似て非なるもの   作:裏方さん

65 / 79
今回も見に来ていただき感謝です。
本当にありがとうございます。

すみませんです、更新大分遅くなりました。
(ちょっとスランプ気味かもです。
 いやスランプになるような内容書いてるのかってことですが・・・・)

えっと、今回は体育祭後編で秋物語最終話。

1万メートル走の決着はです。
またしても2万字越えで申し訳ないです。
お時間とらせてしまい申し訳ありませんが、
よろしくお願いします。

※すみません、字数は23000字越えでしたっす。
 字数多く申し訳ありません。
 ご面倒お掛けしますが、ご無理なさらずよろしくお願いします。




体育祭編 後編 ー戦い終わってー 

「えっと、それから消毒液と絆創膏、ピンセットに包帯、脱脂綿っと。

 あとはアイスノンが届けば準備OK。

 よし救護班準備完了!

 さぁどんとこいや!

 ・・・いやいやいや、ほんとは誰も来ないのが一番。

 今日は救護テントに誰も来ませんようにっと」

 

”タッタッタッ”

 

「美佳先輩、こんちっす。

 あの、傷絆創膏ありませんか?」

 

「げ、もう来やがった!」

 

「え? あ、なんかすみませんっす。」

 

「はは、冗談冗談、ごめん刈宿君。

 で、どしたん?」

 

「あ、100m走でゴールした時に、ちょっとコケて膝を擦りむいた

 みたいで。

 へへ、ちょ~恥ずかしかったっす」

 

「大丈夫?

 膝、ちょっと見せてみ」

 

「あ、はい」

 

「ふむふむ。

 うん、表面擦りむいただけだね。

 ちょっとそこの椅子に座って」

 

「うっす。

 うんしょっと」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

「うんしょはやめろ!

 まったく。

 えっとペットボトルペットボトルっと、確かこのクーラーボックスの中に

 入れておいたはず。

 あ、あったあった。

 まずは砂とかちゃんと水で流さないとね」

 

「あ、いいっすよ、そんなに大したことじゃ 」

 

「だめ。

 ちゃんと砂とか取り除かないと膿んだりするんだから。

 いいからジッとしてる!」

 

「う、うっす」

 

”トポトポトポトポ”

 

「よし。

 それからっと・・・・・・・ぐふ、ぐふふふふ」

 

「あ、あの、美佳先輩、な、なにを?」

 

「消毒」

 

”チョン”

 

「ぐ、ぐぉ~、し、染みる~」

 

「男なら我慢我慢」

 

「う~。

 でも美佳先輩、なんか喜んでないっすか」

 

「え? よ、喜んでなんかいないよ、やだなぁ~」

 

”チョン、チョン”

 

「ぐぅお~」

 

「ぐふふふふ」

 

「やっぱり喜んでる!」

 

「あははは、ごめんごめん。

 はい、消毒完了、後は絆創膏を」

 

”ピタ”

 

「はい、完了」

 

「ありがとうございますっす。

 でもなんか慣れてますね」

 

「まぁ生徒会入ってから、体育祭とかマラソン大会とかずっと救護班

 担当だもん。

 そりゃ慣れるって」

 

「・・・あ、あの、美佳先輩」

 

「ん?」

 

「あの、あのっすね、俺 」

 

「ん、どしたん?」

 

「あ、あの俺、実は 」

 

「三ヶ木さん、アイスノン持ってきました」

 

「あ、ありがと。

 そこのクーラーボックスに入れておいてくれる?」

 

「は~い」

 

「んで、刈宿君なに?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・

 えっと、あ、ほらもうすぐ1万メートル走じゃないですか。

 確か稲村先輩と、比企・・・・あいつも出るんでしょ。

 俺、ここ代わりますから行って下さい」

 

「あ、うん。

 で、でも悪いからいいよ」

 

「大丈夫っすよ。

 俺、次の種目まで時間あるから任せてください。

 それに保健委員の人もいますから」

 

「で、でも、わたし赤組で比企谷君達と組違うから。」

 

「そんなの関係ないですよ。

 さ、ささっ、行った行った」

 

「うん、ありがと刈宿君。

 じゃ、ちょっとだけ行ってくる」

 

「うっす」

 

”タッタッタッ”

 

「・・・・はぁ~、今度はちゃんと話さないと。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”わ~、わ~”

 

「葉山君、はや~い」

 

「また1位だったね」

 

「あ、ほら、葉山君戻ってきたよ」

 

「きゃ~、葉山く~ん」

 

ち、相変わらずだな。

くそ、苦々しい。

特に今日は三浦が近くにいないからな、一段と騒がしいんじゃねえか。

まぁ、葉山の活躍は想定済みだし、それでも序盤戦の100m走、玉入れ、

障害物競争を終わって得点は40対30。

戸塚や刈宿達の奮闘もあって、赤組に何とか食らいついている。

葉山の活躍で、序盤から戦意喪失していた去年と比べるとよくやってる。

何とかこのまま終盤まで食らいついていければ。

 

「只今の後ろ向き走の第1レースは、1位紅組、2位白組、3位紅組の順でした。

 続きまして、第2レースのスタートです」

 

ん? そういえばこの声って書記ちゃんか?

どれどれ。

おお、間違いない書記ちゃんだ。

左右に体育委員を従えて、放送席の真ん中にドンと座っている。

その姿に卒業生を送る会の時に見せたような、あのおどおどしさはもうない。

成長したな書記ちゃん。

そういえば他の役員はどこだ?

 

確か三ヶ木は救護テントにいたな。

あいつ今回も救護班ってどんだけ消毒好きなんだ、このS子め。

 

「位置について、よ~い」

 

”パァーン”

 

ん? ああいたいた。

スタート係をしているのは本牧か。

普段は一色の陰に隠れて目立たないが、よく生徒会をまとめている。

あいつが生徒会のバランサーなんだろう。

一色という神輿を担いでよく頑張っていると思う。

 

えっと、そういえば一色はどこにいるんだ?

 

”きょろきょろ”

 

えっと、あ、いたいた、テントの奥の方・・・・

一色さん、扇風機の真ん前に座って涼んでいらっしゃる。

今日暑いもんな~、いや~暑い。

・・・・・はぁ~。

 

ん? 一色、誰か呼びつけて。

あれ体育委員長じゃね。

なんだ、なにか指示してるのか?

あ、でた! あのあざとい作り笑顔。

おお、体育委員長、何人か体育委員集めてどこかへ。

ああ、ゴール付近の人の整理に行ったのか。 

ほう、一色よく見てんな。

確かにゴールのところあんだけ混雑してると危ねえからな。

あいつああ見えてもちゃんと見てるのか。

だが、体育委員長、いや体育祭運営委員長を作り笑顔一つでこき使うとは。

・・・・・恐るべし一色。

 

さて、もう一人の役員、稲村純。

あいつはあそこにいる。

入場門の横、あの場所が1万メートル走の集合場所だ。

 

”スタスタスタ”

 

入場門か。

だめだ、入場門を見ると思い出してしまうあの体育館倉庫でのことを。

あの時、平塚先生が体育館倉庫に入って来なかったら、いやもう少し遅かったら

俺達は・・・

ん、ちょっと待てよ。

平塚先生、入ってくるタイミング微妙に良すぎない?

それにあの時の笑顔。

まるでいじめられっ子がいじめっ子の弱みを目撃した時のような

満面の笑顔。

・・・・・お、おい、まさかあの人、ずっと見ていたわけじゃないだろうな。

や、やばい、嘘だ、嘘だと言ってくれ~

 

「あ、ヒッキー」

 

お、おいやめろ由比ヶ浜。

ここ、1万メートル以外にも各種目の選手集まってんだからな。

そんなところで、でっかい声でヒッキーって呼ぶんじゃねぇ。

こ、ここは他人、他人のふりで。

 

”タッタッタッ”

 

「ヒッキー、何で無視するし」

 

「・・・・・ちっ、何か用か?」

 

「あ、あのね、これ作ってみたの。

 よかったらもらってもらえないかなぁ~って」

 

「はぁ? なにこれ?」

 

「え、え~と、あのね」

 

”もじもじ”

 

なんかの袋・・・だよな?

デコデコしてなんかいっぱい飾りがついてるんだが。

あ、そうか、うん、そうに違いない。

これは、そう、万が一のためのエチケット袋入れだ。

 

「エチケット袋入れか。

 折角だが 」

 

「エ、エチケットー

 ち、違うし、お守りだし!

