とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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ガタバルとピオーネの戦いです。
長く書ければと思います。
技もいろいろなキャラの奴がこの戦いでは出せればと思います。


『貴きせめぎ合い』

掌底を放つ。

様子見は微塵もない。

気を引き締めてかかっている。

 

「フッ!!」

 

こちらの腕に絡みつかせてくる。

それはまるで蛇のように。

俺はそれに対抗する一手を打つ。

 

「甘いぞ!!」

 

その動きをかいくぐらずに手のひらを曲げて気弾を撃つ。

標的は当然絡みついてくる腕だ。

それに対する反応はどうするのか?

 

「カッ!!」

 

カウンターではなく自分の状態を危険な状態から脱出させる一手を打つ。

絡みつかせようした腕を自分の体の方へと戻す。

距離を取り直してこちらを待っている。

こっちは息つく暇を与えないためにも攻撃を仕掛ける。

 

「しっ!!」

 

前蹴りを放つ。

その一撃を手のひらで受け止めて後ろに飛ぶ。

さらに勢いを利用して延髄切り。

 

「シャッ!!」

 

頭を下げて片足を掬い上げる。

そして手を取り、背中から地面につけさせに行く。

抵抗を許さない速さ、そして振りほどけない力。

ピオーネはなすすべなく馬乗りとなる。

両者が『身勝手の極意』だからこそ、先に動いて相手を崩すという選択肢が生まれる。

こちらだけなら相手を待って焦れた所を狙うのが効果的なのだが。

 

「だあっ!!」

 

細かい拳を当てる。

マウントは絶対ではない。

だからこそ掴んだ機会を逃さず叩き込む。

 

「甘いわ」

 

そう言って腕を伸ばし俺の右頬を掠める。

しかしそれで脱出は止まらない。

その腕をそのまま横にスライドさせる。

ジレンやバーダックさんといった膂力に自信がある相手がやる手法だ。

 

「なっ!?」

 

ごろりと転がされて体勢が逆になる。

だがこっちも抜ける方法は幾らかある。

まずは……

 

「があっ!!」

 

噛みつき攻撃。

それを試みるが悠々と頭を掴まれる。

まあ、正直これぐらいは読まれているものだ。

 

「私は食べ物じゃないのよ」

 

そう言って後頭部を地面に叩きつける。

痛みがはしるが脱出は諦めない。

ここで抜けないと延々と叩かれてしまうだけだ。

 

「くっ!!」

 

耳を狙う。

耳に指を入れてその痛みで悶絶している隙に抜ける。

しかしそれも首を動かし、回避。

やはりやりにくいな、こちらの手の内が見透かされている。

 

「だが……」

 

脇腹の方に手を添えていた。

親指だけで抜けることができる。

アバラの間に指を入れていく。

そして捻るだけ。

 

「うっ……」

 

痛みに呻いた隙に抜け出して向き合う。

互いに気弾や気功波抜きの徒手空拳でのつばぜり合い。

今からは解禁していくだろう。

お互いが同じ実力にまで登っている。

ただ、言えるのはジレンとの戦いの復活でわずかに力が伸びているのならば……

 

「その差を埋める前に畳みかける」

 

そう言って一気に体勢を低くして飛び込む。

そのまま腹に頭突きを当てて投げ技への移行を狙う。

その一撃で背中をしたたかに打ち付けさせるなどやり方をしていけば優勢への糸を手繰る事が出来る。

 

「『キャット・パレード』!!」

 

猫型の気弾でこちらの出鼻を挫きに来る。

しかしそれを許すわけもない。

それより速い速度が有る。

 

「『ツイン・ファルコン・アタック』!!」

 

隼型の気弾を片手ずつ放ってその推進力を活かしてさらに早く接近をする。

しかしそれを見越していたのか額に指をあてていた。

確かにそれが一番ではあるが……

 

「こっちも負けてられないな」

 

同様に瞬間移動で姿を消す。

後にやった分、これでこっちが有利になった。

後ろを取って絞めつけに行く。

だがそう思って、手を伸ばした瞬間……

 

「残像……」

 

そして上から襲い掛かってくる。

こっちの動きの一歩先か。

しかし……

 

「えっ?」

 

ピオーネの攻撃が空を切る。

素っ頓狂な声を上げてしまっていた。

答えは単純なこと。

 

「裏をかいたのさ!!」

 

ハイキックが側頭部に当たり、ピオーネが揺れる。

意識が刈り取れているかはわからない。

だがこの一瞬は『身勝手の極意』は使えない。

 

