似て非なるもの   作:裏方さん

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いつも見にきていただいて、本当にありがとうございます。

今回でとうとう、水族館デート直前まできてしまいました。

原作ベースの最後になります。

以降の話をどうしょう。(12巻早く出してぇ。 ネタがなくなる)

そんなことを考えながら、そろそろオリヒロなりに行動させたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。






大雪(嵐?)の降る前のひととき

「比企谷くん、話があるの。

 ちょっといい?」

 

昼休みの購買前、俺はこいつに呼びかけられた。

・・・とても顔色が悪いように見えるが。

なんか思い詰めているようにも思える。

どうしたんだろう。

今日のこいつはすごくつらそうだな。

 

「ん、お前、そんな顔してどうした? 

 なんかあったのか?」

 

そういえば、金曜日、いや、あれは日付け変更線をこえてたようだが。

そんな深夜にこいつから電話があったんだった。

 

『比企谷君、あのね・・・・』

 

なにかを言いかけて、すぐ切られた。

そのあと俺から何回かかけたんだが、結局こいつが電話に出ることはなかった。

いま思えば、声がかすれてたような気がする。

俺の周りの人間の中では、戸塚についてまともな部類に属するこいつのことだ。

そんな時間に電話するんだから、よっぽどのことがあったに違いない。

そうだ、確か料理教室にもきてなかったはずだ。

一色が書記ちゃんと話した後、こいつのことすげぇ~怒ってたし。

ふむ、一色となんかあったのか。

 

「な、なぁ、三ヶ木。

 一色になんかいわれたのか?」

 

「・・・・・違う」

 

えっ、違うの。

ん、体育館の裏にいくのか?

もしかして、俺、こいつに焼きいれられるんじゃない?

そ、そうか。

この前、抱きついたからか。

あれは不可抗力・・・だよな?。

だが、それ以外には思い浮かばないのだが。

こいつを助けるためとはいえ、抱きしめたことには間違いない。

・・・なんか、気持ちが落ち着くようないい香りだったな。 

なんで女子っていい香りするの?

血液が香水でできているとか。

は、そうだ。そんなことを考えてる場合ではない。

なにせ、こいつのチョップはあの抹殺のラストブリット(by アラサー)

に匹敵する痛さである。

へたすると俺死んじゃうレベル。

 

「すまん、そんなにつらかったのか俺に抱きつかれたこと。

 悪気はなかったんだ。 

 そ、そのチョップだけは勘弁してくれ」

 

「へ? なにを言ってるの?」

 

ち、違うのか? そうか、慰謝料の請求か!

いくら請求されるんだ。 

ちくしょ~、俺の専業主婦の夢が。

い、いやまて、とぼけるって手がある。

何ら物証はないはずだ。

・・・くっ、確かあの時、数人の生徒に見られていた。

通報もされてたし。

 

「比企谷君、わたしあれはね、少しうれしかったよ。

 助けてもらったんだもん。

 そんなことより、もっと大事なこと」

 

なんだ、違うのか。

よかった俺の夢は無事だ。 

だが、もっと大事なこと?

なんのことだろう?

フリペのコラムか、それとも料理教室の受付の件か?

 

「わたしね、もう限界なの。

 自分の気持ちに耐えられない」

 

なに、も、もしかして、もしかするのか。

これって、この雰囲気ってあれだよな。

こ・く・は・つ 違う、告白。

 

「ここよ。

 さぁ、入って」

 

え、体育館の裏のドア、これって開いてたのか。

たしか体育館の2F観客席に行くはずだ。

 

「比企谷君・・・・好きでしょ」

 

えっ、なに、ちょっと聞こえなかったんだが、今”好き”っていったのか? 

ちょ、ちょっと待て、心の準備が。

 

”ジー”

 

はっ、だ、だから、そんなに見つめないで。

 

「比企谷君・・・・・・お願いがあるの。

 わたしの話、聞いて?」

 

”ごくり”

 

やっぱ、告白されるのか。

そうか、こいつはそれほど俺のことを。

ふむ。

確かに俺にだけマッ缶くれたりとか、思い当たる節がある。

だが、マジか。

いよいよ俺の黒歴史に終止符が打たれるのか。

だが三ヶ木すまん、俺はまだ・・・

 

「比企谷君、もっとこっちに来て」

 

「いや、三ヶ木、お前のき 」

 

「ほら、ここならよく見えるでしょ戸塚君」

 

「へぇ?」

 

「比企谷君、戸塚君のこと大好きでしょ」

 

