とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

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一つの話に詰め込みました。
ターブルは感想の時にまだ出す気はないとあったのですが、
折角サイヤ人多く出るので全員集合という形で登場させることにしました。
ちなみに戦闘力自体は14000ほどの想定。
アボとカドは17000ほどです。
そしてさらりと息をするように外道行為をこなすカエンサとラブカ。


ナメック星編
『ナメック星へ』


仁王立ちの状態からとりあえず天津飯を抱える。

目は霞み始めてはいるがまだ死ぬ事は無いだろう。

畑にカエルが居たら瞬間移動でもできるんだが……

 

「んっ……」

 

ばらばらと音が聞こえてきた。

どうやら上空から誰かが来ている。

上陸をしたがこの気は知っている。

亀仙人様だ。

 

「とりあえず重症な奴は運んでもらわないとな……」

 

体中軋んでいるが天津飯とカカロットは骨がいかれている。

その時点で病院直行組だ。

 

「悟飯、お前もあれに乗っていけ」

 

悟飯もこの年齢だ。

今回の戦いの傷は癒さないといけない。

そんな事を考えていると気が近づいてくるのがわかる。

ナッパとヤムチャ、餃子

そしてスパーニだったか。

 

「悟飯ちゃん!!」

 

チチさんが出てきた。

悟飯が大したケガじゃなくてほっとしているようだ。

 

「チチさん、悟空と天津飯は重症なんで優先して運んでやってくれませんか?」

 

そう言うと振り向くが、次の瞬間、驚愕の顔に変わり、悟飯の目を覆いながら大きな声で言ってきた。

 

「なんで全裸なんだべ!」

 

あっ、大猿になってしまって服が破れたんだったわ。

替えの服なんて俺持ってないんだけど……

 

「戦った時に服が破れたんですよ」

 

堂々と向いている。

俺は悪くない。

さて、カカロットも抱えてと……

 

「亀仙人様、あとのメンツや死体の回収は済みそうですよ」

 

向かってきていたナッパがピッコロをヤムチャが運びに行っていたラディッツさんを抱えていた。

そしてラディッツさんの部下が俺の方を向き、俺に抱えるように言ってくる。

 

「この方を丁重に弔ってください、ルビコラ様を……」

 

あまりにも冷たい体。

死んでいるんだと実感すれば涙がこみ上げてくる。

 

「あと、替えの服です」

 

ベジータ王子が来ていたような服を渡されて着てみる。

重さもほとんど感じない。

だが耐久性はベジータ王子を見ていてわかるようにかなりのものだ。

 

「それじゃあ、重症でないものは自分で来ることにして病院に全員で行きましょう」

 

ブルマさんがそう言うので乗り込んでいく。

と言っても天津飯とカカロットが優先だ。

ニアとクリリン、悟飯の5人で行く。

ラコイタは今回は助っ人としてきたがこれ以上は関わらないので母星に戻るとのこと。

ラディッツさんの部下たちも飛び立っていった。

ナッパさんはどうやらここにしばらくいるようだ。

 

とりあえず俺は自宅に帰ってメディカルポットがあるのでそれを持って病院へ行く。

俺とナッパさんは良いが女性であるピオーネはニアに頼んでやってもらおう。

 

「今回、死んだのは今クリリンから聞いた……」

 

天津飯の沈痛な顔。

そして悟飯の顔を見て、みんなの絶望的な顔。

ナッパさんは体を震わせていた。

 

「ピッコロ、桃白白は分かるし、悟空の兄であるラディッツも分かる……しかしあの女性は誰じゃ?」

 

ナッパさんは無言だった。

スパーニもさめざめと泣いている。

 

「俺の母親です、名前はルビコラ」

 

そう言うと驚いた顔を浮かべている。

確かに俺の家族構成を知っているのはチチさんぐらいだ。

 

「なぜ、母親であるこの者が死んだんじゃ、まさかおぬしが……?」

 

亀仙人様が言うが、それをナッパさんが遮る。

この人としても感じる事はあるんだろう。

 

「爺さん、こいつは俺たちサイヤ人の中でも優しい特殊な奴だ、こいつが人を殺すなんてマネするタマに思えるか?」

 

それは大きな誤解で外道と極悪人ならば流石の俺も殺しかねんぞ。

今回のように自分のためだけに他人を巻き込むからな

 

「うむ、すまんな、では誰がやった?」

 

亀仙人様が聞いてくる。

できればこういうのを言う気にも慣れないのだが……

 

「かつてカカロットを殺した男、俺の兄カエンサ……」

 

カカロットを指さして言う。

まさか同じ相手に二度もやられるとは思わなかった。

 

