吹雪 Trick   作:ふらみか

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キス to ブリザード

・綾波の時間

 

「吹雪、せっかくだし、身体洗ってあげる」

「え、い、いいよ……」

「遠慮なんてしないで、ほら」

 ああ、吹雪はいつ触ってもすべすべしてて癒されます……。

 入浴時間の割り振りのせいか、綾波が吹雪と一緒になるのはとても珍しいことです。だから、この時間を大切にしないと。

「吹雪は、お肌の手入れとか、何かしてるの?」

「いや、別にしてないけど。言うほどすごくないでしょ?」

「えぇ、知らないの? 吹雪のお肌、すっごくつるつるしてて、すっごくすべすべしてて、すっごくしっとりしてて……ずっと撫でてたいくらい……あぁ……」

「あ、綾波、ちゃん?」

「……えっ、あ! ご、ごめんなさい!」

 つい撫でるのに夢中になっていました。……でも、仕方ないですよね。吹雪を見てたら、誰だってしたくなりますよ。

 ……一瞬、この身体に抱きついたらどうなるんだろうと、よこしまなことを考えてしまいました。

 さすがにそれはいけません。吹雪を驚かすのは良くないと思います。……驚く吹雪はきっと可愛いんでしょうねぇ……。

「ありがとうね、綾波ちゃん」

 とっても、驚かせたいです。

 かわいい吹雪を、もっともっと見てみたいです。

 でも、今ここで抱きつくのはさすがに皆の目があるから……。あ、そうだ。

「んっ」

「ひっっっ!」

 綾波は、つるつるしててすべすべしててしっとりしている吹雪の背中――具体的に言うと、肩甲骨のあたりにキスをしました。これなら周りに気付かれずに、吹雪の驚く顔を見られますね。

「……ふふ、驚いた?」

「あ、ああ、あ、あや、ああああ……」

「あれ?」

 予想していたよりも、ちょっと大きなリアクションですね……。

「ひゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ふ、吹雪!?」

 吹雪はそのまま浴場から出て行ってしまいました……なんででしょう。残念です。

 

 

 

 

 

・敷波の時間

 

 草木も眠る丑三つ時。

 そろーっと……。

 音を立てないように……っと。

 あたし、敷波は、気になることを確認するために吹雪たちの部屋にやってきています。

「すー……」

 おお、二人ともかわいい寝息立てちゃって。ま、今日は白雪に用事があるんじゃないんだよねぇ。

 吹雪。

 君だよ君。

 最近妙にあたふたしたり人と距離を置こうとしたりして、気になるんだよ。

「おー、熟睡熟睡」

「すー……」

「おーい。なんでですかー」

 あたしは小声で呟きながら、吹雪の頬をつんつんしてみる。

 ぷにぷに。

 っ! な、なんだこれ……!

 吹雪ってこんなにほっぺた柔らかかったのか!

 つんつん。

 ぷにぷに。

 つんつん。

 ぷにぷに。

「な、なんだよこいつ……こんな柔らかいほっぺたしちゃってさ……」

 つついてたらなんか出る……わけないか。

「……ね、寝てるよね? おーい……」

 寝てる。これは熟睡だ。うん。吹雪は起きない。

 ……。

「一応、声掛けたからね? だから、その……あとで文句とか、いいっこなしだからね?」

 あたしは小声で告げたあと、静かに吹雪のほっぺたに顔を近付けて。

「――ん」

 ……やわらか。なにこれ、気持ちいい……。

 ……。

 …………。

 ………………な……なに、してんだろ、あたし。ほんと、なにやってんだろ……!

 あたしは急いで自分の部屋に戻った。

 なんであんなことしちゃったんだろう。

 いつの間にかドキドキは痛いくらいに鳴ってるし。

 ああ、もう。そもそも、なんで吹雪の部屋に行こうと思ったんだろ、あたし……あれ? ほんと、なんで?

 吹雪が微妙にあたしと距離を置いてるのが気になって……で、吹雪が気になり出して……。あ、あれ?

 いつから? あたし、いつから吹雪の事ばっかり考えるようになった?

 ……。

「う、あ、も、もう寝よ寝よ! おやすみおやすみ!」

 むりやり布団に入って目を瞑ったけれど、あの感触が忘れられなくて。

 案の定、あたしはその日、眠れなかった。

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