とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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今回は天下一武闘会から今後についての修行の話し合いといったような話です。
よく考えるとなかなかに濃い3ショット。
女顔サイヤ人、体色緑で2mの巨人、中華服着て柱に飛び乗る老人。


『血肉無くして沸き踊る事は無い』

あの天下一武闘会から半年。

 

「ふんっ!!」

 

ピッコロの奴があの試合が納得いかないという理由でほとんど3日に一回のペースで勝負を挑んでくる。

段々強くはなっているようだがまだまだ俺の10%には至らない。

 

「よいしょ」

 

突っ込んで攻撃してくるが追い詰められると荒っぽい動きになるな。

後ろに回って首筋に手刀を叩き込んで気絶させる。

 

「相変わらず鮮やかなものだな……」

 

いつの間にか桃白白がいる。

こいつもあれから重りを増量して高負荷なトレーニングを続けているようだ。

 

「仕事はどうした、見つかったか?」

 

俺たちは仕事を探したり、家事にいそしむ日々を過ごしていた。

俺は俺で何とか仕事を見つける事が出来た。

あの天下一武闘会でピッコロに対して圧倒的だったのと、わざと負けたことから強さが周知に知れ渡っている。

そこで国王直々に防衛軍への所属を言い渡された。

初めは一番下から始めさせてもらうように頼み込んだ。

国王は強いのだからそれなりのポストを渡そうとしたようだが。

 

「西の都のバーで用心棒として雇ってもらえた、場合によってはバーテンダーの仕事も任せてもらえるらしい」

 

お互いが真っ当な職業に着いたというわけだ。

先立つものがないといけないし、日常からあまりにも逸脱すると定住している手前、問題が発生する。

市役所なるものに戸籍を取得とかで手間取ったからな。

そういった一般的な地球の常識がほとんどない状態からのスタートだから、町ゆく人を観察したりして、模範的な行動をしている人間の行動を真似ている。

 

「お前ら、苦労するな……」

 

お前は山に住んでいるからな。

しかもお前、もともと神様の半分だし、大魔王の分身だから一般常識とか生まれた直後から知ってるから人里降りてもOKだろうが。

 

「しかし今の私たちの実力を試せる機会がないな……」

 

3人で組手をするもピッコロたちが拮抗していくだけで、俺には手も足も出ない。

そのせいでどれほどのものか理解ができないのだ。

 

「天津飯やクリリンも呼んでみるか?」

 

もしくはオモミーに3人で行って鍛錬してみるか。

確か向こうには組手ロボットもあったはずだ。

ただし上限がそのクリアした人間によってかわるが。

 

「やつらを呼んで大所帯になってしまえば効率は悪い、やめておけ」

 

ピッコロが言う事も一理ある。

だが、俺たち3人が強いだけでは相手が多ければどうするかという話だ、

 

「まず私が強くなれば天津飯と餃子の面倒は見れる、その後にクリリンとヤムチャを連れてきたらいい」

 

確かに一人一人が誰かを担当すればいい。

しかしこの流れである疑問が出てきた。

 

「待て、ピッコロが誰かを受け持つ事は無いのか?」

 

たぶんこの話の流れとしては、俺がクリリンとヤムチャをみるだろう。

そうなるとピッコロは一人でやることになる。

 

「こいつは自己研鑽をしてもらった方が強くなる」

 

まぁ、今まで俺たちと出会ってない間は一人でやっているからな、納得。

ピッコロは個人でやるという方向性でいいことにしよう。

俺との組手など実力が近しいもしくは上のものとしかやらないという事だ。

 

「俺もわざわざ教えてやれることがあるとは思えん、あいつらはああ見えても基礎はしっかりしているからな」

 

つまり基礎もできていない未熟者ならばまだ教えてもいいという事だろうか?

