とある一族の落ちこぼれ   作:勿忘草

39 / 133
久しぶりの投稿です。
次回からクリリンたちも絡んできます。


『地球人上陸』

あれから数日の時間が経った。

ドラゴンボールは現在4つ。

俺たちの奪取に狙いを合わせたかのようなピオーネの出現。

さらに潜在能力が上がって変身能力を身に着けたニア。

奪っても奪い返されるシーソーゲームになっていた。

スパーニはその経緯で戦闘力が上がって入る。

あとはベジータ王子が強化されれば、反旗を翻す準備は整うだろう。

 

「ガタバルさん、持っていかれました、追いかけなさい!!」

 

またもや侵入を許してしまう。

警護は完璧なのだが瞬間移動の前には無力。

全部奪う真似をするとフリーザが出る。

それをしないための策だろう。

 

「はい!!」

 

そう言ってピオーネを追いかける。

これも俺たちの作戦の一つ。

お互いの戦闘力を上げるためのマッチポンプだ。

 

もはや基礎戦闘力が300万を超え始めている俺は超サイヤ人への変身を感覚的につかんでいた。

その状態で戦っていく事でさらに鋭敏な感覚として養う。

疑似的な形で上がっていく状態の俺とピオーネが戦い、ピオーネの戦闘力は上がり

俺は確実なステップアップができる。

 

「はぁ!!」

 

しかしお互いの戦いにそう言った思惑があったとしても真剣に戦いあう。

お互いが命を奪い合うように、決して手は抜かない。

 

「しっ!!」

 

段階的な上昇のため、ピオーネの基礎戦闘力はあまり上がってはいない。

マックスでやりあっては不信感を抱かせる。

とどめを刺す余力はないがドラゴンボールを持ち帰ってくる。

それを幾度となく演じ続ける。

 

「今回も奪取してくれるのは助かるんですがねぇ……」

 

フリーザからも困ったという様な顔だ。

最近は徒党を組んだピオーネにナッパさんとターレスがニアの相手をしている。

スパーニはターブルに止められている。

また、一番の危険因子が手柄を奪うために邪魔をしてくるときもある。

ギニュー特戦隊の招集が速くなっていくと言っていた。

本来の惑星の攻め込みを中止してでも奴らの監視をしていないと迷惑らしい。

 

「処分しようとすると雲隠れされるんですよね……」

 

相当ピリピリしている。

ザーボンやドドリアを警護に当てているから何とかあの二人がなだめておけば普通に問題はない。

 

「あいつらはもうこちらに任せてください」

 

あいつらはもはや消さねばならない。

このナメック星が奴らの墓場になる。

 

「いえ、そこまで背負っていただく必要はありません、初めに言ったようにあなたはドラゴンボールの収集にお勤めなさい」

 

そう言われてまたもや収集に向かう。

シーソーゲームのせいで時間だけが過ぎていき、今や20日ほどこの流れを繰り返している。

さらに困ったことにそのうちの1つをピオーネたちがある場所に奪った後に放置をしてしまった。

それはブロリーがいる場所だった。

抑制装置がないし、俺たちが話している間に昂ってしまえばおじゃんになる。

ましてやターレスを連れて行ったら地獄を見るだろう。

 

「あいつに守らせるとか究極の一手だろ……」

 

あいつから奪い取るくらいなら集落攻め落として自分たちでリーチかける方が得策だ。

無茶をすれば壊滅状態に陥ることはほぼ間違いない。

その為4つの奪い合いになってしまう。

隙を見て別の集落に行こうとしたらピオーネに追い付かれるせいで集落の奴らが巧みにドラゴンボールを隠蔽して逃げ回る。

 

「翌日にはクリリンたちも来る」

 

戦力としては心もとないが人員が多ければそれで十分になる。

打倒フリーザについては一人でも多い方がまだやりようがある。

 

「あの面子には先に最長老様の家に行ってもらって強化させる」

 

現状の戦闘力で10000を超えてはいない。

天津飯達で15000もあれば多少はやりあえる。

ギニュー特戦隊でも気功砲や気円斬など工夫さえしておけば善戦は可能だ。

 

「ギニューさん達も呼んでおきますか、今からだと最短でもそこそこは掛かりそうですが」

 

フリーザがついにあの台座から降りて動いていた。

本気になったというわけか?

 

「今の間にカエンサとラブカの処刑を始めます」

 

そう言うと二人を探し始めた。

あの二人は逃げようとしているだろう。

だが流石は悪の帝王。

その思考回路なんてとっくにわかりきっていた。

出口に先回りをしておき、物音に騙されることなくじりじりと距離を詰めていく。

 

「少々てこずらせてくれましたね」

 

二手に分かれていたため逃げ切られる。

それを確信した以上一人だけを捕まえる戦法を取っていた。

その結果、カエンサを捕まえて眼前に立ちはだかるように仁王立ちをしていた。

 

「そっ、そんな……どうして」

 

その疑問に対して、冷徹にフリーザは言ってのける。

 

「部下殺しとこの任務での失態、虚偽の報告、いずれも私をコケにするには十分すぎる内容でしたね」

 

もうこうなれば覚悟を決めるしかないぞ。

お前らの命運もここで尽きたな。

 

「まだ…俺達には運がある!!」

 

そう言って俺の方を向く。

一体何をする気だ?

