似て非なるもの   作:裏方さん

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今話も見に来ていただきありがとうございます。

生徒会選挙編最終編です。
それと八幡とオリヒロにとって・・・・・

毎度セリフが多く読みにくいと思いますが、
よろしくお願いいたします。

それではお願いします。



生徒会選挙編 後編 ―寒波ー

後悔なんかしていない。

俺があいつにしてやれることって、もうこれぐらいしかないのだと思う。

本当は優しい言葉の一つでもかけてやるものなんだろう。

だがそれは、きっともう俺の役目ではないんだ。

それだから俺は俺にしかできないことをしたんだ。

これでいい、これでよかったんだと思う。

だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さようならだ三ヶ木。

 

 

 

 

---- 話は選挙4日目(木曜日)の放課後に遡って ----

 

 

 

 

「あ、いた。

 ね、お願い、力貸してほしいの」

 

「断る!

 お前とか一色とかに関わると碌な目に合わない。

 修学旅行でもひどい目にあったし」

 

「あ、いや、修学旅行の件はごめんなさい。

 舞ちゃんの代わりに謝る、ほんとにごめん。

 でもジャリ・・・会長を助けてほしい。

 清川君も知ってると思うけど、今ネットで会長がすごく叩かれていて。

 あることないこと書き込まれてるの。

 ね、あの書き込みを止めることできない?」

 

「ああ、あの裏総武高のことか。

 でもお前、それは買い被りだ。

 書き込みやめさせるなんて、それこそホームページの管理者ぐらいしか

 できないだろう」

 

「でも連絡先とかわからないし。

 ・・・このままだと会長が」

 

「・・・・・」

 

「お願い、どんなことでもするから助けてくれない?」

 

「どんなことでもする?」

 

「あ、う、うん」

 

「どんなことでもいいんだな」

 

「は! も、もしかしてわたしの身体を差し出せと。

 いや、やめて~エッチ」

 

「ち、ちが~う。

 それにやめて~って、まだ何もしてねえだろう。

 パソコン、パソコンだ!

 お前らに没収されたあのパソコンを返せ。

 あのパソコンの改造に、いままでどれだけの資金と時間を注ぎ込んだと

 思うんだ。

 あれはそんじょそこらのパソコンとは違うんだからな」

 

「パソコン?

 あ、あのパソコン。

 でも確かに生徒会室に保管してあるけど、返却するのはわたしの一存

 じゃできないし」

 

「ならこの話はこれまでだ」

 

「わ、わかった。

 会長に何とかパソコンを使えるように話してみる」

 

「ほ、本当だな、もう騙さないぞ。

 そうだ、このボイスレコーダーに記録するから、

 今のもう一回言え。

 お前の名前も忘れるな」

 

「用心深~い」

 

「用心深くなるわ!

 純真な男心弄びやがって」

 

「えっと・・・・いい?

 な、なんか緊張するね。

 ごほん。

 こ、今回のネットの件を協力してもらう代わりに、没収した

 パソコン同好会のパソコンを清川君が使えるようにします。

 3年C組 三ヶ木美佳。

 はい、これでいい?

 その代わりお願いするね。」

 

「確約は出来ないが、やるだけのことはやってやる」

 

     ・

     ・

     ・

 

「先輩、こんなのひどいです。

 あることないこと書かれているじゃないですか。

 なんか男子の前だけめっちゃあざといとか」

 

「いや、それはあたってるのだが」

 

「はぁ!」

 

「い、いや何でもない。

 とにかく、しばらく大人しくしてるしかねぇ。

 こんなの放っておけばいずれは 」

 

「いずれはって、選挙終わっちゃうじゃないですか」

 

ふむ、実際のところこれでは選挙戦どころじゃないよな。

だがこういうのは管理者に連絡して、書き込みできないようにしてもらうしかない

だろうが、肝心の連絡先が分からん。

後は専門の業者があるって聞いたことがあるから、そこを使って調査するしかない

だろうが、やっぱり無料って言うことはないだろうな。

・・・ここは学校に相談するしかない。

明日にでも平塚先生に相談するか。

 

”ガラガラ”

 

「チ、チース」

 

「あ、清川君」

 

「ん、お前確か生徒総会の時のウィルス野郎。

 何しに来たんだ」

 

「・・・・・ちっ!」

 

「まぁまぁ、先輩も比企谷菌ですから似たようなものかと」

 

「はぁ! 一色、それは違うぞ。

 ウィルスと菌は全然違う。

 いいか、菌は自分の力で増殖することができるんだ。

 誰にも頼らず、自分の力だけでひそかに増殖。

 まさに孤高の存在、ぼっちの鑑。

 宿主に頼らざるをえないウィルスなんかと一緒にしてもらっては困る。

 ・・・・・って一色さん聞いてる?

 あの~、腕をクロスしてなにしてるの?」

 

「無敵バリアです」

 

「いや、比企谷菌にバリア効かないから」

 

「げ、比企谷菌どんだけですか」

 

「あ、あの一色、パソコンの件だがいいか」

 

「あ、美佳先輩から聞いてますよ。

 ちゃんとそこに置いてあります。

 えっとパソコンのプログラムコンテストに応募するんでしたね。

 どうぞ使ってください。

 応援してますから、頑張ってくださいね、えへ」

 

「あ・・・・あ、あ、ありがとう」

 

「うへぇ~、あざと」

 

「な、なんですか、何か言いました先輩」

 

「い、いや別に」

 

”ゴソゴソ”

 

ん? こいつなにやってんだ。

なんかコードとか繋げてるけど。

 

”プチッ”

 

げ、電源入れやがった。

ま、まさかここでプログラム入力する気なのか?

ここは一応選挙用として借りている教室だ。

それに部外者のこいつがいるといろいろとやり辛い。

 

「おい、清川なにやってんだ。

 ここは一色の選挙用としてだな 」

 

”カチャ、カチャ”

 

「・・・・・ふん」

 

な、なんだと、俺は菌と言われたことはあるがフンと言われたことはない。

こ、こいつ、ウィルスの分際で。

 

「清川君、ここでプログラムするんですか?」

 

「あ、ああ。

 部室ねえし、パソコン持って帰るわけにもいかないんだろ。

 悪いがちょっとここ貸してくれ」

 

「そうですけど」

 

「邪魔しないし、絶対に選挙に関することは他言しない」

 

「そ、そうですか。

 仕方ないですね、わかりました。

 絶対内緒ですよ。

 で、先輩、明日からどうしましょう」

 

「まずは様子見るしかねえだろう。

 とにかく、お前は校内放送の準備しろ。

 俺はチラシを作る。 

 明日の登校時に配るぞ。」

 

「・・・・・はい」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ねぇ、今日の一色の顔見た?」

 

「見た見た。

 本当にざまあみろって感じだね。

 あいつ男子の前だとあざとくて気に食わなかったんだ」

 

「ね、絶対に当選させたせたら駄目だよ。

 いい、今日もしっかり一色の悪口書き込みするよ」

 

「あ、でも一色のことよく思ってない女子っていっぱいいるね。

 ほらさっき書き込んできたこの子も」

 

「どれどれ。

 え~、彼氏から一色のようなあざといの強要されているんだって」

 