 あ、あの、怪我とかしないようにって・・・・」

 

お守り袋って、お前こんなキラキラデコデコしいお守り見たことないぞ。

それになにこのへんなキノコの飾り、君これお守りにもつけたの。 

 

「ちゃ、ちゃんと頑張って作ったんだからね。

 ・・・ヒッキーが無茶して怪我しないようにって。

 もういい、いらないなら返して、馬鹿」

 

は、いや、お前、そんな涙ぐむことじゃねえだろう。

まぁ、こんなデコデコしたお守り、どこにも売ってねぇからな。

 

「ありがとさん。

 怪我しないよう、もらっとくわ。

 そんじゃ、そろそろだから」

 

「う、うん。

 あのねヒッキー、絶対無茶したら駄目だよ。

 だれもそんなの望んでいないんだから。

 約束だよ」

 

「ああ、わかってる」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・・・結衣ちゃん、比企谷君と何話してたんだろ。

 なんか渡したみたいだけど。

 声、かけにくいなぁ」

 

「ん、三ヶ木?」

 

「あ、稲村君」

 

「どうした何か用か?」

 

「い、いやなんでもなくて。

 あ、そうだ、今日ちょっと暑いからあんまり無理しないでね」

 

「なんだ三ヶ木、俺のこと心配してくれるのか?」

 

「あったりまえじゃん。

 だって役員一人減ったら、その分の準備とか後片付け大変なんだもん」

 

「そ、それでか!」

 

「おう、それでだ!」

 

「・・・・・ま、まぁいいけど。

 あ、もうスタートだから行ってくる」

 

「へへ、頑張ってね」

 

「ああ。

 ・・・・・な、なぁ」

 

「うん?」

 

「1万メートル走、もし俺が勝ったら少し時間くれないか?」

 

「え?」

 

「話しがあるんだ」

 

「・・・・・・」

 

「だめか」

 

「あ、あの・・・・・・」

 

「1万メートル走、そろそろはスタートします。

 選手の方、集まってくださ~い」

 

「すまない、変なこと言った、忘れてくれ。

 じゃあ、行ってくる」

 

「・・・・・あ、あの、わかった」

 

「そ、そっか、じゃあ後でな三ヶ木」

 

”スタスタスタ”

 

「俺が勝ったらか。

 その時って・・・いや、今考えるのはやめておこう。

 全ては走ってからだ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それでは1万メートル走スタートします。

 準備いいですか?」

 

長距離では体力も重要だが、それより駆け引き、戦略が大事だ。

勝負どころを掴み、それまでできるだけ体力を温存しないといけない。

まぁ、勝負は学校、それもグラウンドでの攻防だろう。

それまでの体力の温存が勝負の鍵だ。

ならば、まずは様子見だ。

 

「位置について、よ~い 」

 

”パァーン”

 

「さぁ、1万メートル走がスタートしました。

 グラウンドを1周した後、学校の周囲コースを回って戻ってきます。

 各組2名の選手、さて1着で戻ってくるのは何色の選手でしょうか。

 選手の皆さん、頑張ってください。」

 

”タッタッタッ”

 

よ、よし、まずは予定通り様子を見てだなって、お、おい!

 

”ダ―”

 

い、稲村、お、お前!

何で初めからそんなに飛ばしてるんだ。

これ短距離じゃねえんだぞ。

そんなペースで走ったら、最後まで体力もたないだろうが。

ちっ! 様子見どころじゃない。

あの馬鹿。

 

”ダ―”

 

     ・

 

「ただいま。

 刈宿くん、留守番ありがと。

 あのね、稲村君すごく早かった。

 あ、比企谷君も必死で追いかけてたっけ」

 

「ええ。

 ここから見てましたけど、あのペースじゃ二人とも最後までもたないっすよ」

 

「そ、そう? 大丈夫かな二人とも。

 怪我とかしなければいいけど」

 

     ・

 

”ダー”

 

く、くそ、学校まで体力温存するはずの計画が台無しだ。

こ、こんなペースで走っていたらゴールまでもたねぇ。

稲村、なに考えてるんだ?

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 お、おい稲村、お前もう少しスピード緩めろって。

 こんなペースじゃもたねえぞ」

 

「・・・・・・」

 

「な、なぁ」

 

「はぁ、はぁ、黙れ。

 比企谷、お前駆け引きとか体力温存とか考えていたのか?

 はぁ、はぁ、はぁ。

 余裕あるんだな。

 まぁ、お前はお前らしくグダグダ考えて走ってろ。

 それがお前にはお似合いだ」

 

「はぁ、はぁ、な、なに!」

 

「じゃあな、比企谷」

 

”ダー”

 

ち、あの野郎。

 

     ・

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

や、やべ、し、心臓が破裂しそうだ。

こ、こいつマジで最後までこのペースで走る気なのか。

無茶苦茶じゃねえか。

そ、そろそろ、げ、限界、あ、足が。

 

”ふら”

 

「ぐっ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 ひ、比企谷、もう限界か?

 まぁ、所詮そんなもんか」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「無理しないでさっさと棄権したらどうだ?

 じゃあな。」

 

”ダ―”

 

「ちっ、出来ればそうしたいんだけどな。

 出来ねえんだよ。」

 

”ダ―”

 

     ・

 

”タッタッタッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

く、くそ、明らかなオーバーペースで、い、息が続かねぇ。

し、心臓がくるしい。

く、くそ、あ、足がでねぇ。

 

”ドタッ”

 

「はぁ、はぁ、ひ、比企谷、俺の勝ちだ。

 そこで最後まで寝てろ、このにせ 」 

 

”ドタッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「はぁ、はぁ、い、稲村、お前も限界じゃねぇか。

 もう走れねえんだろうが」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、うっせ!」

 

”スクッ”

 

げ、た、立ち上がりやがった。

まだ走れるのか稲村。

お、俺はもう限界で・・・

 

「はぁ、はぁ、比企谷。

 はぁ、はぁ、はぁ。

 俺は、俺はな、三ヶ木が好きなんだ。

 お前なんかよりずっとな!

 だのになんで・・・・・なんであいつはお前を。

 この馬鹿野郎!」

 

”タッ、タッ、タッ”

 

い、稲村、そんなことわかってるってんだ。

お前が本当に三ヶ木のこと好きなのわかってる。

だから、

 

”スクッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

だから、だから絶対負けられねえんだよ。

くっそ!

 

”タッ、タッ、タッ”

 

     ・

     ・

     ・

 

”トボトボトボ”

 

「稲村先輩、大丈夫かなぁ。

 あちゃ~、仕事ほったらかしてついこんなとこまで見に来ちゃったよ。

 あとで準備係のみんなに謝っておかないと。

 でも、もう少しだけ。

 うん、あの角まで見に行ってみよう。

 だって、あんなペースで走ったら最後までもたないよ」

 

”トボトボトボ”

 

「・・・・・稲村先輩、本当にジミ子先輩のこと好きなんだ」

 

”ズキッ”

 

「いやだ。

 わたし、わたしは稲村先輩に勝ってもらいたくない。

 ・・・・・負けてほしい。

 だって、だって勝っちゃったら・・・・・

 はぁ~、なに考えてんだろう、わたし」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

「はぁ~、はぁ~、はぁ~」

 

「あ、い、稲村先輩!

 それとその後ろ、えっ、ゾンビ?

 あ、備品先輩か。

 二人ともフラフラ」

 

「はぁ~、はぁ~」

 

”フラ”

 

「あっ! 稲村先輩」

 

「はぁ~、はぁ~、く、苦しい。

 も、もう足が動かない。

 はぁ、はぁ、はぁ」

 

「・・・・・・もう!」

 

”タッタッタッ”

 

「稲村先輩、何やってるんですか!

 ふらついてる場合ですか!

 すぐ後ろに比企谷先輩来てますよ。

 ほら頑張ってください、学校はもうすぐそこです。

 頑張って、頑張って。

 ・・・・・絶対、絶対勝つんでしょ!」

 

「ま、蒔田か。

 ああ、そうだな

 よ、よし!」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

「頑張って・・・・・ください。

 わ、わたし、うううううううう」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

ん? あ、蒔田か。

こんなとこでなにやってんだ。

え、何で泣いてるんだこいつ?

 

「備品先輩!

 備品先輩、負けてあげてください。

 稲村先輩に勝たせてあげて。

 お願い、お願いします」

 

はん?

稲村に勝たせてくれって、蒔田お前なにか知ってるのか?

でも何で泣いてるんだ?

さっき稲村と話していたようだが、何かあったのか?

あ、そういえば文化祭の時、由比ヶ浜がこいつのことなんか言ってたな。

確かエンディング大変だったって。

それでこいつは稲村のことがって。

・・・・・ち、そういうことか。

そんな顔してなに言ってるんだ。

お前それでいいのか。

稲村が勝ったらお前・・・・ちっ、大馬鹿野郎。

 

「断る!」

 

くっそ、どいつもこいつも好き勝手言いやがって。

蒔田、お前の依頼、絶対受けない。

 

”タッタッタッ”

 

     ・

     ・

     ・

 

「綱とりの綱、ここに片付けておきますね」

 

「あ、三ヶ木さんご苦労様」

 

「ふ~、でも舞ちゃんどこ行ったんだろう」

 

”わ~、わ~”

 

「おっと、入場門をご覧ください。

 1万メートル走の選手が戻ってきたようです。

 えっと1位は稲村せ、ごほん! 白組のようです。

 あ、2位の・・・・・ゾンビ?

