

比企谷君もだったけど、稲村君もなんか慣れてる。

わたしなんかよりずっと早い。

 

「ほれ次。」

 

「うん、はい釘。」

 

あ、稲村君、汗が目に入りそう。

 

”ふきふき”

 

「おわ、お前なにを。」

 

「なにをって汗が目に。

 あ、それよりさ・・・・あのね、稲村君ありがと。ニコ♡」

 

「はっ、か、かわい 」

 

”ゴン”

 

「い、いってぇ~」

 

「い、稲村君、大丈夫? えっと保冷剤保冷剤。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”テクテクテク”

 

はぁ~すっかり遅くなっちゃった。

とうちゃん晩ご飯待っててくれるかなぁ。

でも稲村君が手伝ってくれたおかげで大分予定を前倒しできた。

・・・時間ないかっか。

明日も学校来て準備しよう。

 

「なぁ三ヶ木、明日もやるつもりか? 」

 

「う、うん。

 あ、でも大丈夫、今日いっぱい手伝ってもらえたから。

 明日は一人で十分。」

 

「昼ご飯。」

 

「え?」

 

「昼ご飯ご馳走してくれ。

 お、おにぎりでいいから。」

 

「あ、う、うん。

 へへ、ありがと。

 じゃあ、塩にぎりで。」

 

「お、おい、せめて梅干し入れてくれ。」

 

「「あっははは」」

 

「仕方ない、塩にぎりでいいや。

 なぁ他の準備とかどうなんだ。」

 

「あ、うんとね。」

 

”ゴソゴソ”

 

えっとどこに入れてたっけ。

確かここに入れて持ってきてたと思ったんだけど。

あ、あった。

 

「これ、一応ね準備物とか段取りとか考えてあるんだ。

 一番困ってるのが司会者かなぁ。

 ね、稲村君、司会 」

 

「無理! 

 まぁちょっとそれ借してみろ?」

 

「チッ!」

 

「チッ!ってなんだ。

 な、なあ、それより明日の昼ご飯のこと考えてたらお腹空いてきた。

 よかったらそこのサイゼで晩ご飯でも食べていかないか?」

 

「おごり?」

 

「まったく。

 どうせ奢られる気ないくせに。」

 

「へへ、でも今日はごめん。

 とうちゃんお腹空かして待ってんだ。」

 

「そ、そっか。」

 

「ごめん、また今度ね。」

 

「ああ、また今度な。」

 

”プシュ~”

 

あは、ちょどサイゼのドア開いたよ。

でも残念でした、今日は帰るの・・・・あ、あれ?

 

「ありがとうございました。」

 

「あ、比企谷君。」

 

「え、あっ比企谷。」

 

「お、おう。

 なんだ今日も二人か?

 仲いいんだな。」 

 

比企谷君、サイゼでご飯食べてたんだ。

はは、サイゼ好きだね。

えっ今日も二人って?

あ、ち、違う、違う。

 

「あ、あの、あのさ比企谷君、あのきょ、今日は、あの 」

 

なんて言おう、なんて言ったらいんだろう。

で、でも。

 

「おい比企谷、勘違いするなよ。

 今まで生徒会で文化祭の準備してたんだ。

 断じてデートとかじゃないぞ。

 それに大体いつも二人の時は生徒会の仕事をしているだけだ。」

 

「あ、いや、俺は別に。」

 

「なんだよ、デートしてもいいのかよ。」

 

「え?」

 

「あ、いや、なんでもない。

 比企谷帰るところか。」

 

「あ、ああ。」

 

”チラ”

 

どうしよう。

なんて話しかければいいのかなぁ。

わぁ~偶然だねとか、いま暇~とかかなぁ。

で、でもこの前のことがあったから、どうしょう、どうしょう。

 

「・・・ふぅ、まったく。

 な、比企谷、俺めっちゃ腹減っててな、晩ご飯食べて帰りたいんだ。

 すまんが、三ヶ木を家まで送ってくれないか?」

 

「え?」

 

「ほらもう暗いだろ。 

 三ヶ木これでも女子だから、すまんが送ってやってくれ。」

 

「稲村君。」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ、な、なんで。」

 

「これでもってなんだし。 

 ちゃんと女子だ!」

 

「あ、いや、それはだな。

 ・・・まぁいいや、じゃあな三ヶ木。」

 

”プシュ~”

 

「いらっしゃいませ。」

 

「・・・・・三ヶ木帰るか。

 まぁ家まで送っていくわ。」

 

「うん。」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「あ、あのね比企谷君。」

 

「ん?」

 

「この前はごめんなさい。」

 

「あ、いや、俺のほうこそお前の気持ち考えずにすまなかった。」

 

「あ、それでね 」

 

”スタスタスタ”

 

「はは、馬鹿なのは俺の方か。

 頑張れよ三ヶ木。

 あ、そうだ会長に電話しておかないとな。」

 

「あの~、お客様。

 お一人様でいらっしゃいますか?」

 

「あ、すみません。

 いま入ります。

 あ、俺一人です。」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”ペタペタ”

 

ふ~、大分完成してきたね。

あとは細かいところとか色を重ね塗りしてっと。

 

”ぎゅるる”

 

は、腹減った。

 

「お~い、稲村君、お昼にしよう。

 ここ座って。」

 

「あ、ああ。」

 

”スタスタスタ”

 

へへ、来た来た。

いくよ、わたしのチョ~自信作。

名付けて美佳ちゃんの特製スーパーデラックススペシャル・・・・ひ、昼飯!

 

「じゃじゃ~ん。」

 

「お、おう、おにぎりだけじゃない。

 に、肉だ肉、肉巻き!

 それにハムに唐揚げ、卵焼きにシューマイ、なにこれおかずがいっぱい。

 え、スープもつくの?」

 

「あ、当たり前だ。

 気合入れて作ったんだから。

 ・・・・・・・・・あのさ稲村君、昨日はありがと。

 あ、今日も。」

 

「はて、なんのことだか。

 それより、いっただきま~す。」

 

「うん。」

 

”ブ~、ブ~”

 

あ、電話。だれからだ?

ん、ジャリっ娘?

 

”カシャカシャ”

 

「はい、三ヶ木です。」

 

「まったく!なにしてるんですか!」

 

げ、やばいジャリっ娘にバレた。

わたし見習いだから、ど、どうしょう。

で、でもなんでバレたんだ。

 

「なんで奉仕部さんに断られたこと黙ってたんですか。」

 

え?

えっと奉仕部に断られた?

 

「あ、あの~」

 

「断られたのならそう言えばいいのに。

 まぁ、雪ノ下先輩に断られたら仕方ないですね。

 先輩なら何とかなるのに。

 

 あ、司会者の件ですが、わたしに心当たりがあるので任せておいてください。

 それと明日、文実の前に生徒会室集合です。

 人気投票の件、みんなで立て直しますから、みんなで。

 稲村先輩にも伝えておいてくださいね。」

 

「あ、か、会長。」

 

”プ~、プ~!

 

き、切りやがった。

でもなんでバレた?

え、奉仕部に断られたって?

あ、い、稲村か!

こいつチクったな。

 

「い、稲村君、ちょ、ちょっといいかなぁ~」

 

「は、い、いや、あ~、このお肉美味しいな~

 せ、鮮度が違うんだ。」

 

「いや、それ賞味期限切れてるから。」

 

「うそ。」

 

「嘘だよ・・・・・まったく、ほらご飯ついてるよ。」

 

”ひょい”

 

「あ、ああ、すまない。」

 

「はい。」

 

「え、三ヶ木さん。」

 

「ほらちゃんと食べないと勿体無い。

 あ~ん。」

 

「は、はい、頂きます。

 あ~ん。」

 

”パク”

 

「さ、お弁当食べたね、食べたよね。

 ぐふふ、さぁお昼からもしっかり働いてもらおうか。」

 

「お、お前。」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”ガラガラ”

 

「じゃあ、瀬谷君、投票箱貸してもらうね。

 あ、それとごめんね人気投票の号外お願いしちゃって。」

 

「あ、大丈夫だよ。

 もともと投票呼びかける号外だそうと思ってたから。

 それよりいつも締め切り前の差し入れありがとう、三ヶ木さん。」

 

「うううん、こっちこそいつも舞ちゃんがお世話になってます。

 まぁなんていうか、至らぬ妹ですがよろしくお願いします。」

 

「いや似てないんだが、その設定は無理がある。」

 

はぁ、くそ、いいじゃん!