「なっ……息子が殺したというのか」

 

ヤムチャたちも驚愕の顔を浮かべる。

まさか味方からやられていたとは予想外だろう。

しかも息子にだ。

 

「それも旦那である父親もグルになって……」

 

スパーニが重々しく口を開く。

お前もつらいだろうに。

あの人が育てたからこそ、お前の母親の血が濃いからこそ。

俺と同じ優しい心のサイヤ人となったのだから。

 

「まずは母を俺に向かって投げてきた、俺はそれを受け止めるが特大の気弾を放たれてしまい

当然、受け止められず背中を向ける形で食らった

その一撃を延々と受け続け、庇っている間に大技が放たれたが、母は俺を庇いその一撃を相殺したのち、腹を兄に貫かれた」

 

なぜ、そんな事になったのか。

その詳細を事細かに話す。

自分としても絞り出すほどの声になることもあった。

一息つけるように伝え終えた時。

 

「なんと、悍ましい真似を……」

 

全員が青ざめるような顔をしていた。

そして背中を叩いてくる。

目の前での肉親の死。

それを考えうる限りの最悪の形で迎えた。

それを感じたからなのだろう。

 

「その真実を知りスパーニ……俺の異母兄妹に当たる奴は俺たちの味方をしてくれた」

 

頭に手を置く。

びくりと体を震わせているが気にするな。

桃白白の事も圧倒的な戦闘力であいつなりにけじめをつけた結果。

カエンサやラブカとの関係もあるがあいつらはあいつらでお前はお前。

それは割り切って判断しているぞ。

 

「今回もうすでに帰ったラコイタもその一人だ、ピンチだと勘づいてきてくれた3人が居なければ全滅も十分にあり得ただろう」

 

あの二人も実を食べていたし、俺が二人をボロボロにできたところで

その後のベジータ王子との勝負の間に時間切れでじり貧だっただろう。

確実に天津飯とクリリンが死んでいた。

生き残れたとしても全員が重症なのは間違いなかっただろう。

 

「ピオーネとニアにも感謝している」

 

わざわざ危機を察知したような示し合わせたタイミングでの来訪。

これほど感謝することはない。

死屍累々になっていただろうからな。

 

「もともと来る予定だったから気にしないでいいよ」

「私もそうだからね、気にする事は無いよ」

 

そう言えばニアは地球に行きたいと言っていたし、ラディッツさんからもしばらくしたらピオーネが地球に来るとは言っていたな。

まぁ、それを差し引いてもここにいるメンツが生き残れた理由の大半を担っているんだ。

感謝の言葉も自然に出るというものだろう。

 

 

「とりあえずクリリンから聞いたんじゃがナメック星というところに行くらしい」

「ああっ、ドラゴンボールですね」

 

亀仙人様が言うから答える。

ピッコロをよみがえらせるためにも必要だからな。

何個叶えられるかは知らないが少なくてもそれが一番優先する内容だろう。

 

「おぬし知っておったのか?」

「昔2回訪れて、ドラゴンボールがあるのは確認しています」

 

そう言うと全員が目の色を変える。

希望の可能性が見えてきたからだろう。

 

「瞬間移動で行ってきたら?」

「帰ってこれない可能性だってあるだろ……」

 

ピオーネの提案は残念だが今回は受け入れられない。

もしかしたらベジータ王子の通信のせいでフリーザ軍のほかのメンツにばれているかもしれない。

そうなれば俺たちが先発隊として行って後発で誰かが来ないと結局は人手不足になる。

 

「それにみんな連れていけても俺が死んだら地球に戻れないから宇宙船は結局必要だし……」

 

瞬間移動が可能なのは俺とピオーネの二人だけだ。

その時点で俺が行くならピオーネも行かないと意味がない。

両方のうち、いずれか片方に万が一の事があっても大丈夫なように。

 

「でも宇宙船って基本一人乗りしか私たち無いけどね」

 

ニアがお手上げという様な顔をする。

スパーニもナッパさんも頷いている。

 

「俺の奴は設備整えているから3人まではいけるぞ」

 

そう言って付いてこれる奴が多いことを伝える。

まぁ、無理をしてついてこなくてもいいんだけどな。

 

「あとは母さんの宇宙船を使うことだってできる」

 

これで合計すると……

俺で3人分

スパーニ、ニア、ナッパさん、ピオーネ、母さんの一人乗り宇宙船で8人。

ここからだれがついてくるかの相談だ。

 

「悟空の奴が乗ってきたやつがあるはずじゃが、悟飯なら知っておるじゃろ?」

 

亀仙人様がそう言う。

確かにカカロットの宇宙船の存在を忘れていた。これで9人はいける。

さて……誰が来るんだ?

