似て非なるもの   作:裏方さん

66 / 79
見に来ていただき、ありがとうございます。
更新、遅くなりすみません。

今話より冬物語編です。
気が付けばもう66話。
オリヒロと八幡、二人の関係もそろそろはっきりしなくては。

あ、でも、もう少しグダグダな展開続きます。
すみません、ご勘弁ください。

では、よろしくお願いします。


第7章 冬物語
修学旅行編 前編  ー冬季雷ー


”ペラ”

 

「ふぅ~」

 

ん、ジャリっ娘、さっきから何を読んでるんだろう。

生徒会室に来てからずっと真剣に読んでる。

ちょっと覗き見してみようかなぁ。

 

”ポコ、ポコポコポコ”

 

おっと、お湯沸いた!

ふふふ、今日こそ、今日こそはあの味を超えてみせるんだ。

まずこのお湯でティーポットとカップを温めてっと。

でも知らなかったなぁ~

お水ってペットボトルのものじゃダメだったんだ。

水道水のほうがいいなんて、なんと経済的でわたし向きなんだ。

さてポットに二人分の茶葉を入れたら、こうやってちょっと高い位置から

一気にお湯を注いで。

 

”トポトポトポ”

 

うん、茶葉ちゃん、踊ってる踊ってる。

あとは、蓋をしてしばらく蒸らしてっと。

 

     ・

 

「ふんふんふん♬」

 

んっと、そろそろいいかなぁ。

あとはちょっとポットを揺らして中身を均一にしたら、カップに注いで出来上がり。

おっと忘れちゃいけない、最後の一滴!

 

”ポト”

 

そう! この一滴こそがゴールデンドロップと呼ばれる一番濃いところ。

ジャリっ娘、いつも『美佳先輩、貧乏くさいです~』って言うけど、これが大事

なんだからね!

よし、これで完成!

う~んいい香り、上出来上出来。

ジャリっ娘、なんて言うかなぁ。

 

『美佳先輩、すごく美味しいです~♡』

 

とか、

 

『こんなおいしい紅茶飲んだことありませんよ~

 雪ノ下先輩のより美味しいです♡』

 

なんて言ったりして。

へへ、ちょっと楽しみ。

 

”カチャ”

 

「会長、紅茶いかがですか?」

 

「あ、美佳先輩、ありがとうございます」

 

”ゴクゴク”

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

あれ?

おっかしいな~まったく反応ない。

えっと~

 

”ゴクゴク”

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・あの~、美佳先輩何か?」

 

「え? 

 あ、いえ何でもないです」

 

おかしいいな、美味しくなかったのかなぁ。

わりと自信あったんだけど。

ゆきのんの味を超えるには、まだなにか足りないのかなぁ。

はぁ~、仕方ない。

さっさと席戻って引き継ぎの資料つくろ。

 

”トボトボ”

 

「今までで一番美味しいですよ」

 

「え?」

 

「な、なんでもないです」

 

「い、いや、いま美味しいって」

 

「はぁ? そんなこと言ってません。

 お歳で耳悪くなったんじゃありません? 

 そんなこと言ってる暇があったら仕事してください」

 

お、お歳って、ジャリっ娘とは誕生日一ヵ月しか違わないから。

それにあんた仕事してないし。

いまチラッと見たけど、雑誌読んでるだけだし。

・・・まぁいっか。

さて、お仕事お仕事。

 

”ガラガラ”

 

「お疲れ様です」

 

「あ、ご苦労様です副会長」

 

「お疲れ本牧君。

 あ、あのさ 」

 

「え? あ、書記は修学旅行の打ち合わせで少し遅くなるって」

 

「へ~、でもなにも書記ちゃんのこと聞いてないけど?

 本牧君も紅茶飲むって聞こうと思っただけだけど」

 

「あ、あははは。

 ・・・・・・・紅茶いただきます」

 

    ・

 

”カチャ”

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとう三ヶ木さん」

 

「えっと会長、紅茶のおかわりどうですか?」

 

”パラパラ”

 

「え?

 あ、はい。 

 ありがとうございます」

 

”カチャ”

 

「はい、どうぞ。

 でも会長、さっきから何読んでるんですか?」

 

「えっと~、ほら修学旅行もうすぐじゃないですか。

 だからちょっと自由行動でどこに行こうかなぁって。」

 

あ、それでぶるる京都を見てたのか。

そっか、来週はもう修学旅行だからそれでぶるる見てたんだ。

修学旅行か~

・・・・・うううう。

わたしの黒歴史がよみがえる。

1日目は新幹線に酔っちゃって。

だって初めて乗ったんだもん。

うれしくてずっと一人で外の流れる景色見てたら。

 

2日目は、前の日の夜にあんまり寝れなかったからフラフラで。

だ、だって同じ部屋の子達が寝る前に怖い話するから。

怖くて怖くて、トイレいけなくて。

気を抜くと漏らしそうで。

 

3日目は、も、もう思い出すのやめよ。

・・・・・修学旅行が終わったら、もう生徒会選挙なんだ。

そんでもう生徒会、終わり。

生徒会終わったら、みんなとはもうこうやって・・・・・

 

「あ、そうだ。

 副会長は修学旅行の自由行動ってどこに行きました?」

 

「渡月橋とか東映太秦映画村とか行きましたよ。

 あ、そうそう、渡月橋のところで食べた抹茶パフェがすごく美味しくて、

 よかったら会長も行ってみてください」

 

「へ~、抹茶パフェですか~

 で、ついでに美佳先輩はどこ行きました?」

 

「つ、ついでって。

 ・・・愛宕念仏寺」

 

「はぁ?」

 

「あ、愛宕念仏寺!」

 

「な、なんですかそれ?」

 

「あ、あの、1000以上の阿羅漢? お地蔵さん? があって。

 それでみんな別々のお姿してて、とってもかわいいの。

 あ、そうだ写真写真」

 

”カシャカシャ”

 

「はい、このスマホの写真見てください。

 ほら、特にこのお地蔵さんなんかにっこり笑ってて可愛くて」

 

「あ~本当ですね。

 すごく可愛いです」

 

「でしょう」

 

「へ~、わたしも行ってみようかなぁ~」

 

「うん、平日だったからかもしれないけど、その時はわたしかいなくて。

 とっても静かでいいお寺でしたよ」

 

「え、一人でお寺ってそれちょっと怖いかも。

 でも美佳先輩、お一人で行動してたんですか?」

 

「あ、あの~、あはははは」

 

3日目、2日目の流れで同じ班の子と一緒に廻ってたんだけど。

くそ~、あいつら。

ちょっとトイレ行ってて集合場所に遅れただけなのに。

う~、気付かれずに置いて行かれたなんて言えない。

ホテルに戻ってからいないの気が付いたって、おい!

