一戦を2話ほどで終わらせれればいいなという感じで分けています。
文字数が少ないと思いますがよろしくお願いします。
まさか一回戦から自分のガキが相手になるとはな。
まあ、そんな対戦相手が誰かなんてどうでもいい。
戦闘民族であるサイヤ人が相手を選ぶなんざ馬鹿馬鹿しいぜ。
それに、きっと俺を注目選手として意識している奴らは上のステージに行くだろう。
だから俺がこんなところでつまずく事は許されない。
「ハアッ!!」
そうと決まればやる事は一つだけ。
全力で相手を完膚なきまでにねじ伏せる、叩き潰す。
たとえそれが肉親であれ例外じゃない。
それこそが俺の戦いでありやり方だ。
最初から全開の状態で相手をする。
様子見して負けましたなんざ敗北という恥にさらに上塗りするだけでしかない。
超フルパワー超サイヤ人4となって、相手を威圧するように睨みつける。
「始め!!」
普通の状態のままのカカロットに向かって直進する。
様子見をできるような立場じゃねえだろうに、何を勘違いしてやがるんだ。
俺は当然のように仕掛ける際も最大速度で接近する。
フェイントなんてなく相手に考える隙を与えない。
戦う心に決して一分の隙も無いし、相手に対して容赦だって微塵もしない。
「くっ!!」
直進した一瞬の間の時間。
変身だってできるはずの時間の余裕はあったはずだ。
しかしそれをカカロットはしなかった。
相手の変身に対して全く動こうともしなかった。
危機感や対応力がまるでねえ。
様子見できるだけの差が自分にあると勘違いでもしているのか、馬鹿馬鹿しい野郎だな。
「うおっ!?」
素っ頓狂な声を出してから、防御の構えを取るが遅い。
もうこっちはすでにお前の懐に入りきっている。
俺は手のひらを拳の形へ変えていく、筋肉がはちきれんばかりに盛り上がっていた。
「オラァ!!」
そのままアッパーで攻撃をする。
風を切り裂いて防御態勢を崩すような一撃だ。
とは言っても、もはや防御が間に合わないから崩すも何もあったものではないが。
「ゲホッ!!」
カカロットを腹部から押し上げるようにして浮かせる。
さっきのガードは間に合ったようではあるが、それをぶち抜いて腹にまでめり込んでいる。
腕が折れたり肋骨がやられていないだけ運がいいみたいだな。
「もう一丁!!」
相手が落ちてきた所に照準を合わせる。
そしてタイミングを見計らって足に力を込めていく。
徐々に足を上げて相手の落下位置と一致するまで待っていく。
「……今だ!!」
丁度自分の蹴りの高さと一致した瞬間、前蹴りを繰り出す。
蹴りが直撃した箇所からおよそ人を蹴った音ではない音が鳴り響く。
そのままカカロットは場外へ吹っ飛んでいき、壁へとめり込んでいった。
「ぐあっ!!」
めり込んでいた壁から抜け落ちていく。
今回は場外に落ちた場合の即時的な負けはない。
場外20カウントで敗北と優しくなっている。
「うおおっ!!」
超サイヤ人ブルーになって向かってくる。
なかなかの気の量だ。
確かに本戦に出るだけのものは有るだろう。
「でもな……」
しかしそれでも俺には届かない。
俺は手と足を目に止まらぬ速度で繰り出す。
それを見たカカロットは……
「なっ……」
俺に向かう途中で地面に這いつくばる。
その種明かしは簡単だ。
向かってくる以上の速度で攻撃を多数叩き込んだ。
顎、腹部、背中、両肩、両足。
7発の急所攻撃は奴の突撃を殺すには十分だった。
「どうした、この程度かよ」
こっちのフルパワーに遠く及ばねえ。
そんな奴があの時に、仲間に偉そうにふんぞり返ったのか?
お前は何様のつもりなんだよ。
そう思って顔面を踏みつける。
「おい、反撃してみろよ」
サッカーボールキックで顔面を蹴り飛ばす。
鼻が折れたか。
髪の毛を掴んで立たせて腹部を殴る。
「大した実力もねえくせに舐めた口ほざいてんじゃねえ」
ぐったりしているカカロットを抱え上げてボディスラムで叩きつける。
反応はしていやがるが闘志が折れているのか、立ち上がろうとしない。
舌打ちをして気を手のひらに集めて攻撃を放つ。
「うあああっ!!」
意識を取り戻したのか気弾の一撃を絶叫したまま受ける。、
もう一度場外へ追いやられていく。
溜息が出るほどの差。
我が子だと認めていたのに。
強者との戦いを求めて心と目を濁らせやがって。
「持ち味を全部殺してやがるぜ」
そうは言うが次の状態を見るための発破でもある。
強い奴と戦いたかった。
その欲求が満たされれば多少は今の歪みも消えるだろう。
躾をして元の自分を取り戻させないとな。
「ぐうぅ……『20倍界王拳』のブルーだぁ!!」
起き上がってカウントアウト前に武舞台に戻ってくるカカロット。
体中なら赤い気と青い気を同時に出していやがる。
さて……それがお前の本当の本気なのか、もしくは火事場の馬鹿力なのか。
まあ、そんな事を考えていても意味なんてこれっぽちもない。
お前の全力を叩き潰して歪みをきっちり今までのお前の型に嵌めて矯正してやる。
「らあああっ!!」
ラッシュをしてくるカカロット。
単調な手足の攻撃。
リズムが一定な部分もあって悠々と避ける事が出来る。
力で押したりもしていたが、劣勢に立つと脆さがあるな。
「甘い!!」
尻尾で絡めとって体勢を崩させたところへ肘打ち。
それで吹っ飛んだ瞬間背中に回り込んで腰を掴んでバックドロップ。