そんな奴はそうそういないとは思うがな。

 

「さて……念のため宇宙船をホイポイカプセルに入れたまま行くぞ」

 

俺が死んだら帰れず宇宙の藻屑になるのでそうならないように宇宙船を持ったままオモミーまで瞬間移動。

半年の間にエントランスができて地球でいうホテルのようになっている。

流石に簡素な状態すぎたよね。

 

「何名様のご利用ですか?」

 

受付の人が言う。

えっと……

 

「大人一名、シニア一名、小児一名で」

 

年齢で分けると俺が22で桃白白が100歳を超えている、ピッコロなんて4歳だ。

大人3名の区切りにはできずに告げると……

 

「わざわざ区分けせんでもいいだろうが…」

 

ピッコロが肩に手を置いている。

ちょっと怒っているみたいだが。

 

「だって、お前の年齢と桃白白の年齢はごまかせないだろ」

 

年齢ごまかそうにも計算上はどう考えても小児の部類だろう。

するとピッコロは声を荒げて言い放つ。

 

「受付も誰が小児かわかってなかっただろうが!!」

 

あぁ、それもそうか。

すまん、今度からは大人3名で統一しておく。

 

「強さを測りたいのだが……」

 

俺たちを無視して桃白白が受付の人に言う。

測定器を渡してくれたようだが、スカウターとは違う形状のようだ。

 

「こちらに手をかざして力を発揮してくだされば測定できます」

 

そう言われて桃白白が一番に測定を始める。

あの優勝した時のカカロットが400あるかどうかだが、どうだ?

 

「389か」

 

かなり高くなったな、体を苛め抜いているようだ。

重りをつけているのと俺との組手も手伝っているのかもしれないが。

 

「482だな」

 

ピッコロの測定値も高い。

今は新婚生活真っただ中のカカロットを超えているだろう。

あいつ、元気でやっているかなぁ……

 

そして俺の測定。

見る見るうちに数値が跳ね上がり、10000を超えたあたりで……

 

「あの、Eって出たんですけど……」

 

測定不能という事か?

ちょっとそいつは困るな。

 

「すみません、そちら上限1万までで……こちらでお願いします」

 

そう言われて差し出された機会に手をかざして力を発揮する

すると瞬く間にケタ数が5ケタに到達して……

 

「13008か、伸びてないな」

 

二人ともあんぐりと口を開けていた。

そんなに驚くことだったか?

 

「お前、本当にどれだけ手加減していたんだ……」

 

ピッコロが気になっているのか、聞いてくる。

これはごまかさずにすべて正直に言った方がいいだろう。

 

「最後のあの拳以外5から10ぐらいに刻んでいた」

「今やっているあの組手は?」

 

次は桃白白が聞いてくる。

今やっている組手の方は……

 

「5だな、5でも650だからいい感じだろう?」

 

10でも多いぐらいだ。

100なんて出したら、運が悪ければ死んでしまうだろう。

二人ともため息をついているが鍛錬する前からへこんでいたら効率悪いぞ。

 

「さて……今日は何倍で行くかな」

 

3倍の部屋に行くか。

組手ロボットは借りてもいいがある程度自己責任という事のようだ。

まぁ、うぬぼれた奴が上限いっぱいとかしたら死人が出るからね。

 

「さて……近い状態から20ほど上にして」

「俺は30にしてみるか」

 

桃白白とピッコロは同じ部屋で組手をする。

二人とも圧倒的な差での組み手にしていないあたり心得ている。

 

「俺は別の部屋に行くからな、何かあったら言ってくれ」

 

「10倍で、組手ロボの上限確認と……」

 

「100000か……うん、せめて20000にしてみるか」

 

うぬぼれではなく、きっとピオーネならば次に会ったときはこれぐらい強くなっているだろう。

向かい合って数秒後、戦いが始まった。

 

「ピーガガー、ピー」

 

機械音が凄い。

速いのは速いのだが……

 

「そんなでかい足音立てて近づいたら流石にバレバレじゃあ!!」

 

カウンターで一撃を叩き込む。

機械ではあるがそう言った一撃のダメージは再現されるようだ。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

追撃の一撃で壁にめり込ませる。

そのまま畳みかけていくように蹴りを頭部に放つ。

 