お、おう。・・・・・だよな。

聞こえてなかったよね。

危うく、黒歴史がまた一ページ増えるとこだった。

だがあれは確かに、わが愛しのマイエンジェル戸塚。

そっか、ここで自主トレしてたのか。

か、華憐だ。

やっぱり、とつかわいい。

そうか、この世の楽園はここにあったのか。

 

”ベシ”

 

「いてててっ。

 な、おま、なにを」

 

「ふん、なんかその顔すご~く腹立つんだけど。

 あのね、比企谷君、このベストプライスを紹介したんだから、

 次はわたしのお願いを聞いてもらう番」

 

「・・・お、おう、わかった。

 いくらだ。いくらほしいんだ」

 

「一億円」

 

「く、い、一億円だと。

 わ、わかった、確かにこの場所にはそれだけの価値がある。

 だが、分割にしてくれ」

 

「な、どんだけ戸塚君のこと好きなのよ」

 

「俺の一生かけて守りたい」

 

「はぁ、あのね、そういうのもういいから。

 わたしもう限界だから。

 比企谷君、わたしのお願い。

 昼休み終わる前に起こして」

 

「へぇ?」

 

「もうだめなの。 

 義輝君のラノベ? 読んで感想言わないといけないから

 昨日寝てないの。

 徹夜して読み切ったの!

 だから、もう眠たくて限界。

 お願いね、それにさ午後の授業数学だし」

 

「材木座のラノベ? あぁ、なんか新作ができるとか言ってたな。

 だが、なんでお前が読んでんだ?」

 

「金曜日に奉仕部に持って来てたんだけど、

 ほら料理教室でいなかったでしょ。

 だから、わたしが代わりに引き受けたの。

 ・・・わたしほんとにもうだめ、お休み」

 

確かにあれを読み切るには、相当の忍耐と根気と我慢と

辛抱、それに若干のあきらめが必要だ。

徹夜か、それであんな顔してたのか。

しかしなぁ、三ヶ木。

俺も一応男子だよ、男子だからね。

いたって健康(?)な男子。 

 

「おい、男子の前で寝るなんて、お前不用心すぎるぞ。

 なんかされたらどうするんだ」

 

「なんかするの? 

 ・・・・キスぐらいならいいよ」

 

「おま、」

 

”ぐぅ、ぐぅ。”

 

ってもう寝てるじゃん、はや。

まったくこいつは・・・

ふっ、幸せそうな顔しやがって。

仕方ないな。

この場所教えてもらったし。

どれ天使の舞を堪能しながら飯にするか。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ぐぅ、ぐぅ、すか~”

 

しっかし、こいつよく寝てるな。

ふっ、本当におかしなやつ。

少しは警戒してもいいだろう。

なに、こいつ、もしかして俺のこと男子って思ってなくない?

 

「う~ん」

 

”ごろり”

 

ん、こ、これは。

寝返りをうったことで、俺の目に飛び込んだ”小さな二つのふくらみ”。

見るからに柔らかそう。

いかん、触れたい欲望が抑えきれん。

いや待て、これは罠じゃないのか?

そうだ、一色!

あいつがどっかで見てるんじゃないのか。

それでこのふくらみに触れた途端、

 

『せんぱ~い、写真撮っちゃいました。

 通報しますからね』

 

って、出てくんじゃないの?

く、駄目だ。

わかってっていても俺の目はこのふくらみから離れられない。

・・・・・ちょっとならいいよね、ちょっとだけ。

く~、ええぃ。

 

”ぷに”

 

うへぇ~、柔らかい。

何ともいえない感触。

だめだ、やめられん、まさに悪魔の誘惑。

も、もう一回だけ。

 

”ぷに、ぷに”

 

お、おおう!

 

”ぷに、ぷに”

 

ふむ、これはけ~ちゃんに匹敵する・・・ほっぺだ。

ほっぺ鑑定一級(自称)の俺が言うのだから間違いない。

 

”ぷに、ぷに”

 

「う、う~ん。

 ぐう、ぐう、す~」

 

は、いま、おれは何をしてたんだ。

恐るべきこのほっぺの魔力。

俺の理性を壊すとは。

で、でも、最後にもう一回だけ。

 

「・・・かあちゃん。」

 

へ? かあちゃんって。

なみだ? こいつ泣いてるのか。 

はっ、そういえばこいつのお母さんって確か・・・・・・

ふぅ~。

まったく俺は。

 

”がさ”

 

ほれ、風邪ひくぞ。 

う~、さぶ。

さすがに制服を脱ぐと寒い。

明日は何でも雪が積もるらしいし。

ん、と、戸塚。

戸塚見てたの? 見てないよね。 

なに、なんで親指立ててるの。

なんのポーズかなぁ~、八幡わからない。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ぐが~”

 

お、おい、それ女子じゃね~だろう。

まったく。

ん?、あれ戸塚がいない。

もう自主練終わったのか?