あおむけに倒れ込んだところへ『キングコング・ニードロップ』。
三連撃で一気にカカロットへダメージを与える。
「生半可な攻撃だったら何倍返しにもされるぜ」
そう言った俺に立ち上がり、飛び後ろ回し蹴り。
隙が大きなそんな技を使うなんてつくづく……
「自分のペースで戦いなんざ出来ねえぞ」
掌底で金的を叩き込む。
落下して悶絶をするが当たり前だ。
あんな隙だらけの攻撃をしたら的にしかならねえよ。
「寝ころんでんじゃねえ」
腹部へ強烈な蹴りでまたもや場外へ。
何度立ち上がってもボコボコにする。
上には上がいて自分のいる地点をはっきりさせてやる。
「親父面すんのもしんどいぜ……」
わざわざ、歪んだ自分のガキを殴って矯正なんざあほらしい。
ただ放置したらどっちにしても面倒だからやっているだけ。
それに個人的にもイラつくからな。
強くもないのに粋がっている馬鹿って言うのはよ。
「来いよ、まだ終わらないだろ」
手をクイクイとして招いてやる。
それを見てカカロットがまたもや『20倍界王拳』とやらの超サイヤ人ブルーとなって動く。
さっきとは違い慎重になっている。
しかし、そんな付け焼刃をしても……
「こっちが動いたらどうするんだ?」
一気に懐に忍び込んで頭部を掴む。
そして勢いのまま叩きつけてやる。
そして持ち上げて上空へ投げ飛ばしてやる。
「『リベリオン・ファング』!!」
気弾の攻撃も使って徹底的に倒しにかかる。
もう、十分こっちの動きはしてやった。
あいつが今、全力でも手も足も出ないのは本能で分かっているだろう。
「うあああああっ!!」
地面から落ちてバウンドする。
それを追撃するようにそのバウンドした体を捕まえて『パイルドライバー』の一撃。
頭蓋よ砕けろと言わんばかりの強烈な衝撃だ。
「全然かなわねえ……」
そう言うと息を切らしながら立ち上がる。
闘争心そのものは萎えていないようだな。
三度、『20倍界王拳』の超サイヤ人ブルーになって攻撃をしてくる。
「でもワクワクが止まらねえぞ!!」
徐々に体の動きにキレが出てきた。
だがそれでも俺には届かねえぞ。
両腕を掴んで腹部に膝蹴りを叩き込む。
「がっ……」
吐きそうになっているがこっちの攻撃は止まらない。
背中に祈りの形をした手を振り下ろす。
鉄槌のような感じがして手応えがいいんだよな。
カカロットの背中にめり込む。
「このっ!!」
手をついて水面蹴りを放ってくる。
それをバックステップをして避ける。
しかし次の瞬間、後ろに気配を感じた。
「ハアッ!!」
その拳を受けとめて裏拳をカウンターで放つ。
それを頭を下げて回避。
その腕を取って一本背負いで投げようとする。
「ふんっ!!」
投げようとしたカカロットの背中を踏み台にして軽やかに抜ける。
そしてそのままがら空きになった顎を狙う。
一気に足を振りかぶってギリリと歯を噛みしめる。
「どりゃあああ!!」
場外にカカロットの体がくっきりとめり込む。
そして俺は近づいてとどめを刺すために近づく。
当然殺さない程度にはしておく。
「ぐぐ……」
抜け出そうとしているカカロットを引っ張り出す。
そのまま上空へ投げていく。
それを跳躍で追い越して顔面を掴む。
そして武舞台にめがけて叩きつけるように技を射出する。
「『リベリオントリガー』!!」
その一撃でカカロットは呑み込まれ一直線に武舞台へ。
バウンドすることもなく、滝のような気功波が止んだ時大きく陥没した武舞台が残っていた。
相手の反応は無い、それどころか死んでいるのではないかと疑うほど。
殺してしまった可能性を考えて反則負けなのか、それとも正常な勝利による事故なのか。
俺はその状態に対しても
「まだ、足りないぜ……」
肩を回して武舞台に降りていく。
そして相手には不用意に近づかず見の体勢になる。
どんな場面でも足元をすくわれないように相手への警戒心は常に最大にしておく。
ただし、これじゃあ不完全燃焼もいい所だ。
次の試合まで、この戦闘の衝動が収まればいいが……
そんな事を考えていると、気配を感じる。
陥没した部分からぐぐぐと力を込めて立ち上がってくる。
ブルーにはなっておらず、こちらを見ている。
「……」
ガタバルと同じ銀色の気を立ち昇らせている。
雰囲気や目の色も変わった。
あまりにも静かな清流のような風体。
「それが『身勝手の極意』って奴か」
気の質を観察して俺は軽く頷く。
神に非常に近い形で感知するのが少し難しい。
確かに、人の身でありながらこの領域に到達する事ができたのなら大したもんだな。
この状態でのカカロットの強さを感じたことで、少し沈んでいたというか残念な気持ちで一杯になっていた心が上向く。
少し物足りなさを感じていた俺の戦闘意欲を高めさせる。
本当に良かったぜ、一方的過ぎて退屈していたからよ。
「来いよ、それも潰して躾の終わりにしてやる」
ゆらりと陽炎のように近づいてくるカカロット。
それを迎撃しようと腰を落として待ち構える。
どうやら、本当の意味での本気のようだ。
決着の第3ラウンドが始まろうとしていた。
バーダックの強さを際立たせられていたら幸いです。
強さ的には確実に今の悟空を超えているバーダック。
慢心とか遊びの無いサイヤ人の恐怖。
書いてて思ったのですが『身勝手の極意』を使っているのに、悟空の勝てそう感が0な感じになってしまいました。
指摘などありましたらお願いします。