ま、まぁいいけど。

おかげで道に迷って偶然このお寺見つけられたから。

 

”ガラガラ”

 

「お疲れ様です」

 

「あ、稲村先輩、ご苦労様です」

 

「稲村、お疲れさん」

 

「・・・・・」

 

「え、三ヶ木?」

 

「・・・・・

 あ、会長、こっちのも可愛いですよ。

 ほらリーゼントしてるんですよ」

 

「え? なんですかそれ。

 げ、本当にリーゼントしてるじゃないですか」

 

「なにしてるんだ本牧」

 

「ほら来週から修学旅行だろ。

 会長がどんなところに行ったのかっていうから」

 

「そうなんだ。

 会長、えっと俺は轆轤体験に行って湯飲み作りましたよ。

 結構面白かったですよ」

 

「轆轤体験ですか、なんかおもしろ・・・・・

 はっ、なんか嫌なこと思い出しそうで、轆轤はやめときます。

 でも折角なので、わたしも何か体験してみたいです。

 何かないかなぁ」

 

”パラパラ”

 

「み、三ヶ木はどこに行ったんだ?」

 

「・・・・・」

 

「え、えっと三ヶ木?」

 

”ガラガラ”

 

「ご苦労様です。

 ごめんなさい、遅くなりました」

 

「あ、書記ちゃんお疲れさまです」

 

「お疲れ様」

 

「ご苦労様。 

 今日遅かったんだな書記ちゃん」

 

「あ、ごめんなさい。

 修学旅行で一緒に行くグループのみんなと自由行動の打ち合わせしてて」

 

”カチャ”

 

「書記ちゃん、ご苦労様」

 

「あ、紅茶。

 ありがとうございます、三ヶ木先輩」

 

「あ、み、三ヶ木、俺にも紅茶 」

 

”ギロ”

 

「え? あ、いや、やっぱりいいです・・・・・はい」

 

「・・・・・ふん!」

 

”スタスタスタ”

 

「「・・・・・」」

 

「そ、そういえば、さ、沙和・・・ごほん、書記は自由行動で

 どこに行くか決めたのか?」

 

「え? あ、うん。

 えっとわたし達のグループは、やっぱり竹林!

 ここは外せなくて

 だって、あ、いろはちゃんちょっと借りるね」

 

”ペラペラ”

 

「あ、ほらここ。

 なんかロマンチックでいいでしょう?

 こんなところで告白されたらどうしょうって盛り上がっちゃって」

 

「グ、グループって女子だけだよな。

 男子いないよな」

 

「え、あ、大丈夫だよ。

 一緒に行くの女子だけだから」

 

「あ、う、うん」

 

お、おい、そんなのどっかよそでやれ。

くそ~、うらやましい!

でも竹林で告白って。

まぁ、比企谷君から話聞いたけどいろいろ大変だったんだよね。

そっか、あれからもう一年になるんだ。

わたし髪伸ばそうかなぁ、それと眼鏡も。

・・・・・だって海老名さんじゃなかったから。

それに比企谷君の部屋にあったお宝。

あの女優さん、黒くて長い髪でスレンダー美人。

ゆきのんにそっくり。

やっぱりそっちのほうが好きなのかなぁ。

 

”ポコポコポコ”

 

おっと、お湯沸いた。

・・・・・・今日なんか紅茶ばっかり淹れてるんだけど。

あ、そういえばジャリっ娘、今日も早くから生徒会室に来てたけど、打ち合わせとか

いいのかなぁ?

 

     ・

 

「・・・・・」

 

”ガチャ!”

 

「え? あ、紅茶。

 ありがとう三ヶ木」

 

「・・・・・ふん」

 

「三ヶ木?」

 

い~だ、稲村君とは話してあげないんだ!

お、怒ってんだからね。

 

「・・・・・

 あ、会長、会長は打ち合わせとかよかったんですか?」

 

「え、あ、ほ、ほら、わたし生徒会会長じゃないですか~

 あの、その、いろいろ忙しいんです」

 

「そ、そう?」

 

さっき京都の話しているとき、ジャリっ娘すっごく嬉しそうだった。

それに生徒会、体育祭終わった今はそんなに忙しいはずないんだけど。

やることって引き続ぎの資料準備するぐらいだから。

 

”ブ~、ブ~”

 

ん? もしかして。

・・・・・なんだ、違った刈宿君からのメールか。

どしたんだろ。

どれどれ

 

”カシャカシャ”

 

ふむふむ、なんか相談あるみたいだね。

今度時間くださいって。

ほいほい、了解っと。

 

”カシャカシャ”

 

ふ~。

比企谷君、あれから何も連絡くれない。

わたしのほうから連絡したほうがいいのかなぁ。

で、でも悪いのは比企谷君だし。

わたしからするのも変!

でもさ、話したいなぁ。

そうだ、明日の朝早く来て自転車置き場で待ってよう。 

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「お、おいお前聞いてみろよ」

 

「やだよ、お前聞けよ」

 

”ひそひそ”

 

「ち、うっせな」

 

’カチャカチャ”

 

「清川氏、教室にまでパソコン持ち込んで何してるのだ?」

 

「ああん! 今度のプログラムコンテスト用のプログラム組んでんだろうが。

 これ持ち込むため、先公説得するの大変だったんだからな。

 何とか今度のコンテストで賞とって、同好会の活動再開と没収されたパソコン

 取り返すんだ。

 くっそ、あの地味メガネ野郎、純真な男心弄びやがって。

 おい、お前らも同好会のメンバ―なんだから手伝えよ」

 

「いやいや、同好会は名前だけ貸してくれってことだったではないか。

 そんなことより修学旅行の事前学習レポートの提出期限、明日までだがどうする?

 書いたのならちょっと見せてくれ」

 

「ちっ、明日までかよ、まだ書いてねぇ。

 面倒くさせ~な、ちょっと待ってろ」

 

”カチャカチャ”

 

     ・

 

「ね、ね、一色さん。

 修学旅行の班とか自由行動の予定とかってもう決まってるの?」

 

「え、あ、い、いいえ、まだ」

 

「わたし達もまだ決めていないんだ。

 ね、わたし達と一緒に行かない?」

 

「え?」

 

「あ、ほらわたし達、一年の時から同じクラスだったけど、

 あまり話とかしたことないでしょ。

 折角2年でも一緒のクラスになったんだから、話したいなぁ~って

 思ってたんだ。

 ほら一色さんでちょうど4人だし」

 

「ね、そうしようよ一色さん」

 

「一緒に行こう一色さん」

 

「そ、そうですね。

 じゃあ、一緒に行きましょうか」

 

「「やった~」」

 

「じゃ、じゃあさ、どこに行こうか?

 一色さん行ってみたいとこってある?」

 

「と、渡月橋とか」

 

「あ、それいい。 

 わたしも渡月橋って行ってみたかったんだ」

 

「へ~、一色さん達、渡月橋いくんだ」

 

「あ、あの 」

 

「あ、柄沢君♡

 そうだよ、渡月橋行こうと思うの。

 ねぇ~一色さん。

 柄沢君達は自由行動どこに行くの?」

 

「ああ、俺たち太秦映画村行こうと思ってるんだ」

 

「え~、うっそ~、わたし達もそこ行きたかったんだ。

 ね、一緒に行かない?」

 

「一色さんも一緒なの?」

 

「え、あ、そ、そうです」

 

「じゃあ、な、みんな一緒に行こうか」

 

「え、一色さん達と一緒にいけるの?

