とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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タイトルは今回の出てくるキャラをそのまま当てはめています。
脱落者をこの調子で少しずつ増やしていきます。


『犬・亀・蛞蝓』

「どうした、第3宇宙の戦士よ!!」

 

俺は一人、気を吐き戦っていた。

二人の弟はすでに脱落。

最終的に落とした灰色の戦士と青髪の戦士。

奴らの強さはかなりのもの。

俺が頑張らねばならん。

未知数のモギは除外だ。

他の奴らも何かしらの力はあれど、俺ほどではない。

 

「貴様の攻撃など俺には届かん!!」

 

叩いてくるが俺のエネルギーとなる。

肉体が大きく強靭になっていく。

 

「ビア!?」

 

その大きくなった肉体で一撃を放つ。

僅かに浮いた体を抱えて放り投げる。

相手より大きな体になれば優位性がある。

相手はそのまま場外へと真っ逆さまとなった。

 

「次の相手は……」

 

そう言ってくるりと振り向いて探そうとした瞬間。

相手がこっちに向かっていた。

その見た目は灰色の戦士。

ラベンダーをボコボコにした戦士を落とし、その後ラベンダーを落とした男。

 

「貴様……」

 

無言のまま、こっちを見据えて進んでくる。

来るぞ。

勘が叫ぶ。

 

「……」

 

間合いとしては蹴りが届くかどうかという形であった。

しかし次の瞬間。

 

「がっ……」

 

まるで滑るように。

気配すらなくなったと錯覚するほどの自然体で腹に一撃を喰らわされていた。

強靭な肉体の中が爆発するような一撃。

大きくなるためのダメージ。

それを凌駕している。

 

「的が大きいだけでは勝てん」

 

そう言って見えない速度の攻撃を喰らう。

体が大きくなって反撃をする。

倍の力ではあるが……

 

「フンッ!!」

 

さらにそれにカウンターを合わせてくる。

巨大化が飛躍的に早まる。

 

「場外に押し出されるだけだな」

 

このままでは重量が耐えられなくなる。

解除をすればたちまち飛ばされる。

ならば……

 

「ガアアッ!!」

 

フライング・ボディプレスで射程に捉える。

それを避けようと動いた瞬間…

 

「ハアッ!!」

 

気弾を放って軌道を変える。

さらに体を縮小させて巨体から一気に質量を減らす事で勢いを強める。

 

「だあああ!!」

 

その勢いのまま、顔面に一撃を入れてよろめかせる。

これはいい機会だ

次の一撃を入れようと飛びかかる。

 

「今の一撃は効いた」

 

踏みとどまって相手が言葉を発する。

その言葉を言った次の瞬間、腕の先が消える。

体が爆発したような衝撃がはしる。

見えない速度で何発もの攻撃を当てられていた。

意識を持っていかれてしまい、最後に腹に爪先がめり込む。

 

「終りだ」

 

相手は蹴りを振りぬいた。

それを最後に俺は落ちていった。

 

.

.

 

「お前さんがいくら色仕掛けをしようとも」

 

今回の為にわしは今までを思い返し修行をした。

その成果が実っている。

わしは気を体に巡らせていた。

漲って、膨張する筋肉。

たくましく変貌するその姿に娘は驚き逃げていく。

逃げた先は場外。

 

「ありゃりゃ、戦わずに一人落としたわい」

 

その後にうろついていたら第4宇宙の女戦士に目をつけられた。

影縫いなど多彩な技。

搦め手を存分に使う相手。

こういう相手の対処はわしの担当じゃ。

『魔封波』を使って小瓶に入れて場外へ。

これで二人目。

 

その結果でもめていたが使用は良しとする結論が出た。

さて……次の相手はそこの岩場にいる青年かの?

そう持っているといきなり跳躍でわしの目の前に来た相手。

 

さっきベジータが苦い顔で通達の為に一度戻ってきたがその原因はこ奴のようじゃな。

灰色の肌という特徴。

そして感情が希薄な眼。

 

「標的はわしか?」

 

僅かに頷き、臨戦態勢となる。

全開で相手をする。

空気が爆ぜた。

しかし軌道は正直なものじゃな。

 

腕に掌を添えてかわし、そのまま勢いをつけて顔を蹴りあげる。

頑丈な体だと手応えで分かる。

 

「じゃがこの間合いであれば……」

 

ひらりひらりと木の葉のように避けて拳と蹴りを当てていく。

とは言ってもさす程度にしか感じておらんじゃろう。

 

実力の差がわかる。

さっきまで見ていた青年も去っている。

それが正解だ。

こ奴とやっても実力の差を見せつけられるのみ。

 

「お主、強いの……」

 

こりゃあ、悟空達よりも……

そう思ったわしは着地と同時に小瓶を置く。

よいこ眠眠拳も萬国吃驚掌も使えん。

 

「お前さん相手にはこれしかあるまい!!」

 

 

.

