とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回は天下一武闘会です
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となっている部分は視点変更です。
前半ガタバル、一部悟空、再びガタバル、後半桃白白です


『狼の牙をへし折る時』

 

4か月の間の特訓で桃白白は体のキレを地球の重さと合いまった形にする事ができた。

3倍の重力など負荷が大きい時のままのキレだとどこか重苦しくなってしまっていたり、むやみに捻ってしまっているといった事が起こってしまう。

戦闘力としては何とか250にまでは持って行けたかな?

そうでなくてもいい線まではいくだろう。

 

「さて……そろそろ行くか?」

 

もう会場が開くころだ。

受付を済ませておかないと遅刻で出場不可なんて話にもならない。

 

「そうだな、新しい道着で行くか」

 

そう言って桃白白が着替える。

俺は選択していた動きやすい形の服にした。

 

この4か月で家は決まった。

その中に洗濯機や家電製品を入れて生活をしている。

宇宙為替で換算するとかなりお金の蓄えはあった。

家もそのままお金で一括で払い、なかなか広めの家にした。

場所は西の都から外れた郊外。

山もあるし畑も作れるが、町まで15分から20分ほど。

 

仕事をするならば警察官だったり、それでなければいい笑顔で食べ物屋のお兄さんみたいに声をかける。

色々と選択肢はある。

長い間は働かないでもいい蓄えがあるからといってもいつ何が起こるかわからない。

それならば働いて、万が一の可能性に備えておかないといけない。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

そう言ってお互いが会場まで向かう。

距離はなかなかだが泳いで走って数時間もすれば着くものだ。

結局会場の受付が始まって少ししてからだったのですぐに受け受けをすまして、俺たちはクールダウンをする。

ウォーミングアップも終わっているから十二分に実力が発揮できるな。

 

100人にも満たない参加者。

その理由は3年前のレベルの高さのようだ。

今回も天津飯、餃子、クリリン、カカロット、ヤムチャがいる。

選手とつけていくのは面倒だから省略することにした。

どうやらジャッキー選手は出ていないようだ。

 

「ブロックはお互い分かれたな」

 

くじを引いた結果。

お互いのブロックは分かれる。

戦いたければ本戦トーナメントへ出場しなければいけない。

 

大会が始まると空気は一変。

呼ばれて上がるが今回は3%ぐらいに抑えないとな。

3年前は2%で頭痛によって負けたが今回は頭痛もないからな。

ちなみに若干上がって12800だから1%で128、3%で384ほどだ。

それでも高いかもしれないぞ。

 

「試合、始め!!」

 

言われた瞬間相手の足を掴んでそのまま回転させる。

前に知った『ハンマー投げ』という競技の様にだ。

そしてそのまま目を回した選手を放り投げて場外に落とす。

 

次の対戦相手には『ドロップキック』。

そのまた次の相手には『ラリアット』。

『プロレス』という格闘技の動きをして相手をなぎ倒す。

真剣に武術でやってしまうと昏倒させる際に力加減の調整が面倒になる。

相手を吹っ飛ばす戦い方ならうまくできるからそれでやってみる。

 

そんな事を繰り返していたら代表決定戦にまで勝ち進んでいた。

武舞台に上がるとそこは見たことのある選手がいた。

 

「これはこれは、ヤムチャか……」

 

目の前にいるのは3年前も本戦で見た選手、ヤムチャ。

実力はあるのだから油断は許されない。

 

「実力についてはクリリンから聞いている、本気で来てくれよ」

 

そう言って構える。

100%を出すわけにはいかないんだよ。

この武舞台や会場がボロボロになりかねないからな。

それでもまぁ、相手に対してできる限りは善処しよう。

 

「はぁっ!!」

 

一本拳で鳩尾を狙いに行く。

それを避けるが裏拳で顔面を狙う。

 

「くっ!!」

 

ヤムチャは首を動かして避けるがそんな速度で大丈夫だと思っているのか?

俺は横に振りぬかず斜め上に行くようにして、その後振り下ろす。

フェイントをかけたというわけだ。

 

「ぐあっ!!」

 

一撃を食らって前のめりになっているヤムチャの顔に膝の一撃を見舞う。

すんでのところで後ろに飛ぶが、鼻血が出ていた。

 

「くそっ!!」

 

仕返しという様に飛び上がって攻撃をしてくるが、相手の隙がない状態でそんな技を仕掛けてなんだというんだ?