 よろしく」

 

「やった~

 ね、ね、柄沢君、他にどこに行こうか♡」

 

「一色さんは他にどこか行きたいとこある?」

 

”ワイワイ、ガヤガヤ”

 

「ちっ」

 

「清川氏?」

 

「あん?」

 

「どうかしたのか?」

 

「いやなんでもねぇ。

 ほら参考例探してやったから、これちょっとアレンジしろ。

 それでお前ら自由行動の行き先決めたのか?」

 

「おおう。

 俺たちは滋賀のほうまで足を延ばしてだな、聖地巡礼してくる」

 

「あと修学院駅は外せないよな」

 

「そうそう。

 なぁ、清川氏、同じ班なんだから一緒に行かないか?」

 

「いや、俺行くところあるから行かねえ」

 

     ・

 

はぁ~

比企谷君、今日自転車で来なかったんだ。

朝ずっと自転車置き場で待ってたんだけど、結局来なかった。

休み時間に戸塚君に聞いたら、いま教室にいないけど学校は来てるっていうし。

どこいったんだろ。

結局、今日も会えなくてもう放課後。

なんか会いたい時ってなかなか会えない。

やっぱり電話しようかなぁ。

あ、そうだ。

明日の昼休み、あの場所に行ってみよう。

 

”ガラガラ”

 

「おう、三ヶ木お疲れ」

 

「おつ・・・・・」

 

あ、危ねぇ~

危うく話するとこだった。

わたし、稲村君とはまだ話してあげないんだ。

 

「え、えっと、まだ誰も来てないんだな」

 

「・・・・・」

 

「・・・さ、さてと今日はぼちぼち引継ぎ資料でも作ろうかなぁ

 三ヶ木はもう作ってるのか?」

 

「・・・・・」

 

”ガラガラ”

 

「お疲れ様です」

 

「本牧君、ご苦労様」

 

「・・・お、おい三ヶ木」

 

「ん、どうした稲村?」

 

「い、いやなんでもない。

 本牧、お疲れ」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

む~。

比企谷君、お昼休みいつもの場所にいなかった。

おっかしいな。

雨とか天気悪くない限り、いつもあの場所で昼ご飯食べてたのに。

教室にもいなかったし。

なんだろう。

わたし避けられてるのかなぁ。

 

”チラ”

 

ん? 稲村君、さっきからチラチラってこっちばっかし見てるし。

さっさと仕事しろってんだ。

それより、やっぱり電話しようかなぁ。

でもなぁ、なんか嫌だし。

でも会いたい。

 

「・・・・・はぁ~」

 

”チラ”

 

「・・・・・はぁ~」

 

”チラ”

 

「副会長」

 

”ちょいちょい”

 

「会長何か?」

 

「副会長、あの二人何があったのか知りません?

 今日ずっとああなんですよ。

 美佳先輩は窓の外見てため息ばっかりで。

 紅茶、ちょ~苦かったし。

 稲村先輩は美佳先輩のことチラ見ばっかり。

 話しかけても上の空ですし」

 

「え、いやわからないです。

 そういえば、ここ最近の稲村と三ヶ木さん、なにかおかしかったですね。

 喧嘩でもしたのかなぁ」

 

「これは何か手を打たないとですね」

 

”ガラガラ”

 

「失礼するぞ。

 三ヶ木はいるか?」

 

「あ、は、はい!」

 

「おおいたか

 ちょっと来たまえ」

 

「え? あ、はい」

 

「一色、ちょっと三ヶ木借りていくぞ」

 

「あ、どうぞどうぞ。

 なんならそこの稲村先輩も一緒にどうぞ」

 

「ん? いや稲村はいらん。」

 

「ちっ」

 

「・・・あ、あの会長、俺って」

 

”スタスタスタ”

 

ん~どこに行くんだろう。

この先にあるのって特別棟。

ま、まさかと思うけどいくとこって奉仕部?

だったら比企谷君いるかも。

ちょ、ちょっと心の準備が。

 

「あ、あの、平塚先生。

 もしかして奉仕部に行くんですか?」

 

「ん? ああ、そうだ。

 ほら着いたぞ」

 

”ガラガラ”

 

「雪ノ下いるかね」

 

「先生、何度も言ってる通りドアを開ける前にノックしてください」

 

「ほほう、急に開けられると困るようなことしてたのかね。

 なぁ、三ヶ木」

 

「え、あ、は、あの、す、すみません。

 もうしません、許してください」

 

”ニカッ”

 

く、くそ、なんだその笑顔は!

これというのもあのスケベが!

って・・・・あれ?

 

”キョロキョロ”

 

スケベがいない?

あ、結衣ちゃんも。

なんでゆきのんしかいないの。

まだ来てないのかな?

 

「平塚先生、特に何も困るようなことはありませんがやはりマナーとして」

 

「ああ、すまんすまん。

 それでだ、これが今回の三ヶ木の中間テストの答案コピーだ」

 

”パサ”

 

え、あ、それ、わたしの中間テスト?

お、おい、平塚先生、わ、わたしのプライバシーが。

 

「平塚先生、あ、あ、あんた何を 」

 

「これで全部ですね」

 

え? 全部って。

 

「ああ、以前渡した成績表と合わせて、これで入学してからの成績全部だ。」

 

はぁ?

え、えっとなに言ってんだこの二人。

入学してからの試験の成績って。

い、意味わからん。

 

「ひ、平塚先生、あ、あんたなにすんだ!」

 

「ふふふ、それでは雪ノ下、あとはよろしくな」

 

”ガラガラ”

 

に、逃げんなー、おい、こら。

お、おい説明しろー

 

「あ、それと三ヶ木もよろしくな」

 

「え?」

 

「三ヶ木さん、まずはお座りなさい。

 ところであなたもう志望校は決めたのかしら?」

 

「え、志望校って大学の?」

 

「高校に入学してやり直すつまりなのかしら。

 まぁ、このテストの結果ならそれもありかも」

 

「あ、あの~、洋和女子大か厩戸大あたりを・・・・・」

 

「そう。

 ちょっと待って。」

 

「え、パソコン?

 何してるの?」

 

”カチャカチャ”

 

「そこだと偏差値55ぐらいね。

 ふむ・・・・・三ヶ木さん、あきらめなさい」

 

「ひぇ~」

 

”ズデン”

 

あいたたた、お尻痛い。

思わず椅子から落ちちゃった。

いきなり何言うんだゆきのん。

 

「な、なんで?」

 

「確かに2年までの成績なら問題は無いと思うのだけど、3年になって

 からがひどすぎるわ。

 急激に成績が落ちている」

 

「まぁいろいろありまして。

 あの、まぁほんといろいろと。

 それに、ほら3年になって結構難しくなったし」

 

「ふ~、仕方ないわね。

 それじゃ、3年の内容を集中的にやりましょう」

 

「え、やるって?」

 

「あら聞いてないの?」

 

「う、うん」

 

「ここであなたの勉強を見てあげるの」

 

「え? え゛ー

 ゆ、ゆきのん、ほ、ほんと?