え、あっ、や、やばい。

 

「おい、三ヶ木! 起きろ。

 やば、昼休みもう終わるぞ」

 

「ふぇ~、ふぁ~い」

 

「ほれ、しっかり起きろ。

 教室に戻るぞ」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ドタバタドタバタ”

 

やばい、やばい、やばい。

何がやばいって?

今、気がついた。

俺、こいつの手握って校舎の中走ってる。

何人か生徒とすれ違ったが。

こいつずっと下向いてるから、三ヶ木ってわかんないよね。

なんか、こいつさっきからぶつぶつ独り言(?)いってるけど。

ふぅ、ま、間に合った、授業まであと1分ある。

 

「ほれ、大丈夫か三ヶ木。

 すまん」

 

「・・・なんだろう、なんか頬が痛い。

 あ、でも比企谷君ありがと」

 

「おう、じゃあな」

 

三ヶ木が教室に入るのを見送って、俺は教室に入る。

でも、あいつってあんな小さかったっけ?

なんか制服が? まあいいか。

何とか間に合ったな。

うん、なに? なんか注目されているんだが。

俺のステレスヒッキーが作動しない?

由比ヶ浜、なに指差してるんだ?

川ごえ? いや、川なんとかさんは睨んでるし。 

もしかして、手をつないで走ってたとこを見られてたのか?

 

”ガラガラ”

 

「起立」

 

「礼」

 

「着席」

 

「ん? 比企谷、元気だな。

 寒くないのか?」

 

へ、寒くないかって? ・・・ん、あっ、制服。

 

「いや、寒くないです。 

 先生と違って、俺、若いから」

 

「ぐ、比企谷! 授業終わったら職員室へ来い」

 

     ・

     ・

     ・

 

「抹殺のラストブリット!」

 

「ぐへぇ~」

 

「馬鹿者が、さっさと風邪ひく前に制服とって来い」

 

「へ~い」

 

”タッタッタッ””

 

確か体育館にあるはずだよな。

さぶ~。

休み時間もあまりないし、このままでは次の授業が厳しい。

なんなら授業中に凍死するレベル。

千葉の寒さ恐るべし。

時間ないし走るか。

 

”ドン”

 

「お、すまない。

 えっ、三ヶ木」

 

「あっ、よかった。

 比企谷君」

 

「す、すまない。

 ちょっと急いでてな。」

 

「もしかして、これ探してたんじゃない?」

 

これは俺の制服か。

あっそうか、こいつにかけてやってたんだ。

 

「おう、そうだ。

 わりい助かった」

 

「わたしこそごめんね。

 授業中寒かったでしょ?」

 

”どきっ”

 

う、上目遣いで見つめないで。

い、意識しちゃうじゃねえか。

・・・・・・そのほっぺ。

ぐへへへ、あ、あの感触きもちよかったなぁ。

は、い、いや、ご、ごほん。

 

「平気だ、寒さには慣れている。

 なんせ、部活には氷の女王がいるからな」

 

「ありがと。 

 ついでにね、袖のボタン取れてたからつけといたね」

 

「ん、これお前のボタンじゃないのか? 

 お前のが一個取れてるぞ」

 

「変わりがなかったから。

 そのボタンは制服貸してもらったお礼。

 じゃあね、そろそろ行くから。

 ・・・・・あ、あのさ、だから壁ドンもういい?」

 

「あっ、・・・すまん」

 

「じゃあね」

 

「おう」

 

やばい、無意識に壁ドンしてた。

確かにこれはやばい、心臓が飛び出る破壊力だ。

はっ、だれも見てなかったよな。

あ!

 

「比企谷先輩、こんにちわ」

 

「あっ、書記ちゃん。

 あ、あの、これは違うんだ、そのつまりだな」

 

「えっ、何がですか? 私なにも見てませんよ。」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

はぁ、SHR終わった。

部活に行くか。

なんかすごく疲れた一日だった。

特に昼休み以降。

”手繋ぎダッシュ”に”壁ドン”っか。

なんて日だ今日は。

もう、八幡のライフポイントはゼロ寸前。

今日は、雪ノ下の毒舌に耐えられるような気がしない。

 

     ・

     ・

     ・

 

「三ヶ木女子、ど、どうであった? 忌憚なく、感想を述べてみよ」

 

ん、材木座?  