「喰らえ、『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

大技の一撃。

焦っているのではなく刹那の隙があれば放たねばならない。

それを感じ取るために鋭敏に研ぎ澄ませた五感。

五感が俺に、極意が俺に今が攻める時と教えていた。

 

「くっ……!!」

 

意識が戻れば即座に腕を交差。

そして足に力を入れて踏ん張りを利かせる。

こちらの一撃に耐えきってもそれで終わらせる気は毛頭ないぞ。

 

「正面ばかり見てもそこには居ないよ」

 

瞬間移動で後ろを取る。

手に力を込めて六角形の形を作る。

全ての技を使って勝たせてもらう。

 

「『気功砲』!!」

 

超フルパワー超サイヤ人4での計り知れぬ破壊力。

それをさらに増幅させたような一撃。

この一撃ならばどうだ。

 

「ふううう……」

 

煙が晴れたところで見えたのは眼光。

ずっと俺を捉えている。

逃がすまいと、避けられない攻撃を仕掛けるぞと。

あの状態は強さの変動はない。

しかし分かるのは身が竦むほどの気迫。

精神的な気合が一段階変わったということだ。

 

「本当の地獄はここから……げぼぉっ!?」

 

言い切る前に腹部に拳がめり込む。

頭を掴んできて振り回される。

そして…

 

「お返しの時間よ」

 

そう言って武舞台に叩きつけられる。

武舞台に叩きつけられたところを中心に、クレーターができる。

頭がちかちかとするような衝撃。

さらにそのままめり込んだ俺めがけて技を放つ。

 

「『グラトニー・オブ・ホエール』!!」

 

鯨が迫ってくる。

こんな超巨大な代物を平然と出してくる。

つまり、出し惜しみの無い全力と言うのがうかがえる。

それに対して答えは一つ。

 

「ハアアアアッ!!」

 

めり込んだところから抜け出して気を高める。

そしてその高めた気を天に向かって放出する。

正確に言えば鯨に向かってだ。

 

「ぬぐっ…」

 

大質量故に食い止められる。

さらに徐々にこっちにのしかかるように降りてきている。

じりじりと相手がこちらを押す中、歯を食いしばっていく。

自分の使う気力をさらに高めていく。

 

「……こんな簡単に負けるかよ!!」

 

このまま押しつぶされて終わりにしてたまるか。

そう思うと気力がさらに増していく。

光の柱で天を衝くように鯨を貫く。

そのままピオーネへ俺の気の柱が向かっている。

 

「ハアッハアッ……」

 

気の消費と受け止めた際のダメージは体に残っている。

普通に考えれば放つ方も、息切れを起こすほどの超巨大なエネルギー弾。

ピオーネは降り立って苦々しい顔を浮かべていた。

受け止めていたのだろう、両手から煙を出している。

 

「今のは痛かったわ……」

 

じりじりと接近としてくる。

威圧感で息が詰まりそうになる。

だがそれに対抗するように俺も威圧をする。

 

「こっちのお返しの番よ」

 

こちらの威圧感に僅かに足が止まったがそれでも向かってくる。

こちらも迎え撃つために構える。

目の前から消えていく、これは瞬間移動ではない。

 

「下だ!!」

 

視線から急激に潜り込むことで起こる錯覚。

それを察知して後ろへ下がって視野を変えて捉える。

だがそれで逃すような甘さは微塵もない。

 

「しっ!!」

 

床に手をつきアクロバティックな蹴りを顔面に放ってくる。

それを喰らってたたらを踏む。

すぐさま追撃のアッパー。

 

「ヌン!!」

 

額で受けて威力を相殺。

拳が砕けていないのが凄まじいことの表れだ。

互いに有効打を連続では叩き込めない。

何気ない攻撃にも牽制がまじりあっている。

 

.

.

 

「とんだ道化だな、キキキ」

 

そうキテラが言っているのが僕の耳に届く。

あの二人を罵倒するような物言い。

戦いに対して感嘆の意を示してはいない。

何故、あのような言葉が飛び出すのか。

 

「いい気味だな、ビルス」

 

そう言って僕を見る。

これで確信を得た。

こいつが試合の組み合わせを限定的に操作したことを。

 

「おまえ……自分がどれだけの事をしたのかわかっているのか!!」

 

僕はキテラを殴っていた。

それを見たシャンパが僕を押さえる。

こいつ、かなりの腕力だな、また太った分だけ上がったな。

 

「気持ちがわかるが落ちつけ、兄弟」

 