そりゃ舞ちゃんはかわいいけどさ、たぶん校内でも上の方。

わかってるけど、言葉のあれじゃん。

 

「・・・・・い、いや、ほ、ほら父親似とか母親似っとかあるから。」

 

「あ、それと腹違いとか。」

 

「・・・・・」

 

腹違いか

はは、腹黒いじゃないんだよね。

今は腹黒いのほうがいいかなぁ。

 

「あ、あの三ヶ木さん?」

 

「あ、何でもない。

 あのね、基本いい娘なの。

 よろしくお願いします。」

 

”ペコ”

 

「あ、いやこっちこそ。」

 

「んじゃ。」

 

”ガラガラ”

 

さて、あとは投票用紙のコピーしてクラス毎に分けてっと。

えっと今何時?

げ、やば文実始まっちゃうじゃん。

 

”ダ―”

 

「あ、あぶな 」

 

「きゃっ」

 

”ドン”

 

「いたたた。」

 

ん? なにこのふくらみ。

 

”ムニュムニュ”

 

この厚みといい柔らかさといいこの感触はたしか・・・

 

「あんた殴るよ!」

 

「でへへへ、やっぱり沙希ちゃん。」

 

「ほら眼鏡。

 まったく、生徒会が廊下走ってもいいの。」

 

「ううう、ごめんなさい。」

 

「それに、腕まだ完治してないんだから、何かあったらどうするの。」

 

「う、うん。」

 

「で、なにそんなに急いでたのさ。」

 

「あ、あのさ、これ文実までにコピーしてクラス毎に分けないといけないから。」

 

「わかった、ほら行くよ。」

 

「え、沙希ちゃん。

 ・・・・・ありがと。」

 

「ね、ほかに手伝うことない?」

 

えっと実は沙希ちゃんにお願いしようと思ってたことあるんだ。

多分、沙希ちゃんにしかお願いできない。

だってわたしよりセンスいいし、丁寧だし。

でも悪いかな。

 

「ほら、なんかあるんでしょ。

 顔見ればわかるよ。」

 

「あ、あのね 」

 

     ・

     ・

     ・

 

よかった。

沙希ちゃんに任せれば心配なしだ。

衣装のほうは演劇部に貸してもらえたんだけど、

サイズ微調整しないとね。

 

「今年は出ないのかなぁ。」

 

「すごく良かったのにね。」

 

「俺見たかったなぁ。」

 

”ガヤガヤ”

 

ん、有志統制なんか騒がしいね。

どうしたんだろう。

本牧君に聞いてみよう。

 

「本牧君、どうしたの?

 何か問題あった?」

 

「うん、雪ノ下さんのお姉さんのバンドなんだけどさ。

 ほら去年すごい人気だったろ。

 アンケートでも、もう一度見たいランキング一位だったし。

 でも今年はまだ申し込みがなくてね、今年は出ないのかなって。」

 

そっか、わたしはちょっと見れなかったけど、何かすごくよかったってみんな言ってた。

ん? あっ陽乃さん。

そうだ、陽乃さんに会わないといけないんだ。

 

「あ、あのね、わたしちょっと陽乃さんにあう用事あるからついでに聞いてみようか?」

 

「え、いいの?

 そうしてもらえると助かるよ三ヶ木さん。

 アンケートの件もあるから、今年も出てもらえるといいんだけど。」

 

”ガラ”

 

え?な、なに。

みんな急に静かになって。

誰がはいって・・・・・ゆきのんだ。

みんな手を止めて見てるや。

まぁ、綺麗だもんね。

比企谷君も見惚れちゃうよ。

だってこうやって改めてみるとやっぱり溜息出るほど綺麗だもん。

やっぱり頭一つ、うううん4つ、5つぐらいは飛びぬけているよね。

 

”スタスタスタ”

 

「三ヶ木さん、部活の参加申し込み書はこれでよかったかしら。」

 

「ゆきのん、ご苦労様。

 どれどれ拝見。」

 

ふむふむ。

うん、さすがだね抜けはない。

そっか、やっぱり相談室やるんだ。

わたしも相談してみようかなぁ。

でも二人に比企谷君のこと相談したらなんて言ってくれるんだろう。

 

「三ヶ木さん何か?」 

 

「あ、ごめんごめん。

 うん、大丈夫、抜けとか無いし確かに受領します。」

 

「そう、それじゃ。」

 

あ、そうだ、聞いてみよう。

本人に直接聞いてもいいけど、折角だから。

 

「あ、あのね、ゆきのん。」

 

「それやめなさい。」

 

「えへへ、あのさ、陽乃さんっていつも何時ごろだったら家にいそう?」

 

「姉さん? そうね早ければ8時頃には家にいると思うけど。」

 

「あのさ、ちょっと陽乃さんに話があるんだ。」

 

「そう、それじゃ都合聞いてみるわ。

 ちょっと待っててくれるかしら。」

 

「え、聞いてくれるの?

 ありがとゆきのん。」

 

「だからそれやめなさい。

 あ、もしもし姉さん。」

 

そうなんだ。

わたし大事なこと忘れてたんだ。

わたしは陽乃さんにちゃんと話しないと行けない。

でも許してくれるかなぁ。

陽乃さん、なんか怒ると怖そうだし、会社のこといろいろわかっちゃったしなぁ。

 

「三ヶ木さん、姉さん今実家に行ってるみたい。

 何の用って言ってるわ。」

 

「あ、ちょっとお話が。」

 

「姉さん、三ヶ木さんが何か相談したいことがあるそうよ。

 え、ええ、わかったわ、伝えておく。

 姉さん、今日は7時には家にいるそうよ。」

 

「あ、ありがと。

 じゃあ今日の夜にお伺いさせてもらうね。」

 

「ええ、わかったわ。」

 

あ、ゆきのん、ゆびに絆創膏してる。

あの中指ってこのまえ棘が刺さった指だよね。

もしかしてばい菌入って化膿したとか。

はっ、ひ、比企谷菌、比企谷菌だ!

 

「ゆきのん、指どうしたの?

 大丈夫?」

 

「え、あ、ちょ、ちょっと、お料理してて。」

 

”ぽっ”

 

え? ゆきのんの顔真っ赤。

それにお料理でってそれは棘じゃ。

・・・・・・・・・・そ、そっか。

 

「へへ、ゆきのんそそっかしい。」

 

「あなたに言われたくないわ。

 それじゃ後でね。」

 

「う、うん。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ブ~、ブ~”

 

「はい。」

 

「あ、ゆきのん、三ヶ木だよ。

 今、下に着いたよ。」

 

「あ、じゃそこで待っててくれるかしら。

 今行くわ」

 

はぁ、いつ来てもすごい。

うちのボロアパートとは大違いだ。

これなら地震きても大丈夫だね。

うちのアパートなんかマツコが転んでも危ないかも。

 

「お待たせ。」

 

「ありがと。」

 

エレベータだ、確か15階だったけ。

へへ、うちもエレベータほしいな。

だってあの階段急なんだもん。

 

「三ヶ木さん、始めに謝っておくわ。

 ごめんなさい。」

 

「え? あの~ゆきのん。」

 

     ・

 

”ガチャガチャ”

 

「三ヶ木さんどうぞ入って。」

 

「遅くにごめんね。」

 

”スタスタスタ”

 

「お~三ヶ木ちゃんいらっしゃ~い。 ヒック。」

 

うわぁ~陽乃さん飲んでるんだ。

なんか大分酔ってるみたい。

大丈夫かなぁ。

 

”ベンベン”

 

え、ここ座れって。

 

「ごめんなさい。

 わたしも今帰ってきたんだけど。

 姉さん実家から帰ってきてからずっと飲んでるみたいなの。

 話があるのなら、別の日にしたほうがいいと思うけど。」

 

「ひどいな~雪乃ちゃん。

 お姉ちゃんはしらふだよ、しらふ。」

 

「どの口がそんなこというのかしら。」

 

「ほら三ヶ木ちゃん、ここ、ここ座って。」

 

「あ、はい。

 うんしょっと。」

 

”ぷにゅ”

 

へ? あ、あの陽乃さん?