 い、いえ、白組の選手です。

 二人ともなんだかすごくフラフラですね。

 ゴールはもう少しです、頑張ってください」

 

「あ、い、稲村君、それに比企谷君も戻ってきた。

 すごい1位と2位って。

 で、でも二人とも大丈夫かなぁ、なんかフラフラ。

 えっとなんか冷やすものと飲み物。

 頑張って、いまゴールのとこ持っていくからね」

 

”ダー”

 

     ・

 

「おっと、紅組の選手もグラウンドに戻ってきました。

 こちらはまだ余裕がありそうです」

 

「稲村、ゴールはすぐそこだぞ、頑張れ!」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

「はぁ、はぁ、本牧か。

 あいつは、ひ、比企谷は?」

 

”チラッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「そっか。

 ちゃんとついてきてんだな」

 

”スタ、スタ・・・スタ”

 

な、何、後ろ見てんだ稲村。

よ、余裕かよ。

こ、こっちはもう心臓もたねぇってのに。

げ、限界だ。

走るどころか、もう、あ、歩けねぇ。

すまん三ヶ木、俺はも、もう。

 

『今までも大好きでした。

 そんで、これからもずっとずっと比企谷君のことがだいす 』

 

ぐ、何やってんだ。

大事なもの、失ってもいいのかよ。

 

”スタ・・・スタ・・スタ、スタ”

 

くそ、まだ負けねぇ。

 

”チラッ”

 

稲村、またこっちを。

まだだ、まだ負けてない、絶対諦めねぇ。

 

「比企谷・・・・・」

 

あん? な、なんだ、今なに言ったんだ?

 

”ドサッ”

 

はぁ!  い、稲村?

ど、どうしたんだ?

なんで急に倒れたんだ。

 

”スタ、スタ”

 

「はぁ、はぁ、お、おい、稲村」

 

「・・・・・」

 

「稲村大丈夫か!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、何でもない。

 ちょっと足を痛めただけだ。

 いいから先に行け、ハンデだ。

 すぐ追い越すからな」

 

「‥・・・」

 

「比企谷、急がねえと紅組の奴らに抜かれるぞ。

 ほら先行け」

 

「・・・・・」

 

”ぐぃ”

 

「お、おい、比企谷」

 

「立てよ稲村、ほら行くぞ。

 肩に掴まれ」

 

「や、やめろ、離せって」

 

「うっせ、紅組そこまで来てるんだ。

 いやならお姫様抱っこするからな」

 

「馬鹿、や、やめろ」

 

”スタ、スタ、スタ”

 

・・・・・おいて行けっかよ。

だ、だが、明らかにペースダウンだ。

くそ、ゴールはそこだっていうのに、このままじゃ紅組の奴らに抜かれちまう。

だが足を怪我した稲村に、これ以上無理はさせられねぇ。

 

「比企谷」

 

「はぁ、はぁ、なんだ稲村?」

 

「行くぞ」

 

「え?」

 

”ダー”

 

「え?、え゛~」

 

い、いや、稲村、さっき足を怪我したって言ってなかった?

そ、そんなに早く走らないで、お、おい、俺の足がついていかねぇって。

 

”タッタッタッ”

 

「ゴール!

 1万メートル走、いまゴールしました。

 1位と2位は白組、白組の二人が仲良く肩を組んでのゴール」

 

”ドサッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

も、もう走れねぇ。

い、いや立ち上がることもできねぇ。

し、心臓いてぇ~、苦しい~

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 だ、大丈夫か比企谷」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 稲村、お前、足痛めたって嘘じゃねえか」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 お前の方こそ、なんで先に行かなかったんだ。

 先行けばお前の勝ちだったろうが」

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「比企谷!」

 

「お、俺は守りたかっただけだ」

 

「はぁ?」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。

 俺は、俺はあいつの、三ヶ木の大事なもの守りたかったんだ。

 一色、本牧、書記ちゃん・・・そして稲村。

 三ヶ木にとって、お前らとのつながりはとっても大事なものなんだ。

 なぁ稲村、お前とのつながりは、あいつにとってとても大事なのものなんだ。

 それを失なうわけにはいかない。

 失ってしまったものは簡単には戻らない。

 あいつにとって大事だと思うものを失わないために、俺は勝つわけにも負ける

 わけにもいかなかったんだ絶対に。

 1万メートル走、お前の問いに対する解、これが俺の解だ」

 

「・・・・・勝たないし、負けないっか」

 

「まぁ、負けてた俺が言っても締まらないけどな。

 稲村、お前こそなんだよアレ。

 足何ともなかったじゃねえか。

 何であんなことしたんだ。」

 

「・・・・・」

 

「稲村」

 

「‥・・・比企谷、俺は 」

 

「比企谷く~ん、稲村く~ん」

 

”タッタッタッ”

 

「ご苦労様。

 ほんと心配したよ大丈夫?

 はい、アイスノン。

 それとね、はい稲村君これ飲んで。

 ポカリの缶、縮めてポカ缶」

 

「・・・縮めなくていいから、なんだポカ缶って。

 まぁ、三ヶ木ありがとう」

 

”カチャ、ゴクゴクゴク”

 

「えへへ。

 それと、はい比企谷君」

 

「ありが・・・・・・お、おい、マッ缶、マッ缶かよ」

 

「え、違うの?」

 

「い、いま喉がカラカラなんだ。

 さ、さすがにマッ缶はきついんだが」

 

「うそ!」

 

「うそじゃねぇ、お、お、俺にもポカリくれないか」

 

「え、あ、あの~」

 

「な、無いのか?

 ポカリもう無いのか?」

 

「だ、だって、比企谷君の体の65%はマッ缶でできてるはずじゃ」

 

・・・・・お、おい、それだと俺の血や汗はマッ缶なのか。

そんな糖分いっぱいの血ってやばいだろう。

それに汗がマッ缶って、ヘタに汗かいたら汗腺詰まるんじゃねえか

は、そんなこと言ってる場合じゃない。

喉がカラカラで本当にやばいんだ。

 

「い、稲村、一口、一口でいいからポカリくれ。

 のどが渇いて干からびそうだ」

 

「ん? あ、すまない。

 いま全部飲んだところだ」

 

「ぜ、全部飲んだって、もう無いのか。

 ・・・・・俺、ここで死ぬのか。

 そうなんだ、ここで干からびて死ぬんだ。

 三ヶ木、稲村、世話になったな」

 

「お、大げさだし!

 も、もう、はいポカリ。

 ごめん、ちょっとからかってみたかっただけなの」 

 

「おお、ポカリ。

 い、いいのか? くれるのか?

 の、飲んでもいいんだよな。

 も、もう返さないからな!」

 

「わ、わかったから。

 それあげるから」

 

「おお、サンキュー、愛してるぜ!」

 

”ガチャ、ゴクゴク”

 

う~、生き返る、体中に水分が染み渡って細胞が生き返るようだ。

え? あ、あの~三ヶ木さん、ぽか~んて口開けてどうしたの?

ん、稲村まで馬鹿面してどうしたんだ?

 

「お、おい比企谷、お前いま 」

 

「ん?」

 

「ひ、比企谷君のバカ、いきなり何言うのさ」

 

え、なに?

俺なにか言ったのか?

えっと・・・・・・・・・・あっ!

 

「い、いや、ち、違う。

 あ、あの、ポ、ポカリがだ。

 このポカリのことだから、本当にポカリだから」

 

「・・・・・」

 

やばい、な、なに言ってんだ俺。

三ヶ木、赤くなって固まってるんじゃない。

い、いや、地面にのの字書くのもやめろ!

いや違う、違うんだ。

ポカリが、本当にポカリがだな。

 

「さてっと。

 比企谷、俺は準備係の仕事あるから行くわ。

 三ヶ木、ポカリありがとうな」

 

「あ、う、うん。

 また後でね、稲村君」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・・・比企谷、俺はわかってたんだ。

 あの時、お前と三ヶ木の痴話喧嘩を見せつけられて。

 あんな三ヶ木、俺見たことない。

 三ヶ木が俺に求めているものはそれとは違うんだよな。

 恋愛とは違う感情、なんかそういうものなんだ。

 

 だから俺は自分を納得させたくてこんな賭けをした。

 ・・・・・お前が三ヶ木のため真剣に走る姿を見たくて。

 だけどお前は三ヶ木のことを、三ヶ木の大事なものを守るために走った。

 

 初めから勝負ついてんじゃねえか。

 まったく。」

 

”スタスタ、ピタ”

 

「おい比企谷!」

 

「だからミカリが、いやポカリがだな 

 ん? なんだ稲村。」

 

「比企谷! 俺はお前を認める。」

 

「は?」

 

「じゃあな。」

 

「おう。」

 

認めるっか。

あのな稲村、俺もお前のこと認めてるんだよ。

お前、本当に三ヶ木のこと思ってくれてる。

だから俺はやきもち妬いたんだ。

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃお昼行ってきます。

 ちょっとお願いしますね。」

 

「は~い、三ヶ木さんごゆっくり。」

 

”スタスタスタ”

 

「う~んっと、比企谷君応援席にはいないね。

 購買行っちゃったのかなぁ。

 急がないとパン買っちゃう」

 

     ・

 

く、くそ、出遅れた。

足が震えてうまく歩けねぇ。

まだパン残ってるのかよ。

今日はウインナーロールとナポリタンロールって決めていたんだ。

ん? ロールといえば三浦。

三浦はなんであんなに勝ちにこだわっているんだ?

しかも自ら団長にまでなって。

 

 

‐‐‐‐ 体育祭前の放課後 ‐‐‐‐

 

 

「話ってなんだ三浦。」

 

「・・・・・」

 

「優美子、どしたん?」

 

「あ、あーし、白組の団長やることにしたから」

 

「そうか、ご苦労さん。

 じゃあな」

 

「ヒッキーちょっと待って。

 で、それで?」

 

「あ、あのさ、勝ちたい」

 

「勝ちたい?」

 

「今度の体育祭、絶対勝ちたい。

 あーしは白組で、隼人は赤組。

 最後の、最後の体育祭なのに、どうして、どうして同じ組じゃないのさ!

