とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回はズノー様が一方的にしゃべっています。
ガタバルが言ってる胸糞悪い行為は頬に口づけをすることです。
あれがないと質問ダメとか、ザマスみたいに脅して聞き出されても文句言えない。


『惑星旅行:ズノーの星』

あれから数日過ぎて俺はズノーの星にいた。

一度来た事があるから、宇宙船に手を添えて、瞬間移動で来たのだ。

質問したらすぐ帰る予定の惑星だからな。

長居するつもりは微塵もない。

 

「それではガタバルよ、2つの質問をするがいい」

 

今俺の目の前にいる福助人形がこの星の主、ズノー様だ。

胸糞悪くなるような行為も終わった事だし、さっさと質問させてもらう。

それで大した情報がなければこいつの首根っこへし折って帰ってやる。

ちなみに若い事と女だと勘違いしてしまったせいで2回といったのだ。

あとで訂正はしたが、一度言った事を反故にはできず2回きっちり質問してもいい事になった。

 

「サイヤ人について知っている事、全てを教えていただきたい」

 

元々の目的はこの一つだ。

これ以外に聞きたい事なんて今のところはない。

 

「もともとサイヤ人は戦闘民族であり、母星を持たずある星々に渡りながら戦いを続けていた」

 

今の俺と同じような境遇で戦い続けてきたのか。

ある意味祖先の行動を繰り返している意味では、サイヤ人らしいのだろう。

 

「そんなある日、命からがら辿り着いたのが惑星プラント」

 

惑星ベジータは元からではなく侵略によって生まれた星だったのか。

その先住民の奴らもサイヤ人の噂は聞いていただろうから、流石に良い気はしないだろう。

 

「先住民のツフル人達に命を救われたが、ツフル人はサイヤ人の肉体に目を向けてその対価に奴隷労働を強いたのだ」

 

一瞬でも優しい民族だと思った自分がばかばかしい。

助けたからと見返りを求めてこき使うか。

恩着せがましいというかなんというか……。

 

「当時は知識が乏しく体を動かす事が得意なサイヤ人は疑わなかった、それに増長した王は更なる労働をさせていた」

 

ツフル人達の本性というよりは王の在り方に問題があるパターンだな。

恨みを買う形を自分で率先して行っている。

それに巻き込まれるのは星の民なのに。

 

「しかし年月が過ぎていき、知恵をつけたサイヤ人達はその不当な扱いに怒りを感じた」

 

サイヤ人は知恵がついていかない猿だとでも思っていたのか。

状況から考えても初めの頃から反応が変わっていた筈だ。

その時に微塵でも不思議に感じなかったのか。

 

「そのサイヤ人達を後のベジータ王が率いて大猿となったサイヤ人たちはツフル人を根絶やしにした」

 

前の段階で思いとどまっていい環境にしておけば根絶やしぐらいは免れただろうに。

そこで欲をかいたからだろう。

愚かという表現がぴったりな末路だ。

 

「その時の開発品などは今のフリーザ軍でも使用されているものが多い、戦闘服やスカウターしかりな」

 

スカウターってあの顔につけていた機械の事か?

あれを初めて見て10数年たつがようやく名前を知ったぞ。

 

「次はサイヤ人における伝説を言っていくぞ」

 

サイヤ人の伝説。

これについては俺も真偽が分かっていない。

だからこそこの福助人形に頼らざるを得ないのだ。

 

「結論から言えばサイヤ人伝説における超サイヤ人は存在する」

 

なんと伝説は本当の事だったのか。

しかしこの言葉には続きがありそうだな。

きちんと耳を傾けて聞こう。

 

「先天的に素質を持って生まれる者が伝説として伝わる1000年に一人の『超サイヤ人』である」

 

先天的という言葉から察するに、つまり超サイヤ人にも二通りのものがあるのか。

後天的というのが俺達でもなれる形の超サイヤ人なのだろう。

 

「鍛錬して戦闘力の壁を、激情によって感情の壁を越えて成し遂げる者が後天的な『超サイヤ人』だ」

 

