とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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ガタバルの地球人強化計画第1弾。
その初めの犠牲者、もとい恩恵を受ける男とは?
ちなみに定住の際の家事スキルなどを磨くため戦闘力の伸びが緩ーくなっていきます。


地球定住編
『誇りを取り戻した者』


地球に到着してからはや二週間が過ぎた。

いまだに住む家は決まらず、『ビジネスホテル』とかいうところで寝食をしている。

安いのが売りなようだが寝心地もいいし、出る食事もうまい。

初日に野宿しようとしたら変な服着た人にライトで照らされた。

それ以降、毎日『不動産』とかいう家を教えてくれる場所に行って気に入った家を見つけようとしている。

 

「何か変な気を感じるな……」

 

地球に定住するためにどこかいい住居はないかと探す。

どうやら地球人は空を飛べないみたいで、歩いたり走ったりの移動が多い。

あとは車とかいう奴や自転車、バイクなんていったモノがあった。

実況のおっちゃんから『ホイポイカプセル』って奴を思えてもらって宇宙船をしまっておいた。

その途中で感じた変な気、それはまるで人間だけど人間じゃない。

亜人とも違う奇妙な感じなのだ。

 

「行ってみるか……」

 

その気を探って行ってみる。

段々近寄っているのがわかるが、どうもこの気配は機械か何かを含んだ存在の気配だ。

 

「くそっ、思ったより成果が上がらん」

 

サイボーグという奴だな。

どうやら、体の半分ほどが消し飛んだからそういう形にしたのだろう。

もったいない、俺と出会っていればピタルの先端医療で戻っただろうに。

 

「憎いぞ、孫悟空……こんなみじめな姿にしおって」

 

カカロットにやられたか。

こいつと協力して天下一武闘会までの修行をするか。

100でも200でも上がればそれだけでも十分だ、下がっていたり維持の状態ではないからな。

 

「おい、お前さん、孫悟空に何か恨みがあるのか?」

 

目の前に現れた俺を敵意むき出しの目で見てくる。

どうやら戦う、もしくは殺すつもりのようだが。

 

「そっちの実力じゃあ俺には到底かなわないぞ」

 

今の俺は服装も全力時の状態で抑え込んでいない。

気の大きさでどれほどの力に差があるのかわかるはずだ。

 

「ふざけるな!!」

 

どうやら気を感じ取ることはできなかったようだ。

拳を突き出してくるが掴んでそのまま放り投げる。

 

「このっ!!」

 

もう一度攻撃を仕掛けてくるが次は両手を掴んで攻撃の出来ない状態にする。

それなりに腕に覚えがあるなら今のやり取りでわかっているだろう。

 

「さっきの時点で差に気づかないのか?」

 

もし気づいていないのならわかるようにしないといけない。

一撃で気絶させてやれば嫌でもわかるだろう。

 

「貴様の方こそ油断しすぎだな!!」

 

そんな事を考えていたら相手の腕が抜ける。

機械仕掛けだったのか、しかもシャキンとかいう音まで聞こえた。

何か仕込んでいたのか!?

俺は後ろに跳躍してその一撃をかわした。

 

「武器を使うとは…武道家の誇りはどうしたんだ?」

 

回避した後によく腕の方を見る。

なるほど、刃物を仕込んでいたのか。

追い詰められているとはいえ、それはよくないだろう。

 

「やかましい!!」

 

そう言って外した腕をもう一度取り付ける。

避けられた以上叩き折られてしまうのも考えればそれがいい。

 

「元の体を取り戻して復讐したくないのか?」

 

復讐というよりは再戦する機会を与えるだけの話だけどな。

しかもその機会もこいつの頑張り次第って話だし。

まぁ、そんな提案をしてみる。

この提案を聞いてもその体がいいというならば、無理強いはしないが。

 

「そんな事ができるのか!?」

 

食いついてきた。

やはり武を志す者として己の肉体で戦うのを望んでいるのだろう。

殺し屋としてでなくまだわずかな形とはいえ誇りもあるようだ。

 

「その代わり俺の修行に付き合ってもらう」

 

まずは交換条件を出す。

少なくてもそれなりの技を持っていそうだし、レパートリーが増える。

なにより一人で延々とやっていく間で組手がなければどれほどのものか試せない。

 

「それでいいならば生身の体に戻してもらう、私を連れて行け」

 

随分と即答だな。

まぁ、決断が早ければその分生身に戻る時間が速いからいいことなんだけど。

 