 

「俺は……白白さんの…復活のためにも行かせてもらうぜ」

 

天津飯が絞り出すような声で言ってくる。

気持ちは分かるが無理するな。

すると次はブルマさんが直々にクリリンを指名する。

ヤムチャでもいいのだが今回でかなりの活躍をしたという事で抜擢した。

 

「僕も連れて行ってください……」

 

悟飯もピッコロをよみがえらせたい一心。

そして今後再び来るであろうサイヤ人の襲来。

その為には自分にできる事をしたいとチチさんに面と向かって言う。

ピッコロの鍛え方のおかげで肝も据わったな。

 

そんな事を話していると窓から黒い人が声をかけてきた。

名前はミスター・ポポと言い神様の付き人のような存在らしい。

数時間後、ブルマさんから聞いた話によるとユンザビット高地で宇宙船を発見。

そのメンバーにクリリン、天津飯、悟飯、ブルマさんの4名。

そして俺の宇宙船には俺とナッパさんとピオーネ。

それ以外は一人乗りだがニアとスパーニも協力するとのことだ。

ニアは一緒に戦った仲間だし助けたいとのこと。

スパーニは桃白白に対する償いと母さんをよみがえらせたいという気持ち。

 

9人でナメック星に行く。

地球が手薄になることを考えればヤムチャと餃子が残ったのはある意味良い事だろう。

 

 

「ブルマさんが言っていたのは10日間……メディカルポットを使っても天津飯とピオーネで一週間はかかるぞ」

 

サイヤ人のような再生力があるわけじゃあない。

ましてや内臓に損傷がある。

治るのに10日以上かかる可能性はある。

そうなったら誰を治すかは優先しないといけない。

ちなみに仙豆ができるまでカカロットは待機するらしい。

まぁ、運ぼうとしたら医者に強く言われるからな。

 

「結局天津飯を優先する形になったな」

 

ニアやクリリンは比較的ましなものだったため、ピタルへの瞬間移動で病院に連れて行った。

医者をカカロットのために呼ぼうと思ったが、あいつ医者嫌いだからな。

ピタルの医療で一週間でクリリンやニアたちは全快の状態になった。

あとは天津飯だったが同じく一週間ぐらいで治った。

裸で入らないといけないからブルマさんに使い方を教えてピオーネはやってもらった。

結構ひどいけがだったのに一日半では治るあたり凄いなと思った。

 

そして最後に俺が入る。

体が軋む中一週間以上、事後処理にかまっていた。

桃白白の店の臨時休業と防衛軍への有給取得。

そんな事もあって瞬く間に過ぎていった。

一日がかりで治った時、体から清々しいほどの力が溢れていた。

 

「こいつは凄いぜ……」

 

気を放出すると上昇具合がどれほどのものかを知る。

今の俺の戦闘力ならば4万近いんじゃないだろうか?

もしかしたらベジータ王子を超えたかもしれない。

それにこのナメック星に行くまでの間、地獄の特訓を施す。

到着した時俺たちの力がどれだけ上がっているのか楽しみだ。

 

「じゃあ出発するわよ」

 

翌日、ブルマさんの一声で全員が各々の宇宙船に乗ってナメック星へ向かう事となる。

ニアとスパーニは14日でナメック星到着予定。

俺たちは10日。

ブルマさんたちは一か月ほど。

 

「飛び立って早々だが修行するか?」

 

そう言って立ち上がると二人がにやりと笑う。

ちなみにメディカルポットは自動治療可能にしてもらった。

ピオーネの時だけ不便になってしまうからな。

 

「重力は20倍から始めるぜ」

 

そう言ってスイッチを押す。

一気に宇宙船の中の重みが増す。

この10日間でどれほどの力をつけられるのか。

皆をよみがえらせるために、俺たちが生き残るための、研鑽が始まった。

 

.

.

.

 

俺の名前はターレス。

坊ちゃんに神聖樹の実を渡しておいたが食ったんだろうか?

まぁ、仲間は大事にしねえとな。

仮にも絶滅の危機にある俺たちサイヤ人の王子だ。

 

「しかしなんで数が合わなかった?」

 

在庫管理をした時に下級のものとはいえ2つくすねられていた。

部下がとった事は無い。

かといってフリーザの奴が知っている訳もない。

 

「多分もう食っていやがるから返してもらうのは無理だろうよ……それに」

 

この極上のものが奪われていないだけよかった。

こいつを食えばたちまち10倍近くにまで跳ね上がるだろう。

これを食ったのがフリーザとかならば永遠に奴に頭を垂れる人生になっちまう。

 

「それにしても奴ら、遅いな……」

 

部下が一向に戻ってきやがらない。

一体何があったっていうんだ?

