最悪のバトルロイヤル、まずは誰が脱落か!?
ついにサイヤ人の襲来だ。
千里眼で常に見ているがある山の頂上に到着する大型と小型の宇宙船。
都の方にはどうやらいかないみたいだ。
まだ全員は集合していないようだな。
ピッコロと悟飯、ラディッツさんが集まっている。
そこから近くてクリリン、天津飯達、遠いのがヤムチャだ。
「さて……いくか」
行くのは宇宙船の方だ。
相手の挙動を先に止める。
多くの敵を向けさせないためにもな。
「相手も向っている……」
徐々に離れていく気配、大きさから感じ取ってベジータ王子たちだ。
そしてそこから二手に分かれた気。
……こっちだな。
「因縁を断ち切らねばならない!!」
その気に向かって一直線に向かっている。
迂回などをして時間を稼いでいるのか、方向感覚を失わせようとしているのか?
もしくは一般人の誘拐だな、こりもしない。
それならば、これで完全に止められる。
額に指を当てて瞬間移動をする。
前回は逃げ回っていると早合点した俺の落ち度だ。
しかし相手のやり口が分かっていればそんなことはさせない。
目の前にすぐに出てきてやったぜ。
「どこに行く気なんだ?」
「まさか変な術まで身に着けていたとはな……戦闘力で劣る雑魚の処世術だ」
どうやらラブカも一緒か。
ルビコラは構えてはいない、戦闘する気がまるでない。
だが……
「やっぱり嘘の報告でこんな真似をしていたか……」
気の大きさから考えて戦闘力は3000から4000ぐらいの奴らが3人。
俺に対する憎悪の目。
「隊長の敵……」
「許さんぞ……」
「あの人が受けたものを倍にして与えてやる!!」
ラディッツさんの部下だった。
……あの人慕われているな。
「そうだ、貴様の大事な隊長を無残に殺したこいつに復讐しろ!!」
そういうと一斉に飛びかかってくる。
コンビネーションは抜群だ。
本来の戦闘力を三位一体で倍以上の上昇をさせている。
「ぐっ……」
謂れもない怒り。
カナッサとは違い、怒りが臨界点に達しない。
あるとしてもカエンサにだ。
この人たちに対する怒りは沸いては来ない。
ラディッツさんの反応を悟られないようにする為だろうが。
おおよそ没収したのだろう。
スカウターをつけてはいない。
「ふんっ!!」
一本拳で急所を突く。
その呻いている隙に持ち上げて迫っている相手に投げる。
後ろ回し蹴りで距離を開けさせて、体勢を立て直す。
「強い……」
「正々堂々としているが、本当に無残に殺したのか?」
「さっきだって上空に投げて大きな気弾を使えば俺を殺せただろう」
全員が疑問を持ち始める。
悪いが疑問を持ったまま戦うと痛い目見るぜ!!
「しっ!!」
相手に接近をして膝を叩き込む。
跳ね上がった体を抱えて地面へ叩きつける。
「ラァ!!」
後ろからの攻撃、相手を認識したうえで後ろからの攻撃は不意打ちではない。
頭を下げてかわす。
千里眼も全開で回避からのカウンターも冴えさえだ。
「うぉおお!!」
かわした方向に回り込んでいたのだろう。
顔面に一撃を食らい、わずかに後退する。
すると腰から抱え込まれて頭から地面に叩きつけられる。
「随分と肉弾戦が得意なようで……」
むくりと起き上がると気弾を放る構えをした人が左右に分かれている。
三人とも均等な位置に陣取っていた。
「『トライデント・スパーク』!!」
三又の太く大きな気弾が迫りくる。
全力の大技というのは理解できた。
ならばこちらも相対するのみ。
「『アルバトロス・ブラスター』!!」
相手の気弾と接触をして押し合う状態になる。
このまま気を一気に放出すれば押し返せる量だと判断できた。
だが、まだその場面ではない。
相手の放出量が少し緩んだ時に狙い撃つ。
そう考えた次の瞬間、カエンサが大きな気弾を作っていた。
千里眼で集中しながらも一挙一動を見逃すまいと思い、見張っていた。
「まさか……」
思い浮かぶのは最悪の行動。
まさかそれをやるというのか?