「ところでお前の名前は?」

 

今の今までそう言えば名前を聞いていなかったな。

お前と呼ぶばかりではよくないし聞いておかないと。

 

「私は桃白白、お前は?」

 

地球は珍しい名前が多いな。

まぁ、逆に宇宙側の方が単純なのかもしれないが。

 

「俺の名前はガタバル、じゃあ行くか、宇宙に」

 

そう言って俺は桃白白に頼んで肩に手を置いてもらい、惑星ピタルへ瞬間移動をした。

宇宙船を持っていこうと思ったが、行く惑星が全て人がいるから必要なしという結論になった

ここ以外で今のこいつを生身の人間に戻せる場所なんてないだろう。

 

「地球の外でこんな世界があったとはな……」

 

ピタルの風景を見て桃白白が驚く。

まさか惑星の半分が病院なんて想像もつかないだろう。

 

「さて……診察してもらうからついて来いよ」

 

そう言って病院に入っていった。

できればいい返事が聞けたら御の字だ。

 

「半年ぐらいで終わるかな?」

 

診察してもらう順番になって診察室に入って早々、ピタルの医者に聞いてみる。

ピタルの医者は何の事か理解して桃白白の顔や不完全な部分をじろりと見ている。

流石に脳や無事なところ以外は移植するしかないだろう。

その手術や復元にかかる期間を考えても無茶な申し出だろうか?

 

「馬鹿なことを言うな」

 

やっぱり無理か。

こりゃあ次の天下一武闘会までに強くはできないぞ。

 

「半年『も』かかるわけがないだろう、手術と復元両方合わせて1か月半、なじむのに半月、2ヶ月あれば十分だ」

 

そう言われた瞬間俺はつまずいて転びそうになった。

まさかそれより早く治るという言葉が返ってくるとは思っていなかったからだ。

俺はピタルの医者の凄まじさを目の前で見ながら桃白白の治療の間、俺は地球にいったん戻って不動産屋に行って

都にするか、郊外にするか考えたり部屋の間取りや、家電製品店なるものを見て生活の準備を進めていた。

どうも家電製品店を見ると『カプセルコーポレーション』という名前とロゴをよく見かけた。

有名な企業なのだろう。

 

そしてピタルでの医療で2ヶ月経った頃、そこには完全な生身の男がいた。

やはりピタルの人たちの医療技術はすさまじい。

体に癒着して完全になじんでいるから継ぎ目のようなものも見えないし、目や耳などほかの無くなっていた部分もきちんと存在して不自然な形になっていない。

 

「ふははっ、これだ、この肉体だ!!」

 

軽快な動きで喜びを表す。

機械の体ではうまくできなかったものも悠々とできているのだろう。

生き生きとしている。

 

「恨みを買ったりしていたら、またこうなるぞ、殺し屋はもうやめておきなさい」

 

医者が桃白白に言う。

今回サイボーグになったのも依頼の成り行き上、カカロットとやりあったからだろう。

カタギに戻って真っ当にした方がいいと思うぞ。

 

「殺し屋を廃業しろと?」

 

またここにあれだけの状態で来たらあきれられるぞ。

この人たちは凄腕だが忠告を聞いてくれないやつは治療しないからな。

ここは素直に頷いて殺し屋以外の稼ぎ方を学ばないと。

 

「私は恩人との約束は守る男だ、仕方あるまい」

 

考え込んでいたが、仕方ないと言って頷く。

『殺し屋』桃白白ではなく『武道家』桃白白が生まれた。

さて…次の段階に進むか

俺は宇宙船を使ってある星へ向かう事にした。

 

「この……重さは一体なんだ、ガタバル?」

 

現在惑星オモミーで特訓をしている。

ティビグラと違って部屋に分かれていてそこではクリアした部屋の重力によって次にはいれる部屋のロックが解除されるのだ

俺の状態では現在50倍までしか利用できない。

だがティビグラと違ってここは2倍や3倍と細かい部屋がある。

だからここの3倍重力で鍛えさせるというわけだ。

俺はあの超重力の服装とさらにこの部屋の負荷だ。

インナーと靴ぐらいは外してもよかったんだけどな。

流石にそれをやると先に音を上げたみたいにみられるのでやめておく

 

「今、お前の体重は部屋のせいで3倍ほどだ、一回跳んでみろ」

 

どれほど跳躍できるかで実力の判断ができる。

サイボーグから戻ったばかりだから全然跳べなくても特に問題はない。

 

「ぴょっ!!」

 

うむ、あんまり跳べていない。

だが想像よりは跳んでいるな。

サイボーグをやめて力は下がっただろうが、生身の方が恩恵は受けるからな。

確実に実力は伸びるだろう。

 

「ここで今から半年過ごす」

 

その後は地球に戻って重力に慣れながらの鍛錬だ。

戦闘力としては赤ん坊の時の俺と同じ250ほどを目安にしておこう。

 

「それでも孫悟空にかなうかわからないのか?」

 

あまりにも時間が短いからな。

それにサイボーグ状態での強さにうぬぼれていたようだし、生身の状態は何年ぶりだ?