いきなり何を。

 

”ぷにゅぷにゅ”

 

いや、あのひとのほっぺで遊ばないように。

ジャリっ娘ほど柔らかくないから。

 

「あ、あにょ~、はりゅのしゃん。」

 

「姉さん、いい加減三ヶ木さんの頬から手をはな・・・・ぷっ、くくくく。」

 

ひ、ひどい、ゆきのん。

わたしの顔見て爆笑してる。

こ、この姉妹は!

 

”ぷにゅ”

 

陽乃さん、い、いい加減にして~

 

「ご、ごほん、姉さんいい加減にしなさい。」

 

「あ~、雪乃ちゃんに怒られちゃった。

 じゃあ、頬はやめてこっちのほう。」

 

”ムニュ”

 

「ひゃっ!」

 

「ね、姉さん!」

 

「だっていつもの雪乃ちゃんのつつましいのと比べると。」

 

「姉さん!」

 

「は~い。」

 

はっはっ、あ~びっくりした。

いきなり胸をムニュって。

何てことすんだ陽乃さん。

あ、わたしも人のこと言えないか。

ん? いつものって言ったよ。

この姉妹、二人っきりの時何してんだ?

もしかしてあんなことやこんなこと。

・・・ぐへへへ

 

「三ヶ木さんそのにやけた顔、下種な勘繰りやめてくれないかしら。」

 

「え、あ、いや、わたしは別に・・・・・ごめんなさい。」

 

「で、三ヶ木ちゃんなんかお話あるんだっけ。

 大丈夫だよ~、頭の中はシャキン!ってしてるから。」

 

あ、そうだ。

ちゃんと言わないと。

わたしは決めたんだ、だから。

 

「陽乃さん、入院してた時のお見舞いありがとうございました。

 なんかすごい果物頂いて。」

 

「ああ、気にしない気にしない。

 会社の必要経費で落としてるから。」

 

へ、そ、そうなの、そんなのできるの?

だって陽乃さんまだ大学生。

ま、いっか。

 

「あ、あのそれで話というのは、

 あ、あの・・・・・・・・・・わたし進学することに決めました。

 ほ、保母さんになります。」

 

「えっ? み、三ヶ木ちゃん。」

 

「わたしなんかを雪ノ下建設に誘っていただいて、

 ほんとに身に余る光栄でした。

 でも、やっぱりわたしは保母さんになりたい、なりたいです。

 夢を諦められないです。」

 

「・・・・・」

 

「は、陽乃さん、わたしは 」

 

”グビ”

 

「ぷはぁ~」

 

”グビグビ”

 

「姉さん、それぐらいでよしなさい。

 本当に飲み過ぎよ。

 そのコップかしなさい。」

 

「やだ、まだ飲むの。」

 

「姉さん!」

 

「まったく、どいつもこいつも好き勝手なことばっかり。」

 

「陽乃さん?」

 

「そっか、君もわたしを裏切るんだ。

 いいよ、別に。

 保母さんなれるものだったらなればいいんじゃない。

 君に期待したわたしが馬鹿だっただけだから。」

 

”グビグビ”

 

「陽乃さん、ご、ごめんなさい。

 で、でもわたしは 」

 

「ね、話はそれだけ?

 だったらさっさと帰ってくれるかなあ。

 わたしは一人でゆっくり飲みたいんだけど。」

 

「あ、あの、それと今年の文化祭なんですけど。

 ・・・陽乃さんのバンド出て頂けないでしょうか?

 去年の演奏がすごく良くて、もう一度聞きたいってリクエストがものすごくて。」

 

「へ~、わたし見誤ってたなぁ。

 君はわたしからの話は断っておいて、自分の願望だけは平気で要求する娘だったんだ。

 へぇ~、そうなんだ。」

 

「あ、す、すみません。」

 

そ、そだよね。

こんなのって虫が良すぎだよね。

ごめん、本牧君。

わたしじゃなかったらもしかして受けてくれたかも。

いらないことしちゃった。

 

”グビグビ”

 

「別に謝らなくてもいいよ~

 いいじゃん、みんな自分勝手で。

 あのさ・・・・・・絶対出てあげない! べ~だ。」

 

「姉さん!」

 

”ビシッ”

 

「ゆ、雪乃ちゃん。」

 

「姉さん、そんなの姉さんらしくない。

 あまり、あまりがっかりさせてほしくないのだけど。

 姉さんにはそんなの似合わない。」

 

「ゆ、ゆきのん違うの。

 陽乃さんが言う通り、わたしがわたしの虫がよすぎたんだ。

 わたしが悪いの。

 だからケンカしないで。

 陽乃さん、ほんとにすみませんでした。」

 

”ペコ”

 

「でも、わたし保母さんになりたい、なりたいんです。

 だって子供のころからの夢だったから。

 それとバンドの件、無理言ってすみませんでした。

 ほんとごめんなさいです。

 し、失礼します。」

 

「み、三ヶ木さん。」

 

”ガタッ”

 

「ふ~、ちょっと待ちなさい三ヶ木ちゃん。

 1分、いいえ30秒でいいわ。」

 

「え、あ、はい。」

 

”ガチャ”

 

え、どこ行ったの陽乃さん?

フラフラで危ないよ。

 

”シャー”

 

え? シャワーの音。

 

「ふぅ、馬鹿ねわたし。」

 

”ガチャ”

 

あ、出てきたけど、え、その格好って。

でもきっちり30秒、さすがだ。

なに時間測ってんだわたし。

 

「え、ね、姉さん、服着たままシャワーを。

 はやく着替えなさい。

 部屋中が 」

 

「だまりなさい!

 ね、三ヶ木ちゃんいい?

 こんなこと言うのもなんだけど、うちは千葉県内、うううん関東でもそこそこの会社だよ。

 当然、給料も福利厚生もしっかりしている。

 入社したら一生安泰と思ってもらっていい。

 それでもうちを蹴るということでいいんだね。」

 

「は、はい。」

 

「わかった。

 三ヶ木ちゃん、君が大学落ちても保母さんなれなくても、わたしはもう二度と雪ノ下建設に

 誘わない。

 ・・・だから、絶対大学受かりなさい。」

 

「陽乃さん。

 ・・・・・はい、絶対合格してみせます。」

 

「よし、話はこれまで。

 さてと、雪乃ちゃん後よろしくね。

 お姉ちゃんは温かいお風呂入ってくるから。」

 

”ガチャ”

 

「まったく、部屋中がびしょ濡れじゃない。」

 

”ガチャ”

 

「あ、それと雪乃ちゃん。

 明日、有志団体の参加申込書もらってきて。」

 

「は、陽乃さん。」

 

「かわいい妹の最後の文化祭、盛り上げてあ・げ・る。」

 

「ね、姉さん。」

 

「それと雪乃ちゃん。

 三ヶ木ちゃんがダメだったから、絶対、比企谷君落としなさい!