「ひど~い」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カチャ、カチャ”

 

「う~ん、やっぱりこっちのほうが、放送を聞いている人の受けがいいかな~」

 

”ちら”

 

ん、まただ。

清川の奴、パソコンやりながら、一色のことチラ見してやがる。

げ、一瞬、ニッて笑いやがった。

なんかものすごくキモイ。

・・・・・そういえば俺も家でラノベ読んでた時、小町からキモって

言われた時あったな。

こんな感じだったのか。

・・・・・今度からラノベ読むときは誰もいないところで読もう。

 

「あ、先輩、そろそろ塾に行く時間じゃないですか?」

 

「ん、あ、もうこんな時間か。

 まぁ、チラシのほうはできたからな。

 んじゃ、俺は職員室よってチラシをコピーしてから帰るわ」

 

「あ、先輩、わたしもコピー手伝います。

 というわけで、清川君そろそろ帰りますよ」

 

「あ、お、俺もうちょっとやって帰るから、お先にどうぞ」

 

「え、そうなんですか。

 それじゃ頑張ってくださいね。

 あ、でも、あんまり無理したらダメですよ。

 それではです、にこ」

 

「あ、あ、は、はい」

 

”ガラガラ”

 

「一色、先行ってるわ」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、先輩待ってくださいよ~」

 

”ガラガラ、ピシャ”

 

「い、行ったよな

 へへ、さっきまで一色が座っていた椅子」

 

”すとん”

 

「はぁ~、い、一色の体温がまだ残ってる。

 一色のぬくもり・・・へへ」

 

”ガラガラ”

 

「清川君、この教室の・・・・か・・・・ぎ・・・・」

 

「あ゛ー、い、いや、ち、違うんだ!

 あ、あのこれは 」

 

「か、か、鍵、、こ、こ、ここに、置いておきま・・・・す」

 

”ガタッ”

 

「あ、じゃぁ鍵もらって 」

 

「きゃー、変態、キモ、こっち来ないでください!」

 

”ダー”

 

「・・・・・・・・も、戻ってくるなんて反則だ」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”スタスタスタ”

 

「ジャリっ娘、昼休みどこに行ってるのかなぁ。

 清川君からお昼はどこか行ってるって聞いたから、授業終わってすぐ教室に

 行ったのにもういなかった。

 やっぱり教室に居づらいんだろうなぁ」

 

「ジミ子先輩!」

 

「え?」

 

”ぐぃ”

 

「ひゃ~、ちょ、ちょっと舞ちゃんどうしたの?

 え、ど、どこ連れて行くの?

 は、も、もしかして体育館裏でわたしに焼きを」

 

「い、いいですからそんなの。

 ちょっとお願いします」

 

     ・

 

「ジミ子先輩、わたし、こんなの、こんなのいやです。

 一色、今朝は登校時の呼びかけに来てましたけど、本当にすごく参ってた。

 わたし見っちゃたんですよ一人になった時の一色の顔。

 すごく落ち込んでて、あんな顔してる一色見るの初めて。

 ジミ子先輩、わたし、わたしね、一色の生徒会に憧れてた。

 わたしもあんな関係がほしくて立候補した。

 ・・・・・馬鹿ですね、わたしにも真希やちと、笑子がいてくれてたってのに。

 でも、わたしが立候補した所為で一色は一人になって、

 今の一色には備品先輩しかいなくて。

 それなのに、あのネットの所為でクラスのみんなから陰口叩かれて孤立して。

 ジミ子先輩!

 わたしこんなの嫌です。

 こんなになるんだったら、わたし立候補しなければよかった。

 今すぐにでも立候補やめたい。

 でもわたしを当選させようって、真希達が頑張ってくれてるから

 悪くてとてもやめるなんて言えないし。

 わたしどうすればいい?

 ジミ子先輩、教えてください、わたしどうすれば。

 もう、あいつの、一色のあんな顔見るのいや」

 

「舞ちゃん」

 

「・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

”パコ~ン、パコ~ン”

 

今日も戸塚、頑張ってるな。

受験勉強で疲れているだろうに。

おっ、こっち向いて手を振っている。

はぁ~とつかわいい。

その穢れのない純粋無垢な笑顔は、この荒み切った世の中にあって、

俺の唯一無二の希望。

この天使の舞を見れるのなら、多少の寒さを耐え忍ぶことなどなんでもない。

くそ、と、戸塚は何で男なんだ。

戸塚が女子なら俺は・・・・・

は、まてよ。

最近の世界の流れは同性婚に対する理解が深まっているという。

ならば近い将来、この日本でも同性婚が認められる日が来るはずだ。

うむ、必ず来る。

もしそうなれば、お、俺は戸塚と。

 

『八幡、朝だよおはよう。

 ご飯できてるから起きて』

 

『あ、八幡、ご飯が頬についてるよ。

 仕方ないなぁ、もう~

 はい、あ~んして』

 

「あ~ん」

 

”パク”

 

「美味しいですか先輩」

 

「へ? い、い、一色!

 お前何してるんだ!」

 

「なにって、先輩がいきなり”あ~ん”て口開けるから,

 つい条件反射でご飯食べさせちゃったんじゃないですか。

 先輩、ちょっと大胆すぎです。

 そ、その~人目もありますし」

 

「い、いや、ち、違う。

 こ、これはだな、俺は戸塚と 」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、舞ちゃんの言う通り、ジャリっ娘ここにいたんだ。

 へへ、楽しそうだな。

 あ、あれなんでだろう、めっちゃ心配してたから喜ばないといけないはずなのに。

 何でこんなに、こんなふうに・・・・・・・・・・

 やっぱりこんなんじゃだめだ。

 わたしは変わらないと」

 

     ・

 

”ヒュ~”

 

「ひゃっ」

 

”ピタ”

 

うっ、またこいつくっついてきやがった。

ほんわかと一色の体の温もりが伝わってくる。

こいつらリア充にとって、これぐらいのスキンシップは普通なんだろうが、

ぼっち、いや普通の男子にとっては100人中99人が勘違いするレベル。

ふふふ、だがあまいぞ一色。

希望を持たず、心の隙を作らず、甘い話を持ち込ませず!

俺はこの3原則を心に刻んで生きているのだ。

だから俺にはこんなの通用しない、通用しないんだから!

 

「い、い、いや、なにお前く、く、くっつきすぎだから」

 

「だって仕方ないじゃないですか~

 やっぱりここってちょっと寒いです。

 せめてもう少し風を避けられるところに行きませんか先輩」

 

「断る!

 俺は戸塚がいる限り、このベストプレイスから離れるつもりは微塵もない!」

 

「ど、どんだけ戸塚さんが好きなんですか!

 もういいです。

 戸塚さんのことはあきらめてます。

 それより、今日のお弁当は美味しかったですか?」

 

「ああ、食えないことはないな」

 

「な、なんですか、頑張って早起きして作っているのに。

 まぁいいですけど、お弁当食べたんですから今日もちゃんと

 働いてくださいね」

 

「いや、お前が勝手に作ってきてるんだろうが。

 それにそんな労働契約を結んだ憶えはない」

 

「勝手にって・・・

 も、もういいです、もう作るのやめます」

 

「でも、まぁなんだ、ご馳走さん。

 滅茶苦茶美味しかった。

 お前マジで料理うまいんだな」

 

「あ、あ、あの・・・・・・さっき食えないことはないって言ったくせに。

 卑怯ですよ。

 し、仕方ないです。

 明日も作ってきますので、楽しみにしてくださいね♡」

 

「なぁ一色、お前目の下にクマ出てるじゃねえか。

 ちゃんと寝てるのか?