何も言わずに指をくいっと動かす。
その気弾はちょうど斜め気味に分かれていた一人の戦士に向かっていた。
「ちっ!!」
技をやめて一気に回避をする。
そしてすぐに瞬間移動で迫っている気弾の目の前に来て受け止める。
「なっ!?」
他のメンツもその攻撃に気づく。
そして仲間を引っ張っていく。
ありがたい、あとはこの攻撃を弾き飛ばすだけだ。
「うぉおおおおお!!」
遥か高くに弾き飛ばした。
だが…
「もう一発」
追加でもう一撃、俺に放たれる。
避けてしまうと相手に当たる。
裏切られた人を見捨てることはできない。
優しさなんて捨てようと思って捨てられるものではない。
俺は弾き飛ばした直後、直撃する形で気弾を食らった。
「ぬぐぐ……」
かなりのダメージを負ったから呻きながら、むくりと起き上がる。
見捨てたら確実に今後ろにいる人は死んでいたぞ。
「あがが……」
さっき後ろから攻撃された人は体を震わせながら声にならない声を上げている。
どうやらいきなりの攻撃で腰が抜けたようだ。
「なんで俺たちごと巻き込むんですか!!」
隊員が怒りの声を上げる。
まさか味方から無情な一撃を食らうなんて予想外だったからな。
それに上空で俺の真上から放つことができたはずだ。
なのに、なぜ隊員の人ごと巻き込む必要があるんだ?_
「それはお前らがただの駒だからだよ」
予想より斜め上の下種の発言が飛んできた。
自分たちが嘘を吹き込んで戦わせているのにこの仕打ち。
あまりの醜悪さに吐き気を催しそうだ。
「ラディッツが生きていると言っているのに有無を言わさず襲い掛かるなんてひどい奴らだぜ……」
自分たちからけしかけておいて何をいまさら……
そう怒りを露わにしていると、徐々にカエンサとラブカの顔が歪んだ笑みの形へ変わっていく。
「お前らがのこのこと俺に騙されてついてきたのは傑作だったぜ!!」
「しょせん利用される側は雑魚一人仕留める事もできん愚か者よ!!」
ラブカとカエンサが身の毛のよだつような高笑いをする。
そして次の瞬間さらに恐ろしい行動をとってきた。
「はぁ!!」
ラブカがなんといきなり母さんであるルビコラを抱えこむ。
一体何をする気なんだ!?
「それぇ!!」
「きゃあっ!?」
こっちに向かって力一杯ぶん投げてきたのだ。
息子のカエンサがやっても驚愕なんだが、まさか旦那であるラブカがやってくるとは。
「くそっ!!」
このままでは地面に叩きつけられて死んでしまう。
そうならないように地面に落ちる前に受け止める。
「ふぅっ!!」
何とか当たる前に受け止める事が出来た。
今、母さんは俺の腕の中にいる。
この人の腕に抱かれた事など数えるほどだった。
でも、この人を抱えてわかることがある。
この人は暖かい人だ、少なくてもあの二人とは違う。
「しっかりと抱えておけ、その不要な女をなぁ!!」
ラブカが巨大な気弾を俺めがけて放つ。
こいつら……どこまで性根が腐っていやがるんだ!?
「ぬぉおお!!」
くるりと体を回転させて背中で受ける。
逃げ傷ではない。
ただ正面から受けられないが故の行動だ。
「私が不要……」
母さんはショックを受けている。
そりゃあそうだ。
まさかここにきて家族でありながら、ラディッツさんの隊員と同じ駒扱いなのだから。
「貴様がいたからこのような出来損ないが生まれたのだ!!」
ラブカが俺を指さして言ってくる。
戦闘力としてはそうだろうがそれは生まれた時の話。
今はお前らよりも上だろう。
人間的にも、戦士としてもあんたたちよりはよっぽどましなものだろうが。
「あんたも知っているだろうが、生まれた時の戦闘力で最大を計測した……」
カエンサも話し始める。
生まれた時の戦闘力という事は、あれからもしかして新しく子供が生まれたのか?
「『あれ』はお前との間に生まれた子供ではない」
つまり別の女性との間にどういった経緯か知らないが子供を作った。
うん……地球で言えば最低のモラルを持っているわ、この男。
「故に決断した、強い女と強い男でこそ強い一族は生まれる、たかだか4000の女であるお前など今後不要という事だ」
速い話、強い女と今後強い子供を作るから弱いお前は捨てますって事か。
腐った根性の持ち主だな……。
こいつに性格が似なくて本当に俺はよかったよ。
ある意味『飛ばし子』になった利点だったかもしれない。
「だから今ここで……」
カエンサとラブカが手を上に上げて気を高め始める。
……まったくもってえげつない奴らだ。
母親に似て本当に幸せだったと思う。
「「死ぬがいい」」
その言葉を最後に雨あられのように気弾が降り注ぐ。
背中に覆いかぶさり何とか母さんを守る。
だが、意識は遠のいていく。
防御の体勢もろくに取れないまま受けているのだから。
「とどめだ、これで一族の汚点は消える……」
「この二人と異星の強い女たちでさらなる一族を目指すのだ……」
その言葉を最後に聞き、俺は大きな気弾が迫りくるのを避ける事すらできない。
「ごめんね」
そう言って俺の腕の中から抜け出していた母さんが気弾の前に立つ。
一体何をする気なんだ!?
