とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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ラディッツと悟空の再会。
そして突如訪れる悲劇。
果たしてラディッツの後ろの宇宙船に乗っていた奴の正体とは?


サイヤ人襲来編
『サイヤの価値は』


オラは今亀仙人のじっちゃんの家に向かっている。

腕には息子の悟飯を抱いたままだ。

舞空術じゃなくて筋斗雲を使うのは振り落とされねぇためだ。

相変わらず筋斗雲は速い。

家からちょっと時間が経っただけで海の方まで来た。

でも、一つ恐ろしいことが起こっている。

後ろの毛がむずむずする。

なんかとんでもねぇ気配が徐々に近づいている気がする。

 

「ガタバルやピッコロじゃねぇし……誰だ?」

 

オラの知り合いにはこれだけの気をめちゃくちゃに出してまで近寄る奴はいねぇ。

ピッコロだってわざわざ来るならばわからねぇように来るだろう。

 

そんな事を考えているとじっちゃんのところが見えてくる。

最近は爺ちゃんもじっちゃんとよく話したりしているみてぇだ。

でも悟飯の事は言ってくれてねぇみてぇで安心したぞ。

 

「悟飯、あれが亀仙人様の家だぞ」

 

そう言って降り立とうとしたのと同時に、砂を巻き上げて一人の人間が着陸してきた。

さっきから感じてた気の正体だ。

 

「久しぶりだな、カカロット……」

 

尻尾を見せながら変なことを言ってくる。

オラは孫悟空だ、カカ何とかちゅう名前じゃねぇぞ。

 

「どうしたんじゃ、悟空?」

 

亀仙人のじっちゃんとクリリン、ブルマが出てきた。

相変わらずだな。

でも、クリリン、おめぇまだじっちゃんの所にいたんか?

 

「カカロットの家ではなかったのか、それと抱いている子供はなんだ?」

 

分からねぇ奴がなんか言ってくる。

でも、ここに来たのは悟飯をみんなに見せるためだった、すっかり忘れていたぞ

 

「オラとチチの子供だ、名前はじっちゃんと同じ孫悟飯っていうんだけどな」

「はっ、初めまして……」

 

そう言ったらみんな驚いてた。

クリリン、じっちゃん、ブルマだけじゃなくて髪の長い奴もだ。

一体、こいつはオラとどういった関係なんだ?

 

「あの、おじさんは誰ですか?」

 

悟飯が話しかける。

おい、危なかったらどうするんだ、気ぃつけねぇと

 

「まぁ、確かにおじさんだな、血縁上の」

 

そう言った瞬間、またみんなが驚く。

今、そんなにすげぇこと言ったんか?

 

「自己紹介が遅れたな、俺の名前はラディッツ

生まれは惑星ベジータで種族はサイヤ人、お前らでいうところの宇宙人だ

そして俺とカカロット、いや……悟空の方が分かりやすいな

悟空との関係は兄弟だ、俺が兄にあたる」

 

兄ちゃん!?

オラに兄ちゃんがいたんか?

 

「どうやら思い出せていないあたり、昔に頭を強く打ったな、それに後ろから追いかけていた時に尻尾がなかったがどうした?」

 

なんでそんな事までわかんだ?

確かにオラはうんとちいせぇころに打った、その傷は今でも残っている。

尻尾については神様が切ってくれたことを正直に言った。

するとため息をついていた。

 

「サイヤ人の潜在能力の源が尻尾だというのに……まぁ、体の中に内在するかもしれんと前向きに考えておくか」

 

そう言えば一体どういった用で来たんだ?

気になるな。

 

「俺たちは惑星を他の異星人に売りつける地上げ屋をしている、抵抗しなければすでに開拓している惑星に移民する機会を与える

確かに同じ水準とはいかないかもしれないし、移民たちが多すぎて文化交流にこまる可能性もあるけどな

まぁ、抵抗したり敵対するならばやむを得ないがな、俺たちは悪人だが戦闘民族だ、戦う機会に対しては前向きに考える」

 

なんだ、悪い奴なんか。

でも、むやみやたらに殺していねぇのかな?