 昼飯はありがたいんだが、そのためにあまり無理するんじゃない」

 

「・・・わたしお弁当作ってる時がすごく楽しいんです。

 先輩どんな顔して食べてくれるかなぁとか、美味しいって言ってくれるかなぁとか

 いろいろ考えて。

 少なくともその間は嫌なことなんか全部忘れていられるから。

 だから、明日もお弁当作ってきます。

 明日だけじゃなくて、明後日も明々後日もその後もずっと」

 

「い、一色」

 

「先輩さえよければ、ご卒業してからもずっと毎日お弁当つくりたいです」

 

「えっ」

 

「あ、あ、あの・・・・・・・ちゃんとお代頂きますからね」

 

「お前、大学行かないで弁当屋する気なのか」

 

「・・・・・・・・・・・はぁ~。

 じゃわたし午後は体育なのでもう行きますね」

 

「おう」

 

「それではです」

 

”スタスタスタ” 

 

「あ、やば!

 ジャリっ娘こっちに来た。

 ど、どっか隠れないと」

 

”サッ”

 

「いや~、お決まりのクモの巣。

 もう、ちゃんと掃除して~

 あ、やば!」

 

”トボトボトボ”

 

「はぁ~。

 教室なんて、あんなところになんて戻りたくない。

 いやだな、このまま帰りたい。

 はぁ~、保健室行ってようかなぁ」

 

”トボトボトボ”

 

「ジャリっ娘、やっぱり・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「待たせた」

 

「うううん、わたしも今来たところだよ。

 で、なにかわかった清川君」

 

「ああ。

 ここではあれだ。

 ちょっとあっちいいか」

 

「うん」

 

”スタスタスタ”

 

「あの書き込み見直していたんだが、やっぱり煽り立ててる奴らがいる。

 ちょっと書き込みが下火になると、それとなくそいつらが次の話題を

 提供して煽り立てるんだ」

 

「でもそれって誰かわかる?」

 

「まあ今回の件、だいたい犯人グループの目星はつけていたんだ。

 それでな、書き込みでちょっとカマかけたら、あいつ等しか知らないこと

 書き込みやがった。

 あの書き込みが証拠になる」

 

「よかった。

 じゃあ、それでその人たちに書き込みやめさせれば、

 もうあんなの無くなるんだ」

 

「いや、そうは思わない」

 

「え?」

 

「一色の件、これだけ炎上しているんだ。

 確かに煽り立ててたやつらの書き込みは無くなるかもしれんが、

 他に今まで書き込んでた奴らがすぐにやめるとは思わない」

 

「じゃ、じゃあどうすればいいの?」

 

「・・・・・興味がなくなるまで放っておくしかない」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・あ、あのね清川君」

 

     ・

 

「はぁ! お、お前馬鹿か!」

 

「馬鹿っていうなし。

 これでも先輩なんだからね!

 ・・・実は馬鹿なんだと思う。

 でもわたしはこういうやり方しかできないから」

 

「いいのかよそれで」

 

「う、うん。

 こんなやり方でも理解してくれる人がいるんだ。

 その人がわかってくれれば、わたしはそれだけいい」

 

「・・・・・そうなのか」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ、ガチャ”

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

”ちら”

 

「あ、あ、あの、一色」

 

「話しかけないでください、変態、キモ川」

 

「い、いや、き、キモ川って」

 

     ・

 

”カチャ、カチャ、カチャ”

 

『・・・実は馬鹿なんだと思う』

 

「・・・ち、くそ!

 え~い、一色!」

 

「ひゃ!

 は、話しかけないでって言ってるでしょ、キモ川!」

 

「もうキモ川でもキモ夫でもいいから。

 一つだけ教えろ、お前にとってあの三ヶ木って人は何なんだ。」

 

「はっ? 美佳先輩がなにか?」

 

「いいから答えろ、お前にとって何なんだ」

 

「なんですかいきなり」

 

「とっても大事なことなんだ。

 頼む、教えてくれ」

 

「・・・・・・・・・・・

 えっと、まぁ、わたしにとって生徒会を運営するための一つの駒」

 

「あの人ってお前にとってただの駒なのか!」

 

「ってね、初めの頃はそう思ってたの。

 でもね、生徒会で一緒に活動してきて、喧嘩したり笑いあったり

 ・・・一緒に泣いたり。

 今ではとっても大切な、大切な人。

 大事な思い出を共有してる人。

 そしてとっても手のかかる・・・・・大切なお姉さん。」

 

「手のかかる大切なお姉ちゃんっか」

 

「そうなんですよ、上級生のくせして心配ばっかかけて。

 ちっとも目を離せないんですよ。

 でも、まぁ、いないととっても寂しくて。

 えへ、本当になんでしょう、あの人って」

 

「・・・わ、わかった」

 

「でもキモ川君、なんでそん 」

 

”ガラガラ”

 

「すまん、遅くなった一色」

 

「本当に遅いですよ先輩。

 罰です、今すぐわたしにミルクティーを 」

 

「ほら、ミルクティー」

 

「え、あ、ありがとうございます」

 

”カタ”

 

「ほれ、お前も」

 

「え、あ、ありが・・・・・な、なんだこの禍々しい物は」

 

「お前、千葉県民のくせにマッ缶も知らないのか。」

 

「いや、これ甘すぎるって有名なやつだろう。

 まったくよりによってなんでこんなもの」

 

こ、このウィルス野郎。

千葉県民のソウルドリンクをこんなものだと!

ま、まて、俺のほうが高位なんだ。

ここは大人の対応しないと。

短気は損気だ。

 

「なんだいらないのか、じゃあ俺が」

 

「いや、もらったものは俺のものだ。

 それに一度飲んでみたかった」

 

「・・・初めからそう言え」

 

く、くそ、やっぱり俺はこいつが嫌いだ。

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”ブ~、ブ~”

 

「もしもし、どうした三ヶ木?」

 

「あ、稲村君。

 ごめん、どうしても聞いてほしいお願いがあるの」

 

「か、金はないぞ!

 この前の差し入れで」

 

「いや違うから」

 

「ん?

 じゃなんだ? いいから言ってみろ」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ブ~、ブ~”

 

「もしもし」

 

「あ、わたし。

 ごめんね清川君、よろしくお願いします」

 

「その前に一つだけいいか」

 

「え? あ、うん」

 

「お前にとって一色って何なんだ。

 何でこんなことまでできるんだ」

 

「会長ってさ、ほんと我儘で、自分勝手で、自己中で」

 

「いやそれ同じことだろ」

 

「うん、ほんと振り回されっぱなしだった。

 でもさ、なんかほっとけなくてさ。

 あれで結構思いやりがあって、一生懸命で、可愛くて。

 ・・・そうだね、わたしにとってとっても大切な妹ってとこ。

 わたしは会長・・・・・あの娘を守ってあげたいんだ」

 

「・・・そっか。

 じゃ、書き込み始めるぞ」

 

「う、うん」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カチャ、カチャ”

 

『・・・だよね。

 まったくあの一色ってあざといから。

 あ、でも知ってる?

