因縁が絡み合います。
敵サイドでは犠牲者がついに出ます。
私たちは上陸してからすぐにある所にいた。
スパーニはフリーザ軍だから別行動でもいいんだけど、その前に誰かと連絡を取るという事で動き回っていた。
すると高い岩山が見えたのでその方向に向かっていった。
緑の皮膚を持った人たちが多くいたがこれがナメック星人なのだろう。
話をすることもなく、一心不乱に目的地へ。
数時間ほど飛んでいくと、その高い場所に着いた。
こんな所に家があるところを見ると、ここは偉い人がいる場所に違いない。
「何の用だ?」
強そうなナメック星人の人が出てきた。
敵対する気はないですよとアピール。
するとスパーニの方をじっと見て一言。
「ヤツによく似ているな、いいだろう、入れ」
奴ってガタバルの事?
来たことあるって言っていたけれども顔見知りだったのね。
入った先にいたのはこの星で最も偉いと言われる最長老様という人だった。
大きなナメック星人だ。
しかしその柔和な笑みは落ち着きをくれる。
後ろにあるのがきっとドラゴンボールね。
なぜ、ここに来たのかの説明をすると頷きながら一言。
「邪悪であるがゆえに再び別れる事をあの子は懸念したのでしょう、彼が伝えたとしても決めるのは本人」
ため息をつくわけでもなく悟ったように遠くを見ている。
「それと、彼は欺くために今戦っていますね、この星へ訪れた巨悪と」
きっとガタバルの事だろう。
スパーニは青ざめているけれど一体どういう事なんだろう。
「近づいてください、彼の助けになるでしょう」
そう言うとスパーニの頭に手を置く。
そうしたら、次の瞬間…
「凄い、力があふれ出てるよ……」
驚いた顔でこっちを見てくる。
何倍かには膨れ上がったようだけど…
「あなた方二人は眠りすぎなほどですね、呼び起こしがいがありそうです」
そう言って最長老様は微笑んでいた。
そして次の私の番になった直後……
「あなたの過去……まさかあの惑星『ズー』の王女だったとは」
記憶を読み取られたみたいね。
あの珍獣みたいな蛹になる前に、惑星は滅んだ。
皆がニア王女と呼んでいた日々。
それを壊した者は……
「今、この星にいる巨悪と同一人物のようですね」
なるほど。
因縁の糸は複雑に絡み合っていたのね。
「あなたには変身能力が付いたかもしれませんね」
なるほど、戦闘力の増強=変身というわけね。
基礎の値に対して、幾らかの倍率がかかっていく。
地球でいきなり覚醒したガタバルと同じような奴だ。
「しかしこれでもあの巨悪に立ちはだかれるか……」
それほどまでに恐ろしい相手。
そうでなければ意味がない。
私の星はその存在に滅ぼされた。
「そして蠢いている邪悪があります、それはもしやすると巨悪さえ凌駕する存在です」
あの二人かもしれないね。
スパーニも頷いている。
あいつらは全く厄介な存在だ。
害悪をなし続ける、邪悪。
「彼らを助けに行くか、もしくは潜むか、それはあなた方の決断になるでしょう」
そう言われて私たちは外に出る。
どうするか?
スパーニは一度戻って、事情を説明しないといけない。
そう言う事で別れた。
私はピオーネさんの気を探って向かっていく。
すると、二つの気が接近してきている。
大きさは解放される前の私たちと同じぐらいかそれより若干大きい。
「これはこれは……ニア王女じゃねぇか」
「カド、こりゃあ合体でつぶしちまおうぜ」
私の惑星を滅ぼした奴についていた赤と青のとげ人間。
まさか、この星にきての相手があんた達なんて。
そんな事を考えて構えたら体が重なって光り輝く。
その光が消えた時、目の前にいたのは紫色になったとげ人間だった。
「これで終わりだ、ズーの歴史もな!!」
そう言って突撃してくるが避ける。
直線的な攻撃だからいいが速い。
「変身した方がいいみたいね……」
やり方はきっと気を高めて強くなるイメージを固める事。
集中してどんな姿になるのかを考える。
体が大きくなっていく。
牙が生え、匂いに敏感になる。
目の視野は後ろまで見渡せる。
爪は伸びて腕と足の筋肉は絞られている。
自然と、四足歩行の構えになる。
「いきなり、3メートルを超える巨体になっただと!?」
相手は驚いているみたいね。
伸縮性の服にしておいてよかったわ。
スパーニから予備の戦闘服をもらっておいて正解ね。
「ハアッ!!」
一気に突進をする。
自分でも今までとは比べ物にならない速度で迫る。
避けようとしたらそれに合わせて動ける。
動きの可動域まで上昇している。
「ぐああ!!」
突進が脇腹へ直撃して吹き飛ばしていく。
その追撃に吹き飛ぶ方向までかけていく。
「ぐぅう……なんて威力、そしてどこに行きやがった!?」
相手がきょろきょろと左右を見ている。
あの機械で探ればいいのに。
冷静さを欠いてしまっているわね。
「上よ、『ワイルド・ハンマー』!!」
両肩に全力で食らわせる。
地面に向かって一直線だが、さらに先回りをする。
今の一撃で相手の肩の骨が折れたことは感触でわかる。
「終わりね、『ブレイク・エレファント・スタンプ』!!」
体が大きくなったから技名も変えてみた。
相手の腹に両足がめり込む。
バキバキとか音が聞こえたわ。
「あれ……びくびくして痙攣してるけど、もしかして……」
地面に叩きつけられてから一向に起き上がってこない。
これ、もしかして致命傷負わせちゃった?
