タグにもあるようにこの小説には少しキャラの強化が含まれます。
『プロローグ』
これは惑星ベジータがまだ存在する時代の話。
サイヤ人のある一族の子供が生まれた時から始まる。
その一族の名前は『ブラーナ一族』という。
彼らは代々『ある重要な立場』を担う一族であった。
「戦闘力が300もないとは……一族の面汚しだな」
父である『ラブカ』が赤ん坊の戦闘力を計測していった発言である。
赤ん坊の名前は『ガタバル』。
ラブーナ一族の次男である。
因みに兄である『カエンサ』は生まれながらに340を計測。
そして父である『ラブカ』は420を計測していたという記録が一族の書物に残っている。
ガタバル自体の戦闘力は初めから『140』を計測。
この数値は並のサイヤ人に比べても上である。
有る惑星においての達人と比べても遜色ないほどだ。
しかしそこは戦闘民族の水準。
自分の生まれた時の半分の力もない息子を見て、ラブカは父親としては言うべきでない暴言を吐いていた。
その言葉が後に後悔する出来事の引き金になる事も知らずに…。
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そしてガタバルに対して父であるラブカは生まれてから苛烈なまでの訓練を課した。
訓練をさせることで弱い戦闘力の強化をしようと目論んでいた。
兄に比べて倍以上のノルマやスパルタ行為。
吐こうと倒れようと水をかけられて続行を余儀なくされる。
しかしサイヤ人の特性である『致命傷からの復活に戦闘力の上昇』を満たすことはできない。
その為、劇的な上昇は起こる事は無い。
さらに肉体の悲鳴を考慮していないメニューとなっていた。
それによるオーバーワークで筋肉は傷つき、毎日のように断裂を繰り返してしまう。
治す事もせずに行っていたので、筋肉などはほとんどつかずにいた。
そんな状態では才能がある兄との間は開いていくばかりだった。
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無茶苦茶な鍛錬が続いて年月がたったある日のこと。
今、ガタバルは古い旧型の宇宙船の中にいた。
サイヤ人たちはオタオタとしながら動き回っている。
どうやら何か抵抗する動きがあるようだ。
ラブカは避難の意味合いでガタバルを宇宙船に入れたわけではない。
『役立たず』と言って『こんな子供はどこか辺境の星で死ねばいい』という一族からの除籍であった。
兄であるカエンサは惑星を攻め込んでいるから逃れている。
そして、自分たちには避難する術があったのだろう。
しかし、その行為はガタバルに大きな憧れを抱かせてしまう。
その人の様になりたいと努力をし、後々戦闘力が劇的に上がる要因となった。
『下級戦士』でありながら、ただ一人向かっていった勇敢なサイヤ人『バーダック』の背中を見る。
そして、そのままある惑星へと彼は飛んでいく。
フリーザの綺麗な花火と称した一撃によって惑星ベジータは崩壊。
ガタバルの母星は宇宙の塵へと姿を変えてしまった。
この時、ガタバルはまだ4歳であった。
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そして宇宙船が辿りついた星の名は……
「ここが惑星ズン、重力が10倍なのは惑星ベジータと変わらないな」
俺は足で地面を踏みしめて重力を把握する。
母星に比べて体は軽くなかったし、重さで苦しいような感覚もなかった。
だからきっと自分たちの元々の星と変わらないのだと思った。
これからは星を放浪しながら己を高めていかなければいかない。
4歳でサバイバルとは何とも無謀な事だろうか。
死ぬ可能性の方が生き残る可能性よりもはるかに高い。
「まずは拠点にできる星や設備の調節が必要だな」
宇宙船の性能が悪いわけではないが、まずは宇宙船を快適なものに変えたい。
特にほしいのはメディカルポットだ。
これから先、怪我をしたのに治せないなんていう状態はない方がいい。
「確か色々な惑星には特殊な力を持った種族がいるとも聞いた…」
家にあった本を読んでいた時に、ヤードラット星人、カナッサ星人、メタモル星人などの記述があった。
それらの種族は特殊な力に目覚めているものが多く、すごい力を持っている人々なのだ。
自分の戦闘力の向上以外にもそういった手札なりはたくさん持っておいた方がいいものだ。
まずはこれからの目的を定める。
今のところは環境が良く似ている事もある惑星ズンを拠点とする。
そしてヤードラット星、もしくは惑星ピタルの座標を知る人物を探す。
特殊な力に優れたヤードラットの人が知る技にはきっと今後の生活が楽になるものがあるはずだ。
そして宇宙で一番医療が発達しているという噂が有る惑星ピタルに行く。
そこで頼み込めばメディカルポットの作成は可能だろう。
俺はあては無いが目的をしっかり持って、惑星ズンを動き回るのだった。
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ヤードラット星の座標は街中で人を呼び止めると、調べ物ができる場所を教えて貰えた。
そこに入ると星の座標だけでなく区域まで書かれている。
古い情報かもしれないがこれで大雑把な道筋で行くようなことはなくなるだろう。
寝床については4歳の自分が金稼ぎなどできるわけもない。
その為、木の上で過ごすなど近くの山で野宿や獣をとって食べていた。
獣の爪などで傷ついたらそこらへんの草をすりつぶしてペタペタと塗り付ける。
こんなものは気休めだがやらない事に比べればましというものだ。
数日後、座標を宇宙船に打ちこんで設定を行ってヤードラットへ向かう。
睡眠装置は使わずに体を動かしておく。
体が鈍ってしまう可能性も十分に考えられるからな。
惑星ズンに関しては帰って来れるように、出発前に登録をしておいた。
「あの人のように強くて勇気のあるサイヤ人になるんだ、絶対に……!!」
これから待ち受けるであろう困難。
辛いであろう鍛錬。
死ぬかもしれない激闘。
そういったものを何もかも跳ね返してやる。
あの日見た憧れに近づくためにも俺は心に強く刻み込んで拳を握るのであった。
ちょっと短めに致しました。
4歳でサバイバルは原作の悟飯と同じですね。
これからもこの小説をいていきますが、何か誤字だったり、矛盾など指摘がありましたらお願いいたします。
※惑星ズン『原作では魔神ブウ編の登場人物であるプイプイの故郷』
※惑星ピタル『GTで登場 医療が発達した科学と自然の惑星』
※ヤードラット星『原作では人造人間編の前の悟空の帰還時に瞬間移動を教えた民族と惑星として登場』
惑星などについては今後も後書きで書きます。
※主人公や一族の名前の由来
ブラーナ『アブラナ』
父:ラブカ『カブラの逆読み』
母:ルビコラ『コールラビのアナグラム』
兄:カエンサ『食用ビートの呼び方の『カエンサイ』』
主人公:ガタバル『ルタバガのアナグラム』