とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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何話かに修行を分けようとしましたが一つにまとめました。
次回からはサイヤ人の襲来を書いていきます。
当初はもう少し速い話数で入るつもりが日常部分書いていたら長引きました。


『あの世とこの世の修行風景』

とりあえずはこの状況を打破する方法を全員で模索した結果。

ラディッツさんと桃白白は悟飯とピッコロの修行に混ざる。

と言っても悟飯は半年サバイバル。

その後にオモミーで全員の底上げが必要だ。

俺は自分の戦闘力上昇と錆を落としに行く。

ああも簡単に心が揺らいでしまうとは。

もっと冷徹に、敵とみなした者には限りなく冷たく戦う。

氷になるのだ。

 

「その前にピッコロ、お前について話がある」

 

かなり時間は経ってしまったが、仕方ない。

こういった危機に見舞われない限りは俺の今から言う事に耳を傾けない。

 

「なんだ?」

 

ぶっきらぼうに声をかける。

カカロットがやられたことや腹の立つことが続いたからかピリピリしている。

 

「お前がどういった存在なのか、根底から知っているんだが、神と再び融合する気はないか?」

 

俺は最長老様から言われたことを伝える。

どんな相手にも負けないほどのスーパーパワーアップができるという事を。

 

「ふざけたことを言うな、奴ともう一度同化するなどごめんだ!!」

「そうか、今回の襲来なんて歯牙にもかけずに終われるんだが……」

 

あまりの剣幕で言ってくるから、どうやら本当に嫌なことなのだというのは理解できる。

藪蛇をつついたかと思い反省をする。

 

「たとえどれだけ強くなれたとしても、再び別れる日が来るのは目に見えている、それならばこのままでいい」

 

そう言ってそっぽを向く。

伝えておきたい事も伝えたし、行ってくるか。

『戦闘惑星』に。

 

首を鳴らし、人気のないところで瞬間移動。

何年振りかもわからないが帰ってきた。

団長に挨拶をしようとしたらなんか変な光景が目の前に広がっていた。

 

「で……これはなんだ?」

 

倒れている闘士たちが多いが一体何をしでかしたんだ?

そんな事を考えていると団長は笑いながら口を開く。

 

「なに、とんでもねぇ珍獣が見つかってよ、それを狩ったやつには賞金を与えようと思ってな」

 

円形闘技場にはでかい化け物がいた。

ヒグマの大きさに、馬の脚、ヒクイドリのような嘴とかぎづめ、腕はゴリラ。

戦闘力の計測では12000。

どう考えてもピオーネか俺かのレベルじゃないか。

 

「まぁ、錆落としだ、やってやる」

 

降り立って手招きをする。

それに気が付いたキメラが攻撃を仕掛けるがむちゃくちゃな構造のせいで動きが悪い。

 

「ふんっ!!」

 

かいくぐったかぎ爪を手刀でへし折って、飛び回し蹴りで嘴に罅を入れる。

火を吐いてくるが、懐に潜り込む最大の機会だ。

 

「てりゃあ!!」

 

腹部に拳を叩き込む。

急所を的確に打ち抜いた。

だがここで攻撃を緩めない。

そう思った矢先、まさかの体に追加された一部分が見える。

 

「ギャオオオオ!!」

 

尻尾が蛇のようにうねっている。

痛みを感じたりすれば進化するのか。

何とも奇妙な奴を連れてきたものだ。

 

「がぁっ!!」

 

尻尾を掴みに行く。

馬の脚で蹴りを放つが、その足を紙一重で避けて回り込む。

しかし次の瞬間、尻尾の変化に驚きを隠せなかった。

 

「硬質化していやがる……」

 

うねっていたものに節が大量にできてなおかつ固いものになっていた。

こりゃあ長期化すればするほど危ないな。

 

「『太陽拳』!!」

 

目つぶしをしていく。

相手が隙だらけの状態になった瞬間、一撃を放つ。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

腹部の大部分か焦げ付き、煙を上げる。

まだまだおわらないぞ。

 

「『ファルコン・ツイン・クラッシュ』!!」

 

速い技についていけずさらに腹部へ攻撃が当たる。

そこに三回目の技。

最大の威力を放つ技で決める。

 

「『ソウル・オブ・サイヤン』!!」

 

攻撃の追加ダメージという点で『エクスプロード・ウッドペッカー』と同じものだが、さらに気を集中させて小型の『アルバトロス・ブラスター』を叩き込む。

最大ダメージを叩き出せる技を組み合わせた。

 

キメラが体勢を崩して背中から盛大に倒れ込む。

しかし次の瞬間……

 

「ふぅ……」

 

脱皮をしたのだ。

腕の太さとか外見も完全に変わっていた。

まさか獣の集まりが人化するとは想像もできない。

しかも女にだ。

 

「服を着やがれ!!」

 

俺は服を脱いで投げつける。

ズボンもまとめてだ。

パンツ一丁だが、女の裸を衆人環視の中晒してはいけない。

 

「ありがとうねぇ~」

 

随分ゆっくりした人だな。

しかもこの見た目。

なんか地球の言葉で胸が大きいことをなんていうんだったっけ?