 生徒会ってさ、ほんとは黒幕がいるんだよ』

 

『え~黒幕?』

 

『そうFIXER!

 あのスキー合宿も実はそのFIXERが仕組んだんだって』

 

『信じられな~い、サイテー

 でも誰、誰なのそのFIXERって?』

 

『あのトナカイ女だって。

 ほら文化祭のチークってあったでしょ、おかしいと思わなかった?

 文化際にチークなんておかしいし、それに葉山君があんな女選ぶ

 はずないじゃん。

 あれっても、あのトナカイ女が葉山君を狙って仕組んだんだって。』

 

『本当、ひど~い。

 サイテーな女だね』

 

『そうそう。

 それでね、他にも  』

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”タッタッタッ”

 

はぁはぁはぁ!

やった、やったぞ、ついに手に入れた!

長かった、長ったぞこの一週間。

ついに最新刊を手に入れることができた。

本屋から今日の午後に入ってくるとの連絡を受けて、プリキラ―も見ずに

すぐに出かけたんだ。

まぁプリキラーは毎回録画してるからいいけど。

さて食料も準備したし、晩飯抜きで今から部屋にこもって熟読しなければならない。

何人たりとも決して邪魔はさせない!

さ、愛しのわが家だ、至福の瞬間が俺を待っている。

 

”ガチャ”

 

「たっだいま~」

 

”ドタドタドタ”

 

「お、お兄ちゃん!」

 

「は、はい」

 

”ぎゅ”

 

「な、なにいきなり手を握ってどうした。

 そんなにお兄ちゃんがいないのが寂しかったのか小町」

 

「そんなのどうでもいいから。

 早くこっち来て」

 

「お、おう?」

 

     ・

 

『酷いよなあの女。

 確か三ヶ木って言うんだろ』

 

『サイテ~だな。

 自分の顔、鏡で見ろって言うんだ』

 

『あ、知ってる?

 あいつ小学生の頃にさ~ 』

 

な、なんだこれは。

いつの間に書き込みの標的が一色から三ヶ木に移っているんだ?

しかも一色の時よりひどい。

言いたい放題じゃねぇか。

それに小学校のころの話なんか持ちだしやがって。

 

「こ、小町、これって」

 

「うん、土曜日の夜からこんな感じなんだよ」

 

「昨日からだと。

 そ、そうだ三ヶ木!」

 

”カシャ、カシャ”

 

三ヶ木、あいつ大丈夫か。

小学校の話はあいつのトラウマだぞ。

こ、こんなの読んでしまったら、あいつは。

 

”ブ~、ブ~”

 

くそ、何で出ないんだ三ヶ木。

 

「小町、俺ちょっと行ってくる」

 

     ・

     ・

     ・

 

はぁはぁはぁ。

しかしあいつ家にいるのかよ。

近道だ、この公園突っ切っていくか。

はぁ~、ちょっとトラウマになりそうなんだよなこの公園。

やっぱりあの時電話すればよかったんだろうな。

あいつ、あのベンチでずっと俺のこと待ってて・・・・・

えっ!

 

「わざわざありがと、刈宿君」

 

「本当に大丈夫? 美佳さん」

 

「うん、平気だよ」

 

か、刈宿。

そ、そうか、刈宿も書き込み見て。

なんだ二人でベンチに座って。

ちょっと近づきすぎだろう、三ヶ木、お前ビ、ビッチかよ。

それに、なんでそんなに笑顔で話してるんだ、三ヶ木。

・・・・・・・自業・・・自得っか。

一度、掛け違ってしまったボタン、もう掛け直せないんだ。

今、三ヶ木を笑顔にしてやれるのは、あいつしかいない。

だったら俺は・・・・・・・・・・・・あいつのそばにいるべきじゃない。

 

”トボトボトボ”

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”ヒソヒソ”

 

「あ、あいつでしょ」

 

「ああ。

 あいつ、学校よく来れるよな」

 

「本当」

 

”ヒソヒソ”

 

「みんなしてわたしのことを・・・

 でもこれでいい。

 これでジャリっ娘のことは 」

 

”スタスタ”

 

「あれ? わたしの内ズックがない。

 えっと、あれ?

 ・・・・・くそ、お前ら小学生かってんだ。

 こちとらこんなこと、こんなこと経験済みだってんだ」

 

”キョロキョロ””

 

「ほらあった、ごみ箱の中。

 小学校の時と一緒だ。

 げ~、くっさーゴミまみれだよ。

 におい取れるかなぁ~」

 

     ・

 

”ガラガラ”

 

「あ、来た来た」

 

「よく平気な顔してられるよね」

 

”スー”

 

「きゃっ」

 

”ドタ”

 

「あいたた」

 

「痛てえな」

 

「だ、だって急に足出したから」

 

「あん?

 なんだよ、お前、俺が急に足出し 」

 

”ドン!”

 

「ひぇっ」

 

「あのさ、あたしにもそう見えたんだけど」

 

「・・・・・・ちっ」

 

「あん! 違うって言うの」

 

「あ、い、いや」

 

「ほら三ヶ木立ちな。

 いくよ」

 

「あ、う、うん」

 

”ヒソヒソ”

 

「何、あんた達何か文句あるの!」

 

「「・・・・・」」

 

「まったく。

 ほら三ヶ木、さっさと席に座りな」

 

「う、うん」

 

「まったく、今度は何を仕出かしたの」

 

「・・・・・・」

 

「まぁ、あんたのことだから何か理由あんだろうけど。

 いい三ヶ木、学校にいる時はあたしから離れない。

 わかった!」

 

「う、うん。

 ごめん沙希ちゃん」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カチャ、カチャ”

 

この書き込みの内容からこいつら総武高の奴らだな。

卒業生を送る会や文化祭、体育祭とかこれだけのこと書き込めるのは

この学校の生徒しかいない。

なにかこいつらを特定できるようなヒントはないか。

なんとか見つけ出してやめさせないと。

・・・見つけ出して、やめさせて、それで俺はどうしたいんだ

そんなことしてどうなるってんだ。

俺はもうあいつとは・・・・・

でも、いやだからこそかもしれないが、俺はやっぱり放っておけない。

 

”ガラガラ”

 

「ご苦労様です。

 ん、先輩、なにやってるんですか?

 あ、それ、裏総武高の書き込み。

 まだわたしのこと何か書いてあるんですか」

 

「いや、お前への中傷はなくなった。

 だけど代わりに三ヶ木への中傷がひどい」

 

「えっ!