あれは材木座と、またしても三ヶ木。

なに、今日は三ヶ木祭り? 

なんかどこにいっても三ヶ木に当たるような。

は、もしかしたらあいつ本当は五つ子とかじゃね?

感想っていうとあれか。

徹夜したってやつ。

んでどんな感じだったんだ。

 

「三十点」

 

「げふっ、百点満点中三十点とは。

 ちと厳しいのではないか」

 

「違うよ。

 一万点満点中、三十点!」

 

「ぬお~」

 

お、おい。

一万点満点中で三十点って、どんなんだよ。

 

「だってね、義輝君。 

 何の力もなかった主人公が、ヒーローから能力を引き続ぐ力を

 継承して、んで強くなって敵を倒すって・・・・・・

 あんたこれパクリだね!」

 

「・・・・」

 

「あのね、義輝君。

 どんなにくっだらなくても、どんなにへったくそでもいいの。

 わたしは、絶対最後まで読むし、書いた人を尊敬するよ。

 でも、パクリはだめ、パ・ク・リは!」

 

「いや、それはたまたま」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・すまぬ」

 

「ふぅ、でもね、最終章はよかった。

 すっごく良かった。

 わたし五回も読み直しちゃった。」

 

「へ、そ、そうであらん。

 最終章こそラノベの命。

 終わりよければすべてよし」

 

「おい」

 

「す、すみません。

 調子乗りました。

 参考までにどこら辺がよかったであろうか?」

 

「ん、最後ね主人公とヒロインが傷つきながら、お互いを支えて

 ラスボスを倒すんだよね。

 でも、ラスボスの呪いによって、主人公の彼女が意識不明になって。

 そんで主人公はず~と病室で彼女の手を握りながら、

 ひたすら意識が回復することを祈ってるの。

 泣きながら俺のせいだって。

 『俺が世界のために、彼女を犠牲にした』

 って。」

 

「さもあらん、あの場面は 」

 

「黙りなさい!」

 

「ひゃい」

 

「主人公にほのかな想いを抱いていたヒロインも、そんな主人公をみて悲しんで。

 そこに、ラスボスを裏切った将軍がきてヒロインに言うのよね。

 『呪いには呪いで、お前か主人公が悪魔の呪いによって石像になれば、

  ラスボスの呪いが解け、彼女の意識が戻る。』

 って。」

 

「そ、そうで 」

 

「おい!」

 

「すみません」

 

「そこで、ヒロインがすんごく悩むの。

 『このままでいたい。

  もしかして、このまま彼女の意識が戻らなければ、

  主人公がわたしのことも見てくれるかも』

 とかいろいろ葛藤するんだよね。

 でも、決心したヒロインが悪魔に言うの。

 『私を石像に変えて。 それで彼女を助けて』

 って。

 もうわたしダメ~。 思い出しても泣いちゃう」

 

「そう、そこは我が一番 」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ。」

 

「そんで、石像に変えられながら、悪魔に言うんだよね。

 『最後に、主人公の顔を見せてください』

 って。

 そんで悪魔が病室を映し出すんだよね。

 ヒロインの意識が霞むのに合わせて、意識を取り戻す彼女。

 なんも知らない主人公はすんごく喜んで。

 それを見て、完全に石像になる前にヒロインが言うの、

 『最後に、あなたの笑顔が見れてよかった。』

 うぇ~ん、良かったよ、泣いちゃったよ」

 

「そうでござろう。 我が本気を 」

 

 ”ベシ、ベシ”

 

「な、なんで?」

 

「義輝君! よくもヒロインを石像にしたわね。

 これはヒロインの代わり!」

 

「ひど!」

 

「だからお願い。

 次回作でヒロインを元に戻してあげて。

 ほれ、チロロチョコあげるから」

 

「い、いやこの話はもう完結で」

 

「ううう、ぐす。

 義輝君、お・ね・が・い」

 

「う、うむ、よかろう。

 女子のお願いを聞かぬは男子にあらず。 

 安心して任せておくがよかろう」

 

「うん、次回作が出来たらまた読ませてね。

 でもパクリはだめだよ、パクリは!」

 

「わ、わかりました」

 

「はいラノベ、ありがとう。

 じゃあ、またね。

 それから、三ヶ木女子はやめて。 

 昔のとおり、美佳っぺでいいよ」

 

「む、そ、それはチ~とばかり我にはハードルが・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ふむ。 誤字とかいっぱい赤線が引いてあるのう。

 ん、写真?

 これは小学校の時の写真ではないか。

 裏になんか書いてある?