「ピッピー!!」

 

カウンターだが……

その腕を取って、バックドロップを決める。

するとしんと静まり機能を停止した。

壊れたのではなくノックアウトの判定という事だろう。

 

「こんなんだったら、参考ならないじゃねえか!!」

 

絶対これ古い型だよ。

20000でのピオーネならもっと鋭い攻撃するし、不要に壁にめりこまない。

絶対あの壁を蹴ってからカウンター喰らわせてくる。

 

「アンドロイド型がありますが……」

 

あれより新しい型がないか聞いてみる。

すると最新型の人間タイプがあったみたいだ。

 

「そいつでお願いします」

 

しかしなぜか受付に注意をされる。

どうも半年前に1週間ほど滞在したもののデータを反映させているらしく、このアンドロイド型は異様なほど強くプログラムをされているようなのだ。

 

「さて……20000にしてと」

 

アンドロイド型の強さを設定して開始ボタンを押す。

すると見覚えのある構えをしていく。

やっぱりいろいろな所にいって鍛錬していたか……

 

「ピオーネそっくりの動きができるアンドロイドってわけか!!」

 

さっきの旧式よりはるかに速く性能の差がすさまじい。

あれ、どれだけ古かったんだよ。

 

「はっ!!」

 

後ろに回り込んでいた一撃を受け止めて投げる。

壁にぶつけるとかではない。

距離を取るためにやったことだ。

 

「しゃあ!!」

 

地球で学んだ格闘術。

ブラジリアン柔術という奴だ。

相手に高速でタックルを仕掛けて、体勢を崩していく。

その後にイヤーカップや相手が亀のような体勢をとるまで苛烈な攻めを続けて絞め落とす。

理にかなったすさまじい格闘術だ。

 

「ピガッ!!」

 

しかしその高速タックルをする顔面をめがけて蹴りが飛んでくる。

こいつ、センサーに頼って対応しやがったな!!

 

「くっ!!」

 

避けたと思ったらすさまじい風圧を感じる。

どうやらジェット噴射による超高速移動をしているようだ。

さっきとは違い一瞬の間に音がするだけで見分けにくい。

 

「瞬間移動は搭載していないが、その分体術に振り分けていやがるから、強さの設定以上に内部では高い計算なんだ……」

 

連打を必死にさばきながら相手の攻撃を分析する。

しかしこれはあくまで機械。

徐々に本来のピオーネの動きとはかけ離れていく。

 

攻撃にフェイントがなく高速連打。

それでは俺の目が慣れてしまえば意味がない。

気功波がうてないとしても距離や間合いの取り方ができていない。

この距離ならある程度セーフティだろうという予測の間合いだ。

 

「センサー頼りじゃあ……」

 

最高速で接近した次の瞬間にバックステップ、再度接近。

距離からの算出になるため一度近接から遠ざかって見失ってしまうようになる。

そして、そのタイムラグに最接近をしたら感知されずに懐まで接近できる。

 

「もうお終いだ!!」

 

技を延々と叩き込んで相手の反撃を起こさないようにしてノックアウトによる機能停止に追い込む。

ため息をついて思う事、それは……

 

「やっぱりピオーネ本人じゃないと楽しくないぜ」

 

機械よりも生身の相手と戦ってきた。

機械では人の気配がないし、そういった相手を騙すという様なこともない。

駆け引きがなく戦闘力指標だけの機械ならば悪いが、隔絶されたような次元でもないと組手にはならない。

 

「50倍部屋で体苛め抜いた方が効率はいいな……」

 

そう呟いて組手ロボットを返却する。

ちょうどピッコロたちもいたがどうやらこの鍛錬で一日で戦闘力が5も上がったらしい。

さて……俺は?

 

「13010……鍛錬部屋変えてみるかな」

 

全然上がっていない現状にため息をついて今日のところは地球に帰るのだった。




ちなみに空気の薄さとかではなく重力だけなので、高負荷でもない限りは
神様のところでも悪くはない。

指摘などありましたらお願いします。

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