.

 

 

老人が手を前に出す。

すると波動が目の前に現れる。

体がとらわれると即座に回転の中に引っ張り込まれていく。

 

「ぐうううううう……」

 

まさかこんな技を持っていたとは。

あの小瓶の中に封じて場外へと投げるつもりだ。

あいつらでは勝てない脅威がまだ居る。

ここで落ちるわけにはいかない。

 

「うがぁ!!」

全力での気の解放。

『無の界』を包み込むほどの気で力任せに技を破る。

少し危機感からか一筋の汗が伝う。

ベリーというものの時と同じ感覚だ。

 

「老いた者よ、お前も俺の心を震わせた」

 

息も荒く膝をついている。

どうやら体力を著しく消費するのだろう。

俺の顔に一撃を当てて、柳のようにすり抜けた。

そこで実力差を知ったのだろう。

封印の技を使ってきた。

火が点っていなければ、あの小瓶に入っていたかもしれない。

 

「いたぶる趣味はない」

 

そう言って腕を掴み、場外へと放り投げる。

次はあの二人を標的とするか。

 

.

.

 

俺達はボタモとマゲッタの相手をしていた。

少し前に見ていた俺はボタモの倒し方を悟飯に伝えていた。

それによりアルティメット状態でまずは倒す。

俺は睨みながらマゲッタの周りを回っていた。

耳をふさいでさえいたら弱点は隠されている。

だからそれを確かめている。

 

「ビンゴだ!!」

 

耳をふさいでいやがる。

だったらこれでいい。

 

「はあああ!!」

 

マゲッタの体に気弾を当てていく。

本人はまるで気が付いてはいない。

 

「『魔空包囲弾』!!」

 

当てる間に同時に放って漂わせていた気弾を一気に纏めて当てに行く。

当然ダメージそのものは期待していない。

本来の狙いはその耳をふさいでいる岩だ。

 

「ボシュー!!」

 

効いていないとアピールをしている。

確かにお前にダメージはない。

しかし落とすための準備は整った。

 

「随分余裕のようだな、ポンコツ野郎!!」

 

そう言った瞬間、相手の力が抜けていく。

そして蹲った相手の足場を崩して転落をさせた。

これで俺と悟飯が揃って一人ずつを落とした。

 

「次の相手は誰ですかね?」

 

悟飯も周りを見回す。

落とせる相手を選ばないとな。

勝つのが一番の重要な要件だ。

 

そう思っているといきなり自分たちに重力がかかったような張り詰めた雰囲気になる。

その出所は分かっている。

前から来ている灰色の男だ。

俺は冷や汗が伝い、呼吸が苦しくなるような圧迫感を感じた。

 

「あの人がベジータさんの言ってた……」

 

悟飯もあの男の恐ろしさを感じたようだ。

どうやら視線からして悟飯と俺が標的のようだ。

一歩一歩近づくごとに増していく威圧感はすさまじいの一言に尽きる。

 

「悟飯、お前は逃げろ」

 

俺がこいつと戦って勝てるわけはない。

このまま悟飯もまとめて落とされるくらいならば、俺が捨て石になる。

構えて、相手の間合いを測る。

 

「なっ!?」

 

しかし次の瞬間、驚愕の行動があった。

スライディングで滑るように接近。

間合いが関係ない一撃を放ってくる。

 

「ちっ!!」

 

防御は間に合うがあんな一撃の重さを持っていたとは……

パワーも速度もベジータ以上だ。

 

「こんな奴が紛れ込んでいたとは」

 

対応できる戦士がどれだけいる?