 ゆきのんが勉強見てくれるの?」

 

「仕方がないわ、平塚先生からの依頼だもの」

 

「あ、あ、ありがと。

 で、でもゆきのんの勉強は?」

 

「わたしは推薦頂いたから」

 

「そ、そうなんだ」

 

「わたしは毎日、部室にいるから。

 あなたはまだしばらく生徒会活動あるでしょうから、それまでは

 終わってからここに寄るようにしなさい。

 それとこのプリント渡すから、来週生徒会室に行く前に提出しなさい」

 

「え、あ、う、うん。

 でも・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「あ、あのね、今日は結衣ちゃんとかどうしたの?」

 

「比企谷君と由比ヶ浜さん?

 彼女達は塾よ。

 彼らも受験生ですもの」

 

「じゃ、じゃあ、わたしが来るまでゆきのん一人なの?

 一人でここで待っててくれるの?」

 

「ええ。

 一応、部活動中ですもの。

 それに、まだ読みたい本がたくさんあるから」

 

それって、ゆきのんずっと一人でここに?

奉仕部は、奉仕部はどうなるんだろう?

大学入試終わるまで、ずっとゆきのん一人になっちゃうのかなぁ

でもそれじゃ。

 

「ゆきのん!

 わ、わたしすぐ来るね!

 生徒会終わったらすぐ来る、走ってくる。

 お、遅くなりそうだったら、ちゃんと早めに連絡する。

 だから・・・・・」

 

「だから?」

 

「あ、あのね、よろしくお願いします」

 

”ペコ”

 

「・・・え、ええ、三ヶ木さんよろしく。

 でも、生徒会役員自ら校則を破ることはよしなさい。

 走らなくてもいいから。

 来れないって連絡がない限り、ここでちゃんと待ってるから」

 

「う、うん。

 あ、ありがとゆきのん」

 

「それじゃ来週からでよろしかったかしら?」

 

「あ、はい。 お願いします。

 じゃ、生徒会戻るね」

 

「ええ、行ってらっしゃい」

 

「うん」

 

”ガラガラ”

 

「来週からよろしくお願いします」

 

「ええ」

 

”タッタッタッ”

 

「だから走らない。

 全く生徒会なのに。

 ・・・・・・・・・・ふふ、こちらこそよろしく三ヶ木さん」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”パサッ”

 

よしっと、洗濯完了。

さ、とうちゃんのいないうちにお掃除お掃除。

しかし今日も休日出勤ってとうちゃんほんとに社畜だ。

わたしは絶対社畜にならないから!

 

”ブ~、ブ~”

 

「あ、はい三ヶ木だよ」

 

「もしもし、業務連絡で~す♡」

 

「あ、ジャリ、か、会長」

 

「あのですね、今日体育祭の打ち上げやりま~す。

 そういうことで15時に千葉駅前のビッグアコーに集合よろしくです♡」

 

「え、あ、あの、なんで急に」

 

「ほら、わたしと書記ちゃん、来週修学旅行じゃないですか。

 だから修学旅行の前にやっておかないと、心配でゆっくり行けませんから。

 では、よろしくです♡」

 

「あ、あの~会長」

 

”プー、プー”

 

げ、切りやがった。

お、おい、何でいきなり打ち上げなんか。

あ、だったらとうちゃんの晩ご飯準備しておかなくちゃ。

やば、掃除急がないと。

 

     ・

     ・

     ・

 

”タッタッタッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

遅くなっちゃった。

でも時間ギリギリセーフだ。

さてっと、もうみんな来てるかなぁ。

 

”ブーン”

 

「すみませ・・・・・あれ?」

 

よかった、まだ誰も来てないや。

でも生徒会のみんなでカラオケって初めて。

何歌おうかな。

やっぱまずはアップデートかなぁ。

 

「あ~、あ~」

 

うん、声の調子はいいみたい。

よし今日は思いっ切り歌うぞ~

 

”ブーン”

 

「ふ~、間に合った。

 会長、いきなり打ち上げするって言うんだもんな。

 えっと、あ、三ヶ木」

 

げ、稲村君。

ふん、口きいてあげないんだから。

は、はやく他のみんな来ないかなぁ。

 

「・・・・・」

 

「三ヶ木、みんなまだみたいだな」

 

「・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

えっとみんな遅いなぁ。

どうしたんだろう?

は、もしかしてお店違った?

で、でも稲村君も来てるし。

 

「・・・・・」

 

「三ヶ木、俺ちょっと本牧に電話してみるわ。」

 

”ブ~、ブ~”

 

え、あ、ジャリっ娘から。

なにやってんだよ。

早く来てよ、もう場が、場が持たない。

 

「あ、はい三ヶ木だよ」

 

「美佳先輩、もう稲村先輩も来てます?」

 

「え? あ、はい来てますけど。

 会長はどうなさ 」

 

「それじゃぁ、稲村先輩にも聞こえるようにして下さい」

 

「あ、はい。

 ちょ、ちょっと、会長が呼んでるから」

 

「あ、ああ」

 

”スタスタ”

 

「あ、いや近いから。

 ちゃんとスピーカーにしたから」

 

「あ、悪い」

 

「会長、稲村君来ました」

 

「ごほん!

 あの、今日は副会長も書記ちゃんも行けなくなりました。

 あ、わたしもですよ、えへ♡

 仕方がないので、お二人でカラオケ楽しんでください」

 

「「はぁー!」」

 

な、なに言ってんだジャリっ娘。

そんなの無理、無理だって。

 

「え、い、いや、いやいや会長。

 会長、会長達が来ないのならわたしも帰り 」

 

「あ、それと会長命令です。

 デュエットで90点以上の採点を出さない限り帰ってはダメですからね。

 これ絶対ですから。

 守らなければ生徒会クビですからね。

 ちゃんとお二人の写ってる採点の画面を写メしてくださいね。

 それではです えへ♡」

 

「え? い、いやちょっと待って、か、会長!」

 

”プー、プー”

 

な、なに言ってんだあのジャリっ娘。

それに生徒会クビって横暴だろ。

は! あいつ謀りやがったな。

 

「三ヶ木」

 

「帰る」

 

「お、おい」

 

「どうせクビになんかできないから」

 

”スタスタスタ”

 

「おい、三ヶ木!」

 

「なによ」

 

あっ! 話しちゃった。

くそ、これもジャリっ娘が!

 

「約束あるだろ」

 

「え、約束って?」

 

「1万メートル走、俺が勝ったら時間くれるって言っただろ」

 

「あ、で、でも同着だから」

 

「いや、同着でも1位は1位だ。

 約束守るよな!

 ちゃんと話さないといけないことがあるんだ」

 

「うぐぐ」

 

「ほら行くぞ。

 すみません、学生2名でお願いします」

 

     ・

     ・

     ・

 

「そんなのおかしいよ。

 なんでそんな賭けしたのさ。

 わたしはものじゃないよ。

 わたしの気持ちなんてどうでもいいの?」

 

「悪い。

 でもどうしょうもなかったんだ。

 お前の気持ちわかっていて、それでもあきらめきれない自分がいて。

 だから俺は・・・・・俺は俺自身を納得させたかった。

 そうじゃないと俺は先に進めない。

 だからそのためには比企谷の気持ちを、あいつの心根を確かめたかったんだ」

 

「そんなの、そんなのって」

 

「わかってる。

 全ては俺の自己満足でしかない。

 あいつの気持ちさえわかれば、俺は負けるつもりだった」 

 

「そんなのひどいよ。

 それじゃ、生徒会終わった後、もうわたしとは会わないってこと?