人化したのはいいがさっきの方が戦いやすくないかな、気のせいか?

 

「いやー成長期からの成熟期が長引いて、あんな見た目になったんだよ」

 

キメラみたいな成長期って何なんだよ、

それともなんだ、あの見た目相応の動物の機能を手に入れるのか?

尻尾はないけど、馬の脚力とゴリラの腕力。

ヒグマ並みの背の高さはないのか……。

でもこれがキリンとかシマウマの柄が反映されたらと思うとぞっとする。

 

「……団長どうする?」

 

気の大きさもまだわかりにくい。

しかし、これは覚醒直後だからまだ全力じゃないだろう。

 

「服を着てちょっと実力を見せてもらうか?」

 

そう言うと数分後、服に袖を通した俺と女性が向き合う。

徐々になじみ始めるだろうがこの状態ではやはり低い状態だろう。

 

「ところで名前は?」

 

そう言えば名前を聞いていなかった。

動物状態なんて叫び声だったし。

 

「ニア・ルーマだよ、よろしく……ねぇ!!」

 

自己紹介と攻撃を同時にしてくる。

なかなか実戦的な考えだ。

不意打ちではあるがまだ、己の力のみの不意打ち。

しかも聞いたこっちに非があるようなものだ。

 

「俺の名前はガタバル、よろしくな!!」

 

足を掴んで放り投げる。

しかしその着地の際に、やはり馬の脚力を引き継いだのか。

バネのように跳ね返ってきて俺に肘打ちを食らわせる。

だがそこで負ける俺ではない。

食らった瞬間にのけぞってブリッジの体勢で腹部をけり上げる。

 

「ぬぐっ……」

 

腕を交差して、わずかなダメージに抑えていたようだ。

反応のいい動物、シマウマの目を引き継いでいたらどれだけの脅威になっていたか……。

 

「『キャットパレード』!!」

 

俺の気弾と同じように猫を象ったものが射出される。

それはホーミング型気弾で避けるのだが、まるでじゃれつくように追尾をしてくる。 

 

「『ドッグ・シャープ・タスク』!!」

 

二発の気弾が襲い掛かってくるが、避ける。

壁を貫通するところを見ると、魔貫光殺法と同じ系統の技だ。

 

「『ギガンテック・ホース・スタンプ』!!」

 

回避した俺に強烈な踏み付けを放つ。

さらにそこに馬蹄型の大きな気弾を追加していく事でさらに追撃をさせている。

 

「ちぃ!!」

 

腕を交差して受け止める。

馴染んでいないにしても脚力とかは高い。

その状態をうまく利用している。

 

「『ワイルド・ハンマー』!!」

 

両腕を力いっぱいに振り下ろす。

再び腕を交差して受け止めるが……

 

「ぬぉおお!!」

 

ゴリラの腕力の凄まじさに舌を巻く。

そのまま勢いだけで俺を空中から地面まで追いやった。

 

「だが……舐めるなよ!!」

 

地面を蹴ってその勢いのまま飛び蹴りをニアの腹に叩き込む。

一気にラッシュを仕掛けて急所を隙間なく穿ち続ける。

 

「ぬぅうう……」

 

唸り声を上げているが聞いているのは明白だ。

顔に出すのは相手に有益な情報を与えるぞ、我慢した方がいい。

 

「気の大きさもまだ不安定だが、一撃の重さはかなり厄介だな」

 

多分12000から今は落ち込んで10000あるかどうか。

その差を動物の力で補いつつあるがやはりわかってしまう。

 

そんな事を言っていると団長が止めに来る。

実力は見れたからいいというわけだ。

きっと俺とピオーネがいない今この闘技場の花形が新しく誕生したというわけだ。

 

「あれ、ここにいないの?」

 

いてもいいがそれは平穏を望むときでしかない。

今の俺達にそんな余裕もない。

そして最大のライバルとの戦いで完全燃焼できなければ意味もない。

 

「地球に帰るんだよ、危ないことがあるからな」

 

もとは錆を落として1年後に備えるための準備だった。

だが想像以上の大物と戦えたのは大きな収穫だった。

 

「私も行ってみたいなぁ~、でも体なじんでないからな~」

 

多分緑の惑星とか噂があるのだろう。

もしくは危ないことに興味でもあるのか?