孫の奴がいくら頑張っても今の実力ではこいつの全力には及ばない。

 

「はっ!!」

 

拳を振るってくる。

その拳に腕を伸ばして、そのまま相手の腕全体に巻き付け縛り上げる。

そしてその腕の手のひらから気弾を撃つ。

 

「むっ……」

 

相手は顔色一つ変えやがらない。

かなりの威力を想定して撃ったんだがな。

 

「ぬっ!!」

 

腕を引っ張って俺を宙に舞い上がらせる。

そしてそれを追い越そうとするが……

 

「これは……」

 

相手が自分の周りを見回す。

俺は分身を作り、相手の攻撃を何とか回避するようにする。

 

「この手ならば……」

 

気を放出してなぎ倒す。

当然それは予想済みだ。

その射程から外れている残りの分身で攻撃を仕掛ける。

 

「『魔穿撃滅波』!!」

 

全方位の最大奥義。

『魔貫光殺法』を超えたこの一撃で仕留められれば……

 

「頑丈な俺でも痛みを感じる一撃とはな、あの青髪の男とベリーという男からは始まり、戦った5名、皆が俺の心を震わせる」

 

体中から煙をあげていて大したダメージではないと伺わせていた

腕を交差しながらもさらに熱量が増えたかのような眼。

この男の奥底に秘められた願い。

そしてこの男の持つ熱い心がどれほどなのか。

 

「があ!!」

 

殴られるが踏みとどまり拳を振るう。

しかし相手に叩き落されて、またもや一撃。

 

「ぐあっ…」

 

こんな事があるのか。

仕方あるまい。

奥の手を使う。

対して効果はないかもしれないがな。

 

「ハアアッ……」

 

体を大きくさせる。

それはたちまち相手を見下ろす形となった。

 

「巨大化とは……」

 

ただでかくなったんじゃない。

あのスラッグという男との同化のおかげでこの状態は強くなるんだ。

的が大きいからこの戦闘では使わなくてもよかったんだがな。

 

「はっ!!」

 

口から気功波を放つ。

それを跳躍で回避するが目から怪光線を撃つ。

 

「むっ!!」

 

腕を交差して防ぐ。

回避できなかったのだろう。

 

「フンッ!!」

 

巨岩のごとく一撃を見舞う。

回避不能の状態でどう動く?

 

「ぬおっ!!」

 

腕を交差して防ぐが片膝をつく。

このまま巨大化で押しつぶしていく。

 

「うぉおお!!」

 

腕の力を全開にして弾き飛ばされる。

そして、その次の瞬間、膝の裏に回り込んでいた。

 

「フッ!!」

 

膝裏を叩かれて、体勢を崩される。

そしてその指を掴み場外へ投げる。

 

「まだまだ!!」

 

手をついて留まるが相手もそれを読んでいたのか

勢いをつけた飛び膝蹴りが顔にめり込んだ。

 

「飛ぶがいい」

 

その一言のまま場外へ蹴り出された。

だが只で転ぶつもりはない。

俺にもまだやれることがある。

 

「お前も道連れにしてやる!!」

 

腕を伸ばして掴みにいく。

しかし到達するかと思われた次の瞬間。

 

「なっ!?」

 

大きな気弾で体を押し上げられる。

あの一瞬でこちらのあがきを見抜いていたか。

もはや抵抗できない。

 

「終りだ」

 

握り拳をつくった瞬間気弾が爆散して俺に衝撃を与える。

無念。

ただそれだけが心に残り、落ちていった。




ジレン無双という話です。
こうしていく事でジレンの強さがより際立つかと思いました。

現在までの脱落者:
()内は落とした人間

第2宇宙:
リブリアン(ガタバル)、ロージィ(ピオーネ)、カクンサ(ガタバル)、ビカル(ピオーネ)
プラン(ベジータ)、ハーミラ(ベリー)
第3宇宙:マジ・カーヨ(ジレン)、ビアラ(ベルガモ)
第4宇宙:ダーコリ(亀仙人)、キャウェイ(亀仙人)
第6宇宙:フロスト(ジレン)、ドクターロタ(ジレン)、マゲッタ(ピッコロ)、ボタモ(悟飯)
第7宇宙:亀仙人(ジレン)、ピッコロ(ジレン)
第9宇宙:バジル(ベジータ)、ベルガモ(ジレン)、ラベンダー(ジレン)
第10宇宙:ザマス(ガタバル)

現時点:20名脱落
残り60名

撃墜数 ()内は落とした選手の数
ジレン(7)
ガタバル(3)
ピオーネ(2),ベジータ(2),亀仙人(2)
悟飯(1),ピッコロ(1),ベリー(1),ベルガモ(1)

指摘などありましたらお願いします。


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