そんな事を考えていると、一つの気が近づいてきている。
速かったわね、スパーニ。
変身は解いておこう。
「ふぅ……」
溢れる力が凄いけれど使いにくい。
まだまだ慣れていないからこれからは鍛錬あるのみね。
「ニアさん、あの人は処分らしいです」
辿り着いたスパーニが開口一番言ってくる。
そう言うスパーニは悲しい目をしていた。
どうやら、ここ連続の失態が逆鱗に触れたみたいだ。
「このまま放っておいても良いわけ?」
こくりと頷く。
それならこのままにしておこうかしら。
私とスパーニはナメック星人の集落に行くのではなく、ピオーネさんの気を目当てに進む。
あの人はどうやら動いていないようだ。
「洞窟でもないようだし……」
集落にずっといるのかしら?
そう考えていたら接近してくるのがわかる。
気づいたのね。
接近の速度はかなりのものだ。
こっちも合流のために飛んでいるが、基礎の値に差がある。
そのこともあってこっちの倍以上の速度で追いついてきた。
手を振って待ってくれている。
「二人とも早めに来てくれてありがとう」
そんな事を言うピオーネさんの傍らに男性がいるのがわかる。
サイヤ人のようだけど……
「この子は先に来ていたサイヤ人の片割れよ」
つまり何かしらの理由があってここに来た。
そして利害が一致する形だから、協力しあっているのね。
「ちなみにあの子とナッパとターレスって奴が今は潜入中よ
あとは、どこかでとんでもない気を感じたのだけれどすぐに収まったわ」
サイヤ人たちで動いているのね。
クリリン君たちが来るまでの時間の間はドラゴンボールの奪い合いが主になる。
話を聞くと全部の村でだますための大掛かりな行動をとっているみたい。
とんでもない気の正体も気にはなるけれど、今はこっちが優先ね。
「今、どれくらい集まっているんですか?」
どれだけ集まっているのか。
収穫が全くなしとは思わないけれど。
「まだこの1つよ、1つだけ守れば相手も叶えられない」
確かにそれはその通りだ。
向こうが3個ぐらいだったらいい感じなのだが……
「相手の妨害はしているけどね」
こっちも最長老様の後ろにあった奴貰い損ねたし、相手に有利な状態を作っているわね。
相手の戦闘員を減らしたのは良い事なんだけどね。
まだまだ隠し玉の戦闘員がいないわけじゃないだろうから、安心できないけど。
「あの子の親と兄の邪魔は厄介だからね」
ピオーネさんが言った瞬間、最長老様の言葉を思い出す。
あの二人の事も伝えておかないとね。
今、一番大きな悪より恐ろしいものに成長しかねないという事。
「あの性格や思想があの子とスパーニに影響しなかっただけでも儲けものだよね、あれは倒さないといけないね」
ピオーネさんに話した結果、あの二人を倒すという結論に達した。
あれは確かに倒さないといけない相手だ。
ガタバル達の因縁とは言えど、いずれはこちらに攻撃を仕掛けてくる。
放ってはおけない。
「私もあの二人は倒しておかないといけないと思います」
スパーニが頷きながら同調する。
巨悪を倒した後のターゲット。
あいつらも危険視する方向を決める。
「スパーニはこのボールを持っていきなさい、別にあと3つは当てがあるから、
それにいざとなれば奪って見せるわ」
スパーニに持たせることで不信感無く、相手の宇宙船に戻せる。
あとは相手の隙を狙っての略奪。
この繰り返しで時間を稼ぐ。
「相手がどう動くか、それが大事ね」
しばらくは様子見だと思う。
なんせ、あの処分される奴が虫の息だとわかったら相応の強さだと予測され、相手の警戒を上げることになる。
そうなると、本拠地を襲撃される可能性とかを危惧する。
それで自分たちから探し出せなくなる。
この場面で動くのは、今潜入しているガタバル達とあの二人。
「相手の動きが遅くなればなるほど、こっちは嬉しいわ」
ピオーネがそう言って伸びをする。
確かに今の状況からはこちらは万全じゃない。
人海戦術で質を補ったりしないとね。
「警戒している分、どこか隙を出してしまう」
どこもかしこも万全というには難しいだろう。
一か所でもゆるくなってしまったらそこから侵入してしまえばいい。
ドラゴンボールを一つ奪えば、取り返しに来る。
それで向かってくるのがスパーニならばボロボロにすることで回復させて強化も図れる。
「相手を手玉に取り続けた時、一番恐ろしいのは最後にとんでもないどんでん返し」
それをやってくるのはきっとあの二人。
まったく、あいつらって生きてる意味が本当にあるのかな?