 

「基本的に命との天秤だから移民する方がいいのだが愛着が強い奴が多すぎて困る

強引に捕虜にして一番上に送り待遇を考えてもらっているがな、殺すのに惜しい人材って言うのがやはり多い」

 

ピッコロよりは悪いが極悪人じゃねぇな。

なんかこう憎めない感じがする。

 

「まぁ、記憶を無くして獰猛じゃないお前を勧誘しても首を縦には振らんだろう」

 

悪いことに手は貸したくねぇからな。

でも、なんか用事はまだあるみたいだけんど……

 

「今回はガタバルの勧誘、そして……お前と戦ってみたいからだ」

 

そう言った瞬間に気があふれ出す。

この気はガタバル以上……

体が震えちまっている。

 

「今すぐか?」

 

そう言うとにやりと笑う。

どうやらやる気満々だと思われたみてぇだ。

 

「向こうに強い奴らがいたそいつらのところまで俺が案内をする、ガタバルも気づくだろう」

 

たぶんピッコロと桃白白の事だろう。

天津飯達じゃなさそうだ。

悟飯を抱いたまま筋斗雲を使って兄ちゃんを追いかける。

そうしていると大きな気が出てきた。

それを機械でわかってんのか、兄ちゃんは笑う。

 

「あいつもどうやら俺たちと同じ方向に向かっているぞ、カカロット!!」

 

やっぱりガタバルだったか。

あいつの本気ってどれくらいなんだ?

 

「くっ、速すぎる……俺達より遠いのに先に到着しかねんぞ」

 

そう言って数分も経ったら到着した。

宇宙船を置いてたんか。

これ見たらブルマの奴、喜ぶんじゃねぇか?

 

「降りろ、カカロット」

 

そう言って着陸する。

オラも雲から降りてピッコロたちに挨拶をした。

やけにガタバルがきょろきょろしてるけど一体何があったんだ。

 

「一体何をきょろきょろしていやがる?」

 

そう、兄ちゃんが言うとガタバルが口を開いた。

 

「もう一つの宇宙船が速度を急激に落としたんですよ」

 

それを聞くと兄ちゃんは驚いている。

あれ、一人で来たんじゃなかったんか?

 

「そんな、俺が地球に行くのを知っているのはフリーザ様だけだぞ!?」

 

一体何が理由でそこまで冷や汗かいているんだ。

そんなにまずい事なのか?

 

「ガタバル、俺とともにフリーザ軍に来る気はないか?」

 

兄ちゃんがガタバルを誘う。

するとジェスチャーで右の耳を叩く、どういうことだ?

 

「通信機能を切れって事か?」

 

そう言うとガタバルが頷く。

もしかして聞かれたらまずい事でもあんのか?

 

「ラディッツさんには悪いが俺は惑星ベジータを滅ぼした本人に頭を下げる気はない」

 

そう、ガタバルが言うと兄ちゃんは驚く。

隕石だと兄ちゃんは本気で思っていたんだろう。

 

「あいつはサイヤ人の伝説に対して万が一の可能性を摘み取るために惑星ベジータごとサイヤ人を根絶やしにした

あんたがどうやって生き延びたかは知らないが、ナッパさんは送られていてカカロットと俺は『飛ばし子』

俺以外の家族はフリーザに寝返って命を永らえた」

 

次々とガタバルが言っていく。

まさかそんな真実があったなんてと兄ちゃんは呟いていた。

 

「そして、最後まで唯一人フリーザに立ち向かった戦士はバーダックと言う」

 

それを言うと兄ちゃんは目をつぶって悲しそうにつぶやいていた。

 

「そんな、親父が……」

 

兄ちゃんの父ちゃんってことはオラの父ちゃんでもある。

最後まで悪い奴に立ち向かうなんてかっけぇ事したんだなぁ。

 

「だから俺はフリーザを倒すために今までやってきた」

 

そう言うと気を高めて全力で行くみてぇだ、どれだけでかくなるんだ?