好奇心の旺盛さは時に危険だぞ。

 

「そうか、だったらどこの惑星かだけ教えておく」

 

だが、それを言って聞くようなタイプの人間ではない。

そう言って団長に後で渡しておくように伝えて地球の座標を書いたメモを渡しておく。

 

「さて……錆は落とした、自分を高めていくか」

 

そう言ってオモミーへ行って50倍の強さで肉体強度を戦闘力に見合ったレベルに引き上げる。

タフさがないと今回の戦いは乱戦も予想できる。

スタミナが切れたらむしり取られていくだろう。

 

「はぁ、これで名実ともに14000台だ」

 

その肉体強度に合うまでに3か月をかけてしまう。

全然攻撃を食らう機会もねぇから、鈍っていたな。

速度も何もかも一新された。

実戦の錆は落ちていたがチューンナップできてなかった。

 

「むしろこれでよくニアに勝ったな……」

 

今頃あいつも馴染んでいるだろう。

それにピオーネも今の俺よりも強い状態なのは明白。

 

「俺は強い女にばかり出会うな」

 

苦笑いのようだが自分より強い奴らがいるというだけで心は盛り上がる。

そいつらに追い付きたいと思い、鍛錬にも熱が入るからだ。

戦闘力の伸びは悪いが今は少しでも前に進むことを考えていた。

そして残り半年になる時に神様の修行を終えた天津飯やクリリンたちと合流。

ピッコロと悟飯、ラディッツさんに桃白白も連れてオモミーへ向かう。

 

「俺たちは3倍でやってみるか……」

 

ヤムチャとクリリンが入る。

3倍でも慣れたらすぐに4倍の部屋に入っていくように忠告をした。

今回はのんびりと修行に興じるような事は無い。

短期間で濃密にして大きな成果を上げる。

 

ラディッツさんと俺が10倍の部屋に入っていく。

肉体強度の限界に挑み、メディカルでの回復にかけてみる。

ラディッツさんの戦闘力をナッパたちは超えてくると考えている。

だからこそぎりぎりまで強化にいそしまないといけない。

 

桃白白は天津飯達と4倍の部屋。

ピッコロは悟飯と5倍の部屋に入っていった。

確実に悟飯はスパルタを強いられるだろう。

 

全員の死に物狂いでの日々が始まる。

鬼気迫る勢いで肉体を苛め抜く。

無駄な動きを削ぎ落とし、気弾の精密さ。

どこまでも強くなるために俺とラディッツさんは考える。

 

「これでもわからないんだからな、あいつのせいで俺たちが大いに迷惑だ」

 

カエンサが乱入なんてしなければカカロットは死なずに済んだ。

この騒動の原因をだれに問うべきか?

任務を言い渡したフリーザには私怨はあるが今回の責任はない。

それこそ、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』という奴だ。

それを実行したラディッツさんに非はあるか?

全然ない。

ただ成長したカカロットの力を知りたくて手合わせをしただけだ。

 

「あんなのが兄だと思うととても悲しい……」

 

そう言うと肩を叩いてくる。

同情してくれているのだろう。

 

「お前は本当にあいつで嫌な思いばかりするな」

 

虐げられて、惑星に飛ばされた。

惑星に飛んだのは死ななかったからよかったが……。

それだけが前向きであってサバイバルをしたり死線を超えてきた。

セッコ・オロという安住の地もあることはある。

そうでなくてもナメック星とヤードラットも俺にとっては故郷同然だ。

惑星ズンも悪くはないが、結局あそこよりもナメック星とかの方が肌に合っていた。

 

「一回、ベジータ王子と行動していた時に偶然会った時も蹴り飛ばされましたからね」

 

しかも不意打ちで殴られたし。

ギニュー特戦隊の皆さんと一緒にいただけで。

 

「しかもその時に完璧にお前が倒したんだろ、ベジータが笑って教えてくれたぜ」

 

3分かからずに勝負終わりましたからね。

今回だって一般人を巻き込まなければ普通に勝負終わってましたよ。

 

「あいつの戦闘力自体はあまり上がってないんだ」

 

だからと言って補い方が下種すぎませんかね?