 わたしは、わたしはいやだよ。

 わたしは生徒会終わってもずっとみんなと会いたい。

 うううん、生徒会だけじゃない、できれば学校卒業してもずっとずっと

 友達でいたい。

 稲村君はわたしにとって、とっても大事な人だよ。」

 

「み、三ヶ木」

 

「ずっと会いたいの・・・・・そ、そんなのないよ」

 

「・・・・・すまなかった。

 やっぱり俺、比企谷には敵わないわ。

 あいつはお前の大事なものを守るため、俺の安い挑発にのってくれたんだ。

 あいつの出した解、勝たないし、負けない。

 お前が何も失わないように。

 いやそれだけじゃない。

 納得したいっていう俺の自分勝手な想いにも答えてくれた。

 はぁ~、どっちがお前にふさわしいか、走る前に決まってたんだ」

 

「わ、わたしが何も失わないようにって、比企谷君そのために走ってくれたの」

 

「ああ。

 お前が好きになるはずだな。

 まぁ、もともと負けるのはわかってた。

 なにせお前と比企谷は、もう、その、ふ、深い関係だもんな」

 

「深い関係?」

 

「あ、い、いや、まあそういう関係なんだろ」

 

「えっと~、深い関係っていえば深い関係かも。

 あ、でも稲村君とも結構深い関係だよ」

 

「え! あ、いやそういう関係じゃなくて。

 ほ、ほら男と女のだな、なにが何っていうか」

 

「ん?」

 

「ああ、もう!

 つまり、もうやったってことだよ、男と女のアレを」

 

「やった? 男と女のアレ?

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、はぁ!

 な、なに言ってんだこの馬鹿もの!」

 

”ベシ、ベシ” 

 

「い、いててて。

 や、だってお前違うのか?

 この前、比企谷の部屋で制服脱いだって、つまりその後あったんだろ。

 男の部屋で制服脱いで下着姿になったら、そしたらあとはすることっていったら」

 

「ち、違わい!

 あ、あれはとうちゃんとケンカしたから、い、行くとこなくて仕方なく

 比企谷君の家に泊めてもらったんだ。

 だ、だから着替えなくて、制服がシワになるの嫌だし。

 で、でも何もなかったんだから、ほんとだから。

 わたし、比企谷君がお風呂から上がる前に寝ちゃったし。

 ・・・・・・ちゃ、ちゃんと確認したし、へんな感触とかもなかったし」

 

「下着姿のお前に何もしなかったのか?

 信じられない。

 お前どんな下着してんだ?

 男が何もしたくなくなるような下着姿って・・・」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

「な、なに想像してんだ。

 ちゃ、ちゃんと普通の下着だから。

 それに・・・・・・わたしのほうがショックだったんだから」

 

「・・・ま、まぁ比企谷だから」

 

「・・・・・う、うん」

 

「そっか、処女なのか」

 

「・・・・・」

 

「処女だったんだ、処女」

 

「う、うっさ~い!

 処女処女って、どっかの狸囃子みたいに何度も言うな!

 そ、それより、ほら早く歌うよ」

 

「え、歌うって?」

 

「デュエットで90点以上出さないと帰れないんだから」

 

「ああ、そうだった。

 よし、何歌う」

 

「決まってんじゃん、アップデート!」

 

「い、いやそれデュエットじゃないだろ。

 それに俺もそれ歌うのかよ」

 

”ピッ”

 

「いいじゃん。

 もう送信しちゃた」

 

「・・・お、おい」

 

     ・

     ・

     ・

 

「「二人、またあの夢の果てへ♬」」

 

「歩き出す つないだ♬」

 

「手を離さずに♬」

 

さ、ど、どうよ。

も、もう声枯れてきたんだからね。

いいかげん90点越えて~

 

”ピッピッピッピッピッ、ピッ!”

 

「「92点!!」」

 

「や、やったー

 写メ、写メ撮らないと

 ほ、ほら、稲村君、横ピース!」

 

「い、いや、お、俺は」

 

「いいから、はやくこっち来て。

 はいいくよ、3、2、1!」

 

「「ピ~ス!」」

 

「へへへ、ばっちり」

 

「やっぱそれ会長に送るのか?

 うわ~、ずっとなんか言われ続けそう。

 はぁ~、まあいいや。

 俺もう声枯れて限界だ。

 で、結局俺たち何曲歌ったんだ」

 

「連続12曲、わたしも限界。

 よし送信完了っと。

 さ、ミッションクリアしたし、帰ろっか」

 

はぁ、こんなに連続して歌ったの初めてだよ。

もうのどが痛くて声でない。

90点ってハードル高すぎだし、あのジャリっ娘!

さて、忘れ物はっと。

 

「・・・・・」

 

「い、稲村君?」

 

「な、なぁ三ヶ木

 俺、俺な・・・・・お前のことやっぱりす 」

 

”スクッ”

 

「み、三ヶ木?」

 

”ピッ”

 

「ま、まだ歌うのか?」

 

稲村君、もう一曲だけ聞いて。

声、出にくいけどちゃんと歌う。

 

「ありがとう♬

 君がいてくれて、本当よかったよ♬」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ずっと変わらないでしょ、わたし達ベストフレンド♬

 大好きだよ♬」

 

「み、三ヶ木」

 

「ありがと、稲村君。

 こんなわたしなんか好きになってくれて。

 ほんとにありがとう」

 

”ペコ”

 

「う、ううううう。

 で、でも、ごめん、ごめんなさい。

 わたし、わたしやっぱり比企谷君が 」

 

「馬鹿、泣くな」

 

「だって、だって。

 うううう、うわ~ん、うわ~ん」

 

”なでなで”

 

「ごめん、俺が悪かった」

 

「うううううう」

 

「・・・・・」

 

「う、うう、ぐすん」

 

「三ヶ木。

 ・・・・・これからも親友でいような」

 

「う、うん」

 

「よし、じゃあ帰ろっか」

 

「うん」

 

     ・

 

「ご利用ありがとうございました」

 

”ブ~ン”

 

「はぁ、もう外は薄暗くなってきたな」

  

「うん。

 少し寒くなってきたね」

 

「もうすぐ11月だもんな。

 なぁ三ヶ木、ちゃんと勉強してるか?」

 

「うん。

 あ、ゆきのんがね、放課後に勉強見てくれてるんだ。

 生徒会終わってから部室おいでって」

 

「そっか。

 受験、頑張ろうな」

 

「うん」

 

「じゃあまた月曜日、生徒会室でな三ヶ木」

 

「うん、生徒会室で」

 

「じゃあな」

 

「うん、じゃあ」

 

”スタスタスタ”

 

「み、三ヶ木! 帰り道気をつけてな」

 

「うん、稲村君も」

 

”スタスタスタ”

 

ありがと、稲村君。

 

はぁ~、勝たないけど、負けないっか。

わたしの大事なもの守るためって。

ほんと比企谷らしい。

・・・・あ! わたし、そんな比企谷君を思いっきり引っ叩いちゃったんだ。

ちゃんと謝らなくちゃ。

そ、そうだ電話! 電話してみなくちゃ。

 

”カシャカシャ”

 

出てくれるかなぁ。

もしかして引っ叩いたことを怒ってて、電話に出てくれなかったりして。

 

「はいもしもしです、美佳さん」

 

え、あれ?