 

「こいつこそ裏切り者でしょう、いくらなんでも遅すぎやしませんか?」

 

俺を売って時間稼ぎのつもりか?

遅すぎたとしても常に全線で個数を維持している部分では評価されているぞ。

 

「相手が相手でしょう、それとこれとは別問題

彼に裏切りのメリットはないはずですが」

 

ピオーネの恐ろしさを考慮したうえでの計画だ。

確かに裏切る予定はある。

しかし、それは今じゃない。

メリット自体も特にない。

自己満足に近いものだ。

 

「こいつは『飛ばし子』ですのであの時のあなたの行為を知っております

幼心に抱いたものは拭えないかと」

 

怒りを抱いている。

もしくは憎んでいるとでも言いたいのだろう。

お前らのように頭を垂れて忠誠を誓うばかりのサイヤ人ではないからな。

 

「恐怖の可能性もあるはずですがね、あなた方が飛ばして裏切り者かもなどという疑惑は無駄な議論です」

 

確かにそれもそうだ。

同じように生き残らせる進言をして戦力としての教育もできた。

そう言った努力をせず、今になって言ってくる。

 

「フフッ、無駄でも時間は稼いだ!!」

 

そう言って何かを投げてきた。

地面に当たった瞬間に炸裂をする。

技術班に作らせていたものなのか?

凄まじい光と音で平衡感覚、および視力を奪われる。

 

「閃光弾とは、くすねやがったな!!」

 

フリーザが粗野な形で怒りの声を露わにする。

俺はすぐに飛び立って二人を追いかけていく。

気を感じ取れるが平衡感覚が狂っているためふらふらとしか行けない。

 

「はあっ!!」

 

頭に一撃を食らって落とされる。

起き上がる前に蹴り飛ばされる。

立ち上がることも上手くできない。

 

「まずは逃げる事が精一杯」

 

そう言って音が遠ざかっていく。

ちらりと見えた機械は一体何なのか?

 

「あの状態から追いかけても無理でしょう……」

 

逃がしたことを伝えたらあの閃光弾のせいでぐったりとしていたフリーザ。

追いかけるための動きが自分が全くできていなかったのもあって不問となった。

だが、機械の事を伝えると技術班に聞く。

 

「試作段階のものを持っていかれていますからね……」

 

技術班の人たちも頭を抱えているが試作段階であり完成品を持ち去ったわけではない。

 

「武器系統は試作では暴発、そうでなくても予期せぬ故障がありますから」

 

フリーザも懸念する必要はないとは言う。

あいつらがいくらポッドを使って、地球以外の所に逃げても無駄。

 

「これで彼らは完全に私の敵……というわけですねぇ

サイヤ人の中にも虫けらは居るもの……あなたも裏切ればどうなるかわかっていますね?」

 

フリーザは俺を睨み付ける。

あの場では無駄だと分かっていても裏切ってはいけないとくぎを刺しておこうと思ったのだろう。

 

「分かっていますよ」

 

当然、死が待ち受けている。

だがそれを含めてここに来たのだ。

ここで追い打ちをかけるつもりはない。

 

「分かっているならば問題ないです」

 

俺は再び宇宙船を出てターレスとナッパさんを集める。

あの二人に今回の事を伝える。

今回の騒動で思いがけない事態になったため、一足早く裏切るタイミングを決めないといけない。

 

明日にはクリリンたちが来るし、まだ宇宙船が他にある。

その詳細不明の宇宙船の着地場所を予測する。

 

「ベジータじゃねえのか?」

 

ナッパさんが言ってくる。

よし、良い援軍だ。

もうあと一週間の間にこの戦いも大詰めを迎えるだろう。

 

「フリーザの裏切りの時間稼ぎは済んだか?」

「あと少しだ」

 

ターレスが言ってくるので答える。

もうそんなに時間を取る事は無い。

 

「もう一度援軍が来る、そいつらの強化次第で時間は縮まるだろう」

 

フリーザの方もギニュー特戦隊が来る。

正直、俺たちはカカロットとベジータ王子の強化が優先だ。

クリリンと天津飯、悟飯は最長老様の場所で上げてもらえるだろう。

 

「ギニュー特戦隊なら今の俺達でも倒せる」

 

それはそうなんだが、フリーザに対してたばかっていたことを暴露するのは最後の最後まで置いておく。

あいつらでもなんとかなる相手なのに俺たちが手出しをする必要はない。

 

「ベジータ王子と交渉をして村人の虐殺を止めさせる」

 

ドラゴンボールを出さなかったら平然とやりかねないしな。

それに最高の交渉材料がある。

それは超サイヤ人への変身方法。

痛い目も見てもらうだろうが、それを差し引いても十分利益のある交渉だ。

 