 それっておかしくない? 絶対おかしいし。

 敵同士だから、隼人の応援すら出来ないじゃん。

 ・・・・・そ、それに体育祭終わったら、もう受験受験ってことになるから。

 一緒にいられる時間なんて少なくなるから、最後の思い出にって思ってたのに。

 

 だから、だから勝ちたい。

 この体育祭、あーしは勝ちたい!

 結衣、ヒキオ・・・・・力貸してほしいんだけど」

 

いや、今の説明おかしいだろ。

だから同じ色になれなかったからって、なんで勝ちたいんだ?

そこがわからなければ、この依頼受けるわけにはいかない。

 

「三浦、だからなんでお前は勝ち 」

 

”だき”

 

「優美子・・・大丈夫だよ。

 うん、わかった。

 絶対勝とう、あたし達応援するよ。

 ね、ヒッキー。」

 

「え? いや、あのね 」

 

 

‐‐‐‐そして今‐‐‐‐

 

 

勝ちたいか

あの後、あいつら二人で盛り上がって、結局何で勝ちたいのかが

よくわからなかったんだが。

まぁ、葉山が絡んでるのは間違いないのだろうが、勝ちたい理由ってなんだ。

 

”ボリボリ”

 

まぁ、理由わからねえけど、仕方ねえか。

受けちまったもんな、由比ヶ浜が。

ここ大事だから。

受けちまったからな、由・比・ヶ・浜・が。

 

ふぅ~、まずは兎に角昼飯食ってからだな、昼飯っと。

 

「・・・・・お、おい」

 

パン、パン何も残ってねえじゃねえか。

は、だったらおにぎり、おにぎりは?

ツナおにぎり、い、いや、何でもいい。

 

「・・・・」

 

・・・・・・・なんもねぇ。

パンもおにぎりも何も残っていない。

 

”ぐぅ~”

 

はぁ~、腹減った。

 

     ・

 

”カチャ、ゴクゴクゴク”

 

「ふぅ~」

 

保健室横、購買の斜め後ろ、俺のベストプレイス。

やっぱりここはいい潮風が吹いている。

人の通りも少なく、昼休みは天使の舞が観られる。

戸塚、部活終わっても練習してるんだよな、勘が鈍らないようにって。

まぁ、さすがに今日は天使の舞は観られないか。

 

”ぐぅ~”

 

は、腹減った。

せめて天使の舞で気を紛らせようと思ったのだが。

はぁ~、やっぱり三ヶ木にもらったマッ缶だけではもたないか。

仕方ない、もう一本買ってくるかって、やっぱり俺の体はマッ缶で

出来てるのかよ。

さてと。

 

「あ~、やっぱりここにいた」

 

「ん?」

 

「ゆきのん、やっぱりここにいたよ」

 

「そう」

 

”スタスタスタ”

 

「ヒッキー、ご飯一緒に食べよ」

 

「あ、い、いや俺は 」

 

「あら、あなたダイエットでもしてるのかしら。

 そういえばお腹の周りがなんだか」

 

「ば、馬鹿いえ、み、見ろダイエットなんか必要としねぇ」

 

”ガバッ”

 

みよ、この引き締まった腹直筋を。

って、実際1万メートル走の練習で結構絞れてんだよな。

 

「「・・・・・」」

 

えっと、雪ノ下、由比ヶ浜、なに固まって。

 

「お、おい?」

 

「・・・・あ、ご、ごめん。

 ひ、ヒッキー、結構いい身体してるんだなぁって」

 

「そ、そうね、思ったより」

 

いや、そんなに見つめないでくれる。

ちょ、ちょっと恥ずかしいんだが。

は、ムダ毛処理してきたかしら?

・・・・・・・おい!

 

「ごほん。

 まぁ、ちょっと出遅れてな。

 パン買えなかったんだ。

 だから昼食は 」

 

「ヒッキー、あ、あのね・・・・・・・

 はい、お弁当!」

 

「は?」

 

「お、お弁当作ってきたの・・・・・ヒッキーの分。

 よ、よかったら食べてくれな 」

 

「断る!」

 

「即答だ。

 なんでさ、頑張って作ったのに」

 

「俺はまだ死ぬわけにはいかない。

 俺には専業主夫になるという尊い夢がある」

 

「ひ、ひど!

 それに尊くなんかないし」

 

「比企谷君、大丈夫よ。

 わたしがちゃんとついて見てたから。

 そこそこには食べれるはずよ」

 

「そこそこなんだ!」

 

「雪ノ下、お前がちゃんと見張っていたんだな」

 

「ええ」

 

「仕方ねえ、貰ってやろう」

 

「うう、なんかあげたくなくなった」

 

「由比ヶ浜さん、いいわ、ここで二人で食べましょう」

 

「うん。

 ヒッキーなんかにあげない」

 

「え? く、くれないの?」

 

「いっただきま~す」

 

「頂きます」

 

”パク”

 

「う~美味しい」

 

「ええ、あなたにしては上出来よ。

 とてもよく出来てる」

 

「でしょ~

 このウインナー、タコの形にするの大変だったんだよ~」

 

”パク”

 

「え、あ、そ、そう? 

 あ、あのお味のほうも美味しいわ」

 

”ぎゅるるるる~”

 

やばい、腹が減って死にそうだ。

こ、ここは例え毒であるとわかっていても、何か腹に入れないともたん。

 

「あ、あの、ゆ、由比ヶ浜さん。

 一人でその量を食べるのは大変そうだから、よかったらお弁当頂いてあげても 」

 

「べ~っだ。

 ヒッキーになんかあげない」

 

「ガハマ大明神さま~、そこをなんとか」

 

「ガハマ大明神ってなんだし!

 し、し、仕方ないからだからね。

 あげないと、ヒッキーうるさいから。

 その代わりちゃんと食べてよね、最後まで」

 

「はは~」

 

「もう。

 はい、どうぞ」

 

「お、おお~、い、頂きま~す」

 

”パク”

 

ま、マジか。

食える、食えるぞこのハンバーグ。

これ本当に由比ヶ浜が作ったのか?

そうか、そういえばたしか料理勉強してるって言ってたもんな。

こ、こいつも成長してるんだ。

そういえば胸のあたりもまた少し成長・・・・・

ご、ごほん。

 

「美味しいじゃないかこのハンバーグ」

 

「えへへ、本当?」

 

”パクパク”

 

「おお、このチキンナゲットもなかなか。

 お前、本当に料理できるようになったんだなぁ」

 

「そ、そう?

 えへへ、ヒッキーじゃんじゃん食べて。

 あ、そうだ!

 このおにぎり自信作だよ」

 

「おう」

 

”パク”

 

「・・・・・・・・・・」

 

「え? ひ、ヒッキー?」

 

「お、おい」

 

「あ、はい」

 

「なんだこれは!

 このおにぎりに入っている具はなんなんだ!」

 

「え? これってチョコレートだよ」

 

「それは見ればわかる。

 おにぎりにチョコレート入れるんじゃない」

 

「だって、ヒッキー甘いの好きじゃん。 

 それにチョコレートは疲労回復にいいっていうから、ありかなぁ~って」

 

「雪ノ下!」

 

「由比ヶ浜さん、あなたいつのまにそんなものを。

 ごめんなさい。

 まさかおにぎりぐらいは大丈夫と思って、つい目を離した隙に。」

 

「ヒッキー、美味しくない・・・・・・・かなぁ」

 

ば、ばっかそんな目で見るんじゃねえ。

その上目遣い、ぜってぇ反則だからな。

くそ、今回だけだからな。

は、腹減ってるから何とか食えるだろう。

 

”パクパク”

 

「ヒ、ヒッキー」

 

「な、慣れてみれば、、け、結構いけるんじゃねえの。

 なんか洋風おはぎみたいで・・・・・」

 

「ヒッキー♡」

 

「う、うぇっぷ」

 

     ・

 

はぁ、はぁ、はぁ、あと少しだ。

もう少しでこの苦行から解放され

 

「うぐっ」

 

や、やばい吐き気が。

何か飲み物、飲み物で流し込まないと大変なことになる。

 

「す、すまん、雪ノ下お茶もらえないか?」

 

「ええ、ちょっと待ってくれるかしら」

 

う、ううう、やばい。

そ、そろそろ限界が。

 

「雪ノ下、このお茶もらうぞ」

 

”ひょい”

 

「あ、比企谷君、ちょっと待って。」

 

”ゴクゴク”

 

「ふ~、サンキュ、雪ノ下。

 え、雪ノ下?」

 

「・・・・・」

 

な、なに? 何で目逸らして?