俺は避けてそのままカウンターで背中に肘を撃ち込んで叩き落す。

 

「ちっ!!」

 

足払いをしようと試みたようだが悠々と避けるように飛び上がる。

その着地を狙っているようだが考えが甘いぞ。

 

「はっ!!」

 

息を爆風の様に吐き出して一瞬ブレーキをかけてそのからぶった攻撃にカウンターを合わせる。

3年前にカカロットがチャパ王という選手にやった手口だ。

 

「ぐふっ…」

 

背中をしたたかに打ち付けてダウンする。

なす事すべて先を読むように手を打つ。

正直この勝負が未来視できたわけではない。

しかし実力差でこんなことができるのだ。

 

「なんてことだ、まるで俺が子ども扱いじゃないか……」

 

それ以上の差に感じてもいいんだけどな。

なんだか掌を上に向けて唸っている。

一体何をするつもりだ?

 

「とっておきの技だ!!」

 

気を集中させて丸い球にする。

それを投げつけるのか、それじゃあ避けられておしまいだぞ?

 

「『繰気弾』!!」

 

投げてきたのを避ける。

しかしホーミング型のようで追いかけてくる。

だが仕組みはヤムチャの手動。

だったらヤムチャの腕と指をへし折ればいいのだが、そんなことはしなくてもいい。

 

「何っ!?」

 

立ち止まった状態になれば即狙うとはな。

向かってきた気弾を掴んで握りつぶす。

この系統の技は回避し続けても意味がない。

相殺するなりしておいて無力化するのが一番だ。

 

「今度はこっちの番だ!!」

 

そう言って俺は『狼牙風風拳』で攻撃を始める。

前回の倍以上の速度で手数を多くして反撃できないようにする。

受け止めてはいるが掠ったり体に幾らか攻撃が入っている。

 

「まさか、俺の技を使ってくるとはな……」

 

反撃を試みようとしているが時折テンポを変えてその隙を与えない。

相手にペースを渡さず、自分の戦い方を貫くのが勝利への近道だ。

さて、どうする?

 

「同じ技なんだ、弱点は分かっているぜ!!」

 

むしろそれは弱点を改善する気がないという事ではないのか?

弱点は足元。

だが見え見えのそれは唯の罠だ、これに食いついたら勝負が決まる。

しかしその機微に気づかないヤムチャは俺の足元を狙おうと足を動かす。

 

「てぇい!!」

 

足を狙ってきたヤムチャに対してブレーキをかける事で蹴りの空振りをさせる。

その無防備な状態から懐へ入り込んで肘を食らわせる。

そこから再び『狼牙風風拳』を放つ。

本気で来いといったからな。

といっても100%なんてものは出していない。

あくまで前回の自分より強いようにふるまっている。

延々と続く攻撃に完全に伸びてしまったヤムチャの胸倉をつかんで放り投げる。

緩やかな放物線を描いて場外へヤムチャは背中をつけた。

 

「場外、選手番号27番、天下一武闘会進出決定です!!」

 

これで俺も8人の中に入った。

あとは桃白白だが、どうやら奴も餃子に勝ってそのまま本選出場を決めたようだ。

 

「ヤムチャが負けた……」

 

カカロットの奴が驚いていた。

一方的な試合内容だったからか?

それとも俺の事を忘れていて全く無名の選手に負けたと思っているのか?

 

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ヤムチャの奴が見たことねぇ奴に負けていた。

いや、どこかで見たことあんだけどおもいだせねぇ。

ヤムチャの技が全然きいてなかったし、ヤムチャの技で倒していた。

さっきは桃白白の奴が餃子を倒していたし、だれかわかんねぇ奴にいきなり『バカ』って言われた。

 

「ワクワクすっぞ」

 

つえぇ奴と戦える。

ピッコロ大魔王の生まれ変わりもいるしな。

試合が待ち遠しいぞ。

オラは肩を回して最後の代表が決まるところを見に行った。

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カカロットの奴が去って行ってしばらくすると代表選手が決まったといわれた。

本戦会場に移動をする。

くじ引きで1から8の数字に応じて対戦相手が決まる。

 

「ガタバルさん」

 

実況のおっちゃんに呼ばれる。

するとカカロットが思い出したような顔をする。

こいつ、忘れていた方か。

天津飯やクリリンも見ている。

ナメック星人もいるがあれが悪に分かれているかもしれないやつか。

善の方がいたらそっちにも声をかけようと思ったんだが。

 

「5番だ」

 

クリリンと戦う事になった。

勝ったら、ナメック星人の奴と戦う可能性があるな。

そんな事を考えていたら、桃白白と天津飯の試合が始まった。

 

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「さて、やるぞ……天津飯」

 

稽古ではなく実戦での比べあい。

果たしていつぶりだろうか?