この声、小町ちゃん?

比企谷君、どうしたんだろう、いないのかなぁ?

 

「あ、もしもし小町ちゃん。

 あの、比企谷君いる?」

 

「兄はいま近くまで小町の所用で出ています。

 スマホは忘れていったみたいです。

 あ、でもそんなにたいした用事じゃなにので、もう少しで帰ってくると

 思いますよ」

 

「うんわかった。

 ありがと」

 

やっぱり電話じゃ駄目だ、わたしが悪いんだし会って謝らないと。

家、行ってみよう。

もうすぐ帰ってくるっていうし。

 

     ・

     ・

     ・

 

”テクテクテク”

 

やばい、もう真っ暗だ。

ほんと暗くなるの早くなった。

比企谷君、もう家にいるかなぁ。

 

「小町~、アイス買ってきたぞ」

 

あっ、比企谷君いた!

ちょうど家に帰ったとこだったんだ。

よかった。

 

”タッタッタッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

ちゃんと謝ろう。

うん、話も聞かないでいきなり引っ叩いたわたしが絶対的に悪い。

そんでちゃんとありがとって言おう。

 

「スー、ハー、スー、ハー」

 

よ、よしチャイム、押すよ、押すからね、押したりして、押す!

 

”ピンポーン♪”

 

やば、鏡見るの忘れた。

さっき泣いちゃったから、変な顔してないかなぁ。

えっと鏡、鏡。

 

「は~い」

 

”ガチャ”

 

「あ、美佳さん、いらっしゃい」

 

「あ、小町ちゃん。

 ごめんね、こんな時間に」

 

「いえいえ。

 まだ夕食前ですよ」

 

「あ、あの、比企谷君お願いできますか?」

 

「はいはい、ちょっと待っててください」

 

”どたどたどた”

 

い、今のうちにコンパクト。

へ、変な顔になっていないよね

 

”パコ”

 

ふ~、よかった大丈夫だ。

ちょっと目が赤いくらいだ。

 

”ガチャ”

 

「あ、あの、美佳さん。

 兄はまだ帰っていませんでした。

 あの後、帰ってきてすぐに友達の家に行っちゃったみたいです。

 ご、ごめんなさい」

 

「え?」

 

あれ? だってさっき家の中に。

確かアイスって。

 

”そわそわ”

 

小町ちゃん。

・・・・・そ、そっか。

比企谷君、やっぱり怒ってるんだ。

怒ってわたしなんかに会いたくないんだ。

それで小町ちゃんにこんな嘘を。

ごめんね小町ちゃん。

 

「あ、あの~、み、美佳さん」

 

「あ、う、うん、わかった。

 ありがと小町ちゃん。

 それじゃ、わたし帰るね」

  

「美佳さん!

 あ、あの、ご、ごめんなさい」

 

「うううん、わたしの方こそごめんなさい」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、あのね、小町ちゃん」

 

「あ、はい」

 

「比企谷君に、ごめんなさいって伝えてもらってもいい?」

 

「ごめんなさい?」

 

「うん、お願いします」

 

”ペコ”

 

「あ、はい。

 確かに兄に伝えます」

 

「じゃあね」

 

”スタスタスタ”

 

「はぁ~。

 ごめんなさい、美佳さん」

 

”ガチャ”

 

「お、お兄ちゃん、なんで出ないの!

 美佳さん、とっても悲しそうな顔してたよ。

 目も赤かったし。

 もう小町こんなのやだよ」

 

「・・・・・・」

 

「あっ。

 だから、な・に・が・あっ・た・の?」

 

「何もない。

 ただ、駄目なんだ。

 会いたくても、今あいつに会うわけにはいかないんだ。

 すまない、小町」

 

「お兄ちゃん」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”スタスタスタ”

 

さてと今日から塾だ塾。

いろいろあったけど、ゆきのんが待っててくれる。

うん、頑張ろ!

あ、でももしかしたら比企谷君いるかも。

塾があるからいないって言ってたけど、もしかしたら今日は来てたりして。

でも、もし来てたらどうしょう。

今度はちゃんと話聞いてくれるかなぁ。

 

”ガラガラ”

 

「ひゃ!」

 

「あら三ヶ木さん。

 不審者かと思ったわ。」

 

「あ、ゆきのん。

 ご、ごめん。

 今、部室入ろうと思ってたとこ。

 今日からよろしくお願いします」

 

”ペコ”

 

「ええ、よろしく。」

 

あ~びっくりした。

えっともしかしてゆきのん、ずっと入口を見てたの?

・・・あ、やっぱり誰もいないんだ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”カリカリ、カリカリ”

 

ゆきのん、さっきからテストの採点してくれてるんだけどなんか赤線ばっかり。

ゆきのん、すごい表情険しいんだけど。

だってゆきのんが作ってくれたテスト、すごい難しかったんだよ。

折角だから紅茶淹れてみたんだけど機嫌直してくれるかなぁ。

 

”カチャ”

 

「あ、あの紅茶淹れてみたの。

 勝手に使ってごめんね。

 よかったらどうぞ」

 

「別に構わないわ。

 紅茶ありがとう、頂くわ」

 

”ゴクゴク”

 

「はぁ~」

 

げ、またため息つかれた。

でもあんなのいつ習ったんだ、全く覚えていない。

はっ、もしかしてわたしの休んでる日に習ったんじゃ。

そうだ、絶対にそうだ、そうにしておこうっと。

 

「三ヶ木さん」

 

「は、はい」

 

「合格よ」

 

「えー、ご、合格?」

 

「ええ、紅茶の淹れ方、本当に上手になったわ」

 

「あ、あ、ありがと」

 

そっちか~、テストの方じゃないのかよ。

ま、まあ、あんだけ直されてりゃそれはないか。

 

「テストのほうは・・・・・・頑張りなさい」

 

や、やっぱり。

 

「三ヶ木さん、あなたはできる子よ。

 頑張ればもっとできるはず」

 

で、でた~

こ、これって誉め言葉? 褒められてるんだよね。

なんかわたし小さいころから先生に言われてた。

そう、わたしはやればできる子なのだ!

 

「ゆきのんありがと、わたし頑張るね。

 えへへ、褒められちゃった」

 

「なにを言ってるのかしら?