そんな事を考えていると……

 

「ンダァアアアア!?」

 

奥の部屋から悲鳴が聞こえる。

何があったんだ!?

 

「今のはカカオの声だ!」

 

そう言って部屋にかけていく。

扉を開けた時、目の前に広がっていたのは惨状だった。

 

襲われていたのはカカオだけじゃない。

レズンとラカセイも息絶えていやがる。

血を流しているのと首をねじ切られた死に方だ。

アモンドなんて体中が焼けただれている。

高威力の気弾を至近距離でぶち込まれたな。

 

「あ、がが……」

 

体中から夥しい量の血を流しながらダイーズがこっちに這ってくる。

一体どいつがこんな真似を……。

 

「ダイーズ、何があった!?」

 

「二人組……サイヤ人が俺たちを殺して……狙いは在庫の神聖樹の実だ」

 

サイヤ人で二人組だと……

しかも神聖樹の実を持っていったという事は前回くすねた奴と同じだな。

 

「きっ…とあらか…た持ってい…かれた…」

 

それは構わねぇ。

だが俺の部下をここまでやりやがるとは……

徐々にダイーズの目の焦点が合わなくなっている。

 

「す……ま…ない」

 

その言葉を最後にダイーズは死んでいった。

クラッシャー軍団を全滅とはな。

ここまで表立って喧嘩を売ってくるとは思わなかったぜ。

 

そう思いながら全員の死体を運んでいくと指先で血文字を書いているのを見つけた。

ダイイングメッセージって奴だな。

 

「ナメック星……犯人はカエンサとラブカか」

 

あいつらがやったのか。

自分たちの強さのために殺すとはな。

しかも俺が今まで私利私欲とはいえ血の滲む努力で手に入れたものを奪う形とは…

 

「この恨みと敵は晴らさせてもらうぜ、外道なお馬鹿さんども……」

 

そう言って俺はナメック星の座標を打ち込んで飛び立つのだった。

 

.

.

.

 

「グレ……分かってくれないか」

 

僕は妻である女性に告げる。。

なぜこんな状況になってしまったのか。

それは今まで交戦してきた辺境に飛んでいるフリーザ軍の兵士たちとの戦いが背景にある。。

フリーザ軍の別動隊の中でも実力者だったアボとカド。

彼らとの戦いは熾烈を極めていた。

僕ではなんとか時間を稼いでしのぎ切るのが精いっぱいだった。

そんな最中、フリーザ軍ではナメック星という惑星に本隊が飛んでいるらしく

その助っ人にアボとカドの二人も行った。

願いの叶う球があると噂に聞いたことのあるナメック星。

そこでもしフリーザたちが願いを叶えるとこの銀河は終わってしまう。

それならば僕もナメック星に行かないと。

奴らを止められるのは僕なんだ。

 

「でも……死ぬかもしれないんでしょう?」

 

今までも楽ではない戦いのせいで重傷を負ってきた。

今回の危険度はその比ではない。

確かにグレの言う通り、死の危険が十分に付きまとってくる。

 

「だとしてもここで止めないと、奴らに次攻め込まれたときも確実な死が待っているだろう」

 

フリーザが来てしまったら僕程度のちっぽけなサイヤ人ではなすすべなくやられてしまう。

兄さんでも勝てそうにない相手に僕がかなうとは思っていない。

 

「もう止めても行くのでしょ……?」

 

そう言われて僕は頷いた。

止めても行くよ。

行かなければ未来の目線で死ぬ。

行っても死ぬ可能性はある。

 

「いずれにせよ死ぬ可能性があるのなら、あがいてから死ぬよ」

 

そう言うとグレは何も言わずに後ろを向いた。

見ていると死を思い浮かべて辛いのだろう。

大丈夫だよ、負けないさ。

そう思って宇宙船に乗り込む。

何で自信があるように負けないなど思ったのか、それはきっと……

 

「僕にも薄いかもしれないけど、確かに戦闘民族サイヤ人の血が流れているんだから……」

 

そう言って僕はナメック星へと旅立った。




ナメック星編、ターレスとターブル参戦。
スラッグさんも出せばよかったのですが……
ちなみに在庫で貯蔵していたレベルは劇場版のものではないです。
だから絶望的に奴らが強くなることはありません。

指摘などありましたらお願いします。

地味に名前の由来を忘れていたので追記しておきます。

ニア・ルーマ 『アニマルのアナグラム』
ビック・ラコイタ『驚いた時に使う言葉『びっくらこいた』』

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