 

「ヒッキー、そのコップのお茶、ゆきのん飲んでたやつだよ」

 

げ、ま、マジか。

か、間接キス、しかも飲んでたお茶って。

お茶の何%かは、雪ノ下の唇に触れてるよね。

 

「あ、い、いや、す、すまん。

 つ、つい」

 

「・・・・・・まったくあなたは」

 

「もう! ヒッキー、はいお茶」

 

「サンキュ・・・・・って、これはお前の飲みさしじゃねえよな」

 

「・・・・・」

 

「な、なぜ黙ってる由比ヶ浜」

 

「いいじゃん、こ、コップ1個しかないから」

 

「・・・・・由比ヶ浜」

 

「由比ヶ浜さん」

 

「い、いま、部室行って紙コップ持ってくる」

 

”ダー”

 

「あっ」

 

「え?」

 

”ドン”

 

「ご、ごめんなさ~いって、あ、美佳っち」

 

「あ、あの、ご、ごめん。

 ちょ、ちょっとお昼に行こうと思って通りかかっただけだから。

 ごめんね、今、あっち行くから。

 ・・・・ごめん」

 

”スタスタ”

 

「ちょっと待った!」

 

”にぎ”

 

「これ、この手に持ってるのお弁当だよね」

 

「あ、あの、これ・・・・」

 

「一人分にしたらすごく多いよね」

 

「あ、わ、わたし、こ、こう見えても大食いだから。

 も、もう、あっち行くから」

 

”ジー”

 

「あ、あの、結衣ちゃん手を離して、その~ 」

 

「・・・・・・・そっか。

 美佳っち、ほら行くよ」

 

”ぐぃ”

 

「え、あ、あの、ゆ、結衣ちゃん」

 

「それ、ヒッキーの分でしょ」

 

「・・・・・ごめん」

 

「なんで、何で謝んのさ」

 

「だって」

 

「美佳っち、前に言ったよね。

 あたしがヒッキー好きな気持ち押し潰してたら、ゆきのんが一番悲しむって。

 それと一緒じゃん、あたしはヒッキーが好き。

 そして 」

 

”だき”

 

「美佳っちも大好き。

 だからちゃんと勝負したい。

 だから・・・・・ね」

 

「結衣ちゃん」

 

「ほら行くよ」

 

”ぐぃ”

 

「あ、ちょ、ちょっと待って結衣ちゃん」

 

「待たない」

 

”ダー”

 

「お待たせ」

 

「あら」

 

「げぇ、み、三ヶ木」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

「げぇってなんだ、げぇって」

 

「いててて、な、なんだ。

 何か用か」

 

「あ、あの、あの・・・」

 

「あのねヒッキー、美佳っちドジだから、お弁当作りすぎちゃったんだって。

 ヒッキーなら食べれるでしょ」

 

「あ、い、いや、そろそろお腹が 」

 

「あら、もう食べれないのかしら?

 そうだ、三ヶ木さん。

 この男、さっきわたしの飲みかけのお茶を 」

 

「わ、わかった。

 食べる、食べる、なんならそれ全部食べてやるこの野郎!」

 

「げ、なんか怒られた。」

 

「あははは、美佳っちよかったね。

 あ、そうだヒッキーにお茶!

 あたし紙コップ取ってくる」

 

「あ、お茶のペットボトルあるから。

 よかったらどうぞ」

 

「お、おうサンキュ」

 

”ゴクゴク”

 

「ぷはぁ~、生き返った。

 死ぬかと思った」

 

「ひど!

 ヒッキーちょ~ひどい」

 

「うふふ、それじゃ、お弁当みんなで食べましょう」

 

「あ、待って。

 わたし敷物持ってきてるから」

 

”ガサガサ”

 

ん? アカ俺のレジャーシートか。

相変わらず準備がいいな、三ヶ木。

でもそのシート、どうみても4,5人用じゃない?

1人でそれ座るつもりだったの。

ま、まあいいか。

さて、さすがにこのままじゃちょっと苦しい。

少しジャージの紐緩めてっと。

さぁ、昼飯食うか。

 

「どっこいしょっと」

 

”ベシ”

 

「い、いてぇ、な、なにすんだ三ヶ木」

 

「そこ、イレギュラーヘッド様の顔踏むんじゃない」

 

で、でも、どこ、どこ座ればいいの。

君たち座っているから、もうここしか空いてないんだけど。

え、俺だけ立って食うの?

 

     ・

 

「へぇ~、美佳っちの叔母さんってアメリカに住んでたんだ」

 

「うん」

 

「でもなんでアメリカ行ってたの?」

 

「う~ん、なんでだろ?」

 

「叔母さんがアメリカに。

 そう、それなら英語はお願いできそうね」

 

「ん?」

 

”ぱく”

 

美味い。

三ヶ木のお弁当、おにぎりと唐揚げと卵焼き、あとこれ肉巻きアスパラか。

どれも美味い。

まぁ、さすがに雪ノ下のサンドウィッチやローストビーフとかに比べるとあれだが。

なんていうか、まぁこれぞ家庭の味って感じでなんか美味い。

このおにぎり一つにとっても、塩加減とかちょうどよくて。

薄くもなく濃くもなくちょうどいい。

それにふっくらしてて、口に入れるとふわって崩れて。

これなら何個でも食べれそうだ。

・・・・由比ヶ浜、それに比べお前これ握りすぎだろ。

なんかお米が潰れて押し固められてて、塊のようになっているんだが。

まぁ、由比ヶ浜のことだ、一生懸命握ったんだろうけど・・・・・固い。

ウインナーとかゆで卵とか、チキンナゲットとかは、まぁそこそこ食べれる。

こいつにしては頑張ったんだろうな。

 

「ふ~、食った食った。

 ほんとご馳走さん」

 

「ね、ねぇ、ヒッキー、お弁当どうだった?」

 

「あ、いや、どれも美味かったっと思うぞ」

 

「・・・あのさ、誰のお弁当が一番美味しかった?」

 

ぐ、由比ヶ浜、お前がそれ聞くのか。

なにその顔、結構自信ありそうなんだが。

いや雪ノ下さん、そんなに睨んでプレッシャーかけないで。

ん? 三ヶ木そんな心配顔して何オロオロしてるんだ?

 

・・・・・大丈夫だ。

心配するな、わかってる。

 

「美味かった、本当にうまかった。

 どのお弁当にも、心? なんか美味しくなれってそんな心みたいなものが

 詰まってたような気がして。

 本当にどれも美味しかった。

 お弁当に込められていたそんな心にどうやって順番つければいいのか

 俺にはわからない。

 だから、雪ノ下、由比ヶ浜、三ヶ木、どれも美味かったご馳走さん」

 

”ペコ”

 

は、なに言ってんだ俺。

リア充?

は、恥ずかしい~、顔あげられねぇ~

どこか穴、穴開いてない?

 

「こころ。

 ふふふ、あなたにしては上出来よ」

 

「む~、なんか騙されてるような」

 

「まぁまぁ。

 あ、これトマトの砂糖付け持ってきたの。

 デザート代わりにどう?」

 

「あら、美味しそう」

 

「うん、美佳っちいただくね」

 

”パク”

 

「うわ~甘くて美味しい」

 

「ひ、比企谷君もどう?」

 

「い、いや、三ヶ木、俺のトマト嫌いなの、お前知ってるだろう」

 

「ああ、大丈夫だよ。

 ちゃんとなかのジュクジュクしたの取ってあるから。

 ちょっと食べてみて」

 

「そ、そっか」

 

”パク”

 

「え? あ、甘い。

 これなら食べれるな」

 

”パクパク”

 

「よかった。

 少しでもトマト食べれるようになればと思って」

 

”パクパク”

 

「おう、美味いぞ。

 これなら全然問題ない」

 

「む~、ヒッキー、食べ過ぎだし」

 

     ・

 

「ふ~、お腹いっぱい。

 あたしもみんなみたいにお料理上手になりたいなぁ」

 

「大丈夫よ、大分成長したわ」

 

「結衣ちゃん、比企谷君が言った通りお料理は心だよ。

 だからすぐ上手になるよ」

 

”テクテク”

 

「あ、いたいた。

 雪ノ下さん、ちょっといい?

 応援合戦の打ち合わせしたいんだけど」

 

「わかったわ。

 それじゃ、先に行くわね」

 

「ああ」

 

「ゆきのん、頑張って」

 

「ええ」

 

”スタスタスタ”

 

雪ノ下、団長だもんな、忙しそうだ。

ん、あ、そうだ由比ヶ浜に聞いておくことがあったんだ。

三ヶ木いるけど、まぁこいつならいいよな。

 

「な、なぁ、由比ヶ浜、三浦の依頼の件だが、何であいつそんなに

 勝ちたがってんだ?

 勝ったら何かあるのか?」

 

「ん? あれって隼人くんと同じ組になれなかったからで、そんで

 団長になって最後の想い出って・・・・・あれ?」

 

「お前、理由知らなかったのかよ。

 あんなに二人で盛り上がってたのによ」

 

「えっと、えへへ」

 

「まぁ、葉山絡みなのは間違いねえけどな」

 

「あのね、それ恐らくツーショットだよ」

 

「「え?」」

 

「三ヶ木、なんだそのツーショットって」

 

「毎年、学校新聞で体育祭の特集やってるでしょ。

 その中で、優勝した団長さんと最優秀選手のツーショットの写真が載るの。

 三浦さんが勝ちたい理由が葉山君なら、きっとそれが理由なんじゃない?」

 

「ま、まて、それだと葉山が最優秀選手になることが前提じゃねえか。 

 普通、優勝した組から選ばれるんじゃねえのか?」

 

「あ、でもさヒッキー、ほら隼人君って出てる種目全部1位じゃない。

 だから、このままだと紅組負けても最優秀選手になるんじゃない?