 わたしもう嫌で見てなかったんですけど、何で美佳先輩が?」

 

「土曜日ぐらいから急にな。

 くそ、昨日より書き込みの内容がひどくなってやがる」

 

”カチャ、カチャ”

 

     ・

 

くそ、どんどん書き込んでいる奴増えているじゃねえか。

後から書き込んでるやつの内容って、これ三ヶ木関係ないことだろうが。

きっと面白がって書いているんだろうが、三ヶ木のこと知らないものに

とっては、そんなのわからない。

このままでは全て三ヶ木がやったことになってしまう。

どうする、一応平塚先生には相談しているが。

何か手はないのか。

 

”カチャ、カチャ”

 

「あ、あの先輩、最終演説の原稿ですが 」

 

「すまん、ちょっと後にしてくれ」

 

「・・・は、はい」

 

     ・

     ・

     ・

 

どいつが煽ってるんだ。

こういうのは必ず、中心で煽ってるやつがいるはずなんだ。

そいつを何とか探し出して。

だが一色の時とは何か違う。

 

「先輩、必死なんですね。

 わたしの時は放っておくしかないって言ってたのに」

 

「あ、い、いや。

 この書き込みの内容がちょっとひどすぎるんでな。

 そ、それに、ほらあいつには借りがあるんで、ここで返しおきたくて」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・・・それにな一色。

 あいつが、も、もしあいつがどっか行ってしまった時、

 このままでは俺はずっと後悔する。

 俺になにが出来るのかわからないが、何とかしてやりたい。

 救ってやりたい、助けたい。

 このまま放っておくなんてできない。

 あいつは、三ヶ木は・・・・・俺の特別なんだ」

 

「そ、そんなの、そんなのって。

 わたしは、わたしは先輩にとって・・・

 も、もういいです」

 

”ダー”

 

い、一色。

すまん、でも俺は三ヶ木を放っておくことなんてできない。

たとえ、あいつに望まれていなくても。

 

     ・

     ・

     ・

 

「なに、なんのようなの清川」

 

「わたし達忙しいんだけど。

 用事あるなら早くして」

 

「ね、なに後ろ向いてるの。

 ちょっとこっち向きなさいよ」

 

”ぐい”

 

「うげぇ~」

 

”ストン!”

 

「きゃ~、頭、頭が落ちた」

 

「「ぎゃ~」」

 

「こんなの簡単なトリックだよ。

 ハンガーと靴ベラがあればすぐできる。

 そんなことより、あのネットの一色に対する書き込みって

 あれ煽っていたのお前らだよな」

 

「は、はぁ、な、なんのこと」

 

「しらばっくれるなよ。

 書き込みに書いていたよな、あの太秦のお化け屋敷のこと。

 あの仕掛け、あれって俺なんだよ。

 そして、俺が脅かしたのはお前らだけだ。

 だからあのお化け屋敷のこと、あの仕掛けのことを書き込めるのは

 お前らだけだ」

 

「・・・・・」

 

「認めるよな」

 

「な、なに!

 清川、あんたなにがしたいの。

 あんたには何も関係ないじゃん」

 

「認めるのなら何もしない。

 だけど認めないのなら、お前らのことネットに書き込むからな。

 こっちには証拠がある」

 

「ね、ねぇ」

 

「・・・わ、わかったわよ、わたし達がやったのよ。

 認めればいいんでしょ!

 これで気が済んだ?」

 

「・・・ああ。

 あ、ちなみに今の会話、このボイスレコーダーに記録しあるから」

 

「・・・な、なによ、あんたは」

 

     ・

     ・

     ・

 

うん?

ちょっと待てよ、この書き込みって何かおかしくないか?

 

”カチャ、カチャ”

 

ま、まさか、これって。

しかしそれしかない。

ちっ、あ、あのバカ。

 

”ピタッ”

 

「あ、あちー」

 

「もうそろそろ完全下校時間ですよ、先輩」

 

「い、一色。

 ・・・す、すまん、選挙のほうもちゃんと 」

 

「はい、マッ缶。

 もういいです、本当はとっくにわかっていましたから。

 でも、もしかしたらってわたし・・・・・

 でも、でもですよ!

 先輩なんて、所詮先輩なんですから。

 こんなチョ~かわいい女子が、折角のチャンス与えてあげたのに、

 キス一つ出来ないチョ~ヘタレなんですから。

 だから・・・・・・・・・・・わたし、まだあきらめてませんよ、ねっ♡」

 

「お、おう」

 

「それよりも、書き込みの件なにかわかりました?」

 

「ん、あ、ちょっとな。

 なぁ、一色ここ見てほしいんだが」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「なぁ、あいつこれゴミ箱から見つけてきたんだぜ」

 

「おいおい、ちゃんと見つからないところに捨てて来いよ」

 

「そうだな、焼却炉にでも捨てておくか」

 

「ねっ、それうちの友達の内ズックだけど。

 それどうする気」

 

「げ、さ、相模さん」

 

「え、相模さんの友達って。

 あ、いや、な、なんでも」

 

「どうしたの相模?」

 

”ゾロゾロ”

 

「なになに?」

 

「あ、うん、こいつらがうちの友達の内ズック持ち出して、

 なんかする気みたい」

 

「はぁん? あっ!、もしかして匂い嗅ぐんじゃない?」

 

「うわ~最低、キモ!」

 

「いや、そ、そんな」

 

「まって、もしかしたらこいつらそのズックを舐めるんじゃない?」

 

「うぇ、マジ! 

 ね、ねぇ、こいつら女子の内ズックを舐めまわすんだって」

 

「え!」

 

「うそ」

 

”ザワザワ”

 

「い、いやちが、違うから」

 

「お、おい行くぞ」

 

”ぐい”

 

「ひぇ、あ、あの相模さん、く、くるしい」

 

「ね、今度うちの友達になんかしようと思ったら、ただじゃすまないから」

 

「あ、は、はい」

 

”ダー”

 

「ね、あいつらの顔見た?」

 

「きゃはは、青ざめてやんの」

 

「・・・・・・三ヶ木、あんた何やってんのさ」

 

「相模?」

 

「あ、うううんなんでもない。

 さ、教室行こう」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ヒソヒソヒソ”

 

「なんかよう!」

 

「ひゃ、な、なんでも」

 

”タッタッタッ”

 

「まったく、相も変わらず」

 

「ごめんね沙希ちゃん。

 でも大丈夫だよ。

 わたし慣れてるから」

 

「そんなの慣れるな、馬鹿!

 そんなの自慢になんかならないから」

 

”ガラガラ”

 

「げ、机の上ゴミだらけ」

 

”クスクス”

 

「ちょっと、あんたらだね」

 

「はぁ、何のこと?

 わたし達何のことか知らないよ。

 ね、ゆっこ」

 

「そうよ。

 なんのことかわからな~い。

 言いがかりやめてくれる川崎さん」

 

”ビシッ”

 

「ひゃ」

 

”ズデン”

 

「今度は当てるよ」

 

「ひぃー」

 

「あ、あっち行こ、遥」

 

「まったく」

 

”ヒソヒソ”

 

「なに!」

 

「「・・・・・」」

 

「ちっ!」

 

「ごめん沙希ちゃん。」

 

     ・

     ・

     ・ 

 

”カシャ、カシャ”

 

やっぱりやっぱりそうだ。

間違いない。

きっかけとなったこの書き込み、これを書いたのはあいつだ。

どうする?

簡単なことだ、同じことをやればいい。

その点、俺はネタに事欠かない。

・・・だ、だけど、それでいいのか?