強く有らねばならない。

そして何より感受性が高くないといけない。

喜怒哀楽が曖昧ならばなれないという事だ。

 

「後天的なものが目覚めるきっかけとして十分な強さを持っているのが前提」

 

それは当然だろう。

強くもないのになれた所で宝の持ち腐れだ。

そんなものは掃いて捨ててしまうがいい。

 

「その上で『純粋』で『穏やかな心』を持ちながら『激しい怒り』を感じた時だ」

 

強くて赤子のような純粋な心。

それは善悪でも関係はない。

つまり悪の心が多くてもなれるのだ。

きちんと条件も教えてもらったことだし、これで間違えた認識の超サイヤ人を持たせなくて済むな。

 

「ちなみに戦闘力については伝説の超サイヤ人は後天的な超サイヤ人に比べて4倍はあるだろう」

 

推定という言葉が聞こえたがあまり気にしていない。

強さを聞いた瞬間、ワクワクよりも先にその強さに思わず背筋が冷たくなって身震いを起こす。

流石に1000年に一度の伝説に恥じないすさまじい強さ。

もしも敵対してしまった場合は一人では絶対に勝てない。

なんとか逃げたとしても戦闘力が高い分、速度も相手の方が上だから捕まってしまう可能性が非常に高い。

まさに絶望の象徴であり対策も八方塞がりだ。

 

「さらに、戦闘が長引くにつれ段々とその強さは増していく、正にサイヤ人そのものだ」

 

殺戮と破壊の象徴。

高揚していく心で止められる者は無し。

敵に回したくは無いものだ。

 

「先天的な形で目覚めた者は第7宇宙に1人いる、そして後天的にではあるが第6宇宙にも1人、合わせて二人」

 

第7宇宙が俺たちの宇宙として隣の宇宙にもサイヤ人がいるのか。

もしくは逆だとしてもサイヤ人はいる、どういったモノか見てみたいな。

 

「第7宇宙にいる者の名前は『ブロリー』、そして第6宇宙にいる者は元は第7宇宙の出身で、その名は……」

 

確か生まれた当初から10000を超えるといわれた一人の天才児。

ベジータ王がその強さを危惧して処分したと聞いていたが生きていたのか。

そしてもう一人はいったい誰なのだろうか?

 

「『バーダック』という、その者は、フリーザの『スーパーノヴァ』によってのみ込まれたはずだ」

 

フリーザの名前を聞いてその人が誰なのか、ピンときた。

俺が『落とし子』になったあの日からずっと、追い続けていた憧れはさらなる高みに手を伸ばしていた。

 

「しかし、その一撃の凄まじさに第7宇宙に穴が開き、そのまま第6宇宙での惑星プラントに流れ着いたのだ」

 

生きていた事に喜びを感じる一方で目標は伝説へと変わった事に驚愕を覚える。

しかし第6宇宙とはどういうことなのだろう。

質問が出来なくなるから聞けはしないな。

 

「ここからは該当者はいないが壁を超えた場合について話そう」

 

伝説にもその先は存在するのか。

一体どれほどの力を手に入れられるのか楽しみだな。

 

「超サイヤ人を超えるには段階があって1の時は4段階に分かれている、

そのうちの3段階は鍛錬によって超えられるが最後の壁を超えるきっかけは自分の力を思うがままに開放する心

その時の形態の名前は超サイヤ人2と言う事にしておこう

この時の強さは超サイヤ人の2倍となっている」

 

ただでさえ強いのにさらに倍に跳ね上がるのか。

しかし感情の爆発で目覚めるというのは共通事項のようだ。

 

「その後は細かい段階はなくなって鍛錬や感情の起伏によって覚醒する」

「この形態は3という事にしておこう、その形態の特徴は前の2つと違いは眉毛がなくなって髪の毛が伸びる」

 

見た目にも随分な変化が現れるのか。

元々髪が長い俺が仮になったらどうなるんだ……

もし固まってしまうとかだったら地面に頭髪が刺さるとかいうシュールな絵面になるぞ。

 

