とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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ルタの名前の由来を書いているうちに思いついたので後付けでやってみました。
次回で大会は終了させて、ここからはフィナーレの最終決戦に向けて執筆する予定です。



『大会最終戦』

自分が目覚めたのはイエラとの戦いが終わった時であった。

戦いが終わった以上、治療は可能。

その為、即座に月の光を浴びせてポッドに入れてくれた。

みるみるうちに治っていき、五分も経たない間に治った。

 

「決勝には間に合ったか」

 

結果としては最後の爆発で互いにダメージはあった。

しかし、意識があったルタが決勝へ進出。

そしてバーダックさんとの決勝戦が始まる。

 

神を凌駕する男。

片や伝説。

実力だけならばあいつが上。

しかしそれを覆すのがあの人。

 

「瞬きすらも許されない」

 

俺はそう言って乗り出すように見始めるのだった。

 

.

.

.

 

「ラアッ!!」

 

俺はショルダータックルを放つ。

相手がそれを受け止めてくる。

肩口に食い込ませた指の力。

食い止めた膂力。

この野郎のパワーはそれだけのやり取りでよくわかった。

 

「お前の力はおおよそあのジレンという奴以上だ」

 

それならば速度はどれほどのものなのか?

俺が縦横無尽に動きながら攻撃を放つ。

四方八方からの雨霰の打撃。

 

「はあああっ!!」

 

手の動きだけで払い落しやがった。

反応速度もすごいようだ。

だが……

 

「その腕は貰ったぜ」

 

腕を掴んでへし折っていこうとする。

ミシミシと音を立てながら徐々に曲がっていく。

こいつはナメック星人の為、引きちぎっても再生可能。

だから再生させても歪になる形で残す。

 

「ぬがあああ!!」

 

超サイヤ人4フルパワーの俺に対して、まさか腕の力だけで振り払っていくとはな。

こいつは基礎的な身体能力が高すぎる。

これは厄介極まりない。

特殊な相手なら知識や経験則から幾らか対策を立てられる。

 

「だが正統派となると話はまるで別物」

 

単純な話だがそうなると道は究極的には一つ。

それは相手より強くなるという事だ。

 

「こういう奴の方が好みだ」

 

口角を上げて笑みを形作る。

足に力を込めて相手の顔を見る。

 

「ぜりゃあああ!!」

 

飛び蹴りを顔面に向かって放つ。

それに対して相手が反応をする。

動体視力や反射神経もすさまじいのか。

だがそれゆえの弱点を知らない。

 

「かあっ!!」

 

気弾で軌道を変更。

その動きに対してついていけてない。

理由はとても単純。

 

「優れたが故に反応を速くしてしまう、その後のフェイントへの対応を考慮しないままにな」

 

そのままこめかみに膝蹴りを叩き込む。

その一撃で揺らめく。

無敵の相手と言えどこの隙ならばもろに喰らう。

 

「『ライオットトライデント』!!」

 

三つ矛の気弾が相手の体へ刺さる。

さらに追撃で後ろに回って腰を抱える。

徐々に足が地面から浮いていくと、その拍子に俺が跳躍する。

 

「喰らいな!!」

 

バックドロップで頭から叩きつけに行く。

それに対して相手は腕を伸ばす。

さらに歯を食いしばって力を込めていく。

 

「こんな簡単に……」

 

ブリッジの体勢でこらえられる。

体を回転させてクラッチがきられた。

背中を相手に向ける形となってしまった。

 

「ちっ!!」

 

振り向こうとすると顔を掴んできやがった。

そして力のままに上に放り投げられる。

舞空術をしながら下に射殺すような視線を向ける。

だが、後ろから声が聞こえてきた。

 

「どこを見ている?」

 

背中に肘打ちを受けて地面へ叩きつけられる。

そのままバウンドした時に蹴りを叩き込まれて観客席に飛び込んでいった。

胃の中のもの逆流してくる威力だ。

 

「まあ、サイヤ人相手に強さを誇示するなんざ無駄だけどな」

 

そう言って降り立つ。

じりじりと間合いを詰めていく。

向こうからは来ない。

 

「随分とどっしりとしてやがるな」

 

自分から急いて仕掛けない。

相手が仕掛けてきた時に叩き潰す。

なぜなら、それで勝てるから。

 

「お望み通り、こっちからやってやるよ」

 

一気に懐に飛び込む。

それを見切って膝を合わせてくる。

 

「だぁ!!」

 

頭突きで弾き返す。

頭が割れそうな一撃だが、問題ない。

地面に手をつき倒立するように体制を整えて、蹴りを入れる。

 

「ぐっ!!」

 

僅かに後ろへ下がる。

好機を探り出すのはやめだ。

一気呵成に畳みかける。

 

「『リベリオントリガー』!!」

 

両手で受け止めていく。

それを見て、水面蹴りを放つ。

跳躍でかわした所を低空タックル。

両足を刈ってそのまま体勢を崩させる。

背中を向けた状態ならばこの技が通る。

 

「『ヒートファランクス』!!」

 

ようやく有効な一撃を叩き込む。

背中にさらに肘の一撃を喰らわせる。

 

「ふっ!!」

 

それがどうしたのだ?