サイボーグの状態になってからはあっていないから実に6年ぶりだ。

成長をみせてもらうぞ!!

 

「はあっ!!」

 

私は気合の一声とともに駆けて行った。

 

「しっ!!」

 

天津飯は横滑りに動き、俺の首筋を叩こうとする。

しかしその攻撃はすり抜けていった。

残念だったな、お前が視認していたのは残像だったのだ。

気配を出して接近をする。

その気配を感じて後ろを振り向くがそれもまた残像。

再び探ろうとした瞬間、腹部に拳をめりこませた。

 

「相変わらず目に頼りすぎだな」

 

目で追わず、気配に騙されることなく攻撃を待っておけばこのようなことにもなるまい。

しかし、筋肉はつけていたようで今の攻撃はそれほど効いておらんかったか。

 

「はっ!!」

 

攻撃を気合とともに放ってくる。

その攻撃を避けようとすると、頭に手をかざしていた。

 

「『太陽拳』!!」

 

しまった!!

目くらましをされてしまうとは不覚。

気配を感じ取れるが上空だ。

まさかあいつ……

 

「『どどん波』!!」

 

よかった。

もし『気功砲』だったら回避もできない状態で食らう羽目になっていた。

転がってあたっても問題がないように回避をする。

視力が戻るまではなりふり構わずに時間を稼がんとな。

 

「白白さん、棄権してください」

 

みっともなく避けている俺にでも嫌気がさしたか?

私に対して天津飯は棄権しろなどと言ってきた。

普通に考えたらあんなに眩しいものを食らって平然とはしてはおれん。

まだ、お互いが全力になっていないだろう。

お前の本気を見せてみるがいい、天津飯。

 

「そっちが棄権するべきだぞ、天津飯!!」

 

全力の動きで天津飯の懐に潜り込む。

離れようとするがそれより速く鳩尾にひねりを加えた両拳を入れていた。

新技である『水月柘榴』が決まった。

 

「がっ……」

 

呻いて前のめりになるがそれをしてしまうと、こっちの攻撃が続いて入るだけだ。

私は天津飯の首に両足をかけて跳躍をする。

そのまま錐揉み回転で地面に叩きつけようとする。

しかしさすがは天津飯、すぐに対策を打ってきた。

 

「『四妖拳』!!」

 

肩口から新しい腕を出して私の足を振りほどく。

そして一撃を食らわずに別地点に着地をした。

 

「ハアッ……」

 

息が上がってしまう。

今度はスタミナをつけるべきだな。

年を取ると激しい動きや緊張感は体力を著しく奪う。

 

「先ほどは失礼しました、まだこれだけの動きをするとは」

 

天津飯が詫びてくる。

分かればいいのだ。

サングラスでもかけていればあの技には対応できた。

あんなに転がって避けるような必要なんて微塵もなかっただろう。

 

「しかし、負けるわけにはいきません」

 

そう言うと天津飯が目の前から消えた。

気配は左右にあるから地面を左右交互に蹴りながら近づいているのか。

目の前に現れるまで待たない。

もぐらたたきのようにどちらかに現れる天津飯をタイミングを見計らって狙えばいい。

 

「そっちだ!!」

 

左を叩きに行く、しかし拳が通り過ぎた。

右が正解だったか!!

 

「裏です、白白さん!!」

 

そう言って右から蹴ってくる天津飯。

私はにやりと笑っていた、なぜかと言えば……

 

「なっ!?」

 

天津飯の蹴りも通りすぎたからだ。

私の裏をかいたつもりだったようだが裏の裏だ。

年上の私に騙しあいで勝てるとでも思ったか?

 

「私の方が一枚上手だったようだな!!」

 

手刀で首筋を狙い気絶させようとする。

しかし再び天津飯の体を通りすぎた。

まさか……

 

「裏の裏のそのまた裏です!!」

 

そう言われて蹴り飛ばされる。

くそっ、こいつどれだけ残像を作ったんだ!!