そう言って僕を落ち着かせようとする。

その言葉が聞こえていたのかピッコロとベジータ。

そして、ジレンまでもがキテラの前にいた。

 

「あの二人の戦いを仕組んだのは重大なルール違反だ」

 

指を鳴らして、ベジータが脅すがどこ吹く風。

ピッコロも重いフードを脱ぎ去っているし、小さな瓶を取り出していた。

ジレンも憤怒の顔を浮かべていた。

 

「証拠は何処にある?」

 

そう言われると弱い。

我々は奴がやったことの証明をすることはできない。

それに参加していないやつにペナルティを背負わせても……

 

「強き者には従うほかないのか?」

 

だがそんな中、サラガドゥラがキテラの手を掴む。

そしてぐっと力を入れてしばらくすると笑みを浮かべる。

この不敵な笑みはすなわち……

 

「魔術の残滓が残っている…黒だな」

 

その言葉を言った瞬間、分かりやすいほどにキテラが青ざめる。

何故ならばイワンやリキール、アラクとジーンの4名の破壊神が睨んでいる。

場合によっては消滅する可能性もあるからだ。

 

「キテラ様に対してはノーペナルティです」

 

大神官様の言葉を聞いて、我が意を得たりと顔色を戻す。

だが次の瞬間、どん底に突き落とすような言葉を聞く。

それは……

 

「全王様にお伝え済みですので」

 

なるほど、それならば我々が口を出す余地はないな。

どうやら、キテラのイカサマは大神官様が打ち消したらしい。

つまりあいつらはイカサマ無しで自分たちを引きあった。

打ち消したことが違和感となったのかもしれない。

 

「この試合が楽しければ不問とするように伝えておりますので、そうなる様にお祈りください」

 

そう言って去っていくのであった。

キテラが喉が張り裂けるかのような大声で応援を始めた。

イワン達も怒りはあれど、仕方なしというように自分たちの席へと戻っていった。

そんな中試合はさらに、激化していっていた。

 

.

.

 

「てりゃあ!!」

 

尻尾で目を打ち、その怯んだ隙に足払い。

足をしっかりと掴んでジャイアントスイング。

流れるように攻撃を仕掛ける。

途切れてはそのわずかな時間の間に立て直しかねない。

 

「くっ!!」

 

投げられても即座に体勢を整えてくる。

それでもこちらは技の照準は外さない。

相手を視界にとらえて倒す事に力を注ぐ。

 

「『コンドル・レイン』!!」

 

雨霰の気弾。

それを片手で弾いていく。

その間に瞬間移動で後ろへ陣取る。

背中から貫くような一撃を見舞う。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

空いている片手で受け止めるが背中まで衝撃が響いていたのだろう。

体がよろめいて息を吐き出す。

そして腰を抱えてバックドロップを放つ。

 

「ぬぐぐ……」

 

粘り切って地面に足をつけて投げられないようにする。

こらえ切ったという事は残っているのは逆襲。

反発力で振りほどかれる。

 

「こっちの番よ」

 

そう言って懐かしい技を見せてくる。

こっちの腕を取って上空へと投げる。

瞬間移動で距離を取ろうとする。

 

「無駄よ」

 

こちらが額に指を置くより速く背後に回り込んでいた。

投げると同時に既に跳躍をしていたのか。

瞬間移動の予備動作を上回ってくるとは……

 

「いくわよ」

 

サーフボードのように俺に乗り自らの足を俺に絡ませる。

腕を取って後ろに回すとその勢いのまま後方へと回転する。

徐々に回転して勢いが増していく。

 

「ぐぐぐ……」

 

力づくで外す事もできない。

強烈な風圧がもがく事も許さない。

回転の勢いで武舞台が近くなっていく。

 

「『リインカーネーション・オブ・ブレイク』!!」

 

受け身を取る事が出来ない技。

轟音が響き、武舞台にさらに罅が入る。

体中に痛みが走って、技が解かれた後に仰向けに転がる。

 

「ぐうぅ…」

 

弩級の一撃。

喰らって立ち上がる際に呻き声が出る。

しかしすぐさま笑みが浮かぶ。

この人と全力で戦えることの喜び。

こんな最高の時間がまだ続く。

そう思うと不思議と力が湧き出るのだった。




キテラ様、暗躍したけど自分の首を絞めただけの件。
ビルス様と仲が悪いから第7宇宙負けさせて恥かかせようとした結果です。
しかし、バレていたので無効化したけど普通に引かれるという。

この戦いは次回、もしくは次々回まで続くかもしれません。

指摘などありましたらお願いいたします。

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