とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

101 / 133
別宇宙強化イベントです。
第6宇宙にはスピネルとピリカといったナメック星人のメンバーが原作で居たのですが、
この作品ではバーダックともう一人オリジナルで出すので居ません。



『サイヤの教え』

「どうでしたか、全王様?」

 

そう大神官様が言うと、興奮気味に喜んでいた。

それどころか、いつの間に来ていたのだろう、未来の全王様まで隣にいらっしゃった。

 

「最高だったよ、もっと見たい!!」

 

そう言うとみんながほっとする。

サラガドゥラとデンドはすぐに大神官様からの復活パワーで直された。

そして戻ってきた時に祝福されていた。

 

「おまえ、よくやった!!」

 

ビルス様が背中を叩く。

老界王神様も頭を撫でていた。

 

俺が出て、悠々と無傷で代表決定戦まで行けただろうか?

そう考えるときっと難しい。

一度やって戦法を知っているキャベとの対決はまだしも……

ディスポの速度を捕まえるまでの時間。

ベルガモを落とすための作戦。

それを踏まえたら確実にダメージはあった。

デンドという男も正統派に近い戦法。

やりあえば最後の鋏の一撃でダメージを負っていた。

勝てても無事にとは言い難い。

 

「ガタバルさん、どうしました?」

 

ウイスさんに声をかけられる。

それに気づき、顔を上げていた。

 

「今の自分なら、無傷で勝てたかを考えてました」

 

それを言うと考えこむようにして少し間を置く。

そして一言。

 

「無傷は難しいでしょうねぇ」

 

11宇宙のディスポさんの速度に目が慣れないといけませんし、第9宇宙のベルガモさんだってダメージを与えずに勝つしか巨大化は止められないですから。

ただ、正統派の第6宇宙のキャベさんや第5宇宙のデンドさんならいつも通りで悠々と勝てるかと。

そう言った感想だった。

 

「『力の大会』にはこれ以上の相手がずらりと並ぶのですから早い段階で戦力を知れてよかったのでは?」

 

あれ以上の戦士。

破壊神を凌駕する存在。

それは心躍るものなはずだ。

しかし俺はそうは思っていない。

全てを知ったうえで『消滅』は無いと分かっている。

それでも心が沈んでいる。

破壊神に勝つ術など今の自分にはない。

ピオーネ頼りになってしまうのが目に見えている。

 

「自分にできる事を探さないとまずいですね」

 

そう言って勝利の余韻に浸る事もなく大神官様の説明が始まる。

人数、場所、開催日時。

そういった概要を耳に入れる。

 

そしてすぐに第7宇宙に戻っていく。

すぐにカカロットに悟飯とピッコロ、亀仙人様に日時を伝えるように言う。

俺もブロリーとピオーネに伝える。

サラガドゥラも最後の調整に入ると言ってこっちに来る。

俺は最後の一人に会いに行っていた。

 

「フリーザ……決まったんで来てくれ」

 

宇宙船で向き合う。

ようやくか。

目がそう語っていた。

首を鳴らしながらにやりと笑うと肩に手を置く。

地球に戻ってこれで残り1名。

ベジータがどうも説得ができないらしい。

ブルマさんの出産から離れるわけにはいかないというわけだ。

 

「一度決めたら頑固だから生まれない限りは参加しないだろうな」

 

そう言うとウイスさんがため息をつく。

そして天使の力で出産させたのだ。

遡るとかのタイムパラドックスを生み出す要因にはならないからいいのだろうか。

 

「これで10名揃いましたね」

 

ウイスさんは言うがまだ時間に余裕はある。

そんな中、バーダックさんが第6宇宙に行くためにウイスさんに頼む。

すると……

 

「お前らもついてこい」

 

有無を言わさぬ威圧感。

ベジータとブロリー。

そしてこの俺。

3人追加で第6宇宙に赴く羽目になった。

 

「余計なことしかしなさそうだ……」

 

ビルス様が言う言葉にため息をついてしまう。

俺達がおとなしくして帰ってきそうにもない。

絶対に第6宇宙の奴らが強くなる。

そういう顔付きだったのだ。

 

「ここが第6宇宙の惑星サダラか」

 

ウイスさんのおかげで第6宇宙に到着した。

シャンパ様たちもサダラに来ていた。

理由はキャベ以外のサイヤ人の発掘だろう。

 

「お前ら、偵察かぁ?」

 

シャンパ様に言われる。

偵察する必要性があるのだろうか?