 

「はあぁぁぁ……」

 

兄ちゃんの時よりも大きくなっていく。

機械で見ているようだけどどうなってんだ?

 

「8200……9500……11200……13100……」

「ふっ!!」

 

上昇していくなかでピッコロたちもじりじりと後退していく。

なんてプレッシャーだ……

どれだけ天下一武闘会の時は手加減してたんだ。

 

「14230か……その力が味方にならんのは惜しい」

 

そう言うと同時に兄ちゃんがガタバルに仕掛ける。

速くてオラの目で追いきれねぇ。

 

「しっ!!」

 

兄ちゃんが真正面から後ろに回って攻撃を仕掛けるけど、ガタバルが馬蹴りで吹き飛ばす。

一瞬で上に回って地面に叩きつけようとするがそれを軽々と着地をして技を仕掛けていく。

 

「『マンデーリング』!!」

 

輪っかがガタバルの胴体にはまる。

それを力づくで引きちぎるが……

 

「『ダンシングサースデー』!!」

 

両手でヤムチャの技を出す。

操っていく中で段々ガタバルの逃げ道がなくなってきた次の瞬間……

 

「弾けろ!!」

 

手を叩き爆発させる。

それを耐えたが、兄ちゃんの大技の射程圏内に入っていた。

 

「『ウィークエンド』!!」

 

二本の太い気弾がガタバルへ迫る。

しかしガタバルは冷静な目で……

 

「『ファルコン・ツイン・クラッシュ』!!」

 

同じように二本の気弾で相殺をする。

そしてそのまま兄ちゃんの懐に入っていき、顔を殴る。

 

「『チューズデーレイン』!!」

 

その殴られた瞬間に後ろに飛んでいた。

そして大量の気弾をガタバルに向けて叩き込みに行く。

 

「『コンドル・レイン』!!」

 

同じような技で相殺をする。

衝突しあって砂煙が上がる中、兄ちゃんは一気に懐に潜り込んでいた。

 

「『ウェンズデースラッシュ』!!」

 

手刀に気を宿して斬りに行く。

それを避けてはいたけど薄く肌が斬られていた。

 

「『アングリー・フラミンゴ』!!」

 

踵落としを兄ちゃんに直撃させる。

片手で防いでいたけど、腕が痺れたのか片手が上がっていなかった。

 

「『エクスプロード・ウッドペッカー』!!」

 

顎にアッパーを放つ。

当たると思った次の瞬間、寸止めをしていた。

技のダメージが大きいわけでもないからか。

首をコキコキと鳴らしていた。

 

「あのアッパーを止めてなかったら負けていたな、

あの女と二回も戦うだけの事はあるぜ……」

 

兄ちゃんもダメージは少なかったのかぴんぴんとしている。

さっきの言葉にガタバルは反応してたけどどういう事だ?

 

「あいつが言っていたぞ、元気でやっているから気にしないでってな」

 

それを聞くとガタバルは笑う。

次はオラやピッコロの番か。

 

「3人でかかってこい!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、一斉にピッコロと桃白白が走る。

二人がラッシュをするけど片手と片足で受け止めている、余裕あんな。

オラも一緒に攻撃すっぞ!!

 

「やぁ!!」

 

両手を使って次々と受け止める。

しかし、桃白白が気を高めて一気に連打の速度を上げる。

 

「戦闘力を手足に集めて、器用な奴だぜ……」

 

そう言うと構えて本気になった。

あの連打全部捌く気か!?

それにピッコロも下がったし、何をする気だ?

 

「はぁぁああああ!!」

 

桃白白の攻撃を避けて時に拳を打ち合わせたり逸らす。

徐々に速度が増していくからか段々と顔に余裕がなくなってきてんぞ!!