 もっとしっかりしなさいってことよ!」

 

「は、はい」

 

誉め言葉じゃないのかよ~

叱られたのか、知らなかった。

げ、ゆきのんの目、ちょ~怖い。

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”スタスタスタ”

 

へ~こんなにいい天気なのに、やっぱり夜から雨降るのかなぁ

 

さてとそんなことより、今日も頑張るぞ。

へへ、生徒会、今日はいつもより早めに切り上げてきちゃった。

引き続ぎ資料は家でもできるもんね。

昨日も一昨日もテスト全然ダメだったんだ。

せっかくゆきのん付き合ってくれてるんだもん。

ちゃんと成績上げないと。

 

”ガラガラ”

 

あ、誰か奉仕部からでてきた。

あ、比企谷君と結衣ちゃん。

 

”サッ”

 

な、何で隠れるんだわたし。

 

「ごめんねゆきのん」

 

「気にしないで由比ヶ浜さん、比企谷君」

 

「・・・・・」

 

「比企谷君?」

 

「あ、あははは、じゃ行ってくるねゆきのん。

 ほらヒッキー行くよ」

 

「ええ、行ってらっしゃい」

 

あ、そっか今から塾行くんだ。

いつも二人で一緒に?

結衣ちゃん、楽しそうだなぁ。

 

”スタスタスタ”

 

「由比ヶ浜」

 

’サッ’

 

「え? あ、うん。

 ちゃんと書いてあることわかった?」

 

「・・・・・」

 

「ちゃんとわかった?」

 

「あ、ああ、すまない」

 

「そっか、それなら良かった」

 

なんかノートみたいなのやり取りしてた。

なんだろう、は! もしかして交換日記。

きっと結衣ちゃんと交換日記してるんだ。

・・・・・・やだ!

わたしも会ってちゃんと話したい!

いやだよこのままは。

ごめん、ゆきのん。

 

”コンコン”

 

「はいどうぞ」

 

”ガラガラ”

 

「三ヶ木さん、いらっしゃい。

 今日は少し早かったのね」

 

「あ、あの、ご、ごめんゆきのん。

 今日、ちょっと用事があって帰らないといけないの。

 ごめんなさい」

 

「用事があるのなら仕方ないわ。

 それじゃ、また明日ね」

 

「う、うん。

 また明日お願いします」

 

”ダー”

 

ほんとごめん、ゆきのん。

 

     ・

 

”タッタッタッ”

 

どこいったんだろう、どこにもいないや。

比企谷君、今日も自転車で来てなかったから電車かと思ったんだけど。

もしかしてバスだったのかなぁ。

えっとどっちだろう。

いいや、とりあえず駅のほうに行ってみよう。

 

     ・

 

”コンコン”

 

「はいどうぞ」

 

”ガチャ”

 

「失礼しますっす。」

 

「あら刈宿君。

 今日はどうしたのかしら?」

 

「あ、あの美佳先輩こちらに来ていませんか?

 生徒会室に行ったら奉仕部に行ったって聞いたもので。」

 

「え、あ、三ヶ木さんは今日用事があるって先に帰ったわ?」

 

「そ、そっすか。

 じゃ俺帰るっす」

 

「あ、刈宿君、あなた三ヶ木さんの家知ってるかしら?」

 

「え? あ、知ってますよ」

 

「そう。

 もしよかったらこのプリント渡してもらえるかしら」

 

「プリント?」

 

「ええ、今日採点した分と宿題のプリントよ。

 彼女急いでたから渡せなくて」

 

「了解っす。

 それじゃ、お先に失礼しますっす」

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「ね、ヒッキー

 あのさ、今度ね、一度家に来てくれない?」

 

「ん?」

 

「あ、えっと」

 

”ピタ”

 

「お、お前近い」

 

「仕方ないじゃん。

 あのね、今・度・家・に・き・て・く・れ・な・い?」

 

「はぁ? 

 なんでだ?」

 

「サ・ブ・レ・が・・・・・もう面倒くさい。

 ちょっと待って」

 

”ガサガサ”

 

「いまノートに書くね」

 

『ヒッキーが来るとサブレ喜ぶと思うから』

 

「ん? サブレやっぱり元気ないのか」

 

『うん』

 

「わかった。

 今度適当な時にな」

 

「本当!

 ヒッキーありがとう」

 

”だき”

 

「ば、ばっか離れろ。

 くっつくんじゃない」

 

”むにゅ”

 

「え?」

 

「え? あっ!」

 

「ヒ、ヒッキー、む、む、胸!

 胸さわっ 」

 

「あ、い、いや、違う。

 そ、そんなつもりじゃ。

 す、す、すまん」

 

「あ、い、いや、わ、わ、わかってるから。

 ・・・・・・・・・・・で、でもどうだったヒッキー?」

 

「・・・・・」

 

「あは、あはははは、な、なにいってんだあたし。

 じゃ、あたし塾行くね。

 ヒッキー、早く良くなるといいね。」

 

「?」

 

「もう!」

 

”ピタ”

 

「いや、近いって」

 

「は・や・く・よ・く・な・って・ね♡」

 

「お、おう。」

 

”タッタッタッ”

 

「すごくやわらかいんだなぁ。

 あいつの胸もこんな感じなのか。

 はっ! な、なに言ってんだ俺。

 さ、行くか」

 

”スタスタスタ”

 

     ・

     ・

     ・

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

いないなぁ~

どこだろう駅まで来ちゃったよ。

もしかして追い越しちゃった?

それともやっぱり今日バスだったのかなぁ?

 

”きょろきょろ”

 

ん? あっ、いた!

やっぱり電車だったんだ。

あれ? 比企谷君一人だ。

結衣ちゃんいないけどどうしたんだろう?

あ、やばい、電車乗っちゃう。

 

”タッタッタッ””

 

     ・

 

”ガタンガタン、ガタンガタン”

 

隣の車両だから気付かれてないよね。

どれどこにいるかなぁ。

あ、いたいた。

塾ってこっちの方なのか。

結衣ちゃんいないから別の塾行ってたんだ、多分。

でもさっきから手をニギニギしてなにしてるんだろう?

握力鍛えてるのかなぁ。

げ、なんかにやけてる、キモ!

 

     ・

 

”ガタンガタン、ガタンガタン”

 

えっとどうしょう。

このまま塾まで行こうかなぁ。

でもそれってちょっと変だし。

あ、そうだ。

次の駅でいったん降りて、比企谷君のいる車両のドアから入って。

それでいかにも偶然って感じで。

よ、よし! それでいこう。

 

     ・

 

”プシュ~”

 

よ、よしいったん降りて。

前の車両に移動してっと。

 

”スタスタスタ”

 

よ、よし、じゃ入るよ。

 

”ザワザワ”

 

え? な、なにぃ! 

反対側の電車からいっぱいおじさん達降りて来た!

げ、こ、こっち来た。

こっちの電車に乗るの!

いや~、押さないで~

 

     ・

     ・

     ・

 

ぐ、ぐるしぃ~

いつもいつも、なんでこんなに人乗せるんだ。

定員制にしてくれ。

ぐそ~、同じ車両に乗れたけど流れに押されて反対側だよ。

う゛~、これじゃ話しかけられない。

どうしよう。

 

”キキキー”

 

え、駅だ。

さぁおじ様達、降りろ降りるんだ。

 

”プシュ~”

 

「あ、すみません降ります」

 

え、あ、比企谷君が降りちゃった。

やば、お、降りないと。

 

「ず、ずみまぜん、降ります、降ろして~」

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

比企谷君、どこに行くんだろ。

なんか塾のあるような雰囲気じゃないけど?

塾に行くんじゃないのかなぁ

あ、あの角曲がった。

 

”タッタッタッ”

 

えっと、あ、あれ?