「この状態は激しくエネルギーを使う為、長時間の戦いは向かない、因みに強さは超サイヤ人2の4倍となっている」

 

2に比べてデメリットが出てきているのか。

この形態は切り札的な存在としての使用になってくるな。

 

「ここからは特殊な条件下でのみ可能な変身の形態についての説明じゃ」

 

普段とは違う環境。

もしくは何かしらの制約が課されているんだろう。

 

「まず1つは金色の大猿、これは3の壁を超えたのち尻尾を持ったサイヤ人が満月を見る事で覚醒する形態」

 

すぐにはなれないと思っていたがこれはその中でも難しいだろう。

まずは1700万ゼノに当たるブルーツ波の照射があって成り立つものだ。

 

「この時の戦闘力は超サイヤ人3から潜在能力を限界以上にまで引き出した状態で、個人差があるから何とも言えん」

 

普段の400倍からさらに潜在能力を引き出した形か。

あまり詳しくは分からないが推測としては超サイヤ人3の状態の100倍ほどだろうか?

仮にそう仮定したらとてつもないパワーだな。

 

「そして理性がないため、それ以上に厄介じゃ」

 

やはりそう言った負の側面もあったか。

理性がないから目についたもの全てを破壊しつくす可能性も十分に考えられる。

 

「そしてその状態から理性を抑えた事で目覚める者が超サイヤ人4」

 

大猿の力をコントロールしてようやく目覚める力。

難易度も今までに比べて桁外れだろう。

だが変身を自在にできればこれ以上の心強さはない。

 

「大猿のパワーと超スピードを兼ね備える単独でなれる超サイヤ人の最強形態、金色の大猿から10倍の戦闘力となる」

 

おいおい、潜在能力を引き出しているのにさらにそれより強くなったら手が付けられないんじゃ……

まぁ、どうせデメリットが存在するんだろうな。

 

「超サイヤ人3の様に常にエネルギー消費を起こすような事は無い、よって気を貯めようとも解ける事は無い」

 

それは凄いな。

だが気を貯めなくても解除されないってだけで絶対何かしらは有るはずだ。

 

「ただ、これも弱点があり『サイヤパワー』というサイヤ人特有のエネルギーを回復しないと再び4になる事はできない」

 

それを聞いて頷く。

やはりそういったものが付いて回るよな。

サイヤパワーについては聞いた事がある。

俺たちサイヤ人に流れるエネルギー。

それはいかな能力でも回復せず、サイヤ人からエネルギーをもらうか時間経過じゃないと回復しないものだ。

 

「5人の正しい心が集まって1人のサイヤ人に力を注いだ場合に変身できるものが『超サイヤ人ゴッド』」

 

神の名を冠する変身とは大きく出たな。

しかし合計6人のサイヤ人となると

ベジータ王子、ナッパさん、ラディッツさん、父親、兄。

自分を含めたら男性だけでも6人いる。

あとは正しい心の判定基準さえはっきりとしていれば可能なのだろう。

 

「これは伝説の中の伝説と言われており、強さについては神の力は感じられんため、全知の中でも抜けがあるのう」

 

察知不可能の強さ。

それがどれほどの脅威なのか。

目の当たりにもしていないからよく分からない。

 

「これで私が知っているサイヤ人についての言葉はしまいじゃ」

 

そうか、それでサイヤ人についての話はお終いか。

じゃあ、次は……

 

「ナメック星で見た願いを叶える玉について全てを教えてもらいたい」

 

あれについてはあまりよくわからないままナメック星を出たからな。

願いがかなう方法や、別の形のものがないか確認しておきたい。

似たようなものを掴んでそれが悪いものであったなら被害は甚大なものになるだろう。

 

「ふむ、『願い玉』の事か」

 

そういった名前だったのか。

安直な感じの名前だが分かりやすいな。

 

「地球、ナメック星、そして第7宇宙と第6宇宙に存在する3種類のものがある」

 

緑の惑星、地球にもあるのか。

ナメック星の奴と比べてサイズはどうなのだろうか?