あいつらがいると無害な人たちを巻き込んで最悪のパターンになるイメージしかわかない。
「そういえばナメック星人の犠牲ってどうなっているの?」
この星の住民で奪われないように抵抗しているだろうし、犠牲者の一人二人は確実に出ているわよね?
そう思って聞いたら、まさかとも思える驚きの答えが返ってきた。
「今のところ、犠牲者は一人も出ていないわ、重傷者が一人出ただけね」
ガタバルの欺きで先んじて住民が避難しているのと、噂で知られているピオーネさんの強さに慎重な動作を取るようになっているのか。
少し集落を偵察してくることはあっても、攻撃される範囲まで入ったりなどの必要以上の接近はないようだ。
「僕とターレスさんのためにカエンサ達に飛びかかって大怪我を負いました」
一体どういう経緯でそういう事になったのかしら。
話を聞いてみると面白そうね。
「ターレスって人は部下をあいつらに殺されたみたいよ」
うわぁ、そりゃ敵対するわ。
しかも理由はなんか強くなれる木の実を分捕るためだとか。
えげつないわね。
つまりあいつら地力の鍛錬を全くしないでこの星に乗り込んできたというの?
修行もしないとか戦闘民族の誇りすらどこか彼方に放り投げているじゃない。
「僕は赤と青のとげが生えた奴を倒すために来たんです」
あの、さっきまで私が戦っていた処分対象になってしまった奴ね。
あいつらと戦えるだけ戦力としては十分なはず。
私も変身抜きじゃ絶対負けていたという確信があるわ。
「そいつらはもう逆鱗に触れて処刑だってさ」
そう言うと驚いた顔をする。
そう言えば名前は聞き忘れていたんだけどターブルっていうらしい。
「あいつらでも失敗続きになるほどこのメンバーの強さが恐ろしいですね……」
まぁ、この面子で今のところ最強なのは多分変身した私だけど、普通の状態ならピオーネさん一択だと思う。
「それでもこの星に潜む巨悪には手も足も出ないでしょ?」
その言葉にスパーニが頷く。
やはり一番上の恐ろしさは肌で感じているのね。
「底知れないものがあの人にはあります、まるでいくつもの力を引き出しのように隠している予感がします」
そう言われて予想を立てる。
普段から毛先ほども出さずに行動をしている。
数字で言うと1パーセントにも満たないほどのごくごく少ない戦闘力にコントロールをしている。
もしくは変身型宇宙人ならば複数回可能。
いずれにしてもこちらの想像を超えてしまうものであれば手も足も出ない。
「まあ、相手が本気にならないように今しばらくは一進一退の状況を演じておきましょう」
ピオーネさんの言葉にうなずき、スパーニを相手側に帰す。
不信感を無くして相手の懐事情を丸裸にする。
欺きは順調に進んでいく。
これならばクリリン君たちが来るまでは持ちこたえられる。
そう、私たちは確信したのだった。
まさかのOVAの猛者も上司の逆鱗の前には死を覚悟しないといけません。
きっと最終形態を拝んでから消されたでしょう。
次回ぐらいはダイジェストにして、速くクリリンたちが出せるようにしていきたいですね。