 以上!」

 

”ガチャ”

 

「ね、姉さん!」

 

「・・・・・」

 

げ、なんか気まずい。

ゆきのんさっきから横目で見てるし。

は、また絆創膏見てる。

 

「ゆ、ゆきのん、そろそろ帰るね。」

 

「三ヶ木さん、下まで送るわ。」

 

「うううん。

 玄関までで大丈夫。」

 

だってそんないじらしいゆきのん見てたら、わたし・・・・

 

”スタスタ”

 

「あ、あのさ、ゆきのん。」

 

「え、なにかしら?」

 

「あ、うううん、なんでもない。

 指の怪我早く治るといいね。

 それじゃ失礼するね。」

 

”ガチャ”

 

「ええ、ありがとう。

 おやすみなさい。」

 

「うん、お休み。」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

「今のところ機材の準備は完了しています。

 あとは有志団体さんの追加参加ですが、雪ノ下さんのバンド以外に

 もう他に追加はありませんか?

 あったら、すぐにうちまで教えてください。

 もしかしたら機材の調整必要になるかもだから。

 物品管理のほうは以上です。」

 

「あ、はい。

 さが、相模さんご苦労様。

 じゃあ、次は宣伝広報お願いします。」

 

「あ、はい。

 すでにポスターの掲示完了しています。」

 

「わぁ~すごいです。」

 

”パチパチ”

 

い、いや舞ちゃん、さっきから報告の度にいちいち拍手いいから。

で、でも部長さん達うれしそう。

 

「え、あ、そ、そう、えへへ。

 それと、あとHPのアップが遅れているので、そちらを優先で片付けます。」

 

「はい、よろしくお願いしますね。」

 

”にぎ”

 

「あ、は、はい、頑張ります。

 今週中、いや明日中にアップします。」

 

でた、舞ちゃんのニギニギ大作戦。

まったく、男子共は。

みんなあのにぎにぎと笑顔に騙されるんだよ。

あの笑顔の裏に隠された素顔も知らないで。

 

でもさ、これさがみん以外の部長、全員男子だから効果抜群なんだよな。

この効果かどうかわからないけど、今のとこスケジュールの遅れないんだもん。

ほらほら、宣伝広報部長なんか鼻の下長~くしてデレデレって。

 

いいなぁ、舞ちゃん可愛いいからね。

部活紹介の時も結構あのにぎにぎ大作戦好評だったし。

今年はもしかして人気投票、いいとこ行くんじゃない。

あ、もしかしてジャリっ娘より上とか。

 

”ゾクッ”

 

はっ、な、なに?

なにやら背中から寒気が。

じゃ、ジャリっ娘、ご機嫌悪そうで。

 

「チッ」

 

は、いま”チッ”って言ったよ”チッ”って。

かなり苛立ってらっしゃる様子。

やばい、か、会議進めないと。

 

「以上で各部会からの連絡終わりますが、他に何か議題ありませんか?」

 

えっと他に議題は無いみたいだね。

っというか、みんな舞ちゃんの方ばっかり見て。

今話してるのは、わ・た・し。

くそ~、こっち見ろ~

 

「ゴ、ゴホン!

 あのね、これ去年までと今年の文実の進行状況を比較した表です。

 今のところは例年と比べると遅れはないみたいだけど、これからがピークだから

 気を抜かないでくださいね。

 ちゃんと自分の部会の進行状況を把握しておいてください。

 あ、あと先日配布した人気投票の投票は、文化祭前の火曜日が締め切りなので、

 徹底よろしくお願いします、えへ♡」

 

”シーン”

 

だ、だめか~

くそ、いいもん。

へへ~ん、冗談だもん・・・・・・うぇ~ん。

 

「ぐす。

 えっと何か他に連絡事項ないようですか?

 それじゃこれで部長連絡会をおわ 」

 

”ガタッ”

 

へ? あ、あの会長?

 

「それでは各部長の皆さん、今日はご苦労様でした。

 暑い日が続きますけど、お身体に気をつけて頑張ってくださいね。 えへ♡」

 

「「は、は~い。」」

 

「ではではよろしくです。 にこ♡」

 

「おお! 」

 

お、お~い、なんだよこの反応の違い!

で、でもジャリっ娘、そこは委員長の締めのとこだろうが。

しかもなに最後の”えへ♡”と”にこ♡”の二段攻撃。

・・・か、可愛いじゃない。

は、そんな場合じゃない、わたしは仕事たまってんだ。

 

「さぁ、パッパッって片付けようぜ。」

 

「ああ。」

 

”スタスタスタ”

 

「いや~、でも一色ってやっぱりかわいいよな。」

 

「俺は蒔田だな。」

 

「おい、相模さんも結構かわいいぞ。」

 

「はぁ! あんたばっかじゃないの。

 そんなことばっかり言ってないで、有志団体の追加あったらちゃんとうちに連絡してよね!」

 

「おう相模さん了解。

 な、このツンツン感がなんとも。」

 

「キモ! やめてくれる。」

 

”スタスタスタ”

 

へへ、部長さん達いい雰囲気。

さがみんも頑張ってる。

よし、さがみんに負けないようわたしも仕事を。

 

「ちょっと一色さん、何わたしの仕事取ってるんですか!」

 

「仕事? ああ、絞めの挨拶のこと? 

 あら、ごめんなさい。

 ついいつもの生徒会の癖で。」

 

「うそ、確信犯のくせに!」

 

「はぁ!」

 

「なに!」

 

はぁ~、また始まった。

もう、疲れたよ~。

このまま放っておこうかなぁ。

残ってるの生徒会のメンバーしかいないし。

あ、でも書記ちゃんのあの心配顔。

はぁ、わかったわかった。

 

「かい、 」

 

”ドンドンドンドン”

 

ん、なんだこの地響きは。

な、なんかこっちに近づいてくる。

 

”ガラ”

 

ん? あれ宣伝広報の部長さん?

はは、肩で息してる、ちょっと太り過ぎだよ。

どうしたん、なにだれか探してるの?

 

「あ~、やっぱりまだいた!

 会長さん、さっき言ったでしょ。

 ほらテレビ局行く時間だよ。」

 

「え? あ、そ、そうだ。

 じゃあ、美佳先輩、テレビ局行ってきますね。」

 

「はい、ご苦労様です。」

 

助かり。

そうだよ、今日はテレビ局の放送日じゃん。

へへ、平塚先生にテレビの許可取ってこなくちゃ。

 

”ちょんちょん”

 

「三ヶ木先輩、テレビ局って?」

 

いや、さっき部長連絡会で言ってたじゃん。

やっぱ何も聞いてないねこの娘も。

 

「ほら文化祭の宣伝の件。

 今日の夕方の番組でするんだって。

 あ、会長、プロデューサーさんによろしく言っておいてくださいね。」

 

”テクテクテク”

 

さてっと、ここ片付けてわたしも仕事しなくちゃ。

もう文化祭まで時間あまりないし。

 

「じゃあ、舞ちゃんこっちの会議室閉め・・・・・

 あれ、舞ちゃん?」

 

あれどこ行ったんだろ?

トイレでも行ったのかなぁ。

ま、とにかく忘れ物は無いみたいだし、戸締りしておこうっと。

 

     ・

     ・

     ・

 

「もう! 部長さん歩くの遅いです。

 太りすぎです、少しやせてください。

 ほら、集合時間ギリギリじゃないですか~

 

「ま、待って。

 はぁ、はぁ、はぁ。

 いや、だって会長さんのメイクの時間が長いから。」

 

「だってテレビ出るんですよテレビに。

 千葉県中の人に見られるわけじゃないですか~

 はっ、もしかしたらスカウトされるかも。

 い、いえ、学校代表として出るんですから当然です。

 が、学校のためですからね、学校の。」

 

「はん! いつもと大して変わらないじゃん。」

 

「はぁ! あの~部長さん、いまなんとおっしゃられたんですか~

 いまなんと!」

 

”ボキボキ”

 

「い、いや、ぼ、僕じゃないよ。

 僕の後ろから声が。」

 

「え、部長さんの後ろ?