 

「やるではないか」

 

食らっているのになぜか嬉しくなる。

弟弟子が一杯食わせるとは。

 

「そちらこそ……」

 

天津飯も笑っている。

これこそが武道だ。

久しぶりに殺し屋として活動したために枯れていた細胞が一つずつ蘇ってくる。

やはりいくら殺しの技を磨いても心底はそれだったというわけだ。

こうしてみると思ってしまう。

真っ当に極めておけばよかったと。

私はなんと無駄な時間を過ごしたんだと。

 

「行くぞ、天津飯、私を超えて見せろ!!」

 

そう言って駆けていく。

徒手空拳を最後に選んだ。

やはり武道家であるならば最後に肉体でのぶつかり合いを選んでもいい。

 

「うぉおおお!!」

 

私の怒涛の連撃をさばき続ける天津飯。

蹴りも拳もすべてが急所を狙っている。

一瞬でも喰らってしまえば攻撃は縦続けに入るだろう。

そしてそれだけ急所の攻撃を食らえばノックアウトは免れない。

だが、私のスタミナ全てをかけて放つ連撃。

その名も……

 

「『鶴翼の舞』!!」

 

これを耐えきれば私の負けだ。

体力は欠片も残らないだろう。

軽く押すだけで倒れ込んでしまう。

数にして百を超える超高速連打にカウンター一つ合わせられない天津飯。

何をやっているんだ、次世代を担うのだぞ!?

さっきの超えて見せろは『超えさせない』ための意思表示ではない。

本当に私を超えて、私より若いお前がさらに武道家として飛躍してほしい気持ちから出た言葉だ。

 

「ぬぉおおおお!!」

 

打たれ続けながらも拳を突き出してきた天津飯。

そうだ、そうやって気迫を見せろ。

隙あらば叩き込んで来い。

 

「しっ!!」

 

蹴りでカウンターを試みる天津飯。

私の連打を一瞬薙ぎ払ったがそれではまだまだ体までは届かんぞ。

 

「『四妖拳』!!」

 

薙ぎ払った隙に腕を増やしたか。

確かに手数を拮抗させるにはいい判断だ。

 

「ぐぬっ!!」

 

体を二本の腕で守りながら違う二本の腕でカウンターを狙う。

しかし思ったより成功はしない。

だが私もさっきに比べて体に打ち込めなくなっていた。

 

「こうなったら……」

 

そういった瞬間、天津飯は防御を解いた。

一体何をしている!?

無抵抗な状態ではないか、そんな状態でこの連打を食らうと死ぬぞ!

防御を寸前で固める気も全くない。

 

「くっ!?」

 

殺してしまうと思った私は一瞬とはいえ速度を緩めてしまった。

その瞬間、天津飯の拳が私の腹部にめり込んでいた。

私は思わず膝をついてしまう。

 

「すみません、食らってでもカウンターを打つつもりだったのですが……」

 

肉を切らせて骨を断つやり方か。

無茶な真似を。

武道家としての私だったからいいものを、殺し屋の血が濃い状態ならば心臓に打ち込んだり貫いていたぞ。

 

「まさか今の私が殺し屋ではないからという理由であんな真似をしたんじゃないだろうな?」

 

念のため聞いてみる。

もしこれで頷いたら大馬鹿者だ。

相手が寸前で心変わりするかもしれない、そんな中で信用をするものではないぞ。

 

「そんなつもりはありませんが、真っ当にカウンターを取るにも難しかったので差し違える覚悟でやる気でしたので……」

 

そうか。

まぁ、それも若さであると認めよう。

もう、私の体力はろくに残っていない。

これ以上やっても無様にすがるような戦いを続けるだけだ。

 

「参った、私の負けだ」

 

降参の一言を述べる。

天津飯が驚いた顔をしているが、仕方あるまい。

 

「桃白白選手、降参!!、この試合天津飯選手の勝利!!」

 

実況の者が勝者の名乗りをする。

その時になってようやく天津飯が口を開いた。

 

「どうしてなんです、どうして降参をするんですか!?」

 

まったく棄権しろと言ったり、なんで棄権するんだと言ったり忙しい奴だな。

 

「年には勝てないんだ、あれ以上やってもお前が勝つ、次の試合もがんばれ、応援しているぞ」

 

そう言って控室に戻って、戦いによって熱くなっていたと息を大きく吐き出したのだった。

 




神様かヤムチャのいずれか落とす場合となってヤムチャにしました。
今回、桃白白は原作よりもかっこいい負け方という事でああいった書き方になっています。
亀仙人みたいに天津飯の成長に喜んで、武舞台から飛び降りて場外とかやったら、天津飯が2大会連続同じ勝利の譲られ方になるので没にしました。

指摘有りましたらお願いします。

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