もっと早ければカカロットを超えるぐらいの強さには仕立て上げられただろう。

地球人のレベルを底上げして俺といい勝負ができるような奴らが増えてくれればそれだけでいい。

 

「まず、なまっている体の錆を落とさないと話にならんだろう」

 

ぐぅの音も出ないほどだと自覚していたのか。

無言でうつむいている。

 

「そうだな、じゃあよろしく頼むぞ」

 

そう言って俺と桃白白との修行が始まる。

とはいっても基礎体力の向上なり、基礎的な訓練をするのが一番の方法である。

元々の強さを取り戻しつつはあったのだが、厳しい環境に身を置いていなかったのでいまいち実感がなかったのだろう。

ここにきて60日目でようやく10倍の状態にも慣れてきていた。

とはいってもリハビリのようななじむような緩やかな動きの範囲だ。

戦闘にはまだまだ程遠い動きでしかない。

 

「うむ、こうしてみると兄の武術にもまだまだ無駄な動きがあるな」

 

そう言いながらタメを作ってその後に体を回して蹴りを放つ。

速く動くだけでなく無駄を削いで相手を効率よく倒す。

殺し屋時代のスタイルと今の武術の融合。

それを完成させてさらなる高みを目指そうとしている。

 

「あと数か月だ、ちゃんと慣れておけよ」

 

俺は俺で新技を考えながらの特訓だ。

相手から盗むだけではいいものが生まれそうにないからな。

 

そんなこんなで4か月が過ぎここでの生活も半年が過ぎた。

リハビリから本格的な動きになってはいるがそろそろ切り上げの時期だ。

戦闘力もサイボーグの状態の時と同じぐらいの実力になった。

体の慣らしが多かったせいで250に到達はしていない。

だがそれは地球での特訓でどうにかなるだろう。

俺の方の戦闘力は12700ほどだ。

 

「『鶴首落葉』!!」

 

人形の首を足で挟み、跳躍。

錐揉み回転をしながら落下する。

新技を開発しているが見るからに威力が高い。

気功波の技よりも卓越している。

 

「『水月柘榴』!!」

 

人形のみぞおちに両拳を撃ち込んで貫き、そこから掌を開いて割くようにする。

殺しの技に近いテイストのようだが、威力を抑えたりして貫かずに打ち込むだけで十分なものになる。

技のレパートリーとしては少なかったが、それでも徒手空拳における技を開発して近接寄りの戦闘スタイルを見せる。

 

「この今の私を天津飯達に見せてやりたいな、やはり武は研鑽すれば技や力を試したくなる、忘れていた久しい感覚だ」

 

完全に殺し屋としての姿はなく、純粋な武道家の血が目覚めている。

自分の成長が楽しいのだろう。

しかし天津飯選手とどういった関係だ?

 

「じゃあ、次の天下一武闘会に出ればいいだろ、俺も出るつもりだからな」

 

地球に戻って4か月特訓をしたら天下一武闘会だ。

それまでに地球の重力に慣れつつ体の切れを戻さないとな。

 

「それはいいな、そこになら孫悟空もいるだろう、借りは返すぞ……武術でな」

 

屈伸をして深呼吸をしてやる気十分だ。

俺もカカロットに借りを返す立場だ。

また本気を出さないように抑えて戦わないとな。

激怒するような状況にはならないだろうから重い服装をやめておこう。

 

「さぁ……お前さんにとっちゃ8か月ぶりの地球だぜ」

 

そう言って俺は桃白白とともに惑星オモミーを後にして地球へと瞬間移動をするのだった。




まさかの桃白白さん更生による戦力入り。
この小説ではきれいな白白さんで居てもらいます。
まぁ、鶴仙人は汚いままでしょうけど。
参加時の戦闘力としては天津飯より若干上で戦闘経験の差で優位に立つといった感じです。

指摘有りましたらお願いします、

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