 いやちょっと太っててよく見え

 はぁ! なんであなたまで付いて来てるんですか!」

 

「わたし文実の委員長なんだから、テレビに出るの当たり前です!」

 

「な、なにいってるの、信じられない。

 ちょっとあなた帰りなさい。」

 

「ここは委員長権限でわたしが仕切るから、あなたこそとっとと帰りなさい!」

 

「はぁ!」

 

「なに!」

 

「あの~、総武高校さん。

 今日の放送の簡単な説明しますから、そろそろ控室の中に入って

 いただけませんか?」

 

「「は、はい。」」

 

     ・

 

「と、言うわけでゲームの内容はまだ秘密ですが、告知時間は勝った方が3分間、

 負けた方は30秒しかないので、みなさん頑張ってくださいね。

 それでは係の者が呼びに来るまで、こで待機していてください。

 あ、それとゲームへの参加者は3人ですから決めておいてくださいね。」

 

「「はい。」」

 

”スタスタスタ”

 

「やぁ、久しぶりだね。

 君も生徒会会長と実行委員長の兼任なのかい?

 実は僕もそうなんだ。

 いや~みんなから是非にとアサインされてね。」

 

「え? あ、えっと、た、たま・・・・・お久しぶりです。

 あっ、違うんですよ~、

 こっちのが文実の委員長で~す。

 ほら、挨拶してください。」

 

「え、あ、委員長の蒔田、蒔田 舞です。」

 

「よろしく蒔田さん。

 総武高さんとはクリパ以来、フレンドリーで友好的な関係なんだ。

 今回偶然にも文化祭が同じ日だから、シナジー効果によるベネフィットで

 センセーショナルに盛り上がるといいね。

 それじゃあ。」

 

「あ、それではです。」

 

”スタスタスタ”

 

「う~、い、一色さん、あの手は何?

 なんかあの手見てたら目が回って気持ち悪くなってきたんだけど。

 あ、あいつ誰?」

 

「えっと、あの人は確か、た、た、たか、たな、たま・・・

 あ、そうそう海浜総合高校の生徒会会長 玉袋さん・・・・・たしか。」

 

”ガヤガヤ”

 

「うわ~30秒しかないのか。」

 

「部長、みんなで考えたやつだと無理じゃないすか。」

 

「そうだね、いやでも早口で喋ったら 」

 

「無理! それに早口じゃ告知ならないじゃないですか。」

 

「あの~、何で負けるの前提なんですか~」

 

「だっで一色さん、海浜の人達ってなんかやりそうじゃないですか。

 ほら、あの人のあの手の動き、すごくキレがよくて。」

 

「なんですか!

 そんなのやってみないとわからないじゃないですか。

 そんなんならわたしと部長さんと・・・・蒔田さんいけるよね。」

 

「ね、何秒なら告知いけるの?」

 

「あ、委員長。

 そうですねせめて1分ぐらいほしいです。」

 

「そう。

 えっとこんな時、ジミ子先輩ならきっと。

 ね、一色さん、あの意識高い系って玉袋さんだったね。」

 

「え、あ、う、うん。」

 

「じゃ、ちょっとお願い。」

 

「え、あ、蒔田さん!」

 

”タッタッタッ”

 

「あの~、玉袋さん。」

 

「は? た、玉袋って。

 

 ・・・・・な、何かな蒔田さん。」

 

「あの、今日は告知時間をかけて対決というスキームじゃないですか。

 折角文化祭をプロパガンダ、告知するオポチュニティなチャンスなんですけど。

 わたし達じゃ海浜さんに勝てるわけないじゃないですか~

 だから全然モチベーション上がらなくて、やる気が出ないというか。

 でもそうするとスキーム的にセンセーショナルできないというか、

 視聴率的にもイシューだと思うんですよ。

 そうなると十分なアウトプットをあげられないじゃないですか。

 そこでソリューションのためのジャストアイディアなんですが、

 わたし達のインセンティブのため、それと海浜総合高校と総武高校のアライアンスのためにも

 少しだけハンデいただけませんか?」

 

”にぎ”

 

「お・ね・が・い。 ニコ♡」

 

「え? 手、手が。

 い、いや、あははは、どう、どうしょうかなぁ。

 みんなのコンセンサスを得ないとね。」

 

「え~大丈夫ですよ。

 インフルエンサーの玉袋さんがアグリーしてくれれば全然イシュー無いですよ。」

 

”にぎにぎ”

 

「そ、そうだね。

 でもどんなハンデを上げればいいのかなぁ

 ゲームの内容もわからないし。」

 

「そうですね~

 確かにゲームの内容がわからないので、ハンデというよりも告知時間を少し分けて

 頂けませんか?

 ね、玉様。」

 

「た、玉様。

 よ、よし、それじゃ僕たちの告知時間から20秒を君達に譲ろう。」

 

「待って玉繩委員長!」

 

「まぁまぁ、いいじゃないか

 ここはフレキシブルな発想で、総武高さんと良好なパートナーシップを築こうじゃないか。

 どうせ僕達が勝つんだから20秒ぐらい。」

 

「ありがとうございます。

 さすが海浜総合のリーダー 玉袋さん。

 それじゃこの件はフィックスですね。

 約束よろしくです。 にこ♡」

 

「あ、ああよろしく。

 ・・・・あ、あの、玉繩なんだけど。

 あとでアドレスを 」

 

”スタスタスタ”

 

「ふぅ~」

 

「蒔田さん、なに言ってたんだかわからなかったんだけど。

 それになにあの手の振りは。

 それにあいつの手、握りすぎじゃない?」

 

「わたしもなに言ってたのかわからん。 

 それにこっちのペースに持ち込むためにはあの手邪魔だったし。

 まぁ知ってる横文字フルに使って、何とか20秒分捕ってやったわ。

 あ、部長さん、そこの濡れティッシュとって。」

 

「あ、はいはい。

 でも委員長さすがだ。

 これでなんとか50秒は告知できるね。」

 

「はぁ? なに言ってんですか部長さん。」

 

「え、あの会長さん?」

 

「わたし達の告知時間は3分20秒ですよ。」

 

「そゆこと。

 なんだ、わかってるじゃん一色さん。」

 

「蒔田さん、あなたも気合入れなさいよ。

 絶対勝つんだから。」

 

「当たり前!」

 

「・・・・・こわ。

 ヤッパリ女子って怖い。」

 

「「はぁ!」」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カシャカシャ”

 

ふぅ~、何とか今日の分のお仕事完了っと。

あ、そろそろ放送時間だ。

えっとテレビテレビ、スイッチオン。

 

”プチッ”

 

へへ、ちゃんと平塚先生の許可とってあるもん。

 

「なんだ?」

 

「え、テレビ?」

 

「どうしたの三ヶ木、テレビなんかつけて。

 あ、そっか。」

 

「ふふふ、さがみんそういうこと。」

 

「今日のイチオシお知らせコーナーには、総武高校と海浜総合高校の生徒さん達が

 来ています。」

 

お、映った映った。

どれどれ、はは、部長画面からはみ出てる。

だから少しやせないと・・・・・・・・・

 

「あ゛ー、舞ちゃん!」

 

「え、委員長? あ、会長さんとか広報の子達と一緒に映ってる。」

 

「「どれどれ」」

 

はぁ~、舞ちゃんいないと思ったらテレビ局について行ったんだ。

え、な、なんで?