既に7人は顔が割れているというのに。

 

「いや、俺が第6宇宙のメンバーとして参加するから連れてきてもらったのさ」

 

バーダックさんが言うと嬉しそうな顔をしている。

第6宇宙最強の戦士。

それがバーダックさんなのだ。

殺し屋ヒットとは違い、表の世界における伝説。

 

「ガタバルさんは先ほどぶりでしょうか?」

 

キャベが来ていた。

とりあえず頭を下げておかないとな。

するとベジータがキャベの前に立つ。

 

「俺と勝負をしろ」

 

いきなりすぎる提案に全員が驚く。

防衛隊エースのキャベを知っているからベジータの挑戦を無謀という者もいる。

 

「自分によく似たスタイルの相手……きっと役に立てるだろうぜ、お前が強くなりたいなら受けた方がいい」

 

その言葉がどれだけ魅力的に聞こえるか。

俺がキャベの立場ならば飛びつきたくなる。

抗いがたい誘惑とさえいえる。

 

「おっさん……久しぶりだな」

 

カリフラがリンゴをかじっている。

となりにいる女の子もサイヤ人か。

 

「私も参加すんのさ、実戦稽古付けてくれよ」

 

そう言って構える。

仕方のない奴だ。

ウイスさんに待っていてもらうように告げる。

 

「荒野で戦うぞ」

 

そう言って飛び立つとカリフラ達も追いかける。

惑星サダラでも荒廃した場所へたどり着く。

降り立っては見たが強さはあの対抗戦以降変わっていない。

まあ、どちらでもいい。

 

「来い!!」

 

そう言うと超サイヤ人2で向かってくる。

速度もあれから変わっていない。

強者と戦い続けないと開花しないのか。

 

「はっ!!」

 

車輪のような蹴りを放ってくる。

それを受け止めて足払い。

まずは対応力を確認する。

 

「フンッ!!」

 

前に飛び込んでアッパーを打ってくる。

それを軽々と避ける。

 

自分があの修羅場を越えたこと。

そしてビルス様とのマンツーマン修行。

その成果が出ている。

カリフラの動きが遅く感じているのだ。

 

「ちっ!!」

 

あまり動かない腹部などに攻撃を集中させる。

大仰に動く必要なんてない。

ひらりひらりと舞う様に回避をする。

考えず、体に全てを委ねる。

本能が、肉体が回避行動をとる。

 

「全然当たらない……」

 

無駄打ちや空振りは焦りの原因。

じわじわと蝕んでいく。

それが隙となり、ガードが空いている。

無論それを逃す事なんてない。

 

「フッ!!」

 

前蹴りを放つ。

それは吸い込まれるように体にめり込んだ。

あの対抗戦の時と同じように殴っただけ。

しかし破壊神自らの教えによって、チューンアップされた強さ。

それはただの一撃にさえ必殺の意味を持たせるものだった。

 

「ぐあああ!!」

 

岩盤を砕き、カリフラはずるずると落ちていく。

それを見ていた妹分が駆け寄り、体を揺する。

しかし気絶しているから起きる気配がない。

 

「よくも……よくも…姐さんを!」

 

その状況を認識した女の子。

怒りでわなわなと体を震わせる。

 

「許さない……許せない!!」

 

気が徐々膨れ上がっていく。

それに合わせて女の子の周りの空気が渦巻く。

髪が逆立ちバチバチと火花を散らす。

 

「ガタバル……ガタバル!!!」

 

髪の毛が金色に染まり、あの気弱な姿からは想像できない禍々しさが立ち昇る。

徐々に筋肉が盛り上がる。

白目をむいている。

見慣れた姿になっていく。

 

「お前を血祭りにあげてやる!!!!」

 

完全に覚醒した。

『伝説の超サイヤ人』だったとは。

自分の大事な人を傷つける者への激怒。

奪う者への嫉妬。

それが引き金か。

 

「想いの強さ……見せてみろ!!」

 

巨岩のごとく拳。

それを避けるが風圧で体が流れる。

後ずさりをさせられた。

あれから強くはなっているがやはりこの形態は段違いだ。

元々のポテンシャルが高い第6宇宙のサイヤ人なのだから。

 

「うぉおおおおお!!」

 

暴走状態にある。

ブロリーも見ている。

だが余裕の笑みを崩していない。

あいつがやったら勝てるからだろうな。

 

「落ち着け!!」

 