「今までの償いをここでさせて……」
構えて迎撃をしようとする。
止めなくてはいけない。
嫌な予感がする、ここで止めないと!!
しかし体が言う事を聞かない。
動け、動いてくれ!!
「『ピーコック・フラッシュ』!!」
クジャクを象った大きな気弾を放つ。
その大きさはかなりのものであった。
「なっ……まさかこれほどの技を!?」
気弾とぶつかり合う。
二人の気弾との威力には差があっただろうに徐々に押していく。
時折、バチバチと雷のような音を立てて気が高まっている。
どうやら潜在能力さえ絞り出しているようだ。
「女とは言えサイヤ人……サイヤ人をなめるなぁ!!!!」
そう言って力を爆発させる。
なんと二人分の気弾を一人で戦闘力の差があるにもかかわらず相殺しきった。
とてつもなく凄まじいものを見た。
しかし次の瞬間……
「がっ……」
腕で腹部を貫かれた母さんの姿があった。
それをやっていたのはカエンサであった。
「親殺しはサイヤ人としての本能かもしれない……でも最低の行為よ」
そう言ってゼロ距離で気弾を放つ。
しかしさっきの打ち合いで全力を使い果たしたのだろう。
煙が上がっただけで大したダメージにはなっていなかった。
「あなたなんて……この子に比べれば最低の息子だわ」
「俺も情に突き動かされ弱い奴を救うあんたなんて最低の親だと思っているよ」
そうカエンサが言って母さんを吹き飛ばす。
実の親にこんな仕打ちをするのか…。
俺は目の前の光景が信じられず呆然と立ち尽くす。
「親も守れぬとは情けないサイヤ人が……」
その親を殺したサイヤ人が何を言っているのかと思う。
だが体も心もこの光景を受けいれられず、体勢を整えることもできない。
俺の方に振り向いたカエンサは俺を気弾で同じように吹き飛ばす。
呆然としていた俺は無防備に受けてしまい、したたかに背中を打ち付けてしまった。
守れなかったことに憤りと悲しみを感じる。
意識が朦朧とする中、這いずるように母さんの元へ向かう。
触れた指先からは心から優しい、抱えた時の温もりさえそこにはなかった。
「さて……あとはお前らだ」
「死人に口なしとはよくいったものよ」
そう言って隊員に向かって二人とも手をかざす。
大きな気弾を放ち隊員も吹き飛ばす。
しかし全員、何とか息はあるようだ。
「……ほかの奴らに所に助けに行くぞ」
「いや、俺たちほど仲間思いな奴らはいないなあ」
そう言い残して飛び去っていく。
何を言っていやがるんだ。
お前らほど最低な奴らは見た事は無いぜ。
何とか立ち上がろうとするが体がふらつく。
「あの……」
ボロボロの隊員の人が見降ろしながら、声をかけてくる。
敵意はないようだが……
「ルビコラ様と我々の敵を討ってくれませんか?」
討ちたいがこの体ではどうしようもない。
戦えるほどの力はない。
そう、息も絶え絶えに言う。
「ある方から質は一番悪いのですがもらってきた秘密兵器があるのです」
そう言ってポケットをまさぐり始める。
質が悪いのに秘密兵器とか何を言っているんだ?
「あった!!」
ボロボロの隊員の人が俺の目の前に奇妙な実を差し出してきた。
そして……
「さぁ、敵討ちをしに行きましょう」
目を輝かせながら言い放つのであった。
またもやハートブレイクイベント発生。
母親であるルビコラは優しいサイヤ人で、
ラブカからのDVなどを恐れたが故に、愛を注げなかったことを後悔しているという事になっています。
カエンサやラブカは下衆ですがルビコラはいい人。
その母親に似ているからこそ、不思議なサイヤ人という位置づけにガタバルはなっています。
異母兄弟に当たる新キャラは女の子です。
なんで女キャラを連発しているのか?
ナッパやラディッツにも春を訪れさせるためです。
カエンサの春?、知らんな。
指摘有りましたらお願いします。