あの二人がスクラム組んでる。

不、不気味だ、なにがあったんだ。

パソコン、セーブしないと。

 

「それでは文化祭の告知時間をかけてゲーム対決です。

 対決していただくゲームは、ずばり飴玉探し。

 3人の選手の方に順番にこの片栗粉の中に埋まってる飴玉を探して頂き、

 このパレットに入れて頂きます。

 たくさん探し出した方が勝ちですよ。

 あ、探す前にこのボールの水に顔を付けて下さいね。

 勝った高校には3分間、負けた高校は30秒の告知時間になりますよ。

 はい、それでは出場する選手の方、順番に並んでください。

 まずは一番目の方、テーブルのほうへ。」

 

「部長さん頑張ってね。」

 

「部長さん、わかってるよね、にこ。」

 

「あ、はい。」

 

「二番手は、わたしが行く。

 一色さん、最後任せるから。

 あんな轆轤使いに負けないでね。」

 

「当たり前です。」

 

「制限時間は30秒

 では最初の方、ボールに顔を付けて下さい。

 いいですか、ちゃんと付けました?

 それでは、よ~いスタート!」

 

”ブォー”

 

「な、なにするんですか部長。

 いきなり息拭きかけたら、それに部長眼鏡外してない!」

 

「うひゃ~、な、なにも見えん。」

 

げ、部長さん、眼鏡真っ白で何も見えてないよ。

いやそこは片栗粉の入ったパレットじゃないし。

あ、そっか他の人は手出せないんだ。

で、でも時間が。

 

「はいそれまで。

 次の選手の人、顔を水に浸けてください。」

 

「な、なにやってるんですか!

 結局、一個も探してないじゃないですか。」

 

「す、すみませ~ん。

 な、何も見えない。」

 

”カタ、カタ、カタ”

 

「げ、蒔田さん、向こう3個。

 ちょ、が、頑張ってよ。」

 

「任せといて。」

 

「次の人、よ~い、スタート! 」

 

「え~い!」

 

”ブワサッ”

 

「お~総武高さん片栗粉の中に思いっ切り顔をつっこんだ~」

 

「ぷわぁー。」

 

”カタ、カタ、カタ”

 

す、すごい舞ちゃん一気に3個。

な、なにが彼女をそこまで駆り立てているんだ。

あ、またいった!

 

”ブワサッ”

 

ほ、ほらチャンス。

海浜の選手、唖然としてる。

 

”カタ、カタ”

 

や、やった、2個追加

よ、よ逆点だ、4個と5個!

舞ちゃん、さすが・・・・・・・

 

”げらげら”

 

「み、みんなダメだって笑ったら。

 文化祭のために頑張って・・・・・ぶふぁはははは、舞ちゃん顔真っ白!

 バカ殿、バカ殿だ。」

 

「いや、三ヶ木、あんたが一番笑ってる。」

 

「だ、だって、さがみん~」

 

「はい、それでは最後の選手です。

 準備いいですか?

 それではよ~いスタート!」

 

「一色さん任せたよ。」

 

「も、もう! 折角メイクしたのに!

 えいっ!」

 

”ブワサッ”

 

あ、ジャリっ娘も思っきりいった~

げ、向こうは玉繩君か

でもこういうゲームはあの意識高い系には

 

”ブー、ブー”

 

な、なに、はな、鼻息で片栗粉吹き飛ばしてる。

す、すごい。

容器の中の片栗粉がほとんど飛んでった。

 

”カタ、カタ、カタ、カタ、カタ”

 

げ、い、一気に5個。

ジャリっ娘大丈夫?

 

「ピー、はいここまでです。

 いや~最後の委員長さん、鼻息すごかったですね。

 えっと最後の追い込みで海浜総合高校さんは全部で9個、

 それに対し総武さんは5個ということで 」

 

「ひょっとまっで!」

 

「はい?」

 

「ぷはぁ~」

 

”カタ、カタ、カタ、カタ、カタ”

 

「はい、これでお願いします。」

 

「おお、総武高校さんも5個、5個だー!

 この可愛いお顔のどこにそんなに飴玉が入っていたんだ!

 合計10個、10個で総武高校さんの勝ちです。

 それではCMの後、告知タイムです。」

 

えらいジャリっ娘!

さすがだ!

いや~あのほっぺは良く膨らむからね。

・・・・・で、でも。

 

「くくく、ぷっあははははは。」

 

「三ヶ木、本当に笑いすぎ。」

 

「だ、だってさがみん、会長と舞ちゃんのあの顔。

 バカ殿が二人並んで、くくく。

 だ、だめだ、今日わたしご飯3杯食べれる。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「なので、皆さん是非総武高文化祭に来てくださいね。

 せ~の。」

 

「「お待ちしてま~す。」 」

 

げ、ジャリっ娘、舞ちゃん恐るべし。

このCMの短時間にメイク直しやがった。

あのままの顔でやっても面白かったのに。

 

「はい次は海浜総合高校さんの告知タイムです。

 えっと時間は10秒です。

 頑張ってね。

 はい告知スタート。」

 

「あ、か。海浜総合高校です。

 ふー、ふー、えっとイノベーションでドラスティックな文化祭を

 スキームしてセンシティヴなプロセスでマジョリティやマイノリティまで  」

 

「はい、ここまで。」 

 

玉繩君、なに言ってのかわからん。

でもなんで海浜さんの告知時間10秒なんだ?

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

「それでは、最後に委員長、お願いします。」

 

「えっと、いよいよ明後日、金曜日からは文化祭です。

 

 楽しみにしてた部長連絡会もこれで最後です。

 

 わたしはみんなと最高の文化祭を楽しみたいです。

 

 あと2日間、悔いの残らないように頑張りましょう。」

 

”にぎ、にぎ、にぎ、にぎ、にぎ”

 

「相模先輩。」

 

「あ、う、うん。」

 

”にぎ”

 

「それでは、みなさんよろしくお願いします。」

 

”ぺこ”

 

「お、おう。」

 

「いくぞ、お前ら気抜くなよ。」

 

「お前こそ。」

 

「まったく、あんたらは。

 

 ・・・・・うちもそれやればよかったのかな。

 

 あ、三ヶ木、先行ってるから。」

 

「あ、うん。」

 

”テクテクテク”

 

「ジミ子先輩、わたしすこし相模先輩見直しました。」

 

「え?」

 

「だってほら前の人気投票の件あったじゃないですか。

 だから最初はあまり信用してなかったんですよ。

 また最後は投げ出されちゃうんじゃないかって。

 でも、今回は最後まで頑張ってくれそうで。」

 

あ、違う、それ違うんだ。

あの時もさがみんは最後まで一緒に頑張ろうってしてたんだ。

それをわたしが、わたしが最低な手を使って。

謝らないといけない。

さがみんは悪くない、悪いのはわたしだ。

 

「・・・・・舞ちゃん。

 ちょっと話聞いてくれる?」

 

「え?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「つまり、わたしより備品先輩を助けるために仕組んだってことなんですね。」

 

「あ、い、いやそれだけじゃなくて 」

 

「最低。」

 

「あ、ご、ごめん。」

 

「本当に最低。」

 

「ま、舞ちゃん。」

 

「あの、すみませんが舞ちゃんなんて、気安く呼ばないでくれますか、三ヶ木さん。」

 

「え。」

 

「それと、これからあまりわたしに話しかけないでください。

 正直、これでも怒り我慢してるんですから。

 他に用事ないですか、それでは失礼します。」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、舞ち、蒔田さん。」

 

・・・ごめんなさい。

でも違う。

生徒会や比企谷君のためだけじゃなくて。

言い訳だよね。

わたし最低だもん。

 

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「な、なんですかあのバカ。」

 

”タッタッタッ”

 

「やば、やば、もう部長会終わっちゃったかなぁ。

 でも急いで美佳先輩に伝えないと。」

 

「きゃっ、あぶな 」

 

「あ、蒔田さん。

 ごめん、もう部長会終わった?」

 

「終わった!」

 

「は、な、なに?