そう問いかけるようなキレキレの回し蹴り。

それが顎を打って俺を後退させる。

 

「そう来ねえとつまらねえ…」

 

ぞわぞわと駆け上がる快感。

自分の全力を受け止める相手。

存分に使えると知れば本能が蠢く。

底まで掻き出したはずの力。

湧き出ることの無い泉。

それが再び嵩を増すように、潤いをもたらすように。

 

「まだまだいけるよな!!」

 

拳を互いに打ち付けあう。

砕けそうな衝撃が突き抜けるがお構いなしに頭突きを放つ。

相手はそれを避けて後ろへステップを踏む。

 

「逃がすかよ」

 

頭突きの時に足を踏んでおいた。

このような小技も強くなるのに必要。

自らの土俵に誘い込む立派な策。

 

「ぐっ……」

 

力づくで外そうとするがそれより俺の方が速い。

瞬く間に距離を詰めて腹へ一撃。

腕を交差して防ぐ。

ならば足元がお留守になっているだろう。

 

「オラア!!」

 

ローキックで体勢を崩す。

追撃に頭部へ踵落とし。

顔を横に動かして避けていく。

その頭を両手で掴む。

 

「喰らいな!!」

 

膝蹴りを顔面にめり込ませる。

鼻血を噴き出した相手。

当然、この一撃で終らせはしない。

もう一撃叩き込んで飛ばしていく。

 

「まさか……」

 

相手が呟いている。

ここまで押されるのが予測できなかったか。

これがサイヤ人だ。

お前の戦闘を三度見た。

そうすればその強さを学習して作戦を組める。

 

「戦闘民族サイヤ人をなめるなよ……」

 

そう言ってとどめを刺すために近づいていく。

しかし相手の気が変わっていく。

こちらが踏み出せば踏み出すほどに。

武舞台に罠を仕組んではいないのは把握済み。

では、本気を出そうとしているのか?

 

「悪いが、俺は待ってやるほど甘ちゃんじゃねえ」

 

最初から本気で来い。

相手が常に待ってくれるお人よしじゃねえんだ。

そう思って俺は手刀を振り下ろす。

 

「まさか……名前の『本当の由来』を知らすことになろうとは!!」

 

そう言って噴き出した気が、なんと俺を吹き飛ばす。

宮殿の全てを包み込む膨大な量。

これはあまりにも規格外な強さを感じさせる。

 

.

.

 

「ルタの名前は確かに『ルーター』を由来にさせた」

 

儂は視線をルタに向ける。

かつて、初めて出会った時を思い出す。

純粋な眼で神を見つめていた少年。

 

「思えばあの日に声をかけたのが始まりであった」

 

天使も儂に同調して話していく。

すると出所が全王様が消滅させた宇宙であった。

これは何かの思し召しだと思った。

 

「お前を最強の戦士で信仰者に育てていくと決めた」

 

みるみるうちに強くなっていくお前に儂は喜びを覚えた。

いずれは自分の後を継ぐ存在になってくれる。

しかしその要求を遥かに凌ぐような成長に息を呑んだ。

『青は藍より出でて藍より青し』という言葉が脳裏によぎった。

破壊神である自分に鍛えられながら、自分を超えてゆく存在。

大それた夢をお前の中に見てしまったのだ。

その時の気持ちがどれだけのものだったか。

胸は高鳴り続けていた。

 

それから幾何の時が過ぎた今。

ありとあらゆる強者を圧倒するお前の姿。

あの日抱いた夢は確信へと変わった。

 

「行け、お前は誰よりも強い……」

 

手を前に差し出してルタに声をかける。

それに気づいたルタは手を上げる。

腕を上げた風圧で綿毛にような儂は吹き飛んでいきそうになる。

 

「本来は代替者を冠する『オルタナ』を由来とする、次代の天使よ!!」

 

そして終末を知らしめるように一歩ずつ踏み出していく。

だが解せないのは相手の顔であった。

なぜそのようにしていられる?

実力の差は歴然だ、それは誰にでもわかっている。

そして目の前で退治しているお主はもっと鮮明に感じているはず。

なのになぜ……

 

「そんな満面の笑みを浮かべられるのだ?」

 

そう言って見届けるために試合場にさらなる神経を研ぎ澄ませるのであった。




ルタは破壊神を明確に超えた化け物です。
ジレンじゃないと渡り合えそうにない。
もしくはブロリーのような成長する特性がある伝説サイヤ人やピオーネですね。
『作った神を超える』強さの成長は能力としてはないと言いましたが、自分の素の鍛錬の伸びしろは残ってしまっているという罠。
つまり、あの一戦だけしか今後白星がつかない可能性も十二分にある主人公……

指摘などありましたらお願いします。

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