タックルを止めて技を使う。

腕をとり足を絡める。

 

「ぐあああっ!!」

 

『リバース・ロメロ・スペシャル』を繰り出す。

それを力づくで外しに来る。

ギリギリと音を立てる。

 

「うがああああ!!」

 

足に力を込めて筋肉が肥大する。

掴んでいた腕の拘束が緩む。

 

「ぐっ……」

 

技だけではこいつは倒せない。

力で拘束を外していっている。

 

「ハアッ!!」

 

手のひらと足が弾かれる。

完全に拘束を解かれた。

無力化はさほど効果がない。

 

「おおっ!!」

 

雄たけびとともに頭突き。

頭が割れて血が流れる。

揺れてしまう。

景色がドロドロとしている。

 

「があっ!!」

 

ラリアットを放ってくる。

リンボーダンスの要領で回避。

体に委ねていた状態が解除された。

 

「とにかく止めるか……」

 

攻撃を受け止めて一本背負いで背中から叩きつける。

すぐに起き上がってくる。

無傷だったり効いていないというわけではなさそうだが、あまりダメージになっていないのか?

もしそうであれば強靭さだけならばこちらの手探り程度では無傷になる。

カカロットならばブルーを全開にしないとダメージを効果的には与えられない。

 

「うあああああああ!!」

 

気弾を乱れ撃っている。

体から徐々に煙が上がっている。

回避しながら、制御出来ていないのだと確信した。

 

「制御方法も教えておいてやるか……」

 

大振りの拳を回避。

腹部に手を当ててゼロ距離で一撃を放つ。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

腹部に入った一撃は吹っ飛ばすことに成功する。

初めてブロリーとやりあった時はこんな事なんてできなかった。

成長しているぜ。

 

「うがあああああ!!!!」

 

突っ込んでくる。

その勢いが重要なんだ。

振りかぶって力瘤が浮き出る。

そのまま打ち下ろしてくる一撃に対して……

 

「舞え……」

 

脇下に潜り込む。

勢いを利用して投げる。

さっきの一本背負いより速いし威力も上がっている。

だが叩きつけはしない。

投げて宙を舞う間に手を離し背中合わせになる。

そして首に手をかける。

 

「がっ……」

 

相手はその勢いで首を吊る形状の技にかかり気絶をする。

やりあって勝てる確信はある。

だが、この手は気絶が最適解だ。

 

「流石ですね」

 

ブロリーが笑ってこっちに来る。

お前は見てるだけかよと思う。

まあ、見ててどうだった?

そう質問する。

 

「制御できてないですし、伸び率が高すぎて消費量より気が遥かに体内に留まりやすい」

 

ですから大技を連打しないと今の制御できない状態は危険です。

ただ……

 

「制御に重要な部分はすでにできているので教えてやれば問題ないかと」

 

と答えてきた。

やっぱりそう思うか。

これだけしてやればもう十分だろう。

 

「ううん……」

 

女の子が起き上がる。

カリフラもこっちにきたから座学に入るか。

3になろうにもデメリットを言っておかないと意味がない。

 

「まずはあの状態を説明すると……」

 

制御できるようにしないと、大事な人間を傷つける事。

伸び率が高いから実力が徐々に伸びていく。

気が高まって溢れるが制御ができていないと暴発を起こす。

そうならない方法は長い修行。

しかし土台が例外的にできているから応急処置で制御できるようにはなる。

 

「ケールに教えてやってくれよ」

 

そう、カリフラが言うから話し合うためにケールと距離をとってもらう。

相変わらずオドオドしているな。

まあ、ブロリーも寡黙で物静かだから似てると言えば似ているのか。

 

「大事な人を守るって心で覚醒していけばいい」

 

戦う気構えで居るときっと暴走してしまう。

だから前提として守る為に戦う強さだと認識させる。

防衛の結果として相手を倒す。

そう伝えて、『力の戦い』における第6宇宙のリスクを減らす。

 

「姐さんを私が守るってことですか?」

 

その通りだ。

俺は頷いて肯定をする。

難しいかもしれないが、その心構えがあれば一気に進んでいける。

 

「そうだ、まずはカリフラがやられているとして、それを救える場所に自分は居ると想像しろ」

 

想像させてみる。

すると髪の毛が逆立ち禍々しさまで出てくる。

しかしここで、切り替えさせるために言葉をさらに投げかける。

 

「庇われていたとして……どんな気分だ?」

 

弱い自分が嫌だと呟いている。

いい兆候だ。

じゃあどう思って力を振り絞るんだ?