 あ、美佳先輩はまだ会議室?」

 

「し、知りませんあんな人。」

 

「ちょ、な、なにがあったの?」

 

     ・

 

「ね、一色さん、酷いでしょあの人。

 いくら比企谷先輩のためだって。」

 

「ね、蒔田さん、本当にそのためだけだったと思う?」

 

「え?」

 

「確かに美佳先輩は比企谷先輩のためにも早く騒ぎを収めたかったと思うけど、 

 でもそれだけだったらもっと他の方法あったんじゃない?

 単に新聞部に間違いを訂正させるだけでよかったんだから。

 なんで相模先輩にまでそんなことしたんだろうね。」

 

「そ、それは・・・し、知らない!」

 

「じゃあさ、もしあの騒ぎが続いててさ、生徒総会の議題に上がったらどうなってたと思う?

 蒔田さん、全校生徒の前で新聞部の人たちとディベートして勝てるつもりだった?

 たぶん、玉袋さんのようにはいかないよ。」

 

「で、でも、わたし嘘つかれてたんだよずっと。

 ・・・・・目標だったんだあの人。

 こんなの酷いじゃない。」

 

「違う、守られたってそう思わない?

 あの時、生徒総会までに何とか解決できたから、それもあなたの願いもかなえて。

 それに知ってる?

 美佳先輩、新聞部にあなたをお願いしますって、いつも締め切り前に差し入れ

 持って行ってんだよ。」

 

「う、うそ。」

 

「まぁ、蒔田さんのいないとき見計らって行ってたみたいだから知らなかったと思うけど。

 嘘と思うのなら、部長さんに聞いてみたら。」

 

「で、でもわたし。」

 

「ね、今すぐでなくていいから、もう一回ちゃんと美佳先輩と話してあげて。」

 

「・・・・・」

 

「あ、そうだ、わたしこんなことしてられないんだ。

 美佳先輩はまだ 」

 

「うん、会議室。」

 

「じゃ、また後で。」

 

”タッタッタッ”

 

「み、美佳先輩~」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガラ!”

 

「あ、いた!」

 

え? どうしたの会長。

なんかすごく息を切らしてるんだけど。

そういえば、部長連絡会の前になんか厚木に呼ばれてたね。

 

「ふぅ~大変です、大変なんです。

 いままで厚木に呼ばれてたんですけど。

 人気投票、中止にしろって言うんですよ!」

 

「え、えー、な、なんで今頃 」

 

「なんでも、チークダンスをするなら絶対ダメだって。

 一般の人もくるから学校の風紀のこと問われるって。」

 

な、なんだ。

それなら簡単、問題ないじゃん。

わたしも前から思ってたんだ。

 

「それならチークをやめれば。」

 

「絶対ダメです!

 それじゃ意味ないじゃないですか。

 これが最後だから絶対わたしが1位になって、それで先輩とチ・・・」

 

「え?」

 

「あ、いえ何でもないです。

 チークは絶対やります、これは決定事項です。」

 

「で、でも厚木が。」

 

「だから~、わたし言ってやったんですよ~ えへ♡」

 

「え、なんて。」

 

な、なんかいやな予感。

ジャリっ娘がこの笑顔の時っていいことが起きたこと一回もないんだよ~。

お願い、変なこと言わないで。

 

「あのですね、人気投票の発表は金曜日にやっちゃいますって。」

 

「は、はぁっ」

 

「ほ、ほら金曜日は内輪だけじゃないですか~

 だから変な噂立ちませんよって説得してきました。 えへ。」

 

「い、いや、ちょっとまって、き、金曜って明後日じゃない。」

 

「1日ぐらい大丈夫ですよね。」

 

「無理無理無理無理!

 い、いやまずいから。

 明日中に衣装合わせして、あと金曜日までにいろいろ調整しないと。」

 

「え~わたし的に明日でも大丈夫ですよ衣装合わせ。」

 

え、ジャリっ娘1位決定?

いやまだ開票していないから。

投票箱はそこにあるけど、あれを今日中に開票して集計しないといけないんだよ。

重たかったから結構入っていそう。

 

「会長、衣装合わせの前に開票しないと。」

 

「だったら今日中に開票すませればいいじゃないですか?

 さ、ちゃっちゃってやっちゃいましょう。」

 

はぁ~、今日帰るの何時になるんだろう。

本牧君たちオープニングのチェックやってるし、仕方ないジャリっ娘と二人でやるか。

ほんとはダメなんだけど。

ジャリっ娘やる気満々だし仕方ないか。

 

「じゃあ、会長、投票券の通し番号チェックしてください。

 まあそんなことはないと思うけど、投票券のコピーとかないか確認してください。

 わたしは集計していきますので。」

 

「了解です。」

 

”ガラ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 そ、そんなことしていいと思っているんですか。」

 

あ、ま、舞ちゃん。

げ、やば、やっぱり気付いた?

でも仕方ないじゃん、時間ないんだもん。

わたし絶対不正しないから見逃して。

 

「まぁそこの三年生の女子は関係ないですけど、一色さん、あなたは上位候補でしょ。

 密室でしかも二人だけで開票したら、あとあと変に勘繰られるんじゃないですか?」

 

そ、そうなんだ。

問題はそこなんだよ。

わたしと違ってジャリっ娘はもしかしたら1位。

だからほんとはジャリっ娘抜きで。

 

「む~ じゃ蒔田さん、あなたがやりなさいよ。」

 

「一色さん、絶対にいや。」

 

「ま、舞ちゃん。」

 

「まったく、わたしも上位狙ってんですから。

 できたら1位になって稲村先輩と・・・・・

 ゴホン!

 いいですか、三ヶ木先輩のこと許したわけじゃないですから。」

 

「ごめんなさい、舞ちゃん。」

 

「いいですよ、出てきてください。」

 

えっ、出てきてって?

 

”ガラガラ”

 

「やあ三ヶ木さん、手伝いに来たよ。」

 

「せ、瀬谷君!

 それに新聞部のみんな。」

 

「蒔田に聞いてね、僕達も手伝わせてもらっていいかな。」

 

「あ、ありがと。

 お願いします瀬谷君、新聞部のみんな。」

 

「了解、三ヶ木さん。

 おい、みんな集計するぞ。」

 

「「おー」」

 

「さっ三ヶ木さん、頑張ろう。」

 

「うん。」

 

「蒔田さん、あなた。」

 

「なによ一色さん、別に三ヶ木先輩のこと 」

 

「この~」

 

”ぐりぐり”

 

「ちょ、ちょっとやめ 」

 

「そこの二人うっさい!

 みんなにお茶。」

 

「あ、はい。

 ・・・・・美佳先輩!」

 

「えへへ、お茶お願いします。」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

そろそろかな。

もう1回電話しようかなぁ。

急だったから来てくれるかなぁ。

 

”ガラガラ”

 

「なにかしら三ヶ木さん。」

 

「やぁ、雪ノ下さん、君も呼ばれたのかい?」

 

「あ、ゆきのん、葉山君、ご苦労様。

 ごめんね、ありがと。

 そこで待ってて。」

 

「「?」」

 

「沙希ちゃん、お願いっす。」

 

「はいはい。

 雪ノ下から採寸するね。」

 

「なんの真似かしら三ヶ木さん。」

 

「あ、ごめん。 

 まだ他の人には言わないでほしいんだけど、二人とも人気投票1位だったから。

 そんでね、明日の発表の時に演劇部に借りてきたこの王子様とお姫様の衣装来て

 もらいたいんだ。

 着れるとは思うけど、一応調整必要か確認お願いしたいんだ。

 ごめんね、人気投票が金曜日になっちゃったから。」

 

「そう。」

 

「あ、それと、ふたりともチークダンスって踊れる?」

 

「ええ、踊れるわ。」

 

「大丈夫だけど、俺と雪ノ下さんが踊るのかい?」

 