 問題なのは白組の方かも」

 

「ああ確かにな。

 去年ほどでもないが、午前の部終わって80点対60点で負けている。

 やっぱり葉山の活躍がきいている。

 後半どれだけ巻き返せるかか」

 

「うん、ヒッキー、美佳っち、優美子のためにも白組頑張ろう」

 

「まぁ依頼受けち待ったもんな」

 

「えっと、結衣ちゃんわたし紅組・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「フレー、フレー、紅組」

 

あ、あれ、センター雪ノ下か。

学ランに赤のハチマキって、あいつすげぇ似合っている。

 

”ドン、ドン”

 

紅組の応援合戦は空手の演舞か。

太鼓の拍子に合わせてメッチャカッコいいじゃねえか。

 

「キャ~、葉山くん格好いい!」

 

「葉山く~ん」

 

葉山?

はっ、太鼓。

上半身裸で太鼓叩いてるの葉山じゃねえか。

お、おい、それ反則だろ。

・・・・・くそ、すげぇ格好いい。

 

”ドン!”

 

うん? 列が左右に分かれて後ろから。

 

”ダ―”

 

お、おう、さらし!

学ランの上脱いで、上半身さらし姿の女子の列が!

は、今度のセンターは川越か。

お、おお~

 

”ぎゅ~”

 

ぐはぁ、い、いてぇ~

だれだ頬抓ったの。

は、由比ヶ浜、なんでここに。

 

「ゆきのんも沙希もかっこいいね。

 あ、やば、急がないと。

 ・・・・・ヒッキー、あたしもちゃんと見ててね」

 

「あ、ああ。」

 

「うん、じゃあ頑張ってくる」

 

”タッタッタッ”

 

ううう、ほ、頬がいてぇ。

あいつ思いっ切り抓りやがった。

 

”わいわい”

 

「雪ノ下さん、いいなぁ」

 

「うん、さすがミス総武だね」

 

「葉山君素敵」

 

「あのさらしの女子のセンター、誰?

 ね、誰か知らない?」

 

いや、わかるけどって、お、おい白組男子、い、いや女子まで

お前ら見惚れすぎだ。

これ、応援合戦もやばいな。

 

     ・

 

「Go Fight Win!」

 

お、おお、ミニ、ミニ、ミニスカート。

み、三浦、やっぱりスタイル良いよな。

学ランもいいけど、やっぱりチアダン、チアダンだよな。

は、あの三浦の横にいるのは由比ヶ浜か。

間に合ったようだな。

 

”ゆっさ、ゆっさ”

 

お、おおー

さすがガハマさん。

そ、その胸はもはや最終兵器。

ぐふ、ぐふふふ。

 

お、男子のピラミッド始まったな。

でも大丈夫か、練習であんまり成功してなかったようだが。

最後の一人、か、刈宿、落ちるなよ。

 

「ピー」

 

「はっ!」

 

「「おおー」」

 

よ、よかった。

え、ピラミッド?

いやいや、ピラミッドの横のチアダン女子によるタワー。

見せパンってわかっていてもなかなか。

えっと、ピラミッドは成功したの?

 

「八幡?」

 

「は、ち、違うぞ戸塚。

 ちゃ、ちゃんとポンポンもって踊ってたぞ。

 け、決して由比ヶ浜の、む、胸とか見せパンを凝視していたわけじゃないぞ」

 

「は、八幡、よだれ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「う~ん、ちょっと軽い熱射病かもしれない。

 そこで横になってて。

 あ、ごめん、誰かこのタオル濡らしてきてくれる?

 それと、一応、保険室の先生、呼んできて」

 

「「はい」」

 

「それでは借り人競争はじめまーす。

 最初の選手の人はスタート位置についてください」

 

「ふ~

 あ、あれ刈宿君だ。

 借り人競争にも出てんだね」

 

「よ~い、」

 

”パァーン”

 

「お~、やっぱ早い。

 あっという間に封筒のとこまで着いちゃった。

 ん?」

 

”タッタッタッ”

 

「んん? な、なんかこっち来た」

 

「美佳先輩、お手」

 

「ワン!

 って、お前~」

 

”にぎ”

 

「美佳先輩、ノリいいっす。

 さぁ、俺と一緒にきて」

 

「え、あ、ちょ、ちょっとまって~」

 

”タッタッタッ”

 

「な、なに? どうしたの?」

 

「大丈夫、俺にその身を任せて」

 

「え?・・・・・・な、なに言ってんだ」

 

”タッタッタッ”

 

「ゴール。

 やった~、美佳先輩、俺達一着っす」

 

「そ、そう」

 

「失格!」

 

「え? 審判の人、な、なんでですか!」

 

「だってほら君、紙にはとっても可愛い人って書いてあるだろ。

 だから 」

 

”ボゴォ”

 

「ぐぅぇ~、は、腹パン」

 

「うっさい、わかってるわ!

 もう、ふん!」

 

”プリプリ”

 

「な、なによ、あの審判!」

 

「み、美佳先輩?」

 

「刈宿君のバカー!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「はい次の組の人、お互いの足を結んでください。

 途中で取れないようにしてくださいね」

 

「蒔田、いい、ちゃんと合わせなさいよ」

 

「はぁ? 一色の方こそ合わせな」

 

「な、合わせるのはあんた」

 

「か、会長、じゅ、準備いいですか?」

 

「あ、はい。

 副会長、準備できてますよ~」

 

”とん”

 

「あいた! 何肩ぶつけてるのさ」

 

「あんたが悪いから副会長に怒られたでしょ」

 

「あん!」

 

”ドン”

 

「い、いたぁ~

 こ、この~」

 

「何よ一色」

 

「か、会長、いい加減にしてください。

 え~い、よ~い 」

 

”パァーン”

 

「あ、ちょ、」

 

”ドタ”

 

「「いった~い」」

 

「あ、あんた馬鹿ですか! スタートは右足からっていったでしょ」

 

「だから右足からスタートしたじゃない。

 一色の方こそ、出す足間違えてるじゃん」

 

「いや、わたしが右足だから、あなたは左足。

 ばっかじゃない」

 

「はん、ちゃんと説明しないからでしょ」

 

「なによ」

 

「なに!」

 

「「う゛~」」

 

「あ、あの会長、蒔田さん、次の組を初めてもいいですか?」

 

「「え? あ、ご、ごめんなさい」」

 

”ビュ~”

 

「は、はや~、めっちゃはや」

 

     ・

     ・

     ・

 

ふむ。

例年のごとく、葉山のすさまじい活躍があったが、

残りチバセンと色別リレーを残して130点対120点。

なんとか白組がリードしている。

だが残りの2競技、目玉競技ってことでそれぞれ30点入るんだよな。

まぁ、理想はチバセンで勝って、色別は赤組、葉山に勝たせるのが

一番いんだがな。

そうすれば白組が勝って、それで最優秀は赤組でも葉山だろう。

 

「ヒッキー、勝ってる、勝ってるね白組。

 優美子、このまま勝っちゃおうね」

 

「う、うん」

 

な、なに三浦さん、いつもと違ってしおらしい。

競技の最中も葉山のこと応援したいだろうにずっと我慢してたもんな。

戸部ぐらいいればいいんだが、野郎どもは全員紅組だからな。

まぁ、乙女のあーしさんもいいもんだ。

 

「ヒ、ヒキオ、あーしのこと見過ぎだし」

 

「あ、い、いや、す、すまん」

 

「ヒッキー、それでチバセンの作戦はどうするの?」

 

「ああ、それだが今回のルール改定の要点。

 大将は各組一人で、時間終了時に一方の大将だけが残ってる場合は、

 それで勝敗決まるんだったよな」

 

「うん。

 それで、もし両方とも大将が残ってるか、残っていない場合は、残ってる騎馬の

 数で勝敗が決まるんだよ」

 

「そこでだ」

 

     ・

 

ぐふ、ぐふふふ。

今回のチバセンのルール改定、もう一つ大きな改定があったのだよ。

ルール上、集中して狙われる大将を考慮して、大将の騎馬だけは体力のある男子が

務めることになったのだ。

白組の大将は三浦、そして騎馬は前衛が材木座、後ろが俺と稲村だ。

したがって俺の右肩には三浦の・・・ご、ごほん。

 

「お、おい比企谷、お前なんか変なこと考えていないか」

 

「ひ~、ヒキオ最低」

 

”ぼこぼこ”

 

「お、おい、三浦やめろ。

 殴るんじゃない

 ば、ばっか稲村!お、俺は勝つことしか考えていないぞ」

 

「八幡! ちゃんと我の手を握っているのだ。

 騎馬が崩れる故、決して離す出ないぞ」

 

「いや、材木座、お前、手ギトギト過ぎだろ」

 

さて、さて敵の様子はっと。

ふむ、体育委員の権限を使って確認した通りだ。

やっぱり大将の騎馬は葉山、大岡、大和か。

ほほう、あいつ予想通りの反応してやがる。

わかる、わかるぞ、その反応。

お前も下種だな。

くくく、勝負はもらった。

 

「各騎馬、準備いいですか~

 それでは、平塚先生、お願いします」

 

な、なにあの人、よっぽどそれやりたかったの?