そう問いかける。

 

「守る為に……強くなりたい!!」

 

禍々しさが無くなる。

一気に気が膨れ上がった。

そのまま力を振り絞るように促す。

 

「どうだ?」

 

風が巻き起こる。

自分としては成功の手応えがある。

顔をあげると白目をむかず筋肉の肥大もない。

自分の手を見てキョロキョロとしている。

 

「で……出来ましたぁ!!」

 

姐さんに教えてもらってもできなかったのに……という声が聞こえてくる。

感覚派は人に教えるのが苦手な所があるからな。

仕上げをしていくか。

 

「じゃあ、その意識や気持ちを保ったまま力を振り絞れ」

 

すると白目をむいて筋肉が膨張をする。

禍々しさは無い。

それどころか普通にこっちに近づいて手を握ってくる。

 

「これで姐さんの助けになれます、ありがとうございます」

 

そうは言うが気が萎んでいる。

すぐに普通の状態に戻るように言う。

 

「あれ……?」

 

普通の状態に戻って膝をつく。

やはりまだまだ慣れていないか。

 

「今の感覚のまま、慣れていけ」

 

そう言って力が出ないケールを担ぎ上げる。

ブロリーがカリフラを相手に戦っていた。

気が上がっていくがどうやらまだまだ3にいくには感覚が同調しないようだ。

あいつも4ではなく同じ形態の3で相手をして肌で感じさせようとしている。

 

「そろそろお時間ですよ」

 

ウイスさんがベジータを連れてきた。

満足げな様子を見るとキャベに伝授でもできたのだろう。

俺もブロリーを呼んで帰る準備をする。

 

「待ってくれよ、まだ3になってないんだぜ!!」

 

カリフラがそう言うがブロリーは突っぱねる。

冷たいと言われても仕方ないのだろうが。

 

「俺達は手取り足取りではなく、修行をして互いに切磋琢磨の末に身につけたんだ」

 

だから君は恵まれていると。

戦いの中で目覚めて見せろ。

努力で手に入れろ。

 

「『力の大会』で待っている」

 

そう言って後ろを向いて歩き、ウイスさんの肩を掴んでいた。

俺もケールの肩を叩いて忠告をする。

 

「力に呑まれないように守る為の強さであることを肝に銘じて慣れておけ」

 

守る為の向上心の尊さを説く。

もし、相手を倒す事を主にした強さを求めると潜在能力の高さから次のステップにいくのは可能になるだろう。

しかし、なり立ての興奮などで暴走のリスクがある。

まだ自分の中にある確固とした信念を支えにして戦いの成長を行った方がベストだ。

 

「『力の戦い』で会おう」

 

そう言って地球に戻る。

ビルス様から一緒に『精神と時の部屋』に入り、最後の総仕上げをするように言われる。

残りの時間で詰めていけば可能性は高まる。

 

「お前には十分に戦ってもらう」

 

互いに全力で殴りあう。

破壊神に迫る力。

自分はもう限界突破以外、方法は無いのではないかと思っていた。

しかし、破壊神直々の組手などは俺の力をさらなる高みに引きずり込んでいった。

 

「お前の嫁とも少し手合わせをしておいた」

 

念には念を。

破壊神の力を持つものを二人用意する。

さらにピオーネの力をさらに呼び覚まさせる呼び水になったという。

切欠があればいいけどな。

そう呟いていた。

 

「お前らが悟空やベジータ程に油断がないからこそ教えて損は無い」

 

どうやら俺がカリフラ戦でやったように『体が勝手に動く』。

頭で考えずに体の動きを勝手な形で委ねる。

頭で考えるよりもはるかに速い世界。

 

「第7宇宙の消滅はお前らにかかっているんだからな」

 

そう言って拳を打ち付けられる。

真実を知る身として心苦しい。

しかし、ここで悟られてはいけない。

毅然とした態度でさらに激しさを増す修行に臨むのであった。




強化内容:
キャベ:超サイヤ人2
カリフラ:超サイヤ人2から超サイヤ人3の成り方を口頭で教わる。
ケール:『伝説』制御可能。

カリフラが感覚派なので見せて、言葉で説明しても伝わりそうにないですね。
ケールがもはや覚醒済み。
ちなみに抜けるメンバーはスピネルとピリカ。
ドクターロタでもいいのですが、どちらか片方残すのも微妙なので。

指摘などありましたらお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。