 

「捕まえたぞ!!」

 

両手を掴んで腹に蹴りを叩き込む。

そのまま上空にいる桃白白に技を出そうとするのをオラが止めに行く。

 

「『かめはめ波』!!」

 

声に気づいた兄ちゃんが振り向いてすぐに対応する。

これで一旦、桃白白の方は大丈夫だぞ。

 

「くそっ!!」

 

片手で受け止めたけど、その隙に桃白白は無事に舞空術で体勢を立て直した。

そして、久しぶりにあの構えを見る。

 

「『気功砲』!!」

「ちっ!!」

 

素早く後ろに下がって避けた。

相変わらずの威力だ、煙がすんげえ上がっている。

そんな時に……

 

「『魔貫光殺法』受けてみろー!!」

 

ピッコロの奴の新技が放たれる。

兄ちゃんは上に飛ぼうとするが、桃白白が構えているのを見て諦める。

すると歯を食いしばって……

 

「『シャイニングフライデー!!』」

 

技に向かってでかい気弾を撃つ、膝から力を抜いていたんか、その反動で一気に後ろ向きへ飛んでいく。

しかし速度が速く顔に迫っていく。

しかしその刹那……

 

「『ダブルサンデー』!!」

 

さらに上に向かって技を放つ。

その勢いを利用して地面に自分から陥没をする。

そして起き上がってくる。

額にわずかに掠ったのか一本線ができていて、そこから血が流れていた。

 

「3人だとここまで余裕をなくすとはな、なかなかいい技を揃えていやがる……」

 

起き上がってすぐだから隙だらけだ。

尻尾掴んでやっぞ!!

 

「ぬっ、カカロット!?」

 

兄ちゃんが振り向くがもう遅い。

尻尾をしっかりと握って力を込めている。

 

「油断したな、尻尾掴んだぞ!!」

「ぐっ……しまった」

 

そう言って体勢がだんだんと力の抜けたものになる。

そして手が地面に着いた次の瞬間…

 

「かかったな、カカロット!!」

 

にやりと兄ちゃんが笑う。

そう言うと気弾を地面にはなってその勢いでオラを跳ね飛ばす。

まさか克服できていないふりなんて……

オラが天下一武闘会でクリリンにやったことだけどまさかやられるなんて思ってなかったぞ。

 

「カカロット、サイヤ人だ、弱点の克服をまるでしないなんてことをするわけがないだろ」

 

そう言われて殴られる。

硬い拳だ。

頭がグラグラしちまう。

 

腹を蹴って宙に浮かされた。

高く飛び上がってオラを地面に叩きつける。

こんなに強いなんて……修行しとくんだった。

そんな事を考えていると……。

 

「うわぁーん!!」

 

オラがやられているのに我慢できなかったのか。

悟飯が泣きながら兄ちゃんに向かって後ろから頭突きをした。

兄ちゃんが吹っ飛んでいく。

そのまま飛んで行ってピッコロに受けとめられていた。

 

「ググッ、まさか戦闘力がカカロット以上を一瞬とはいえ計測するとは……」

 

起き上がっているけどダメージはあったみてぇだ。

これで勝ち目が出てきたぞ。

立ち上がろうとした次の瞬間……

 

「……己の子供に守られる奴、弱き存在に価値はない……死ね」

 

オラの胸を気弾が貫く。

一体何者なんだ?

 

「がっ……」

 

ピッコロの時と違って死んじまうのがわかる。

いてぇし口からすげぇ多い血が出てきた。

 

「苦しまずにやったつもりなんだがな……もう一発やっておいてやる、

慈悲に感謝しろ」

 

その言葉を言った相手の顔は見れなかったけど、オラの腹にでけぇ穴が開いていた。

気が付いた兄ちゃんやピッコロ、桃白白、ガタバル、悟飯がやってくる。

攻撃してきた方向を兄ちゃんがいる、そして……

 

「俺の弟をこんな目に合わせたな……」

 

そう言って怒った目で睨み付けていた。




一体誰が悟空を殺害したのか?
今回でラディッツ味方フラグが完全に立ちました。
ラディッツさんの手合わせについては
カカロットと悟飯以外が1500を超えていたから、ナッパよりも地味にひどい戦いになっていた模様。

指摘有りましたらお願いします。

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