「明日に地球人が到着、それと同時ぐらいにベジータか」

 

ナッパさんが言うがその通りだ。

その後にカカロットが即座に出発をするなれば一週間ほどで全員が揃う。

激戦になるかもしれない。

奴らの消息が不明である以上どうにも嫌な予感がぬぐえない。

 

「明日には明日の風が吹くってことで今日は落ち着こうや」

 

ターレスがそう言って宇宙船へ戻る。

全員が意気消沈する中、フリーザの言葉で持ち直した。

俺たちは捜索とドラゴンボールの2つを任される。

あいつらの足取りは気で感知できるはずだ。

 

「あいつらが盗んだ機械がどういったものが分かれば狙いも多少は分かるけどな」

 

あいつらの事だから楽な戦力増強。

それかこっちの妨害のための道具。

いずれにせよあいつらはフリーザに見つからずに、自分たちが死なない方法を考えないといけない。

ついにあの二人の命運が尽きたと思ったが、あいつらの運の良さと生きる執念。

それこそが奇跡を起こしたのだろう。

まったくもって運命を決める存在は節穴なのか。

起きても大した価値のない二人の命を引き延ばした。

 

「考えてもしょうがない……」

 

そう言って寝床に入ろうとする。

しかし不意にナメック星人の遠くの気が一つ消えたのを感じた。

一体何が起こってしまったんだ?

 

.

.

 

「我らの供物となるがいい」

 

そう言って首を掴んでいるのはラブカ。

大きなナメック星人がなすすべなく負けてしまったのだろう。

ぐったりとしている。

 

「この『ドレイン・パース』を使ってこいつのエネルギーや能力を俺たちのものにする」

 

そう言って装置を使いナメック星人のパワーや能力を奪う。

戦闘力や能力の強さは二人に均等に分け与えられる。

 

しかし『ドレイン・パース』はその一度で壊れてしまう。

 

「やはり試作品だったか……」

 

そう言って気功波で粉々にして消し去る。

だがもう一つ片手に握っている機械。

それを見つめながらカエンサはこのナメック星での屈辱を思い返す。

 

「これを使えば、あの屈辱は全て拭い去れる」

 

そう言って憎悪に満ちた瞳を星が瞬く空へと向ける。

憎悪が徐々にその瞳に捉えた星々を黒く塗りつぶすように空へと隠れていった。

 

.

.

 

そしてその闇夜が明けて日が昇り清涼な空気がナメック星を満たす頃。

昆虫のような形の宇宙船がナメック星に降り立つ。

 

そこから現れたのは幼い少年と年頃の女性。

頭に印のついた青年。

三つ目の青年。

 

クリリン、天津飯、孫悟飯、ブルマ

 

地球人たちの上陸。

それを素早く感じ取ったニアとピオーネが迎えに行く。

そしてクリリンたちが到着したと同時刻に孫悟空が出発。

ついにナメック星の戦いも佳境に入ろうとしていた。

 

.

.

 

そしてその少し後。

ナメック星に着陸をしようとする宇宙船のうちの一つ。

キュイという奴が乗った宇宙船。

 

「くくく……ベジータを殺せるぜ」

 

そう言っているキュイ。

最近のフリーザはいらだちが募っていたからか。

援軍になるであろうベジータとはいえ、命令無視でここに来たことに憤りを感じて抹殺をキュイに命令した。

 

しかしそのキュイの思いはあっけなく打ち砕かれる。

 

 

「なんだ、ありゃ……」

 

手をかざして宇宙船に向かって気弾が放たれる。

当然、宇宙船の状態で避けられるわけもなく……

 

「うぐぁああああ!!」

 

宇宙船が壊されたまま、海へドボンと音を立てて落ちていった。

 

「くそっ、こんなつもりじゃ、プハアッ!!」

 

湖から顔を出すキュイ。

その後、自分の顔を上げてその落としてきた奴の顔を見ようとしたがそれは叶わない。

 

「ぐあっ!?」

 

その顔を掴んで上空へ放り投げる。

そして狙いをつける。

 

「やめて……やめてくれー!!」

 

キュイが叫ぶが聞く耳を持たない。

そしてそのまま技名を言って攻撃を放った。

 

「『アルバトロス・ブラスター』!!」

 

その技に包まれて塵となる。

その様を見てガタバルは一言呟いた。

 

「ふんっ、汚い花火だぜ」

 

こちらの障害にしかなり得ない雑魚。

その邪魔な分子を即座に取り除く。

遅かれ早かれ殺されていただろうという確信がガタバルにあった。

そしてガタバルはベジータの方へ向かっていく。

ついにナメック星における本当の戦いが始まろうとしていた。




馬鹿二人が邪魔をしてきたおかげで時間稼ぎがしやすかったという。
最後に消されたナメック星人はスラッグさんです。
これでまた楽して強化の二人。
指摘箇所などがありましたらお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。