策とかじゃなく不意打ちって……

いや、不意打ちも立派なものではありますけど、やりすぎたらただただダーティな奴ですよ。

しかも一般人の巻き込みとか、あの人たち何の関係もないのに高い木から飛び降りさせられるとかえげつないわ。

 

「強いから致命傷を負わないし、組手ではベジータとやると死ぬから嫌がった結果、並みの鍛錬しかしてこなかったんだよ」

 

そりゃ伸びませんよ。

俺も確かに怠けたレベルのぬるい時期はあったけど、自分を痛めつけてきた時の伸びは十分にある。

 

「多分もっとダメな手を打ってくるかもな、ラブカも含めて……」

 

あれ以上最悪な手段ってどういったものなんですかね?

しかも父親であったラブカも同じってもう誇りとかないじゃん。

ただの下種な悪人だよ。

あいつらがサイヤ人って名乗ること自体が、サイヤ人の種族を穢してないかと思えて仕方がない。

 

「とりあえず目の前にあるこの状況に対してどこまで強くなれるかだな」

 

そう言って修行を再開する。

そして全ての修行が終わり余裕をもって1か月半前に地球に戻る。

最後は各々の調整という部分だ。

悟飯は引き続きピッコロが始動するようだがな。

 

最終的な戦闘力の数値は

ヤムチャ:2317

クリリン:2691

天津飯:2932

餃子:2028

桃白白:3289

ピッコロ:4228

悟飯:3788

ラディッツさん:6021

そして俺が15678

元々の予想を若干超えた数値なのにひとまず安心をする。

カカロット、お前の方はどうなっているんだ?

せめて3000ぐらいには伸びていてくれよ。

俺は心でそう念じながらあの世のカカロットに対して懇願した。

 

.

.

.

 

時間は半年前に遡る。

死んでから肉体を持って界王様に会うためにオラは蛇の道って奴を走ってようやく着いた。

その後界王様に会って修行をつけてもらっている。

 

「はぁっはあっ!!」

 

サルのバブルスを捕まえるのにオラは頑張っている。

ちなみに重い服を着たまんまだ。

どれだけその1年後に来る相手が強いのかって聞いたら界王様より強いらしい。

界王様の戦闘力は7000ぐらいで、閻魔のおっちゃんは6000ぐれぇらしい。

兄ちゃんよりつえぇとはオラ驚いたぞ。

 

「しかしあのなんか幸が薄そうな女顔のサイヤ人は強いのう」

 

ガタバルの事か?

めちゃくちゃつぇえもんな。

兄ちゃんを軽く倒しちまったんだし。

 

「しかしそいつでも一人だけそのサイヤ人にかてんみたいじゃな」

 

ガタバル以上の相手がいるのか。

ワクワクすっぞ。

界王様の修行で追いついてやるからな。

 

そして2か月後……

 

「うぉおおお!!」

 

バブルスの背中が見える。

頭から突っ込んで手を伸ばして腰部分を掴んで持ち上げる。

ようやく捕まえる事が出来た。

界王様は笑ってたみてぇだけど、もしかして速かったんか?

だとしたら嬉しいぞ。

 

次はグレゴリーっちゅう奴を金づちでたたく修行だった。

これもバブルスの時とおんなじように2ヶ月ぐらいでたたいた。

流石にこんなに早くたたいたのは閻魔のおっちゃんでもなかったらしい。

むしろ閻魔のおっちゃんは叩くのと捕まえるので何年か使っちまったって言ってた。

 

さらにそれから2ヶ月ぐらい修行は続いた。

その間に界王様から新しい技を伝授してもらえた。

 

「悟空よ、界王拳は2倍までにしておくんじゃぞ」

 

体で調整したらとんでもねぇ痛みが来る。

今のオラだと2倍までが無理なくできる状態らしい。

 

「そして元気玉はどうしようもなくなった時に一発だけ使うんじゃぞ、連発したら地球ごと危ないからな」

 

そう言われて技の危なさをもう一度教えてもらった。

サイヤ人が来るのっていつぐらいなんだろうか?

 

「何、あと1日半ぐらいはあるし……ああっ!?」

 

なんてこった。

界王様にも間違えがあるらしい。

オラがあの蛇の道から現世に戻る時間を計算に入れてなかった。

今から戻っても半日の遅れが出る。

みんなが無事だったらいいんだけど……

すぐに亀仙人のじっちゃんに伝えて蘇らせてもらった。

この間にも時間は経っている。

オラは必死に蛇の道を走り始めた。




修業回はかなりのダイジェストにしました。
次回から悟空不在のサイヤ人戦が始まります。
果たしてどうなるのか!?
指摘有りましたらお願いいたします。

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