 

 ”頑張れ、義輝君。

 あの時話してくれた義輝君の夢をかなえてね。

文豪 義輝先生のファン第一号 美佳っぺ”

 

 ・・・ぬほほん、我は文豪将軍 材木座義輝なり。

 よかろう、我の本気を見せて進ぜよう・・・・・・美佳っぺ」

 

おい、材木座、なんだ、あいつ泣きながら走っていきやがった。

 

「ちっ。」

 

・・・・・なんか、胸がいたい。

でも、あの最終章、俺も読んでみたい、いや読ませて。

あいつにしては上出来だ。

 

「ふぅ~ん。

 なぁ~んか、いい雰囲気でしたねあの二人。

 美佳先輩、あんな感じが趣味なんですかね」

 

「お、おい、一色いつからそこに」

 

「先輩が気持ち悪くイラついているときからですよ」

 

「いや、いらついてね~し。

 それにな、一色。

 あれはそんなのじゃない。

 幼馴染が醸し出す独特の雰囲気だ」

 

そう、同じ過去を共有しあえる二人だから作り上げられる関係。

そこに他人が立ち入ることは許されない。

 

「へぇ~、でも先輩『ちっ』って言ってませんでした?

 それに幼馴染のいない、ましてや友達さえもいない先輩に

 わかるんですか? 独特の雰囲気って」

 

「・・・・・・」

 

「まぁ、それより先輩聞きました?」

 

「なにをだ?」

 

「なんか~、昼休みに目の腐った男が嫌がる女子の手をつかんで、

 無理やり校舎内を引きずりまわしてたそうですよ。

 それだけでは飽き足らず、五限目の休み時間に

 その女子を壁際に押し込んで、脅迫してたらしいですよ。

 先輩知りません?」

 

「い、いや、知らない、絶対知らない」

 

知ってても知らない。

心の奥底に五重のカギをかけて仕舞い込んだ黒歴史。

うっ、なに、その疑いで満ち満ちた目は。 

 

「そうですか~

 本当に知らないんですか~?

 まぁ、いいですけど。

 だけど、目の腐った男ってこの学校にそんなにいませんから。 

 あ、そうだ、今日の生徒会で会議の議題にしょうかなぁ~」

 

「お、おい一色さん? 噂話のそんなことを議題には」

 

「うそですよ~。

 生徒会もそんなに暇ではありません。

 もうすぐ、卒業式ですからいろいろ忙しくなるんです。

 こ、個人的には追及しますけど」

 

「お、おう。

 そっかお前送辞すんだよな。

 ま、頑張れよ」

 

「は~い。

 それでは行きますね。

 ではではです」

 

”ビシッ”

 

「おう」

 

ねぇ、その敬礼ポーズいらなくない?

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

あ~あ、やっと生徒会終わったよ。

今日のジャリっ娘がわたしのを見る目、なんか生暖かったなぁ。

どうしたんだろう。

書記ちゃんは、全然目を合わせてくれなかったし。

まっ、いいか。

さあ、家帰っていっぺん寝よ。

 

「お、三ヶ木ちゃんじゃん」

 

げぇ、あれは、

 

「お、お、お久しぶりです、雪ノ下さん」

 

「そうだよ。

 お料理教室(?)で、久しぶりに三ヶ木ちゃんにも会えると

 思ったのに。

 やっぱり君は来てなかったね。

 またいつもの居残り?」

 

いっつもそうなの。 

この人にはわたしのやることを見透かされてるんだよね。

 

「は、はい」

 

わたし、この人なんか苦手なんだ。

 

「ふ~、変わらないね。

 でも、おねぇさん好きだぞ、三ヶ木ちゃんのそういうところ。

 そ・れ・で、どう、決心ついた?」

 

「い、いえ。

 ・・・・・・まだ」

 

「決心ついたら、ちゃんとおねぇさんに連絡してね。

 期待して待ってるからね」

 

「は、はい。

 それじゃ失礼します」

 

「うん、バイバイ」

 

ふぅ~

・・・・・でもなんだろう。

雪ノ下さん、校門の前でなにしてんだろう。

 




読んでいただき、ありがとうございました。

今回、少しだけオリヒロと八幡の距離を詰めさせてもらいました。

でも、材木座とのエンドもありかなって思い始めてしまいました。

さて、ネタが尽きるまでに12巻の発行を願いながら次の話を頑張ります。

※すみません。

 作中で没ネタにした話の一部を、材木座の小説としてしまいました。

 関係のない話に字数をいただきすみません。

 これでこの没ネタも成仏させてやれます。

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