 

     ・

     ・

     ・

 

「笑子が言いなよ」

 

「やだよ、ちとちゃんが言いなよ」

 

「笑子が」

 

「ちとちゃん」

 

「ん、何やってんのあんたら。

 なんで教室の中入らないの?」

 

「あ、真希。

 あのさ、ほら応援演説のことでさ」

 

「・・・ああ、そのことか」

 

「あの人に応援演説してもらうのってまずくない?」

 

「応援にならないかも」

 

「わかった。

 あたしが舞に言うよ」

 

「真希、お願い」

 

「真希ちゃんファイト!」

 

”ガラガラ”

 

「舞、お疲れ」

 

「あ、真希もお疲れ」

 

「あのさ、あんたネットの件って知ってる?」

 

「ネットって一色の件?

 ごめん、辛いから見ないようにしてる」

 

「そっか」

 

”カシャ、カシャ”

 

「ね、これ見てみて」

 

「え?

 な、なにこれ、何で三ヶ木先輩への書き込みが。

 はぁ! これってひどい!」

 

「でさ、応援演説の件だけど

 この人に頼むのはまずくない?」

 

「こんなの、ここに書いてあるのって嘘ばっかりだし。

 真希、こんなの全然違うって」

 

「わかってる。

 こんなの書き込むヤツの言ってることなんか、わたしちっとも信じてない。

 でもさこの人、三ヶ木先輩のことも考えてあげなよ。

 こんなに言われてる中で、応援演説させる気なの?

 それって三ヶ木先輩が辛くない?」

 

「あ、う、うん。

 で、でも」

 

”ガラガラ”

 

「蒔田いるか?」

 

「あ、稲村先輩。

 ちょどよかった三ヶ木先輩が、三ヶ木先輩がネットで」

 

「ああ。

 あのバカ、またこんなことしやがって」

 

「えっ、こんなことって?

 稲村先輩なにか知ってるんですか?」

 

「土曜日な、三ヶ木から電話があった。

 応援演説を代わってくれって。

 何をするつもりだって問い質したんだが、答えずに電話切りやがったんだ。

 その後すぐだ、ネットで三ヶ木が叩かれだしたのは。

 こんな偶然はないだろう。

 これあいつがなにかしたんだ、恐らくな」

 

「はぁ? ちょっといいですか?

 舞、あたしわからないんだけど。

 何で三ヶ木先輩って人は、自分で自分を貶めるようなことを?」

 

「会長を救うため、そのためなんだ。

 君は知らないと思うけど、三ヶ木のやりそうなことなんだ」

 

「そ、そんな。

 わたしが三ヶ木先輩に一色のこと相談したから。

 稲村先輩、だから三ヶ木先輩はこんなことを」

 

「蒔田、応援演説‥・・・すまん、俺にやらせてくれないか。

 やらせてほしい、この通りだ」

 

”ペコ”

 

「稲村先輩、いえそれはこっちから・・・・・

 も、もしかして稲村先輩 」

 

「頼む、俺は三ヶ木を 」

 

「・・・・・そっか。

 ごめん、真希、ちと、笑子。

 ちょっと絶対に聞いてほしいお願いがあるの。

 お願い!」

 

”ペコ”

 

「あんた」

 

「舞」

 

「舞ちゃん」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃゆきのん、先帰るね?」

 

「待ちなさい!

 今、鍵を返してくるから一緒に帰りましょう」

 

「ああ、大丈夫。

 書き込みの件なら心配しないで、わたしあんなの慣れてるから全然平気!

 じゃあね」

 

「み、三ヶ木さん」

 

”タッタッタッ”

 

「もうこの件でみんなを巻き込んじゃいけない。

 だってこんなになるってわかってて、わたしが勝手にしたことなんだもん。

 ふ~、よかった。

 今日はちゃんと下駄箱に靴あった。

 さ、さっさと帰ろっと。

 うんしょっと」

 

”ぐにゃ”

 

「え? な、なんか靴の中に。

 げ、ガム!

 こんなにいっぱい、あ、靴の裏まで。

 うわぁ、き、汚い」

 

”へなへなへな”

 

「う、うううううう」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

”スタスタスタ”

 

「先輩、いよいよ本番ですからね。

 応援演説お願いしますね。

 あの、できるだけしょぼく」

 

「・・・・・お、おう」

 

投票前の最終演説。

これが終われば、あとはその後の投票だけだ。

やっとこの選挙が終わる。

選挙が終わったら、三ヶ木に対する書き込みも下火になってくれないだろうか。

もし下火にならないのなら、そん時はやっぱり俺が。

そうするしかない。

俺が三ヶ木にしてやってやれること、それしかない。

だが・・・・・

 

”キョロキョロ”

 

ん? あれって川崎。

なにしてるんだ? 

なにかすごく焦っているようだが。

 

「もう! 

 本当にあの馬鹿どこに行ったんだろ?

 お昼休みになったらどこか行っちゃって。

 まったく、あれほどあたしから離れるなって言ってるのに」

 

「ん、川越、なにしてるんだ?」

 

”ぼこ!”

 

「ぐはぁ」

 

「あんたわかってて間違えてるんだろう。

 いい加減にしないと!」

 

「は、はい、ごめんなさい」

 

「そんなことより、比企谷、あんた三ヶ木見なかった?

 あの馬鹿、今日朝から様子が変で気になってたのに。

 どこ行ったんだろ」

 

「い、いや、見てない。

 どこにもいないのか?」

 

「ああ。

 昼休みになって、すぐ教室出て行って。

 ・・・あんたも知ってるだろ、ネットの件。

 三ヶ木、ネットの件があってからいろいろ嫌がらせにあっててね」

 

「・・・・・一色、すまん。

 先行っててくれ」

 

「え? あ、はい」

 

”ダー”

     ・

 

 

はぁ、はぁ、はぁ。

くそ、どこにいるんだ見つからない。

やばいなぁ、時間がない。

もう最終演説が始まってしまう。

・・・仕方ない。

 

”カシャ、カシャ”

 

「もしもし。

 何かしらこんな時に」

 

「すまん雪ノ下、頼みがある。」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ざわざわ”

 

「そろそろ最終演説会を始めますので、

 候補者の皆さん、準備のほどお願いします」

 

「美佳先輩、見つからないのかなぁ。

 でも、そろそろ演説が」

 

「一色さん」

 

「え? あ、雪ノ下先輩」

 

「比企谷君は来れないそうよ」

 

「え?

 で、で、でも、応援演説が」

 

「わたしが代わるわ」

 

「え、あ、は、はい。

 よろしくお願いします」

 

     ・

     ・

     ・

 

はぁはぁはぁ。

屋上へのド、ドア開いている。

や、やっぱりここか、ここにいたんだあいつ。

 

”タッタッタッ”

 

い、いた。

え、あ、あいつフェンスのとこで何をしてんだ?