「あ、あのね、明日までに誰と踊りたいか決めておいてほしいの。

 このことは一応、ポスターとか号外とかでも事前に説明しておいたんだけど。」

 

「そ、そう。」

 

「あ、そうだったね。」

 

「雪ノ下、そろそろいいかい? 採寸始めたいんだけど。」

 

「ええ。」

 

「あ、それじゃ俺は廊下で待ってるよ。

 三ヶ木さん、終わったら呼んでくれるかい?」

 

「うん。」

 

”ガラガラ”

 

     ・

 

うわぁ~ゆきのん綺麗だな~

ほんとのお姫様みたい。

似合うな~。

 

「もういいよ雪ノ下、ご苦労様。」

 

「あ、じゃ、葉山君呼んでくるね。」

 

”ガラガラ”

 

「葉山君、お待たせ。」

 

「ああ。」

 

”ガラガラ”

 

「あ、あの三ヶ木さん、ちょっといいかしら?」

 

「え? あ、うん。」

 

「あ、あの、三ヶ木さん。」

 

「ん?」

 

「わ、わた、わたしは、そ、その・・・・・」

 

なに、へへ、モジモジしているゆきのんってちょ~かわいい。

なにその指の絆創膏見つめて

・・・・・絆創膏、まだしてたんだ。

 

「三ヶ木さん、わたしは比企谷君を指名したいんだけど。

 そ、その、いいかしら。」

 

「・・・・・」

 

わかっていたんだ。わかってた。

人気投票の結果、うううん集計なんかしなくても1位はゆきのんが本命って思ってたし。

それで1位になったら、絶対に比企谷君を指名するだろうなってわかってた。

わかってたんだ。

それにわたしなんてゆきのんの足元、うううん足の裏にも及ばないって。

・・・・・でも、でも。

 

「み、三ヶ木さん?」

 

「あったりまえだよ、ゆきのん。

 それはミス総武高の特権だよ。」

 

「そう、ありがとう。

 でも指名したら比企谷君がまた何か言われないかが心配。」

 

「そ、それは・・・・」

 

また絆創膏見てる。

そうだよね。ゆきのんも比企谷君のこと好きなんだもんね。

ゆきのん、そんなこと気にしちゃダメ。

人がなんて言うかなんて気にしてたら何もできないよ。

大丈夫、比企谷君なら絶対大丈夫だよ。

もしもの時は、わたしが何とかして見せる。

わたしが彼を守るから、どんな最低な手段使っても。

だから、

 

「わたしは大丈夫だと思う。」

 

「そ、そう。

 あなたがそう言ってくれるのなら。

 それじゃ。」

 

「うん、またね。」

 

”スタスタスタ”

 

ふぅ~。

でもどうしょう。

去年のことがあるから大丈夫かなぁ。

なんか対策考えないと。

あ、葉山君終わったかな。

 

”ガラガラ”

 

「えっ、葉山君!

 え、えっともしかして聞こえてた?」

 

「ああ、すまない。

 なかなか扉を開けにくかったのでね。

 そっか、彼女は比企谷を選ぶのか。」

 

「え、えっと、他の人には内緒にしててね。

 あ、葉山君と雪ノ下さんが1位だったことも。」

 

「わかってるよ。」

 

「葉山君も踊りたい相手が決まったら連絡してね。

 あ、わたしのアドレス教えておくね。」

 

「もう決まってるよ。」

 

「え、はや! えっと誰? やっぱり三浦さんとか?」

 

「君だ。」

 

「は、はい?

 ・・・・・いや、冗談はいいから。」

 

へへ、葉山君でも冗談言うんだ。

でもそんな真顔で言わないで。

思わずドキッとしちゃったじゃん。

 

「で、誰?」

 

「冗談じゃないよ、君にお願いしたい。

 いいかな。」

 

「いや、あの えっとでも、わたしなの? 」

 

「ミスター総武高の特権だったよね。」

 

「は、はい。

 で、でもわたしなんかでどうするの?」

 

「・・・・・

 じゃあ、お願いするね。」

 

”スタスタスタ”

 

あ、あの葉山君?

ほんとマジかよ。

なんでわたしなんだ。

なんかある、なんかあるぞ、なぜわたしなんだ。

そこには絶対理由がある。

 

あ、やばい チ、チークなんて踊ったことないよ。

どうしょう。

第一、チークってなんだ。

 

     ・

     ・

     ・

 

「ひゃっはろー。

 よ、三ヶ木ちゃん、有志団体の申し込み持ってきたよ。

 遅くなってごめんね、まだ大丈夫?」

 

「陽乃さん。

 は、はいまだ大丈夫です。

 わたしのほうで仮申込書を提出しておきましたから。

 ・・・・・あ、あの、陽乃さんほんとに大丈夫ですか?

 急に出演、明日にしてもらって。」

 

「ん~、なんとかなるでしょ。」

 

「ごめんなさい。」

 

「おやまぁ。

 それじゃ、おっきな貸しにしておいてあげる。

 あとチークだったね。」

 

「あ、し~。

 よ、よろしくお願いします。」

 

     ・

     ・

     ・

 

ふ、ふ~、チークダンスってなんて恥ずかしいんだ。

聞いてはいたけど、あれはやばい。

明日、あれやるのか。

マジやばい。

でも、ぐへへ、陽乃さんいい匂いだったなぁ~

・・・・・比企谷君もゆきのんと踊るんだよね。

はぁ~

あ、家、電気ついてる。

もしかして、

 

”タッタッタッ”

 

ん、テレビの音。

やっぱり。

 

”ガチャ”

 

「ただいま、とうちゃん今日早かったんだ。

 良かった、晩ご飯一緒に食べれるね。

 いまつくるからちょっと待ってて。」

 

「おう、おかえり。

 腹ペコだ、美味しいの頼む。」

 

「いっつも美味しいよ~だ。

 るんるん♬」

 

へへとうちゃんと一緒の晩ご飯なんて久しぶり。

最近ずっと待ってられなくて、とうちゃん帰ってくるまでに寝ちゃうから。

よ、よし今日は張り切って特別美味しいやつを作るぞ。

 

「な、なぁ、美佳。」

 

「うん? な~にとうちゃん。」

 

「後でちょっと話があるんだ。

 実はお前にあわ 」

 

「ご、ごめん。

 明日から文化際だから準備とかあって今日あまりゆっくりできないんだ。」

 

「そ、そうか。

 じゃあ明日は?」

 

「明日もダメ。

 ほ、ほら文化祭だから。」

 

「それじゃ、明後日。」

 

「・・・明後日も! それから明々後日もずっとずっと時間ないの!」

 

「み、美佳! いつなら時間取れるんだ?」

 

「やだ聞きたくない! 聞きたくない! 聞きたくない!

 わたし何も聞きたくない!

 と、とうちゃんの馬鹿!」

 

”ダッ”

 

「み、美佳、待ちなさい!」

 

”ガチャ”

 

「とうちゃんなんて大嫌い!」

 

「美佳!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「とうちゃんの馬鹿。」

 

     ・

     ・

     ・

 

「とうちゃんの馬鹿、馬鹿、大馬鹿。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ピンポ~ン”

 

「お兄ちゃん、小町いま手が離せないの。

 出て。」

 

「お、おう。

 誰だこんな時間に。」

 

”ガチャ”

 

「こ、こんばんわ。」

 

「お、おう、どうしたんだ三ヶ木。」

 

「あ、あの、・・・・・今日泊めて・・・・お願い。」

 

「おう・・・・・・え?」




長々ダラダラとすみませんでした。

最後まで読んでいた方、ほんとすみませんでした。
今度こそは2話に分割します。

えっと、次話やっと文化祭です。
(な、長かった。)
その前に・・・・・・

すみません、あきられずにまた読んでいただけたらありがたいです。

※す、すみません。
 途中、片栗粉が小麦粉に。
 修正します。
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