本当にうれしそうにほら貝もって。

なぜだろう、ほら貝が一升瓶に見えるのは俺だけ? 

 

「いいか皆のもの、いくぞ、よ~い、」

 

”ぷおおおおお~”

 

いよいよ始まったか。

 

”わ~わ~”

 

まずは乱戦だな。

今回は大将以外の騎馬の生き残りも重要なポイントになる。

お互いの大将がハチマキ取られたり取られなければれば、生き残った騎馬の

数で決まるからな。

どれ敵の大将は。

 

”シュパッ”

 

おお、行く先行き先の騎馬から的確にハチマキを取っていきやがる。

まぁ予想通りだ。

それに相変わらず、あいつは単独でこっちに向かってくる。

だが、こっちはまだだ。

まだ早い、今は体力温存だ。

 

「ヒキオ」

 

「まて、まだだ三浦」

 

必勝のための布石、その一。

雪ノ下の体力を削ぐ、削ぎ落とす。

白組の騎馬は三浦の周りを固める騎馬以外、雪ノ下に波状攻撃を加えている。

繰り返し繰り返しの攻撃で、ここにくるまでにはかなりの体力を減らすだろう。

その分こっちも紅組の攻撃に耐えないといけないが。

 

”わ~”

 

うん? げ、ま、まずい。

こっちの守備陣の一角が崩れた。

 

”シュパッ”

 

また一騎やられた。

だ、誰だあの騎馬。

は、か、川越か!

 

「三浦、覚悟しな!」

 

「あん!」

 

”ギロ!”

 

「ひゃっ」

 

「あ、馬鹿、急に立ち止まったらバランスが 」

 

”グラッ”

 

「沙希、ハチマキ頂き~」

 

”シュパッ”

 

「あっ」

 

よ、よし、よくやった由比ヶ浜。

し、しかし、す、すげぇ。

あーしさん、あんた何者だ。

睨んだだけで、川越の騎馬の女子が竦み上がりやがった。

よ、よしなんとか持ちこたえた。

 

”わ~”

 

え、次は何?

げ、ゆ、雪ノ下、もう目の前まで。

やばい、まだちょっと早い。

 

「お、おい由比ヶ浜出番だ。

 雪ノ下を止めろ」

 

「う、うん」

 

そうだ、こっちには由比ヶ浜がいたんだ。

由比ヶ浜相手なら雪ノ下も攻撃を躊躇して時間稼ぎができるはずだ。

由比ヶ浜頼むぞ、すこしでも雪ノ下の体力を削いでくれ。

 

「ゆきのん、これ以上は、」

 

”シュパッ”

 

「きやっ」

 

「由比ヶ浜さん、あまいわ」 

 

お、おい、瞬殺かよ。

ちっ、仕方ねえ。

 

「三浦、くるぞ。

 必勝のための布石その二だ」

 

「わかった。

 雪ノ下、あんたお嬢様なんでしょう。

 お嬢様は怪我しないように後ろでおとなしくしてたらどう?

 あーしに負けてあとで泣いても知らないけど」

 

「葉山君行きなさい、前進よ」

 

「ゆ、雪ノ下さん、挑発に 」

 

「売られた喧嘩は買うわ。

 わたしたちで勝負を決める。

 いいから突っ込みなさい!」

 

「わ、わかった」

 

”ダ―”

 

よ、よし、突っ込んできやがった。

そうだ、もっと勢い付けてこい。

勢いがつくほど、俺たちの勝利が近づいてくるのだ。

 

「ヒ、ヒキオ、き、来たよ」

 

「ああ、任せておけ」

 

必勝のための布石、その三!

将を射んと欲すれば先ず馬を射よっだ。

そう、狙いは騎馬。

女子を肩に乗せて、その感触ににやけているあいつだ。

 

「材木座、稲村、前進だ!

 相手の騎馬の右横につけろ」

 

「「お、おう」」

 

”ダ―”

 

よし、そうだ。

出来るだけこいつに近づいて、それで騎馬の動揺を誘う必勝の矢を放つ!

よ、よし今だ!

 

「大岡、お前どうて 」

 

”ズルッ”

 

「きゃっ」

 

え? あ、ジャージが

う、うそ。

 

「雪ノ下、隙あり!」

 

”シュパッ”

 

「え、あ、」

 

”グシャ”

 

お、おい騎馬崩れたけど、雪ノ下大丈夫か?

な、何ともなさそうだよな。

 

「か、勝った! ヒ、ヒキオ、勝ったよって、あ、あんたなんて格好してるの!

 さ、さっさとジャージを穿きな!」

 

「お、お、おう」

 

く、くそ、飯食った時に緩めてたんだった。

マジ見られたよな。

ま、まぁ、八幡の八幡を見られたわけじゃないから。

パ、パンツだけだから。

 

”わ~、わ~”

 

は、そ、そうだそれより。

 

「三浦、油断するな。

 紅組は必死でお前のハチマキ取りに来るぞ。

 守備隊、予定通り壁だ、壁を作れ」

 

「・・・・・・・」

 

お、おい、あれ?

し、白組の皆さん、あの~予定通り壁つくってほしいな~って。

い、いや、みんなこっち向いて固まってる。

 

「白組のみんな、壁!」

 

「「はい!」」

 

あーしさん、本当あんたすごいわ。

あーしさんの一声で正気に戻りやがった。

 

「よ、よし、三浦、壁を利用して逃げ回るぞ」

 

「う、うん」

 

”タッタッタッ”

 

「まったく、比企谷、君っていうやつは。

 それより、雪乃ちゃ・・・・・雪ノ下さん、大丈夫だったかい」

 

「ええ、葉山君、大丈夫よ。

 あ、あの、ありがとう」

 

「怪我がなくてよかった」

 

     ・

 

ふふふ、やった。

これで優勝は決定だ。

次の色別リレー負けても白組が10点差で優勝だ。

まぁ、葉山のことだ、色別でも活躍して最優秀選手は決りだろうしな。

ふぅ~

あとはこの壁を利用して時間切れを狙えばいい。

 

ん? 一騎、壁の端を通り抜けてきたのか。

ほほう、やるな。

だが甘いな、ほら壁の後ろにはそのための予備戦力が。

え、あの紅組の騎馬って。

 

”グラ”

 

「あ、あぶねぇ!」

 

”ダー”

 

「ちょ、ちょっとヒキオ、急にどうして」

 

「比企谷、どこに行くんだ。

 あ、や、やばい騎馬が崩れる」

 

”グシャ”

 

「ヒ、ヒキオ!」

 

”ダ―”

 

ま、まってろ小町!

いまお兄ちゃんが行くからな。

もう少し持ちこたえろ。

 

”グシャ”

 

「きゃ・・・・あ、お、お兄ちゃん」

 

「小町大丈夫だったか、怪我していないか?」

 

「あ、いや、お兄ちゃん恥ずかしいからお姫様抱っこやめて」

 

「ヒ、ヒキオ―!」

 

「え? あ!」

 

”ぷおおおおお~”

 

「そこまで!

 各騎馬、スタート位置に戻れ。

 お互い、大将の騎馬は残らなかったようだな。

 それでは無事な騎馬の数を数えるぞ。

 1、2、・・・・・・」

 

・・・や、やばい。

ど、どっちだ、どっちの騎馬が

 

「勝者、紅組!」

 

「ヒキオ!」

 

「比企谷!」

 

「す、すまん」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ゆ、由比ヶ浜」

 

「ム~」

 

あ、嫌そんな難しい顔しないで。

ね、ね、は~だめか。

 

「ゆ、雪ノ下」

 

”ギロ”

 

ひぇ~

 

「・・・まったく、あなたって人は。

 行きましょう、由比ヶ浜さん」

 

”スタスタスタ”

 

は~、やばい。

どうしよう、あとは色別リレーで勝つしかないよな。

 

「大丈夫だよ。

 八幡、任せておいて」

 

「と、戸塚~」

 

「色別リレー、頑張るからね。

 いくよ、刈宿君」

 

「うっす」

 

     ・

 

「三浦、す、すまん」

 

「うううん、いいよ。

 初めからこうなる運命だった。

 やっぱり、あーしと隼人は釣り合い取れないってわかってたから」

 

「三浦、まだだ、まだ負けたわけじゃねえ。

 色別リレー、これさえ勝てば。

 な、団長がそんなんじゃ、応援に力はいらないじゃねえか」

 

「・・・う、うん」

 

「そだよ、優美子。

 まだ負けたわけじゃない。

 応援しよ」

 

「結衣。

 ・・・う、うんわかった」

 

由比ヶ浜、戻って来てくれたのか。

すまん、助かる。

 

「あ、選手の人出てきた。

 ほら、ヒッキーも応援するよ」

 

「お、おう」

 

     ・

 

「それでは色別リレー始めます。

 第一走者の人、出てください」

 

頼むぞ、戸塚、刈宿、それと、えっと2年誰だっけ?