ま、まさか。

 

「・・・・・ごめんねとうちゃん。

 あ、あのね、わたしもう一回かあちゃんに、かあちゃんに会いたい」

 

ち、あのバカ、フェンスに手を。

 

”ダー”

 

「三ヶ木!」

 

”ぐぃ”

 

「え? あ、ひ、比企谷君。

 い、痛い。

 手、手痛いって」

 

「何をしようとしてた。」

 

「え、あ、あ・・・・・

 別に、なにも」

 

「何をしようとしていた!!」

 

「・・・・・」

 

「三ヶ木、少し話がある。

 いいからこっち来い」

 

「痛い痛い痛い。

 痛いから手、手を放して」

 

「絶対だめだ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それでは生徒会選挙立候補者と推薦者の最終演説会を始めます。

 まず最初に書記に立候補した比企谷さんの推薦人、川崎君お願いします」

 

     ・

 

「三ヶ木、お前何やってんだ」

 

「な、何って、別に何も。

 ただ景色がきれいだなぁ~って」

 

「・・・・・

 ネットの件、あれお前が自分で書き込んだんだよな」

 

「はぁ?

 そ、そ、そんなことするわけないじゃん。

 な、なに言ってるのかなぁ~」

 

「鹿娘、あの鹿娘のことトナカイって言い張るのはお前ぐらいだ。

 お前知らないのか、トナカイと鹿では角の形が違うんだ。

 まぁ、その前にあれは鹿娘で広く認知されている。

 だが、あの書き込みには、しっかりトナカイ女って書いて

 あったじゃねえか」

 

「・・・・・で、でもさ、これが一番の方法だったの!

 ネットでの会長への書き込みをやめさせるにはこれしかなかったの!

 た、確かにわたしだよ。

 へへ、でもさ、これだけ一気に広がるって思わなかった。

 やっぱりわたしって嫌われてるんだ。

 まぁ、結果さ、ちゃんと会長への嫌がらせ無くなったじゃん。

 だからこの方法が正解」

 

「だが、お前が嫌がらせ受けてるじゃねえか」

 

「わたしなんか大丈夫だよ、慣れてるもん。

 小学校の頃なんてこんなもんじゃなかったし。

 それに、どうせ学校なんかあと2カ月ぐらいだから、

 わたしは全然平気!」

 

「・・・なら、お前何で泣いてるんだ。

 それに今何をしようとしたんだ」

 

「・・・わ、わたし泣いてない。

 なにもしてない」

 

「泣いてるじゃねえか。

 それじゃ、その目から流れてるのなんなんだ。

 ・・・お前はお前が思ってるほど強くないんだ」

 

「違う、泣いてなんかいない!

 もういいじゃんかぁ!

 ちゃんと、ちゃんと解決したんだから」

 

そうなんだよ、そうなんだ。

これがこいつのやり方なんだ。

大事なものを守るためには平気で自分を傷つける。

さもそれが当然のように。

そして言うんだ。

”わたしはわたしのしたいことをしたんだ”って。

でも、それって、そんなのって。

単なる自分への言い訳だ。

やっとわかった。

俺の心にずっと渦巻いていたもの。

俺がこいつにしてやれること。

・・・俺しか言ってやれないだ。

いや、俺が言ってやるべきなんだ。

いたわりや優しい言葉をかけるのは・・・俺じゃないんだ、もう今はきっと。

もっと早く言うべきだったんだ。

林間学校の時、気が付いていたじゃねえか、そう思ったんじゃないか。

雪ノ下にも指摘されていたんじゃないか。

あの時、ちゃんとこいつに言ってやれば、もしかしたらこんなこと。

・・・・・でも、俺自身まだこのやり方を認めていたんだと思う。

こんなやり方しか解決できないことがあるんだと。

自分が傷ついても大事なもの守れればいいんじゃないかって。

でも違うんだ、違ってたんだ。

俺はお前の涙を見て、お前が今やろうとしていたことがわかって。

俺はわかった、本当にわかった。

だから俺は・・・俺が言う!

 

「三ヶ木、お前のやり方は間違っている。

 俺は絶対に認めてやらない」

 

「え?」

 

「お前のやり方なんかじゃ誰も救えない」

 

「な、なに言ってんのさ。

 実際会長への書き込みは 」

 

「はん!

 お前、本当に一色を救えたと思ってるのか?

 救えていないだろう。

 お前が自分を犠牲にしてあの嫌がらせをやめさせた。

 そのことは一色も知っている。

 あの書き込み見れば、わかるやつはお前の自作自演だってわかる。

 そのことを知った一色の気持ち、お前考えたことあるのかよ。

 一色にとって大事な大事なお前を犠牲にして、それで自分が助かって、

 そんなの一色が喜ぶと思うのかよ!

 一色だけじゃない、稲村も、本牧も、書記ちゃんも、川崎も、材木座も、

 由比ヶ浜や雪ノ下、それに、か、刈宿、お前はみんなの気持ち考えたこと

 あるのかよ。

 ・・・・・お、俺の気持ち考えたことあるのかよ。

 なんでだ、お前はいろんなことわかってるのに、何でそこがわからない。

 だから言う。

 お前のやり方は絶対に間違っている。

 お前のやり方じゃ、本当に大事な人は救えない。

 俺は、俺は絶対に認めてやらない」

 

「そ、そんなの。

 だ、だって比企谷くんだって」

 

「・・・だからわかるんじゃねえか。

 俺辛いんだ。

 こんなやり方でお前が傷つく姿を見てると、俺はどうにかなりそうなんだ。

 自分が傷つくよりも辛いんだよ。

 辛くて辛くて、どうしょうもないんだ!

 ・・・三ヶ木、もうやめよう、俺達こんなやり方」

 

「か、勝手すぎるよ

 酷いよ、そんなの酷いよ。

 比企谷君だったらわかってくれると思ったのに!

 比企谷君だったら認めてくれて、そ、そんでやさしくわたしのことを・・・

 だのに!

 わたしのやり方間違ってるって、誰も救えないって。

 わたし、こ、こんな思いしてるのに。

 もっとやさしくしてよ、わたしのこと、わたしのこと抱きしめてよ馬鹿!!

 比企谷君なんて・・・・・・ほんとに、ほんとにもう嫌いだから!

 二度と話しかけないで!」

 

”ダー”

 

「三ヶ木!」

 

 

 

 

---- そして今 ----

 

 

 

 

「・・・・・はぁ~」

 

”トボトボトボ”

 

「ヒッキー、どこに行ってたの?

 もう小町ちゃんの演説終わっちゃったよ。

 あ、でもヒッキー、いろはちゃんの応援演説するんじゃ」

 

「・・・・・」

 

「ヒ、ヒッキー?」

 

「由比ヶ浜、今度の土曜日、早応大行ってみるか?」

 

「え、あ、う、うん」

 

     ・

 

「・・・という生徒会を目指して頑張ります」

 副会長候補 藤沢・・・

 あ、それと一つ言い忘れていました」

 

”ドン!”

 

「わたしはネットでコソコソと人の悪口言ったり嘲笑をする人が

 大嫌いです。

 これは既に生活指導の平塚先生にご相談させて頂いているのですが、

 わたしは生徒会にネット取り締まり部を設置して、先生方と連携し

 どんどん取り締まります。

 総武高の生徒が同じ総武高の生徒を貶めるようなことは絶対許しません!