あそこって耳鼻科?

な、何で比企谷君が耳鼻科に?

・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!

あ、あん時だ。

 

『比企谷君!』

 

『お、おう。

 なぁ三ヶ木、今日 』

 

”パシッ!!”

 

『かはっ』

 

”ドサッ”

 

わたし、思いっきり引っ叩いちゃったから。

比企谷君、痛そうに耳押さえてた。

あん時、比企谷君もしかして鼓膜を。

そういえば奉仕部のところでゆきのんと話しているときもおかしかった。

う、うそ。

 

”ヘナヘナヘナ”

 

ど、どうしょう、わたしが、わたしが比企谷君の鼓膜を。

わたし、比企谷君に怪我を・・・・・・・・・・・・・・いやぁ!

 

     ・

 

”ポツ、ポツ、ポツ、ポタ、ポタポタ”

 

わたしが、わたしが。

わたしのことを思ってくれた比企谷君の気持ちなんか全然考えずに。

なにが、わたしの気持ちもだよ。

馬鹿だ、どうしょうもない馬鹿だわたし。

 

”ザー、ザー”

 

「お母ちゃん、あの人ずぶ濡れだよ。」

 

「あら、どうしたのかしら病院の前に座り込んで」

 

”スク”

 

う、うううう。

少し考えればわかったはずなんだ。

比企谷君がそんなふうに思うはずないってこと。

きっと何か理由があったんだって。

それなのにわたしは。

 

”トボトボトボ”

 

ほんと、最低だ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

人にケガさせておいてわたし平気にしてていいの?

そんなはずがない。

謝らなくちゃ。

ちゃんと比企谷君に会って謝らなくちゃ。

で、でも今のわたしは彼に会う資格なんかない。

絶対にない。

だからわたしは、ちゃんとわたしは。

 

”スタ、スタ、スタ”

 

確かここにあったね

 

”ガタ”

 

あ、あった。

けじめつけなきゃ、けじめつけなきゃ、けじめつけなきゃ。

比企谷君に怪我させちゃったんだ。

だからわたしは。

 

”ソ~”

 

「スー、ハー、スー、ハー」

 

“ドクン、ドクン、ドクン、ドク、ドク、ドク”

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

ちゃんと、ちゃんとしなくちゃ。

このまま、この耳かきを一気に押し込めば。

 

”ブルブルブル”

 

う~、こ、こわい、こわい、こわい、でもやらなきゃ!

 

「はぁ、はぁ」

 

”チク”

 

「い、痛い!」

 

ちょっと触れただけでも痛いよ。

あ、少しだけ耳かきに血ついた。

でもだめだ、まだ鼓膜破れてない。

もっと強く押し込まないと。

ひ、比企谷君ごめんね。

わたし、わたし、いまちゃんとやるからね。

ちゃんとできたら、そん時は・・・・・わたし比企谷君に会いたい。

 

「スー、ハー、スー、ハー」

 

”ソ~”

 

会いたい、会いたい!

 

     ・

     ・

     ・

 

”キキキ―”

 

「ふ~、着いた。

 自転車、合羽持ってきててよかった。

 いきなりすごい雨だったもんな。

 さて、美佳先輩いるかな」

 

”トントントン”

 

「こ、この階段、大丈夫かよ。

 前も思ったけどなんかすげ~錆びてるんだけど。

 いまにも壊れそう」

 

”スタスタスタ”

 

「さてっと」

 

”ピンポ~ン”

 

「・・・・・・・・」

 

「ん? 電気ついてないし、やっぱりまだ帰ってないのかなぁ?」

 

”ガチャ”

 

「あ、鍵開いたままだ。

 どうしたんだろ、美佳先輩不用心っすよ~」

 

”きょろきょろ”

 

「やっぱりいないみたいっすね。

 部屋の中真っ暗だし。

 げ、何で家の中こんな水浸しで・・・・・・・・み、美佳先輩!」

 

”ドタドタドタ”

 

「美佳先輩どうしたんすか

 なんでこんなにずぶ濡れで」

 

「・・・・・わ、わたしできなかった。

 怖くてできなかった。

 だめだ、だめだわたし。

 わたしはもう・・・・・・・会う資格ない」

 

「美佳先輩?

 え、資格ないって?」

 

「わたし、ほんとに彼のこと好きなのかなぁ。

 ほんとに好きなら、ほんとに会いたいのならこんなのできるはずなのに。

 わたし、そばにいる資格あるのかなぁ。

 もう、自信なくなっちゃった」

 

「み、美佳先輩、ほ、ほらハンカチっす。

 髪拭いて。

 風邪ひくっす!」

 

「自信、自信なくなったよ。

 ううううう」

 

「み、美佳先輩、な、なにがあったんですか!

 できなかったって、なにをしようと思ったんですか!」

 

「うっうっ、うううう、うわ~ん」

 

「・・・・・あいつと、あいつと何かあったんすね。

 まったく。」

 

”だき”

 

「ほら、身体こんなに冷たいじゃないすっか。

 はやく着替えないと本当に風邪ひきますよ」

 

「うわ~ん、うわ~ん」

 

”なでなで”

 

「美佳先輩、もう泣かないで」

 

「もう、やだよ。

 辛いよ。

 ずっとずっと頑張ってきたけど、もうほんとに辛いよ。

 刈宿君、人を好きになるってこんなに辛いの?」

 

「・・・・・・美佳先輩。

 そんなに辛いんなら、いっそのこと俺と行きませんかアメリカに」

 

「え?」

 

「俺、1月からアメリカにテニス留学するっす。

 予定は5月までだったすけど、美佳先輩が卒業して俺のとこに来てくれるのなら、

 俺はそのまま現地の高校に転入して、そのまま向こうで暮らしてもいいっす」

 

「・・・・・アメリカ」

 

「うっす。

 向こうに叔父夫婦が住んでるんで、そこに厄介なるつもりっす。

 メッチャでっかい家なんで、美佳先輩一人ぐらい問題ないっすよ」

 

「で、でもそんなご迷惑な」

 

「叔父さん達、今その件でちょうど日本に来てるっすけど、お手伝いさんを探して

 いるみたいなんすよ。

 向こうではなかなか安心して家任せられる人がいないみたいで。

 美佳先輩なら叔父さん達も絶対喜ぶっす」

 

「・・・・・」

 

「ずっとでなくてもいいっすよ。

 美佳先輩の気が済むまででいいっす。

 何があったのか俺知りません。

 聞かないっす。

 でも俺は、俺は絶対に美佳先輩・・・・・美佳さんを泣かさないっす。

 辛い思いなんかさせないっす。

 美佳さんが会いたいって言ってくれるのなら、地球の裏側からでも

 駆けつけるっす。

 絶対、絶対に美佳さんの笑顔、守って見せるっす。

 だから・・・・・だから何もかも忘れて、俺と一緒に行きませんかアメリカに」

 

「か、刈宿君」




最後までありがとうございます。

修学旅行、次話京都に向けて出発。
さていろはすの修学旅行はどうなるのか。
(あ、渡月橋、早く直るといいですね)
そしてオリヒロと八幡は。

じ、次話、また会えたらうれしいです。
よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。