 

「ヒッキー、さいちゃん達、どんな順番で走るのかなぁ?」

 

「いや聞いてない」

 

そう、この色別リレーは各学年の男子で競われる。

第一走者が100m、第二走者が200m、第三走者は400mの距離で行われる。

走る順番は自由だから、どの順番で誰が走るのかが大きく勝敗に左右する。

 

「あ、第一走者でてきた。

 あれ2年生の子だね」

 

「おう。

 はぁ! あ、あれ紅組、大志じゃねえか」

 

「あ、ほんとだ、紅組は大志君だ」

 

「よ、よし負けるように言ってきてやる。

 いやだというのなら二度と小町には 」

 

「ヒッキー、それ駄目だよ、

 それにもう始まるし」

 

「位置について、よ~い、」

 

”パァーン”

 

「げ、」

 

「ひゃ~大志君早い。

 ね、白組2年生だよね」

 

ち、くそ、あいつ殲滅してやる。

くそ、あのサッカー小僧が、何であんなに早いんだ。

 

「大志く~ん頑張って」

 

「げ、こ、小町、お前お兄ちゃんより大志を選ぶんのか!」

 

「いや、ヒッキー、小町ちゃんも紅組だから。

 それにヒッキー走ってないから」

 

「し、しかし」

 

”わ~、わ~”

 

「あ、ほ、ほら第二走者でてきた。

 あっ、さいちゃん、さいちゃんだ」

 

「おお、戸塚、戸塚頼むぞ」

 

「うわ~、さいちゃんも早い。

 ほら、ヒッキー、追いつく、追いつくよ」

 

「と、戸塚頑張れ! おお抜いた!」

 

”わ~、わ~”

 

「第三走者、刈宿君出てきた。

 あ、赤組は隼人君だ」

 

は、葉山。

くそ、戸塚、なんとかもっと差を広げてくれ。

 

「よし、刈宿君行け! 頑張って~」

 

刈宿行け。

げ、葉山きた!

 

「きゃ~、葉山ク~ン」

 

「葉山ク~ン頑張って!」

 

な、やっぱり葉山はぇ~

それに紅組、葉山が出た途端に雰囲気変わりやがった。

すげぇ~応援だ。

 

「・・・は、や、と、頑張って」

 

え?

み、三浦。

お、お前・・・・・・・・・・

ま、まぁ、いっか。

乙女心には敵わねぇ~。

頑張って応援してやれ。

でも、小さい声でね。

 

「あ、隼人君が抜いた!」

 

な、か、刈宿でもだめなのか。

あいつ、本当、反則だろう。

 

”タッタッタッ””

 

「はぁ、はぁ、ち、くそ!

 葉山先輩、やっぱはぇ~」

 

「まだ、負けないよ」

 

”ズキッ!”

 

「くっ」

 

「え、は、葉山先輩?・・・・・お先っす」

 

”タッタッタッ”

 

「あ、刈宿君が抜いた。

 刈宿君行け~」

 

刈宿抜きやがった。

あいつまだ余力あったのか?

はっ、いや違う、葉山、葉山どこか痛めたのか?

 

「なぁ、葉山足どうかしたのか?」

 

「え?」

 

「うん? 何ともなさそうだけど。

 あ、ほら刈宿君ゴールするよ。

 行け~刈宿君・・・・・・や、やったー。

 ヒッキー白組勝った、勝ったよ~」

 

”ぎゅ~”

 

い、いやわ、わかったから、抱き着くな。

その柔らかい物の感触が、あの、その~

ん?

三浦、どこ行ったんだ?

 

     ・

 

「はぁ、はぁ、はぁ、は、葉山先輩、足どうかしたっすか?」

 

「いや、何でもない。

 ははは、最後に負けてしまったね」

 

「う、うっす。

 で、でも早く救護テントに行くっす。

 あ、一緒に 」

 

「一人で行けるから大丈夫だ。

 ほら閉会式始まるから、君は行きたまえ」

 

「う、うっす」

 

     ・

     ・

     ・

 

「さてと、じゃあこれ保健室までお願いね」

 

「あ、はい三ヶ木先輩」

 

「よし、あとは救急箱とクーラーボックスを返してきてっと。

 はぁ~体育祭も終わったね。

 もう、生徒会も終わりか~」

 

「すまない、ちょっといいかい」

 

「え? あ、葉山君。

 どうしたの?」

 

「ちょっと足を捻ったみたいなんだ」

 

「どれどれ、ちょっと見せてみそ。

 あ~腫れてる。

 ちょっと触るね、これ痛い?」

 

”ぐぃ”

 

「うっ」

 

「ふむ、歩けることは歩けるんだね。

 歩くとき痛みとかない?」

 

「少し痛いぐらいだよ」

 

「そっか、ちょっとまって。

 いまテーピングするから」

 

”シュルシュル”

 

「へ~、三ヶ木さん、慣れてるんだね」

 

「へへ、伊達に毎回救護班やってないから。

 それにわたし何回も捻挫してるから。

 あ、いいお医者さん知ってるから、よかったら教えるよ」

 

「ああ、頼むよ」

 

”ガタ”

 

「ん?」

 

「どうかしたのかい三ヶ木さん」

 

「あ、ううん。

 はいテーピング終了っと。

 あとは、三浦さん!」

 

「へ、あ、は、はい」

 

「優美子!」

 

「ごめん、わたしこれから保険室行かないといけないの。

 申し訳ないけど、アイスノンでここらへん冷やしてくれない?」

 

「あ、う、うん」

 

「じゃあ、あとよろしくっす」

 

”スタスタスタ”

 

「すまない優美子」

 

「あ、あ、だ、大丈夫、大丈夫だから。

 あのね大丈夫だから、隼人」

 

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「ふ~、あ、みんなもう片付けしてるんだ。

 今年は白組の優勝か。

 最優秀選手はやっぱり刈宿君だった。

 へへ、へへへへへ。

 でも、よかった。

 三浦さん、頑張ってね」

 

”スタスタ”

 

「だから、蒔田一人で無理すんなって」

 

「稲村先輩、大丈夫ですよこれくらい。

 こう見えても、蒔田は力持ちなんですよ。

 脱いだら筋肉すごいですから、バンバンって。

 なんなら見ます?」

 

「いや・・・・・・・・・また今度な」

 

「え~なんで、本当にすごいんですからって・・・・・え、また今度って」

 

「い、いいから、ほらコーン半分よこせ」

 

「はい♡」

 

”スタスタスタ”

 

「お、おお、舞ちゃん頑張ってる。

 よし、わたしも早くこれ保健室持って行って後片付け手伝おうっと」

 

「あ、あの稲村先輩、一万メートル残念だったですね。

 あんなに頑張ってたのに」

 

「お、おい! いいからもう言うな。」

 

「だって、あのまま比企谷先輩に勝っていれば、三ヶ木先輩は稲村先輩のものだった

 じゃないですか~

 あ、もしかしてわたしのこと思って 」

 

「蒔田!!」

 

「あ、ご、ごめんなさい。

 わ、わたし何か 」

 

「いいから運ぶぞ」

 

「はい」

 

”スタスタスタ”

 

「へ? な、なにいってるの舞ちゃん。

 え? 勝ってればわたし稲村君のもの?

 ・・・・・なにそれ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ごめんね優美子」

 

「うううん、だって白組優勝したじゃん。

 それに、うふふふ」

 

「な、何かあったの優美子?

 そういえば閉会式いなかったよね」

 

「な、何でもない!

 あ、それとヒキオ、ヒキオもありがとね」

 

「あ、い、いや俺は何も」

 

「うううん、ヒキオが気づいてくれたから」

 

「ん?」

 

「い、いや、なんでもない。

 それより結衣、ほら祝勝会いくよ」

 

「おう。

 あ、ヒッキーも行くでしょ」

 

「ん? あ、いや今日はちょっと用事があるんだ。」

 

「そ、そっか。

 あ、でも用事がすんでからでもいいから、来てほしいかも」

 

「まぁなんだ、考えておく」

 

「うん。

 じゃあね、ヒッキー」

 

「お、おう。」

 

さてと、三ヶ木どこ行ったかなぁ。

まだ後片付けとかやってるのかもな。

少し手伝うか。

ん? あ、み、三ヶ木。

 

「お~い、三ヶ木」

 

「・・・・・」

 

”ダー”

 

はは、元気だな、体力余ってんのか。

そんなに走ってこなくても。

俺はもうクタクタで、それに足痛い。

 

「比企谷君!」

 

「お、おう。

 なぁ三ヶ木、今日 」

 

”パシッ!!”

 

「かはっ」

 

”ドサッ”

 

は、な、なんだ。

いきなり平手打ち?

いや、なんでだ?

 

「な、なんだ、なにするんだ三ヶ木!」

 

「わたしは、わたしはものじゃないよ!

 勝手に決めないでよ!

 1万メートル走、比企谷君が負けてたら、わたしは稲村君のものになってたって。

 なにそれ、それでもよかったの!

 わたしの、わたしの気持ちはどうなるのさ。

 この馬鹿、最低!」

 

”ダー”

 

「み、三ヶ木、ち、違う」

 

”ズキッ!”

 

「い、いて」




最後までありがとうございます。
お時間お掛けいたしすみませんです。
またしてもグダグダな展開になってすみません。

さてこの駄作、秋物語も終わって次話より冬物語編。
そろそろ終盤に。

また次話でお会いできたらありがたいです。
ではでは。

※ すみません誤字訂正っす。
  比企谷っていう・・・・ → 比企谷、君っていうやつは・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。