 以上です」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、はい、えっと副会長に立候補された藤沢さんでした。

 えっとマイク大丈夫だったかな。

 続いて、会長候補の蒔田舞さんの応援演説ですが、

 あ、あの~蒔田さん、応援演説の方は?」

 

「あ、応援演説をお願いしました稲村先輩はちょっと下痢気味でして。

 応援演説は無理みたいです」

 

「え、で、でも、それでは」

 

「ほら応援演説の時に力まれて大変なことになったりするかも。

 そうなったらどうします?」

 

「げ、あ、は、はい。

 あの蒔田さんがよろしいのであれば、それで。

 では、続いて生徒会会長に立候補された蒔田さんです」

 

”スタスタスタ”

 

「生徒会会長に立候補した蒔田舞です。

 みなさん、すみません少しわたしの話を聞いてください。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以前お話ししましたように、わたしには目標とする先輩がいます。

 この先輩は自分勝手な人で、周りの人の迷惑なんて何も考えなくて。

 そして・・・・・本当に止めどもなく馬鹿で。

 その人は、皆さんも知っていると思いますけど、今ネットで炎上して

 いるあの人です。

 あの、あの人は馬鹿なんです。

 ある日、わたしは同じネットで親友がすごく陥れられてるのを知りました」

 

”ちら”

 

「ま、蒔田」

 

「親友のあることないこと書かれて。

 まぁ、あざといのは当たってましたけど。

 それでその親友がすごく傷ついて。

 外見は平気そうにしていましたけど、わたしわかりましたすごく落ち込んでるの。

 それにたまたま見たんです、普段の笑顔からは全く想像のつかないくらいの親友の顔を。

 その顔を見て、わたしすごく辛くなって先輩に話しました。

 誰かに言わないと辛くて辛くて。

 わたしは先輩に話聞いてもらうだけで、すごく気が楽になって。

 

 ・・・でもわたし今そのことを、ものすごく後悔しています。

 忘れていたんです、その先輩が馬鹿だったってこと。

 案の定、その先輩は親友への嫌がらせをやめさせるために、

 ネットに自分で自分を貶めることを書き込みました。

 それもうそばっかりを。

 全てが自分が悪いんだって思わせるために。

 

 その結果、親友への嫌がらせは止みました。

 でもそんなの、そんなのってわたしが望んでいたことじゃない。

 先輩を犠牲にして、それでわたしが平気でいられると思うんですか!

 そんなわけないじゃないですか、馬鹿先輩!

 わたし、わたしぜったい許しませんからね!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・ご、ごめんなさい先輩。 

 先輩、わたしは先輩のことが大好きです。

 

 だから、お願いします。

 みなさん、こんな大馬鹿者の後輩にとって、とってもとっても大事な

 先輩なんです。

 もう、もう嫌がらせは、や、やめでぐだざい。

 う、ううううううう、うわ~ん、うわ~ん、ひゃめでぐだざい、うっ、うっ」

 

”ざわざわ”

 

「あ、あの、蒔田さん」

 

”スタスタスタ”

 

「司会者の方、次は一色さんの番よね」

 

「あ、はい。」

 

”だき”

 

「さ、蒔田さん、早く席に戻りなさい」

 

「ば、ばい、ず、ずみまぜん、ううううう」

 

「一色さんの応援演説の雪ノ下です。

 一色さんはいい人です。

 以上」

 

”スタスタスタ”

 

「へ? あ、あの雪ノ下さん?」

 

「さ、あなたの番よ一色さん。

 これでよかったわね」

 

「はい。

 ありがとうございます、雪ノ下先輩」

 

”スタスタスタ”

 

「ごほん。

 えっと~生徒会会長に立候補した一色いろはです。

 わたしが会長に立候補した理由。

 ご存じのとおり、わたしは一年間生徒会会長を務めさせて頂きました。

 進学研究室の創設や部活動部費給付基準の緩和、それと開かれた生徒会作り。

 でもまだまだやり残したことがいっぱいあります。

 その中で特にやりたいことは、生徒一人一人がお互いのことを認めて、

 そして大切にする総武高にすることです。

 あの、わたしにも大事な先輩がいます。

 この先輩は本当に馬鹿で自分勝手で・・・・あれ? なんかどっかで聞いたような。

 わたしはこの先輩に沢山お世話になりました。

 それなのに全然お返しできていません。

 いっぱいいっぱいお返ししたいです。

 でも、もうあと数ヶ月しか先輩はいません

 だからお返ししきれない分は、総武高生のみんなにお返していきたいと思います。

 生徒一人一人がお互いを大切に大事にする総武高。

 わたしが会長になった暁には、そんな学校つくりを目指します。

 だから・・・・・みなさんよろしくです、えへ♡」

 

 

 

 

--------

 

 

 

 

「いろはちゃ・・・・会長、そろそろ時間に」

 

「はい。

 それでは始めましょう。

 みなさん、ご苦労さまです。

 生徒会会長の一色いろはです。

 まずは、みなさん自己紹介よろしくです。

 あ、名前だけでいいですよ。

 面倒くさいんで」

 

「い、いろはちゃん。

 もう~、あ、あの副会長の藤沢沙和子です。

 よろしくお願いします。

 あ、2年です」

 

「おなじく2年の副会長、柄沢唐人です。

 みんなよろしくお願いするね」

 

「か、か、か、か、会計の煤ヶ谷鈴です。

 い、い、い、い、1年です。

 よ、よ、よ、よ、ろしくお願いしますです」

 

「書記の比企谷小町です。

 1年です。

 先輩方よろしくお願いします」

 

”ペコ”

 

「以上ですね~」

 

「おい、一色!」

 

「あ、えっと~忘れてました。

 そこに居るのが、泣きの蒔田です」

 

「はぁ! な、な、なに言って」

 

「本当のことじゃないですか~

 ほら、さっさと自己紹介してください」

 

「ぐぅ、く、くそ。

 えっと、庶務やることになりました2年の蒔田舞です。

 本当は、このちょ~頼りない会長を支えるのなんてご免ですけど。

 まぁ、一色がどうしてもってしつこく頼むので、

 仕方なく庶務をやってやることにしました。

 皆さんよろしくです」

 

「はぁ! な、なに言ってんの蒔田!」

 

「頼んだじゃん」

 

「・・・ぐぅ」

 

「はは、頼んだんだ、いろはちゃん」

 

”ガラガラ”

 

「いいか」

 

「え、あ、美佳先輩から聞いてますよ、清川君。

 中に入ってください。

 それと自己紹介を」

 

「ああ」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、そこの席はダメです。

 そこは絶対誰も座らないでくださいね」

 

「ん?

 ま、まあこっちでいけど。

 庶務の清川っす。

 あ、俺、あのパソコン使いたいだけなんであんまりお構いなく。

 ・・・くそ、あのジミ眼鏡、またはめやがって」

 

「なんですか清川君。

 なにか文句でも」

 

「あ、いや何でも」

 

「これで全員ですね。

 それではみなさん、生徒会一年間よろしくです」

 

「「はい」」




最後までありがとうございます。

今回いつもよりちょっと早めに投稿。
なぜなら・・・今から13巻読み始めたく。
あ、11巻からもう1回読み直そうかと。

っというわけで、年内の投稿はおそらく最後かと。

ほんと少し早いですが、今年一年ありがとうございました。
また、来年も完結までよろしくお願いいたします。

みなさんがよい新年をお迎えになられますように。

ではでは。
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