銀河にまたがる奴はどう見積もってもナメック星と比べて格段に大きいだろうな。

 

「共通点は薄黄色で7つ、完全なる球体、赤いヒトデ型のマークが1つから7つ入っている」

 

デザインは統一されているから見分けがつきやすいのか。

てんでバラバラだったら災いの引き金になりかねない。

 

「揃えて合言葉を言えば願いを叶える龍が出るのじゃ」

 

合言葉を言えば願いがかなうといったが果たしていくつの願いがかなうんだろうか?

まぁ、普通に考えるとさすがに1つという事になっているだろう。

 

「『願い玉』のサイズについては様々なものがある、片手で持てるほどのものから、惑星ほどの大きさとなっている」

 

想像してた通り、大きさにも差異はあった。

おおよそ、叶えられる願いのスケールもその大きさに比例しているのだろう。

しかし惑星ほどの大きさのものなんてどうやって持ち運びを行うんだ?

大きい宇宙船でも入りきらないぞ。

 

「龍神ザラマによって遥か昔の神暦に作られておる」

 

始祖はやはり神の類か。

しかもそれだけのものを作成した時点でかなり上位の存在であることは理解できる。

 

「屈折を利用していてどの角度から見てもヒトデ型の星が見えるデザインになっていて、これは特許を取得している」

 

そんな時代から特許が存在していたのか。

商魂たくましいような、ある意味人間味が溢れる神だと思う。

さて、まだまだ、説明の部分がありそうだが……

 

「ちなみに願い事を叶える際はその星、もしくはそれを作ったものの言葉で叶えなければならない」

 

つまり、地球ならば地球の言葉。

ナメック星ならばナメック星の言葉。

そして2つの宇宙にまたがるものはおおよそ、竜神ザラマの制作物である事から神の言語になるのだろう。

 

「そしてここから重大な事だが、願い玉は一度使うと1世紀近くは休ませてやらねばならぬ」

 

その人が使用してから孫か曾孫の代まで使えないのか。

そう考えたら伝説扱いもされる。

まず見つけるまでにどれだけ努力しなくてはいけないのか。

 

「理由としては全宇宙の破壊を防ぐ為である」

 

随分と大きな理由だな。

しかしそれも無理はない。

集めるだけで願いが叶うものを頻繁に使った場合、どういった事があるのか。

そこまで考え抜かないとな。

 

「使用後は願い玉の中に有る『プラスエネルギー』が減り、『マイナスエネルギー』が増える」

 

万物に宿る陽の気を『プラスエネルギー』。

また、陰の気を『マイナスエネルギー』。

そう呼称しているのは知っていた。

その大きさは当然様々で人の欲望を一手に引き受けるものがどれほどの陰の気を貯め込むのか。

想像するだけで怖気がはしる。

 

「その浄化を終える前に頻繁に使用すると全ての銀河を巻き込む大惨事になってしまうのだ」

 

しかし、そう簡単に見つけられるわけがないだろう。

この『願い玉』の存在なんて眉唾物として知られているから信じてない輩も多い。

それにそんじょそこらの奴らがナメック星に行ってもネイルさんに返り討ちにされるだろう。

また、銀河に跨る様な物を常に持ち歩く事は出来ない。

 

「これで『願い玉』について伝えられる事は全てじゃ」

 

そういった瞬間立ち上がる。

一瞬でも早くこの場所を出ようと思っていたからだ。

 

「ありがとうございました」

 

最後にわざとらしいお辞儀をして宇宙船に乗り込む。

『願い玉』というものが地球にもあるとは思わなかった。

しかし俺は使う気もさらさらないから行く予定はない。

何か急な事があれば話は別だろうが。

 

「次は惑星スイッツに行くか」

 

甘いものを食べて心を落ち着かせよう。

俺はそう思ってスイッツまでの座標を打ち込む。

これが後に大きな事件を起こすとは思わずに……。




今回の話で情報のアドバンテージではガタバルが大幅リード。
ベジータの勘違い超サイヤ人からの号泣もたぶんなくなるでしょうね。
指摘有りましたらお願いします。

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